結論
バンク・オブ・イノベーションは、独自の世界観と音楽で利用者を引きつけるスマートフォンゲーム会社である。筆者の結論は「適正」だが、今の時価総額に長く持つための十分な安全域はない。2025年9月期の売上の94.5%を『メメントモリ』1本が担うため、利益を生む力は本物でも、その長期の持続性はまだ証明されていない。2022年の発売が翌期の利益を一変させた一方、売上は2023年の213億円から2025年には124億円まで減った。
強みは絵と音楽を束ねた自社IPの魅力と、課金者を長くつなぎ留める運営能力にある。2026年6月には自社Webストアを開設し、同年8月初旬の課金高の約52%が自社経路に移った。決済手数料を節約できる反面、開発陣の増員で固定費も増えているため、売上を増やさず利益率だけが高まるとは限らない。次の大型RPGは2017年から開発が続いており、品質への執念と発売までの時間の長さが表裏一体となっている。
会社が掲げる売上高1,000億円、営業利益300億円以上は達成期限の付いた予想ではなく、長期の到達像である。新作が複数当たれば今の企業規模は小さいが、失敗しても支えになる現金は2025年9月末で純額52億円にすぎない。現金蓄積の株主への戻り方も慎重に見た5つの筋書きでは、現在価値は約248億円、現時点の時価総額約260億円に対し約5%低い。これは上振れの夢を否定する値付けではなく、成功の確率と失敗時に戻らない資本の両方に値段を付けた結果だ。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の見方では、事業のうまさと株式の買いやすさは別物だ。2023年の大ヒットは開発能力への信頼を生むが、その後に売上が縮んだ経過も同じ重さで見るべきである。単一ゲームの人気を10年以上維持するには、音楽、物語、対戦バランス、イベントの継続的な改良が要る。それは会計上の利益を維持するために不可欠な再投資で、株主が自由に取り出せるお金ではない。
『メメントモリ』に確かなファンのつながりがあっても、課金者数、課金者当たり支出、解約率の時系列を外部から正確に把握できない。この「わからなさ」は株主にとって決定的だ。過去に稼いだ利益の大きさから、未発売の大型RPGまで成功すると推定してはならない。開発が長期化している事実は品質の追求を示すと同時に、増分投資の回収期間を長くする。
経営者の資本配分を評価する上では、純現金を手元に置く理由がはっきりしていることは評価する。新作への広告投資が一時に膨らむ会社に資金余力は必要だからだ。ただし、余剰分までずっと社内に残せば、利益は会社のものでも株主の現金にはならない。本人たちが保有株の価値を高めようとしていることと、少数株主に利益を還元する制度があることは異なる。
本源的な価値を支えるのは、既存ゲームが細りながらも長く稼ぐ金額、新作の成功を織り込んだ加重平均利益、そして回収可能な現金である。評価の高い新作が1本出ても、それが次の10年の再現性を証明したことにはならない。中立で見た値段にはすでにかなりの新作期待が含まれるため、今の時価総額と適正価値が近いというだけでは、長く保有するための安全域が十分とは判断しない。
何で稼ぐ会社か
法定の報告セグメントは「スマートフォンアプリ関連事業」の1つだが、長期の稼ぎは3つに分ける必要がある。第一は2022年10月配信の『メメントモリ』で、2025年9月期の売上は116.83億円だった。ガチャを中心とするゲーム内課金から売上を得ており、音楽や水彩調の人物描写、周年行事、配信者との協業を通じて課金の継続を促す。累計ダウンロード数は400万件を超えるが、継続利用者数も有料利用者数も公表されていない。したがって、売上から逆算する年間課金者数と課金者当たり売上は評価用の仮定であり、開示されたKPIではない。
第二は2021年開始の『恋庭』で、ゲーム内の共同作業をきっかけに交流する恋活・婚活サービスだ。2025年9月期の売上は6.82億円で、親会社の全社売上の5.5%に当たる。累計ダウンロード300万超という認知はあるが、2025年の子会社単体では営業損失を計上した。2026年7月の子会社吸収合併に伴う組織の整理は、収益性が改善した証拠と同義ではない。登録者が増えても、本人確認、監視、安全対策、継続運営費が利益を食う性格がある。
第三は開発中の新作大型RPGと他社IPを用いたゲーム、新規サービスの案件群である。第二弾RPGは2017年から本開発が続き、第三弾は2023年から企画されている。新作はまだ売上を生んでいないので、2025年の数量はゼロとし、将来は年間に稼働する有力タイトル換算で評価する。会社は研究開発費を無形資産として繰り延べず費用計上しており、作品に投じた資金は発売前から損益を圧迫する。
収益構造で最も大切なのは、顧客の課金高と会社に残る利益を混同しないことだ。2026年8月の会社資料では、Webストア導入後の将来イメージを決済手数料約15%、広告費約30%、限界利益率約55%と示す。さらに2027年9月期以降の固定費は年53億円程度を想定している。ここから新作が当たった時の利益の跳ね方と、当たらなかった時に固定費が残る怖さの両方が読み取れる。
優良さと弱いところ
ゲーム会社の堀は、顧客が簡単にまねできない世界観と、その世界で長く遊びたくなる習慣に宿る。『メメントモリ』は登場人物ごとの楽曲やアートを積み重ね、単なる広告購入だけでは作れないファンとの関係を育てた。発売から数年たっても年間100億円を超える売上を保てていることは、運営力の確かな証拠だ。自社IPなので人気をグッズや音楽、協業にも広げる選択肢がある。
ただし、事業全体を「強い堀」とまでは判定できない。『メメントモリ』以外の大ヒットが直近で再現されておらず、解約率、顧客一人当たりの支出、同一顧客の継続年数、料金改定を通した実績は数字で開示されていない。利用者は基本無料の競合作にいつでも移ることができ、ゲーム画面や配信基盤の独自性だけでは価格決定権は生まれない。年間課金額が物価並みに10年増えるという前提には慎重であるべきだ。
増分資本利益率を考えると、2022年までの開発投資が2023年に大きな利益を生んだことは高く評価できる。だが、営業利益は2023年49億円から2024年13億円へ落ち、再投資1円当たりの利益が常に高かったわけではない。次の新作では開発年数が長く、開発費がすべて費用になるため、失敗した案件の損失が明確に株主に帰属する。資本効率の良さを今の高ROEだけで判断してはいけない。
純現金52億円、2025年9月期自己資本58億円という財務は負債危機を遠ざけるが、売上に対し1社1作品の依存が強い。自社Web決済はプラットフォームへの手数料負担を下げる実行済みの改善であり、堀を広げる一歩だ。ただし独自の有料会員基盤が外部の競争を遮断するわけではない。人月で売る業務受託や席課金SaaSではないため、指定のAIエージェント代替の直接分類には当たらないが、生成AIによるコンテンツ供給過多は競争を激しくする。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ゲーム市場の大きさに比べ、同社の現在の取り分は小さい。『ファミ通ゲーム白書2026』では2025年の世界ゲームコンテンツ市場を約32.1兆円、国内を約2.59兆円と推計する。Sensor Towerが推計した2025年の国内アプリ内課金市場は約110億ドル、為替150円換算で約1.65兆円だ。『メメントモリ』の売上116.83億円が全額国内だったとしても0.71%程度で、実際の国内シェアは海外売上分だけ低くなる。AppMagicによる2025年の国内アプリ収益は『Pokémon TCG Pocket』と『ラストウォー』が各約3.26億ドル、『モンスターストライク』が3.02億ドル、『Fate/Grand Order』が2.57億ドルである。これを前記の市場額と比べると各約3.0%、3.0%、2.7%、2.3%になる。ただし2社の推計手法や公式Web決済の対象範囲が違うため、正式な同条件シェアではなく競争規模の目安にすぎない。
需要の争奪戦は厳しい。『モンスターストライク』、『Fate/Grand Order』、『ウマ娘 プリティーダービー』など日本の長寿タイトルに加え、Tencent、HoYoverse、Nexonや新興ゲームが限られた余暇と支出を奪い合う。強いIPをいくつも持つ大手は、人気が落ちた作品を別の作品で補える。これに対し、同社は世界観を丁寧に作る長所の裏で、タイトル数の少なさが構造的な弱点となる。10年後の既存作品の課金者数は自然減を基本とし、伸びは新作の獲得人数から別に測る。
国内の価格は物価に比例して自動的に上がらない。基本無料ゲームは課金率と高額課金者の支出の組み合わせで単価が決まり、競合が無料の楽しみを増やせば、物価が上がっても課金額を上げにくい。海外は利用人口が拡大する余地があるが、中国向け『メメントモリ』は認可待ちで、ライセンス取得後にも現地の嗜好と運営体制が問われる。Apple、Googleなどの手数料とストア規約も収益を左右する。
『恋庭』が戦う国内のマッチングアプリ市場は民間調査で2025年約1,023億円、2026年約1,094億円とされる。『恋庭』の売上6.82億円が全額国内だとしても市場の約0.7%に満たない。Pairs、with、タップル、Tinderには利用者の厚みがあり、新参者が出会いの成立率を高めるのは難しい。本人確認や安全管理に係る法制度への対応も長く残る。国内の大きな人口増を期待せず、利用者の流動性と新機能で増減する業界とみている。
資本政策と M&A
同社の資本配分には、作品作りを最優先する明確な一貫性がある。2020~2022年の赤字を耐えて完成させた『メメントモリ』が2023年に営業利益49億円を生んだ実績は、過去の投資が大きな果実を結んだ例だ。他方で2025年まで配当はゼロで、2024年の小規模な自己株取得を除けば利益の多くは社内に残った。現金を積み上げても、少数株主がいつ回収できるかという別の問いが残る。
2025年9月末の上位10株主の持株比率は約65.7%、筆頭株主一人で約43.9%を保有する。過去5年に2%以上の株数減少につながる自己株買いも増配も見られないので、余剰現金の株主への戻り方は帳簿価額の半分として評価する。2018年には増資による株数増加も起きており、大規模な資金調達が再び必要になれば1株当たりの持分は薄まる。会社自身も「大きく攻める」段階では借入、最終的には新株発行の可能性を認めている。
会社資料の目標は、売上高1,000億円、海外売上比率50%超、営業利益300億円以上である。ただし目標年を定めた中期経営計画としての数値の約束ではなく、ROE、配当性向、DOE、総還元性向、自己株買いの金額にも数字の約束はない。2026年9月期の会社見通しは売上120億円、営業利益20.2億円、純利益17億円であり、長期目標との距離はなお大きい。
M&Aは企業買収で版権を集める戦略ではなく、自社IP・開発部隊の強化と提携が中心だ。2026年の『恋庭』運営会社の吸収合併はグループ内整理で、買収による価値の創出を示すものではない。現在発表済みのTOB、MBO、上場廃止予定、継続企業の前提の注記は確認されず、買収される可能性は価値の中核に入れていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
『メメントモリ』は、全キャラクターに楽曲を用意する表現力と、水彩調の絵づくりを収益に変えた珍しい成功例だ。2022年の発売後、最初の1カ月の課金高は55億円に達し、その後も月間10億円以上を1年以上保った。この実績は、広告で一時的に利用者を集めただけでは説明できない。長寿作品があることは、ヒットを再現する開発者を育てる点でも強みとなる。
決済の構造にも改善が始まった。自社Webストアの利用が広がれば、アプリのプラットフォームに支払う手数料が減り、既存作品の営業利益率は課金額が横ばいでも上がりうる。会社は決済手数料率約15%という新しい損益イメージを示し、広告と固定費を含む採算分岐点も開示した。費用の構造が見えやすくなり、新作が発売された時の追加売上が利益に大きく跳ね返る。
さらに、自社開発の第二弾RPGと第三弾RPG、他社IPゲーム、海外向け『恋庭』、新サービスの種が複数ある。会社が目指す発売初月100億~200億円の課金高は、以前の『メメントモリ』より高い目標だ。仮にそこまで届かなくても、大型作品が2~3本続けてヒットすれば、売上は現在の数倍、営業利益も100億円を超える。海外売上の比率が上がれば、日本の少子化だけで数量が決まる会社でもなくなる。
純現金を持ち、開発費を資産計上せずに費用処理しているため、黒字には作品ごとの手応えが比較的早く現れる。十分な現金があれば、広告に資金を投じて顧客を増やし、次のコンテンツへ投資する循環を回せる。企業規模がまだ小さい今は、複数の成功作を抱えた後の姿が大きく変わる余地がある。
慎重な見方
売上のほぼ全てを1本のゲームに頼る企業の10年後を、2023年の1年で測ることはできない。『メメントモリ』は当時の売上213億円から2025年には124億円まで全社の収益規模を縮ませており、発売直後の課金熱が冷めた事実は重い。音楽とキャラクターは強くても、ログインする理由を毎年作り直す必要がある。課金者が高齢化し、もっと新しいゲームへ時間を移せば、単価を引き上げることで減少を補うのは難しい。
新作の再現性にも疑問が残る。第二弾の大型RPGは2017年から長く開発中で、第三弾は企画段階だ。研究開発を全額費用処理する姿勢は会計上の透明性を高めるが、作品を出せなければ資金だけが先に減る。会社は2027年以降の固定費を年53億円程度と示し、2026年3四半期には開発・運営費が増えていた。新作が不振なら広告を減らしても人件費と制作費が残り、利益は一気に赤字になる。
業界の競争相手は資本力のあるIP保有企業だけではない。生成AIによってイラスト、音楽、翻訳、開発作業が安くなれば、ゲームの供給数が増え、利用者に選ばれること自体が難しくなる。中国の配信許可はまだ得られておらず、海外売上の拡大も契約があれば実現するわけではない。『恋庭』が大手マッチングアプリの利用者基盤に正面から勝つのも容易ではない。
最も見過ごせないのは、利益が少数株主にどう戻るかだ。上位10株主の持株比率は6割を超え、配当は長年ゼロだった。仮に利益が再び増えても、次々と新作へ投じれば、株主の手元に現金が届く時期は見通せない。過去には新株発行による株数増加も経験しており、大規模な開発投資が現金を超えれば将来の持分希薄化も起こりうる。
どちらに重みを置いたか
会社のIP制作力と純現金は評価するが、長期の確からしさでは慎重な材料の方が強い。2025年の『メメントモリ』売上比率94.5%、第二弾RPGの長い開発期間、配当ゼロという3つの事実が、複数タイトルの持続的な成功を当然視できない理由だ。そこで楽観とやや楽観の合計25%に対し、やや悲観と悲観を42%と下に寄せた。ただし、好調時の収益規模は現在より何倍も大きくなりうるため、上振れの金額は小さく扱わない。現金蓄積を株主還元の実績で割り引くと、5つの筋書きの加重現在価値は約248億円になる。時価総額約260億円との差は約5%で、判定は適正だが保有に十分な安全域はない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/09 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 12,881 円512 億円(+ 還元の換算額還元の合計 186 円7 億円)。 今の値に割り戻すと 6,235 円248 億円、今との差 −7.5%、 期待の年率 +6.9%(資本コスト 7.8%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 54,824 円2,179 億円 | 1,258 円50 億円 | +732.1% | +24.1% | 4,487 円178 億円 |
| やや楽観 | 17% | 29,258 円1,163 億円 | 503 円20 億円 | +341.6% | +16.2% | 5,059 円201 億円 |
| 中立 | 33% | 8,759 円348 億円 | 0 円0 億円 | +30.0% | +2.7% | 2,891 円115 億円 |
| やや悲観 | 27% | 1,610 円64 億円 | 0 円0 億円 | −76.1% | −13.3% | 435 円17 億円 |
| 悲観 | 15% | 1,308 円52 億円 | 0 円0 億円 | −80.6% | −15.1% | 196 円8 億円 |
| 加重平均 | 100% | 12,881 円512 億円 | 186 円7 億円 | +93.9% | +6.9% | 13,068 円519 億円 |
今の株価時価総額 6,740 円268 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 海外展開と複数の自社IPが成功 利益 131 億円 · PER 15.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 54,824 円2,179 億円
新作大型RPGが海外でも支持され、後続の別作品も売上を維持する。『メメントモリ』は音楽と映像を生かしたIP展開で長寿化し、2036年にも年間課金者10万人を保つ。『恋庭』は安全対策と海外版の投入が功を奏し、Pairsやwithと競う中でも特定の嗜好を持つ利用者を増やす。
新作は平均して年間3本分の大型タイトルが稼働する収益力を持ち、売上は既存分を含め約664億円へ拡大する。自社Web決済が広がり、運営型作品の限界利益率は高まるが、新作の獲得広告と制作陣の増強で固定費も175億円まで増える。大型ゲームのヒット後にも後継作へ巨額を再投資し、経営が資本をため込む姿勢は残る。
他社IPとの協業は版権依存を増やすものの、自社タイトルと利用者層を補完する。海外の地域別規制や日本の課金規制は重大な障害にならず、作品の人気を保つ。企業価値の上振れは新作の定着が生むもので、買収や根拠のない永続的高成長に頼らない。それでも稼ぐ力を10年先まで維持するのは難しいため、最も低い部類の確率に留める。
- 既存RPG「メメントモリ」:数量 10.0(年間有料利用者数(万人、開示なし・逆算仮定))× 価格 16(年間有料利用者1人当たり売上高(万円、名目))→ 売上 156 億円・営業利益 101 億円。課金者10万人を維持。年間売上単価は現行比1.34倍で物価並み。
- 恋庭(ゲーム型恋活サービス):数量 25.0(年間有料利用者数(万人、開示なし・逆算仮定))× 価格 2.30(年間有料利用者1人当たり売上高(万円、名目))→ 売上 58 億円・営業利益 33 億円。海外恋活の差別化で25万人。価格は信頼サービス向け高付加価値。
- 開発中の大型RPG・他社IP・新サービス:数量 3.0(年間稼働有力タイトル換算数(本・年、1本の年商を稼ぐ等価量))× 価格 150(稼働有力タイトル1本の年間売上高(億円、名目))→ 売上 450 億円・営業利益 225 億円。海外で新作3本相当が年商150億円ずつ稼働。開発期間・連続ヒットの高難度を反映。
倍率:資本コスト7.75%、長期g2.0%、moat=weakで超過ROEの残存を3分の1とする。将来余剰現金400億円を除いた事業自己資本250億円、税後事業利益約125.24億円から事業ROE50.1%とRONIC21.9%を得る。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=15.80倍(上限そのもの)。事業利益×PERに、10年後の余剰現金400億円の株主回収率50%分を加える。純利益130.84億円には現金の税後利息5.60億円を含むが、利息にはPERを掛けない。現在の市場PERは使わない。
確率:新作3本相当が同時に年間100億円以上を稼ぐには第二・第三弾RPG、他社IP、海外配信で連続的な成功が必要。2017年から開発する次作の発売時期すら未開示なので上側の極端なケースは8%に留める。
やや楽観 17% 次の大型RPGが成功し2本目の柱になる 利益 70 億円 · PER 15.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 29,258 円1,163 億円
大型RPGの第二弾が発売され、初年度の話題性が数年後も残る。第三弾RPGや他社IPとの協業も一定の売上を生むが、全てが大ヒットになるわけではない。『メメントモリ』は有料顧客の減少をイベントとWebストア改善で緩やかに抑え、2036年に年9万人ほどの課金者を保つ。
『恋庭』はマッチングの安全性とゲーム的な交流の体験が浸透し、利用人数を増やす。それでも国内市場でPairs、with、タップルの利用者基盤を奪うには限界があり、主力収益はRPGのままである。新作の年間稼働換算は1.65本程度となり、全社売上は約355億円に拡大する。
プラットフォーム手数料の引き下げは利益を支える一方、世界で宣伝費を使い続ける必要があり、固定費は100億円を超える。事業の利益率は上がるが、過大な採算を前提にはしない。現金は相応に蓄積し、わずかな買戻しを行う可能性を含めても、株主還元が大幅に増える保証はない。
- 既存RPG「メメントモリ」:数量 9.0(年間有料利用者数(万人、開示なし・逆算仮定))× 価格 14(年間有料利用者1人当たり売上高(万円、名目))→ 売上 128 億円・営業利益 83 億円。年9万人。単価上昇21.5%で物価上昇34%を下回る。
- 恋庭(ゲーム型恋活サービス):数量 14.0(年間有料利用者数(万人、開示なし・逆算仮定))× 価格 2.10(年間有料利用者1人当たり売上高(万円、名目))→ 売上 29 億円・営業利益 17 億円。マッチングのネットワークを拡大、課金14万人まで浸透。
- 開発中の大型RPG・他社IP・新サービス:数量 1.7(年間稼働有力タイトル換算数(本・年、1本の年商を稼ぐ等価量))× 価格 120(稼働有力タイトル1本の年間売上高(億円、名目))→ 売上 198 億円・営業利益 103 億円。新作約1.65本相当が平均年商120億円、部分的に海外が成功。
倍率:資本コスト7.75%、長期g2.0%、moat=weakで超過ROEの残存を3分の1とする。将来余剰現金260億円を除いた事業自己資本170億円、税後事業利益約66.70億円から事業ROE39.2%とRONIC18.2%を得る。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=15.48倍(上限そのもの)。事業利益×PERに、10年後の余剰現金260億円の株主回収率50%分を加える。純利益70.34億円には現金の税後利息3.64億円を含むが、利息にはPERを掛けない。現在の市場PERは使わない。
確率:一つの大型ゲームが世界市場で伸び、次のサービスにも採算が付く道筋は既存作品の成功例から可能性があるが、長期開発と海外認可の不確実性で4分の1未満にする。
中立 33% 主力作が緩やかに細り、新作1本弱が補う 利益 21 億円 · PER 14.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 8,759 円348 億円
『メメントモリ』は長寿タイトルとして残るが、発売から14年近く経つ頃には新規利用者を得る費用が増す。国内の課金者数は若い世代への引き継ぎが十分進まず、世界合計の年間課金者は今の仮定10万人から6.5万人へ減る。1人当たり支出は少し増えるが、無料ゲーム間の競争で物価上昇には追いつかない。自社Web決済の浸透は利益率を支える。
『恋庭』はゲーム型の交流という小さな領域で利用者を増やす。しかし、安全管理と機能の更新には支出が続き、恋活市場で大手の規模には近づけない。2017年から開発中の大型RPGを含め、いずれかの新作は一定の売上を生むものの、初期の熱狂を10年後まで維持するには至らず、複数の大ヒットもない。全社売上は約175億円にとどまる。
2027年以降の会社の固定費イメージを土台に、追加スタッフと一般物価で固定費が増える。広告と決済の費用を引いた利益が投資を賄い、営業利益は約28億円となる。資金を配当として出さずに積み上げるため自己資本は厚くなるが、余剰現金を少数株主が全て受け取れるとは考えない。
- 既存RPG「メメントモリ」:数量 6.5(年間有料利用者数(万人、開示なし・逆算仮定))× 価格 13(年間有料利用者1人当たり売上高(万円、名目))→ 売上 83 億円・営業利益 53 億円。年課金者は0.65倍、名目単価は1.096倍。長寿化の一方で実質課金単価は低下。
- 恋庭(ゲーム型恋活サービス):数量 7.0(年間有料利用者数(万人、開示なし・逆算仮定))× 価格 1.85(年間有料利用者1人当たり売上高(万円、名目))→ 売上 13 億円・営業利益 7 億円。ニッチで差別化し7万人へ。名目単価上昇は年1%弱。
- 開発中の大型RPG・他社IP・新サービス:数量 0.8(年間稼働有力タイトル換算数(本・年、1本の年商を稼ぐ等価量))× 価格 105(稼働有力タイトル1本の年間売上高(億円、名目))→ 売上 79 億円・営業利益 39 億円。10年後の収益力は年商105億円の有力作0.75本相当。巨大ヒットの継続は前提にしない。
倍率:資本コスト7.75%、長期g2.0%、moat=weakで超過ROEの残存を3分の1とする。将来余剰現金135億円を除いた事業自己資本80億円、税後事業利益約19.04億円から事業ROE23.8%とRONIC13.1%を得る。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=14.74倍(上限そのもの)。事業利益×PERに、10年後の余剰現金135億円の株主回収率50%分を加える。純利益20.93億円には現金の税後利息1.89億円を含むが、利息にはPERを掛けない。現在の市場PERは使わない。
確率:これまでの1回の大当たりと2020~2022年の先行赤字を踏まえると、既存作品が衰えて新作が部分的に補う程度が最も説明しやすい。2027年以降の固定費53億円を物価と組織拡大で約72億円に伸ばした。
やや悲観 27% 既存作の衰えに新作の失速が重なる 利益 −15 億円 · PBR 1.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,610 円64 億円
『メメントモリ』は運営を続けるものの、音楽と世界観だけでは課金者をつなぎ留められなくなる。年間有料利用者の仮定は4万人まで減り、無料作品との競争から単価も物価上昇に追いつかない。Webストアは残るが、課金額そのものの減少を補う効果は限られる。海外では中国向け配信の認可や運営上の問題で規模を作れない。
開発に長い時間を投じた大型RPGは配信されても大きな利益を生まない。年間収益力は有力タイトル0.25本に過ぎず、他社IP案件も最低保証や分配率の制約で伸びない。『恋庭』は安全対策費と大手競合への顧客流出に苦しみ、課金者は3万人台に縮む。
固定費を年55億円まで削減しても、全社売上約73億円では損失を止めきれない。会社は広告出稿を減らし、開発人員の一部を整理して現金流出を抑える。将来利益による価値がほぼ消えるため、手元資金と換金できる財産を中心に評価する。過去に稼いだ現金の一部は新作開発で費消され、配当による回収は期待できない。
- 既存RPG「メメントモリ」:数量 4.0(年間有料利用者数(万人、開示なし・逆算仮定))× 価格 12(年間有料利用者1人当たり売上高(万円、名目))→ 売上 46 億円・営業利益 28 億円。課金者が現在仮定の4割。価格上昇は物価より弱い。
- 恋庭(ゲーム型恋活サービス):数量 3.2(年間有料利用者数(万人、開示なし・逆算仮定))× 価格 1.65(年間有料利用者1人当たり売上高(万円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 3 億円。恋活の定着が進まず国内ユーザーを減らす。
- 開発中の大型RPG・他社IP・新サービス:数量 0.3(年間稼働有力タイトル換算数(本・年、1本の年商を稼ぐ等価量))× 価格 85(稼働有力タイトル1本の年間売上高(億円、名目))→ 売上 21 億円・営業利益 10 億円。新作は有力作4分の1本相当。広告回収が難しくなる。
倍率:赤字シナリオでは純利益が負のためPERを使わず、今の自己資本58.2億円を基準にPBR1.100倍の64億円とする。根拠は現在の純現金52億円を基礎とする回収床に、なお稼働するゲームIPの再建余地12億円を加えたものである。今の自己資本58.2億円から計算し、将来の積み上げ純資産90億円や過去の株価の谷PBRを根拠にしない。
確率:下に寄せる理由:2025年売上の94.5%を1作品に依存し、2017年開始の第二弾は2026年8月時点で未発売である。新作の費用を先に計上する事業のため、需要が減ると利益がすぐ赤字になる。
悲観 15% 人気作品が陳腐化し新作も定着しない 利益 −19 億円 · PBR 0.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,308 円52 億円
『メメントモリ』はサービスを維持していても、一部の昔からの愛好者が残るだけになる。年課金者は2万人程度まで減り、単価は購入意欲の低い層を中心に小さくなる。『恋庭』は本人確認と安全管理費を負担する規模を確保できず、採算を大きく損なう。アプリ市場では生成AIによって良質な新作の供給が増え、古いIPの発見されやすさが下がる。
第二弾RPGと第三弾RPGを含む新作はヒットせず、過去の開発費は投資回収できない。将来の売上は既存作品のごく小さな継続課金だけとなり、全社で20億円余りに縮む。会社は開発ラインと海外投資を停止して固定費を大幅に圧縮するが、それでも営業赤字が残る。大手への売却やMBOを都合よく仮定して価値を膨らませない。
10年後の事業には成長を生む超過収益がなく、純現金と売却可能資産の水準だけが最後の支えになる。大型の負債を抱えずに事業を縮小できた場合の回収額を床に置くが、ファン基盤や未発売タイトルに根拠のない換金価値は付けない。新株発行が必要になるほど赤字を放置すれば、この床そのものが危うくなる。
- 既存RPG「メメントモリ」:数量 2.0(年間有料利用者数(万人、開示なし・逆算仮定))× 価格 10(年間有料利用者1人当たり売上高(万円、名目))→ 売上 20 億円・営業利益 11 億円。課金者は現在仮定の2割、年間支出も低下。
- 恋庭(ゲーム型恋活サービス):数量 1.0(年間有料利用者数(万人、開示なし・逆算仮定))× 価格 1.20(年間有料利用者1人当たり売上高(万円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。恋活サービスの競争力を失う。
- 開発中の大型RPG・他社IP・新サービス:数量 0.0(年間稼働有力タイトル換算数(本・年、1本の年商を稼ぐ等価量))× 価格 85(稼働有力タイトル1本の年間売上高(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。新作RPGに継続売上なし。
倍率:赤字シナリオでは純利益が負のためPERを使わず、今の自己資本58.2億円を基準にPBR0.893倍の52億円とする。根拠は現在の純現金52億円を基礎とする回収床のみを数えたものである。今の自己資本58.2億円から計算し、将来の積み上げ純資産60億円や過去の株価の谷PBRを根拠にしない。
確率:下に寄せる理由:単一作品の売上比率94.5%は構造的な集中であり、次作が失敗すれば既存作の衰退を埋める手段がない。2020~2022年に3期連続の営業赤字を経験した事実から、事業縮小は空想ではない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
既存RPG「メメントモリ」
自社IPを全世界へ配信するゲーム内課金。キャラクター、音楽、長期イベントと自社Webストアが収益源。
| 数量年間有料利用者数(万人、開示なし・逆算仮定) | 価格年間有料利用者1人当たり売上高(万円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 10.0 | 12 | 117 | 55 |
| 10 年後 中立 | 6.5 | 13 | 83 | 53 |
取り方:2025年有報のタイトル別売上116.83億円が確定値。累計400万DL超は年次有料利用者数ではない。年間課金者10万人・年間支出11.683万円は自社売上と整合する評価上の一組の仮説で、会社が顧客数・ARPPUを開示したわけではない。規模感は累計DLの2.5%に相当するが、その比率が実際の転換率を意味することもない。商品別営業利益は非開示なので、2025年の決済・広告費合計65.51億円と全社の費用表から、課金に連動する費用控除後の限界利益約47%を仮に配賦し54.92億円とした。今の決済比率では将来の自社ストア15%は適用しない。
恋庭(ゲーム型恋活サービス)
アバターと協力プレイで交流するサービス。課金と継続利用者が収益を左右し、信頼・安全対策に固定費を要する。
| 数量年間有料利用者数(万人、開示なし・逆算仮定) | 価格年間有料利用者1人当たり売上高(万円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 4.0 | 1.71 | 7 | 3 |
| 10 年後 中立 | 7.0 | 1.85 | 13 | 7 |
取り方:2025年有報の恋庭売上6.82億円を、仮の年間有料利用者4万人×年間1人当たり1.705万円に分けた。累計300万DL超をアクティブ人数と誤認しない。人数・ARPPUは非公表なので推計にすぎない。商品別営業利益非開示のため限界利益率約47%として3.21億円と推定するが、固定費控除後の2025年子会社単体営業利益は赤字であり、ここでのプラスは事業利益を意味しない。国内マッチング市場2025年推計1,023億円に対し全売上を国内と仮定した上限シェア約0.67%(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000133026.html)。
開発中の大型RPG・他社IP・新サービス
新作RPG、提携IPゲーム、ゲーム周辺サービス。発売前は売上ゼロで、開発費は当期の固定費として先に生じる。
| 数量年間稼働有力タイトル換算数(本・年、1本の年商を稼ぐ等価量) | 価格稼働有力タイトル1本の年間売上高(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 0.0 | 100 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 0.8 | 105 | 79 | 39 |
取り方:2025年有報の「その他」売上ゼロが起点であり、未発売ゲームの開発費を売上にしない。1タイトル年商100億円は会社の2026年資料が新サービスで目標にする規模で、実績平均ではない。タイトル換算0.75とは平均0.75本の収益力であり、社数やリリース本数の事実を示さない。会社は第二弾RPGを2017年開発開始、第三弾を2023年企画開始と開示。開発費は資産化せず固定費から引く。現在の売上を架空の指数100に置き換える方法は使っていない。
リスクと懸念
1作品に偏る収益と課金者の自然減
2025年の売上の94.5%が『メメントモリ』に集中する。周年イベントと限定キャラクターでファンの支出を維持しているが、課金者の高齢化や新作への移動は避けがたい。月間有料利用者数・解約率は非開示であるため、業績に表れてから劣化に気付くリスクが残る。中立では有料利用者数を10年で65%に落とし、悲観では20%にまで減らす。
9年を超える大型RPG開発と固定費の先行
第二弾RPGの開発開始は2017年で、2026年8月時点でも本開発中だ。研究開発費は資産に繰り延べず即時費用化されるため、発売延期や失敗時には会計利益と現金が同時に弱くなる。2027年以降の会社側の固定費イメージは53億円で、発売が遅れるほど採算分岐点が高まる。第三弾や提携IPも成果が確定していない。
プラットフォーム規約・課金規制・決済の変化
自社Webストアは2026年8月初旬の課金高で約52%の自社経路決済を達成し、手数料低下の余地がある。しかしApple・Googleの規約変更、決済事業者の手数料、各国の未成年課金や確率型アイテムの規制が利益率に影響する。約15%という手数料率は会社の将来イメージであって保証ではなく、利用者がストア決済へ残り続けるかを見る必要がある。
海外展開と中国配信認可
国内の人口とゲーム時間に大きな伸びを期待しにくいため、上位の筋書きは海外で新作の利用者を増やすことに依存する。『メメントモリ』中国本土版は現地で配信認可を申請中であり、認可、販促、契約上の分配が不透明だ。中国向け売上を未確定の段階で中立の基礎利益に加えず、成功時の数量上振れにとどめた。
AIエージェント代替は直接非該当、生成AIとの競争は増す
同社は人月のSI、BPO、広告運用受託や席課金の業務ソフトを主力としておらず、指定されたAIエージェント代替の数量減の型には直接当たらない。ただし生成AIが翻訳、制作、画像や音楽の供給量を押し上げれば競合作品が増え、買い手の時間と支出を奪う。制作費の節約が直ちに追加利益になるとは限らず、既存タイトルの有料利用者数の前提に競争圧力を入れている。
株主還元不足、資本滞留と持分希薄化
上位10株主で約65.7%を保有し、過去5年間に配当や大幅な自己株買いはない。会社が余剰現金を蓄積しても、少数株主が額面どおりに受け取れるとは限らないため、将来現金の回収率を50%に限定した。経営陣は大きな成長投資の資金が足りなければ借入や新株発行を行う可能性を説明しており、既存株主の持分の希薄化にも注意が必要だ。
今後の分かれ目
- 次の大型RPGが配信され、発売後1年間の平均月額課金高と広告宣伝費を継続開示したら
- 課金高から消費税等を除いた売上と広告費の比で継続収益力を測り、新作の稼働タイトル換算数を修正する。初月の課金急増だけでは中立の継続売上を引き上げない。
- 『メメントモリ』の年間売上が70億円を下回り、その後も下げ止まらなければ
- 既存有料利用者数の10年中立6.5万人を引き下げ、新作による埋め合わせが不十分ならやや悲観の重みを高める。Web決済の費用削減と利用者離れを区別する。
- 自社Webストア決済比率が60%を超え、全社のPF手数料率が15%程度まで下がったら
- 現金創出力を上方修正できる。ただし固定費と広告費の増減を同時に確認し、決済比率の上昇を単独で永続的な値決め力とは評価しない。
- 次の2年で年間固定費が70億円を超えても新作収入が立ち上がらなければ
- 損益分岐点の上昇を事業の弱体化として反映し、下側のシナリオで赤字の期間を長く取る。開発継続を理由に還元を増やす想定も保留する。
- 『恋庭』の有料会員数と単体黒字化が継続開示で確認されたら
- 課金者数の成長を数量として評価し、国内市場でのシェア仮定を増やす。累計ダウンロード増加だけでは、黒字の継続と解約の減少を証明しない。
- 新しい明確な配当性向・DOEまたは大規模自社株買いの方針が示され、実行されたら
- 将来に蓄積する余剰現金の株主への戻り方を0.5から0.75または1.0へ見直す。単なる長期売上目標ではなく、実際の還元資金と株数の減少を優先する。
- 中国本土版の認可取得と現地分配金額が公表され、海外売上比率が継続して上昇したら
- 認可の有無だけでなく会社帰属売上と利用人数を確認し、主力タイトルの実質数量を上方修正する。広告投下だけの一時的上昇なら永続成長率は変えない。
見ておくもの
- 主力「メメントモリ」と「恋庭」のタイトル別四半期売上・前年同月比・周年イベント反動
- 新作第二弾RPGの発売日、世界事前登録者数、初月課金高、発売1年後の月間売上
- Webストア自社経路決済比率、PF等手数料率、広告宣伝費率の推移
- 2027年以降の年間固定費53億円の見通し変更、四半期新作開発投資額
- 中国本土版の版号取得と海外売上比率(2024年時点10%超)
- 純現金・合同運用指定金銭信託の残高、実際の配当・自己株取得額・新株発行
- 恋庭の有料会員、本人確認率、継続率と単体損益が開示されるか
倍率と資本コストの決め方
現在の時価総額は指定されたbasis.priceと、発行済株式4,003,000株から自己株28,757株を控除した3,974,243株により約259.92億円と確認した。現在のPERやゲーム同業の株価倍率は将来PERの根拠に使わない。2036年の売上は実際のタイトル別売上から有料課金者数×名目課金額を仮定し、未発売ゲームは年商100億円程度の稼働タイトル換算で別建てにした。売上に物価を二重計上せず、単価が物価上昇に追い付かない筋書きも置いた。営業利益には販促・決済費を引いた限界利益と固定費を別々に反映し、純利益では税と利息を区別した。売上が伸びても内部留保した資金を現金と自己資本の両方で二重に評価せず、シナリオごとに将来余剰現金を明記して自動加算しない。PERは資本コスト7.75%、新規再投資のRONIC、長期名目成長率2%から出し、悲観は今の純現金52億円を床とする。自己資本の起点は資料指定の2025年9月期、到達時点は現時点の10年先に当たる2036年9月期である。新リース会計が導入されても、事務所家賃を営業費用とする比較可能な損益形態でそろえる。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。