結論
アドバンスト・メディアは、音声認識エンジン「AmiVoice」をコールセンター、議事録、医療、建設などに提供する企業である。国内音声認識市場で首位級の実績と厚い金融資産を持つが、長く持つ株主の立場では、現在の時価総額154億円に十分な安全域があるとは判断しにくい。
強みは、日本語と業界固有の専門用語を認識し、顧客の業務に組み込んできた経験である。コールセンター向けには約610の導入先と累計約9.5万ライセンスがあり、医療分野にも広い採用実績を持つ。単なる文字起こしよりも、通話監査、診療記録の入力支援、議会の記録作成という用途の方が残りやすい。
ただし、10年先にも同じ人数分のライセンスが必要とは限らない。Microsoft、Google、Amazon、OpenAIなどが音声認識を汎用機能として供給し、AIエージェントが聞き取りから記録、検索、報告までを一括処理するようになれば、従来の席課金と画面操作を前提とした製品は数量、単価の両面で圧迫される。さらに2026年4月には技術者派遣・検証業務を行うfeatを取得し、人の工数に依存する事業を増やした。
2026年3月期の純利益約17億円には、有価証券売却益約10億円が含まれる。これを通常の収益力として10年先へ延ばすべきではない。一方、現預金と上場株式の厚さ、増配と自社株買いの実績は、下振れ時の支えになる。筆者は中立では2036年3月期の営業利益を約12億円と考える。将来の留保資本や保有株式の価値も考慮するが、音声認識の技術的優位を永続的な値決め力と同一視せず、投資判断はやや割高寄りとする。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主が最初に確かめたいのは、10年後に何を売っている会社かという問いである。AmiVoiceが日本語音声認識の有力な技術であることには疑いが少ない。だが、音声認識は顧客が本当に欲しい結果ではなく、顧客の仕事を片付ける途中の機能でもある。この機能だけに対価を払う時代が長く続くかは、技術の優秀さとは別に考えなければならない。
真に強い事業なら、顧客が離れにくく、値上げをしても利用が続き、追加投資が大きな利益を生む。同社はコールセンターや医療に深く入り込んでいるが、顧客の基幹データを独占しているわけではない。認識エンジンを別のモデルに取り替える費用が下がれば、既存の販売実績は参入障壁であると同時に、置換される契約の母数にもなる。
一方で、財務の強さを軽く扱うべきでもない。約49億円の純現金に加え、上場株式という換金可能な資産がある。研究開発が難航しても、新株を発行せずに事業を立て直す余地がある。配当と自己株買いも始まっており、経営が資金を抱え込む一方だった過去からは変化が見える。ただし、現金を価値として数えるなら、その現金から生まれる利息と本業利益を二重に評価してはいけない。
最大の分かれ目は、音声認識を売る会社から、顧客の仕事を完成させる仕組みを売る会社へ転換できるかである。成功すれば既存顧客と専門辞書が大きな強みになる。しかし、転換の途中で人月型の事業を買い足したことは、長期の利益率と資本効率に慎重になる理由でもある。筆者は、この会社を理解できないから避けるのではない。技術が変わる速度に比べ、持続する値決め力の証拠がまだ十分ではないため、高い将来利益を先取りして払わないのである。
何で稼ぐ会社か
収益の中心は音声認識技術を顧客の業務に組み込んで使ってもらうことである。2026年3月期までの開示上は音声事業の単一セグメントだが、管理上は既存事業のBSR1と新規領域のBSR2に分かれる。翌期からはAISHプラットフォーム事業とAISHサービス事業という区分へ移るため、ここでは製品と顧客用途ごとに売上を分解する。
最大のCTI事業は、コールセンターの通話を文字化し、応対品質や法令順守を点検する製品を供給する。2026年3月期の売上は約33億円で、全社の約47%を占める。VoXT事業は自治体の議会や企業の会議を対象とし、オフラインでも使えるScribeAssistやクラウドサービスを提供する。医療事業は診療録の入力支援などに強く、専門用語と現場運用への対応が重要になる。両事業の売上はそれぞれ約14億円、約9億円である。
SDX事業には、音声認識API、開発用SDK、商談支援、製造・物流向け製品が含まれる。音声認識を利用量に応じて提供するAPIは、従業員の席数が減っても処理量が増えれば売上を伸ばせる。一方、担当者が画面を開いて使う商談支援などは、AIエージェントに操作そのものを代替される可能性がある。売上約6億円の内訳は十分に開示されていないため、両者を同じ成長事業とは扱わない。
新規領域には海外音声認識、建設向けのSIPやアミサポ、速記センターつくばがある。建設分野では現地確認など人が体を動かす業務と、施工管理画面の利用料とが混在する。2026年4月に取得したfeatはソフトウエアの検証、開発支援、技術者派遣を手掛け、顧客から得る売上が人員と稼働に結びつきやすい。2027年3月期第1四半期にはサービス事業が約4億円を売り上げたが、利益率はプラットフォーム事業より低かった。
会社は音声を入口としてAIを使いやすくするAISH構想を進める。方向性は合理的だが、音声を認識する技術を売ることと、顧客の一連の業務をAIに実行させて対価を得ることは別である。後者の継続売上や利益率が確認できるまでは、従来製品の代替を新事業の成功で自動的に埋め合わせない。
優良さと弱いところ
最も評価できる資産は、日本語の音声認識を特定業務に使える形へ仕上げてきた販売実績である。国内市場調査では、2025年の音声認識ソフトウエアで約37.8%、クラウド音声認識で約37.5%のベンダーシェアを持つ。コールセンターの通話監査では、既存システムとの接続、業界用語の辞書、品質管理の運用まで作り込む必要があり、単純な認識精度だけでは比較できない。
しかし、この地位を強い経済的な堀と断定するには証拠が足りない。年間解約率が5%未満であることや、値上げを何度も通した実績、他社へ移る際に年単位の移行が不可欠であることは、全社を裏付ける数値として確認できなかった。医療記録の最終的な正本は一般に顧客の電子カルテ側にあり、AmiVoice自体が置換できない記録基盤だとも言い切れない。
過去10年で売上は伸び、営業利益率も20%程度に改善した。研究開発を続けながら黒字を維持できたことは、技術が商売として成立している証拠である。ただし2026年3月期の純利益とROEは有価証券売却益で押し上げられており、同じ資本効率が本業から毎年生まれるわけではない。開発費の資産計上と将来の更新投資も、会計利益と自由に使える現金の差として見る必要がある。
財務面は明確な長所だ。2026年3月期末の自己資本は約140億円、純現金は約49億円で、流動性のある定期預金や上場株式も保有する。一方、保有株式は技術競争から事業を守る資産ではない。資金を使った買収が資本コストを超える利益を生まなければ、現金の厚さは維持されても株主価値は増えない。値決め力の持続よりも、資本配分の成果を確かめたい企業である。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
音声認識の市場そのものは今後も必要とされる。高齢化で医療記録の省力化が進み、企業には通話の監査や顧客対応の記録が求められる。自治体や議会でも、発言内容を素早く公開したい需要は残る。問題は音声を文字にする需要が消えることではなく、その対価を誰が、どの単位で受け取るかである。
会社が引用する市場調査では、国内音声認識ソフトウエア・クラウド市場は2029年に約1,472億円と予測される。このうちクラウドが約500億円、オンプレミスが約972億円であり、成長の中心はクラウドとされる。ただし市場調査上の分類と同社の連結売上の範囲は異なる。37%台のベンダーシェアを市場総額に直接掛けて、同社の売上余地を求めることはできない。
国内の既存ベンダーにはNTT系の音声分析サービスやPKSHAなどがあり、会議文字起こしではNotta、Rimoなどのサービスも競争相手になる。海外ではMicrosoft Azure AI Speech、Google Cloud Speech-to-Text、Amazon Transcribe、OpenAIのWhisper系技術が基礎機能を広く提供する。これらは顧客に音声認識だけを売る必要がなく、会議システム、電話基盤、業務AIと一緒に低価格で提供できる。
競争の焦点は、認識精度から業務全体の処理へ移る。音声認識エンジンが高度化するほど、単純な文字起こしの単価は下がりやすい。録音データの秘匿、オフライン処理、専門辞書、国内の運用支援には差別化の余地があるが、その価値が従来の席数を守るとは限らない。顧客がAIエージェントに議事録作成や通話評価を任せれば、操作する人員が減っても処理する音声量は増えるという、製品別に正反対の変化が起こりうる。
会社の次の競争相手は音声認識専業だけではない。Microsoft Teams、Salesforce、Genesysなどの業務基盤が音声AIを標準機能として組み込めば、AmiVoiceは技術を供給する立場になるか、顧客との接点を失う。2036年の価値を左右するのは、市場全体の成長率よりも、同社が顧客の業務成果に対して継続的に請求できる立場を守れるかである。
資本政策と M&A
資本政策は以前より株主還元を重視する方向に変わった。2023年3月期以降は配当が始まり、2026年3月期の年間配当は記念配当を含め33.5円だった。2027年3月期は22円を予定し、会社が示す配当性向の目安は30%である。DOEや総還元性向について、拘束力のある具体的な数値目標は確認できない。
2026年3月には上限250万株、30億円の自己株式取得枠を決議した。9月末までの取得額は約10.95億円であり、過去にも自己株式を相当規模で減らした実績がある。余剰資金を少数株主へ戻す意志は評価できるが、自社株買いが本質価値を下回る価格で実施されたかどうかは別の検証が必要である。
2026年4月のfeat取得は、資本配分を考えるうえで大きな転換点となった。買収に伴う現金支出は約13.3億円で、取得後の会計には約15.9億円ののれんが現れている。営業力を増やす利点がある一方、人月で売る業務の利益率は音声認識製品より低い。取得価額そのものより、取得後の増分利益が資本コストを上回るかを重く見る。
従来の中期経営目標は2027年3月期に売上100億円、営業利益25億円だった。しかし、買収による収益構成の変化や原価・先行投資を踏まえ、売上100億円、営業利益15億円へ修正された。ROEの数値目標は確認できない。今後の大型買収やTOBによる退出を既定の筋書きにはせず、増配、買戻し、研究開発、買収のどれが株主資本を最も増やすかを毎年判断すべきである。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
同社の強さは単なる音声認識精度ではなく、日本語と顧客の業務に合わせた導入経験である。コールセンター約610拠点、医療機関約2万施設という採用実績は、一朝一夕に築けない。顧客が監査や個人情報保護のために音声データを扱う場合、安価な汎用AIが登場しただけでは、現場のシステムを直ちに切り替えられない。
生成AIの普及は、音声を使った入力や対話の総量を増やす可能性もある。会議、診療、物流、建設現場で人がキーボードを使わずに業務を進めれば、API経由の音声処理は増える。会社は既にAmiVoice Cloud Platformを商品として提供し、国内市場で高いシェアを持つ。専用辞書と非公開データを組み合わせた処理が選ばれ続ければ、汎用モデルの普及が必ずしも売上減少につながるわけではない。
手元資金と上場株式も大きい。研究開発に資金を投じながら配当と自己株買いを続け、必要なら専門領域の会社を取得できる。featについても、検証作業や品質保証をAIで効率化し、工数販売から成果販売へ移れるなら、顧客接点を増やした買収として意味が出る。音声AIを介した業務自動化が実際に収益化されれば、現在の成熟した音声認識会社という評価を超える余地がある。
慎重な見方
市場首位という数字だけでは、10年続く堀の証明にならない。音声認識はモデルの学習規模と計算資源が効く技術であり、Microsoft、Google、Amazon、OpenAIなどが基礎機能を安く供給する。顧客が必要とする文字起こしや要約が、会議ソフトや顧客管理システムの標準機能になれば、AmiVoiceの独立したライセンスを買う理由は減る。
CTI、VoXT、医療向けの販売実績は確かに多いが、開示されたライセンス数は累計であり、実際の稼働契約数や解約率を示すものではない。保守収益が安定して見えても、AIエージェントが人の操作を代替する局面では、契約の更新時に席数の削減と単価引き下げを同時に求められる。専門辞書や導入支援が残っても、従来の売上が維持されるとは限らない。
2026年3月期の純利益には一過性の有価証券売却益が大きく含まれる。翌期の売上目標は100億円へ伸びる一方、営業利益目標は従来の25億円から15億円へ引き下げられた。買収したfeatのような人員依存の事業が増えれば、売上規模が拡大しても利益率と増分資本利益率が下がりうる。技術者派遣、ソフトウエア検証、文字起こしの人手作業は、むしろAIの導入によって顧客が支払う工数を減らしたい領域である。
現金と有価証券があることは救いだが、事業の失敗を無条件に補償するものではない。保有株式は値下がりし、買収には追加資金が要る。新しい成長領域で資本コストを下回る利益しか得られなければ、純資産を積み上げても一株当たりの価値は増えない。音声認識市場が成長するほど、専業企業がその利益を独占できるという想定は危うい。
どちらに重みを置いたか
技術と財務の強さは認めるが、10年後の課金単位と再投資利回りについては慎重な見方の方が強い。特に、2027年3月期の営業利益目標引き下げと、人月型事業を加えた買収は、将来の売上拡大がそのまま株主利益に結びつかない具体的な証拠である。確率は上側31%、中立31%、下側38%とし、下側をやや厚くした。AIの影響は主として数量と価格、および10年後以降の成長率に反映し、資本コストや悲観確率で同じ理由を過度に重ねない。保有金融資産の換金価値は別途評価する。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,383 円204 億円(+ 還元の換算額還元の合計 242 円36 億円)。 今の値に割り戻すと 858 円127 億円、今との差 −13.5%、 期待の年率 +5.5%(資本コスト 7.2%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 2,324 円343 億円 | 393 円58 億円 | +174.2% | +11.7% | 326 円48 億円 |
| やや楽観 | 19% | 1,900 円280 億円 | 342 円51 億円 | +126.3% | +9.4% | 426 円63 億円 |
| 中立 | 31% | 1,517 円224 億円 | 274 円40 億円 | +80.7% | +6.7% | 555 円82 億円 |
| やや悲観 | 24% | 899 円133 億円 | 149 円22 億円 | +5.8% | +0.6% | 252 円37 億円 |
| 悲観 | 14% | 407 円60 億円 | 68 円10 億円 | −52.1% | −7.5% | 66 円10 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,383 円204 億円 | 242 円36 億円 | +64.0% | +5.5% | 1,625 円240 億円 |
今の株価時価総額 991 円146 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 12% 専門音声AIが顧客業務の入口として残る 利益 20 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,324 円343 億円
同社は日本語の専門音声認識とオフライン対応を生かし、コールセンターと医療の大口顧客をほぼ維持する。顧客がAIエージェントを使い始めても、録音の機密性、認識結果の検証、国内システムとの接続部分でAmiVoiceが選ばれる。営業担当者が操作する席数は伸びないが、音声AIの処理量課金と専門分野の保守・導入支援が売上を支える。
SDXと海外のAPIでは、認識エンジンを顧客のシステムに組み込む利用が拡大する。ただし、新たなAIエージェント商品が既に大きく収益化しているとは確認できないため、成長の根拠は既存のAPI販売と業界向けシステム利用の拡大に限定する。featは人員規模を増やさず、検証の自動化で採算を改善し、価格競争を受けても専門性の高い案件を維持する。
2036年の売上は約114億円、営業利益は約26億円に達する。業務アプリの画面課金に依存し過ぎず、国内の専門分野における技術供給者としての地位が残るため、資本コストを上回るROEを維持できる。保有金融資産を守りつつ、配当と自己株式取得も続く。
- CTI・コンタクトセンター音声認識:数量 95,000(年間課金対象ライセンス換算ID。現状は会社開示の累計ライセンスを代理値にする)× 価格 0.00(1ライセンス相当の年間売上、億円。製品、保守、導入支援を含む混合単価)→ 売上 42 億円・営業利益 12 億円。有効課金IDはほぼ維持、専門サービスを含む混合単価は約1.27倍
- VoXT・議事録・文字起こし:数量 21,500(年間課金ライセンス相当数。現状は累計ライセンスを代理値にする)× 価格 0.00(1ライセンス相当の年間売上、億円)→ 売上 17 億円・営業利益 5 億円。行政向けのオフライン処理と記録支援が残り、単価約1.22倍
- 医療・診療文書入力支援:数量 68,900(年間課金ライセンス相当数。現状は累計ライセンスを代理値にする)× 価格 0.00(1ライセンス相当の年間売上、億円)→ 売上 11 億円・営業利益 3 億円。医療専用辞書と電子カルテ接続を維持し、混合単価約1.30倍
- SDX・音声認識API・SDK・業務アプリ:数量 14,000(有料利用エンジン・アプリ契約換算数。現状は会社開示の領域特化エンジン累計ユーザーを代理値にする)× 価格 0.00(1契約相当の年間売上、億円)→ 売上 12 億円・営業利益 2 億円。従量APIの処理需要増が席型アプリの縮小を上回る
- 海外音声認識・AMIVOICE THAI:数量 4,000,000(音声認識処理時間の売上換算時間、時間・年。実利用時間ではない)× 価格 105(1時間当たり売上換算単価、円)→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。海外APIの売上換算処理時間が拡大。実利用時間の予測ではない
- BDC・建設向けソフト・現場支援:数量 578(取引企業数換算、社)× 価格 0.01(1社当たり年間売上、億円)→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。現場支援と施工管理ソフトを束ね、顧客数を維持
- 速記センターつくば・記録作成受託:数量 15.0(年間稼働人員換算、名。実人員の開示値ではない)× 価格 0.08(1人員換算当たり年間売上、億円)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。受託人員を維持し、高付加価値の記録作成へ移行
- feat・技術者派遣・検証開発受託:数量 220(年間稼働技術者換算、名)× 価格 0.10(1技術者換算当たり年間売上、億円)→ 売上 21 億円・営業利益 2 億円。買収後の比較起点220人を維持し、検証の効率化で人員当たり単価を改善
倍率:資本コストk7.25%、10年後以降の名目成長g_long0%を使用する。2036年ROEは約8.5%でkを上回り、普通の堀では増分ROEの超過部分は半分薄れるが、gが0なので正当化PER=(1−0/RONIC)/(0.0725−0)=13.79倍となる。現金部分は23億円を本業利益から分け、概算利息を控除して帳簿額で足す。現在の株価や他社PERから倍率を決めていない。
確率:既存顧客の維持に加え、APIの利用量拡大、業種特化サービスの利益改善、featの成果単価改善が同時に実現する筋書きである。各条件に実績の裏付けがまだ十分ではないため、上側の最大値として12%にとどめた。
やや楽観 19% 既存顧客を守りつつAPIへ徐々に移る 利益 15 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,900 円280 億円
大企業のコールセンターでは、AmiVoiceの認識技術が監査や品質管理に使われ続ける。ただし、担当者ごとに付与するライセンスは少し減り、AIエージェントに業務を任せる顧客では席の統合が進む。VoXTの自治体向け販売や医療の専門辞書は一定の価格を維持するが、汎用モデルとの競争で物価上昇分をすべて請求できるわけではない。
SDXでは、従来のアプリ販売の一部を利用量課金へ移す。音声を入力手段として利用する企業が増え、APIの売上換算契約数量は増加する。海外は大きな成長源にはならないが、赤字を解消する。建設向け事業も現場支援によって顧客との関係を維持する一方、単価の高いソフト販売だけに依存しなくなる。
featは人月単位の販売から一部を成果物単位へ移し、AIを使った検証の効率化によって少人数でも利益を出せるようになる。2036年の売上は約96億円、営業利益は約19億円となる。既存音声認識の売上は横ばいに近いが、事業構成が少し改善し、成長よりも資金効率と株主還元を重視する会社になる。
- CTI・コンタクトセンター音声認識:数量 87,500(年間課金対象ライセンス換算ID。現状は会社開示の累計ライセンスを代理値にする)× 価格 0.00(1ライセンス相当の年間売上、億円。製品、保守、導入支援を含む混合単価)→ 売上 36 億円・営業利益 10 億円。有効課金IDは0.92倍、混合単価約1.19倍
- VoXT・議事録・文字起こし:数量 19,500(年間課金ライセンス相当数。現状は累計ライセンスを代理値にする)× 価格 0.00(1ライセンス相当の年間売上、億円)→ 売上 14 億円・営業利益 4 億円。行政需要が残り、ID数は緩やかに減少
- 医療・診療文書入力支援:数量 63,000(年間課金ライセンス相当数。現状は累計ライセンスを代理値にする)× 価格 0.00(1ライセンス相当の年間売上、億円)→ 売上 10 億円・営業利益 3 億円。専門辞書を維持しつつ価格上昇率は物価を下回る
- SDX・音声認識API・SDK・業務アプリ:数量 11,000(有料利用エンジン・アプリ契約換算数。現状は会社開示の領域特化エンジン累計ユーザーを代理値にする)× 価格 0.00(1契約相当の年間売上、億円)→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。APIの従量利用が伸びるが、席型アプリは縮小
- 海外音声認識・AMIVOICE THAI:数量 3,200,000(音声認識処理時間の売上換算時間、時間・年。実利用時間ではない)× 価格 101(1時間当たり売上換算単価、円)→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。処理量の増加と低価格競争が相殺
- BDC・建設向けソフト・現場支援:数量 525(取引企業数換算、社)× 価格 0.01(1社当たり年間売上、億円)→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。現場業務の継続で顧客数の減少を緩和
- 速記センターつくば・記録作成受託:数量 14.0(年間稼働人員換算、名。実人員の開示値ではない)× 価格 0.08(1人員換算当たり年間売上、億円)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。人月の縮小を高度な校正・編集サービスで補う
- feat・技術者派遣・検証開発受託:数量 190(年間稼働技術者換算、名)× 価格 0.09(1技術者換算当たり年間売上、億円)→ 売上 17 億円・営業利益 1 億円。稼働人員190人、単価は買収後起点の約1.26倍
倍率:10年後ROE約6.8%はk7.25%を下回るため、資本コストを超える再投資利益を追加で認めない。g_long0%の本業利益価値は1/k=13.79倍が上限であり、その上限を使う。余剰現金23億円は利息を本業利益から外して別建てで加える。株価水準による調整はしない。
確率:業種特化の顧客基盤には残存価値があり、ソフト販売からAPI課金へ一定程度移行する余地がある。一方、既存契約の席数維持と買収後の利益改善を両立する必要があるため、中立より上の確率は限定する。
中立 31% 音声認識は残るが席課金が細る 利益 10 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,517 円224 億円
AmiVoiceは2036年にも日本語音声認識の有力な選択肢である。ただし、顧客が買うものは音声を文字にするソフトから、音声を受け取って業務を完成させるAIへ変わる。コールセンターでは通話品質の監査が残るが、AIエージェントに問い合わせ対応を任せるため、従来の担当者単位のライセンスは減少する。VoXTと医療でも専門辞書の価値は残る一方、席数の削減を補えるほどの値上げは通らない。
SDXの従量APIは一定の処理量増加を得るが、汎用モデルとの競争で高い時間単価を保てない。海外では採算が安定せず、建設向け業務アプリも顧客数を少し減らす。現場確認は人が行う必要があるため建設分野が完全に消えるわけではないが、ソフトの操作部分の対価は薄くなる。
featは買収時の人員規模を維持できず、稼働人員換算で約150人へ縮小する。AIによる工数削減を顧客が価格交渉に使うため、一人当たり売上の上昇は物価以下にとどまる。結果として2036年の売上は約77億円、営業利益は約12億円となる。配当と買戻しを続ける余力はあるが、積み上がった自己資本に見合う再投資利益を生み出せず、ROEは資本コストを下回る。
- CTI・コンタクトセンター音声認識:数量 76,000(年間課金対象ライセンス換算ID。現状は会社開示の累計ライセンスを代理値にする)× 価格 0.00(1ライセンス相当の年間売上、億円。製品、保守、導入支援を含む混合単価)→ 売上 29 億円・営業利益 7 億円。有効課金IDは約0.80倍、混合単価約1.12倍
- VoXT・議事録・文字起こし:数量 16,450(年間課金ライセンス相当数。現状は累計ライセンスを代理値にする)× 価格 0.00(1ライセンス相当の年間売上、億円)→ 売上 11 億円・営業利益 2 億円。席課金型として数量約0.75倍、単価約1.08倍
- 医療・診療文書入力支援:数量 59,000(年間課金ライセンス相当数。現状は累計ライセンスを代理値にする)× 価格 0.00(1ライセンス相当の年間売上、億円)→ 売上 8 億円・営業利益 2 億円。専門用途は残るが有効ID数は約0.855倍
- SDX・音声認識API・SDK・業務アプリ:数量 9,500(有料利用エンジン・アプリ契約換算数。現状は会社開示の領域特化エンジン累計ユーザーを代理値にする)× 価格 0.00(1契約相当の年間売上、億円)→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。利用量課金の成長と画面操作型製品の縮小を合成
- 海外音声認識・AMIVOICE THAI:数量 2,600,000(音声認識処理時間の売上換算時間、時間・年。実利用時間ではない)× 価格 93(1時間当たり売上換算単価、円)→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。海外APIは競争によって売上換算時間単価が低下
- BDC・建設向けソフト・現場支援:数量 450(取引企業数換算、社)× 価格 0.01(1社当たり年間売上、億円)→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。現場支援は残るがソフトと取引企業数は縮小
- 速記センターつくば・記録作成受託:数量 10.0(年間稼働人員換算、名。実人員の開示値ではない)× 価格 0.08(1人員換算当たり年間売上、億円)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。人月換算数量0.67倍、単価1.15倍
- feat・技術者派遣・検証開発受託:数量 150(年間稼働技術者換算、名)× 価格 0.09(1技術者換算当たり年間売上、億円)→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。買収後人員換算の0.68倍、単価約1.16倍
倍率:2036年ROEは約4.8%でk7.25%を下回る。成長投資による追加価値を認めず、g_long0%の稼ぐ力の上限PER=1/k=13.79倍を採用する。時価総額の基礎計算では余剰現金23億円の税後概算利息0.322億円を純利益から控除し、余剰現金を別に加える。保有上場株は専用の資産欄に分離する。
確率:市場での首位級の実績と高いストック売上比率が急減を抑える一方、汎用音声AIの低価格化と人月事業の効率化圧力が続く。既存顧客が一定程度残り、会社全体の営業黒字も続くという中央の見込みを31%とする。下に寄せる理由は、2027年3月期の営業利益目標が25億円から15億円へ下がり、買収した低採算サービス事業の比重が高まったことである。
やや悲観 24% 汎用AIに既存契約が侵食される 利益 4 億円 · PER 12.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 899 円133 億円
コールセンターでは音声認識と通話要約が電話基盤の標準機能となり、AmiVoiceを独立して契約する企業が減る。既存顧客の一部は国内の監査要件や専門辞書を理由に利用を続けるが、大口更新時にはライセンス削減と価格引き下げを要求する。議事録ソフトはAIエージェントが会議から要約と配布までを処理し、操作する人員数が一段と減る。医療向けは比較的残るものの、電子カルテ側のAI機能に徐々に置き換えられる。
SDXの汎用APIも海外の低価格モデルとの競争で利益を失い、海外事業の赤字が続く。建設の現場確認には人手が必要だが、施工管理ソフトの利用企業は減少する。featでは顧客がソフト検証を自動化し、技術者の派遣人数を縮小する。高単価案件を十分に取れないため、買収の利益貢献はほぼ消える。
2036年の売上は約54億円、営業利益は約5億円にとどまる。金融資産があるため配当を完全に停止する必要はないが、利益の多くを還元する余裕もなくなる。事業の値付けは、長期成長を期待した利益倍率ではなく、残った収益力と換金可能な資産によって制約される。
- CTI・コンタクトセンター音声認識:数量 58,000(年間課金対象ライセンス換算ID。現状は会社開示の累計ライセンスを代理値にする)× 価格 0.00(1ライセンス相当の年間売上、億円。製品、保守、導入支援を含む混合単価)→ 売上 20 億円・営業利益 4 億円。有効ID数0.61倍、混合単価は現在をやや下回る
- VoXT・議事録・文字起こし:数量 13,000(年間課金ライセンス相当数。現状は累計ライセンスを代理値にする)× 価格 0.00(1ライセンス相当の年間売上、億円)→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。議事録作成が汎用AIに代替される
- 医療・診療文書入力支援:数量 47,000(年間課金ライセンス相当数。現状は累計ライセンスを代理値にする)× 価格 0.00(1ライセンス相当の年間売上、億円)→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。医療専門用途は残るが電子カルテ標準機能へ移行
- SDX・音声認識API・SDK・業務アプリ:数量 7,000(有料利用エンジン・アプリ契約換算数。現状は会社開示の領域特化エンジン累計ユーザーを代理値にする)× 価格 0.00(1契約相当の年間売上、億円)→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。認識APIの料金引き下げと契約減少で赤字
- 海外音声認識・AMIVOICE THAI:数量 2,000,000(音声認識処理時間の売上換算時間、時間・年。実利用時間ではない)× 価格 84(1時間当たり売上換算単価、円)→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。海外音声認識の価格競争が続く
- BDC・建設向けソフト・現場支援:数量 370(取引企業数換算、社)× 価格 0.01(1社当たり年間売上、億円)→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。建設ソフトが減り現場支援も十分に採算化しない
- 速記センターつくば・記録作成受託:数量 8.0(年間稼働人員換算、名。実人員の開示値ではない)× 価格 0.08(1人員換算当たり年間売上、億円)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。文字起こし受託が自動化され縮小
- feat・技術者派遣・検証開発受託:数量 125(年間稼働技術者換算、名)× 価格 0.08(1技術者換算当たり年間売上、億円)→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。買収後稼働人員換算125人、競争で利益が出ない
倍率:ROE約2.2%はk7.25%を大きく下回る。成長の価値を認めない稼ぐ力の上限1/k=13.79倍より低い12倍を採用し、既存契約の縮小と更新投資による利益の持続性低下を表す。余剰現金は23億円の75%である17.25億円を評価する。企業価値はこの筋書きの利益の稼ぐ力と売却可能資産約60億円の双方で上限を確認する。
確率:汎用モデルと業務プラットフォームの標準機能化によって既存席課金が大きく減り、featの低採算が長期化する筋書きである。会社の営業利益目標引き下げと新規事業の赤字実績から無視できない確率とした。ただし、財務資産が厚いため直ちに事業が存続不能になる確率ではない。
悲観 14% 音声認識の独立課金が崩れる 利益 1 億円 · PBR 0.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 407 円60 億円
音声認識は顧客の業務システムに無償に近い形で組み込まれ、専業の音声エンジンへ独立した利用料を払う企業が急減する。コールセンターの問い合わせ対応はAIエージェントへ移り、残る人間の担当者も電話基盤に組み込まれた文字起こしを使う。議会の記録や医療の入力支援にはAmiVoiceが一部残るが、専門辞書の優位だけでは契約減少を止められない。
APIも汎用モデルとの競争で値下げを強いられ、SDXと海外は赤字になる。建設現場の確認作業は存在し続けるが、同社のソフトや受託業務への支払いは縮小する。featではAIによる検証の自動化が急速に進み、稼働人員が大幅に減る。過去の買収が資本コストを上回る投資だったとは言えなくなる。
2036年の売上は約38億円、営業損益はほぼ均衡するもののわずかに赤字となる。受取利息と保有株式配当が最終損益をわずかに支えるが、成長投資による超過収益は消える。株主還元は当初の配当と限られた買戻しにとどまり、その後は資金を守る経営へ転じる。企業価値の中心は技術ではなく換金可能な現預金と上場株式となる。
- CTI・コンタクトセンター音声認識:数量 45,000(年間課金対象ライセンス換算ID。現状は会社開示の累計ライセンスを代理値にする)× 価格 0.00(1ライセンス相当の年間売上、億円。製品、保守、導入支援を含む混合単価)→ 売上 14 億円・営業利益 1 億円。有効ID数は現状代理値の約0.47倍に減少
- VoXT・議事録・文字起こし:数量 10,000(年間課金ライセンス相当数。現状は累計ライセンスを代理値にする)× 価格 0.00(1ライセンス相当の年間売上、億円)→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。人が操作する議事録ソフトの需要が急減
- 医療・診療文書入力支援:数量 36,000(年間課金ライセンス相当数。現状は累計ライセンスを代理値にする)× 価格 0.00(1ライセンス相当の年間売上、億円)→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。電子カルテ内蔵AIへの置換が進む
- SDX・音声認識API・SDK・業務アプリ:数量 4,500(有料利用エンジン・アプリ契約換算数。現状は会社開示の領域特化エンジン累計ユーザーを代理値にする)× 価格 0.00(1契約相当の年間売上、億円)→ 売上 3 億円・営業利益 −1 億円。汎用APIとの競争で規模も単価も下がる
- 海外音声認識・AMIVOICE THAI:数量 1,500,000(音声認識処理時間の売上換算時間、時間・年。実利用時間ではない)× 価格 75(1時間当たり売上換算単価、円)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。海外事業の撤退費用と固定費負担が残る
- BDC・建設向けソフト・現場支援:数量 300(取引企業数換算、社)× 価格 0.01(1社当たり年間売上、億円)→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。建設ソフトの競争力が弱まり現場業務でも固定費を賄えない
- 速記センターつくば・記録作成受託:数量 7.0(年間稼働人員換算、名。実人員の開示値ではない)× 価格 0.07(1人員換算当たり年間売上、億円)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。汎用AIの普及で人手による速記受託が大きく減る
- feat・技術者派遣・検証開発受託:数量 100(年間稼働技術者換算、名)× 価格 0.08(1技術者換算当たり年間売上、億円)→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。技術者派遣と検証受託の数量が買収後起点の半分以下
倍率:2036年の営業損失と本業利益の乏しさから利益倍率での評価は不安定となる。悲観の床約60億円を2026年3月期の自己資本140.2億円で割ったPBR約0.428を使う。将来利益を積み上げた大きい自己資本に掛けた倍率ではない。事業純利益の稼ぐ力は床の資産価値を下回るため、保有資産を条件付きの価値の中心とする。
確率:巨大プラットフォームによる音声認識の標準搭載と人月型受託の縮小が同時に進む構造的な敗北である。国内の業界特化基盤と売却可能な資産があるため倒産を既定とはしないが、2036年に本業利益がほぼなくなる可能性を14%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
CTI・コンタクトセンター音声認識
通話の文字起こし、監査、応対品質管理と音声認識IVRなど。通信・金融・保険などのコールセンターが主な顧客。
| 数量年間課金対象ライセンス換算ID。現状は会社開示の累計ライセンスを代理値にする | 価格1ライセンス相当の年間売上、億円。製品、保守、導入支援を含む混合単価 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 95,430 | 0.00 | 33 | 9 |
| 10 年後 中立 | 76,000 | 0.00 | 29 | 7 |
取り方:2026年3月期決算説明資料のCTI売上約32.95億円、累計ライセンス95,430、導入先約610拠点を使用した。売上を累計ライセンスで割った暗黙単価は年間約3.45万円となるが、実際の契約月額ではなく、導入一時金や保守を含む売上換算値である。AIエージェント代替の区分は、人が操作する席課金の業務ソフトを中心とし、中立で有効課金数量0.80倍、混合単価1.12倍にした。累計ライセンスは解約控除後の稼働契約数ではないため、将来の数量は稼働ID相当の推計として扱う。
VoXT・議事録・文字起こし
自治体、議会、会議向けのScribeAssist、VoXT One、ProVoXTなど。記録作成と要約の業務を支援する。
| 数量年間課金ライセンス相当数。現状は累計ライセンスを代理値にする | 価格1ライセンス相当の年間売上、億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 21,925 | 0.00 | 14 | 4 |
| 10 年後 中立 | 16,450 | 0.00 | 11 | 2 |
取り方:会社の決算説明資料にあるVoXTの累計21,925ライセンスと導入3,176施設、売上約14.09億円から暗黙の年間単価約6.43万円を算出した。ソフトの種類と一時売上が混在するので実際の定価ではない。AIエージェント代替の型は、議事録を人が画面で作成する席課金ソフトであり、中立の数量を0.75倍、単価を約1.08倍とした。
医療・診療文書入力支援
病院や診療所に向けた診療録入力、医療専門用語の認識、医療現場での記録業務支援。
| 数量年間課金ライセンス相当数。現状は累計ライセンスを代理値にする | 価格1ライセンス相当の年間売上、億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 68,991 | 0.00 | 9 | 2 |
| 10 年後 中立 | 59,000 | 0.00 | 8 | 2 |
取り方:会社開示の医療向け累計68,991ライセンス、導入20,032施設、事業部売上約8.61億円から、保守や製品販売込みの年間売上換算単価約1.25万円を算出した。医療の専門辞書と個人情報への対応は残るが、正本は顧客の電子カルテ側にあるため『記録の正本』型にはしない。AIエージェント代替の席課金型として、中立数量0.855倍、単価1.15倍とした。
SDX・音声認識API・SDK・業務アプリ
音声認識の従量課金APIと開発SDK、商談支援、製造・物流向け音声入力など。利用量課金と席課金が混在する。
| 数量有料利用エンジン・アプリ契約換算数。現状は会社開示の領域特化エンジン累計ユーザーを代理値にする | 価格1契約相当の年間売上、億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 8,102 | 0.00 | 6 | 0 |
| 10 年後 中立 | 9,500 | 0.00 | 7 | 0 |
取り方:事業部売上約6.24億円と領域特化エンジンの累計ユーザー8,102から、年間売上換算単価約7.70万円を得た。API固有の処理時間と売上は非開示なので、この単位は全サービスの数量を直接測ったものではない。分析上は売上の約6割を処理量従量型、残り約4割を席・画面型とする暫定仮定を用いる。席型にはAIエージェント代替による数量・価格の低下を適用し、従量型には認識処理量の増減を適用する。中立の合成数量は1.17倍、単価は現状並みとするが、これはAPIの実測シェアではなく複数商品の合成予想である。
海外音声認識・AMIVOICE THAI
海外での音声認識APIや関連製品の販売。タイの現地法人を含めて扱う。
| 数量音声認識処理時間の売上換算時間、時間・年。実利用時間ではない | 価格1時間当たり売上換算単価、円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,735,364 | 99 | 3 | −1 |
| 10 年後 中立 | 2,600,000 | 93 | 2 | 0 |
取り方:海外事業部とAMIVOICE THAIの合計売上約2.71億円を、国内AmiVoice APIの公開従量料金の一例である99円/時間で除し、約274万時間という売上換算の代理数量を作った。海外の実際の利用時間、契約料金、製品別内訳は非開示であり、この時間数を実利用量と主張しない。APIは席課金ではなく利用量課金のため、AI代替表を機械的には適用せず、音声処理量と競争による時間単価の低下を別々に考える。
BDC・建設向けソフト・現場支援
建設向けSIPなどの業務アプリと、アミサポによる現場の検査・確認支援が混在する。
| 数量取引企業数換算、社 | 価格1社当たり年間売上、億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 578 | 0.01 | 5 | 0 |
| 10 年後 中立 | 450 | 0.01 | 4 | 0 |
取り方:会社説明資料の取引企業578社を数量の代理値とし、BDC本部売上約5.01億円から1社当たり年約87万円を計算した。建設ソフトのID数と現場支援の作業件数は統一して開示されておらず、価格は双方を含む混合単価である。操作画面のソフト部分にはAIエージェント代替の席型を適用するが、人が現場で確認する業務は『現場の体』の型として扱い、数量削減を一律に課さない。両者の売上割合は未確認であり、将来の数量と単価には推定誤差が大きい。
速記センターつくば・記録作成受託
議会や会議の速記、文字起こし、議事録作成などの受託サービス。
| 数量年間稼働人員換算、名。実人員の開示値ではない | 価格1人員換算当たり年間売上、億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 15.0 | 0.07 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 10.0 | 0.08 | 1 | 0 |
取り方:会社開示の売上約1.03億円に対し、事務受託の年間売上を1人当たり約688万円と仮定して15人員換算を逆算した。人数は非開示のため分析用の近似である。AIエージェント代替の人月・工数型として、中立の10年後数量を10人員換算、単価を約1.15倍とした。完成記録への成果報酬に移行できれば上振れるが、契約実績の数値は確認できない。
feat・技術者派遣・検証開発受託
2026年4月に取得したソフトウエア検証、品質保証、開発支援、技術者派遣の事業。2026年3月期の連結売上には含まれない。
| 数量年間稼働技術者換算、名 | 価格1技術者換算当たり年間売上、億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.0 | 0.07 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 150 | 0.09 | 13 | 1 |
取り方:2026年3月期末には未連結であり、当期売上と営業利益を0とする。数量0は事業が存在しなかったという意味ではない。買収後の比較起点として、feat公表のパートナーを含む人員約220人と、翌期第1四半期のサービス事業売上約4.01億円を参照し、年間約16億円÷220人から年0.073億円/人という暫定単価を作った。サービス事業には他の会社も含まれるのでfeat単体の実績ではない。AIエージェント代替の人月・工数型として、中立は買収後起点220人の0.68倍となる150人、単価は約1.16倍とした。
リスクと懸念
AI エージェント代替
AIが音声を聞き取り、要約し、顧客システムへ記録し、必要な処理まで終えるようになれば、利用者が画面を操作する業務ソフトの席数は減る。CTI、VoXT、医療、SDXの一部は席型の数量と単価が同時に下がりうる。速記センターつくばとfeatの人月・工数型も、顧客が必要とする作業時間の短縮を受ける。10年後の利益だけでなく、その先の成長余地も小さくなる。
基礎音声認識の汎用化と価格競争
Microsoft、Google、Amazon、OpenAIが高品質な音声認識を業務基盤と組み合わせて低価格で提供する。認識精度だけでは差別化しにくくなり、既存ライセンスの更新単価が下がる危険がある。同社には専門辞書と国内導入支援の強みがあるが、その価値が汎用AIの価格低下を長期間上回るかは確認できていない。
feat買収の増分資本利益率
買収したfeatの検証・技術者派遣は、音声認識製品より人件費の変動と顧客の発注工数に左右される。2027年3月期に向けた営業利益目標の引き下げは、売上規模が増えても利益率が下がり得ることを示した。のれん約15.9億円に見合う利益を継続できなければ、減損や低ROEという形で株主価値を損なう。
累計ライセンスと実際の課金数量の違い
会社が開示するライセンス数や利用ユーザー数には累計値が多い。新規販売が増えているように見えても、既存契約の解約、稼働席数の減少、顧客当たり売上の下落が同時に進む可能性がある。顧客別の年間解約率、継続売上、利用量課金比率が分からない限り、過去の累計導入実績を10年後の確実な収益と見なしてはいけない。
研究開発・クラウド費用と現金創出の乖離
音声認識モデルの更新、GPUやクラウドの利用、専門領域ごとの開発には継続して資金がかかる。2026年3月期の研究開発費は約6.8億円で、設備・無形資産への現金支出も小さくなかった。既存設備の償却は過去の取得原価で計上されても、更新投資は物価上昇後の費用で必要になる。利益率の高さだけでは株主が自由に使える現金を測れない。
保有有価証券と資本配分
上場株式約37.9億円は換金性のある資産だが、市況下落時には価値も減る。現預金を含む金融資産を事業利益と二重に評価しないことが重要である。保有資産を売って利益を増やしても、それは音声認識事業の稼ぐ力の改善ではない。資金を買収に再投資する際に資本コストを下回る利益しか得られなければ、金融資産の厚さは株主価値の伸びにつながらない。
今後の分かれ目
- CTI・VoXT・医療の有効課金契約数と年間継続売上が、生成AIの普及下でも3年間連続して伸びたら
- 既存の席課金が想定より強い証拠となる。中立の課金数量と利益率を引き上げ、やや楽観の確率を増やす。ただし累計導入数だけの増加では判断しない。
- AmiVoice APIの実利用時間、従量課金売上、継続顧客数が開示され、音声処理量の増加が単価下落を上回ったら
- 席課金から処理量課金への移行が成功していると判断し、SDXと海外の数量見通しを改善する。単なる生成AI機能の発表ではなく、売上と粗利益を確認する。
- featを含むサービス事業の営業利益率が10%以上へ改善し、顧客当たり成果報酬収入も増えたら
- 買収による増分資本利益率が改善した証拠としてやや楽観側へ寄せる。反対に売上だけが増えて利益率が低迷するなら、売上成長の評価を引き上げない。
- 2027年3月期の営業利益15億円目標に届かず、研究開発費やクラウド費用の負担が拡大したら
- 今後の利益率に対する確信を下げ、中立とやや悲観の営業利益見通しを見直す。金融資産の取り崩しと設備・ソフト開発投資の現金支出を同時に確認する。
- AIエージェントによる通話要約・議事録作成・診療記録入力が顧客の標準システムに組み込まれ、契約更新時の席数削減が確認されたら
- AI代替を抽象的な懸念ではなく、数量の構造的な減少として反映する。特にCTIとVoXTで悲観側の確率を引き上げる。
- 保有上場株の売却資金を配当または自己株式取得で還元し、追加の買収を抑制したら
- 余剰金融資産が株主に戻る確度が高まり、資産価値の評価を維持しやすくなる。反対に低採算の買収が続けば、資産の戻り方と将来ROEを下方修正する。
見ておくもの
- CTI・VoXT・医療の累計ライセンスと、できれば有効課金契約数・解約率・年間継続売上の差
- AmiVoice Cloud Platformの従量課金売上、音声処理時間、単価、粗利益率
- AISHプラットフォーム事業とAISHサービス事業の四半期売上・営業利益率
- featの実稼働人員、顧客別稼働単価、成果報酬契約、のれん減損の有無
- 2027年3月期の売上100億円・営業利益15億円に対する進捗と次期中期経営計画の数値目標
- 研究開発費、ソフトウエア資産計上額、償却費、設備投資、営業キャッシュ・フローの差
- 配当性向約30%、自社株式取得の累計額、自己株式を除く株数の変化
- 上場保有株式の簿価・時価・受取配当金と売却資金の使途
- Microsoft、Google、Amazon、OpenAI、NTT系、PKSHAなどとの競争における独自機能と価格差
倍率と資本コストの決め方
最初に音声認識の用途別の数量と混合単価を積み上げ、次にAIエージェントによる席課金・人月課金の減少を反映した。2036年の純利益とROEから、資本コスト7.25%、長期名目成長率0%による正当化PERを求めた。中立のROEは資本コストを下回るため、10年後以降の超過成長を付け足していない。2026年3月期純利益には有価証券売却益約10億円が含まれ、これを恒常利益として使わない。現金・定期預金と上場株式を区別し、保有株式からの配当収益と資産価値も重ねて数えない。悲観の約60億円は現在の処分可能資産に基づく条件付きの床であり、将来自己資本に市場の谷のPBRを掛けた値ではない。現在の時価総額約154億円は最後の比較にだけ使う。留保資本の将来換金可能額、API利用量、契約解約率は実測不足であり、この不確実性を利益の確実な上積みとして扱わない。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本の株主資本コスト7.5%に、利益変動、値決め力、純現金、事業寿命の4要因の合計マイナス0.25%を加えた。買収の成否やAI代替の個別リスクは事業の数量・利益率・確率へ反映し、恣意的な上乗せ金利としない。