結論
ユニシアホールディングスは、串カツの居酒屋チェーン「串カツ田中」を運営する会社だ。2026年3月に社名を変え、売上の9割を占めた串カツ田中への依存を弱める道を選んだ。2025年12月には、滋賀県のイタリアンのファミリーレストラン、ピソラを約95億円で買収した。
筆者の結論は、今の値段は割高というものだ。買収で売上は5割以上増えるが、営業利益は13億円ほどにとどまる。買収額は営業利益の約40倍で、のれん、つまり買収額が相手の純資産を上回った差額が87億円ほど残る。自己資本そのものを上回り、うまくいかなければ減損で消える。
強みは、串カツ田中のブランドと、フランチャイズ(加盟店)で店数を増やす仕組みにある。弱みは、人件費の上昇、串カツ田中の店の伸びの鈍り、そして買収後の借金だ。家賃という固定費も重い。
中立の筋書きでも、10年後の純利益は15億円程度とみる。それに見合う価値は、今の時価総額の半分に届かない。筆者は、買収が当たっても、今の値段は先走りすぎていると考える。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ユニシアは「ブランドは良いが、払った値段が高すぎる」会社だ。
事業の本質は、串カツ田中という専門店の味と、加盟店で店を増やす仕組みにある。この商売は10年後も存在する。ただし、居酒屋は流行の影響を受けやすく、人件費の上昇も止まらない。堀は強くない。
オーナー利益、つまり再投資を引いた株主のものになる利益は、純利益から出店と改装の費用を引いた分だ。外食は店の更新が絶えず、物価が上がれば更新費用が先に膨らむ。会計上の利益ほど現金は残らない。
経営の資本配分は、攻めている。ピソラの買収は、営業利益の約40倍の値段で、事業の多角化という戦略的な意味はあっても、数字の上では高い。うまくいかなければ、のれんの減損が株主資本を削る。
安全域は薄い。純現金はなくなり、借金とのれんが自己資本を上回る。筆者は、買収の成果が数字で確かめられるまで、持ち続けたいとは思わない。
何で稼ぐ会社か
ユニシアホールディングスは、串カツ田中を主力とする外食の持株会社だ。2025年11月期の売上は211億円で、営業利益は12億円。期末の店は357店で、直営が約5割、加盟店(FC)が約5割を占める。
串カツ田中は、串カツとハイボールを家族連れにも売る居酒屋だ。ソースと揚げ油と衣は、仕入先が他社に同じものを卸さない契約になっている。味の独自性を守る仕組みで、店は全国に約350店ある。
新しい店も増やしている。京都・祇園の「天のめし」、鶏と卵の「鳥玉」、焼肉の「くるとん」、とんかつの「厚とん」などだ。海外はハワイ、シンガポール、ロサンゼルスに出ている。
2025年12月に買収したピソラは、生パスタと窯焼きピザを出すロードサイドのレストランで、近畿・東海・関東に約65店ある。直近の営業利益は約2億円だった。買収額は約95億円で、2026年11月期の売上は350億円台に乗る見込みだ。
このほか、惣菜の宅配事業(ハウスミール)は、2026年11月末に譲渡する予定である。連結従業員は563人で、臨時の従業員は年平均873人にのぼる。
優良さと弱いところ
ユニシアの優良さは、串カツ田中のブランドと、加盟店を使って店を増やせる点にある。ただし堀、つまり他社がまねできない強みは、普通かやや弱い。
良い点は三つある。第一に、串カツという専門メニューと、他社に卸さない原料の契約で、味に独自性がある。第二に、加盟店制度で、少ない資本でも店数を増やせる。第三に、ROEは過去10年の中央値で15.9%と高かった。
悪い点も三つある。外食は参入の壁が低く、串カツ田中も、居酒屋の客数に左右される。人件費は上がり続け、2025年12月には約7.5%の賃上げを行った。さらに、2020年から2021年のコロナ禍には、2期連続の赤字を経験し、自己資本が6割近く減った。
資本の使い方は、積極的だが、危うい面がある。ピソラの買収は、営業利益の約40倍という高い値段で、借金と第三者割当の増資で資金を賄った。自己資本比率は42%から30%に下がった。
筆者は、堀は普通、収益の質はやや劣ると判断する。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
外食は、人件費と食材費が上がり続ける中で、値上げが通る店と通らない店の差が開く業界だ。
国内の外食市場は、日本フードサービス協会によると2023年に約24兆円で、コロナ前の水準へ戻る途上にある。人口は減るが、訪日客が補っている。最低賃金の上昇とアルバイト不足が続き、店の運営費は年3〜5%の勢いで上がる構造にある。
串カツ田中が属する居酒屋・専門店の業態は、飲み会の回数の減少という逆風も受ける。そこで、家族連れや昼の客を取り込み、客単価を上げる動きが続く。
ピソラのロードサイドのレストランは、サイゼリヤ、ガスト、ジョリーパスタなどとの競争になる。いずれも規模で上回る相手だ。
不況の谷では、外食の既存店売上が2〜3割減る例もあり、固定費の家賃が重い店ほど利益が一気に落ちる。
10年後の見方はこうだ。国内の店はほぼ飽和し、成長は新業態と海外に頼る。串カツ田中は店数が少し増え、客単価が物価並みに上がる。ただし人件費の上昇を価格で吸収できるかが、利益率を左右する。競合は居酒屋の大手、回転寿司、ファミリーレストランと幅広く、業態の垣根は低い。
資本政策と M&A
配当は年1回の期末払いで、2025年11月期の総額は約1.4億円だった。配当性向は2割前後と低い。自己資本の厚みを借金の返済に回す局面が続くので、増配は急がない。
株主優待は、串カツ田中で使える電子の食事割引券で、100株で年に4枚をもらえる。2026年5月から権利確定が年2回になり、優待の価値は倍になった。会社の費用は原価ベースで年0.5億円ほどと見込み、これも株主への還元に数える。
買収は積極的だ。2025年12月にピソラを約95億円で取得し、売上は5割以上増える見込みだ。資金は銀行借入と、ピソラの株主などへの第三者割当で賄った。のれんは87億円ほどで、自己資本70億円を上回る。のれんの償却と、うまくいかなかった場合の減損が、利益と自己資本を削る。
店舗は賃借が基本で、差入保証金を入れている。家賃は年25億円前後、残りの契約を8年と見て、家賃の約束は200億円近い。借金と合わせた負担は、利益に対して重い。
政策保有株はない。kabufuの試算では10年以内の買収・TOBの確率は16%。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
串カツ田中は、無限ニンニクホルモン串のようなヒット商品で客数を伸ばし、2025年11月期は売上が25%増えた。加盟店制度で店を増やせるので、資本のかからない成長が続く。会社の長期目標は全国1,000店だ。
ピソラは、ロードサイドのイタリアンで、串カツ田中と別の客層を取れる。買収後の統合が進めば、仕入れと管理の効率化で利益率が上がる。ピソラの創業者が株主になる増資も、経営の一体感を強める。
新業態の天のめしや厚とん、ザ・メンチは、インバウンドと海外店で伸びる余地がある。ロサンゼルスでのとんかつ店の出店は、その試金石だ。
社名を変えて、串カツ田中への依存から抜け出す姿勢は評価できる。ブランドを複数持つ会社は、景気の波に強くなる。ROEが高く、成長への投資が回れば、評価は大きく伸びる。加盟店の比率が高く、資本をあまり使わずに店が増えるのも強みで、増えた店が利益を積み上げれば、のれんの重さは薄れていく。
慎重な見方
買収の値段が高すぎる。ピソラは営業利益が約2億円で、約95億円を払った。87億円ののれんは、自己資本そのものを上回り、事業が計画に届かなければ減損で消える。借金は10年かけても返せるかが怪しく、金利は上がる。
串カツ田中は、居酒屋の客数に左右され、店の伸びは鈍っている。「脱・串カツ田中」を宣言した背景には、主力の成長の限界がある。
ピソラが属するロードサイドのレストラン市場は、サイゼリヤやガストなど規模の大きい相手が強く、価格競争も激しい。人件費は2025年12月に約7.5%上がり、利益率を削る。
過去には、コロナ禍で2期連続の赤字を出し、自己資本が6割近く減った。経営の失敗に耐える余力は、実は薄い。借金が増えた今、同じことが起きれば、財務は一気に苦しくなる。家賃という固定費が重く、売上が落ちる局面で利益が急に消える会社だ。株主優待の拡充も、将来の負担になる。会社の言う多角化は、裏を返せば主力が伸び悩んでいる証拠でもある。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方がやや強い。新業態と海外の広がりは本物だが、買収額が利益の40倍という点は、数字が語る事実だ。のれんと借金が自己資本に比べて重く、家賃も固定費として残る。確率は中立に33%を置き、強気側の合計を25%、慎重側の合計を42%とした。強気の言い分は10年の間に何度も試され、一度でもつまずけば減損が襲うからである。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/11 期)
確率で加重した株価時価総額 2,028 円220 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 260 円28 億円)。 今の値に割り戻すと 1,130 円123 億円、今との差 −42.8%、 期待の年率 +1.5%(資本コスト 7.9%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 6,155 円667 億円 | 627 円68 億円 | +243.4% | +13.1% | 475 円51 億円 |
| やや楽観 | 18% | 3,815 円414 億円 | 433 円47 億円 | +115.1% | +8.0% | 765 円83 億円 |
| 中立 | 33% | 2,414 円262 億円 | 304 円33 億円 | +37.7% | +3.2% | 897 円97 億円 |
| やや悲観 | 28% | 322 円35 億円 | 120 円13 億円 | −77.6% | −13.9% | 124 円13 億円 |
| 悲観 | 14% | 166 円18 億円 | 28 円3 億円 | −90.2% | −20.7% | 27 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,028 円220 億円 | 260 円28 億円 | +15.8% | +1.5% | 2,288 円248 億円 |
今の株価時価総額 1,975 円214 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.9% を下回るほど割高。
楽観 7% 串カツ田中が1,000店へ向かい、新業態・海外も軌道に乗る 利益 35 億円 · PER 18.7 倍 · 株価時価総額 6,155 円667 億円
串カツ田中は店が450まで増え、新業態の厚とんやメンチの店がFCで広がる。客単価は物価を上回って伸びる。ピソラは統合の効果で仕入れと管理が効率化され、店数が105まで増える。海外は天のめしやとんかつが成功し、新業態・海外の店は70に達する。営業利益率は連結で7.1%まで上がり、コロナ前の7%台に戻る。借金は10年で返し終わり、配当性向は3割に上がる。ただし、人件費の上昇が価格で吸収でき、買収ののれんが減損しないことが前提だ。海外の新業態は、為替が円安の間は日本人観光客と現地の客の双方を取り込む。M&Aは、この後も年に1件程度のペースで続く。
- 串カツ田中:数量 450(店舗数(直営+FC、店))× 価格 81(1店あたり本部売上(百万円。直営店の売上とFCへの供給・ロイヤルティの合計))→ 売上 365 億円・営業利益 35 億円。利益率9.5%
- ピソラ:数量 105(店舗数(直営+FC、店))× 価格 261(1店あたり売上(百万円))→ 売上 274 億円・営業利益 16 億円。利益率6.0%
- 新業態・海外:数量 70.0(店舗数(店))× 価格 246(1店あたり売上(百万円))→ 売上 172 億円・営業利益 15 億円。利益率8.5%
- 内装工事・ハウスミール他:数量 60.0(案件数(件))× 価格 13(1件あたり売上(百万円))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。利益率5.0%
倍率:事業の純利益 35 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 20.8% が k 7.85% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 14.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.7 倍。全体の PER 18.71 倍、時価総額 647 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:串カツ田中の店の伸びが再び加速し、ピソラの統合が計画以上に進み、海外でも成功する必要がある。条件が重なる重い筋書きなので7%。
やや楽観 18% 串カツ田中が緩やかに伸び、ピソラの統合が進む 利益 23 億円 · PER 17.5 倍 · 株価時価総額 3,815 円414 億円
串カツ田中は店が410に増え、客単価も物価を少し上回る。ピソラは統合が進んで利益率が5%まで上がり、店が90に増える。新業態も45店まで増え、利益に貢献し始める。ヒット商品と加盟店の拡大が続き、既存店の客数は前年を上回る。海外の店も、ハワイやシンガポールで安定して黒字になる。営業利益率は連結で5.8%となり、コロナ前の水準に近づく。のれんの償却は続くが、減損は起きない。借金は10年で返し、配当性向は3割になる。出店は直営より加盟店が中心で、投資の負担が小さく、ROEは10%台半ばを保つ。海外の店も黒字化する。ヒット商品が続き、客数は前年を上回る。新しい店は立ち上がりが早く、閉店は少ない。
- 串カツ田中:数量 410(店舗数(直営+FC、店))× 価格 79(1店あたり本部売上(百万円。直営店の売上とFCへの供給・ロイヤルティの合計))→ 売上 323 億円・営業利益 29 億円。利益率8.8%
- ピソラ:数量 90.0(店舗数(直営+FC、店))× 価格 248(1店あたり売上(百万円))→ 売上 224 億円・営業利益 11 億円。利益率5.0%
- 新業態・海外:数量 45.0(店舗数(店))× 価格 235(1店あたり売上(百万円))→ 売上 106 億円・営業利益 7 億円。利益率6.5%
- 内装工事・ハウスミール他:数量 60.0(案件数(件))× 価格 13(1件あたり売上(百万円))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。利益率5.0%
倍率:事業の純利益 23 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 16.6% が k 7.85% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.5 倍。全体の PER 17.48 倍、時価総額 397 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:串カツ田中のヒット商品と加盟店の拡大は、すでに数字に出ている。ピソラの統合も無理なく進む上位寄りの想定で、2割弱。
中立 33% 店数は緩やかに増え、のれんの重荷を背負いながら伸びる 利益 15 億円 · PER 16.1 倍 · 株価時価総額 2,414 円262 億円
串カツ田中は店が380に増え、客単価は物価並みに上がる。人件費の上昇で利益率は8%に下がる。ピソラは店が80に増えるが、競争が厳しく利益率は4%にとどまる。新業態と海外は店が30まで増え、利益率は5%に届く。ハウスミールは譲渡で無くなり、内装も小さくなる。営業利益率は連結で4.7%、のれんの償却と本社費で営業利益から8億円が消える。借金は10年かけて返し、利払いと税の負担で純利益は営業利益の6割に届かない。配当性向は28%で、優待は年0.5億円を続ける。海外と新業態は成長の柱になりきれず、串カツ田中とピソラの二本立てが続く。ブランドの老朽化に備えた改装の費用が、毎年じわじわと利益を削る。
- 串カツ田中:数量 380(店舗数(直営+FC、店))× 価格 77(1店あたり本部売上(百万円。直営店の売上とFCへの供給・ロイヤルティの合計))→ 売上 291 億円・営業利益 23 億円。利益率8.0%
- ピソラ:数量 80.0(店舗数(直営+FC、店))× 価格 241(1店あたり売上(百万円))→ 売上 193 億円・営業利益 8 億円。利益率4.0%
- 新業態・海外:数量 30.0(店舗数(店))× 価格 223(1店あたり売上(百万円))→ 売上 67 億円・営業利益 3 億円。利益率5.0%
- 内装工事・ハウスミール他:数量 55.0(案件数(件))× 価格 13(1件あたり売上(百万円))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。利益率5.0%
倍率:事業の純利益 15 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.1% が k 7.85% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.1 倍。全体の PER 16.08 倍、時価総額 246 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:串カツ田中の伸びの鈍化とピソラの低い利益率が相殺する、買収後の実力どおりの落としどころ。最も厚く置く。
やや悲観 28% 串カツ田中の伸びが止まり、ピソラは競争に苦戦する 利益 3 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 322 円35 億円
串カツ田中は店が320に減り、人件費の上昇と客数の減少で利益率が5%に下がる。ピソラは大手との競争で利益率が2%に落ち、店も62に減る。新業態は半数が撤退して14店にとどまる。営業利益率は連結で1.6%まで落ち、家賃という固定費が売上の減少に追いつかない。借金の返済は遅れ、利払いが利益を食う。のれんの一部を減損し、配当性向は2割台に下がるが、優待は続ける。人件費の上昇を価格に転嫁しきれず、アルバイトの確保にも苦しみ、営業時間を短縮する店も出る。株主の期待と実績の差が開く。借入の金利が上がり、利払いも重くのしかかる。
- 串カツ田中:数量 320(店舗数(直営+FC、店))× 価格 74(1店あたり本部売上(百万円。直営店の売上とFCへの供給・ロイヤルティの合計))→ 売上 238 億円・営業利益 12 億円。利益率5.0%
- ピソラ:数量 62.0(店舗数(直営+FC、店))× 価格 230(1店あたり売上(百万円))→ 売上 143 億円・営業利益 3 億円。利益率2.0%
- 新業態・海外:数量 14.0(店舗数(店))× 価格 208(1店あたり売上(百万円))→ 売上 29 億円・営業利益 0 億円。利益率0.0%
- 内装工事・ハウスミール他:数量 45.0(案件数(件))× 価格 13(1件あたり売上(百万円))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。利益率3.0%
倍率:事業のROEは約3%でk以下なのでPERは1÷k=10.8倍が上限。ためた利益は額面未満の価値と見て、上限の74%の8.0倍に置く。
確率:外食は人件費の上昇と客数の波が続く。串カツ田中は店の伸びが止まり、ピソラも大手との競争が強い。確率は中立に次ぐ高さで置く。
悲観 14% 買収が裏目に出てのれんが消え、家賃が重くのしかかる 利益 −3 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 166 円18 億円
串カツ田中は居酒屋の客数減少で店が230に減り、ピソラは大手に敗れて店が45に減る。海外と新業態は撤退が相次ぐ。売上が3割減っても家賃は同じ割合では減らず、営業利益は赤字になる。のれんの半分近い44億円を減損し、自己資本は半分になる。借金は返済が遅れ、利払いの負担が重くなる。配当は無配に近づき、優待を縮小する。清算されない限り、少数株主は事業の再建を待つしかない。ブランド力が落ちれば、加盟店の離脱も起きる。再建のために、店の閉鎖と人員の縮小が続く。金融機関との借入条件の見直しも避けられず、新規の出店はほぼ止まる。再建のために、店の閉鎖と人員の縮小が続く。
- 串カツ田中:数量 230(店舗数(直営+FC、店))× 価格 67(1店あたり本部売上(百万円。直営店の売上とFCへの供給・ロイヤルティの合計))→ 売上 155 億円・営業利益 3 億円。利益率2.0%
- ピソラ:数量 45.0(店舗数(直営+FC、店))× 価格 207(1店あたり売上(百万円))→ 売上 93 億円・営業利益 −1 億円。利益率-1.0%
- 新業態・海外:数量 5.0(店舗数(店))× 価格 183(1店あたり売上(百万円))→ 売上 9 億円・営業利益 −1 億円。利益率-5.0%
- 内装工事・ハウスミール他:数量 30.0(案件数(件))× 価格 12(1件あたり売上(百万円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。利益率0.0%
倍率:赤字なのでPBRで置く。のれんの半分を減損した後の自己資本36億円に、再建の途上で稼ぐ力が弱い事業として0.5倍。
確率:高値買収の失敗、串カツ田中の衰退、人件費の上昇が同時に起きる複合の筋書き。コロナ禍で2期連続赤字だった実績から14%と厚めに置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
串カツ田中
串カツ居酒屋チェーン。直営とフランチャイズの合計で約350店。
| 数量店舗数(直営+FC、店) | 価格1店あたり本部売上(百万円。直営店の売上とFCへの供給・ロイヤルティの合計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/11 | 350 | 57 | 200 | 17 |
| 10 年後 中立 | 380 | 77 | 291 | 23 |
取り方:2026年11月期の連結売上の予想(約361億円)のうち、串カツ田中を約200億円と置き、店数350で割った。直営売上とFCの供給・ロイヤルティを合わせた本部売上で、内訳は開示が無く推定。営業利益は本社費とのれん償却の前の推定値。
ピソラ
滋賀県草津市のイタリアンのファミリーレストラン。生パスタと窯焼きピザ。2025年12月に子会社化。
| 数量店舗数(直営+FC、店) | 価格1店あたり売上(百万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/11 | 65.0 | 180 | 117 | 4 |
| 10 年後 中立 | 80.0 | 241 | 193 | 8 |
取り方:2026年11月期第1四半期の売上29.07億円を年換算し、約117億円。店数は2026年2月末の67店に近い約65店とした。営業利益は買収前の約2.4億円に改善を見込み、のれん償却の前で約4億円と推定。
新業態・海外
天のめし、鳥玉、くるとん、厚とんなどの新業態と、ハワイ・シンガポール・ロサンゼルスなどの海外店。
| 数量店舗数(店) | 価格1店あたり売上(百万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/11 | 15.0 | 167 | 25 | −1 |
| 10 年後 中立 | 30.0 | 223 | 67 | 3 |
取り方:新業態と海外の店を約15店とし、売上を約25億円と置いて割った。店ごとの売上は開示が無く、客単価の高い天のめしなどを含めた推定。立ち上げ費用で営業利益は赤字に近い。
内装工事・ハウスミール他
子会社の内装工事、惣菜宅配のハウスミール事業(2026年11月末に譲渡予定)。
| 数量案件数(件) | 価格1件あたり売上(百万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/11 | 190 | 10 | 19 | 1 |
| 10 年後 中立 | 55.0 | 13 | 7 | 0 |
取り方:内装工事と惣菜宅配の売上の合計を約19億円と置き、案件数に換算した推定。ハウスミールは譲渡後に無くなる。
リスクと懸念
買収ののれんの減損
ピソラの買収額は約95億円で、のれんは87億円ほど残る。自己資本そのものを上回り、計画に届かなければ減損で自己資本が一気に減る。借金の返済が遅れる悪循環も起きる。
借金の増加と金利
買収後の借金が増え、自己資本比率は42%から30%に下がった。借り換えの金利は3.5%前後に上がると見られ、利払いが利益を削る。
家賃という固定費
店は賃借が基本で、家賃は年25億円前後と見られる。売上が落ちても家賃は同じ割合では減らない。新リース会計基準で2028年11月期から、借金が増えたように見える。
人件費の上昇
2025年12月に約7.5%の賃上げを行った。最低賃金の上昇とアルバイト不足が続き、店の運営費は年3〜5%で増える。価格転嫁の限界が利益率を決める。
串カツ田中への依存
売上の6割弱、利益の大半を串カツ田中が稼ぐ。居酒屋の客数減少、食中毒などでブランドが傷つけば、全体に及ぶ。
ピソラの統合
約65店のロードサイド店は、串カツ田中と客層も運営も異なる。統合が遅れれば、仕入れと管理の効率化は進まず、利益率は上がらない。
優待の拡充
2026年5月から優待が年2回になり、価値は倍になった。会社の費用は年0.5億円ほどと見るが、利益が減る局面でも続ける約束になる。
今後の分かれ目
- ピソラの営業利益率が2期連続で5%を超えたら
- 統合の成果が確かめられ、やや楽観側に確率を寄せる。
- ピソラやのれんの減損を計上したら
- 買収の失敗が明らかになる。やや悲観・悲観側に確率を寄せる。
- 串カツ田中の既存店売上が2期連続で前年を割ったら
- 主力の限界が明らかになる。やや悲観側に確率を寄せる。
- 借入が計画より早く減り、自己資本比率が40%を回復したら
- 財務の不安が薄れ、借金の評価を緩められる。
- 海外や新業態で、複数の店が撤退したら
- 多角化の成功確率を下げ、中立の店数を減らす。
- 最低賃金や社会保険の負担が想定を超えて上がったら
- 全社の利益率を下げ、悲観側の確率を上げる。
見ておくもの
- 串カツ田中の既存店売上と客単価
- ピソラの売上・営業利益率
- 純有利子負債とEBITDAの比
- のれんの減損の有無
- 店の純増数と海外・新業態の撤退
倍率と資本コストの決め方
倍率は正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)を、事業のROEと普通の堀(残る割合1/2)から出した上限の97〜92%に置いた。今の株価は見ていない。2026年11月期の予想(買収後)を基点にし、買収前の2025年11月期の数字を使わなかった。新リース会計基準(2028年11月期から)で家賃が借金として載るが、10年後の数字は家賃を費用に入れた今の形でそろえた。優待の原価は年0.5億円と推定した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12→18.71 倍・やや楽観 PER 11.3→17.48 倍・中立 PER 11→16.08 倍)。
資本コスト 7.9% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にqualityを足した(決まり v2)。個別の事業リスクは筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.30% → 7.85%。