結論
大庄は、大衆割烹「庄や」「日本海庄や」「やるき茶屋」などを運営する外食の会社だ。売上の約半分は、食材の仕入れと配送を担う卸売・ロジスティクス事業が占める。2026年8月期の売上は531億円、営業利益は9億円だった。
筆者の結論は、今の値段は割高というものだ。時価総額は210億円ほどだが、利益の水準は10年のうち赤字の期が10期もあるほど不安定で、直近の純利益は4億円にとどまる。コロナ禍で2020年8月期から4期連続で営業赤字になり、自己資本は225億円から95億円へ6割近く減った。
強みは、全国の店とアサヒ・サッポロの2社の酒類メーカーが株主に並ぶ取引網、それに借金を大きく減らした財務の改善にある。弱みは、人件費の上昇、飲み会の減少、そして店の家賃という固定費だ。
中立の筋書きでも、10年後の純利益は9億円ほどにとどまる。それに見合う価値は、今の時価総額の半分に届かない。株主優待が手厚いのは確かだが、会社の費用として利益から出ていくので、その分も値打ちには数えない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、大庄は「立て直しは進んだが、稼ぐ力はまだ薄い」会社だ。
事業の本質は、大衆居酒屋の運営と、食材卸の二本立てだ。居酒屋という商売は10年後も存在するが、飲み会の回数が減る時代の流れに逆らえない。卸売は売上の半分を占めるのに、利益率は3〜4%で、堀はない。
オーナー利益、つまり再投資を引いた株主のものになる利益は、純利益から店の改装と更新の費用を引いた分だ。大庄の減価償却費は年約10億円で営業利益に近い。つまり営業利益の大半は設備の更新に消え、株主の手元に残る利益は薄い。
経営の資本配分は、堅実に変わった。コロナ禍では危機的な財務になったが、資産を売り、借金を返し、再び黒字に戻した。この点は評価できる。ただし、利益の水準が回復していないので、配当と優待を続ける余裕は大きくない。
安全域は、自己資本113億円に対し時価総額が210億円で、帳簿の価値の1.9倍にあたる。利益の水準から見ると、割安とは言えない。
何で稼ぐ会社か
大庄は、東京都大田区に本社を置く外食の会社で、東証スタンダード市場に上場している。2025年8月期の売上は526億円、営業利益は12億円。期末の店は311店で、直営が232店、フランチャイズ(FC)が28店、のれん分けに近いVC(ボランタリーチェーン)が51店だ。
事業は五つに分かれる。飲食事業は売上238億円で、庄や、日本海庄や、やるき茶屋、大庄水産などの大衆居酒屋を直営で運営する。卸売・ロジスティクス事業は売上259億円で最大だが、利益率は3〜4%と薄い。自社の店への食材供給に加え、外部の取引先にも売っていると見られるが、内訳の開示は薄い。
不動産事業は売上16億円で、保有するビルなどの賃貸から利益が出る。FC・VC事業は売上9億円で、加盟店からの収入が主だ。
コロナ禍で店を大きく減らし、2025年8月期は新規出店3店に対して、閉鎖14店(うちVCへの移行5店)と、整理の局面が続く。連結の従業員は1,537人で、臨時の従業員は年平均1,126人にのぼる。労働組合はUAゼンセンに加盟している。
優良さと弱いところ
大庄の優良さは、財務の立て直しと、卸売で食材を押さえている点にある。ただし堀、つまり他社がまねできない強みは弱い。
良い点は三つある。第一に、借金の返済を進め、2025年8月期は長期借入金を70億円返済し、自己資本比率は31%から38%に上がった。第二に、アサヒビールやサッポロビールが大株主で、酒類の仕入れと販売の関係が安定している。第三に、不動産事業が安定した収益を足す。
悪い点は四つある。外食の居酒屋は参入の壁が低く、庄やの店にも他社にない独自の強みがあるとは言いにくい。人件費は上がり続け、賃上げが利益を削る。卸売は売上の半分を占めるのに利益率が薄く、全体の利益率を押し下げる。そして過去は、10年のうち10期が赤字で、利益の水準が安定しない。
コロナ禍の2020年8月期から2023年8月期にかけて、営業赤字が4期続き、自己資本は6割近く減った。立て直しの結果、2024年8月期から営業黒字に戻ったが、営業利益率は2%台で、会社の目標の5%には遠い。
資本の使い方は堅実に変わった。買収に走らず、店舗の資産を売って借金を返す方向だ。筆者は、堀は弱い、収益の質もやや劣ると判断する。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
外食、特に居酒屋は、飲み会の減少と人件費の上昇に挟まれた、厳しい業界だ。
日本フードサービス協会によると、2023年の外食産業の市場は約24兆円で、コロナ前の水準へ戻る途上にある。ただし居酒屋の業態は戻りが遅い。会社の宴会や接待が減り、テレワークの定着で夜の客が戻りきらない。大庄の売上も、2019年8月期の610億円に対し、2026年8月期は531億円にとどまる。
人件費は、最低賃金の上昇とアルバイト不足で上がり続ける。外食の運営費は年3〜5%の勢いで増える構造にある。居酒屋は価格を上げると客数が離れやすく、値上げで吸収しきれない。
競合は、鳥貴族、串カツ田中、ワタミ、養老乃瀧など、居酒屋チェーンが多い。さらに、回転寿司、ファミリーレストラン、コンビニの総菜などが、夜の食事を奪う。
不況の谷では、居酒屋は会食の削減で既存店売上が2〜3割減り、コロナ禍では売上が4割減った。家賃などの固定費が重い店ほど、利益が一気に落ちる。
10年後の見方はこうだ。国内の居酒屋は縮小の市場で、店を絞り込んだ会社だけが生き残る。訪日客の需要は日本海庄やのような海鮮の店に追い風だが、大衆居酒屋には限られる。卸売のような外食以外の収入が、利益を支える役目を果たす。
資本政策と M&A
配当は年2回で、2025年8月期の総額は約2.9億円だった。配当性向は利益が薄い期は7割ほどに上がり、利益の波に配当が引きずられる。借金の返済と店の改装を優先するので、大きな増配は見込まない。
株主優待は、100株以上で年6枚、500株以上で12枚、1,000株以上で24枚の優待飲食券を、2月末と8月末の年2回もらえる形だ。会社の費用は原価ベースで年0.6億円ほどと見込み、これを株主への還元に数える。株主は約3.9万人で、優待目当ての個人が多いと見られる。
借金は大きく減った。2025年8月期は長期借入金を70億円返し、純有利子負債は26億円になった。保有する土地や建物を売って、13億円を作った。余った現金はなく、買収で規模を追う余裕もない。
店は賃借が基本で、差入保証金を入れている。家賃は開示がなく、売上の8〜9%と見て年20億円前後と推定する。このほか配送用の車両のリースが年5.6億円、土地の賃借料が1.6億円ある。残りの契約を6年と見て、家賃の約束は120億円ほどと推定する。新しいリース会計基準は2028年8月期から適用される。
政策保有株は一部の取引先に限られ、アサヒグループの株式は6百万円分だ。kabufuの試算では10年以内の買収・TOBの確率は18%。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
大庄は、コロナ禍の底から、確かに立て直した。営業利益は2022年8月期の赤字54億円から、2025年8月期の黒字12億円へ戻った。長期借入金を70億円返し、自己資本比率は38%に上がった。もう一度同じ危機が来ても、前より耐えられる。
会社は営業利益率を中長期で5%に上げると掲げ、2027年8月期は営業利益14億円を見込む。店の整理で効率の悪い店が減り、残った店の利益率は上がる。人手不足の中でも、省人化の投資と値上げが進めば、利益率の改善が続く。
卸売事業は、売上の半分を占める。仕入れの力を高め、外部の取引先を増やせば、利益率3〜4%の薄い商売でも、売上の拡大で絶対額の利益が増える。不動産事業は、安定した利益を足す。
アサヒビールとサッポロビールが株主に並ぶのは、仕入れで有利に働く。訪日客が増え、海鮮の日本海庄やの需要が伸びれば、客単価の改善も期待できる。株主優待は個人投資家の関心を引き、株価の下支えになる。
もし営業利益率が5%に届けば、純利益は25億円を超え、今の時価総額は割安に見える。
慎重な見方
利益の水準が薄すぎる。2026年8月期の営業利益は9億円、純利益は4億円で、時価総額210億円の50倍を超える。2026年10月には業績予想を下方修正し、立て直しの勢いは鈍っている。第3四半期の営業利益は前年から17%減った。
10年のうち10期が赤字で、利益は安定しない。売上は2019年8月期の610億円に戻らず、531億円にとどまる。居酒屋の客数は人口減と飲み会の減少で戻りが遅く、店の整理を続けても売上は縮む。
人件費の上昇は止まらない。大衆居酒屋は値上げすると客が離れるので、人件費を価格に転嫁しきれず、利益率は削られる。営業利益率は2%台で、会社の目標5%は10年以上達成していない。
家賃などの固定費が重い。店は賃借が基本で、年20億円前後の家賃と、120億円ほどの残りの契約がある。売上が落ちると、固定費が利益を一気に消す。
株主優待は個人投資家を呼ぶが、会社の費用として利益を削る。卸売は売上の半分を占めるのに利益が薄く、成長の柱にはならない。減価償却が営業利益に近く、株主の手元に残る利益はさらに薄い。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方がやや強い。財務の立て直しは本物で、コロナ禍の危機は越えた。しかし利益の水準が薄く、今の値段はそれを先取りしている。確率は中立に36%を置き、強気側の合計を24%、慎重側の合計を40%とした。強気の言い分は営業利益率5%が前提だが、それは10年以上達成されておらず、筋書きの実現には時間がかかるからである。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/08 期)
確率で加重した株価時価総額 476 円100 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 136 円29 億円)。 今の値に割り戻すと 301 円63 億円、今との差 −70.0%、 期待の年率 −4.8%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 1,531 円321 億円 | 253 円53 億円 | +77.9% | +5.9% | 107 円22 億円 |
| やや楽観 | 18% | 878 円184 億円 | 200 円42 億円 | +7.5% | +0.7% | 194 円41 億円 |
| 中立 | 36% | 526 円110 億円 | 152 円32 億円 | −32.3% | −3.8% | 244 円51 億円 |
| やや悲観 | 28% | 96 円20 億円 | 100 円21 億円 | −80.4% | −15.0% | 55 円12 億円 |
| 悲観 | 12% | 83 円18 億円 | 14 円3 億円 | −90.3% | −20.8% | 12 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 476 円100 億円 | 136 円29 億円 | −39.0% | −4.8% | 612 円128 億円 |
今の株価時価総額 1,003 円210 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 6% 店の整理が終わり、利益率が5%に届く 利益 23 億円 · PER 13.1 倍 · 株価時価総額 1,531 円321 億円
店の整理が2期で終わり、直営は225店まで増える。客単価は物価を上回って伸び、飲食事業の利益率は8.5%に上がる。訪日客が海鮮の日本海庄やに通い、客数も前年を上回る。卸売は外部の取引先が増え、取扱量が6%増え、利益率は4%に上がる。FC・VCは110店まで広がる。営業利益率は連結で4.4%まで上がり、会社の目標の5%に近づく。借金はほぼ無くなり、配当性向は3.5割に上がる。優待は続ける。ただし、人件費の上昇を価格で吸収でき、居酒屋の客数が戻ることが前提だ。M&Aに走らず、本業の磨き上げに投資が向かう。
- 飲食事業(庄や・日本海庄や・やるき茶屋ほか):数量 225(直営店舗数(店))× 価格 151(1店あたり売上(百万円))→ 売上 339 億円・営業利益 29 億円。利益率8.5%
- 卸売・ロジスティクス事業:数量 106(取扱量の指数(2026年8月期を100))× 価格 368(指数1あたり売上(百万円))→ 売上 390 億円・営業利益 16 億円。利益率4.0%
- 不動産事業:数量 100(賃貸面積の指数(2026年8月期を100))× 価格 22(指数1あたり売上(百万円))→ 売上 22 億円・営業利益 6 億円。利益率25.0%
- FC・VC事業とその他:数量 110(FC・VC店舗数(店))× 価格 22(1店あたり売上(百万円))→ 売上 25 億円・営業利益 7 億円。利益率28.0%
倍率:事業のROEは約11.5%でkを上回る。RONIC=k+keep×(ROE−k)、keepは弱い堀の1/3、g=3.5%の正当化PERは約10.9倍。上限の99%の13.12倍に置く。優待は年0.6億円の原価×10年を足した。
確率:人件費の上昇を値上げと省人化で吸収し、飲み会の回数も戻る必要がある。10年のうち10期が赤字だった会社が、目標の営業利益率5%に近づく重い筋書きで、6%。
やや楽観 18% 店の整理が終わり、緩やかに利益率が戻る 利益 15 億円 · PER 12.0 倍 · 株価時価総額 878 円184 億円
直営は212店で下げ止まり、客単価が物価を少し上回って伸びる。飲食事業の利益率は6.8%に戻る。卸売は取扱量が3%増え、利益率は3.7%。FC・VCは95店に増える。営業利益率は連結で3.2%となり、コロナ前の水準を上回る。不動産事業は安定した収益を足す。借金は10年で返し、配当性向は3.8割になる。優待は続ける。省人化の投資が進み、人件費の上昇を一部吸収する。閉店は少なく、改装の費用は営業利益の範囲に収まる。ただし、居酒屋の客数が戻りきらない点は変わらず、利益率の上がり方は緩やかだ。会社が掲げる営業利益率5%には届かないが、3%台に乗れば、10年後の純利益は15億円ほどになる。訪日客の需要が海鮮の店に加わり、客数の落ち込みは小さい。卸売は自社の店の安定に合わせて取扱量を保ち、外部の取引先も少しずつ増える。VCへの移行で身軽になった店舗網は、少ない投資で収入を得る形に変わっていく。
- 飲食事業(庄や・日本海庄や・やるき茶屋ほか):数量 212(直営店舗数(店))× 価格 147(1店あたり売上(百万円))→ 売上 311 億円・営業利益 21 億円。利益率6.8%
- 卸売・ロジスティクス事業:数量 103(取扱量の指数(2026年8月期を100))× 価格 361(指数1あたり売上(百万円))→ 売上 372 億円・営業利益 14 億円。利益率3.7%
- 不動産事業:数量 100(賃貸面積の指数(2026年8月期を100))× 価格 22(指数1あたり売上(百万円))→ 売上 22 億円・営業利益 5 億円。利益率24.0%
- FC・VC事業とその他:数量 95.0(FC・VC店舗数(店))× 価格 22(1店あたり売上(百万円))→ 売上 21 億円・営業利益 6 億円。利益率27.0%
倍率:事業の純利益 15 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.1% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 8.7%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.0 倍。全体の PER 11.96 倍、時価総額 178 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:店の整理の成果は、2024年8月期からすでに数字に出ている。人件費の上昇を吸収しながら緩やかに戻る上位寄りの想定で、2割弱。
中立 36% 店は少し減り、利益率は2%台のまま緩やかに伸びる 利益 9 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 526 円110 億円
直営は200店まで減り、客単価は物価並みに上がる。人件費の上昇を価格で吸収しきれず、飲食事業の利益率は5.5%にとどまる。卸売は取扱量が横ばいで、利益率は3.4%。FC・VCは85店。不動産は安定した収益を足す。営業利益率は連結で2.2%、本社の費用が物価に合わせて22.6億円まで増え、営業利益を削る。借金は返し終わるが、利払いと税の負担で純利益は営業利益の6割強にとどまる。配当性向は4割で、優待は年0.6億円を続ける。減価償却は年11億円と営業利益に近く、店の更新に営業利益の大半が回り、株主の手元に残る利益は薄い。居酒屋の客数は戻らず、店舗網の縮小が続く。ブランドの老朽化に備えた改装が、毎年利益をじわじわ削る。
- 飲食事業(庄や・日本海庄や・やるき茶屋ほか):数量 200(直営店舗数(店))× 価格 144(1店あたり売上(百万円))→ 売上 287 億円・営業利益 16 億円。利益率5.5%
- 卸売・ロジスティクス事業:数量 100(取扱量の指数(2026年8月期を100))× 価格 354(指数1あたり売上(百万円))→ 売上 354 億円・営業利益 12 億円。利益率3.4%
- 不動産事業:数量 100(賃貸面積の指数(2026年8月期を100))× 価格 22(指数1あたり売上(百万円))→ 売上 22 億円・営業利益 5 億円。利益率24.0%
- FC・VC事業とその他:数量 85.0(FC・VC店舗数(店))× 価格 21(1店あたり売上(百万円))→ 売上 18 億円・営業利益 5 億円。利益率25.0%
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.1% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 109 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:飲み会の減少と人件費の上昇が続く一方、店の整理で効率は上がる。中立では今の営業利益率2%台が名目で緩やかに伸びる。最も厚く置く。
やや悲観 28% 飲み会の減少が続き、店の整理が再び進む 利益 3 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 96 円20 億円
直営は175店まで減り、人件費の上昇と客数の減少で飲食事業の利益率は4.0%に下がる。卸売は自社の店の減少に引きずられて取扱量が6%減り、利益率は3.0%に下がる。FC・VCは65店に減る。営業利益率は連結で0.8%まで落ち、家賃などの固定費が売上の減少に追いつかない。借金の返済は続くが、利払いが利益を食う。減損損失を計上し、配当性向は5割に上がっても、優待は続ける。人件費の上昇を価格に転嫁しきれず、アルバイトの確保にも苦しみ、営業時間を短縮する店も出る。株主の期待と実績の差が開き、閉店と改装の費用が重くのしかかる。
- 飲食事業(庄や・日本海庄や・やるき茶屋ほか):数量 175(直営店舗数(店))× 価格 139(1店あたり売上(百万円))→ 売上 244 億円・営業利益 10 億円。利益率4.2%
- 卸売・ロジスティクス事業:数量 94.0(取扱量の指数(2026年8月期を100))× 価格 343(指数1あたり売上(百万円))→ 売上 322 億円・営業利益 10 億円。利益率3.0%
- 不動産事業:数量 95.0(賃貸面積の指数(2026年8月期を100))× 価格 21(指数1あたり売上(百万円))→ 売上 20 億円・営業利益 4 億円。利益率22.0%
- FC・VC事業とその他:数量 65.0(FC・VC店舗数(店))× 価格 20(1店あたり売上(百万円))→ 売上 13 億円・営業利益 3 億円。利益率22.0%
倍率:事業のROEは約2%でk以下なのでPERは1÷k=10.5倍が上限。ためた利益は額面未満の価値と見て、上限の76%の8.0倍に置く。
確率:居酒屋は人口減と飲み会の減少で客数の戻りが遅く、売上は縮み続ける。過去の10期の赤字を踏まえ、確率は中立に次ぐ高さで置く。
悲観 12% 居酒屋が細り、家賃の重みで再び赤字になる 利益 −7 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 83 円18 億円
直営は120店まで減り、売上が減っても家賃は同じ割合では減らず、飲食事業は赤字になる。卸売は自社の店の縮小で取扱量が4分の1減り、利益はわずかしか残らない。FC・VCは40店まで減る。営業利益は赤字になり、店舗の減損で自己資本は70億円まで減る。借金の返済が遅れ、配当は無配に近づき、優待を縮小する。清算されない限り、少数株主は事業の再建を待つしかない。再建のために、店の閉鎖と人員の縮小が続き、金融機関との借入条件の見直しも避けられない。新規の出店は止まり、不動産の売却で現金を作る局面になる。コロナ禍の2020年から2023年に営業赤字が4期続いた経験があり、同じ規模の落ち込みが再び起きても不思議ではない。従業員の削減と賃金の据え置きで士気も下がり、人手が集まらない悪循環に陥る。優待を縮小すれば個人株主が離れ、株価の下支えも失う。
- 飲食事業(庄や・日本海庄や・やるき茶屋ほか):数量 120(直営店舗数(店))× 価格 129(1店あたり売上(百万円))→ 売上 155 億円・営業利益 −2 億円。利益率-1.0%
- 卸売・ロジスティクス事業:数量 75.0(取扱量の指数(2026年8月期を100))× 価格 318(指数1あたり売上(百万円))→ 売上 239 億円・営業利益 3 億円。利益率1.2%
- 不動産事業:数量 90.0(賃貸面積の指数(2026年8月期を100))× 価格 20(指数1あたり売上(百万円))→ 売上 18 億円・営業利益 4 億円。利益率20.0%
- FC・VC事業とその他:数量 40.0(FC・VC店舗数(店))× 価格 19(1店あたり売上(百万円))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。利益率15.0%
倍率:赤字なのでPBRで置く。店舗の減損後の自己資本70億円に、再建の途上で稼ぐ力が弱い事業として0.25倍。
確率:飲み会の減少、人件費の上昇、卸売の縮小が同時に起きる複合の筋書き。コロナ禍で4期連続の営業赤字だった実績から12%と厚めに置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
飲食事業(庄や・日本海庄や・やるき茶屋ほか)
大衆割烹・居酒屋の直営店。2025年8月期末の直営は232店で、2026年8月は200台後半へ減った。
| 数量直営店舗数(店) | 価格1店あたり売上(百万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 222 | 107 | 238 | 11 |
| 10 年後 中立 | 200 | 144 | 287 | 16 |
取り方:2025年8月期の飲食事業売上238億円を、2026年8月の直営店の概数222店で割った。2026年8月期の営業利益は、2025年8月期のセグメント利益13億円から店の整理と人件費の上昇で下がったと見て10.5億円と置いた推定。
卸売・ロジスティクス事業
食材の仕入れと配送。自社の店への供給と、外部の取引先への販売。
| 数量取扱量の指数(2026年8月期を100) | 価格指数1あたり売上(百万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 100 | 264 | 264 | 9 |
| 10 年後 中立 | 100 | 354 | 354 | 12 |
取り方:2025年8月期の売上259億円から、連結売上が2026年8月期に531億円と1%ほど増えた分を乗せ、264億円と置いた。取扱量は開示が無く、2026年8月期を指数100とした。利益は2025年8月期の利益率3.6%から少し下がり3.2%の推定。
不動産事業
保有するビルなどの賃貸。
| 数量賃貸面積の指数(2026年8月期を100) | 価格指数1あたり売上(百万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 100 | 17 | 17 | 4 |
| 10 年後 中立 | 100 | 22 | 22 | 5 |
取り方:2025年8月期の売上16億円、利益4億円(利益率27%)を基にした。賃貸面積の開示は無く、指数100とした。
FC・VC事業とその他
加盟店(FC)28店、のれん分け型のVC51店からの収入と、その他の小さな事業。
| 数量FC・VC店舗数(店) | 価格1店あたり売上(百万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 79.0 | 16 | 13 | 3 |
| 10 年後 中立 | 85.0 | 21 | 18 | 5 |
取り方:FC・VC事業の売上9億円とその他3億円を合わせ12.4億円とし、FCとVCの合計79店で割った。FC・VCの利益率は38%と高く、利益は3億円と置いた。
リスクと懸念
居酒屋の客数の減少
飲み会の回数が減り、テレワークの定着で夜の客が戻りきらない。売上は2019年8月期の610億円から531億円へ下がったままで、店の整理が続く。
人件費の上昇
最低賃金の上昇とアルバイト不足が続き、外食の運営費は年3〜5%で増える。大衆居酒屋は値上げすると客が離れやすく、価格転嫁の限界が利益率を決める。
家賃という固定費
店は賃借が基本で、家賃は年20億円前後と推定される。売上が落ちても家賃は同じ割合では減らない。新リース会計基準で2028年8月期から、借金が増えたように見える。
利益の水準が安定しない
過去10年のうち赤字の期が10期ある。2026年8月期の純利益は4億円まで下がり、10月には業績予想を下方修正した。
卸売の薄い利益
売上の半分を占めるが、利益率は3〜4%と薄い。自社の店が減れば、取扱量も減る。
借入の財務特約
シンジケーション方式のタームローンやコミットメントラインなど、財務上の特約付きの契約が複数ある。赤字になると条件が厳しくなる恐れがある。
優待の費用
優待は年2回で、会社の費用は年0.6億円ほどと見る。利益が減る局面でも続ける約束になっている。
今後の分かれ目
- 営業利益率が2期連続で3%を超えたら
- 店の整理の成果が確かめられ、やや楽観側に確率を寄せる。
- 2期連続で営業赤字になったら
- 立て直しの失敗が明らかになる。やや悲観・悲観側に確率を寄せる。
- 直営の既存店売上が2期連続で前年を割ったら
- 居酒屋の客数の戻りが見込めないことになる。やや悲観側に確率を寄せる。
- 純有利子負債が無くなり、自己資本比率が45%を超えたら
- 財務の不安が薄れ、借金の評価を緩められる。
- 卸売の外部売上が増え、利益率が4%を超えたら
- 外食以外の収入が育ったことになる。中立の利益率を上げる。
- 最低賃金や社会保険の負担が想定を超えて上がったら
- 全社の利益率を下げ、悲観側の確率を上げる。
見ておくもの
- 直営の既存店売上と客単価
- 営業利益率(飲食事業と卸売)
- 純有利子負債と自己資本比率
- 減損損失の有無
- 店の純増数(閉店とVCへの移行)
倍率と資本コストの決め方
倍率は、事業のROEと弱い堀(残る割合1/3)から出した上限の99〜76%に置いた。ROEがkを下回る筋書きでは、1÷kを上限にした。今の株価は見ていない。2026年8月期の実績(営業利益9億円)を基点にし、2025年8月期の12億円を使わなかった。新リース会計基準(2028年8月期から)で家賃が借金として載るが、10年後の数字は家賃を費用に入れた今の形でそろえた。優待の原価は年0.6億円と推定した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.8→13.12 倍・やや楽観 PER 10→11.96 倍・中立 PER 9→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にqualityを足した(決まり v2)。個別の事業リスクは筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.50% → 8.50%。