結論
リミックスポイントは、電力小売を本業に、蓄電池の販売と、ビットコインの保有を並べる会社だ。2026年3月期は売上178億円、営業損失55億円。ビットコインの評価損59億円が赤字の原因である。
筆者の結論は「割高」だ。時価総額384億円のうち、ビットコインがおよそ175億円を占める。残りの200億円ほどが本業の値段になるが、本業が稼ぐ営業利益は10億円台にとどまる。
本業の電力小売は、売上が211億円と大きい。ただし、電気を市場から仕入れて売る商売で、利益率は5%に届かない。2026年3月は卸電力の価格が跳ね、第4四半期の利益がほぼ消えた。値段を自分で決められない商売である。
蓄電池の販売は、補助金に乗って利益が倍になった。自社で持つ系統用蓄電池が育てば、積み上がる収益になる。だが、その規模はまだ小さい。
ビットコインは、会社の方針で持ち続ける。株主に戻される保証はなく、価格は10年で大きく振れる。ここは、額面の半分だけ数える。
確率で重みを付けた本質価値は、今の時価総額の3割にも届かない。楽観の筋書きでも、資本コストで割り引くと今の値段に届かない。それが割高と言い切る根拠だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、「この会社の利益は、10年後にいくら残るか」を問う。ビットコインの値上がりは、利益ではなく、価格の予想である。
本業は、電力小売の薄い利益と、補助金に支えられた蓄電池の販売だ。堀は見当たらない。10年後に残る営業利益は、物価の分だけ伸びても、10〜20億円の水準とみる。
ビットコインは、それ自体は利益を生まない。持ち続けるだけで何かが増えるわけではない。価値を決めるのは、他の人が将来いくらで買うかだけだ。バリュー投資家は、利益を生まない資産に、高い値段を払わない。
さらに、少数株主はこの資産の使い道を決められない。会社が売って配当に回すのか、さらに買い増すのかは経営陣の判断だ。そのため、帳簿の額の半分だけを数える。
安全域は、自己資本比率86%と、借金のほとんどない財務にある。ただし、時価総額384億円に対しては、安全域は小さい。
何で稼ぐ会社か
事業は3つある。
エネルギー事業は、電力小売が中心だ。全国の工場、病院、商業施設などの高圧需要家が約2,300件、商店や事務所などの低圧の法人が約3万件、一般家庭が約2.4万件になる。販売代理店の網で契約を増やしてきた。電気は卸電力取引所(JEPX)などから調達して売るため、仕入れ値の変動が利益を直撃する。ほかに、自社の太陽光発電所の運営もある。
蓄電ソリューション事業は、家庭用・小型産業用の蓄電池の販売と、補助金の申請支援、太陽光を市場連動の収入に切り替えるFIP転の事業、系統用蓄電所の事業からなる。補助金の採択は累計903件にのぼる。系統用蓄電所は、日本蓄電池との共同事業で2026年末までに7か所を開発する。自社保有を20件以上に増やす計画だ。
デジタルアセットマネジメント事業は、ビットコインの保有と運用である。2026年9月にアルトコインをすべて売り、ビットコインを約1,500枚持つ。SBIデジタルファイナンスに貸し出し、貸借料をビットコインで受け取る形で枚数を増やしている。
会社は3事業の利益構成を変えようとしている。電力小売の安定、蓄電池のストック収益、ビットコインの値上がりの3つを組み合わせる狙いだ。
優良さと弱いところ
優良さは「並み以下」だ。堀、つまりまねされにくい強みが見当たらない。
電力小売は、新電力のどこでも売れる商品だ。仕入れ値も売値も市場で決まる。2026年3月は卸電力価格の急騰で、第4四半期の営業利益は68百万円まで落ちた。容量拠出金(発電所の固定費の負担)も毎年かかる。
強みは、代理店網で新しい顧客を早く集められる営業力だ。低圧の法人の契約は1年で77%、一般家庭は79%増えた。ただし、数を増やすほど、薄い利益の事業になりやすい。
蓄電池の販売は、補助金に頼る部分が大きい。制度が変われば売れ行きも変わる。系統用蓄電池は、参入者が増えると待機の報酬が細る。
資本の使い方には疑問が残る。会社は2026年に、株主から預かった資金でビットコインを買い増した。評価損で59億円を失った年に、さらに10億円を買い足している。本業の事業と無関係な資産に資本を回す姿勢は、バリュー投資の目からは評価しにくい。
一方、財務は健全だ。自己資本比率は86%で、借金はほとんどない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
電力小売の業界は、薄利と変動の中にある。
新電力は、卸電力市場から仕入れて売る。市場価格が安い時期は利益が出るが、2022年のように急騰すると逆ざやになる。2026年3月もホルムズ海峡の封鎖を受けて価格が上がり、利益が急に薄くなった。調達の自由度を上げるため、会社は相対契約や固定単価のプランを増やしている。
蓄電池は、再生可能エネルギーの普及で需要が伸びる。系統用蓄電所は、需給調整市場や卸電力市場で稼ぐが、参入が急増し、報酬が下がりつつある。補助金を軸にした家庭用・産業用の蓄電池も、制度の見直しで売れ行きが変わる。
競合は多い。電力小売では、電力大手の子会社や、グリムスのような法人営業に強い会社がある。蓄電池では、メーカー直販や、再エネの大手が参入している。
ビットコインは、2025年から2026年にかけて、上場企業が財務資産として買う動きが広がった。ただし、価格の変動は大きく、2026年3月期の評価損が示すとおり、会計上の利益は大きく振れる。
10年の姿としては、電力と蓄電池の事業は物価並みに伸びるが、利益率は上がりにくい。ビットコインの価値は、事業とは別の論点になる。
資本政策と M&A
資本政策の最大の特徴は、ビットコインの保有だ。会社は新株予約権などによる希薄化はしないと明言している。手元の資金で買う方針である。2026年3月期には、ビットコインを約130億円で買い増した。4月にも10億円を追加した。
配当は、2026年3月期は小額だった。2027年3月期は業績予想も配当も開示していない。赤字の年でも配当を出した実績はあるが、方針は明確でない。
ビットコインの保有で、株主への還元が遅れることが懸念される。会社が本業で稼いだ利益と、手元のビットコインを、配当や自社株買いで戻す姿勢が見えない。
アルトコインを全て売った資金は、系統用蓄電池などへの投資に回す検討をしている。決まれば、投資額の回収が2〜4年という会社の説明の確度が問われる。
TOB(株式公開買い付け)で買われる可能性は、kabufuの推計で10年以内に26%とされる。筆者は筋書きの確率には織り込まず、起きたときに再評価する。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ビットコインは、上場企業や機関投資家の買いが続き、10年で数倍になる。会社は約1,500枚を持つ。価格が3倍になれば、保有の価値は500億円を超える。
本業も伸びる。電力小売は、代理店網で契約が急増している。販売電力量は、高圧・低圧ともに増えた。容量拠出金の制度は整い、調達のノウハウは内製化されている。
蓄電池は、自社保有の系統用蓄電所が20件以上に増え、積み上がる収益が利益の安定をもたらす。会社が説明する2〜4年の回収が現実になれば、投資の収益は資本コストを大きく上回る。
補助金支援は累計903件、採択率92%と実績がある。再エネと省エネの需要は、物価高の中で続く。
ビットコインの上昇と本業の拡大が同時に起これば、時価総額は今の1.5倍以上になりうる。
会社は新株予約権を使った資金調達をしないと明言している。希薄化なしでビットコインを増やすため、1株あたりの保有量は時間とともに増える。経営陣は暗号資産の扱いに慣れており、レンディングで枚数を増やす運用も始めた。
慎重な見方
ビットコインは、利益を生まない資産であり、価格は10年で半分以下にもなりうる。2026年3月期だけで、59億円の評価損が出た。会社の純損失47億円の大半は、この評価損である。
本業は薄い。電力小売の営業利益率は5%に届かず、卸電力価格が跳ねれば、利益は一瞬で消える。2026年3月の第4四半期の営業利益は、前年の3分の1以下に落ちた。
蓄電池は、参入者の急増で待機の報酬が下がる。会社の説明する2〜4年の回収は、まだ実績で確かめられていない。補助金も、財政の都合で縮みうる。
少数株主は、ビットコインの使い道を決められない。会社は、株主から預かった資金で買い増しを続けている。評価損の年にも10億円を追加した。
時価総額384億円のうち、本業の分は200億円ほどだ。営業利益が10億円台の事業に、この値段は高すぎる。本業が伸びなければ、ビットコインの値上がりがなければ、今の値段は支えられない。
経営の判断が、事業の安定よりも暗号資産の値動きに引きずられやすい点は、10年を通じて続くリスクである。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方のほうが強い。理由は、時価総額の約半分がビットコインで、その価値は会社が戻す保証のない資産だからだ。本業の利益は小さく、今の値段を支える力はない。強気の言い分にも根拠はあり、ビットコインが数倍になる筋書きを、楽観に置いた。
確率は、楽観7%・やや楽観18%・中立36%・やや悲観26%・悲観13%とした。ビットコインの価格の振れを、筋書きごとの保有額で表し、確率には重ねて織り込んでいない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 177 円260 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 28 円41 億円)。 今の値に割り戻すと 95 円139 億円、今との差 −59.5%、 期待の年率 −1.3%(資本コスト 8.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 496 円728 億円 | 78 円115 億円 | +145.6% | +9.4% | 40 円59 億円 |
| やや楽観 | 18% | 306 円449 億円 | 48 円71 億円 | +51.6% | +4.2% | 64 円94 億円 |
| 中立 | 36% | 185 円272 億円 | 30 円44 億円 | −8.0% | −0.8% | 78 円114 億円 |
| やや悲観 | 26% | 62 円90 億円 | 11 円16 億円 | −69.0% | −11.1% | 19 円28 億円 |
| 悲観 | 13% | 34 円50 億円 | 0 円0 億円 | −85.5% | −17.5% | 4 円6 億円 |
| 加重平均 | 100% | 177 円260 億円 | 28 円41 億円 | −12.5% | −1.3% | 205 円300 億円 |
今の株価時価総額 234 円343 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 7% ビットコインが数倍に上がり、本業も伸びる 利益 30 億円 · PER 12.6 倍 · 株価時価総額 496 円728 億円
ビットコインが上場企業と機関投資家の買いで3倍以上に上がり、会社の保有額が600億円を超える。本業では、電力小売の販売電力量が今の1.6倍に伸び、営業利益率も6%台に乗る。
蓄電池は、自社保有の系統用蓄電所が20基に増え、1基の収益も計画どおりに出る。販売でも補助金が続き、受注が今の2倍近くになる。
10年後の営業利益は40億円、純利益は26億円。本業のROEは資本コストをはっきり上回る。ビットコインの保有が、会社の価値の大半を占める姿である。
配当の方針は示されていないが、利益が出れば還元に回る余地が生まれる。ただし、会社がビットコインを売って株主に戻すのか、買い増すのかは経営陣が決める。
- 電力小売(エネルギー事業):数量 14.0(販売電力量(億kWh))× 価格 32(平均販売単価(1kWhあたり、名目))→ 売上 450 億円・営業利益 29 億円。14 × 32.1198、営業利益率 6.5%
- 蓄電池の販売・補助金支援(蓄電ソリューション):数量 1,800(年間の案件数(件))× 価格 0.03(1件あたり売上(億円・名目))→ 売上 58 億円・営業利益 13 億円。1800 × 0.03203、営業利益率 22.0%
- 自社保有の系統用蓄電池:数量 20.0(稼働基数(年平均))× 価格 1.90(1基あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 38 億円・営業利益 17 億円。20 × 1.9、営業利益率 45.0%。需給調整市場の報酬の低下と参入の急増で、1基の年間売上は物価ほど上がらない(今の想定を下回る水準)
- ビットコインの貸借料(デジタルアセット):数量 1,506(保有枚数(枚))× 価格 0.00(1枚あたりの年間貸借料(億円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 6 億円。1506 × 0.00406、営業利益率 90.0%
倍率:事業の純利益 26 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 90.5% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 49.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 19.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 19.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)221 億円。全体の PER 12.64 倍、時価総額 728 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ビットコインの値上がりと、補助金・調達の追い風が同時に続く必要がある。確率は1割に届かない。
やや楽観 18% 本業が伸び、ビットコインも緩やかに上がる 利益 17 億円 · PER 15.2 倍 · 株価時価総額 306 円449 億円
ビットコインは緩やかに上がり、保有額は350億円ほどになる。電力小売は代理店網で契約が増え続け、販売電力量は今の1.4倍になる。利益率は5%台で、競争と調達コストで頭打ちになる。
蓄電池は、自社保有が14基に増える。参入者の増加で1基の収益は計画を下回るが、積み上がる収益として利益に貢献する。販売は補助金に支えられて堅調である。
10年後の営業利益は24億円。純利益は15億円。本業のROEは資本コストを上回るが、ビットコインへの依存は変わらない。
ビットコインは緩やかな上昇にとどまり、価値の大きな部分を占める点は変わらない。系統用蓄電池の稼働実績が出そろい、積み上がる収益の質が確かめられていく。
- 電力小売(エネルギー事業):数量 12.0(販売電力量(億kWh))× 価格 32(平均販売単価(1kWhあたり、名目))→ 売上 385 億円・営業利益 21 億円。12 × 32.1198、営業利益率 5.5%
- 蓄電池の販売・補助金支援(蓄電ソリューション):数量 1,500(年間の案件数(件))× 価格 0.03(1件あたり売上(億円・名目))→ 売上 45 億円・営業利益 9 億円。1500 × 0.02988、営業利益率 20.0%
- 自社保有の系統用蓄電池:数量 14.0(稼働基数(年平均))× 価格 1.70(1基あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 24 億円・営業利益 10 億円。14 × 1.7、営業利益率 42.0%。需給調整市場の報酬の低下と参入の急増で、1基の年間売上は物価ほど上がらない(今の想定を下回る水準)
- ビットコインの貸借料(デジタルアセット):数量 1,506(保有枚数(枚))× 価格 0.00(1枚あたりの年間貸借料(億円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 3 億円。1506 × 0.00232、営業利益率 90.0%
倍率:事業の純利益 14 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 51.1% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 29.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.2 倍 + 余った現金(戻り方込み)197 億円。全体の PER 15.16 倍、時価総額 449 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:本業の営業力が成果を出し、ビットコインも上がる現実的な上振れ。2割弱を置いた。
中立 36% 本業は物価並みで、ビットコインも物価並み 利益 10 億円 · PER 14.9 倍 · 株価時価総額 185 円272 億円
ビットコインは物価と同じ程度に上がり、保有額は約235億円になる。電力小売は販売電力量が今の1.25倍に伸び、利益率は5%を割る水準にとどまる。調達コストの変動で、年によって利益が大きく動く。
蓄電池は、自社保有が10基になる。需給調整市場の報酬が下がり、1基の収益は会社の説明の7割ほどだ。販売は補助金の縮小で、伸びが鈍る。
10年後の営業利益は13億円。純利益は8億円。本業のROEは資本コストをわずかに上回る程度で、特別な会社にはならない。ビットコインの保有は続くが、株主に戻る保証はない。
この筋書きでは、会社は小さな黒字の電力・蓄電池事業と、大きなビットコインの保有を抱え続ける。配当は小額にとどまり、成長への投資と暗号資産の買い増しが優先される。
- 電力小売(エネルギー事業):数量 11.0(販売電力量(億kWh))× 価格 32(平均販売単価(1kWhあたり、名目))→ 売上 353 億円・営業利益 17 億円。11 × 32.1198、営業利益率 4.8%
- 蓄電池の販売・補助金支援(蓄電ソリューション):数量 1,200(年間の案件数(件))× 価格 0.03(1件あたり売上(億円・名目))→ 売上 34 億円・営業利益 6 億円。1200 × 0.02868、営業利益率 18.0%
- 自社保有の系統用蓄電池:数量 10.0(稼働基数(年平均))× 価格 1.40(1基あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 14 億円・営業利益 6 億円。10 × 1.4、営業利益率 40.0%。需給調整市場の報酬の低下と参入の急増で、1基の年間売上は物価ほど上がらない(今の想定を下回る水準)
- ビットコインの貸借料(デジタルアセット):数量 1,506(保有枚数(枚))× 価格 0.00(1枚あたりの年間貸借料(億円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 2 億円。1506 × 0.001554、営業利益率 90.0%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 17.0% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.5 倍 + 余った現金(戻り方込み)176 億円。全体の PER 14.93 倍、時価総額 272 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:本業が物価並みにしか伸びず、ビットコインも物価並みに上がる最も起こりやすい筋書き。3割台半ばを置いた。
やや悲観 26% 補助金の縮小と競争で本業が薄くなる 利益 2 億円 · PER 7.8 倍 · 株価時価総額 62 円90 億円
補助金が縮小し、競合が増えて、本業の利益率が薄くなる。電力小売の販売電力量は伸びるが、調達コストを転嫁しきれず、利益率は3%台に落ちる。
蓄電池は、系統用の参入が急増して報酬が下がり、自社保有は6基にとどまる。販売も補助金の縮小で減る。
ビットコインも7割の水準に下がり、保有額は120億円ほど。10年後の営業利益は1億円程度で、本業は損益の分かれ目に近い。会社の価値の大半は、ビットコインに帰着する。
アルトコインの売却資金で買った系統用蓄電池の収益が計画に届かず、投資の一部が減損になる。配当も減り、資本の使い方への不信が強まる。
- 電力小売(エネルギー事業):数量 9.0(販売電力量(億kWh))× 価格 31(平均販売単価(1kWhあたり、名目))→ 売上 280 億円・営業利益 10 億円。9 × 31.161、営業利益率 3.5%
- 蓄電池の販売・補助金支援(蓄電ソリューション):数量 800(年間の案件数(件))× 価格 0.03(1件あたり売上(億円・名目))→ 売上 20 億円・営業利益 3 億円。800 × 0.0251、営業利益率 13.0%
- 自社保有の系統用蓄電池:数量 6.0(稼働基数(年平均))× 価格 1.00(1基あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 2 億円。6 × 1.0、営業利益率 30.0%。需給調整市場の報酬の低下と参入の急増で、1基の年間売上は物価ほど上がらない(今の想定を下回る水準)
- ビットコインの貸借料(デジタルアセット):数量 1,506(保有枚数(枚))× 価格 0.00(1枚あたりの年間貸借料(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。1506 × 0.000812、営業利益率 90.0%
倍率:本業のROE 1.1% は資本コスト 8.75% 以下なので、PER は 1÷k=11.1 倍が上限。利益がほぼなく、稼ぐ力が細るので、上限の 7 割、7.8 倍に置いた。ビットコインは保有額に戻り方 0.5 を掛けて足した。
確率:補助金の縮小と競争の激化は、この型の事業では起こりやすい。ビットコインの下落も重なる形で、2割台半ばを置いた。
悲観 13% ビットコインが暴落し、電力も逆ざやに沈む 利益 −2 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 34 円50 億円
電力小売は、卸電力価格の急騰が繰り返され、逆ざやで利益が消える。顧客も離れ、販売電力量は今の8割に減る。蓄電池の販売は補助金の廃止で細り、自社保有の系統用蓄電池も3基止まりで、一部は減損する。
ビットコインは3割の水準まで下がり、保有額は50億円ほど。会社は本業で赤字を出し続ける。
10年後は、規模を縮めた小さな会社として生き残る。価値は、売れる資産と残った現金で測る局面になる。
会社は事業の整理を進め、人員を減らす。ビットコインを売却して損失を埋める判断も出るが、その時点では安値での売却になる。少数株主に残る価値は小さい。
- 電力小売(エネルギー事業):数量 7.0(販売電力量(億kWh))× 価格 30(平均販売単価(1kWhあたり、名目))→ 売上 210 億円・営業利益 1 億円。7 × 29.9625、営業利益率 0.5%
- 蓄電池の販売・補助金支援(蓄電ソリューション):数量 500(年間の案件数(件))× 価格 0.02(1件あたり売上(億円・名目))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。500 × 0.02151、営業利益率 5.0%
- 自社保有の系統用蓄電池:数量 3.0(稼働基数(年平均))× 価格 0.60(1基あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。3 × 0.6、営業利益率 5.0%。需給調整市場の報酬の低下と参入の急増で、1基の年間売上は物価ほど上がらない(今の想定を下回る水準)
- ビットコインの貸借料(デジタルアセット):数量 1,506(保有枚数(枚))× 価格 0.00(1枚あたりの年間貸借料(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。1506 × 0.000348、営業利益率 90.0%
倍率:稼ぐ力はほぼ 0 で、赤字が続く。価値は売れる資産の税後の水準まで下がる。今の自己資本 240 億円に 0.208 を掛けた。ビットコイン(保有額 52 億円)には戻り方 0.5 を掛けて数えた。
確率:ビットコインの暴落と、電力・補助金の悪化が重なる、構造的な負けの筋書き。1割強を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
電力小売(エネルギー事業)
卸電力取引所と相対契約で調達した電気を、高圧・低圧の需要家に売る。販売代理店網で契約を増やしている。
| 数量販売電力量(億kWh) | 価格平均販売単価(1kWhあたり、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 8.8 | 24 | 211 | 10 |
| 10 年後 中立 | 11.0 | 32 | 353 | 17 |
取り方:2026年3月期のエネルギー事業の売上210.9億円、営業利益10.4億円(利益率4.9%)。販売電力量は決算資料の第4四半期の実績(高圧1.70億kWh、低圧0.67億kWh)から年約8.8億kWhと推定し、売上を割って平均単価を1kWhあたり二十数円とした。契約は高圧2,312件、低圧法人約3.15万件、家庭約2.35万件。
蓄電池の販売・補助金支援(蓄電ソリューション)
家庭用・小型産業用の蓄電池の販売、補助金の申請支援、FIP転と系統用蓄電所のコンサルティングと施工。
| 数量年間の案件数(件) | 価格1件あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,000 | 0.02 | 24 | 6 |
| 10 年後 中立 | 1,200 | 0.03 | 34 | 6 |
取り方:2026年3月期の蓄電ソリューション事業の売上23.9億円、営業利益5.6億円(利益率23%)。件数の開示は無く、家庭用・産業用・系統用の関連の案件をならして年1,000件・1件239万円と推定した。補助金に左右される。
自社保有の系統用蓄電池
送電網につないだ大型蓄電池を自社で持ち、需給調整市場や卸電力市場で稼ぐ。日本蓄電池との共同事業を含む。
| 数量稼働基数(年平均) | 価格1基あたりの年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.1 | 1.60 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 10.0 | 1.40 | 14 | 6 |
取り方:2026年3月に受電を始めた1基目が稼働したばかりで、売上はまだ小さい。1基あたりの年間売上は、同領域のグリムスの推定(約1.6億円)に合わせた。会社は2026年末までに7か所、自社保有20件以上を目指すと説明している。
ビットコインの貸借料(デジタルアセット)
保有するビットコインをSBIデジタルファイナンスに貸し出して得る貸借料。元本に加算され、保有枚数が増える。
| 数量保有枚数(枚) | 価格1枚あたりの年間貸借料(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,506 | 0.00 | 2 | 2 |
| 10 年後 中立 | 1,506 | 0.00 | 2 | 2 |
取り方:2026年2月から全量を貸し出している。貸借料の率は開示が無く、保有額(1枚約1,160万円)の約1%と推定して年間約1.7億円と置いた。評価損益は本業の稼ぎでないので、ここには入れず、保有額として別に数える。価格はビットコインの価格の指数に連動させた。
リスクと懸念
ビットコインの価格変動
時価総額の約半分を占めるビットコインは、価格が10年で大きく振れる。2026年3月期は評価損59億円を計上し、純損失は47億円に達した。会計上の利益が毎期大きく振れ、配当や本業の評価がゆがむ。
ビットコインを株主に戻す保証がない
会社の方針は戦略的な保有で、売却して配当や自社株買いに回す計画は示されていない。少数株主は使い道を決められない。そのため、帳簿の額の半分だけを価値に数えた。
卸電力価格の急騰
電力小売は、卸電力市場から仕入れて売る。2026年3月はホルムズ海峡の封鎖を受けて価格が上がり、第4四半期の営業利益は68百万円まで落ちた。市場連動のプランは顧客に転嫁できるが、固定単価のプランは逆ざやになる。
補助金と制度の変更
蓄電池の販売、補助金支援、FIP転の事業は、国と自治体の補助金に支えられる。財政の都合や制度の見直しで、売れ行きや利益率が大きく変わる。容量拠出金などの制度も、毎年のコストを動かす。
系統用蓄電池の収益
自社保有を20件以上に増やす計画だが、参入者が急増し、需給調整市場の報酬が下がっている。会社は2〜4年で回収できると説明するが、実績はまだ少ない。投資が思ったほど回収できなければ、資本が目減りする。
資本配分の判断
評価損を出した年にも、ビットコインを買い増した。アルトコインの売却資金を蓄電池に回す検討は、評価できるが、投資の成果はこれから問われる。経営の判断が暗号資産の値動きに引きずられるおそれがある。
競争の激化
電力小売は参入が容易で、代理店を通じた営業は他社も同じ手法を使う。契約数を増やしても利益率が上がらず、手数料の負担が重くなる。蓄電池でも、メーカー直販や再エネの大手が競合する。
今後の分かれ目
- ビットコインが数倍に上がり、会社の保有額が500億円を超える
- 保有の価値は大きく増えるが、株主に戻る保証がない点は変わらない。楽観の筋書きに近づく。
- ビットコインが半分以下に下がる
- 保有の価値が大きく目減りし、本業の小ささが際立つ。悲観の筋書きに近づく。
- 会社がビットコインの一部を売却し、配当や自社株買いに充てる
- 戻り方の評価を引き上げる材料になり、価値を押し上げる。
- 系統用蓄電池の自社保有が計画どおり増え、収益が実績で確かめられる
- ストック収益の質が上がり、倍率の上振れ材料になる。
- 卸電力価格が高止まりし、電力小売が逆ざやになる
- 本業の利益が消え、やや悲観・悲観の確率を上げる。
- 補助金が大幅に縮小または廃止される
- 蓄電池の販売と補助金支援が細り、本業の利益が下振れする。
見ておくもの
- ビットコインの保有枚数と、円建ての時価(四半期の決算説明資料)
- 卸電力市場(JEPX)の価格と、電力小売の営業利益率
- 系統用蓄電池の稼働基数と、1基あたりの収益
- 補助金の制度変更(経産省・環境省)
- 会社のビットコインに関する株主還元の方針
倍率と資本コストの決め方
先に電力小売・蓄電池販売・自社の系統用蓄電池の3つに分け、販売電力量や件数と1件の値段(物価で1.34倍を基本)で10年の売上を積み、そのあとで利益率を置いた。ビットコインは本業と分け、筋書きごとの保有額に戻り方0.5を掛けて足した。倍率は資本コスト8.75%(基本7.5%に+1.5%)と、本業のROEから決まる式で置いた。今の株価や過去のPER、同業の倍率は使っていない。電力小売の売上と販売電力量は、決算資料の数字と推定を分けた。新リース会計の影響は小さく、今の形にそろえている。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13.4→12.64 倍・やや楽観 PER 11.1→15.16 倍・中立 PER 8.9→14.93 倍)。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k は基本 7.5% に quality +1.5% を足した 9.0%。事業は傾いていないので extra は置かない。ビットコインの価格変動は k でなく、筋書きごとの保有額で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.00% → 8.75%。