結論
ユニリタは、企業の基幹システムを止めずに動かす運用ソフトを祖業とし、クラウドサービスやシステム開発へ事業を広げてきた会社である。筆者の結論は「やや割高」だ。主力製品の乗り換えにくさと厚い純現金は評価できるが、新しい事業への投資が十分な利益成長に結び付いておらず、AIによる業務の置き換えも無視できない。
最も価値があるのは、メインフレームや複雑な業務処理を支える運用ソフトの顧客基盤だ。A-AUTOは長期間にわたって企業の業務システムに組み込まれてきた。大規模な処理を安全に移行するには慎重な検証が必要であり、安い代替品が現れたという理由だけでは顧客は動かない。2026年6月にはライセンス料や保守料などの価格改定も始めた。ただし、改定後の実現単価と解約率はまだ確認できず、値上げを十分に通せたとは断定しない。
弱さは収益構造に表れている。2015年3月期から2026年3月期までに売上高は約71億円から約123億円へ増えたが、営業利益は約15億円から約10億円へ減った。クラウドサービスは依然として赤字であり、人の工数に依存する受託開発や、利用者が画面を操作する業務ソフトは、今後10年で売り方そのものが変わりうる。2026年10月に確認された情報漏えいも、企業向けIT事業に不可欠な信頼を試す出来事である。
10年後の中立では、従来型ソフトの契約基盤が一部残る一方、クラウドの利用単位と受託工数が減り、全社利益は緩やかに縮むと考える。確率加重した現在価値は約113億円で、基準時価総額約139億円を約19%下回る。倒産リスクは低いが、財務の強さだけで将来の事業利益の低下を打ち消せるわけではない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ユニリタは事業の一部を保有したい会社であり、全体を無条件で高く評価したい会社ではない。A-AUTOを中心とする長年の顧客基盤には価値がある。企業は基幹システムを毎日動かさなければならず、障害が起きた時の損失を考えれば、確実に動く運用製品の保守を容易にはやめない。少ない追加設備で継続収入を得られる点も魅力である。
しかし、企業全体のオーナー利益を考えると見方は変わる。稼いだ現金の一部は、クラウド製品の開発、顧客獲得、技術者の採用と育成に再投入される。その投資が十分な利益を生まなければ、会計上の利益を株主の自由に使える現金と同一視できない。過去10年余りの売上増加と利益率の低下は、この問題を端的に示している。
さらに、10年先の業務ソフトウェアの形は読み切れない。顧客の業務処理を管理する基盤と、人が操作するための画面は別の価値を持つ。前者には長い寿命を認めるが、後者ではAIエージェントが利用者数と単価を同時に押し下げる可能性がある。新しい製品が売れているという理由だけで、将来の高い成長率を永久に認めるべきではない。
経営の資本配分では、厚い現金を持ちながら配当と自社株買いを継続していることを評価する。だが、現金の一部は事業維持に必要であり、すべてを株主が直ちに受け取れるわけでもない。2026年の情報漏えいは信頼維持のための追加費用を生む可能性もある。筆者が求める安全域は、主力製品の利益が細っても回収できる価格である。現在の時価総額には、その余裕が十分にあるとは判断しない。
何で稼ぐ会社か
ユニリタの事業は、プロダクトサービス、クラウドサービス、プロフェッショナルサービスの三つに分かれる。2026年3月期の売上構成は、それぞれ約37%、31%、32%である。売上規模はほぼ均等だが、利益の生み方は大きく異なる。
プロダクトサービスでは、A-AUTOを代表とするメインフレーム関連製品、帳票管理、運用自動化製品などを販売する。収益はライセンス、保守、更新、関連サービスから生まれる。メインフレーム関連の売上は約22億円で、製品セグメントのほぼ半分を占める。企業の基幹処理を扱うため信頼性と既存システムとの接続実績が重視され、保守契約の継続が利益を支える。このセグメントだけで約12億円の営業利益を稼ぎ、グループ全体の利益を実質的に支えている。
クラウドサービスには、ITサービス管理のLMIS、データ連携のWaha! Transformer、派遣業務支援のThe Staff-V、通勤費管理のらくらくBOSS、ID管理のDigital Workforceなどがある。LMISは2026年5月時点で300組織以上、利用者2万人以上という導入実績を公表している。利用者や契約に応じた継続課金が基本だが、個別の開発費、営業費、人材投資を吸収し切れていない。2026年3月期もクラウド事業は約3.6億円の営業赤字だった。
プロフェッショナルサービスは、システムインテグレーション、コンサルティング、アウトソーシングで構成される。顧客の既存システムの刷新やデータ活用を支援するため、自社製品と組み合わせた受注ができる。ただし、売上の源泉には技術者の稼働時間があり、人件費の上昇とAIによる省人化の影響を受けやすい。
近年は地方交通向けのCommunity MaaSや農業関連のデータ活用にも取り組む。社会的な必要性はあるが、地域ごとの導入費用、運営主体の予算、個別案件への依存が強く、全国規模の高収益基盤に育ったとはまだ言えない。これらの新規領域には将来の選択肢としての価値を認めるが、現時点で大きな利益を先取りしない。
優良さと弱いところ
ユニリタの堀、すなわち競合が容易に奪えない強みは、全社に均等に存在するわけではない。最も強いのは基幹システムの運用基盤だ。A-AUTOは1977年から販売され、メインフレームだけでなくオープン系やクラウド環境にも対応してきた。YKK APの導入事例では、1日約2万6000本のジョブを安全に移行した。こうした業務の連続性を保つ能力は、単なる画面の使いやすさよりも重要である。
帳票製品にも、個別企業の複雑な出力要件に対応する経験の蓄積がある。しかし、電子請求書や文書管理は競争相手が多い。クラウドのLMISについても、利用者が増えていることは前向きだが、ServiceNowなどの大規模な競合と比べて不可欠な業界標準を握っているとは言えない。公表された解約率の定量値や、値上げ後の契約継続率も不足しているため、全社を強い堀の企業とは評価しない。
財務は明確な強みだ。2026年3月期の自己資本比率は約77%、純現金は約81億円で、資金繰りが事業継続を脅かす可能性は小さい。2026年8月には約10.7億円の自社株買いを実行し、余剰資本を株主に戻す具体的な行動も示した。反面、これまで長期間にわたって保有してきた現金と自己資本の大きさに比べ、ROEは直近で6%程度にとどまる。
資本効率を考えると、売上拡大をそのまま優良さの向上とみなすことはできない。買収とサービスシフトによって事業領域を広げた後、営業利益率は以前の20%前後から一桁台へ低下した。クラウド投資が利益を生むまでの期間が長く、増分投資の収益率が資本コストを十分上回った証拠は乏しい。主力製品の堀は残るが、その外側に投じた資本まで高く評価する理由はまだない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の企業向けソフトウェアとITサービスには、老朽化した基幹システムの刷新、人手不足、データ連携、法制度対応という長期需要がある。添付の業種ノートでは国内SaaS市場を2025年に約1.5兆円、2026年に約1.7兆円とする。ユニリタのクラウド売上は約39億円であり、市場全体を分母にした参考シェアは約0.26%にすぎない。ただし対象製品の市場定義は一致しないため、直接の競争市場でのシェアとは区別する。
運用管理では日立のJP1、IBM Workload Scheduler、BMCのControl-Mなどが競合する。A-AUTOは大規模バッチ処理や異なるシステムの連携に強いが、国内のジョブ管理専用市場について、比較可能な売上規模と各社シェアの一次開示は確認できなかった。隣接するAIOps・運用自動化市場には拡大予測があるものの、それをそのままA-AUTOの市場規模として使うことはしない。
帳票・文書管理ではウイングアーク1stのSVFや電子請求書サービス各社、クラウドのITサービス管理ではServiceNowやAtlassianなどが競争相手となる。競合には既存顧客の数、販売網、開発投資額で大きな優位を持つ企業がある。ユニリタが勝てる場所は、大企業の既存環境との複雑な接続や、細かな日本固有の業務要件への対応である。一般的な操作画面や定型業務の機能だけでは、長期の価格決定力を保ちにくい。
最大の構造変化はAIエージェントの普及だ。人が画面を開いてチケットを処理する仕事、帳票を作成する仕事、定型的なシステム開発や調査作業は、自動化される余地が大きい。クラウド市場全体が成長しても、従来の席数や人月を売る企業の収入まで同じように増えるとは限らない。一方、決められた手順で大量の基幹処理を安全に実行し、その結果を監査できる運用基盤は、AIが普及しても残る可能性が高い。
このため10年の見通しは、IT支出全体の伸びとユニリタが販売できる数量を分けて考える。メインフレーム関連は更新需要を取り込みながら緩やかに縮小し、席課金型クラウドは競争と省人化で有償利用単位が減る。受託サービスは工数が減り、単価上昇で一部を補う。業界全体の成長率を、そのまま同社の売上成長率として使わないことが大切だ。
資本政策と M&A
2024年に始まった中期経営計画「Re.Connect 2026」は、当初、最終年度の売上高140億円、営業利益14.5億円、純利益11.3億円、ROE8.8%を目指していた。3年間の営業キャッシュフロー40億円に対し、事業や人材、M&Aなどへの投資24億円と株主還元16億円を計画した。株主資本配当率のDOE4.5%を重視し、配当の維持または増配を掲げている。
2026年5月の見直しでは、最終年度の売上高目標が132.5億円、営業利益目標が10.5億円へ引き下げられた。純利益計画は11.2億円、ROE目標は8.8%、DOE目標は4.5%となっている。営業利益の当初計画との開きは小さくなく、投資した事業の収益化が想定より遅れたことを示す。2027年3月期第1四半期には営業利益が前年同期比で約半減しており、目標達成を既定路線とは見ない。
買収の歴史では、ビーコン インフォメーション テクノロジーとの統合や2018年の無限、ビジネスアプリケーションの子会社化が事業の幅を広げた。2026年7月にはユニ・トランドを吸収合併している。ただし、売上増加に比べて営業利益が伸びておらず、買収や新規事業の増分収益率には厳しい評価が必要だ。
2026年8月の約10.7億円の自社株買いは、資本効率を改善する具体的な一歩として評価する。この取得は基準株数に反映済みなので、将来10年間の還元額には重複計上しない。上場政策保有株式は2026年3月期末で約12.2億円あり、資本効率改善の余地を残す。株主優待は2027年からデジタルギフト方式に変わり、対象株主数と交換率が非開示のため、今後10年間の費用相当額を中立で約1億円と概算し、還元に含めている。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
基幹システムの複雑さは、AIが普及しても簡単には消えない。むしろ、AIを業務に組み込む企業が増えるほど、処理の順序、権限、実行結果を確実に管理する運用基盤が必要になる。A-AUTOは長い製品寿命を通じて異なる計算機環境に対応してきた。YKK APの大規模なジョブ移行のように、顧客の重要業務を止めずに刷新できる実績は、一般的な新規参入企業には模倣しにくい。
クラウドにも成長の足掛かりはある。LMISは2022年に公表した利用者1万2000人以上から、2026年には2万人以上へ拡大した。大企業のITサービス管理に根付き、料金に見合う成果を継続して示せれば、競合からの乗り換えも獲得できる。会社は2026年に価格体系を改定し、顧客との接点を強化する組織を設けた。新規契約だけでなく、既存契約の価格適正化でも利益が増える余地がある。
クラウドの赤字が収まれば、既存製品の利益がそのまま全社利益の改善として表れやすくなる。受託開発でもAIによって作業時間を短縮し、固定価格案件や成果物単位の受注へ移れれば、技術者一人当たりの利益を高められる。すでに外注費削減による収益改善の実績も一部にある。今後の経営が投資先を絞り、赤字事業への追加投資を管理できれば、営業利益率の回復は不可能ではない。
財務面では、純現金が厚く、顧客との関係を守るための研究開発やセキュリティ投資を自力で続けられる。配当の継続に加え、2026年にはまとまった自社株買いを実行した。新規事業を急いで拡大するより、既存製品の更新需要と顧客単価改善を確実に取り込む経営に変われば、長期株主に帰属する価値は大きく高まる。
慎重な見方
ユニリタの最大の問題は、新しい事業を増やした結果、会社全体の稼ぐ力が強くなったとは言えないことだ。2015年3月期には売上約71億円で営業利益約15億円を稼いでいたが、2026年3月期は売上約123億円に対して営業利益が約10億円となった。事業を広げるために使った資本と人材が、従来型ソフトウェアの高い利益率を薄めてきた。
クラウドは成長市場に属するが、同社のクラウド事業は2026年3月期も赤字だった。市場が大きくなっても、競合と同程度の機能を安く提供するだけなら超過利益は残らない。LMISやThe Staff-Vなどは利用者単位の課金に依存し、AIエージェントが人の操作を代替すれば、利用席数と追加料金の双方が圧迫される。Waha! Transformerなどのデータ連携機能にも新しい需要はあるが、生成AI関連オプションへの引き合いだけでは、収益化が確認されたことにはならない。
プロフェッショナルサービスも同じ構造変化を受ける。定型的な開発、試験、調査、運用作業では、必要な技術者の稼働日数が減る。成果報酬型への転換が遅れれば、工数削減は顧客の支払額の減少となり、利益率改善にはつながらない。メインフレーム関連も、技術面で優れていても、顧客のシステム刷新が進めば対象となる稼働基盤は次第に小さくなる。
2026年9月に判明した不正アクセスでは、10月14日に会社情報の漏えいが確認された。企業の運用基盤とデータを扱う会社にとって、顧客の信頼への影響は軽くない。補償や事故対応の費用は未確定であり、今後の契約更新や新規受注への影響も分からない。厚い現金は破綻を防ぐが、流出した情報と失った信用を直ちに回復させるものではない。
さらに、政策保有株式や余剰現金は、株主にとって価値があっても自由に処分できるわけではない。買収や新規事業に資金を投じ続ければ、帳簿上の資産は維持されてもオーナー利益は増えない。10年先に高い収益力が残ると確信できない以上、利益の成長を大きく先取りした値段は正当化しにくい。
どちらに重みを置いたか
基幹運用製品の継続性と財務の堅さは、長期保有を考えるうえで重要な強みである。ただし、主力製品以外の資本効率は低く、クラウドの赤字とAIによる課金単位の変化は重い。中立にはすでに業務量の縮小を織り込んでおり、さらに同じ理由で資本コストを引き上げてはいない。
確率は楽観側30%に対し、悲観側39%とした。この差はAIによる縮小を二重計上したものではなく、クラウド収益化の遅れ、過去の増分利益の弱さ、2026年の情報漏えいという会社固有の不確実性を反映している。現在価値は約113億円となり、約139億円の時価総額に対して「やや割高」と判断する。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 2,375 円169 億円(+ 還元の換算額還元の合計 673 円48 億円)。 今の値に割り戻すと 1,721 円122 億円、今との差 −12.2%、 期待の年率 +5.2%(資本コスト 6.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 5,162 円366 億円 | 873 円62 億円 | +207.9% | +13.2% | 603 円43 億円 |
| やや楽観 | 20% | 3,422 円243 億円 | 817 円58 億円 | +116.3% | +9.1% | 848 円60 億円 |
| 中立 | 31% | 2,219 円158 億円 | 732 円52 億円 | +50.6% | +4.8% | 915 円65 億円 |
| やや悲観 | 24% | 1,361 円97 億円 | 577 円41 億円 | −1.1% | −0.1% | 465 円33 億円 |
| 悲観 | 15% | 1,064 円76 億円 | 380 円27 億円 | −26.3% | −3.4% | 217 円15 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,375 円169 億円 | 673 円48 億円 | +55.5% | +5.2% | 3,048 円216 億円 |
今の株価時価総額 1,960 円139 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 基幹運用の強みを守り、価格改定と収益改革が成功 利益 19 億円 · PER 14.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 5,162 円366 億円
A-AUTOはメインフレームからクラウドへの移行過程でも顧客との関係を維持する。既存システムの大規模なジョブ管理を安全に移す実績が評価され、管理対象環境はやや増える。基幹運用製品の価格改定も契約更新のたびに浸透し、セキュリティ機能や新しい運用要件への対応が顧客の納得を支える。競合するJP1やControl-Mに対しても、既存環境の複雑さを理解する強みで競り勝つ。
クラウドではLMISの契約維持と単価改善が進む。席数を大幅に増やすのではなく、解約の抑制と高付加価値の機能によって収益力を高める。AIエージェントに直接置き換えられる機能を抱えていても、基礎となるデータ連携と権限制御の価値を提供できる。その他クラウドも赤字から抜け、事業の選択と集中が成果を生む。
プロフェッショナルサービスでは、AIの活用によって原価を抑え、単純な工数請求から成果物の品質や運用責任に対する対価へ一部移行する。新しいAIサービスの売上実績が確認されていないため、数量の純増は前提としない。経営は大型買収を急がず、既存製品と連動する案件へ投資を集中する。情報漏えいへの対応も完了し、顧客の信頼が回復する。営業利益率は大幅に改善し、株主還元を続けながら自己資本の収益性も高まる。
- 基幹運用・メインフレーム関連製品:数量 900(年間稼働・保守換算システム契約数。単一企業の複数環境を含む推定契約単位)× 価格 0.04(年間包括ライセンス・保守収入、億円/換算契約)→ 売上 32 億円・営業利益 11 億円。運用対象環境の増加と価格改定。機械実行基盤としての堀が維持される
- 帳票管理・出力製品:数量 650(年間利用・保守換算契約数の推定)× 価格 0.02(年間契約当たりライセンス・保守収入、億円)→ 売上 11 億円・営業利益 3 億円。契約数量横ばい、標準価格改定が定着
- 運用自動化製品:数量 550(年間稼働・保守換算契約数の推定)× 価格 0.02(年間契約当たりライセンス・保守収入、億円)→ 売上 8 億円・営業利益 2 億円。AI代替を受ける操作部分は増やさず、既存環境の契約を維持
- その他プロダクトサービス:数量 500(年間保守・利用換算契約数の推定)× 価格 0.01(年間契約当たりの製品・保守収入、億円)→ 売上 7 億円・営業利益 2 億円。契約数を維持し、単価改善と開発費効率化が進む
- クラウド・LMIS:数量 20,000(公表利用者ID数を基礎としたモデル上の利用ID)× 価格 0.00(報告売上を公表利用者数で割った年間実現収入の上限近似、億円/ID)→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。ID数横ばい。席課金の価格上昇はAI代替ルール上限の1.15倍
- クラウド・その他サービス:数量 4,000(年間契約・拠点・利用環境をまとめた推定サービス換算契約数)× 価格 0.01(推定サービス換算契約当たり年間収入、億円)→ 売上 37 億円・営業利益 2 億円。利用単位横ばい、赤字事業の整理と収益性改善
- プロフェッショナルサービス:数量 50,000(年間請求対象人日の推定。常勤換算で約200人年)× 価格 0.00(請求対象1人日当たり平均売上、億円)→ 売上 53 億円・営業利益 7 億円。人日数横ばい。物価並みの価格上昇と受注選別による利益率改善
倍率:資本コストk=6.75%、10年より先の全社名目成長g_long=0%。事業のROEは余剰現金を除いてもkを上回るが、AI代替により長期成長を認めないため、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=1÷0.0675=14.81倍となる。楽観のPERはこの上限そのもの。純利益19.36億円から余剰現金50億円の税後利息相当0.70億円を除き、事業利益18.66億円に倍率を適用して現金50億円を足す。余剰現金の戻り方は1.0。
確率:基幹運用の新環境への採用が続き、価格改定の定着、クラウド黒字化、受託の高付加価値化が同時に進む必要がある。既存製品の実績は強いが、過去のクラウド投資の回収遅延を考えれば高い確率にはできない。
やや楽観 20% 収益改善が進み、主力製品の価値が残る 利益 12 億円 · PER 14.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,422 円243 億円
基幹運用関連製品は顧客のシステム刷新に対応し、既存の稼働環境をおおむね維持する。新しいプラットフォームへの移行に際してもA-AUTOを使い続ける顧客が残り、保守契約の更新に価格改定を反映できる。帳票やその他の運用製品ではAIによる省力化の影響が現れるが、複雑な業務要件への対応で利用契約の大部分を守る。
LMISなどのクラウドでは、利用ID数がやや減る。一方、セキュリティ、権限管理、データ連携などの機能を改善し、価格下落を防ぐ。その他クラウドは利益を生むまでには至らないものの、採算の悪い案件を減らすことで損失が縮む。新規社会課題事業については、一部の導入成功はあっても、利益の主役にはしない。
受託開発とコンサルティングではAIによって請求対象の工数が減る。しかし、レガシー環境の統合や品質保証といった難しい仕事は残り、顧客が払う単価も人件費上昇に応じて改善する。会社は無理な大型買収を避け、投資の効率を優先する。2026年に始めた株主還元強化を継続し、稼いだ利益の相応の部分を配当や自社株買いで戻す。全社利益は現在を上回るが、かつてのソフトウェア専業時代のような高収益構造へ完全に戻るわけではない。
- 基幹運用・メインフレーム関連製品:数量 850(年間稼働・保守換算システム契約数。単一企業の複数環境を含む推定契約単位)× 価格 0.03(年間包括ライセンス・保守収入、億円/換算契約)→ 売上 29 億円・営業利益 9 億円。稼働環境横ばい、価格改定は一部浸透
- 帳票管理・出力製品:数量 585(年間利用・保守換算契約数の推定)× 価格 0.02(年間契約当たりライセンス・保守収入、億円)→ 売上 10 億円・営業利益 3 億円。契約数0.90倍、単価1.14倍
- 運用自動化製品:数量 495(年間稼働・保守換算契約数の推定)× 価格 0.01(年間契約当たりライセンス・保守収入、億円)→ 売上 7 億円・営業利益 2 億円。操作型機能の一部が縮小し、契約数0.90倍
- その他プロダクトサービス:数量 450(年間保守・利用換算契約数の推定)× 価格 0.01(年間契約当たりの製品・保守収入、億円)→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。契約数0.90倍、価格1.15倍
- クラウド・LMIS:数量 18,000(公表利用者ID数を基礎としたモデル上の利用ID)× 価格 0.00(報告売上を公表利用者数で割った年間実現収入の上限近似、億円/ID)→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。AI代替でID数0.90倍、価格1.13倍
- クラウド・その他サービス:数量 3,600(年間契約・拠点・利用環境をまとめた推定サービス換算契約数)× 価格 0.01(推定サービス換算契約当たり年間収入、億円)→ 売上 33 億円・営業利益 −1 億円。利用単位0.90倍、事業整理で赤字幅縮小
- プロフェッショナルサービス:数量 37,500(年間請求対象人日の推定。常勤換算で約200人年)× 価格 0.00(請求対象1人日当たり平均売上、億円)→ 売上 39 億円・営業利益 5 億円。人日0.75倍、単価1.33倍
倍率:k=6.75%、長期名目成長g_long=0%の正当化PER上限14.81倍を使用する。新たな投資の収益率RONICに超過収益が残っても、長期成長率0%では式は1÷kとなる。純利益11.82億円から余剰現金利息0.70億円を除いた事業利益11.12億円に14.81倍を適用し、余剰現金50億円を加える。
確率:主力製品の契約維持、単価改善、受託サービスの収益性向上は実現可能だが、クラウド全体の黒字化までは慎重に見る。既存事業の維持力に一定の重みを認める。
中立 31% 基幹運用を守りながら、AIによる工数と利用席数の縮小が進む 利益 7 億円 · PER 14.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,219 円158 億円
A-AUTOなどの基幹運用製品は、企業の既存システムとともに使われ続ける。ただし、メインフレームの統廃合や基幹システム刷新は進み、稼働対象の契約単位は緩やかに減る。大規模な移行作業と安定稼働の実績が顧客をつなぎ止めるため、数量が急減するとは考えない。2026年に始まった価格改定も一部定着し、名目売上の減少を緩和する。
帳票や業務自動化製品では、AIエージェントが従来の画面操作や定型処理を代替し、課金対象の契約・機能が減る。クラウド市場全体は伸びるが、LMISの利用IDは減少する。データ連携や権限制御の機能は残るものの、利用席数を基礎にする料金には下押し圧力がかかる。その他クラウドは投資の整理で赤字を小さくするが、十分な収益源には育たない。
プロフェッショナルサービスでは、AIによる開発・試験・運用の効率化で請求人日が約3分の2になる。単価上昇は人件費の上昇をある程度反映するが、失われる工数収入を完全には埋めない。会社は大規模買収を行わず、既存製品に関係する投資を優先する。株主にはDOEを意識した配当を続けるが、利益の低下に応じて増配余地は限られる。財務は健全でも、全社の利益率は現在から大きく改善せず、ROEは資本コストをやや下回る。
- 基幹運用・メインフレーム関連製品:数量 765(年間稼働・保守換算システム契約数。単一企業の複数環境を含む推定契約単位)× 価格 0.03(年間包括ライセンス・保守収入、億円/換算契約)→ 売上 26 億円・営業利益 7 億円。基幹運用の換算契約数0.90倍、価格1.27倍。物価上昇より価格改善は弱い
- 帳票管理・出力製品:数量 520(年間利用・保守換算契約数の推定)× 価格 0.02(年間契約当たりライセンス・保守収入、億円)→ 売上 9 億円・営業利益 2 億円。操作型ソフトの契約数0.80倍、単価1.10倍
- 運用自動化製品:数量 440(年間稼働・保守換算契約数の推定)× 価格 0.01(年間契約当たりライセンス・保守収入、億円)→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。利用単位0.80倍、価格1.11倍
- その他プロダクトサービス:数量 360(年間保守・利用換算契約数の推定)× 価格 0.01(年間契約当たりの製品・保守収入、億円)→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。契約数0.72倍、価格1.12倍
- クラウド・LMIS:数量 16,000(公表利用者ID数を基礎としたモデル上の利用ID)× 価格 0.00(報告売上を公表利用者数で割った年間実現収入の上限近似、億円/ID)→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。利用ID数0.80倍、価格1.10倍。課金対象の減少を重く見る
- クラウド・その他サービス:数量 3,000(年間契約・拠点・利用環境をまとめた推定サービス換算契約数)× 価格 0.01(推定サービス換算契約当たり年間収入、億円)→ 売上 26 億円・営業利益 −2 億円。換算利用契約0.75倍、単価1.10倍、赤字は残る
- プロフェッショナルサービス:数量 32,500(年間請求対象人日の推定。常勤換算で約200人年)× 価格 0.00(請求対象1人日当たり平均売上、億円)→ 売上 33 億円・営業利益 3 億円。AIエージェント代替で請求人日0.65倍、単価1.28倍
倍率:k=6.75%、AI代替を考慮した10年より先の名目成長率g_long=0%。中立の全社ROEは6.95÷132=約5.3%でkを下回るため、将来の再投資による超過利益は認めない。正当化PERは1÷k=14.81倍が上限であり、この上限そのものを使用する。余剰現金50億円の税後利息相当0.70億円を純利益から控除した6.25億円に倍率を適用し、現金50億円を加える。
確率:基幹運用の継続力、AIによる席数と人月の減少、クラウド損失の部分縮小を組み合わせた中心的な見通し。会社がすでに持つ顧客基盤を否定せず、過去のIT投資拡大率も延長しない。
やや悲観 24% AI代替と競争で、主力以外の稼ぐ力が弱まる 利益 3 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,361 円97 億円
メインフレーム関連では顧客のシステム刷新が早まり、維持してきた稼働環境の相当部分が統合される。A-AUTOは残った複雑な基幹環境で使われ続けるが、主要顧客の新規基盤ではJP1や海外製品との競争が強まる。保守価格の改定は一部しか通らず、製品の売上総額は縮む。
帳票と運用自動化では、既存機能の一部が他の業務基盤やAIエージェントに吸収される。LMISの席数も減り、導入実績の増加を収益の持続的成長につなげられない。その他クラウドは赤字幅こそ縮小するが、管理費と開発費の負担が重い。社会課題関連サービスは実証段階から広がらず、撤退や統合を進める。
人月型サービスでは、請求可能な工数が大きく減る。単価改定を行っても顧客が成果物単位の料金を求めるため、売上を維持できない。採用や外注の抑制、低採算案件の整理で固定費を削るが、製品の利益減少まで完全には補えない。配当は当初の水準をしばらく保つものの、利益が弱くなれば減額を迫られる。大きな財務危機には至らないが、将来の再投資から高い収益率を得られない会社となる。
- 基幹運用・メインフレーム関連製品:数量 650(年間稼働・保守換算システム契約数。単一企業の複数環境を含む推定契約単位)× 価格 0.03(年間包括ライセンス・保守収入、億円/換算契約)→ 売上 21 億円・営業利益 5 億円。主要顧客の基幹刷新で契約基盤が縮小
- 帳票管理・出力製品:数量 455(年間利用・保守換算契約数の推定)× 価格 0.02(年間契約当たりライセンス・保守収入、億円)→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。AIによる帳票業務の自動処理が普及
- 運用自動化製品:数量 358(年間稼働・保守換算契約数の推定)× 価格 0.01(年間契約当たりライセンス・保守収入、億円)→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。利用単位は約0.65倍
- その他プロダクトサービス:数量 300(年間保守・利用換算契約数の推定)× 価格 0.01(年間契約当たりの製品・保守収入、億円)→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。契約数0.60倍、価格上昇は限定的
- クラウド・LMIS:数量 14,000(公表利用者ID数を基礎としたモデル上の利用ID)× 価格 0.00(報告売上を公表利用者数で割った年間実現収入の上限近似、億円/ID)→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。利用ID数0.70倍、単価はほぼ横ばい
- クラウド・その他サービス:数量 2,600(年間契約・拠点・利用環境をまとめた推定サービス換算契約数)× 価格 0.01(推定サービス換算契約当たり年間収入、億円)→ 売上 22 億円・営業利益 −2 億円。利用単位0.65倍、撤退と統合を進めても赤字
- プロフェッショナルサービス:数量 27,500(年間請求対象人日の推定。常勤換算で約200人年)× 価格 0.00(請求対象1人日当たり平均売上、億円)→ 売上 25 億円・営業利益 2 億円。人日0.55倍、単価1.16倍
倍率:長期ROE3.49÷129=約2.7%でk6.75%を大きく下回る。蓄積する自己資本に通常の評価倍率を掛けることは避け、直近の確定自己資本123.8億円を床評価の帳簿基準として使用する。PBR0.69倍による時価総額は約85.4億円。これは純現金と換金可能な上場保有株式から求める資産床80億円を上回り、現金を除いた事業利益の低い収益力とも整合する。将来積み上がる129億円に床の倍率を掛けて価値を増やす方法は採らない。
確率:クラウドの赤字が続き、顧客のシステム統合とAIによる省人化が予想以上に進む場合。2026年に始めた価格改定が十分に浸透しない可能性と、情報漏えい後の信頼回復に時間がかかる可能性を考慮した。
悲観 15% 運用製品の顧客基盤が崩れ、事業価値より資産回収が中心になる 利益 1 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,064 円76 億円
主要顧客が基幹システムの再構築を進め、A-AUTOを含む既存の運用製品が新しい共通基盤へ置き換わる。長年の保守契約が解消され、残る顧客の環境も次第に小さくなる。競合する大手IT企業が運用機能とクラウド移行を一体で提供し、ユニリタ単独の製品が選ばれる機会は減る。主力製品の利益率はなおプラスを保つが、以前の高収益を支えるだけの契約量が残らない。
帳票や業務自動化では、AIによる処理の自動化と他社プラットフォームへの統合が進み、利用契約が半分前後まで減る。クラウドでも利用ID数が縮小し、採算の取れないサービスを統廃合する。データ連携や地域交通の事業には顧客が残るものの、全社の利益を支えるほどの規模にはならない。プロフェッショナルサービスの請求人日も大きく減り、低採算案件をやめるため売上減少が加速する。
情報漏えいへの対応費用やセキュリティ再整備費が増え、経営は新規事業への投資を止める。人員と拠点を縮小して損失を抑えるが、10年後には営業利益がほぼ残らない。配当は初期の数年間こそ継続するものの、その後は縮小する。大規模な増資や倒産を伴わず、残存する純現金と換金可能な保有資産が株主価値の中心となる。会社は存続するが、高収益ソフトウェア企業としての優良さを失う。
- 基幹運用・メインフレーム関連製品:数量 500(年間稼働・保守換算システム契約数。単一企業の複数環境を含む推定契約単位)× 価格 0.03(年間包括ライセンス・保守収入、億円/換算契約)→ 売上 14 億円・営業利益 3 億円。主力顧客の基幹刷新で換算契約数が約0.59倍
- 帳票管理・出力製品:数量 325(年間利用・保守換算契約数の推定)× 価格 0.02(年間契約当たりライセンス・保守収入、億円)→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。契約半減、価格上昇なし
- 運用自動化製品:数量 275(年間稼働・保守換算契約数の推定)× 価格 0.01(年間契約当たりライセンス・保守収入、億円)→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。契約半減、価格もやや低下
- その他プロダクトサービス:数量 250(年間保守・利用換算契約数の推定)× 価格 0.01(年間契約当たりの製品・保守収入、億円)→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。利用契約数が半減
- クラウド・LMIS:数量 10,000(公表利用者ID数を基礎としたモデル上の利用ID)× 価格 0.00(報告売上を公表利用者数で割った年間実現収入の上限近似、億円/ID)→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。AI代替と競合によってID数半減、単価も低下
- クラウド・その他サービス:数量 2,000(年間契約・拠点・利用環境をまとめた推定サービス換算契約数)× 価格 0.01(推定サービス換算契約当たり年間収入、億円)→ 売上 16 億円・営業利益 −2 億円。利用単位半減。固定費負担と製品整理費が重い
- プロフェッショナルサービス:数量 22,500(年間請求対象人日の推定。常勤換算で約200人年)× 価格 0.00(請求対象1人日当たり平均売上、億円)→ 売上 18 億円・営業利益 1 億円。請求人日0.45倍、単価上昇なし
倍率:営業利益がほぼ消え、長期ROEは0.5÷120=約0.4%で資本コストを大幅に下回るため、純利益への高いPERは用いない。直近の確定自己資本123.8億円に対する資産回収型PBR0.61倍で時価総額75.5億円とする。これは純現金と売却可能な上場株式から整理費を引いた床74億円をわずかに上回る。2036年の自己資本120億円に帳簿倍率を掛けて将来の留保利益を高く評価することはしない。
確率:メインフレーム刷新で既存契約を大きく失い、AIエージェントと競争製品によってクラウドと受託も縮小する複合的な構造敗北。情報漏えいに関連する顧客離反や費用発生が加わる場合を含めるが、純現金が厚いため破綻までは想定しない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
基幹運用・メインフレーム関連製品
A-AUTOなどのジョブ管理、メインフレーム運用、基幹業務の実行制御と保守。AIエージェントが操作画面を置き換えても、決められた処理を確実に実行する運用基盤そのものは必要とみる。
| 数量年間稼働・保守換算システム契約数。単一企業の複数環境を含む推定契約単位 | 価格年間包括ライセンス・保守収入、億円/換算契約 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 850 | 0.03 | 22 | 6 |
| 10 年後 中立 | 765 | 0.03 | 26 | 7 |
取り方:2026年3月期決算補足説明資料でメインフレーム関連売上22.34億円を確認。契約件数と平均単価は非開示のため、稼働環境を含む保守換算850契約、年間約263万円という分析上の代理単位に分解したもので、実際の顧客社数ではない。A-AUTOの公開最低ライセンス価格は35万円だが、これは年間包括収入の単価ではない。YKK APの1日約2万6000ジョブ移行事例を、大規模案件で複数環境・保守が重要になる証拠として用いた。利益6.03億円はプロダクトサービス全体の開示利益12.36億円を製品群へ仮配賦した値である。AI代替の類型では、機械的な基幹実行制御部分は人月・席課金型と異なるが、操作支援部分には代替余地がある。単独市場の規模と競合別シェアは比較可能な一次開示を確認できず、推定値を実績として示さない。
帳票管理・出力製品
基幹システムからの帳票生成、出力、配信、管理に対応する製品群。個別企業の複雑な帳票要件に強みがある一方、画面操作や定型的な帳票作成はAI代替の対象となる。
| 数量年間利用・保守換算契約数の推定 | 価格年間契約当たりライセンス・保守収入、億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 650 | 0.02 | 10 | 3 |
| 10 年後 中立 | 520 | 0.02 | 9 | 2 |
取り方:2026年3月期の帳票関連売上9.81億円を会社資料から採用。契約数は非開示なので、年間換算650契約、1契約約151万円を代理単位とした。ユニリタの帳票関連サイトではグループ全体の取引先1700社以上を掲げるが、これを帳票製品だけの契約数とは扱わない。直接競合はウイングアーク1stのSVF、電子帳票・電子請求書各社である。2026年6月からの標準価格改定は公表されたが、実際の実現単価と解約率は非開示。AI代替の類型は主として操作型業務ソフトとし、中立数量を0.8倍、価格を1.10倍にする。営業利益は製品セグメント内の仮配賦である。
運用自動化製品
既存システムの処理自動化や運用作業を支援するソフトウェア。処理エンジンは残りうるが、画面で設定する定型作業はAIエージェントによって簡素化される。
| 数量年間稼働・保守換算契約数の推定 | 価格年間契約当たりライセンス・保守収入、億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 550 | 0.01 | 7 | 2 |
| 10 年後 中立 | 440 | 0.01 | 6 | 1 |
取り方:2026年3月期の自動化製品売上7.21億円を原資料から採用。顧客別契約数は開示されないため、550契約、年間約131万円の保守換算単位を推定した。隣接する国内AIOps・運用自動化市場は拡大が予測されているが、ジョブ管理や既存運用製品と市場定義が一致せず、その市場全体に対する売上シェアは算定しない。AI代替は操作・手順設定部分に適用し、中立の利用単位は0.8倍、単価は1.11倍とする。利益はプロダクトサービス全体からの仮配賦である。
その他プロダクトサービス
その他の運用・情報活用関連製品、ライセンス、保守サービス。製品ごとの開示が限定的なため、主要製品よりも競争と技術転換への耐性を低く評価する。
| 数量年間保守・利用換算契約数の推定 | 価格年間契約当たりの製品・保守収入、億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 500 | 0.01 | 6 | 2 |
| 10 年後 中立 | 360 | 0.01 | 5 | 1 |
取り方:2026年3月期決算補足説明資料の製品その他売上5.89億円を採用。契約件数が公表されないため、500換算契約、年間約118万円を用いる。内容は混在しており、顧客数の実績を表すものではない。AI代替を受ける業務ソフトの比率が高いとみて、中立の換算契約数を0.72倍、名目単価を1.12倍とする。利益は開示されたプロダクトサービス営業利益の内部仮配賦である。
クラウド・LMIS
企業のITサービス管理、サービスデスク、問い合わせ管理を支援する席課金型クラウド。利用者数の拡大実績はあるが、AIエージェントがチケット処理や画面操作を代替する可能性が高い。
| 数量公表利用者ID数を基礎としたモデル上の利用ID | 価格報告売上を公表利用者数で割った年間実現収入の上限近似、億円/ID | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 20,000 | 0.00 | 7 | 0 |
| 10 年後 中立 | 16,000 | 0.00 | 6 | 0 |
取り方:2026年3月期のLMIS売上6.70億円を会社資料から採用。2026年5月のプレスリリースでは300組織以上、2万ユーザー以上と公表。2万人を下限として売上を割ると、年間1ID当たり約3.35万円が上限近似となる。公表標準料金は25IDで月額12万円、追加1IDで月額4800円だが、実際の請求ID数、割引、オプションの内訳は非開示であるため、2万IDをすべて標準価格の有料席と断定しない。競合はServiceNow、Jira Service Managementなどで、直接の国内シェアは確認できない。AI代替は席・操作画面型に該当し、中立数量0.8倍、単価1.10倍とする。製品別利益は非開示のため、現時点の0億円は仮配賦であり実績利益ではない。参照:https://www.unirita.co.jp/press/2026/0522_press001.html 、https://www.lmis.jp/faq.html
クラウド・その他サービス
Waha! Transformer、The Staff-V、らくらくBOSS、Digital Workforce、帳票クラウド、地域交通関連などを含む。規制対応やデータ連携の価値は残るが、利用画面、管理ID、定型業務の処理には代替圧力がある。
| 数量年間契約・拠点・利用環境をまとめた推定サービス換算契約数 | 価格推定サービス換算契約当たり年間収入、億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 4,000 | 0.01 | 32 | −4 |
| 10 年後 中立 | 3,000 | 0.01 | 26 | −2 |
取り方:クラウド全体38.72億円からLMIS6.70億円を除いた32.02億円を使用。開示されている主要製品売上はThe Staff-V約5.67億円、Waha! Transformer約4.79億円、らくらくBOSS約4.21億円、Digital Workforce約2.07億円であり、残余には他のクラウドと新規事業が含まれる。利用契約数の合計は非開示のため、製品横断の4000サービス換算契約、年間約80万円を分析上の代理単位とした。これは実際の顧客社数ではない。国内SaaS市場約1.5兆円に対する同サービス群売上の比率は参考値で約0.21%だが、用途の異なる市場を含むため厳密なシェアではない。席課金・操作画面・事務処理型のAI代替を中心に中立数量0.75倍、価格1.10倍とし、社会交通など現場運営と結び付く部分はやや耐性があると見る。クラウド全体の営業損失3.57億円をこの欄に集約した仮配賦である。
プロフェッショナルサービス
システムインテグレーション、コンサルティング、アウトソーシング。顧客のレガシー刷新需要はあるが、工数を請求する収益の一部はAIによる開発・運用自動化で減る。
| 数量年間請求対象人日の推定。常勤換算で約200人年 | 価格請求対象1人日当たり平均売上、億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 50,000 | 0.00 | 39 | 4 |
| 10 年後 中立 | 32,500 | 0.00 | 33 | 3 |
取り方:2026年3月期のプロフェッショナルサービス売上39.43億円、営業利益4.13億円を使用。内訳はシステムインテグレーション約22.48億円、コンサルティング約10.34億円、アウトソーシング約6.60億円。請求人日と単価は非開示なので、年間5万人日、平均約7.89万円/人日の代理単位とした。国内ITサービス市場約17.2兆円に対する39.43億円の参考比率は約0.023%だが、対象業務が広すぎるため直接シェアではない。競合はNTTデータ、TIS、SCSK、独立系SI各社など。AI代替の人月・工数型に該当するため、中立人日を0.65倍、名目単価を1.28倍とし、単価上昇だけで人日減少を打ち消さない。
リスクと懸念
AIエージェント代替
プロフェッショナルサービスの受託開発、運用、コンサルティングは、人が費やした工数の一部を対価にしている。AIが作業を短縮すれば、その成果を会社が価格に転嫁できない限り売上数量は減る。LMISや派遣業務支援などの席課金ソフトでも、人の画面操作を前提とする機能の価値が下がる。中立で人月型数量0.65倍、主要な席課金型数量0.70~0.90倍を採用し、10年より先の名目成長率も0%とした。
2026年の情報漏えいと信用低下
2026年9月28日に不正アクセスが判明し、10月14日には攻撃者が公開した情報に同社の情報が含まれることが確認された。漏えいしたファイルの解析と影響対象の確認は公表時点で進行中であり、最終的な補償費用や顧客離反の規模は不明である。基幹運用とデータを扱う会社の信頼に関係するため、調査の結果と契約更新への影響を継続して確認する必要がある。
メインフレーム更新による主力製品の縮小
A-AUTOなどの運用製品は長い利用歴が強みだが、その一部は既存のメインフレーム環境に依存する。顧客が基幹システムの刷新に際して運用ツールも統一すれば、移行の複雑さという参入障壁が新規選定の障害にならないこともある。現行製品がクラウドや新しい運用基盤でも採用される割合が、長期の利益を大きく左右する。
クラウド事業の収益化遅延
クラウドサービスは2026年3月期に約39億円の売上を計上したものの、営業損失が約3.6億円残った。売上の伸びが開発費や営業費の増加に追い付かない状態が長引けば、既存製品から生まれる利益が再投資に消費される。LMISの利用者数や主要製品の売上が増えても、セグメント利益の改善が伴わなければ資本配分の成功とは評価できない。
値上げの浸透と契約解約
2026年6月からライセンス、保守、サービス料金の標準価格改定が始まった。人件費と外部調達費の上昇を考えれば必要な施策だが、価格改定の発表だけで値決め力が証明されたわけではない。更新契約で顧客が受け入れた値上げ率と、その後の解約率が重要である。競合への移行が増えれば、単価の上昇以上に契約数量が減少する可能性がある。
M&Aと余剰資本の使い方
同社は買収とサービスシフトで事業規模を拡大したが、長期の売上増加に対して営業利益は伸びていない。今後も収益性の低い新規事業や買収へ現金を投じ続ければ、財務の厚さがそのまま株主価値になるとは限らない。2026年の自社株買いは前向きな変化だが、政策保有株式の縮減や、投資先の採算基準を明確にする動きが継続するかを確認したい。
今後の分かれ目
- 2027年3月期以降にクラウドサービスの営業損失が継続的に縮小し、黒字が定着したら
- 中立のクラウド利益率と全社利益を引き上げる。LMISなどの利用契約が維持され、開発費を継続的に回収できることが確認できれば、やや楽観の確率も高める。ただし、AI関連サービスの実際の売上金額が開示されるまでは、AIだけを理由に数量成長を認めない。
- 2026年6月からの価格改定後も主力製品の契約継続率が高く、保守収入が増加したら
- 基幹運用製品の価格決定力を高く評価し、製品セグメントの中立単価と利益率を見直す。公表された値上げ幅だけでなく、実現単価と解約率の両方を確認し、顧客が値上げ後も継続利用していることを重視する。
- A-AUTOが基幹システムのクラウド移行後にも継続採用される案件が増えたら
- メインフレームの減少と主力製品の減少を同一視する必要が弱まる。中立の基幹運用換算契約数を上方修正し、製品寿命の見通しを改善する。長期の保守収入と更新契約が実際に増えているかを優先して確認する。
- LMISの有償利用ID数が減少に転じ、売上も継続して前年割れしたら
- AIエージェント代替や競合への流出が顕在化した可能性を考え、クラウドの中立数量を引き下げる。導入組織数だけでなく、有償利用ID数、顧客単価、解約率を分けて評価する。
- 2026年の情報漏えいに関して大きな補償費用、行政対応費用、主要顧客の契約解消が判明したら
- 将来利益、利用数量、残存現金を減らし、悲観側の可能性を再評価する。補償費用の確定前に架空の損失額を利益から引くのではなく、発生した事実と金額に基づいて資産床も修正する。
- DOE4.5%を意識した配当と追加自社株買いが続き、政策保有株式も縮減されたら
- 余剰資本を株主に戻す確度を高く維持し、10年間の累積還元を増やす。実行した自社株買いについては、その時点の株数と自己資本に反映し、将来の還元と二重に数えない。
見ておくもの
- プロダクトサービスのメインフレーム関連売上と保守契約更新の推移
- 2026年6月の価格改定が契約更新へ反映された実現単価と解約率
- A-AUTOのメインフレームからオープン系・クラウドへの移行後採用事例
- クラウドサービスの四半期営業損益と赤字解消時期
- LMISの有償利用ID数、導入組織数、年間売上、顧客単価
- プロフェッショナルサービスの受注高・受注残高・請求工数・営業利益率
- 情報漏えいの影響範囲、補償額、顧客契約への影響に関する追加開示
- 政策保有株式の縮減、自社株買い、DOE、M&A後の投下資本利益率
- AIエージェントを自社サービスとして販売した実際の売上・受注金額
倍率と資本コストの決め方
基準時価総額約139.45億円を出発点として倍率を逆算していない。2026年3月期のセグメント売上と営業利益を確認し、契約・稼働環境・利用ID・人日という実質数量と名目単価から2036年の収益を積み上げた。未開示の契約数は推定代理単位と明記した。資本コストは6.75%、AI代替を考慮した10年より先の名目成長率は0%であり、中立から楽観のPERは正当化式の上限14.81倍を使用した。余剰現金の税後利息を事業利益から除いて現金を別に足し、2026年8月の実行済み自社株買いは株数と期首自己資本に反映した。悲観側は将来積み上がる自己資本に床のPBRを掛けず、現在の確定自己資本と換金可能資産を基準とした。10年の確率加重現在価値は約113.39億円で、基準時価総額との差は約−18.7%となる。2028年3月期以降の新リース会計による表示の変化は、同じ経済実態の価値を二重に変動させない。
資本コスト 6.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3.0%と株式リスクプレミアム4.5%を合わせた基本7.5%から、営業利益の安定性と厚い純現金によるquality−0.75%を調整した。AI代替や情報漏えいの影響は数量、利益率、確率で扱い、資本コストへ個別に上乗せしない。