結論
Trailhead Global Holdings は、福岡県筑豊で生まれた「山小屋」ラーメンのフランチャイズを土台に、焼肉、寿司居酒屋、バーガー、IT の会社を次々と買い集める会社だ。筆者の結論ははっきりしている。今の時価総額は、この会社が 10 年で稼げる力の 3 倍を超える。
理由は単純だ。会社は 2027 年 3 月期に売上を 2 倍の 36 億円に伸ばすと見込むが、純利益は 0.5 億円にとどまる。買った会社を足しても、稼ぐ力はほとんど増えていない。ラーメンの事業は 10 年以上かけて売上が細り、赤字の年が続いた。
買収で大きくなる会社は、買った値段以上の稼ぎを生めるかがすべてだ。この会社はまだ、その実績を 1 度も示していない。筆者は、今の値段は「総合飲食の会社に化ける」という物語を先に払っていると見る。
良い点もある。借金は軽く、加盟店の仕組みは資本をあまり使わない。だが、それだけでは今の値段を説明できない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「良い事業を買う会社」ではなく「事業を買うこと自体が事業の会社」に見える。持ち続けたい理由はまだ見つからない。
山小屋のフランチャイズは、資本が要らない形としては悪くない。だが 10 年以上、売上が細り利益を残してこなかった。そこに焼肉、寿司、バーガー、IT を足しても、1 つ 1 つが小さく、互いを強める仕組みも見えない。
買収で育つ会社を評価するなら、買った値段と、その後に生んだ現金を比べる。この会社には、まだ比べる材料が無い。筆者は、利益の 3 倍近い年数分の値段を先に払う理由を見つけられない。優待は手厚いが、それは事業の強さではない。
筆者が見たいのは、買った会社の利益が 2〜3 年で積み上がり、のれんの償却を上回って現金を残す姿だ。それが見えれば評価は変わる。
何で稼ぐ会社か
事業の柱は 3 つある。1 つ目は飲食だ。「筑豊ラーメン山小屋」「ばさらか」などのラーメン店を 113 店持ち、そのうち 73 店は加盟店、22 店は海外にある。加盟店からはロイヤルティと食材の卸で稼ぐ。2025 年からは焼肉の「やっぱ。」、寿司居酒屋、バーガーの会社を買い、直営の店を増やした。
2 つ目は IT だ。2026 年 4 月に、システム開発の支援と IT のコンサルを手がける SBWorks を買った。売上は 7 億円弱で、店の次の姿を作る中核と会社は位置づける。ただ、中身は技術者の時間を売る受託の仕事だ。
3 つ目は、温泉施設「ふじ湯の里」の運営の受託と、小さな賃貸だ。
会社は「多様なジャンルを取り込む総合飲食の基盤」を目指すと掲げ、売上と EBITDA を重い指標に置く。買収の資金は、新株予約権の行使と銀行借入で集めてきた。利益剰余金はまだマイナスで、2026 年 3 月期は無配だった。
売上の 7 割強は飲食で、IT が 2 割、温泉と賃貸が残りを占める。会社全体の人員は 245 人で、買収のたびに増えている。買収の値段はほとんど公表されていない。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは薄い。山小屋は 1970 年創業の古い屋号で、九州では名前が通る。だが豚骨ラーメンは店の数が無数にあり、加盟店も減ってきた。過去 10 年で売上は 19 億円から 13 億円まで細り、赤字の年が 8 回ある。
買い集めた焼肉、寿司、バーガーは、どれも小さなブランドだ。仕入れや人の採用で規模の利点が出るほど大きくはない。IT の会社は、ラーメンとは客も稼ぎ方も違う。
資本効率も低い。ROE の中央値はマイナスで、2026 年 3 月期も 3% だ。経営は買収で売上を大きく見せることに力を入れており、投じたお金がどれだけ稼ぐかはまだ見えない。良い点は、借金が軽く、D/E を 0.5 倍までに抑えると自ら決めていることだ。
のれんは 4 億円余りあり、買った会社が稼がなければ自己資本を削る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
外食は、人件費と食材の値上がりを値段に乗せられるかで勝ち負けが分かれる。大手の回転寿司や牛丼は、自動化と大量の仕入れで値上げを吸収する。小さなチェーンには、その道具が無い。豚骨ラーメンは 1 杯の値段が大台に乗り、客の財布との綱引きが続く。
加盟店の仕組みは資本が要らない良い形だが、加盟店のオーナーも人手不足と値上がりに苦しむ。店を閉める加盟店が増えれば、ロイヤルティも食材の卸も減る。山小屋の加盟店が減ってきたのは、この流れの表れだ。
中小の外食の会社は後継ぎ難で売りに出やすく、買い手には案件が多い。だからこそ値段は上がりやすく、安く買うのは難しい。IT の受託は、AI エージェントが技術者の時間を置き換える流れの真ん中にいる。人の時間を売る仕事は、10 年で量が細ると筆者は見る。
この会社がいる九州の地方都市は、人口が減る地域でもある。店の数を保つだけでも、人を集める費用が年々重くなる。海外の豚骨ラーメンの人気は追い風だが、海外の 22 店は現地の加盟店が営み、この会社に入るのはロイヤルティの一部にすぎない。
資本政策と M&A
配当は 2027 年 3 月期に再開する予定で、総額は年 0.75 億円ほどになる。会社の純利益の見込みは 0.5 億円で、利益を上回る配当になる。
株主優待は厚い。2,500 株以上を 1 年以上持つ株主に、年 2 回のポイントと 3 月の QUO カードを出す。会社は費用を開示していないが、筆者は会社の負担を年 0.5 億円前後と推定し、株主への還元に数えた。業績が悪くなれば縮められやすい。
買収の資金は、新株予約権の行使で 4 億円余りを集め、残りは借入で賄った。D/E は 0.5 倍までと決めている。今後も買収を続けるなら、増資で株が増える道もある。
大株主の顔ぶれと持株比率は、この会社を見るうえで今後の確かめどころになる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
会社は変わり始めた。2027 年 3 月期の売上は 2 倍の 36 億円、調整後の EBITDA は 2.5 億円を見込む。1Q も営業黒字に戻った。買収した焼肉、寿司、バーガーが通年で効き、来年はさらに上積みが出る。
中小の外食は後継ぎ難で売りに出る会社が多く、買い手には案件が尽きない。この会社は D/E を 0.5 倍までに抑えながら、小さな会社を手ごろな値段で買い集められる。10 年で店が 1.5 倍になっても不思議ではない。
IT の SBWorks は、店の注文や人の配置を AI で軽くする道具を作れる。外食の人手不足を技術で埋められれば、買った店の利益率は上がる。
山小屋のフランチャイズは海外に 22 店あり、豚骨ラーメンは海外で人気が高い。加盟店の仕組みは資本が要らず、海外で伸びれば利益率は高い。
優待も厚く、長く持つ個人株主がつきやすい。株価が安定すれば、増資での買収もしやすくなる。
慎重な見方
売上を 2 倍にしても、純利益の見込みは 0.5 億円だ。買った会社を足しても稼ぐ力が増えていない。買収の仲介とのれんの償却が利益を食い、買った値段に見合う稼ぎは出ていない。
山小屋は 10 年以上かけて売上が 3 割細り、赤字の年が 8 回あった。加盟店のオーナーも人手不足と値上がりに苦しみ、店は減る方向だ。本業が細るのを買収で隠している、と見ることもできる。
買い集めた焼肉、寿司、バーガー、IT は、客も稼ぎ方もばらばらだ。束ねても仕入れや採用で規模の利点は出にくい。IT の受託は、AI エージェントが技術者の仕事を置き換える流れの真ん中にいる。
配当は利益を上回り、優待も年 0.5 億円前後の負担とみられる。業績が崩れれば、まず優待と配当が削られる。買収を続けるなら、新株予約権で株が増える。のれんが傷めば、減損で自己資本も削られる。
総合外食を名乗っても、今は小さな店の寄せ集めだ。買収の値段も多くが公表されず、株主は高く買ったのか安く買ったのかを確かめられない。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。売上を倍にしても利益がほとんど増えていないことは、会社の見込みそのものが示している。本業のラーメンが細ってきた実績も重い。確率はやや悲観と悲観を厚くした。買った会社を含めて営業利益率が 2 期続けて 5% を超え、のれんに見合う稼ぎが見えれば、確率を楽観の側へ移す。反対に、のれんの減損や優待の縮小が出れば、悲観の側をさらに厚くする。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 27 円10 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 28 円10 億円)。 今の値に割り戻すと 30 円11 億円、今との差 −64.8%、 期待の年率 −4.3%(資本コスト 8.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 71 円26 億円 | 40 円15 億円 | +30.3% | +2.7% | 8 円3 億円 |
| やや楽観 | 18% | 43 円16 億円 | 35 円13 億円 | −8.8% | −0.9% | 14 円5 億円 |
| 中立 | 40% | 25 円10 億円 | 32 円12 億円 | −32.2% | −3.8% | 23 円9 億円 |
| やや悲観 | 23% | 13 円5 億円 | 21 円8 億円 | −59.6% | −8.7% | 8 円3 億円 |
| 悲観 | 12% | 7 円3 億円 | 9 円4 億円 | −81.1% | −15.3% | 2 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 27 円10 億円 | 28 円10 億円 | −35.8% | −4.3% | 55 円20 億円 |
今の株価時価総額 85 円32 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 7% 楽観:買収が実を結び、190 店・営業利益率 7% の総合外食に 利益 2 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 71 円26 億円
買収は続き、店は 190 店に増える。後継ぎのいない中小の外食を手ごろな値段で買い、仕入れと採用をまとめて利益率を 7% に乗せる。値上げも物価並みに通り、1 店あたりの売上は 1.38 倍になる。海外の山小屋も伸びる。
IT の会社は、店の注文と人の配置を AI で軽くする道具を作り、外の客にも売る。人の時間を売る仕事は細るが、利益率は 6% に上がる。
純利益は 2.3 億円になり、ROE は 9% 近くまで上がる。配当は年 1 億円に増え、優待も続く。10 年の還元は配当と優待で 15 億円になる。
- 飲食(ラーメンの加盟店・直営、焼肉・寿司・バーガー):数量 192(店舗数(加盟店・海外を含む、店))× 価格 0.31(1 店あたりの売上(億円。加盟店はロイヤルティと食材の卸))→ 売上 60 億円・営業利益 4 億円。店 1.6 倍、1 店 1.38 倍
- IT(SBWorks のシステム開発支援・コンサル):数量 45.0(技術者の人数(人、推定))× 価格 0.19(1 人あたりの年の売上(億円))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。人 0.9 倍、1 人 1.35 倍
- その他(温泉の運営受託・賃貸):数量 1.0(受託・賃貸の施設(件))× 価格 2.76(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。1.38 倍
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.7% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 26 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:買収を続けて店が 1.6 倍になり、利益率も上がる筋書き。買収で利益を伸ばした実績はまだ無く、1 割に届かない。
やや楽観 18% やや楽観:店は 150 店、営業利益率 6% 利益 1 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 43 円16 億円
買収は年 1〜2 件のペースで続き、店は 150 店に増える。値上げは物価並みに通り、1 店あたりの売上は 1.34 倍になる。仕入れの一本化で、飲食の利益率は 6% に上がる。
IT の会社は、人の時間を売る仕事が AI エージェントに置き換わり、技術者は 4 分の 3 に減る。利益率は 4.5% を保つ。本社の費用は物価で増えるが、のれんの償却は買った時の値段のままだ。
純利益は 1.4 億円で、ROE は 6% 弱になる。配当は年 0.8 億円ほど続き、優待も続く。10 年の還元は 13 億円だ。
- 飲食(ラーメンの加盟店・直営、焼肉・寿司・バーガー):数量 150(店舗数(加盟店・海外を含む、店))× 価格 0.30(1 店あたりの売上(億円。加盟店はロイヤルティと食材の卸))→ 売上 45 億円・営業利益 3 億円。店 1.25 倍、1 店 1.34 倍
- IT(SBWorks のシステム開発支援・コンサル):数量 37.5(技術者の人数(人、推定))× 価格 0.18(1 人あたりの年の売上(億円))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。人 0.75 倍(AI 代替)、1 人 1.25 倍
- その他(温泉の運営受託・賃貸):数量 1.0(受託・賃貸の施設(件))× 価格 2.68(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。1.34 倍
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.8% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 16 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の 2027 年 3 月期の見込みが実り、買収した店の利益率が少し上がる筋書き。1Q は営業黒字に戻ったが、通年の実績はまだ無く 2 割弱に置いた。
中立 40% 中立:ラーメンは細り、買った店で埋める。純利益は 1 億円未満 利益 1 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 25 円10 億円
山小屋の加盟店は少しずつ減るが、買収した店で埋め、店の数は 126 店とわずかに増える。値上げは物価よりやや鈍く、1 店あたりの売上は 1.30 倍になる。人件費と食材の値上がりに追われ、利益率は 5% にとどまる。
IT の受託は AI エージェントに仕事を取られ、技術者は 3 分の 2 に減る。利益率は 3% に下がる。本社の費用は物価で 1.34 倍になるが、のれんの償却は増えない。
純利益は 0.8 億円で、ROE は 4% にとどまる。配当は年 0.7 億円ほどで利益とほぼ同じだ。優待も年 0.5 億円の負担で続き、10 年の還元は 12 億円になる。優待の費用は利益から引き済みで、還元にはその受け取りの分を足した。
- 飲食(ラーメンの加盟店・直営、焼肉・寿司・バーガー):数量 126(店舗数(加盟店・海外を含む、店))× 価格 0.29(1 店あたりの売上(億円。加盟店はロイヤルティと食材の卸))→ 売上 37 億円・営業利益 2 億円。店 1.05 倍、1 店 1.30 倍
- IT(SBWorks のシステム開発支援・コンサル):数量 32.5(技術者の人数(人、推定))× 価格 0.18(1 人あたりの年の売上(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。人 0.65 倍(AI 代替)、1 人 1.25 倍
- その他(温泉の運営受託・賃貸):数量 1.0(受託・賃貸の施設(件))× 価格 2.68(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。1.34 倍
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.8% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 10 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ラーメンの加盟店が細るのを買収した店で埋め、利益率は外食の小さなチェーンの並みにとどまる姿。過去の実績と会社の見込みの間に置き、一番厚くした。
やや悲観 23% やや悲観:加盟店が減り、買った店も伸びず利益が消える 利益 0 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 13 円5 億円
山小屋の加盟店は人手不足で閉店が続き、買収した店も伸びない。店は 102 店に減る。値上げは客離れを招き、1 店あたりの売上は 1.2 倍にとどまる。家賃と人件費は落ちず、利益率は 2.5% に沈む。
IT の受託は AI エージェントに仕事を取られて半分になり、赤字に落ちる。のれんの償却と本社の費用が残り、会社全体はわずかな赤字になる。
配当は途中で止まり、優待も縮む。赤字の会社に PER は付かない。価値は、店の設備と保証金など売れる資産で測る。のれんはここでは数えない。
配当と優待は前半に払われ、還元の合計は利益の合計を上回る。その差は手元の現金と借入で賄う。
- 飲食(ラーメンの加盟店・直営、焼肉・寿司・バーガー):数量 102(店舗数(加盟店・海外を含む、店))× 価格 0.27(1 店あたりの売上(億円。加盟店はロイヤルティと食材の卸))→ 売上 28 億円・営業利益 1 億円。店 0.85 倍、1 店 1.2 倍
- IT(SBWorks のシステム開発支援・コンサル):数量 25.0(技術者の人数(人、推定))× 価格 0.16(1 人あたりの年の売上(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。人 0.5 倍、赤字
- その他(温泉の運営受託・賃貸):数量 1.0(受託・賃貸の施設(件))× 価格 2.40(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。1.2 倍
倍率:PBR 0.231 倍を今の自己資本 21.65 億円に掛けた。稼ぐ力はほぼゼロで、価値は売れる資産の床 5 億円で測る。
確率:ラーメンの加盟店の減りが速まり、買収した店も人件費に押されて利益が出ない姿。過去 10 年の赤字の多さに根拠があり、楽観側より厚くした。
悲観 12% 悲観:買収が裏目に出て、のれんを損し赤字が続く 利益 −2 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 7 円3 億円
買収した店が人件費と食材の値上がりに耐えきれず、閉店が続く。店は 78 店に減り、利益率はマイナスに落ちる。家賃は売上が落ちても減らず、赤字を広げる。IT の会社も仕事が細り赤字になる。
純損失は年 1.5 億円になり、配当は早い時期に止まる。優待も縮む。赤字が続けば、のれんの減損で自己資本も削られる。借金は軽いが、増資で株を増やす道に頼りかねない。
価値は、借金を返した後に残る店の設備と保証金だけになる。
優待と配当は前半だけ払われ、利益を上回る分は手元の現金を取り崩す。店の閉店で保証金は戻るが、原状回復の費用がその多くを食う。
- 飲食(ラーメンの加盟店・直営、焼肉・寿司・バーガー):数量 78.0(店舗数(加盟店・海外を含む、店))× 価格 0.25(1 店あたりの売上(億円。加盟店はロイヤルティと食材の卸))→ 売上 19 億円・営業利益 −1 億円。店 0.65 倍、1 店 1.1 倍
- IT(SBWorks のシステム開発支援・コンサル):数量 20.0(技術者の人数(人、推定))× 価格 0.15(1 人あたりの年の売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。人 0.4 倍、赤字
- その他(温泉の運営受託・賃貸):数量 1.0(受託・賃貸の施設(件))× 価格 2.20(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。1.1 倍
倍率:PBR 0.115 倍を今の自己資本 21.65 億円に掛けた。赤字で稼ぐ力は無く、売れる資産の床 2.5 億円で測る。
確率:買った会社が稼がず、本業のラーメンも細る筋書き。2018〜2020 年 3 月期の赤字の実績があり、買収の失敗も重なりうるので 1 割を超えて置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
飲食(ラーメンの加盟店・直営、焼肉・寿司・バーガー)
山小屋などラーメン 113 店(加盟 73・海外 22)と、買収した焼肉・寿司居酒屋・バーガーの店。
| 数量店舗数(加盟店・海外を含む、店) | 価格1 店あたりの売上(億円。加盟店はロイヤルティと食材の卸) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2027/03 | 120 | 0.23 | 27 | 2 |
| 10 年後 中立 | 126 | 0.29 | 37 | 2 |
取り方:2026/03 期は買収先が期の途中から入ったので、2027/03 期の会社予想(売上 36 億・営業 1.36 億)から IT(SBWorks の実績 6.73 億)とその他を引いて推定した。店舗数は有報の 113 店に買収分を足した推定。利益は推定。
IT(SBWorks のシステム開発支援・コンサル)
2026 年 4 月に買ったシステム開発の支援と IT コンサルの会社。技術者の時間を売る受託。
| 数量技術者の人数(人、推定) | 価格1 人あたりの年の売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2027/03 | 50.0 | 0.14 | 7 | 0 |
| 10 年後 中立 | 32.5 | 0.18 | 6 | 0 |
取り方:SBWorks の 2026/02 期 売上 6.73 億・営業 0.23 億(M&A Online)を 2027/03 期の通年に。人数の開示は無く、1 人 0.14 億円として推定。人月の型で AI エージェント代替の対象。
その他(温泉の運営受託・賃貸)
温泉施設「ふじ湯の里」の運営の受託と小さな賃貸。
| 数量受託・賃貸の施設(件) | 価格1 件あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2027/03 | 1.0 | 2.00 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1.0 | 2.68 | 3 | 0 |
取り方:2026/03 期の運営受託 1.18 億・賃貸 0.35 億(有報)に、通年の伸びを足して 2 億円と推定。施設はまとめて 1 件とした。
リスクと懸念
買収の失敗
2025〜26 年に焼肉、寿司居酒屋、バーガー、IT の会社を立て続けに買った。売上は倍になる見込みだが、純利益の見込みは 0.5 億円にとどまる。買った値段に見合う稼ぎが出なければ、のれんの減損で自己資本が削られる。
ラーメンの加盟店の細り
山小屋の売上は 10 年以上かけて 3 割細った。加盟店のオーナーも人手不足と値上がりに苦しみ、閉店が続けばロイヤルティと食材の卸が減る。
AI エージェント代替
IT の SBWorks は技術者の時間を売る受託の会社で、売上の 2 割を占める。AI エージェントが開発の支援を置き換えれば、仕事の量は 10 年で大きく細る。
店舗の家賃
直営の店は家賃を払う固定の約束を抱える。売上が落ちても家賃は減らない。2028 年 3 月期から新リース会計基準で負債として載り、自己資本比率は下がって見える。
優待と配当の縮小
配当は利益を上回り、優待の負担も年 0.5 億円前後と推定される。業績が崩れれば、まず還元が削られ、個人株主が離れやすい。
株の希薄化
買収の資金は新株予約権の行使で集めてきた。買収を続けるなら、増資で株が増え、既存の株主の取り分が薄まる。
今後の分かれ目
- 買収した会社を含めて営業利益率が 2 期続けて 5% を超える
- 買収が稼ぎを生んでいるとみて、確率を楽観の側へ移す。
- のれんの減損を計上する
- やや悲観の確率を上げ、床の資産から のれんを外したまま見る。
- 山小屋の加盟店の数が 3 年続けて減る
- 中立の店の数を下げる。
- 優待の内容を縮める
- 還元に足す優待の額を減らす。
- 大型の増資で買収の資金を集める
- 株の増える分を取り分として下げ、買う会社の稼ぎと比べる。
見ておくもの
- 調整後 EBITDA と営業利益(2027 年 3 月期の会社予想 2.5 億・1.36 億)
- 山小屋の加盟店の数と海外の店
- のれんの残高と減損
- SBWorks の売上と利益
- 優待の内容
倍率と資本コストの決め方
倍率は ROE と k(9%)から決めた。どの筋書きも ROE が k に届かないので PER の上限は 1÷k=11.1 倍で、のれんで買った利益の質を見て 9〜10.5 倍に置いた。赤字の悲観側は売れる資産の床で測り、のれんは数えない。今の PBR 1.5 倍や PER は見ていない。優待は会社の負担の推定(年 0.5 億円)を還元に足した。新リース会計基準で 2028 年 3 月期から形が変わるが、10 年の数字は家賃を費用に入れた今の形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.5→11.43 倍・やや楽観 PER 10→11.43 倍・中立 PER 9→11.43 倍)。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% + quality 1.5% = 9.0%。同じ領域の済み会社は無い。