結論
Sapeetは企業の熟練者の判断や接客をAIに移す開発支援と、姿勢分析・営業研修の業務ソフトを売る会社である。筆者の結論は「割高」だ。2026年9月期は売上高18.3億円、営業利益1.2億円の見通しまで伸びたが、いまの時価総額約45.2億円を支えるには、現在のAI導入特需が長く続く必要がある。人月で売る開発業務が収入の約76%を占める以上、AIそのものが作業工数を減らす矛盾から目をそらせない。
会社の強みは、顧客の非公開データや熟練者の暗黙知を扱い、試験導入から実装まで伴走できることだ。姿勢分析240万回、カルテ670万枚という独自データも持つ。ダイハツ工業や沖縄セルラーなどで営業研修用「SAPIロープレ」の導入が進み、受託開発だけの会社から抜け出そうとしている。ただし、顧客側に専門知識が残る受託事業と、規制上の記録の正本ではない研修・接客ソフトを、持続的な独占事業と同じように評価することはできない。
中立では10年後も会社は黒字を保つが、売上の契約当量はAIエージェントと顧客の内製化で目減りする。利益率の改善は一定程度認めても、利益と資本効率が資本コストを明確に超える姿にはならない。厳格な利益価値と資産の回収額を確率で重ねると、現在の時価総額より大きな隔たりが残る。2026年の成長力を否定するのではない。10年間の株主が受け取れる現金と、再投資で残る競争優位を厳しく区別した結論である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、「AIの需要がある会社」と「株主に現金を残せる会社」を切り離したい。Sapeetは2026年に大口受注を増やし、監査法人の独自判断や銀行の営業経験をAIへ移すという、顧客が対価を払う仕事を見つけた。しかし、エンジニアの人数に連動する開発売上には、注文が伸びた分だけ人を増やし、次の技術変化のために研修し直す負担がある。AIが開発の大半を担うほど、顧客は同じ成果に高い外注費を払わなくなる可能性がある。
この商売で本当に欲しいのは、顧客が毎年使うほど品質が改善し、他社へ移ると困る製品である。カルティが集めた姿勢・カルテのデータはその種になりうる。反対にSAPIロープレは、映像を交えた研修の使いやすさが評価されても、基盤モデル自体は競合にも手が届く。売上解約率が低下し、同じ顧客への値上げと更新が続いて初めて、堀が広くなったと認めたい。
資本配分の成績表はまだ短い。2025年は会計上黒字でもソフト開発支出を引くと現金が減り、2026年の買い戻しは主要株主の売却と表裏一体だった。再投資で資本コストを超える利益を継続して作れるか、株式報酬や将来の買収でその成果を薄めないかが焦点になる。筆者は優秀な開発チームの存在を疑わないが、業界が速く変わる会社の10年後の利益には、予測可能な独占企業と同じ値段を付けない。安全域のない価格では、そのチームの成功が株主利益になるとは限らない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの主柱は「AIソリューション」である。製造、金融、小売、監査などの企業に入り込み、熟練者がどんな根拠で判断するかを整理し、専用AIを設計・開発して保守する。試験導入から本番開発に移るほど案件単価は上がるが、会社の説明でもエンジニアや案件管理者の人数と売上は連動しやすい。2026年9月期の会社予想ではこの部門が13.9億円を稼ぎ、全社売上の約76%を占める。最新の第3四半期累計では同部門が前年同期比141.6%増と、勢いは明確である。
もう一つの「AIプロダクト」は、主として二つの顧客層を持つ。「カルティ シセイカルテ・マルチカルテ」は整骨院、整体院、ピラティス、フィットネスなどの店舗で身体の状態を見える化し、接客や継続利用につなげる。対する「SAPIロープレ」は大手企業の営業担当者がAIアバターと商談を練習するもので、ダイハツ工業へのOEM供給や沖縄セルラー、コニカミノルタジャパンへの導入が確認できる。前者は店単位の比較的低額な月額課金、後者は企業単位の高額課金と利用量に応じた料金である。
2026年9月期のプロダクト合計売上見通しは4.4億円で、二製品別の売上は非開示だ。経営者が説明した単価と製品の利用形態から、店舗向け3.12億円とロープレ1.28億円へ仮分解した。2025年の公表アカウント数4,123は利用者アカウントであり、有料契約店舗数ではない。契約数をそのまま採算の証拠にすることは避けるべきだ。
事業は会計上「Expert AI」の単一セグメントで、ソリューションとプロダクトは提供形態の区分である。双方に共通する技術は3D画像処理、姿勢推定、音声認識、自然言語処理などだが、外部の生成AIモデルも用途で使い分ける。売上の源泉は巨大な独自基盤モデルではなく、導入先の仕事に合わせた調整と現場の運用である。この違いが、伸びしろと陳腐化の危うさを同時に生んでいる。
優良さと弱いところ
堀、つまり競合が簡単に奪えない力は、深い顧客理解と身体データの蓄積にある。監査法人の独自判断や営業の勝ち筋を非公開データと組み合わせる作業は、一般向けAIを呼び出すだけでは完成しにくい。2025年の大型新規受注上位10件の平均額は2,000万円で、試験導入から本番へ進む営業力もある。姿勢分析240万回とカルテ670万枚の蓄積は、フィットネスやリハビリで製品を改善する材料となる。
しかし、堀が厚いと断定する根拠はまだ足りない。AIソリューションの顧客継続率は2025年に70.8%であり、これは年商100万円以上の既存顧客のうち翌年も取引した割合であって、継続課金契約の解約率ではない。カルティの月次売上解約率1.37%は単純な年換算で約15%の売上流出に相当する。シセイカルテには1〜3年の契約期間中は原則解約できない守りがある。しかし独自データが一つの強みであっても、法令対応、実際の移行負担、継続的な値上げの実績が揃わない限り、規制業務の記録の正本として扱わない。
利益の質にも注意が要る。2025年9月期は営業キャッシュフロー約0.46億円に対し、ソフトウェアを中心とする投資支出が約1.03億円で、自由に使える現金は約0.57億円の流出だった。会計上の純利益約0.70億円を、そのままオーナー利益とはみなせない。2026年には大口案件によって利益が改善したが、その利益を再投資した後の現金回収には実証が必要だ。
規模は小さいが、無借金に近い財務は長所である。だが、2025年の黒字転換まで赤字が続き、安定した高ROEの履歴はない。PKSHA Technologyという大株主との関係が販路にも支配構造にもなることを踏まえると、経営者の腕以上に少数株主へ現金が帰る仕組みを見なければならない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
日本のAI導入市場は拡大している。IDCの2026年3月の予測では国内AI関連支出は2025年約2.37兆円から2029年約6.89兆円へ増える。ただし、これはインフラ、ソフト、サービスを含む広い市場だ。Sapeetの2026年の受託売上予想13.9億円は前年のこの広義市場の約0.06%に相当するが、それは直接競争する受託開発市場の占有率ではない。細分市場の公的シェアは確認できず、競合別の比率を作ることはしない。
専用AIを企業へ実装する領域では、PKSHA Technology、ABEJA、Laboro.AIに加え、NTTデータなどの大手システム会社が競争相手となる。2026年は非公開データの接続や運用監査が障害となり、専門家の仕事をAI化する会社に需要が向かっている。しかし、10年先には顧客の担当者がAIエージェントを使って設計やテストまで進める。市場全体が成長しても、人が費やす時間に対する対価と、専用開発を外注する契約の数は同じ方向には動かない。取引先自身が技術を抱え込めば、個別案件のシェアは薄くなる。
ウェルネス市場には具体的な店舗の母数がある。厚生労働省の2024年末統計では柔道整復施術所が50,924か所で、仮に全施設が年24万円の姿勢分析ソフトを買えば約122億円の年額市場となる。これは筆者の単価を当てた仮想市場で、接骨院以外のジムや医療機関を含まず、競合製品の売上も出ていない。店舗当量1,300という試算はこの母数の約2.6%にすぎず、実際のシェアを意味しない。人口減少と店舗淘汰、汎用の画像AIの低価格化を考え、契約当量は成熟後に減るとみる。
営業研修AIでも、エクサウィザーズの「exaBase ロープレ」、AVITAの「アバトレ」、ピアズの「mimik」などが競う。各社の有料契約企業数と市場シェアは開示が揃っていない。SAPIロープレにはシナリオを自社で作れる使いやすさがある一方、学習管理ソフトや汎用AIが機能を取り込みやすい。向こう10年の勝負はAI市場の拡大率ではなく、顧客が契約を維持する割合と、競合が真似しにくい独自データをいくら作れるかに移る。
資本政策と M&A
2025年9月期まで配当実績はなく、2026年9月期も無配予想である。2030年に向けた成長戦略はAIソリューションの横展開、カルティとSAPIの拡販、M&Aによる機能補完を描くが、2030年の売上高・営業利益・ROE目標や、配当性向・DOE・総還元性向について数字の約束なし。数字として公表しているのは2026年9月期の売上高18.3億円、営業利益1.2億円、純利益1.32億円という単年度見通しだ。
資本配分で見逃せないのは2026年8月の自社株取得である。Sapeetは1.20億円を使って43,700株を買い、同日にPKSHA Technologyが同じ株数を処分したことが大量保有報告書でも分かる。取得株式は将来のM&A対価や株式報酬に使う可能性も示されており、直ちに消却される永久的な還元ではない。もとの支配株主に流動性を提供した取引でもあるため、少数株主は取得価格の妥当性と再交付の有無を監視すべきだ。
2025年のソフトウェア取得支出約0.94億円は利益規模を超える。外部買収の成果もまだ数字で実証されておらず、IPO資金を製品開発へ注ぐ方針が続く。2026年には新株予約権の行使で60,000株が発行され、株主の取り分が薄まった。将来の還元は無配継続を基本に、収益が十分な筋書きでのみ小規模な追加買い戻しを見込む。積み上がる現金は過大評価せず、株主に戻る割合を75%として扱う。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
この会社を目の前の小さなSI企業として扱うと、変化を見逃す。2026年9月期の売上見通しは前年から約8割増え、AIソリューションは第3四半期累計で前年の2.4倍に達した。しかも扱うのは公開情報の検索にとどまらず、会社ごとのベテランの判断を業務へ埋め込む仕事である。監査法人のリスク査閲や京都銀行向けの営業支援は、守秘義務や精度の問題で一朝一夕に内製できない。実績を横展開すれば、新しい顧客を得る際の営業費用も下がりうる。
開発で見つけた繰り返し需要を製品に変える循環も存在する。シセイカルテでは姿勢分析240万回、カルテ670万枚の蓄積があり、競合が同等の訓練データをすぐ得られるわけではない。SAPIロープレではダイハツ工業へのOEMや大手通信・医療機器販売会社への導入が進み、業種をまたぐ販路が見え始めた。拡販を代理店に任せられれば、人員を増やさず収入を得られる。2026年に初めて黒字と成長を同時に作ったばかりであり、過去の赤字だけで伸びしろを小さく見すぎるのは危険だ。
無借金に近く、少数株主へ還元できる余地も残る。今後10年間に汎用モデルを活用した自動開発が進むなら、受注単価を維持したまま外注工数を削減し、利益率を引き上げることも可能だ。自社がAIエージェントを提供する側へ移行し、プロダクト化と既存顧客の継続更新を実現すれば、現在の小規模な自己資本に対して相当高い収益力を獲得できる。
慎重な見方
最大の弱点は、成長率の高さと堀の厚さが一致していない点にある。経営者自身が、AIソリューションはエンジニアや案件管理者の人数と売上が連動すると説明している。現在はAI実装の依頼が殺到し、案件単価も大きくなっているが、十年先にはその実装作業自体がAIエージェントに置き換わる。顧客の大企業には社内エンジニアがおり、一度ノウハウを吸収すれば外注する範囲を狭められる。PKSHA Technology、ABEJA、Laboro.AI、巨大SI企業との価格競争も続く。
製品側も楽観できない。カルティの月次売上解約率は2025年に1.37%で、継続率の水準から強いロックインを主張できない。姿勢データは持つものの、資格制度が同社ソフトを指定しているわけではなく、法対応で更新し続けなければならない記録の正本でもない。SAPIロープレは企業ごとの評価基準の調整に手間がかかり、汎用AIが画面も対話も自動生成する時代には料金維持が難しい。業界内の有料顧客シェアは開示されず、競合が増えれば導入実績の名前だけでは価格を守れない。
2025年の自由現金流出は無視できず、繰延税金資産の計上で純利益がかさ上げされている。2026年の自社株取得はPKSHAの売却と一致し、取得株が将来の買収や報酬で再び市場に出る可能性もある。もし顧客のAI内製化が進み、開発案件が半減したまま社員や研究開発費が残れば、会計上の赤字に戻りうる。将来も新たな製品を作り続けないと現在の水準を保てない会社に、既存利益の大きな成長倍率を与えることはできない。
どちらに重みを置いたか
2026年の需要と顧客実装の力では積極的な見方に分がある。しかし、十年先の値決め力を示す解約率や価格改定の履歴はまだ弱く、利益を生むための継続投資も重い。中立では受託案件の実質数量が現在の65%、プロダクトの契約当量も減るが、開発効率向上による利益率改善は認めた。悲観寄りの確率は40%、強気側は32%とし、両者をほぼ釣り合わせながら低い利益の持続性に重みを付けた。結論は時価総額約45.2億円に対して本質価値が大きく不足する「割高」である。独自AIエージェントの収入内訳と低解約率が開示されれば、この判断は見直す。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/09 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,043 円17 億円(+ 還元の換算額還元の合計 54 円1 億円)。 今の値に割り戻すと 508 円8 億円、今との差 −81.2%、 期待の年率 −8.8%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 2,582 円41 億円 | 188 円3 億円 | +2.5% | +0.3% | 332 円5 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,713 円27 億円 | 94 円2 億円 | −33.1% | −4.0% | 361 円6 億円 |
| 中立 | 28% | 1,018 円16 億円 | 38 円1 億円 | −60.9% | −9.1% | 296 円5 億円 |
| やや悲観 | 25% | 350 円6 億円 | 6 円0 億円 | −86.8% | −18.4% | 89 円1 億円 |
| 悲観 | 15% | 119 円2 億円 | 0 円0 億円 | −95.6% | −26.8% | 18 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,043 円17 億円 | 54 円1 億円 | −59.4% | −8.8% | 1,096 円17 億円 |
今の株価時価総額 2,702 円43 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 12% 専門知の深掘りと製品横展開が実る 利益 3 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,582 円41 億円
専門家の判断を業務AIに移す技術が、監査、営業、製造などの企業固有の仕事に定着する。京都銀行や大手メーカーで得た知見が次の顧客獲得を助け、顧客が開発を完全に内製することを防ぐ。AIソリューションは工数減少を単価改定で相殺し、2036年も現在と同じ案件当量を維持する。汎用AIの部品を活用することで外注原価が減り、営業利益率は従来より高くなる。
カルティの姿勢とカルテの履歴は利用者のケアを改善する独自の材料となり、多店舗運営の現場へ根づく。SAPIロープレは販売代理店とOEM先からの更新が続き、ダイハツ工業などでの実績が同業他社へ広がる。新製品は既存開発成果の再利用に限り、利益を生まない買収は避ける。自社株買いを限定的に続け、主要株主との取引を一般株主にも分かる形で開示する。売上が物価とともに緩やかに増える一方、粗利益率の改善が純利益を押し上げる最良の十年間である。
- AIソリューション(個別AI開発・伴走):数量 139(年換算の個別AI案件当量(件/年、平均約1,000万円で売上換算))× 価格 0.13(1案件当量の年度売上(億円/件、AIモデル利用料・保守を含む))→ 売上 19 億円・営業利益 3 億円。人月・工数型。現況件数比 1.0 倍。モデル・外注費の効率化で利益率を調整。
- カルティクラウド(姿勢解析・カルテ):数量 1,300(料金を払う店舗の年換算当量(店/年、筆者推計))× 価格 0.00(店舗あたり年間の実現売上(億円/店、月額2万円相当))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。画面・席型。推定店舗契約当量比 1.0 倍。解約と店舗撤退の影響を含む。
- SAPIロープレ(企業向けAI研修):数量 50.0(料金を払う企業の年換算当量(社/年、筆者推計))× 価格 0.03(企業あたり年間の実現売上(億円/社、月額約20万円+一時金等))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。操作画面型。推定企業契約当量比 1.0 倍。価格には初期・従量費用を含む。
倍率:k8.25%、2036年の事業ROE2.787÷20.0=13.9%、弱い堀の超過収益残存割合1/3によりRONIC約10.15%。g_long−0.24%を使う正当化PER (1−g÷RONIC)÷(k−g)=12.06倍の上限そのもの。現在のPERでは決めない。
確率:2026年の大手向け実装実績と独自の姿勢データが利益率を押し上げる可能性を認める。ただしAIエージェント単独の販売額が非開示であり、2036年の案件数量を2026年の1倍より上には置かない。
やや楽観 20% 受託の選別が進み製品が利益を支える 利益 2 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,713 円27 億円
ソリューションの一部は顧客のAIエージェントに置き換わるが、高度な業務固有の判断を扱う案件では人的支援が残る。受注を追うより採算を重視し、会社は外注業務を減らして高収益案件へ人員を振り向ける。金融や製造向けの新規案件も得るが、大手競合の参入によって案件当量は現状の84%へ下がる。それでも労務効率が上がり、営業利益を現在より増やす。
カルティは低解約率への改善を一部実現し、多店舗向けの分析機能で値下げを防ぐ。SAPIロープレはOEM先の商談研修に組み込まれ、単体契約数は減っても従量売上と初期構築分が残る。新規M&Aは小型の機能獲得にとどまり、過大な買収のれんを抱えない。自社株の再交付は限定的で、余った資金の一部を買い戻しに回す十年である。
- AIソリューション(個別AI開発・伴走):数量 117(年換算の個別AI案件当量(件/年、平均約1,000万円で売上換算))× 価格 0.13(1案件当量の年度売上(億円/件、AIモデル利用料・保守を含む))→ 売上 15 億円・営業利益 2 億円。人月・工数型。現況件数比 0.84 倍。モデル・外注費の効率化で利益率を調整。
- カルティクラウド(姿勢解析・カルテ):数量 1,235(料金を払う店舗の年換算当量(店/年、筆者推計))× 価格 0.00(店舗あたり年間の実現売上(億円/店、月額2万円相当))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。画面・席型。推定店舗契約当量比 0.95 倍。解約と店舗撤退の影響を含む。
- SAPIロープレ(企業向けAI研修):数量 46.0(料金を払う企業の年換算当量(社/年、筆者推計))× 価格 0.03(企業あたり年間の実現売上(億円/社、月額約20万円+一時金等))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。操作画面型。推定企業契約当量比 0.92 倍。価格には初期・従量費用を含む。
倍率:k8.25%、2036年ROE1.763÷16.0=11.0%、超過利回り残存率1/3でRONIC約9.17%。g_long−0.24%を適用する正当化PERは約12.09倍で、上限そのものを使う。
確率:製品の大手導入と2026年の黒字化は実績だが、顧客数増加の継続率や価格改定の開示が弱い。受託の人月が一部置き換わりながらも製品利益率が改善する場合に限定した。
中立 28% 需要は残るが実装工数の価値が縮む 利益 1 億円 · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,018 円16 億円
AIは日常業務の道具となるが、開発の発注方法は大きく変わる。システムの要件整理、文書作成、コード生成、試験の多くをエージェントが担い、顧客は外注案件の件数と作業量を減らす。監査や営業の独自判断をAIに反映する専門サービスは残り、Sapeetは顧客を失うだけではなく新規受注も得る。ただし十年後の年換算の受託案件当量は現在の65%となり、顧客との交渉で値段はほぼ物価並みにしか上がらない。
カルティの姿勢データは残るが、予約・顧客管理や安価な画像AIへの機能統合が進み、有料店舗当量は85%へ下がる。SAPIロープレも汎用AI研修機能との競争で企業当量が80%となる。それでも繰り返し開発した機能の再利用が増え、会社は人員・外注費を管理することで営業利益率をいくらか高める。大型買収や大きな増資は想定せず、配当方針も定まらないまま自己資本が積み上がる。長く持つ株主には、黒字存続と高い資本効率は同じでないことを示す筋書きとなる。
- AIソリューション(個別AI開発・伴走):数量 90.4(年換算の個別AI案件当量(件/年、平均約1,000万円で売上換算))× 価格 0.13(1案件当量の年度売上(億円/件、AIモデル利用料・保守を含む))→ 売上 12 億円・営業利益 1 億円。人月・工数型。現況件数比 0.65 倍。モデル・外注費の効率化で利益率を調整。
- カルティクラウド(姿勢解析・カルテ):数量 1,105(料金を払う店舗の年換算当量(店/年、筆者推計))× 価格 0.00(店舗あたり年間の実現売上(億円/店、月額2万円相当))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。画面・席型。推定店舗契約当量比 0.85 倍。解約と店舗撤退の影響を含む。
- SAPIロープレ(企業向けAI研修):数量 40.0(料金を払う企業の年換算当量(社/年、筆者推計))× 価格 0.03(企業あたり年間の実現売上(億円/社、月額約20万円+一時金等))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。操作画面型。推定企業契約当量比 0.8 倍。価格には初期・従量費用を含む。
倍率:k8.25%、2036年のROE0.988÷14.0=7.06%は資本コスト以下。新規投資に正の超過利回りを認めず、g_long−0.24%なので中立の正当化PER上限1÷(k−g)=11.78倍をそのまま使用する。PBR1倍を床にはしない。
確率:2026年の高成長を出発点として尊重しつつ、受託と操作型SaaSの売り方が2036年まで変わることを中心予想にする。独自記録の堀の証拠が不足し、PERに高成長を残さない。
やや悲観 25% 受託の内製化とSaaS値引きが進む 利益 0 億円 · PER 9.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 350 円6 億円
大企業は自前のAIエージェント運用を育て、専門開発の外注を限定する。Sapeetが持つ熟練者の暗黙知の整理という技能は残るが、単価の安い定型案件は大手SIや顧客内部に移り、受託案件当量は現在の48%になる。会社は人員の一部を製品開発に振り向け、費用を削るものの、競争価格を全面的に押し返すことはできない。
ウェルネス業界では小規模店舗の閉鎖が増え、カルティの契約当量が70%に低下する。SAPIロープレはエクサウィザーズやAVITAなどの製品と競い、既存契約からの更新額が減る。両製品の技術自体は残るが、顧客との関係をつなぐために割安な価格を提示する場面が増える。会社は大きな買収を見送り、2026年の好況期に稼いだ資本を守る。最終年の利益は小さく、将来価値は維持できる顧客と換価できる資産に近づく。
- AIソリューション(個別AI開発・伴走):数量 66.7(年換算の個別AI案件当量(件/年、平均約1,000万円で売上換算))× 価格 0.12(1案件当量の年度売上(億円/件、AIモデル利用料・保守を含む))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。人月・工数型。現況件数比 0.48 倍。モデル・外注費の効率化で利益率を調整。
- カルティクラウド(姿勢解析・カルテ):数量 910(料金を払う店舗の年換算当量(店/年、筆者推計))× 価格 0.00(店舗あたり年間の実現売上(億円/店、月額2万円相当))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。画面・席型。推定店舗契約当量比 0.7 倍。解約と店舗撤退の影響を含む。
- SAPIロープレ(企業向けAI研修):数量 30.0(料金を払う企業の年換算当量(社/年、筆者推計))× 価格 0.03(企業あたり年間の実現売上(億円/社、月額約20万円+一時金等))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。操作画面型。推定企業契約当量比 0.6 倍。価格には初期・従量費用を含む。
倍率:既存契約が減った2036年の純利益0.412億円に対し、再投資による成長は認めず、資本コスト8.25%からの稼ぐ力の上限12.12倍を下回る9.0倍で評価。価値3.708億円は別途積算した回収可能資産の床1.9億円を上回る。
確率:受託中心で大型案件の先行きが見えず、2025年のカルティ月次売上解約率1.37%も高い。汎用AIによる内製化が予想より速く進み、固定費が利益を圧迫する筋書きを独立して持つ。
悲観 15% 専用開発が汎用化し顧客基盤も失う 利益 −1 億円 · PBR 0.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 119 円2 億円
AIエージェントが要件定義から導入運用までを担うようになり、Sapeetの個社受託は例外的な難題だけとなる。外部AIモデルを使う技術そのものでは価格を保てず、顧客の内製化と大手競合の値引きによって受託案件当量は現在の30%へ下がる。監査・製造など高度な仕事は残るが、成功例を横展開するほど他社も同じ手法を提供し始める。
カルティは画像AIと安価な店舗向けソフトに顧客を奪われ、店舗当量が40%になる。SAPIロープレは大手学習プラットフォームの機能の一部になり、専業製品として選ばれる企業が減る。会社は研究開発やセキュリティ費用を下げきれず、最終年の営業赤字が続く。買収による救済にも高い価値は見込まず、ブランドとソフトウェアを売れば高値が付くという仮定も置かない。清算までは決まっていないため、手元資産と売掛金の保守的な回収可能額だけが値段を支える。
- AIソリューション(個別AI開発・伴走):数量 41.7(年換算の個別AI案件当量(件/年、平均約1,000万円で売上換算))× 価格 0.10(1案件当量の年度売上(億円/件、AIモデル利用料・保守を含む))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。人月・工数型。現況件数比 0.3 倍。モデル・外注費の効率化で利益率を調整。
- カルティクラウド(姿勢解析・カルテ):数量 520(料金を払う店舗の年換算当量(店/年、筆者推計))× 価格 0.00(店舗あたり年間の実現売上(億円/店、月額2万円相当))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。画面・席型。推定店舗契約当量比 0.4 倍。解約と店舗撤退の影響を含む。
- SAPIロープレ(企業向けAI研修):数量 20.0(料金を払う企業の年換算当量(社/年、筆者推計))× 価格 0.02(企業あたり年間の実現売上(億円/社、月額約20万円+一時金等))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。操作画面型。推定企業契約当量比 0.4 倍。価格には初期・従量費用を含む。
倍率:最終年の純利益は赤字でPERを使えない。2025年末の現在自己資本約5.0億円を基準として、独自開発ソフト・繰延税金資産を換価不能とし、回収可能資産1.90億円に合わせた現在自己資本へのPBR0.38を用いる。2036年予想自己資本2.8億円には掛けない。
確率:AIによる受託工程の消失に加え、製品解約率の改善失敗、外注費や研究開発費の固定化、少数株主に不利な資本配分が重なる事態。倒産は基準シナリオでなく、回収可能な資産を残す。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
AIソリューション(個別AI開発・伴走)
熟練者の非公開の判断基準を抽出し、企業ごとの業務AIやエージェントを受託開発して運用する。営業は大口顧客中心で、工数と人員の制約が残る。
| 数量年換算の個別AI案件当量(件/年、平均約1,000万円で売上換算) | 価格1案件当量の年度売上(億円/件、AIモデル利用料・保守を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/09 | 139 | 0.10 | 14 | 1 |
| 10 年後 中立 | 90.4 | 0.13 | 12 | 1 |
取り方:2026年8月13日会社説明資料の2026年9月期修正予想:AIソリューション13.90億円。2025年の新規上位10案件平均受注額2,000万円は最大案件に偏り、契約額と年度売上も異なるため、大小案件と継続支援を平均1,000万円の「年度売上当量」139件に換算した筆者の仮定。実際の契約件数・全案件単価は非開示。2036年の実質数量はAIエージェント代替の人月・工数型として中立で現状の0.65倍、価格は物価累積1.34倍。2026年の事業別営業利益は非開示であり1.0億円も推計。会社営業利益1.2億円との整合には共通費推計0.35億円を3事業の合計から控除する。出典:https://finance-frontend-pc-dist.west.edge.storage-yahoo.jp/disclosure/20260813/20260813518866.pdf
カルティクラウド(姿勢解析・カルテ)
整骨院、施術院、フィットネス、ピラティス等に、店舗単位で姿勢分析と利用者カルテを提供する。独自の姿勢情報はあるが、規制上の必須台帳ではない。
| 数量料金を払う店舗の年換算当量(店/年、筆者推計) | 価格店舗あたり年間の実現売上(億円/店、月額2万円相当) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/09 | 1,300 | 0.00 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1,105 | 0.00 | 3 | 0 |
取り方:会社は2026年9月期のAIプロダクト全体4.40億円を開示するが、製品別の売上・有料店舗数は非開示。2026年5月17日の社長説明でシセイカルテ・マルチカルテは店舗あたり初期15〜20万円、月額1.5〜2.5万円と説明。月2万円×12か月=24万円を継続+初期費用を含む年換算の平均単価とし、プロダクト内訳の仮定3.12億円÷24万円=1,300店舗当量にした。2025年開示の4,123アカウントは店舗数と同一ではなく、ここから直接割り算しない。AIエージェント代替の席・操作画面型として中立数量0.85倍、価格1.12倍、長期成長ゼロ未満。事業利益は推計。出典:https://note.com/kenmo_kenmo/n/nc8e29876f962
SAPIロープレ(企業向けAI研修)
AIアバターが営業や接客の訓練相手となり、企業独自の評価基準で動画や会話を評価する。OEM提供、代理店販売も行う。
| 数量料金を払う企業の年換算当量(社/年、筆者推計) | 価格企業あたり年間の実現売上(億円/社、月額約20万円+一時金等) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/09 | 50.0 | 0.03 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 40.0 | 0.03 | 1 | 0 |
取り方:2026年のプロダクト会社見通し4.40億円から、カルティクラウド仮配賦3.12億円を引いた1.28億円を仮売上とする。2026年5月の経営者説明ではSAPIロープレは企業あたり初期50〜200万円、月額5〜100万円、一般的には月額約20万円。初期費用と従量料金を均した年額256万円(約21.3万円/月)の契約当量50社と推定した。実契約社数は開示なし。操作画面・学習管理SaaS型として中立数量0.80倍、価格1.10倍。別々の事業収益や利益率は筆者推計。出典:https://note.com/kenmo_kenmo/n/nc8e29876f962
リスクと懸念
AIエージェント代替と開発工数の価格下落
受託AIソリューションは2026年見通しで売上の約76%を占め、社長自身がエンジニアと案件管理者の人数に連動する商売と説明している。汎用AIが要件整理、コーディング、テストまで自動化すると、同じ成果に必要な工数と外注契約数が減る。市場全体のAI支出が増えても個別受託企業の売上は減りうるため、中立の実質案件当量は今の65%、十年以降の名目成長は横ばい以下とした。
カルティの解約率と製品による囲い込み不足
2025年の月次売上解約率1.37%は、毎月同じ割合が続くと年率約15%に相当する。姿勢分析やカルテの蓄積は独自資産だが、利用者に法定保存義務を負わせる基幹台帳ではない。顧客が安価な画像AIや他社の予約・CRMソフトへ切り替え、追加販売も止まれば、製品の売上は継続課金に見えるほど安定しない。導入店舗数だけでなく解約・再獲得費用を点検する必要がある。
大口案件への依存と顧客の内製化
AIソリューションの増収は大口の新規案件や既存案件の拡張に強く依存する。受注額上位10案件の平均が2,000万円という開示は、大きな案件が全社利益を動かすことも意味する。受注後に顧客の担当者が技術と専門判断を吸収し、モデルの更新を内製化すれば保守契約も細る。先行投資と採用の固定費が残ると、単年の大型案件がなくなるだけで利益率が反転する。
PKSHAとの資本関係・自己株の再交付・希薄化
2026年8月の自社株43,700株取得と同日にPKSHAは同数を処分し、持分は31.98%へ下がった。Sapeetは取得株を将来のM&Aや株式報酬に使う可能性を示しており、消却による恒久的な株主取り分の増加ではない。2026年には新株予約権60,000株も行使された。大株主の利益と少数株主の利益が一致するか、取得株再交付後の希薄化、買収の価格と利益を個別に監視したい。
ソフトウェア資産化による会計利益と現金利益の乖離
2025年9月期は純利益約0.70億円だったが、営業キャッシュフロー約0.46億円に対し投資支出は約1.03億円だった。自社開発ソフトの取得支出が約0.94億円あり、開発費の一部が無形資産になるため会計利益は自由現金を表さない。5年程度の償却だけでなく、製品の更新開発が続けば現金は減る。事業が陳腐化するとソフトウェアの減損も起こり、悲観の資産床には入れない。
個人情報・顧客秘密と外部基盤モデルへの依存
姿勢や身体情報、接客動画、金融・監査の非公開情報を扱うため、同意、アクセス制限、委託先管理に不備があれば解約だけでなく信用低下と補償費用が発生する。自然言語処理では外部の生成AIを使い分けており、モデル提供側の価格改定や仕様変更にも左右される。原価が上がっても顧客へ価格転嫁できない場合、受託利益もSaaS利益も同時に押し下げられる。
成長目的のM&Aと還元の後回し
会社は2030年に向けて新事業や買収を構想するが、統合効果や投下資本利益率の実績はまだない。業界の成長率を追って高値でAI製品を買うと、顧客の重複や生成AIの機能統合で買収の価値が失われるおそれがある。配当性向などの数字の約束もないため、留保した現金が自社株買いではなく不確実な買収へ向かう可能性を無視できない。
今後の分かれ目
- AIソリューションの顧客当たり年間売上と工数単価が3年連続で上昇し、人員増加率を売上成長率が大きく上回ったら
- 工数課金から成果・製品課金への転換が実証される。案件当量の縮小仮定を緩め、AIエージェント代替に対する独自の防御力を評価し直す。
- カルティの月次売上解約率が4四半期連続で0.5%未満となり、有料店舗数と値上げ継続率が公表されたら
- 継続使用と価格決定力の二つの証拠が揃う。ウェルネス部分に限って「記録・独自データの堀」への格上げを検討し、数量と長期成長を見直す。
- SAPIロープレの有料企業数・一社当たり売上と製品別営業利益が公開され、3年連続で利益を伴う純増が続いたら
- 受託案件によらず収益が増えることを評価する。製品部門の利益率と会社全体の再投資利回りを上げ、強気側の可能性を再評価する。
- 会社がAIエージェントの単独売上高または受注高を金額で示し、既存受託の減少分を補っていると確認できたら
- 新商品として有償販売できる根拠が初めて揃う。楽観の案件数量の上限を解除し、需要拡大を数字で織り込む。製品と受託を二重に数えない。
- 営業キャッシュフローから開発投資を引いた金額が3期連続で黒字となり、ROEが資本コストを超えて推移したら
- 会計利益とオーナー利益の隔たりが縮まる。中立の営業利益率、還元余力、実際の増分投下資本利益率を上げて評価する。
- PKSHAから取得した自己株が消却されず報酬やM&A対価に再交付され、希薄化後の投下資本利益率が低下したら
- 支配株主との資本配分リスクが顕在化する。既存株主の取り分を小さくし、買収先の収益が実現するまで企業価値に上積みしない。
- 大口AI案件の更新が途切れ、プロダクトの月次解約率も2%を超えて続いたら
- 受託収益と継続課金が同時に劣化している。悲観側の利益率と確率を検証し、無形資産を現金化可能な床に含めずに見直す。
見ておくもの
- 会社のAIソリューション・AIプロダクト別四半期売上と受注・継続開発売上の内訳
- AIソリューションの案件単価、実案件件数、エンジニア一人当たり売上・粗利益
- カルティの有料店舗数、月次売上解約率、初期費用を除いた継続課金売上
- SAPIロープレの有料企業数、平均月額、代理店/OEM経由の継続率
- AIエージェント単独の契約金額と外部モデル利用料率
- 営業CFと自社開発ソフト取得支出、ソフトウェア資産・償却・減損
- PKSHA Technologyの保有割合、自己株式の消却・再交付、新株予約権残高
- 2030年に向けた数値目標と配当・総還元方針の有無
倍率と資本コストの決め方
まず2026年9月期の会社開示の提供形態別売上から、社長が示した店月額・企業月額と大型案件の受注水準を使って契約当量を復元した。実件数・個別製品売上・部門別利益は非開示なので仮定である。AIエージェント代替は人月開発の中立数量0.65倍、画面型製品の0.80〜0.85倍、および十年以降のg_long−0.24%にだけ反映し、資本コストの寿命項目と確率には同じ理由を重ねなかった。k8.25%、堀の弱さによる新規投資超過利益の残存率1/3、長期gから楽観〜中立の正当化PERを決め、現行・過去・同業のPERは使っていない。悲観は今の純現金と回収資産から床を求め、過去のPBRを当てていない。2026年に買った自社株は基準株数ですでに控除しており、将来還元に二重算入しない。2028年以降の新リース会計で貸借対照表の表示は変わっても、家賃は営業費用のまま比較した。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債3.0%と株式リスクプレミアム4.5%の基本7.5%に、個社の事業の質だけで0.75ポイントを加えた。赤字継続ではなく2025年から黒字化したため、経営危機の追加金利は付けない。
同じ業種(情報・通信業)の AI 分析
読んだ資料
- Sapeet 2026年9月期第3四半期 決算説明資料(2026年8月13日)
- Sapeet 2025年9月期 事業計画及び成長可能性に関する資料(2025年12月19日)
- Sapeet 2025年9月期有価証券報告書 全文(EDINET収録)
- 2026年5月17日 Sapeet代表取締役IR説明会・単価と工数課金の質疑応答
- 2026年9月期第3四半期決算短信・継続企業注記・貸借対照表
- IDC Japan 国内AI市場予測(2026年3月18日)
- 厚生労働省 令和6年衛生行政報告例 施術所数(2024年末)
- 2026年8月Sapeet自己株式取得結果
- PKSHA TechnologyによるSapeet株式変更報告書(2026年8月26日)