結論
ジェーソンは、千葉・埼玉・東京を中心に117店を構える、食品と日用品の安売りチェーンだ。値段の安さと独自の水が売り物だが、利益はごく薄く、筆者は今の値段を割高と見る。
売上は286億円と過去最高なのに、営業利益は2億円しかない。前の期から6割減り、上場来はじめての最終赤字になった。買収した食品スーパーの減損が響いた。
今期も回復は鈍い。中間決算は営業利益が4割減り、関東の天候不順で客足が鈍った。会社は中長期で営業利益率5%を掲げるが、直近は0.7%、過去12年の最高でも4.7%にとどまる。
救いは財務の厚みだ。自己資本比率は5割を超え、実質無借金で、純現金は20億円ほどある。ただ、店舗の95%以上は借りており、家賃は毎年必ず払う固定の約束だ。
筆者がいちばん見ているのは、独自商品の天然水が、店の弱さをどこまで補えるかだ。当たれば利益率は上がる。外れれば、薄利の小売りに戻る。創業家が3分の1を持つ、物言いの穏やかな会社でもある。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で、好ましいのは財務と、低価格を守る仕組みだ。借金がなく、現金もあり、小さな会社が不況にも耐えられる。独自の水も、自社で利益を取れる貴重な商品である。
だが、稼ぐ力が足りない。売上286億円に対して営業利益2億円では、株主に残る利益は薄い。値段が安いからこそ、少しの費用増で利益が消える。筆者は、この構造が10年で大きく変わるとは見ていない。
店は借り物だ。家賃は固定の約束で、客が減っても減らない。純現金が厚いからといって、安全域が大きいわけではない。
今の値段は、利益が戻る前提を織り込んでいる。会社は営業利益率5%を目指すが、過去の最高は4.7%で、そこまで届く可能性は高くない。筆者は、中立の利益率を過去の中央値より少し低く置いた。
手ごろな値段になるのは、利益が谷にある時だろう。今は、その時ではない。
何で稼ぐ会社か
事業の中心は、低価格のバラエティ・ストア「ジェーソン」だ。食品が仕入れの7割を占め、日用品、酒類、衣料・インテリアが続く。毎日安い値段を守る方針で、店は小ぶりな居抜き物件が多い。
店は2026年2月末で117店。千葉34、埼玉29、東京26、茨城18、群馬6、栃木4である。物流は埼玉と茨城の2つの共配センターから自社で運び、2時間以内で届く地域に出店する。
仕入れには特徴がある。総合卸からの安定した仕入れに加え、コンビニの商品政策の変更で返品された商品を、安く買い付ける。これが「JV商品」と呼ぶ目玉で、値段の安さの源になる。
もう一つの柱が、子会社の尚仁沢ビバレッジが作る独自商品だ。「尚仁沢の天然水」や強炭酸水が好調で、仕入れより利益率が高い。2025年3月には群馬の食品スーパー、サンモール(6店)を買収した。
従業員は連結で181人、パートなどの臨時従業員が約900人いる。人件費が重く、店の効率が利益を左右する。出店は居抜きが中心で、初期の投資は小さい。1店あたりの売上は2億円台前半と小さく、少しの客数の増減が利益に響く。
優良さと弱いところ
強みは、低価格を支える仕組みだ。コンビニの返品商品などの買い付け、自社の物流、自社開発のシステムで、費用を削り込んでいる。ローコスト経営を「ムリ・ムラ・ムダ」の排除と呼び、社員の定着も高い。
ただ、堀というには弱い。安さは、競合のドラッグストアやスーパー、均一価格の雑貨店、ネット通販と常に比べられる。目玉のJV商品は、仕入れの機会が減ると品ぞろえが崩れる。
利益率は低い水準で長く推移してきた。過去12年の営業利益率は、最良の2021年2月期でも4.7%で、直近は0.7%だ。ここ2年で急に落ちた原因は、買収の費用、車両や設備の減価償却、仕入れの値上がりである。
独自の水は、本物の強みになりうる。自社で作るので、店の外にも売れる広がりがある。ただ、売上全体に占める割合が小さく、利益を支える力はまだ限定的だ。
経営は創業家の太田興産が3分の1を持つ。長く現場を回してきた会社で、無理な出店は少ない。一方、サンモールの買収で約束した収益が出ず、減損を出した資本の使い方には、疑問が残る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
食品と日用品の小売りは、人口減少で数量が増えにくい。関東の首都圏は地方よりましだが、新しい店を開けるほどの空白地は減った。値段で戦う業態は、売上がほぼ横ばいでも、人件費と水道光熱費の上昇に押される。
物価高は、安売りにとって追い風でもある。生活を守りたい客が増え、安さを求める。ただ、同じ追い風はドラッグストアや大手スーパーにも吹き、ネットの通販が価格の比較を容易にした。
競争は厳しい。関東ではドラッグストアが食品の安売りを広げ、ディスカウントではドン・キホーテなどが夜間の客を取る。同社のようなコンビニ返品のスポット仕入れは、他社がまねしにくいが、供給の量が限られる。
人手の面でも逆風がある。最低賃金の上昇とパートの確保難で、店の運営費は年3〜5%上がる。セルフレジなどで吸収できるかが、利益率の分かれ目だ。
同業の大手は仕入れの規模で勝る。首都圏に店と物流が集中しているので、大規模な災害は一度に多くの店を止める。土地建物の大半は借り物で、家賃の改定にも弱い。人口が減る地方の店は、閉める判断も早く求められる。
資本政策と M&A
配当は前の期と同額を維持する方針で、総額は1.7億円ほどだ。利益が出ない年でも減らさない姿勢で、2027年2月期の予想も据え置きである。株主優待は500株以上が対象で、優待券と天然水から選べる。優待の費用は開示がないが、対象が500株以上に限られ、負担は小さいと見る。
最大株主は創業家の太田興産で、約3分の1を持つ。経営の安定には寄与するが、少数株主から見ると支配が固い。
買収はサンモールが初の大型案件だ。群馬・沼田で競合の新規参入に押され、のれんなどを減損した。次の買収には慎重さが要る。
設備投資は年2億円台で、自己資金で賄う。純現金は20億円ほどあり、財務の健全性は高い。ただ、店舗の95%以上が賃借で、敷金・保証金を差し入れている。この資金は、数年から20年かけて戻る。
TOBや非公開化の公表はない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
業績の底は過ぎた。最終赤字は買収した子会社の減損が原因で、現金は出ていかない。中間決算でも営業利益は計画に近く、減損で来期以降の償却も軽くなる。天候不順は一時の要因にすぎない。夏が終われば、客足は戻る。客単価も、独自商品の拡大でじわりと上がる。
独自の天然水と強炭酸水は、店だけでなく他の販路にも広がる。自社で工場を持つので、売れるほど利益が積み上がる。利益率の高い商品の割合が上がれば、営業利益率は3%台に戻る。
出店は居抜き中心で、低収益の店を閉め、新しい店を増やすスクラップ・アンド・ビルドを続ける。サンモールとの共同店舗や商品の融通も進めば、費用が下がる。
財務は盤石で、純現金は20億円ほどある。借金に頼らず、投資を自己資金で続けられる。配当を据え置く姿勢も、株主には安心材料だ。中長期の目標である営業利益率5%に近づけば、今の値段は安い。店の数を増やしながら、1店あたりの利益を高める余地が残っている。首都圏の人口は底堅く、安さを求める客はむしろ増える。
慎重な見方
利益の悪化は、一過性の減損だけでは説明できない。営業利益は2年で8割近く減り、減損を除いても本業が弱っている。中間決算でも営業利益は4割減った。夏の天候のせいだけでなく、値上げに敏感な客が離れた可能性もある。通期の営業利益2億円の計画も、後半に利益を寄せた形で、達成は楽ではない。
目玉のJV商品は、物価高で仕入れ環境が厳しい。コンビニが返品を減らせば、買える量も減る。安さの源が細れば、客足は競合に流れる。
利益率の改善に必要な独自の水は、売上の一部にすぎない。しかも、競合する飲料メーカーと比べれば規模が小さい。ネットの安売りや、ドラッグストアの食品強化も、同じ客を狙う。
店舗の95%以上は賃借で、家賃は固定費だ。売上が落ちれば、利益はすぐ赤字に沈む。純現金の20億円も、買掛金の支払いと家賃の約束を引けば、見かけほど厚くない。創業家が3分の1を持つため、少数株主の立場は弱い。しかも、減損を出した買収に続く次の一手が見えない。
どちらに重みを置いたか
財務の健全さは本物だが、利益が薄い構造は変わっていない。強気が指す独自商品の広がりは確かでも、全体の利益を押し上げるほどの規模にはまだ遠い。
確率は、中立を最も厚くしつつ、やや悲観を3割近くに寄せた。悲観は、仕入れの源が細り、家賃の重みが利益を消す筋書きとして1割強に置いた。財務の厚みがあるため、倒れる確率までは見ていない。薄利の事業が、費用の上昇に耐えられるかが全体を決める。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した株価時価総額 761 円98 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 147 円19 億円)。 今の値に割り戻すと 472 円60 億円、今との差 −43.1%、 期待の年率 +0.9%(資本コスト 7.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 2,060 円264 億円 | 264 円34 億円 | +180.0% | +10.8% | 139 円18 億円 |
| やや楽観 | 17% | 1,337 円171 億円 | 197 円25 億円 | +84.8% | +6.3% | 261 円33 億円 |
| 中立 | 37% | 851 円109 億円 | 167 円21 億円 | +22.6% | +2.1% | 377 円48 億円 |
| やや悲観 | 28% | 242 円31 億円 | 103 円13 億円 | −58.4% | −8.4% | 97 円12 億円 |
| 悲観 | 12% | 231 円30 億円 | 62 円8 億円 | −64.6% | −9.9% | 35 円5 億円 |
| 加重平均 | 100% | 761 円98 億円 | 147 円19 億円 | +9.5% | +0.9% | 909 円116 億円 |
今の株価時価総額 830 円106 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 6% 独自の水が育ち、利益率が過去の山に届く 利益 15 億円 · PER 17.7 倍 · 株価時価総額 2,060 円264 億円
独自商品の天然水と強炭酸水が、店の外にも広がる。工場の増設が実り、粗利の高い商品が売上の2割近くを占める。店は150店まで増え、1店あたりの売上は物価の分に加えて、独自商品の寄与で伸びる。
営業利益率は4.5%で、過去の最高に迫る。サンモールとの共同店舗で費用が下がり、システムの自動化も効く。売上は500億円規模になる。人手の確保も進み、離職は低く抑えられる。
配当は利益の4割程度に増え、純現金は店の増設に回る。コンビニの返品買い付けは細るが、独自商品が穴を埋める。人手の確保も、働きやすさの評判で順調に進む。
- 安売りバラエティ店・食品スーパー:数量 150(店舗数(店))× 価格 3.35(1店あたり売上(億円・名目))→ 売上 503 億円・営業利益 23 億円
倍率:事業の純利益 15 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.5% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.7 倍。全体の PER 17.71 倍、時価総額 264 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:独自の水が全国の販路に広がり、利益率が過去の最高に並ぶ姿。直近の営業利益率が0.7%まで落ちた現実を考えると、1割に満たない確率にとどめた。
やや楽観 17% 利益率が3.6%に戻り、堅実に伸びる 利益 11 億円 · PER 16.2 倍 · 株価時価総額 1,337 円171 億円
店は142店まで増え、スクラップ・アンド・ビルドで低収益の店を閉め続ける。独自商品が着実に伸び、営業利益率は3.6%まで戻る。売上は450億円ほど。
人件費の上昇は、セルフレジなどで吸収する。コンビニ返品のスポット仕入れも一定量を保ち、JV商品の魅力が続く。
配当は性向4割で、純現金は店の改装や物流に回る。環境に配慮したPB商品の開発も進み、客単価がじわりと上がる。サンモールの収益は黒字に定着する。会社が目標にする営業利益率5%には届かない。一部の店は共同店舗に衣替えし、1店あたりの売上も上がる。
- 安売りバラエティ店・食品スーパー:数量 142(店舗数(店))× 価格 3.15(1店あたり売上(億円・名目))→ 売上 447 億円・営業利益 16 億円
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.9% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.2 倍。全体の PER 16.16 倍、時価総額 171 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:天候要因が薄れ、減損後の償却が軽くなる姿。独自商品が少しずつ伸び、中長期の目標には届かないが過去の水準に戻る。実績に近い上振れとして2割弱に置いた。
中立 37% 薄利のまま、物価並みに伸びる 利益 8 億円 · PER 14.5 倍 · 株価時価総額 851 円109 億円
店は135店まで純増し、売上は410億円ほどになる。サンモールは黒字化するが、大きくは伸びない。1店あたりの売上は物価でほぼ上がるが、客数の減りと独自商品の寄与が相殺する。
営業利益率は2.8%で、直近より改善するが、過去の最高には届かない。人件費と光熱費は物価で上がり、値上げで取り返すのが精いっぱいだ。独自商品の水は伸びる一方、JV商品の仕入れは細る。
配当は性向4〜5割。純現金は設備投資と出店に回り、財務は健全だ。家賃は固定の約束として残る。派手な成長はなく、地味だが崩れない小売りとして評価される。
- 安売りバラエティ店・食品スーパー:数量 135(店舗数(店))× 価格 3.02(1店あたり売上(億円・名目))→ 売上 408 億円・営業利益 11 億円
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.8% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.5 倍。全体の PER 14.53 倍、時価総額 109 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:独自商品は伸びるが、仕入れの厳しさと人件費の上昇が利益を削る。過去の営業利益率の中央値に近い水準を置いた。最も確からしい姿として最大の確率にした。
やや悲観 28% 仕入れが細り、利益率は1.5%に沈む 利益 3 億円 · PER 9.4 倍 · 株価時価総額 242 円31 億円
コンビニが返品を減らし、スポット仕入れの量が細る。JV商品の品ぞろえが落ち、競合のドラッグストアや大手スーパーに客を取られる。店は125店で頭打ちになる。居抜きの出店先が減り、新しい店の採算も読みにくくなる。
1店あたりの売上は、物価に追いつかず今の1.2倍にとどまる。営業利益率は1.5%に下がり、売上は350億円ほど。家賃と人件費は下がらず、利益は薄い。
配当は据え置くが、利益は配当に届かない年が出る。独自商品が支えとなって赤字は避けるが、成長の物語は薄れる。新しい店は居抜き物件が減って増やしにくく、既存店の改装で凌ぐ。
- 安売りバラエティ店・食品スーパー:数量 125(店舗数(店))× 価格 2.85(1店あたり売上(億円・名目))→ 売上 356 億円・営業利益 5 億円
倍率:事業のROEは資本コストを下回る。式のPERの上限は1÷kで、構造的に負けが続く筋書きなので、稼ぐ力から約7割半の水準に置いた。
確率:コンビニ返品の仕入れが減り、競合の安売りが強まる姿。直近の営業利益率が0.7%まで落ちている事実から、3割近くに置いた。
悲観 12% 仕入れの源が枯れ、家賃が利益を消す 利益 −1 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 231 円30 億円
コンビニの返品が大きく減り、安さの源が枯れる。客数は競合に流れ、店は105店まで減る。売上は270億円前後まで縮む。サンモールは撤退か売却に追い込まれ、のれんを全額落とす。
家賃と人件費は下がらず、営業利益は赤字になる。低収益の店を閉める費用と、敷金・保証金の回収遅れも重なる。独自商品の水は残るが、全体を支えるほどの規模ではない。
配当は減らさざるを得ない。純現金は赤字の穴埋めに使われる。それでも借金がないため、会社は存続し、規模を縮めて残る。創業家の判断で、サンモールの売却や撤退が検討される。
- 安売りバラエティ店・食品スーパー:数量 105(店舗数(店))× 価格 2.60(1店あたり売上(億円・名目))→ 売上 273 億円・営業利益 −1 億円
倍率:事業は赤字で、稼ぐ力では床を測れない。純現金と売れる資産の税後を床とみて、今の自己資本に0.5倍を掛けた。
確率:JV商品が成り立たなくなり、競合に客を奪われ続ける構造的な負け。家賃は固定費なので、売上が落ちれば赤字に沈む。1割強に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
安売りバラエティ店・食品スーパー
ジェーソンの直営店と、子会社サンモールの食品スーパーを合わせた店舗網。尚仁沢ビバレッジの独自商品を含む。
| 数量店舗数(店) | 価格1店あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 123 | 2.33 | 286 | 2 |
| 10 年後 中立 | 135 | 3.02 | 408 | 11 |
取り方:売上286.0億円と営業利益2.0億円は2026年2月期の決算の値。店舗数は期末のジェーソン直営117店にサンモール6店を足した123店。サンモールは2025年3月末に取得したので売上は約11か月分。1店あたり売上は286.0÷123で出した。店の規模はばらつくので、平均の値として使う。
リスクと懸念
安さの源の細り
目玉のJV商品は、コンビニの返品など限られた仕入れに頼る。供給が減れば、品ぞろえと安さが崩れる。仕入れ環境は物価高で厳しいと、会社も認めている。
薄利と費用の上昇
営業利益率は0.7%まで落ちた。最低賃金の上昇と光熱費の高騰で、少しの費用増が利益を消す。値上げが客足を鈍らせる懸念もある。
家賃という固定の約束
店舗と物流センターの95%以上は賃借だ。家賃は売上が落ちても減らず、敷金・保証金は貸主の事情で戻らないおそれがある。新リース会計の適用で負債は見かけ上増える。
買収の失敗
サンモールは競合の新規参入に押され、のれんなどを減損した。次の買収でも同じことが起きうる。M&A関連の費用が利益を削った。
競合の激化
ドラッグストア、大手スーパー、均一価格の雑貨店、ドン・キホーテ、ネット通販が、同じ客を取りに来る。安さだけでは差がつかない。
首都圏への集中と災害
店と物流が関東に集まっているため、大きな災害は一度に多くの店を止める。独自商品の工場への依存も高まっている。
今後の分かれ目
- コンビニ返品の仕入れが減り、JV商品の品ぞろえが崩れたら
- 悲観・やや悲観の確率を上げる。粗利率と客数を見る。
- 独自の水と強炭酸水の売上が店の外に広がり、粗利が上がったら
- 楽観・やや楽観の確率を上げる。
- 営業利益率が2年続けて2%を下回ったら
- 中立の利益率を下げる。配当を維持できるかも点検する。
- サンモールの赤字が続き、追加の減損が出たら
- 資本の使い方への信頼が下がる。撤退や売却の可能性を見る。
- 創業家の太田興産が持株を大きく動かしたら
- 経営の支配構造が変わる。買収や再編の可能性を点検する。
見ておくもの
- 四半期の既存店売上と粗利率
- 独自商品(天然水・強炭酸水)の売上と工場の稼働
- サンモールの損益と共同店舗の進み具合
- 営業利益率(会社の目標は5%)
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から出した。ROEが資本コストを上回る筋書きは、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)に、残る割合0.5を入れて上限を出し、中立は8割に置いた。今のPERや同業の倍率は使っていない。数量は店舗数、価格は1店あたり売上で、物価の1.34倍は価格にだけ入れた。償却は小さく、物価では増やしていない。家賃は営業費用の中にあり、数字は今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)でそろえた。新リース会計(2028年3月期ごろ)では負債が増え営業利益が少し増えるが、価値の見方は変えていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 14.15→17.71 倍・やや楽観 PER 13.27→16.16 倍・中立 PER 12.49→14.53 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。