結論
フュージョンは、顧客の購買データを分析し、CRM戦略からダイレクトメールの制作、システム運用まで請け負う札証アンビシャス上場のマーケティング会社である。筆者の評価は「割高」だ。19年連続の全日本DM大賞受賞は企画力の証拠だが、売上の大半を占めるのは制作と専門人員の作業であり、これからの10年はAIエージェントが顧客自身の手で代替する領域だからだ。
2026年2月期の売上は約14.9億円で、営業利益はわずか0.17億円だった。ところが2027年2月期中間には売上9.04億円、営業利益1.23億円を記録した。業務時間をほぼ増やさず売上を伸ばし、販管費を削減したことは明瞭な改善である。ただし通期予想の営業利益0.33億円は据え置かれており、上期だけを恒常的な稼ぎと見なしてはならない。
10年後の中立は、継続顧客が残る一方で制作案件・分析人月が減り、売上約12.1億円、純利益約0.31億円の企業像となる。自動化で利益率がある程度持ち直しても、資本に対する利回りは要求収益率に届かない。利益を十分に配当してきた会社でもない。現在の時価総額約8.02億円に対し、五つの筋書きの10年後価値と還元を割り戻した本質価値は約2.57億円となり、安全域が見いだせない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主なら、まず広告賞ではなく、十年後にも顧客が対価を払う業務を見定める。紙DMには、広告文や配信画面を自動生成するだけでは代わらない実物の届け方と、反応を測った経験がある。顧客の意思決定者を動かす企画力は残るだろう。だが分析表を作る、画像を直す、配信を設定するといった時間は、顧客企業のAIが安く代替する。売上の大きな部分をその作業で稼ぐ会社に、名目市場成長をそのまま約束することはできない。
次に考えるのは、利益を得るためにどれだけ再投資が要るかである。人材の採用・教育、セキュリティと顧客データの取扱い、外注制作費の立て替えが欠かせない。設備の更新は大企業ほど重くないが、利益が微小な年には僅かな採用費や契約終了でオーナー利益が消える。2027年中間期に生産性が跳ね上がった事実は、より小さな人数で稼げる可能性を示した。しかし顧客が同じAIを利用すれば、コスト低下は価格競争として相手にも渡る。
最後に現金の扱いを見る。現預金が十分あっても、少数株主がそれを自由に引き出せるわけではない。役員と大株主の持分集中、実質無配という履歴のもとで、留保利益の価値を額面通りには評価しない。現時点で確実な堀は弱く、10年後の予測幅は広い。良い案件を取る能力があっても、高い資本コストで割り戻した価値に比べると、今の時価総額には安全域が足りないと判断する。
何で稼ぐ会社か
事業の核は、顧客企業が持つ取引・購買履歴を分析し、顧客の再購入や継続利用を増やす施策を設計して実行することである。CRMは顧客関係管理を指す。2026年2月期の売上のうち、分析・コンサルは約24%、DM等のクリエイティブは約40%、基盤構築・業務運用は約13%だった。ほかにPOSデータ開示約12%、EC運営約11%があり、教育支援は僅少である。会社の法定セグメントは総合マーケティング支援事業一つであり、この分解は開示されたサービス内訳による。
代表作は日本郵便の全日本DM大賞で評価された郵送物の企画である。企業の広告・CRM担当者にとって、誰に何を送ると行動が変わるかを一社で提案し、制作から効果測定まで任せられる点が便利だ。タイミー、freee、アシックス商事などの事例で培った信用は受注の入り口になる。紙媒体だけを売るのでなく、デジタル広告や顧客管理ツールとの連携も扱う。
POSデータ開示では「MDパートナー」などの仕組みを使い、追加開発と月額運用を受託している。この部分には継続収益の性格があるが、スーパーなどが所有するPOS原票を独占保有する権利が開示されているわけではない。EC運営も顧客企業の店舗を代行するサービスで、EC流通総額を同社の売上と混同してはならない。2027年2月期からは四つのサービス領域へ再編し、売上構成もBtoC57.7%、BtoB42.3%と開示した。従来のサービス別売上と新分類を直接比較できないため、将来計算では旧分類の監査済み年次内訳を基準にした。
優良さと弱いところ
強みは販促の企画力を証明する反復受賞と、顧客の事業を深く知る伴走型の仕事である。全日本DM大賞では2026年も受賞し、19年連続、グランプリは通算四回となった。複数年の取引が多いことも札証公表の調査資料にある。顧客の既存システムと複数部門をつなぐため、担当者だけを替えて済む取引ではない。
ただし価格を上げても顧客が離れない「堀」は、受賞歴とは別に証明しなければならない。解約率5%未満という数字、制度対応に年単位を要する移行実績、独占的に蓄積するデータ、繰り返し値上げできた証拠は確認できない。POSシステムさえ小売企業側が元データを持つ。競合のツールとAIエージェントで実務のやり方を変えられるため、10年後の堀は狭くなるとみる。
資本効率にも弱さがある。2023年と2024年には二桁のROEを示したが、その後は人件費や受注の谷で利益が消え、2025年2月期は最終赤字になった。2027年中間期に外注費の見直しとAI利用が効いた点は評価する。ただし成果報酬型への転換が契約単価・継続率の開示に表れるまでは、増分ROICが長期の資本コストを上回るとは言い切れない。受注単価の引き上げで収益が改善したのか、外注費の一時的な圧縮なのかを区別するには、継続契約の粗利益率と請求単価を同じ定義で追う必要がある。前者なら堀の見方を修正できるが、後者なら競合にも追随される。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
市場全体が伸びることと、制作会社の売上が伸びることは別の話だ。電通によれば2025年の国内広告費は8兆623億円、ネット広告費は4兆459億円だった。しかしDM広告費は2,708億円と前年比で減少し、ネット広告制作費は4,922億円だった。郵送料の上昇と販促データのデジタル化が紙媒体の数量を圧迫する。フュージョンの制作収入約6億円を全額DM市場に仮置きすると約0.22%であり、実際にはデジタル案件も含むので確定的なシェアではない。
隣接するデジタルマーケティング市場は2025年に4,201億円、2026年に4,789億円の見込みと矢野経済研究所は発表した。ただしMAやCRM、CDPなどのソフト市場を含むため、受託分析会社の市場規模・シェアとは一致しない。ECの国内取引規模も2025年に約27.6兆円へ拡大したが、顧客企業の商品売上と運営代行手数料は違う。POS運用・研修については同一定義の公開市場規模が見当たらず、架空のシェアを作らない。
競争は電通デジタル、博報堂系、トランスコスモス、TOPPANなどの総合支援会社に加え、SalesforceやAdobeの自動化機能、顧客企業の自社チームからも来る。大手の同一狭義市場でのシェアは未開示であり、売上規模を使ってそれらしく割り振ることはできない。10年間で紙DMの発送・制作件数は縮小し、制作や運用の人月単価は物価ほど上がらないと見る。対照的に、成果を確認できる継続顧客の分析設計には一部の価格上昇余地が残る。
資本政策と M&A
過去の資本配分を見れば、事業の伸びより内部留保を優先してきた。2018年2月期の配当を最後に実質的な長期無配が続き、2027年2月期の配当予想もゼロである。中期経営計画「Rising2028」はストック収益の拡大、契約と価格体系の見直し、生産性改善を掲げるが、売上高・営業利益・ROE・配当性向・DOE・自社株買い額の対外的な数値の約束は確認できない。調査会社が最終年度のストック比率50%以上という経営方針を伝えるものの、会社の公開計画における監査可能な売上・利益目標とは区別する。
2023年にはTOPPANとの資本業務提携を行い、調和技研、WizWe、あるやうむなど小規模企業にも投資した。販路や知見の補完は期待できるが、投資有価証券の換金実績や増分投資収益率は未確認だ。2026年2月期末の純現金は約1.5億円、直近の2027年中間期末では約3.0億円へ増えた。ただし受託会社の運転資金、借入返済、未払税金に備えるため全額を余剰とは扱わない。
株主上位10名で73.88%を保有し、増配も自社株買いも長く見られない。余剰現金が株主に戻る評価割合は50%とする。株主優待は保有株数に応じてデジタルギフトを給付しており、株主約965名と一件約千〜二千円から年間約0.014億円を概算した。10年の還元額には優待相当分を入れ、上振れ二案だけは将来の限定的な配当再開を仮定した。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
2027年中間期は、制作や分析の数量が伸びても稼働時間はほとんど増えず、営業利益は前年の赤字から1億円を超える黒字に転じた。外注費の見直しとAIによる販管費の削減が利益に直接効いたためで、単なる受注拡大だけではない。これは従来の工数課金を成果と問題解決の対価へ移す第一歩かもしれない。全日本DM大賞での19年連続受賞は売り込みに役立ち、大手との長期取引にも裏付けがある。TOPPANとの協業、金融・BtoBの新規案件、POSの月額運用を束ねれば、職人的な制作会社から継続契約型パートナーへ進める余地がある。価格改定の実績が重なり、利益が大幅に増えても必要な設備投資が小さいなら、投資後の追加利回りは高くなる。将来の配当再開や販路拡張で少数株主への回収も改善する可能性がある。
ただしこれはAIを自社で外販して売上を膨らませる前提ではなく、同じ案件を安く処理することで利益を残す筋書きだ。案件数を現在より増やさずに採算だけを高めることも可能であり、2027年中間の試験結果はその可能性を示した。実際、2026年に経営陣はコンサルティング単独の受託から、企業の業務成果を測れる契約へ進もうとしている。契約条件を実際に変えられたかは今後の数字で確認すべきだが、料金改革ができれば受託工数の減少とオーナー利益の増加は両立しうる。
慎重な見方
制作と分析で売上の過半を占めることが最大の弱点である。顧客企業はCRM分析、広告画像制作、配信設定、ECの作業手順をAIエージェントに直接頼めるようになる。以前は複数社に外注していた複雑な案件ほど、ソフトが工程を横断する利点が大きい。国内のデジタル広告費が増えても、外注人月や制作費に同じ率で増収が回る保証はない。顧客が原データを保有するため、POSを「法規制に守られた記録の正本」と呼ぶ証拠も足りない。
これまでのROEは変動が大きく、2019年には大きな損失、2025年には赤字を経験した。2026年2月期の営業利益率はわずか1%程度だった。その半年後の高収益を十年間続く既得権益と考えるには、契約更新率、固定料金の推移、解約率、サービス別粗利益の公開が足りない。上位株主が資本の大半を持ち、長く無配である以上、現金を額面で還元されると期待することも難しい。AIの価格競争と還元の乏しさを同時に負う少数株主は、高い値段で未知の成果を先払いすることになる。さらに小規模上場会社の売買量は厚くなく、大株主が売らない間に経営権の市場が機能してくれると期待することもできない。流動性は本質価値の算定倍率に重ねて罰しないが、出口を選びにくい投資家ほど慎重な安全域が必要になる。
どちらに重みを置いたか
中立の収入構成にAI代替を一度だけ反映し、同じ理由を資本コストの寿命項目や確率で重ねて控除していない。やや悲観・悲観の計41%は、受注集中、利益率の振れ、長期無配という会社固有の追加リスクによる。2027年中間期の採算改善は上振れ二案に反映したが、開示されたストック契約比率や価格改定の実績はまだ不足する。予測の確からしさと少数株主の回収可能性では慎重な見方が上回る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 367 円5 億円(+ 還元の換算額還元の合計 19 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 179 円3 億円、今との差 −64.7%、 期待の年率 −2.7%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 941 円14 億円 | 62 円1 億円 | +98.3% | +7.4% | 120 円2 億円 |
| やや楽観 | 18% | 627 円9 億円 | 31 円0 億円 | +30.0% | +2.7% | 118 円2 億円 |
| 中立 | 29% | 280 円4 億円 | 10 円0 億円 | −42.8% | −5.5% | 84 円1 億円 |
| やや悲観 | 27% | 150 円2 億円 | 8 円0 億円 | −68.9% | −11.2% | 42 円1 億円 |
| 悲観 | 14% | 139 円2 億円 | 5 円0 億円 | −71.6% | −12.0% | 20 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 367 円5 億円 | 19 円0 億円 | −23.8% | −2.7% | 385 円6 億円 |
今の株価時価総額 506 円7 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 12% 人材の価値を成果契約へ移せる 利益 1 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 941 円14 億円
全日本DM大賞の連続受賞や複数年取引を背景に、大口顧客は施策の成否まで責任を負う同社への発注を維持する。AIは社内の制作・分析の生産性を引き上げるが、AIエージェントそのものの外販実績は金額開示がないため、受託件数の拡大を理由には使わない。金融業界の案件が継続し、TOPPANとの協業でも利益率の高い案件を積み重ねる。
価格は専門工数の付加価値化で物価相当の範囲にとどめ、制作手数料は増やさない。需要数量は現在以下のままでも、2027年中間期に見られた粗利益率上昇と販管費削減が恒常化すれば、営業利益率は高くなる。投資先の小規模な株式に過大な売却益を見込まず、2030年前後から黒字の範囲で配当を再開し、現金の還元規律が徐々に改善する。
- CRM戦略・顧客データ分析:数量 220(専門人月換算)× 価格 0.02(一人月当たり受託収入(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替:人月型。実質稼働は現在220人月比で1.0倍、単価は1.34倍。
- DM・販促クリエイティブ:数量 115(キャンペーン件数換算)× 価格 0.05(一案件当たり制作・印刷等を含む受託収入(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替:広告制作・運用型。実質施策数は115件比1.0倍、制作等の契約単価は1倍。
- 顧客データ基盤構築・運用BPO:数量 125(業務稼働人月換算)× 価格 0.02(一人月当たり受託・運用収入(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:受託・BPO型。稼働人月は125人月比1.0倍、単価は1.3倍。
- POSデータ開示・MDパートナー:数量 24.0(有償契約年換算)× 価格 0.08(一契約一年当たり開発・月額運用収入(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:席課金・操作基盤型に準じる。継続契約年は24件比1.0倍、年契約単価は1.15倍。
- ECチャネル運営受託:数量 18.0(顧客企業の契約年換算)× 価格 0.12(一契約一年当たり運営受託収入(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:EC運営BPO型。契約年は18件比1.0倍、単価は1.32倍。
- 研修・セミナー:数量 8.0(有償研修開催換算)× 価格 0.01(一開催当たり受託収入(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:研修型。研修の開催換算件数は8件比1.0倍。
倍率:AIエージェント代替を10年後以降も織り込んだ名目成長率g_long=0%。資本コストk=8.25%、弱い堀による残存比率1/3である。実効長期g=0%では正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=1/k=12.1212倍となる。10年末の全社純利益から余剰現金1.0億円の税後受取利息0.014億円を一度除いて、このPERを掛ける。余剰現金は大株主集中と長期無配により戻り方50%、すなわち0.5億円だけ別途加算する。市場の過去PERは用いていない。10年間の累積純利益6.2億円から累積還元0.9億円を引いて自己資本8.894億円とした。末年余剰現金を明示し、留保利益を余剰現金として二重加算しない。
確率:広告制作の実質件数は今と同じ水準を上限とし、AIの生産性上昇が値下げを補う最良ケース。2027年中間期の改善が長く続き、将来の一部配当も回復する可能性はあるが、AIエージェントの外販売上の金額証拠はない。
やや楽観 18% 業務改革の成果が続く 利益 1 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 627 円9 億円
AIによる分析・制作の省力化が競争で顧客へ一部還元されるが、同社はCRM戦略と実行をまとめて請ける立場を維持する。従来より少ない専門人月と制作件数で案件を処理する一方、LTV改善など測定できる成果を軸に単価の低下を抑える。受注集中の改善、制作外注の選別、運用契約の継続が粗利益を押し上げる。
BtoB金融・ITサービス向け比率は高まり、全日本DM大賞の受賞実績が顧客獲得の信用として働く。MDパートナーの継続課金は競争に晒されながらも維持され、TOPPANとの協業は大規模買収なしで販路を補完する。配当は後半に小規模に戻るが、AIエージェントの販売売上を新規の成長源として仮定しない。継続案件の納品品質を保ちつつ社内でAIの作業効率を競い、追加の成長投資を抑えることが株主利益につながる。
- CRM戦略・顧客データ分析:数量 195(専門人月換算)× 価格 0.02(一人月当たり受託収入(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:人月型。実質稼働は現在220人月比で0.89倍、単価は1.29倍。
- DM・販促クリエイティブ:数量 104(キャンペーン件数換算)× 価格 0.05(一案件当たり制作・印刷等を含む受託収入(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:広告制作・運用型。実質施策数は115件比0.9倍、制作等の契約単価は0.985倍。
- 顧客データ基盤構築・運用BPO:数量 108(業務稼働人月換算)× 価格 0.02(一人月当たり受託・運用収入(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:受託・BPO型。稼働人月は125人月比0.86倍、単価は1.29倍。
- POSデータ開示・MDパートナー:数量 22.0(有償契約年換算)× 価格 0.08(一契約一年当たり開発・月額運用収入(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:席課金・操作基盤型に準じる。継続契約年は24件比0.92倍、年契約単価は1.15倍。
- ECチャネル運営受託:数量 16.0(顧客企業の契約年換算)× 価格 0.11(一契約一年当たり運営受託収入(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:EC運営BPO型。契約年は18件比0.89倍、単価は1.28倍。
- 研修・セミナー:数量 7.0(有償研修開催換算)× 価格 0.01(一開催当たり受託収入(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:研修型。研修の開催換算件数は8件比0.88倍。
倍率:長期名目成長g_long=0%、資本コストk=8.25%とし、正当化PER=1/k=12.1212倍。事業の資本利益率が資本コストを超える場合も、新規投資の超過利益は永続せず、2036年以降の実質拡大は仮定しない。全社純利益0.7174億円から余剰現金利息0.014億円を控除して事業利益を測り、余剰現金1.0億円の50%を別途加える。10年の累積純利益4.2億円、累積還元0.45億円、期末自己資本7.344億円であり、留保と余剰現金を二重に足さない。
確率:DMの受賞実績、5年以上の顧客取引、2027年中間期に確認した工数増加なき増収がある。だが10年の継続は未確認で、業務の自動化が契約単価を下げる可能性も大きいため、上振れの確率は限定する。
中立 29% 継続顧客は残るが工数が減る 利益 0 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 280 円4 億円
国内のCRM・EC市場は名目では広がるが、顧客企業がAIエージェントを使って分析、販促案作成、配信設定、集計まで直接こなす。広告制作の案件と人月受託は実質で縮み、紙DMの外注制作費を含む案件単価にも下げ圧力がかかる。人手の介在が必要な設計、顧客との合意形成、印刷施策の現場運営は残るため、売上は消滅しない。
POSデータ開示の継続運用は分析制作より粘り強いが、画面操作の価値はAIに代替される。2027年中間期の営業利益急増は重大な改善の兆候として織り込む一方、会社が年間利益予想を据え置いたことから、その半年を二倍して10年間の平常利益とはしない。増分ROEが資本コストを下回る状態が続き、優待以外の株主還元は再開しない。
- CRM戦略・顧客データ分析:数量 158(専門人月換算)× 価格 0.02(一人月当たり受託収入(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:人月型。実質稼働は現在220人月比で0.72倍、単価は1.25倍。
- DM・販促クリエイティブ:数量 83.0(キャンペーン件数換算)× 価格 0.05(一案件当たり制作・印刷等を含む受託収入(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:広告制作・運用型。実質施策数は115件比0.72倍、制作等の契約単価は0.95倍。
- 顧客データ基盤構築・運用BPO:数量 90.0(業務稼働人月換算)× 価格 0.02(一人月当たり受託・運用収入(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:受託・BPO型。稼働人月は125人月比0.72倍、単価は1.25倍。
- POSデータ開示・MDパートナー:数量 20.0(有償契約年換算)× 価格 0.08(一契約一年当たり開発・月額運用収入(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:席課金・操作基盤型に準じる。継続契約年は24件比0.83倍、年契約単価は1.12倍。
- ECチャネル運営受託:数量 13.0(顧客企業の契約年換算)× 価格 0.11(一契約一年当たり運営受託収入(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:EC運営BPO型。契約年は18件比0.72倍、単価は1.19倍。
- 研修・セミナー:数量 6.0(有償研修開催換算)× 価格 0.01(一開催当たり受託収入(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:研修型。研修の開催換算件数は8件比0.75倍。
倍率:10年後のROEは純利益0.3052億円÷自己資本6.454億円で約4.73%、資本コスト8.25%を下回る。2036年以降の持続成長g_longは0%なので、利益を伸ばす再投資の価値を足さず、PERの上限1/k=12.1212倍を採用する。現金利息0.014億円を除いた純利益にPERを掛け、余剰現金1.0億円の戻り方50%を加える。10年の累積純利益3.0億円から還元0.14億円を引き、自己資本を3.594億円から6.454億円へ積んだ。
確率:会社の単一セグメント開示をサービス収入に分解し、業務自動化で専門人月と制作案件が約3割減ることを中心像とする。新たな独自プラットフォームの収入や、営業利益の恒常的な二桁成長は確認できない。
やや悲観 27% 内製化に案件を奪われる 利益 0 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 150 円2 億円
生成AIを組み込んだSalesforce、Adobe、国内の広告運用基盤や顧客企業の内製チームに対し、分析・制作・事務局の契約更新で劣勢になる。長年の制作実績だけでは従来の受託単価を保てず、紙DMも発送件数減少と単価交渉が重なる。顧客データの移行を伴うPOS運用は残るが、解約率や規制上の移行障壁の数値がないため、永続的な独占収益とは扱わない。
受注が減っても北海道・東京の人員と品質管理には一定の費用が残る。社内のAI利用で採算悪化を部分的に吸収するものの、零細規模ゆえに採用・案件獲得の変動が大きい。配当は出せず株主優待の継続も縮小される。純現金の一部と処分可能な資産が下値を支えるが、少数株主が清算を命じることはできない。
- CRM戦略・顧客データ分析:数量 135(専門人月換算)× 価格 0.02(一人月当たり受託収入(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:人月型。実質稼働は現在220人月比で0.61倍、単価は1.18倍。
- DM・販促クリエイティブ:数量 65.0(キャンペーン件数換算)× 価格 0.05(一案件当たり制作・印刷等を含む受託収入(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:広告制作・運用型。実質施策数は115件比0.57倍、制作等の契約単価は0.88倍。
- 顧客データ基盤構築・運用BPO:数量 75.0(業務稼働人月換算)× 価格 0.02(一人月当たり受託・運用収入(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:受託・BPO型。稼働人月は125人月比0.60倍、単価は1.16倍。
- POSデータ開示・MDパートナー:数量 17.0(有償契約年換算)× 価格 0.08(一契約一年当たり開発・月額運用収入(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:席課金・操作基盤型に準じる。継続契約年は24件比0.71倍、年契約単価は1.05倍。
- ECチャネル運営受託:数量 11.0(顧客企業の契約年換算)× 価格 0.10(一契約一年当たり運営受託収入(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:EC運営BPO型。契約年は18件比0.61倍、単価は1.13倍。
- 研修・セミナー:数量 5.0(有償研修開催換算)× 価格 0.01(一開催当たり受託収入(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:研修型。研修の開催換算件数は8件比0.62倍。
倍率:悲観側は10年間で増やす自己資本5.784億円へ床のPBRを掛けない。2026年2月期の株主資本3.594億円を固定した評価用の分母として0.60倍、会社終価2.1564億円。これは余剰現金の悲観側0.75億円に戻り方50%を掛けて0.375億円を足した、事業純利益0.1658億円のPER上限約2.257億円以下であり、現金・売却可能資産の床2.0億円以上でもある。中立の実効PBR約0.62倍より低い。10年累積純利益2.3億円から還元0.11億円を引き期末自己資本は5.784億円。株価や過去の谷のPBRは根拠にしていない。
確率:小売やIT顧客が内製化し、主力の制作収入40.1%が縮む。2025年2月期には最終赤字となり、同じ程度の売上高でも費用の出方で業績が振れることから、契約終了が重なる場合の損失を無視できない。
悲観 14% 制作受託モデルが構造的に崩れる 利益 0 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 139 円2 億円
広告の運用や施策設計が顧客企業のAIエージェントの標準機能となり、制作・分析の人手を外部に発注する必然性が薄れる。最大収益源だったクリエイティブは数量と手数料の両面で打撃を受け、顧客企業の大型契約終了が小さな会社の固定費を直撃する。受託人員を大幅に縮小するため、サービスの横断提供力も弱まり、受賞歴だけでは新規契約を補えない。
POS運用も競合基盤への移行や標準APIの普及で契約を失い、単年度の営業利益は赤字となる。買収による救済や外部増資を基本計画には含めず、それ以前に積んだ手元資金と処分可能な資産で事業を縮小する。事業の赤字に高い収益倍率を掛けず、税や運転資金を控除した資産の床で株式価値を扱う。
- CRM戦略・顧客データ分析:数量 110(専門人月換算)× 価格 0.02(一人月当たり受託収入(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:人月型。実質稼働は現在220人月比で0.50倍、単価は1.03倍。
- DM・販促クリエイティブ:数量 44.0(キャンペーン件数換算)× 価格 0.04(一案件当たり制作・印刷等を含む受託収入(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:広告制作・運用型。実質施策数は115件比0.38倍、制作等の契約単価は0.70倍。
- 顧客データ基盤構築・運用BPO:数量 55.0(業務稼働人月換算)× 価格 0.02(一人月当たり受託・運用収入(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:受託・BPO型。稼働人月は125人月比0.44倍、単価は1.00倍。
- POSデータ開示・MDパートナー:数量 12.0(有償契約年換算)× 価格 0.06(一契約一年当たり開発・月額運用収入(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:席課金・操作基盤型に準じる。継続契約年は24件比0.50倍、年契約単価は0.87倍。
- ECチャネル運営受託:数量 7.0(顧客企業の契約年換算)× 価格 0.09(一契約一年当たり運営受託収入(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:EC運営BPO型。契約年は18件比0.39倍、単価は1.00倍。
- 研修・セミナー:数量 3.0(有償研修開催換算)× 価格 0.01(一開催当たり受託収入(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:研修型。研修の開催換算件数は8件比0.38倍。
倍率:持続赤字のため収益の永続価値は正と見込まない。今の株主資本3.594億円を評価用分母として時価総額2.0億円に対応するPBR約0.5565倍を示すだけであり、2036年の自己資本4.024億円に掛けていない。2026年8月末の現預金4.360億円から総有利子負債約1.367億円、不可欠な運転資金約1.0億円を除いた売却・回収可能額の丸め値2.0億円を床とする。非上場の投資先株やソフトウエアは売却価値に含めない。10年中の前半に獲得する黒字の合計と後半の赤字を通算した純利益累計0.5億円から還元0.07億円を引き、自己資本を4.024億円とした。
確率:同社の記録正本や規制に守られたソフト収入は証明されていない。主要顧客離脱、DM件数減、AI自動化が一緒に起きた場合を対象にする。ただし現金余力があるため今すぐ倒産する筋書きではない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
CRM戦略・顧客データ分析
顧客LTV分析とCRM戦略を受託し、専門家の分析時間と問題解決力で収入を得る。顧客の購買データ自体は原則として顧客企業が保有する。
| 数量専門人月換算 | 価格一人月当たり受託収入(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 220 | 0.02 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 158 | 0.02 | 3 | 0 |
取り方:2026/02期のCRM支援77.3%の内訳のうちコンサルティング6.6%、アナリティクス17.4%を合算して3.577億円。会社は工数・案件数・平均単価を公表していないので、77人規模の受託会社として年間220専門人月を便宜的な数量とした逆算推計であり、実測ではない。単価約163万円/人月。2025年の国内デジタルマーケティング市場4,201億円はMA/CRM/CDP製品主体で対象市場が異なり、真のシェアは算定不可。受託分析はAI代替の人月型。営業利益はサービス別非開示のため、全社利益への橋渡しをするための仮配賦であり開示実績ではない。
DM・販促クリエイティブ
紙のダイレクトメールとデジタル施策の企画、デザイン、外注制作を束ねて販促案件を受託する。費用には印刷・発送手配が混じる。
| 数量キャンペーン件数換算 | 価格一案件当たり制作・印刷等を含む受託収入(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 115 | 0.05 | 6 | 0 |
| 10 年後 中立 | 83.0 | 0.05 | 4 | 0 |
取り方:2026/02期のサービス別クリエイティブ構成40.1%より約5.977億円。手掛けた制作・販促施策の件数は非開示につき年間115キャンペーン、1件約520万円で外注印刷等を含む分析上の換算とした。2025年DM広告費2,708億円に全収入を仮に当てた比率は0.22%だが、デジタル制作を含み口径不一致のため確定シェアではない。ネット広告制作費4,922億円も別の隣接市場。AI代替の広告制作・運用型。営業利益はサービス別非開示のため仮配賦であり開示実績ではない。
顧客データ基盤構築・運用BPO
CRM基盤の構築、ツール導入、分析環境とマーケティング運用の代行を担う。自社製品の独占課金とは異なる。
| 数量業務稼働人月換算 | 価格一人月当たり受託・運用収入(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 125 | 0.02 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 90.0 | 0.02 | 2 | 0 |
取り方:2026/02期のテクノロジー4.5%とオペレーション8.7%を合算した1.967億円。追加開発・ツール導入・人手での運用が混在し、契約数と料金は公表なし。125人月×約157万円の稼働換算は推計。顧客管理の記録正本を同社が独占する証拠はなく、人月BPO・受託型とする。市場競合はトランスコスモス、電通デジタル等で、対象サービスだけの公表シェアはない。営業利益はサービス別非開示のため仮配賦であり開示実績ではない。
POSデータ開示・MDパートナー
小売企業のPOS情報を取引先に開示するMDパートナー関連システムと月額運用、追加開発を提供する。継続的な料金が含まれる。
| 数量有償契約年換算 | 価格一契約一年当たり開発・月額運用収入(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 24.0 | 0.07 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 20.0 | 0.08 | 2 | 0 |
取り方:2026/02期のPOSデータ開示11.7%に対応する約1.744億円。追加開発および月額運用収入があることは会社開示で確認したが、契約社数・ARR・解約率・平均単価は非開示。24社年×約727万円/年、月約61万円相当は分析用の数量と単価。外部のPOS処理・小売向け分析市場と厳密に一致する統計はなく市場シェア不明。小売顧客が元のPOSデータを持つため、解約率等の証拠が二つ揃う「記録の正本」とはせず、操作画面・運用型とする。営業利益は仮配賦であり開示実績ではない。
ECチャネル運営受託
顧客企業のECサイトやチャネルを運営する役務。売るのはEC流通額そのものではなく、受託運営サービスである。
| 数量顧客企業の契約年換算 | 価格一契約一年当たり運営受託収入(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 18.0 | 0.09 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 13.0 | 0.11 | 1 | 0 |
取り方:2026/02期のEC運営10.7%に対応する約1.595億円。契約社数非開示のため18社年×約886万円を仮定する。2025年国内BtoC-EC取引市場約27.6兆円は商品流通額であり、同社のEC運営代行手数料市場の分母ではない。利用者数をEC流通額で増やさない。店舗や顧客企業が契約を内製化できる人月BPO型とする。営業利益はサービス別非開示のため仮配賦であり開示実績ではない。
研修・セミナー
マーケティング研修、セミナー等の小規模な学習支援。過去のeラーニング商品の一部は販売終了した。
| 数量有償研修開催換算 | 価格一開催当たり受託収入(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 8.0 | 0.01 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 6.0 | 0.01 | 0 | 0 |
取り方:2026/02期の教育支援0.3%から約0.045億円。講座と単価は非開示なので研修8回×約56万円を便宜的に復元した。従来のDMA認定eラーニング販売は2025年6月に終了し、主に企業研修・セミナーの役務提供。受講者数や教材ライセンスの継続契約は確認できないため人月・研修型。営業利益はサービス別非開示のため仮配賦であり開示実績ではない。
リスクと懸念
AIエージェント代替
分析、広告制作、配信設定、EC運営、BPOまで、顧客企業がAIエージェントへ直接依頼できる範囲が広がる。制作・人月・席の受託を中心に売上の大部分が数量減少と手数料低下を受けうる。長期名目成長0%の中立でもなお下振れ余地が残る。顧客が保有する購買原票と配信プラットフォームの接続が標準化すれば、その移行費も縮小する。
半年だけの高収益を過信
2027年中間期には売上9.04億円で営業利益1.23億円を計上した一方、通期の営業利益予想は0.33億円に据え置かれた。下期の費用増、検収時期や案件終了が明確になるまで、半年の利益を2倍して年間稼ぐ力とみなすと本質価値を大きく誤る。予定通りの通期利益達成には下期の損失が暗黙に含まれるため、粗利益と経費の季節差を再確認する。
顧客・業種集中と契約更新
2027年中間期は小売が売上37%、ITサービスが22%、金融が13.9%を占め、少数の大型案件の増減が全社業績に波及する。2025年のコンサルティング契約の終了のように、関係が長くても一件の契約変更で売上が減る可能性がある。プロジェクト数が少ないことから、一件の減収を他案件で平準化するまでに複数期かかり得る。
記録の正本ではないPOS運用
MDパートナーの継続運用は比較的粘るが、原POSデータの所有権、契約解約率、プラットフォーム移行の必要年数は公表されていない。取引先のシステム更改と標準APIの普及が重なれば、業界固有の高い切り替え費用を前提にした価値を維持できない。継続課金だから安全と即断せず、実際の更新数と顧客ごとの収益率を年次で照合する必要がある。
株主への現金の戻りにくさ
上位株主が73.88%を持ち、配当は2019年から実質ゼロである。業績好転でも少数株主が資本政策を決められず、収益率が資本コストに届かない投資や小規模な未上場株式への再投資が重なると、帳簿上の現金と株主が実際に回収できる価値は乖離する。優待は少額であるため、株主価値を大きく左右するのはあくまで大口の現金配分判断となる。
制作物と個人情報の品質管理
DMの印刷資材・郵便料金上昇、誤送付や顧客データの情報漏洩は、クリエイティブに対する信頼を直接損なう。プライバシーマークやISMSなどの管理体制は保険になるが、過去の受賞歴だけで損失や顧客離脱を防げるわけではない。事故が生じれば受託停止と損害賠償を招き、人件費比率の高い収益をさらに圧迫しかねない。
今後の分かれ目
- 2027年2月期通期決算でも中間期の改善が続き、営業利益が0.8億円以上を維持したら
- 単発案件ではないとの確信が強まる。人員時間と売上総利益率を突き合わせ、楽観・やや楽観の生産性前提を上げ、中立の利益率も再評価する。
- 会社が大口顧客の契約継続率、ストック売上比率、値上げ改定率を定量開示したら
- 毎年の解約が少なく、5年以上の契約で値上げが持続するなら、POS運用や成果型CRM支援を他の人月受託から切り離し、堀とg_longを部分別に見直す。
- DM制作の売上構成と粗利が縮み、制作単価の引き下げが続いたら
- 人月・広告制作の数量と価格の双方を引き下げ、やや悲観の比重を増やす。EC市場の名目成長では補填しない。
- 現金を原資に継続増配かまとまった自社株買いを始め、発行株数が5%以上減ったら
- 現金の戻り方を50%から100%へ改める余地がある。買い戻し価格と事業への必要運転資金も確認し、単なる発表ではなく実行を評価する。
- 顧客企業がPOSデータの移行を短期間で完了できるようになり月額運用が減少したら
- POS運用の契約年換算数量と年単価を引き下げる。記録の正本に近い保護があるという上振れの可能性をさらに低くする。
- 買収・出資先の処分損や情報漏洩が発生して営業キャッシュフローが悪化したら
- 非上場出資の換金価値を床へ足さず、将来の運転資金需要を再見積もる。倒産リスクが現れれば悲観の資産下限自体も更新する。
見ておくもの
- 2027年2月期通期の営業利益と2027年中間営業利益1.23億円の差、下期の採算
- 営業総稼働時間当たり売上、外注原価率、粗利益率、販管費比率
- 契約更新率、Rising2028におけるストック型収益比率と受託料金の改定率
- クリエイティブ、アナリティクス、POS運用それぞれの年度別売上構成
- 大株主上位10名の比率、配当・自社株買い実績、株主優待総コスト
- 現預金−総借入金、営業CFと売掛金・未払税の季節差
倍率と資本コストの決め方
現在株価557円、発行済み1,440,600株から時価総額8.024億円となるが、この金額は事業の数量・単価やPERの決定に使っていない。2026年年次のサービス別実績に基づき、人月や案件数を実質数量として数量減少を計算し、物価3%の効果は個別契約価格だけへ割り当てた。数量や単価が非開示の領域では、サービス別売上を保ったまま推定件数と推定単価に分解しており、実測値と区別する。サービス別の営業利益も非開示で、2026年2月期の仮配賦合計と実際の営業利益0.173億円の差は本社・共通費を含む調整約−0.333億円に相当する。AIエージェント代替は2036年までの数量・価格と2036年以降の名目g=0%に反映し、資本コストのlifeや確率では重複させない。10年の楽観~中立のPERはg0%、k8.25%から12.1212倍で、現行株価のPERや同業倍率を参照しない。やや悲観と悲観のPBRは2026年2月の自己資本3.594億円を固定分母とし、事業収益の上限と直近現金から引いた床2.0億円の範囲に収めた。各筋書きの累積利益と将来配当・優待を引いた自己資本の終価は検算済み。5筋書きの確率加重時価総額5.282億円、10年還元0.269億円を8.25%で割り戻すと2.572億円で、今の時価総額との差は約−68%である。将来余剰現金は運転資金・再投資先を確認できないため筋書きごとに明示し、同じ留保利益を自動的に余剰現金として二重に足さない。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に循環0.5%、競争価格0.5%、財務の純現金−0.25%、寿命0%を加えた8.25%。会社固有の資本配分・顧客集中は数量・利益・確率で扱い、規模や株価βでは上乗せしない。