結論
MIXI は、スマホゲーム「モンスターストライク(モンスト)」で稼ぐ会社から、スポーツとファミリーアプリを持つ会社へ変わろうとしている。ただ、今も利益の大半はモンストが生んでいる。
筆者の結論は割高だ。10 年で測った本質価値は、今の時価総額を 5 割以上下回る。モンストの遊ぶ人は減り続けており、後継の柱はまだ薄利だからである。
手元は厚い。純現金は 660 億円、運用資産の時価は 597 億円ある。悲観の床はこの資産が決める。創業者が株の 4 割超を持つので、会社が突然壊れる心配は小さい。
育っている柱はスポーツだ。豪州の PointsBet を買い、競輪のオンライン販売とバスケットの千葉ジェッツを足して、売上は 658 億円まで来た。ただ利益率は 1 桁で、豪州は規制が強まる。
家族の写真アプリ「みてね」は黒字になった。まだ小さいが、世界で伸びる余地がある。今の値段は、モンストの稼ぎが長く続く前提を織り込みすぎている、と筆者は見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、割高で、今は持ちたくない会社だ。理由は 3 つある。
第 1 に、利益を生む事業が 1 本足である。モンストは 13 年目で、遊ぶ人は減り続けている。10 年先もこの利益が残る保証は薄い。長く持つ会社は、稼ぎの源が 10 年先も強くなる会社でなければならない。
第 2 に、資本の使い方が評価しにくい。ゲームで稼いだ現金を、競り合って買った豪州の賭け事業に注いだ。のれんの償却が重く、買収で価値が増えたとはまだ言えない。
第 3 に、安全域が無い。10 年の本質価値は今の値段を 5 割以上下回る。上振れの筋書きでも今の値段は超えにくい。
良い点もある。純現金と運用資産が厚く、創業者が長期の目線で経営する。みてねは堀が育つ事業だ。ただ、これらは悲観の床を支えるものであって、今の値段を正当化するものではない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は 3 つに分かれる。デジタルエンタテインメント、スポーツ、ライフスタイルだ。投資事業が脇を固める。
デジタルエンタテインメントは、モンストの運営が中心である。2013 年に始まり、仲間と集まって遊ぶ設計で長く続いてきた。売上は 838 億円、セグメント利益は 430 億円。ここがグループの利益の 8 割超を生む。独自の決済サイト(モンストウェブショップ)の利用が全体の 5 割強まで広がり、アプリストアに払う手数料が減っている。2026 年 4 月には世界版の STRIKE WORLD をインドで本格運用に入れた。
スポーツは第二の柱だ。2025 年 9 月に豪州のスポーツ賭け事業者 PointsBet を買収して連結した。国内では TIPSTAR とチャリ・ロトで競輪などのオンライン車券を売り、競輪場の運営も受託する。バスケットの千葉ジェッツ、サッカーの FC 東京もこの中にある。売上は 658 億円で、前の期の約 1.6 倍だ。
ライフスタイルは、家族の写真と動画を共有する「家族アルバム みてね」、美容予約の minimo、年賀状などだ。売上は 172 億円。みてねは登録者が 3,000 万人、月間利用者が 1,200 万人と公表され、この期に黒字へ転じた。投資事業は、ベンチャー投資の持ち分や運用資産を持つ。時価評価の純資産は 597 億円で、投じた額の約 2.5 倍に増えている。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、ゲームでは細り気味で、家族アプリでは育っている。
モンストは、友達と協力して遊ぶ体験とキャラクターの蓄積が堀になってきた。ただ、この堀は新しいユーザーを引き込む力が弱まっている。月間の遊ぶ人は減り続け、売上は直近の期で 1 割落ちた。利益が守られているのは、決済の手数料を減らし、広告を絞ったためで、売上の減りを費用で埋めているにすぎない。
みてねは別物だ。親が子どもの写真を預け、祖父母が見る仕組みは、一度使い始めると移りにくい。使う人が増えるほど家族の輪が広がるので、ネットワークの力が働く。
スポーツは、規模は出たが堀がまだ薄い。豪州の賭け事業は、大手が先行し、競争と規制で利益が出にくい。競輪のオンライン販売も、サイバーエージェントなどが競う。
資本の使い方には不安が残る。PointsBet では対抗する買い手と競り合い、買値は 352 億円まで上がった。子会社で 10 億円を超える社内不正も起きた。人員が 1 年で約 400 人増えたのに、利益率は下がっている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ゲームの市場は、すでに新しい遊び手が入りにくい成熟期にある。運営型のスマホゲームは、ひとつのタイトルが 10 年を超えて続くこと自体が珍しい。ポケモンや Fate、ウマ娘のような強い版権を持つ競合が、遊ぶ時間と課金額を奪い合っている。
モンストの国内の売上は、10 年のあいだ緩やかに細るのが自然だ。人口が減り、遊ぶ時間は動画に流れる。MIXI は、インドを足がかりに、日本発の版権を海外で伸ばす考えだ。ただ、インドは 1 人あたりの課金が日本の何分の一にとどまる。大きな売上が立つのは、早くても 2030 年代の初めと会社も語る。
スポーツ賭けは、2 つの市場に分かれる。日本の公営競技は、競輪を中心にオンライン販売が伸びる。ここで MIXI はチャリ・ロトと TIPSTAR を持ち、競輪場運営の受託も強い。豪州のオンライン賭けは、PointsBet が大手の下に位置する中堅で、利益が出にくい。高額客への制限が売上を削る流れが報じられている。
写真共有は、Google フォトなど巨大な競合がいる。みてねは「家族向け・子どもの成長」に絞った作りで共存してきた。
10 年を決めるのは 3 つだ。モンストの遊ぶ人の減る速さ、豪州の規制、みてねが世界で収益化できるか。
資本政策と M&A
資本政策は大きく変わりつつある。配当の目安を、利益の 2 割から 4 割へ引き上げた。2027 年 3 月期の配当は、利益の上振れに合わせて増やす計画だ。自社株は発行済みの 8.7% を持っている。
買収は積極的だ。PointsBet に 352 億円を使い、スポーツを第二の柱に据えた。インドでは 35 億円を先行投資する。一方、持ち分法の関連会社だった暗号資産取引所のビットバンクは、SBI グループへ全株を売り、約 122 億円の売却益を 2027 年 3 月期に計上する。以前にはタイミー株の売却益も出した。買って伸ばし、育ったら売る。ベンチャー投資の目利きは悪くない。
創業者の笠原健治氏が株の 4〜5 割を持つ。株探では約 45.6%、有価証券報告書ベースでは約 50%(資料で差がある)。そのため、外部から買収される可能性は低く、株主還元の水準も創業者の考え次第である。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
モンストは 13 年目でも売上 838 億円を稼ぐ、日本のゲームの中でも数少ない息の長い作品だ。減収でも利益が守られているのは、独自決済の拡大で手数料を削り、コストを締めてきたからで、遊ぶ人が戻れば利益は急に跳ねる。実際に 2027 年 3 月期の第 1 四半期は、モンストの 1 人あたり売上が上がり、グループの営業利益は前年の約 2 倍になった。
インドの STRIKE WORLD は、会社が売上を見込んでいない段階で 35 億円を先行投資している。当たれば、国内の減りを補う新しい市場になる。
スポーツは第 2 の柱に育った。PointsBet の連結で売上は 658 億円になり、5 年の年平均で 37% 伸びてきた。競輪のオンライン販売は、公営競技の中でも伸びが続く。千葉ジェッツやみてねを含め、ゲーム以外の売上は全体の半分を超えた。
資産も厚い。純現金 660 億円に、運用資産の時価 597 億円を足すと、時価総額の 4 割を超える。配当の目安も 2 割から 4 割へ上がった。事業が複数に分かれて安定すれば、ゲームの減りを気にしすぎる値付けは、いずれ見直される。
慎重な見方
モンストの売上は直近の期で 1 割落ちた。2027 年 3 月期の予想も 7.6% 減の 775 億円で、遊ぶ人の減りは止まっていない。グループの利益の大半をこのゲームが支えている。このゲームの寿命が尽きれば、グループの稼ぎは一気に崩れる。
スポーツの稼ぎは薄い。売上は 658 億円でも、セグメント利益は 51 億円で、利益率は 1 桁だ。豪州では高額客の制限が売上を落とし、PointsBet は豪州の売上が落ちると報じられている。競輪のオンライン販売も、サイバーエージェントなど資金力のある相手が競っている。
資本の使い方も安心できない。買収では対抗者と競り合って値を上げた。人員は 1 年で約 400 人増えたが、営業利益率は下がった。子会社の 10 億円超の不正は、統治の網がグループの拡大に追いついていない証拠である。
今期の純利益 250 億円は、ビットバンクの売却益 122 億円を含む一時的な数字にすぎない。それを除くと、稼ぐ力は 130 億円台だ。
どちらに重みを置いたか
強い方は慎重な見方だ。モンストへの依存と薄利のスポーツという構造は、強気の見方でも崩せない。資産の厚さは悲観の床を支えるが、中立の稼ぐ力は今の水準に届かない。
そこで確率は中立に最大の重みを置き、やや悲観を 29%、悲観を 15% と厚めにして、悲観側を合わせて 4 割台半ばとした。やや楽観の 17% と楽観の 6% は、スポーツとみてねが予想以上に育つ場合の上振れだ。結果として、10 年の本質価値は今の値段を 5 割以上下回る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 3,774 円2,465 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 927 円606 億円)。 今の値に割り戻すと 2,379 円1,554 億円、今との差 −40.5%、 期待の年率 +1.6%(資本コスト 8.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 10,659 円6,962 億円 | 2,144 円1,400 億円 | +220.1% | +12.3% | 768 円502 億円 |
| やや楽観 | 17% | 6,773 円4,424 億円 | 1,378 円900 億円 | +103.8% | +7.4% | 1,386 円905 億円 |
| 中立 | 33% | 3,995 円2,609 億円 | 995 円650 億円 | +24.8% | +2.2% | 1,647 円1,076 億円 |
| やや悲観 | 29% | 1,773 円1,158 億円 | 735 円480 億円 | −37.3% | −4.6% | 727 円475 億円 |
| 悲観 | 15% | 1,000 円653 億円 | 153 円100 億円 | −71.2% | −11.7% | 173 円113 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,774 円2,465 億円 | 927 円606 億円 | +17.5% | +1.6% | 4,701 円3,070 億円 |
今の株価時価総額 4,000 円2,612 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 6% 楽観:海外でもヒットが生まれ、スポーツとみてねが第二・第三の柱に育つ10年 利益 382 億円 · PER 16.4 倍 · 株価時価総額 10,659 円6,962 億円
モンストは国内の遊ぶ人が緩やかに減るが、イベントと独自決済で 1 人あたりの売上を保ち、インド版 STRIKE WORLD が海外の柱になる。ゲームの売上は今の 1.2 倍の約 1,000 億円で踏みとどまる。スポーツは PointsBet の豪州事業が規制の谷を越え、競輪のオンライン販売とバスケットのチケット・スポンサーも伸びて、売上は 2,000 億円を超える。みてねは世界で家族の写真を預かる場として定着し、有料会員が積み上がる。全社の営業利益は 530 億円まで伸び、資本の使い方も株主還元 4 割が定着して、持ち続けたい会社になる。
- デジタルエンタテインメント(モンスターストライク):数量 230(モンストを遊ぶ人(月間利用者・万人。海外分を含む。MIXI は絶対数を開示しないため推定))× 価格 43,628(1 人あたり年間売上(円)。物価の指数を含む名目の値)→ 売上 1,003 億円・営業利益 470 億円。国内 190 万人に海外 40 万人を足した実質の遊ぶ人。1 人あたり売上は 1.30 倍
- スポーツ(PointsBet・公営競技・千葉ジェッツ・FC 東京):数量 7,500(賭け金・車券販売額・チケットなどの取扱高相当(億円・今の値段))× 価格 0.27(売上化率(売上÷取扱高)。物価の分は価格の側に入れ、10 年で 1.34 倍が中立)→ 売上 2,010 億円・営業利益 221 億円。取扱高は今の年換算の約 1.9 倍。売上化率は物価並みの 1.34 倍。営業利益率 11%
- ライフスタイル(みてね・minimo・年賀状):数量 3,000(みてねの月間利用者(万人)を事業全体の代理にした)× 価格 2,002(1 人あたり年間売上(円)。名目)→ 売上 601 億円・営業利益 120 億円。みてねの利用者が世界で 3,000 万人。営業利益率 20%
- 投資:数量 800(運用資産の時価(NAV・億円))× 価格 0.10(売上収益率(売上÷NAV)。名目)→ 売上 80 億円・営業利益 10 億円。運用資産の残高。含み益は余った現金側で見るので営業利益はほぼ費用
倍率:事業の純利益 370 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.3% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)890 億円。全体の PER 16.43 倍、時価総額 6,962 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内のモンストが細る流れを、インドと新作、スポーツの規模が同時に打ち消す必要があり、重なる確率は低い。それでも会社が中期の目標に掲げる筋書きなので 6% を置く。
やや楽観 17% やや楽観:モンストは緩やかに縮み、スポーツとみてねの成長が穴を埋める10年 利益 253 億円 · PER 14.7 倍 · 株価時価総額 6,773 円4,424 億円
モンストは遊ぶ人が国内で 2 割ほど減るが、アニメやコラボで単価を保ち、売上は今とほぼ同じ 840 億円で推移する。スポーツは PointsBet が豪州で黒字を定着させ、競輪のオンライン販売の拡大もあって売上が 1,700 億円近くに達する。みてねは 2,500 万人規模になり、広告に頼らない家族向けの課金が軌道に乗る。全社の営業利益は 350 億円で、今の 1.6 倍になる。ただし本社費用の重さは残り、利益率の改善は緩やかだ。会社の掲げる中期の姿に近いが、モンストが縮む分だけ控えめで、ゲームの売上が 900 億円を超える目標には届かない。株主還元の 4 割は守られ、運用資産の収益も少しずつ積み上がる。それでも、筋書きは 1 本足の弱さを抱えたままだ。
- デジタルエンタテインメント(モンスターストライク):数量 200(モンストを遊ぶ人(月間利用者・万人。海外分を含む。MIXI は絶対数を開示しないため推定))× 価格 41,950(1 人あたり年間売上(円)。物価の指数を含む名目の値)→ 売上 839 億円・営業利益 378 億円。遊ぶ人は 200 万人(国内 170 万・海外 30 万)。1 人あたり売上 1.25 倍
- スポーツ(PointsBet・公営競技・千葉ジェッツ・FC 東京):数量 6,300(賭け金・車券販売額・チケットなどの取扱高相当(億円・今の値段))× 価格 0.27(売上化率(売上÷取扱高)。物価の分は価格の側に入れ、10 年で 1.34 倍が中立)→ 売上 1,688 億円・営業利益 152 億円。取扱高は今の年換算の約 1.6 倍。営業利益率 9%
- ライフスタイル(みてね・minimo・年賀状):数量 2,500(みてねの月間利用者(万人)を事業全体の代理にした)× 価格 1,959(1 人あたり年間売上(円)。名目)→ 売上 490 億円・営業利益 83 億円。みてね 2,500 万人。営業利益率 17%
- 投資:数量 700(運用資産の時価(NAV・億円))× 価格 0.10(売上収益率(売上÷NAV)。名目)→ 売上 70 億円・営業利益 8 億円。運用資産の残高
倍率:事業の純利益 241 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.4% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.7 倍 + 余った現金(戻り方込み)890 億円。全体の PER 14.69 倍、時価総額 4,424 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の見通しより低いが、スポーツ(PointsBet と公営競技)とみてねの伸びだけで、モンストの減りをほぼ埋められる筋書き。実現しやすい上側の姿として 17% を置く。
中立 33% 中立:モンストは細り、スポーツとみてねが半分を肩代わりする横ばいの10年 利益 150 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 3,995 円2,609 億円
遊ぶ人はモンストで 4 割減り、インドを足しても 165 万人にとどまる。1 人あたりの売上は物価の半分程度しか上がらず、ゲームの売上は 660 億円に下がる。スポーツは PointsBet の通年連結と競輪のオンライン販売で売上が 1,400 億円まで伸びるが、豪州の規制と税が重く利益率は 8% どまり。みてねは 2,000 万人まで広がり、利益率が 15% に乗る。全社の営業利益は 215 億円で、今とほぼ変わらない。物価の 3% を吸収しながら、稼ぐ力が名目で横ばいという、静かな 10 年である。
- デジタルエンタテインメント(モンスターストライク):数量 165(モンストを遊ぶ人(月間利用者・万人。海外分を含む。MIXI は絶対数を開示しないため推定))× 価格 40,272(1 人あたり年間売上(円)。物価の指数を含む名目の値)→ 売上 664 億円・営業利益 279 億円。遊ぶ人は 165 万人(国内 150 万・海外換算 15 万)。1 人あたり売上 1.20 倍(課金の頭打ちと他の遊びとの競争で物価並みには上がらない)
- スポーツ(PointsBet・公営競技・千葉ジェッツ・FC 東京):数量 5,300(賭け金・車券販売額・チケットなどの取扱高相当(億円・今の値段))× 価格 0.27(売上化率(売上÷取扱高)。物価の分は価格の側に入れ、10 年で 1.34 倍が中立)→ 売上 1,420 億円・営業利益 114 億円。取扱高は今の年換算の約 1.3 倍(PointsBet の通年化は年換算に含む)。営業利益率 8%
- ライフスタイル(みてね・minimo・年賀状):数量 2,000(みてねの月間利用者(万人)を事業全体の代理にした)× 価格 1,916(1 人あたり年間売上(円)。名目)→ 売上 383 億円・営業利益 57 億円。みてね 2,000 万人。営業利益率 15%
- 投資:数量 600(運用資産の時価(NAV・億円))× 価格 0.10(売上収益率(売上÷NAV)。名目)→ 売上 60 億円・営業利益 5 億円。運用資産の残高
倍率:事業の純利益 138 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.5% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍 + 余った現金(戻り方込み)890 億円。全体の PER 12.5 倍、時価総額 2,609 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:1 本足のゲームが年 5% ほどずつ実質で細る一方、スポーツとみてねの伸びが約半分を埋める。いちばん起こりそうな姿として最大の重みを置く。
やや悲観 29% やや悲観:モンストが半分に縮み、豪州の規制がスポーツの利益を削る10年 利益 56 億円 · PER 8.8 倍 · 株価時価総額 1,773 円1,158 億円
モンストは遊ぶ人が半分近くに減り、インドの新作も大きくは育たず、ゲームの売上は 500 億円まで下がる。スポーツは取扱高こそ伸びるが、PointsBet の豪州で規制と税が重なり、利益率は 6% にとどまる。みてねは成長するものの、広告費と無料機能の競争で利益が薄い。本社費用は絞っても 180 億円が残り、全社の営業利益は 80 億円に落ちる。のれんの減損を迫られる局面も想定される。みてねの有料化が遅れ、運用資産の売却益も一巡して、稼ぎの出どころが細る。会社は本社費用を絞り、配当の目安 4 割を守ろうとするが、利益が薄いので還元の絶対額は小さくなる。それでも純現金は残り、財務が傷むことはない。ただ、10 年のあいだ利益が増えない時間が長く続く。
- デジタルエンタテインメント(モンスターストライク):数量 130(モンストを遊ぶ人(月間利用者・万人。海外分を含む。MIXI は絶対数を開示しないため推定))× 価格 38,594(1 人あたり年間売上(円)。物価の指数を含む名目の値)→ 売上 502 億円・営業利益 166 億円。遊ぶ人は 130 万人。1 人あたり売上 1.15 倍。営業利益率 33%
- スポーツ(PointsBet・公営競技・千葉ジェッツ・FC 東京):数量 4,300(賭け金・車券販売額・チケットなどの取扱高相当(億円・今の値段))× 価格 0.25(売上化率(売上÷取扱高)。物価の分は価格の側に入れ、10 年で 1.34 倍が中立)→ 売上 1,075 億円・営業利益 65 億円。取扱高 4,300 億円相当。豪州の規制で売上化率の伸びは物価に届かない。営業利益率 6%
- ライフスタイル(みてね・minimo・年賀状):数量 1,500(みてねの月間利用者(万人)を事業全体の代理にした)× 価格 1,788(1 人あたり年間売上(円)。名目)→ 売上 268 億円・営業利益 27 億円。みてね 1,500 万人。営業利益率 10%
- 投資:数量 450(運用資産の時価(NAV・億円))× 価格 0.07(売上収益率(売上÷NAV)。名目)→ 売上 33 億円・営業利益 4 億円。運用資産の残高
倍率:事業の ROE 約 2.8% で k 8% を大きく下回る。RONIC = 8.5% + 1/2 ×(2.8% − 8.5%)= 5.7%、g 3% の PER は約 8.7 倍。利益が薄く谷に近いので上限の 9 割弱(8.76 倍)に置く。
確率:1 つのゲームに利益の大半を頼る構造と、豪州のベッティング規制(VIP 制限・税)の両方が悪い方に出る姿で、中立の次に起こりやすい。国内の遊ぶ人の減りがすでに数年続いており、重めに置く。
悲観 15% 悲観:モンストが細りきり、スポーツ買収も外れて本業の稼ぎを失う10年 利益 −100 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 1,000 円653 億円
モンストの遊ぶ人は 3 割まで減り、ゲームの売上は 260 億円に縮む。インドの新作は当たらず、先行投資だけが残る。スポーツは PointsBet が豪州の規制と競合に押されて赤字に沈み、競輪のオンライン販売も新規参入に利益を削られる。みてねは伸びても利益にならず、本社費用を 120 億円まで削っても営業赤字が続く。会社は純現金と運用資産の売却で配当を保つが、稼ぐ力は失われ、持っている現金と資産の価値だけが残る。創業者は事業の立て直しより、資産の組み替えで凌ぐことになる。買収で膨らんだのれんは大きく減損され、自己資本も目減りする。スポーツとみてねを第二・第三の柱にする青写真は、描いたとおりには進まない。
- デジタルエンタテインメント(モンスターストライク):数量 70.0(モンストを遊ぶ人(月間利用者・万人。海外分を含む。MIXI は絶対数を開示しないため推定))× 価格 36,916(1 人あたり年間売上(円)。物価の指数を含む名目の値)→ 売上 258 億円・営業利益 39 億円。遊ぶ人は 70 万人。1 人あたり売上 1.10 倍。営業利益率 15%
- スポーツ(PointsBet・公営競技・千葉ジェッツ・FC 東京):数量 3,000(賭け金・車券販売額・チケットなどの取扱高相当(億円・今の値段))× 価格 0.22(売上化率(売上÷取扱高)。物価の分は価格の側に入れ、10 年で 1.34 倍が中立)→ 売上 660 億円・営業利益 −20 億円。取扱高 3,000 億円相当。豪州で赤字。営業利益率 −3%
- ライフスタイル(みてね・minimo・年賀状):数量 1,000(みてねの月間利用者(万人)を事業全体の代理にした)× 価格 1,573(1 人あたり年間売上(円)。名目)→ 売上 157 億円・営業利益 3 億円。みてね 1,000 万人。営業利益率 2%
- 投資:数量 300(運用資産の時価(NAV・億円))× 価格 0.06(売上収益率(売上÷NAV)。名目)→ 売上 18 億円・営業利益 0 億円。運用資産の残高
倍率:稼ぐ力はマイナス(純損失 100 億円)なので、床は純現金と運用資産の税後(890 億円)を、損失と配当で食った後の姿までとする。今の自己資本 1,815 億円に PBR 0.36 を掛けた値(約 650 億円)。
確率:1 本のゲームの寿命が尽き、豪州の買収が減損に終わり、創業者主導の資本配分も裏目に出る、構造的な負けの姿。会社に危うさはあるが、純現金と運用資産が床になるので 15% にとどめる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
デジタルエンタテインメント(モンスターストライク)
スマホゲーム「モンスト」の運営。遊ぶ人の数に 1 人あたり年間売上を掛けて稼ぐ。2026 年 4 月からインドで世界版 STRIKE WORLD を運用。
| 数量モンストを遊ぶ人(月間利用者・万人。海外分を含む。MIXI は絶対数を開示しないため推定) | 価格1 人あたり年間売上(円)。物価の指数を含む名目の値 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 250 | 33,560 | 839 | 395 |
| 10 年後 中立 | 165 | 40,272 | 664 | 279 |
取り方:売上 838.9 億円・セグメント利益(EBITDA に近い)430.5 億円。月間利用者の絶対数は開示が無いので、国内で約 250 万人と置いて売上から 1 人あたりを逆算した。営業利益は、セグメント利益から減価償却の配分(約 35 億円)を引いた。1 人あたり売上は、物価 3% のもとで課金の頭打ちと他の遊びとの競争があるため、中立で 10 年 1.20 倍と物価(1.34 倍)より低く置いた。
スポーツ(PointsBet・公営競技・千葉ジェッツ・FC 東京)
豪州のスポーツ賭け PointsBet、競輪などのオンライン車券(TIPSTAR・チャリ・ロト)と競輪場の運営受託、バスケットとサッカーのクラブ。
| 数量賭け金・車券販売額・チケットなどの取扱高相当(億円・今の値段) | 価格売上化率(売上÷取扱高)。物価の分は価格の側に入れ、10 年で 1.34 倍が中立 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3,290 | 0.20 | 658 | 20 |
| 10 年後 中立 | 5,300 | 0.27 | 1,420 | 114 |
取り方:売上 658.5 億円・セグメント利益 50.9 億円。PointsBet は 2025 年 9 月からの 7 か月分しか入っていない。取扱高は開示が無いので、売上化率を約 20% と推定して逆算した。営業利益はセグメント利益から減価償却・のれんなどの配分(約 31 億円)を引いた。第 1 四半期(2026 年 4〜6 月)の売上は 216 億円で年換算 860 億円に近いため、「今」の取扱高は年換算で約 4,000 億円相当。 数量の取扱高は「今の値段」(実質)で置いており、名目の市場の伸びではない。価格の売上化率に物価を掛ける。
ライフスタイル(みてね・minimo・年賀状)
家族の写真と動画を共有する「家族アルバム みてね」、美容予約の minimo、年賀状サービスなど。利用者数に 1 人あたり売上を掛けて稼ぐ。
| 数量みてねの月間利用者(万人)を事業全体の代理にした | 価格1 人あたり年間売上(円)。名目 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,200 | 1,430 | 172 | 6 |
| 10 年後 中立 | 2,000 | 1,916 | 383 | 57 |
取り方:売上 171.6 億円・セグメント利益 8.8 億円(前の期は 1.3 億円の赤字)。みてねの月間利用者 1,200 万人(会社の公表)で割った。minimo と年賀状も含むので、1 人あたりは事業全体の売上の割り振りにすぎない。営業利益はセグメント利益から配分(約 3 億円)を引いた。 数量は実物(みてねの月間利用者数)で、名目の市場の伸びからは置いていない。
投資
ベンチャー投資の持ち分と運用資産。時価評価の損益と売却益が出る。
| 数量運用資産の時価(NAV・億円) | 価格売上収益率(売上÷NAV)。名目 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 597 | 0.07 | 44 | 10 |
| 10 年後 中立 | 600 | 0.10 | 60 | 5 |
取り方:売上 44.4 億円・セグメント利益 10.0 億円。NAV 597 億円(2026 年 6 月末。投じた額の約 2.5 倍)。この資産の含み益は余った現金の側で見るので、10 年の営業利益には少ししか入れない。
リスクと懸念
モンストの遊ぶ人の減りが止まらない
利益の 8 割超をモンスト 1 本が生む。月間の遊ぶ人は減り続け、今期の売上予想も 7.6% 減だ。インドの新作が当たらなければ、国内の減りを埋める手段が無い。ゲームの寿命が尽きる速さが、全社の利益の水準を決める。
豪州の規制で PointsBet が稼げない
豪州のオンライン賭けは、高額客(VIP)への制限など規制が強まっている。PointsBet は豪州の売上が落ちると報じられている。減損を迫られれば、のれんの償却と合わせて利益を削る。
競輪のオンライン販売の規制と競争
日本の公営競技は法律と自治体の決まりに縛られる。競輪のオンライン販売の伸びは続くが、規制が強まれば伸びが止まる。サイバーエージェントなど資金力のある競合も参入しており、手数料や販促費で利益が削られやすい。
買収と人員の急増に統治が追いつかない
この 1 年で人員が約 400 人増え、子会社では 10 億円を超える社内不正も起きた。買収を重ねるほど、現場の管理と資本配分の規律が試される。次の大型買収で値を競り上げる癖が出れば、価値を壊すおそれがある。
創業者の持ち分と少数株主の立場
創業者が株の 4〜5 割を持つため、外部から買収される可能性は低く、還元や買収の方針は創業者の考え次第だ。会社が現金を使い続けるのか、返すのかを、少数株主は決められない。
利益の一時的な上振れを見誤る
2027 年 3 月期の純利益 250 億円には、ビットバンクの売却益 122 億円が入る。第 1 四半期のモンストの 1 人あたり売上の上振れも、イベントの効果が大きい。足元の数字を稼ぐ力と取り違えると、価値を高く見積もりやすい。
今後の分かれ目
- モンストの月間の遊ぶ人が下げ止まる
- ゲームの利益の寿命が延び、10 年のやや楽観・楽観の筋書きに近づく。
- STRIKE WORLD がインドで当たり、売上が立つ
- ゲームの減りを海外で補えることが確かめられ、楽観の確度が上がる。
- PointsBet が豪州で黒字を定着させる
- スポーツの利益率が 1 桁から上がる道が見え、中立の営業利益が上振れする。
- 豪州の規制がさらに強まり PointsBet を減損する
- のれんを償却する負担が一気に出て、やや悲観・悲観の筋書きに近づく。
- 配当の目安 4 割を保ち、自社株買いも続ける
- 余った現金が株主に戻る実績ができ、現金の戻り方の見方を上げられる。
- 次の大型買収で値を競り上げて高く買う
- 資本配分への信頼が下がり、買収の失敗が悲観側の確率を押し上げる。
見ておくもの
- モンストの月間の遊ぶ人と 1 人あたり売上、独自決済の比率の推移
- STRIKE WORLD のインドでの利用者数と売上の立ち上がり
- スポーツのセグメント利益率と PointsBet の豪州での売上・規制の動き
- みてねの有料会員の数とライフスタイルの利益率
- 配当性向 4 割の維持、自社株買い、運用資産の売却の動き
倍率と資本コストの決め方
倍率は式(正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g))だけで決めた。k は 8%(基本 7.5% に quality +1.0%)。中立の事業の ROE 約 5.5% は k 以下なので、RONIC は k を下回り、PER は 9.5 倍。上限(1÷k 約 11.8 倍)を超えない。今の株価・今の PER・過去の PER や PBR は使っていない。悲観は稼ぐ力がマイナスなので、純現金と運用資産の税後を床にした。余った現金 890 億円(純現金 660 億円の約 4 割と、運用資産の含み益の税引き後)は、戻り方 0.5 で時価総額に足した。今の株価に寄せてはいない。店舗や倉庫の賃借は少なく、新リース会計基準で数字の形が変わる影響は小さいと見て、10 年後も今と同じ形(賃料を営業費用に入れた形)でそろえた。PointsBet の顧客預り金は純現金から除いて余った現金を決めた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.5→16.43 倍・やや楽観 PER 10→14.69 倍・中立 PER 9.5→12.5 倍・やや悲観 PER 8→8.76 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。