結論
マーケットエンタープライズは、店を持たずにネットで中古品を買い取って売るリユースと、WiMAX の回線を売るモバイル通信の二本で稼ぐ会社だ。筆者の結論は、今の値段はやや割高だ。中立の姿は魅力があるが、悲観の道が深い。
リユースは強くなった。農機具や中古車、家電など大きく高い品を出張で買い取り、ヤフオクなどに出品する。2026 年 6 月期のリユースの利益は 13.5 億円で、前の年より 3 割増えた。
足を引っぱるのはモバイル通信だ。新しい契約を取るたびに入る一括の収入に頼ってきたため、広告の効きが落ちた年や大口の解約が出た年に赤字に転じる。2026 年 6 月期は 3.6 億円の赤字で、全社の営業利益はほぼゼロになった。会社は 2026 年 10 月に月額料金を上げ、毎月の利用料で稼ぐ形へ切り替える。
自己資本は 13 億円と薄く、借入はほぼ短期だ。10 年の中立では、リユースが市場並みに育ち、モバイルが小さな黒字に落ち着いて、営業利益は 15 億円近くになる。中立なら価値は今の時価総額を大きく上回る。だがモバイルが崩れれば薄い資本はすぐ削られ、その重みを入れると価値は今の値段を 1 割半ほど下回る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「良い事業と難しい事業を一つの財布に入れた会社」だ。ネットのリユースは 10 年後も残る。大型の品を出張で買い取る仕組みは手間がかかるぶん、まねしにくい。家の片づけの需要は高齢化で増える。
一方、モバイル通信は持ち主にとって読みにくい。一括の奨励金と広告の費用の差で稼ぐので、利益が年ごとに大きく振れる。卸元が条件を変えれば、稼ぎ方そのものが崩れる。値上げで毎月の利用料の比重を上げる方針は正しいが、解約が増えるおそれもある。
オーナー利益は今は小さい。2026 年 6 月期の営業キャッシュフローはマイナスだった。リユースは設備がほとんど要らないので、モバイルが落ち着けば利益の多くが現金になる。
安全域は大きくない。自己資本は 13 億円と薄く、短い借入に頼る。中立の価値は今の値段を上回るが、悲観ではほとんど残らない。確率で均すと、値段に余裕は無い。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱はネット型のリユースで、売上は 132 億円あった。総合の買取サイト「高く売れるドットコム」を入口に、品目ごとに買取サイトを持つ。家電や楽器などの個人向けの品に加え、中古の農機具と中古車も扱う。年に 10 万件近くを、出張・宅配・持ち込みで買い取る。
売るのはヤフオク、楽天市場、メルカリなどへの同時の出品だ。個人同士の売り買いでは梱包や発送が難しい、大型で高額の品を主に扱う。会社が間に入って品質を確かめるので、買い手は安心して買える。売上の過半はヤフオク経由だ。
もう一つの柱がモバイル通信で、売上は 130 億円あった。65% を持つ子会社の MEモバイルが「カシモ」の名で WiMAX のデータ通信を売る。保有の回線は 15.8 万回線だ。収入は、新しい契約を取った時に一括で入る販売奨励金と、毎月の利用料の二つに分かれる。最大の販売先は回線の卸元の一つで、全社の売上の 14% を占める。
このほか、全国のリユース店と売りたい人をつなぐ「おいくら」を運営する。336 の自治体と組み、粗大ごみの代わりに中古として売る道をつくっている。
優良さと弱いところ
優良さは「中の下」と筆者は見る。リユースには小さな堀がある。店を持たずに出張で大型の品を買い取る仕組みは、店舗型の大手にもフリマアプリにもまねしにくい。買取の電話での受け答えに AI を使い、買い取れる割合も上がった。リユースの利益率は 10% を超え、店舗型の大手と比べても見劣りしない。
ただし全社では稼ぐ力が安定しない。過去 12 年の営業利益率は −2.7% から 6.0% まで振れ、赤字の年が 5 回ある。原因の多くはモバイル通信だ。広告で契約を取り、一括の収入で費用を回収する形は、広告の効きが落ちた年にすぐ赤字になる。
値決めの力は弱い。リユースの売値はヤフオクやメルカリの相場で決まり、モバイルの料金は大手の通信会社の安いプランと比べられる。モバイルは回線の卸元に頼り、自前の設備は無い。
資本の厚みも足りない。自己資本は 13 億円で、自己資本比率は 22% だ。借入 20 億円の多くは 1 年ごとに更新する融資枠で、純資産と営業利益の約束が付いている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のリユース市場は 15 年続けて伸び、2024 年に 3 兆 2,600 億円になった。物価が上がるほど中古を選ぶ人が増え、捨てるより売る意識も広がった。家に眠る使われない品は 90 兆円分あるとの試算もある。高齢化で実家を片づける需要も増える。
競争は品目と売り方で分かれる。店舗型ではブックオフ、ハードオフ、トレジャーファクトリーが大きい。ネットではメルカリなどのフリマアプリが最大の相手で、小さな品は個人同士の売り買いに流れる。会社は大型・高額の品と、出張での買取に狙いを絞っている。
モバイル通信は別の世界だ。WiMAX のような持ち運べるデータ通信は、大手の通信会社が自前で売り、格安のプランも多い。代理で売る会社は、広告で客を集めて回線を増やし、卸元から奨励金を受け取って稼ぐ。広告の費用と奨励金の条件は、卸元の方針で変わる。
筆者はリユースの買取件数が 10 年で 25% 増え、単価は物価並みの 1.34 倍と見る。モバイルは回線が 1 割減り、料金は値上げの分だけ上がる形を中立に置いた。
資本政策と M&A
資本の使い方は、これまで成長と立て直しが優先だった。配当は出しておらず、自社株買いもしていない。2028 年 6 月期以降、利益の伸びに合わせ、株主優待にかけている費用を配当に回す形で配当を始める計画だ。
株主優待の費用は年 1.4 億円ある。会社の費用として計上されており、筆者は株主への還元として数えた。中立では 10 年で約 14 億円を還元の合計に入れ、配当に置き換わった後も同じ程度が続くと見た。
借入は 20 億円で、うち 15 億円は 1 年ごとの融資枠だ。純資産と営業利益について銀行との約束があり、赤字が続けば条件を見直される。新株予約権の潜在株は 4% あり、役員と社員への報酬として出している。
モバイル通信の子会社は 65% しか持っていないので、その利益の 35% は他の株主のものになる。会社の目標は売上 500 億円から 1,000 億円だが、期限と利益の目標は示されていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
リユースは本物だ。2026 年 6 月期のセグメント利益は 3 割増の 13.5 億円で、利益率は 10% を超えた。AI で買取の電話の受け答えを磨き、買い取れる割合が上がっている。2027 年 6 月期には都心に初めての買取専門店を出し、仕入れの力を増やす。
市場の追い風も強い。物価が上がるほど中古が選ばれ、高齢化で実家の片づけも増える。大型で高額の品はフリマアプリでは売りにくく、出張で買い取る会社の出番だ。「おいくら」は 336 の自治体と組み、人口の半分をカバーした。
モバイルの赤字は一時のものだ。広告の効きが落ちた時期と、期末の大口の解約が重なっただけだ。2026 年 10 月の値上げで、毎月の利用料は年 9.7 億円増える見込みだ。会社は 2028 年 6 月期にモバイルの利益を 5 億円の水準に戻す計画だ。
両方がそろえば、営業利益は過去最高の 6 億円を大きく超える。自己資本が小さいので ROE は高くなり、配当も始まる。時価総額 61 億円は、リユースだけの価値にも届かない。
慎重な見方
この会社は何度も同じ失敗をしてきた。過去 12 年で赤字の年が 5 回あり、そのたびにモバイルや新しい事業の不振が原因だった。モバイルは広告で契約を買う商売で、広告の効きと卸元の奨励金しだいで利益が消える。値上げをすれば解約が増え、回線は減る。
WiMAX そのものも先細りの懸念がある。大手の通信会社は自前の安いプランやホームルーターを売り、代理の会社の取り分は細っていく。卸元が条件を変えれば、モバイルの稼ぎは一気に崩れる。
リユースも盤石ではない。売上の過半をヤフオクに頼り、相場が下がれば在庫の価値も落ちる。中古車と農機具は、海運や海外の事情で売れ行きが変わる。人手のかかる出張買取は、人件費の上昇がそのまま響く。
財務は薄い。自己資本は 13 億円しかなく、2026 年 6 月期には繰延税金資産を取り崩した。借入は 1 年ごとの融資枠で、赤字が続けば銀行との約束に触れる。配当は約束ではなく計画にすぎない。
どちらに重みを置いたか
リユースの強さは前向きな見方に分がある。利益は 3 割増え、市場も伸びている。一方、モバイルが繰り返し赤字を出してきた点は慎重な見方の勝ちで、値上げの結果はまだ見えない。中立に 36% を置き、楽観側に 32%、悲観側に 32% と、両側に広く振った。財務が薄いので、悲観の深さは大きくとった。リユースだけでも今の時価総額に近い稼ぎがあることが、値段の下支えになっている。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した株価時価総額 2,367 円127 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 238 円13 億円)。 今の値に割り戻すと 1,154 円62 億円、今との差 +1.7%、 期待の年率 +8.7%(資本コスト 9.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 5,228 円280 億円 | 504 円27 億円 | +405.0% | +17.6% | 573 円31 億円 |
| やや楽観 | 22% | 3,556 円190 億円 | 317 円17 億円 | +241.3% | +13.1% | 852 円46 億円 |
| 中立 | 36% | 2,649 円142 億円 | 224 円12 億円 | +153.1% | +9.7% | 1,034 円55 億円 |
| やや悲観 | 20% | 484 円26 億円 | 149 円8 億円 | −44.2% | −5.7% | 127 円7 億円 |
| 悲観 | 12% | 97 円5 億円 | 56 円3 億円 | −86.5% | −18.2% | 18 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,367 円127 億円 | 238 円13 億円 | +129.5% | +8.7% | 2,605 円139 億円 |
今の株価時価総額 1,135 円61 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 10% リユースが市場を上回って伸び、モバイルも毎月の利用料で安定する 利益 17 億円 · PER 15.3 倍 · 株価時価総額 5,228 円280 億円
物価高と高齢化で、家に眠る品が中古市場へ大量に出てくる。会社は都心の買取店と自治体の連携で仕入れを増やし、買取件数は 10 年で 1.5 倍になる。AI での受け答えと出品の自動化で、人手を増やさずに件数をこなせる。
モバイルは 2026 年 10 月の値上げが定着し、解約は一時で止まる。毎月の利用料で稼ぐ形に移り、広告に頼らずに回線が 2 割増える。利益率は 5% で安定する。
営業利益は 27 億円を超え、モバイルの子会社の他の株主の取り分を引いても純利益は 16 億円台になる。配当が始まり、優待の費用と合わせて利益の 3 割ほどを株主に戻す。ROE は 20% を超える。
- ネット型リユース:数量 14.7(年間の買取件数(万件))× 価格 18(1 件あたりの売上(万円))→ 売上 269 億円・営業利益 31 億円。件数 1.5 倍。都心の買取店と自治体の連携で仕入れが増える。単価は 1.36 倍
- モバイル通信:数量 18.0(期中平均の保有回線数(万回線))× 価格 10(1 回線あたりの年間売上(万円))→ 売上 187 億円・営業利益 9 億円。回線 2 割増。値上げが定着し 1 回線の年間売上は 1.20 倍
倍率:事業の純利益 17 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 63.0% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 36.0%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.3 倍。全体の PER 15.28 倍、時価総額 257 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:営業利益率 7.6% は過去の最高 6.0% を超える。リユースの伸びとモバイルの立て直しの両方がそろう必要があり 10%。
やや楽観 22% リユースが着実に伸び、モバイルは会社の計画どおり黒字に戻る 利益 12 億円 · PER 15.0 倍 · 株価時価総額 3,556 円190 億円
リユースは市場を少し上回って伸び、買取件数は 10 年で 35% 増える。都心の買取店が軌道に乗り、出張買取の人手は AI で補う。単価は物価並みに上がり、利益率は 10% 台を保つ。
モバイルは値上げの後に解約が出るが、2028 年 6 月期には回線が戻り始める。一括の奨励金に頼らない形に移り、利益率は 4.5% で落ち着く。回線は今より少し少ないが、稼ぎは安定する。
営業利益は 19 億円台になる。純利益は 11 億円台で、配当は優待の費用を置き換える形で始まる。自己資本は 60 億円まで厚くなり、ROE は 19% 台になる。
- ネット型リユース:数量 13.2(年間の買取件数(万件))× 価格 18(1 件あたりの売上(万円))→ 売上 238 億円・営業利益 25 億円。件数 1.35 倍。単価は物価並みの 1.34 倍
- モバイル通信:数量 14.6(期中平均の保有回線数(万回線))× 価格 10(1 回線あたりの年間売上(万円))→ 売上 148 億円・営業利益 7 億円。回線は 3% 減。値上げで 1 回線の年間売上は 1.18 倍
倍率:事業の純利益 12 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 50.3% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 29.6%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.0 倍。全体の PER 14.98 倍、時価総額 174 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:営業利益率 5.2% は過去の最高 6.0% 以下。モバイルの 2028 年の利益の目標 5 億円にほぼ届く形で、計画の達成の実績は乏しいが起こりうるので 22%。
中立 36% リユースは市場並みに育ち、モバイルは小さな黒字に落ち着く 利益 9 億円 · PER 14.7 倍 · 株価時価総額 2,649 円142 億円
リユースの市場は年 3〜4% で伸び、会社の買取件数は 10 年で 25% 増える。大型・高額の品と出張の買取に絞った強みは保たれるが、小さな品はフリマアプリに流れ続ける。単価は物価並みに上がり、仕入れ値も同じだけ上がるので、利益率は 10% のままだ。
モバイルは値上げの後の解約で回線が 1 割減る。代わりに 1 回線の稼ぎは上がり、一括の奨励金への頼りは小さくなる。利益率は 3.5% の小さな黒字に落ち着く。
本社の費用は物価と人件費で 1.3 倍になる。営業利益は 14 億円台で、モバイルの子会社の他の株主の取り分を引くと純利益は 9 億円弱だ。配当は優待の費用を置き換える形で始まる。自己資本は 50 億円に厚くなり、ROE は 17% 台になる。
- ネット型リユース:数量 12.3(年間の買取件数(万件))× 価格 18(1 件あたりの売上(万円))→ 売上 221 億円・営業利益 22 億円。件数 1.25 倍。単価は物価並みの 1.34 倍
- モバイル通信:数量 13.5(期中平均の保有回線数(万回線))× 価格 9.94(1 回線あたりの年間売上(万円))→ 売上 134 億円・営業利益 5 億円。回線 1 割減。1 回線の年間売上は 1.15 倍。2026 年 10 月の値上げで 1 回は上がるが、大手の安いプランと比べられるので毎年の物価の分は乗せられず、一括の奨励金の比重も下がる
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 41.1% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 25.0%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.7 倍。全体の PER 14.67 倍、時価総額 129 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:全社の営業利益率 4.2% は過去 12 年の山 6.0% 以下で、リユースが 10% を保ちモバイルが値上げで小さな黒字に戻る形。最も起こりやすい形として 36%。
やや悲観 20% モバイルが細り、リユースの伸びも人手の不足で止まる 利益 2 億円 · PER 10.8 倍 · 株価時価総額 484 円26 億円
値上げの後の解約が想定より多く、モバイルの回線は 10 年で 4 割減る。広告で新しい客を取っても採算が合わず、利益はほぼゼロになる。卸元の奨励金の条件も厳しくなる。
リユースは出張買取の人手が集まらず、件数は 10 年で 5% しか増えない。人件費と配送費が上がり、利益率は 8.5% に下がる。本社の費用も物価で増える。
営業利益は 4 億円台にとどまり、純利益は 2 億円台だ。優待は続けるが配当は小さく、自己資本はあまり厚くならない。自己資本が薄いので ROE は数字の上では高いが、稼ぎの額は小さい。
「おいくら」の自治体の連携は続くが、収益への貢献は小さいままだ。中古車と農機具は海外の物流の乱れで売れ行きが落ち、在庫の値下げが利益を削る年もある。
- ネット型リユース:数量 10.3(年間の買取件数(万件))× 価格 18(1 件あたりの売上(万円))→ 売上 180 億円・営業利益 15 億円。件数 5% 増。人件費に押され単価は 1.30 倍・利益率 8.5%
- モバイル通信:数量 9.0(期中平均の保有回線数(万回線))× 価格 9.00(1 回線あたりの年間売上(万円))→ 売上 81 億円・営業利益 1 億円。値上げで解約が進み回線 4 割減。ほぼ収支とんとん
倍率:自己資本が薄いので ROE は 16% と k を上回るが、利益は 2.4 億円と細い。価値は稼ぐ力(純利益÷k ≒ 26 億円)で、PER は 1÷k = 10.8 倍。中立の 11.0 倍より低い。
確率:2021〜2026 年の営業利益率は −2.7〜2.5% で、モバイルが崩れればこの水準に戻る。値上げで解約が増える恐れは会社自身が書いており 20%。
悲観 12% モバイルが崩れ、薄い資本が赤字で削られる 利益 −4 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 97 円5 億円
卸元が代理販売の奨励金を大きく削り、モバイルは新しい契約を取れなくなる。回線は解約で減り続け、会社は事業を縮める。残る回線の解約の費用と広告の後始末で赤字が出る。
リユースはフリマアプリと店舗型の大手に押され、買取件数は 15% 減る。ヤフオクの手数料の上げや相場の下落で利益率は 5% に落ちる。本社の費用は削るが、物価の分は残る。
全社では毎年の赤字が続き、薄い自己資本が削られる。銀行との約束に触れて融資の条件が厳しくなり、優待はやめる。稼ぐ力では価値を測れず、株主に残るのは売掛金と在庫と保証金から借金を引いた分だけだ。優待は最初の 2 年だけ手元の現金で続け、その後はやめる。
- ネット型リユース:数量 8.3(年間の買取件数(万件))× 価格 16(1 件あたりの売上(万円))→ 売上 134 億円・営業利益 7 億円。件数 15% 減。フリマアプリと店舗型に押される
- モバイル通信:数量 3.0(期中平均の保有回線数(万回線))× 価格 7.00(1 回線あたりの年間売上(万円))→ 売上 21 億円・営業利益 −1 億円。卸元の条件が変わり事業を縮める。残る回線の解約の費用で赤字
倍率:赤字なので PBR。稼ぐ力は無く、価値は売れる資産の床。今の自己資本 13.0 億円の 0.4 倍の 5.2 億円。
確率:2022 年 6 月期と 2024 年 6 月期に純損失 4〜5 億円を出し、自己資本が 10 億円を割りかけた。卸元への依存と短い借入が重なれば起こりうるので 12%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ネット型リユース
買取サイトで出張・宅配・持ち込みで中古品を買い取り、ヤフオク・楽天・メルカリへ出品して売る。家電・楽器などの個人向けの品、中古農機具、中古車、リユース店と売り手をつなぐ「おいくら」。
| 数量年間の買取件数(万件) | 価格1 件あたりの売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 9.8 | 13 | 132 | 14 |
| 10 年後 中立 | 12.3 | 18 | 221 | 22 |
取り方:売上と利益は短信のセグメント情報(131.83 億円・13.53 億円)。件数は説明資料の四半期ごとのチャネル別買取件数(出張 3.18・宅配 4.01・店頭 2.61 万件)の合計 9.8 万件。単価は売上÷件数で、農機具・中古車と「おいくら」の手数料を含む。
モバイル通信
65% 子会社の MEモバイルが「カシモ」の名で WiMAX のデータ通信を売る。新規契約時の販売奨励金(一括)と月額の利用料が収入。
| 数量期中平均の保有回線数(万回線) | 価格1 回線あたりの年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 15.0 | 8.64 | 130 | −4 |
| 10 年後 中立 | 13.5 | 9.94 | 134 | 5 |
取り方:売上と損失は短信のセグメント情報(129.54 億円・−3.60 億円)。回線数は説明資料の通期の平均の想定 15 万回線(期末 15.8 万回線)。単価は売上÷回線数で、一括の奨励金を含む。
リスクと懸念
モバイルの卸元への依存
モバイル通信は回線の卸元から販売奨励金を受け取って稼ぐ。最大の販売先は全社の売上の 14% を占める。奨励金の条件や代理販売の方針が変われば、稼ぎ方そのものが崩れる。
値上げによる解約
2026 年 10 月に月額の基本料金を上げる(会社の見込みで年 9.7 億円の増収)。会社は解約の増加を見込むが、毎月の利用料の改善が上回るとする。解約が想定を超えれば、回線と利用料の両方が減る。
ヤフオクへの依存と相場
リユースの売上の過半はヤフオク経由だ。手数料や検索の仕組みが変われば、売れ行きと利益率が動く。中古車や農機具は海外の物流や相場で値段が変わる。
薄い自己資本と短い借入
自己資本は 13 億円、自己資本比率は 22% だ。借入の多くは 1 年ごとの融資枠で、純資産と営業利益の約束が付く。赤字が続けば借り換えの条件が厳しくなる。
人手と集客の費用
出張買取は人手がかかり、人件費の上昇がそのまま響く。集客は検索と広告に頼るので、検索の仕様の変更や広告の単価の上昇で客を集める費用が増える。
今後の分かれ目
- 2027 年 6 月期にモバイルのセグメント利益が黒字に戻る
- 値上げで毎月の利用料の形に移れたとみて、やや楽観の確率を上げる。
- 保有回線数が 2 期続けて 13 万回線を割る
- 値上げの解約が想定を超えたとみて、やや悲観に寄せる。
- リユースのセグメント利益が 2 期続けて減る
- 仕入れか人手の壁に当たったとみて、中立の件数を引き下げる。
- 2028 年 6 月期に配当を始める
- 資本の使い方が株主寄りに変わったとみて、還元の見込みを上げる。
- 卸元が代理販売の奨励金の条件を変える
- モバイルの稼ぎ方が崩れるおそれとみて、悲観の確率を上げる。
見ておくもの
- リユースのセグメント利益と買取件数
- モバイルの保有回線数と新規の獲得数
- モバイルのセグメント損益とストック型収入
- 借入の残高と自己資本比率
- 配当の開始と株主優待の扱い
倍率と資本コストの決め方
倍率は ROE と k 9% から出し、今の PER や過去の PBR は見ていない。中立の営業利益率 4.2% は過去 12 年の山 6.0% 以下で、本社の費用は物価で 1.3 倍にした。モバイル子会社の利益の 35% は他の株主の取り分として純利益から引いた。株主優待の費用 年 1.4 億円は還元として payout に数え、配当への置き換え後も同じ程度とした。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.5→15.28 倍・やや楽観 PER 11.2→14.98 倍・中立 PER 11→14.67 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality +1.75% = 9.25%。同じリユースのハードオフ 7.2%、トレジャーファクトリー 7.5%、ブックオフ 7.8%、テイツー 8.5% より高いのは、利益の半分を左右するモバイル通信の振れと卸元への依存、薄い自己資本のため。事業は傾いておらず上乗せは無し。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.25% → 9.00%。