結論
うるるは、官公庁の入札情報を集めるNJSSを中心に、電話受付代行、保育施設向け写真販売、事務処理の外部受託を営む会社である。筆者の結論は「割高」だ。NJSSの独自データには価値があるが、AIエージェントが人の代わりに情報を探し、電話を受け、書類を処理する10年後には、今と同じ収益構造を維持できるとは限らない。
事業の良さを否定するつもりはない。NJSSは全国約9,000機関の入札情報を収集し、過去の落札情報も大量に蓄積している。2026年3月期には契約更新時の単価引き上げも進み、利益率の高い収益源になった。会社全体の売上高は過去10年で大きく伸び、直近は営業黒字と純現金を確保している。
ただし、売上の大半は情報検索、画面を使う業務ソフト、人が実行する事務という、AIの代替が直接届く領域にある。NJSSの月次解約率は1.42%であり、記録の移行に何年もかかる業務基幹システムほど顧客を固定できているわけではない。写真事業には現場で撮影する身体的な仕事が残るが、今は利益を大きく生む柱ではない。
会社は2030年3月期から2032年3月期に売上高200億円、EBITDA30~40億円を目指す。しかし、その達成には新しい売り物の成功と買収が必要であり、既存の人手依存事業の延長から確実に導ける数字ではない。10年後の中立では営業利益が今を下回り、現時点の適正時価総額は約42億円、現在の約128億円に対して約67%低い。成長目標が実現する余地は残しつつ、まだ立証されていない成長に高い値を払わない判断である。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主として最初に問うのは、10年後にも顧客が何にお金を払っているかである。NJSSの場合、顧客が欲しいのは検索画面ではなく、自社が落札できる案件を漏らさず見つけることだ。発注者が公開する情報を正しく集め、落札履歴と結び付ける機能は残りうる。だが、顧客がAIに仕事を指示するだけで済むなら、その価値をNJSSが今と同じ料金で回収できるとは限らない。
優れた事業なら、利益を再投資するたびに資本コストを上回る収益が増え、年月とともに堀が広がる。NJSSにはデータが蓄積されるほど有利になる面があるが、fondeskとBPOは人手を節約する技術の進歩によって売り物が変わる。えんフォトの写真撮影には現場に人が行く必要が残るものの、園の数と子どもの数が減る国内市場で、どこまで単価を上げられるかは未知数だ。
オーナー利益を見る際にも注意が要る。2026年3月期の営業利益は約9億円だが、開発投資、マーケティング、人員増強、買収後の統合には継続して資金が必要となる。売上の伸びが止まれば費用だけが残ることもある。純現金が厚いから安心だと考えるのではなく、顧客から受け取った前受金、固定的な賃借料、次の事業に必要な資金を先に控除する。
経営の資本配分では、累進配当と自社株買いを始めたことを評価する。ただし、買収した会社が資本コスト以上を稼ぐかどうかが、配当を増やすこと以上に長期の価値を左右する。200億円の売上目標を追うために低収益の売上を買い足すなら、株主は規模の拡大から利益を得られない。むしろ既存の独自データを守り、採算の悪い仕事を縮め、余った資金を返す方が価値を高める場合がある。
この会社を理解するうえで最も難しいのは、AIの進化によって顧客の仕事の手順そのものが変わることである。予測しにくい事業には高い倍率を払わないという原則を優先する。魅力的なデータ資産を持つことと、現在の時価総額で長く持ちたいことは同じではない。
何で稼ぐ会社か
収益の核はNJSSだ。官公庁や自治体が別々の形式で公開する入札公告、落札結果、発注機関の情報を集約し、民間企業の営業担当者に月額・年額契約で提供する。2026年3月期の売上高は37.3億円で全社の約48%を占める。NJSSの有料契約は7,295件、周辺サービスのnSearchは839件で、入札案件を見つけるだけでなく、競合調査や参加準備を支援する方向へ広げている。
fondeskは企業にかかってきた電話をクラウドワーカーが受け、内容をチャットなどで知らせるサービスだ。契約は6,224件、売上高は11.2億円である。顧客は受付担当者を雇わずに済むが、その機能そのものが音声認識やAI応答に置き換わりやすい。自社でも自動応答のfondesk IVRを提供しており、既存収益を守りながら安価な新サービスへ移る難しさを抱える。
写真事業は、保育園・幼稚園向けの「えんフォト」、出張撮影のOurPhoto、買収した横浜綜合写真による学校写真などから成る。えんフォトの契約は5,506園で、撮影、写真販売、アルバム制作に関わる現場の仕事が残る。売上高は11.0億円に達したものの、開発や人員への投資が先行し、セグメント営業損益はまだ赤字である。
BPO事業はデータ入力、スキャン、書類処理などを請け負い、売上高17.3億円、営業利益2.3億円を稼ぐ。NJSSと組み合わせた入札BPOや、顧客業務を継続して引き受けるBPaaSへの転換を進めている。小規模なCGSその他事業とクラウドソーシングのシュフティも残るが、いずれも現状では赤字で、全社の価値を左右する主役ではない。
事業の共通項は、人が集め、人が読み、人が作業していた情報を仕組みにすることである。これまでは労働力不足が追い風だった。今後は顧客自身がAIで同じ仕事を安くこなせる可能性があり、サービスの提供方法ではなく、顧客が何に対価を払うのかが変わっていく。
優良さと弱いところ
最も評価できる資産はNJSSの入札データベースである。全国の発注機関は公告形式も掲載場所もばらばらで、クローラーによる自動取得だけでは取りこぼす。NJSSは人による確認も組み合わせ、長年の落札履歴や企業情報を蓄積してきた。これは新規参入企業が短期間に複製しにくい強みであり、単純な検索画面より価値がある。
値上げの証拠もある。2026年3月期には契約獲得・更新時の単価を引き上げ、NJSSの日割り顧客単価は前期末から上昇した。一方、月次解約率の12か月平均は1.42%で、年間に直せば単純計算で約16%の解約に相当する。低解約率、年単位の移行負担、規制対応による継続的な値上げという複数の証拠はそろっていないため、NJSSを顧客の記録の正本を握る強い独占的基盤とは判定しない。
全社の資本効率も見かけほど単純ではない。直近のROEは約20%だが、過去には先行投資による赤字の年が複数あり、10年のROE中央値は13%程度にとどまる。NJSS単独では高収益でも、本社費用、写真事業、新規サービスへの投資を負担した後の利益は大きく減る。新しい投資による増分利益率が十分に開示されていない以上、高い増分ROICが続くと断言できない。
財務面では約40億円の純現金が支えになる。ただし、年額契約の前受金など顧客に対する未履行の約束があり、全額を自由な余剰資金とは扱えない。会社の堀はNJSSのデータ収集力に偏り、他事業は競合や技術代替への防御が薄い。総合すると、優れた部分を持つが、会社全体を強い堀の企業として評価する段階にはない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
官公庁の入札という最終需要は10年後にも残る。公共工事、物品購入、清掃、警備、施設管理などは行政活動に必要であり、入札制度自体が急になくなる可能性は小さい。会社資料では入札市場の発注額を約28兆円、落札実績のある企業を約40万社、全省庁統一資格を持つ企業を約7万社としている。ただし28兆円は入札される商品や役務の金額であり、NJSSが獲得できる情報サービス売上の市場規模ではない。
狭い市場の目安として、約7万社に現在のNJSSの実効年額料金を掛けると、年間約350億円の情報契約機会になる。しかし、7万社とNJSS利用者が完全に対応しているわけではなく、入札に必要な情報を無料で得る企業も多い。したがって、これは厳密な市場規模でも競合比較上のシェアでもない。NJSSの契約7,295件は約7万社に対して約1割だが、入札王、官公需情報ポータル、民間の入札支援サービスのシェアは統一資料がなく、競合別の数値は確定できない。
NJSSの脅威は、入札需要の消滅ではなく、その情報を届ける方法の変化だ。AIエージェントが官公庁のサイトを巡回し、公告を読み、必要な案件だけを顧客のシステムに直接渡せば、検索画面へのアクセス権の値段は下がる。他方、発注機関ごとの表記揺れを正し、過去の入札結果を正しく結び付けるデータ品質には引き続き価値がある。競争は画面の使いやすさから、データの正確さとAIが利用する基盤を誰が供給するかへ移る。
電話受付市場ではAI音声応答が人による一次受付を代替し、安価なIVRから高性能な会話型エージェントまで競合が広がる。BPO市場は矢野経済研究所によれば、2024年度の非IT系だけで約1兆9,566億円ある。うるるの売上はこの広い市場の約0.09%にすぎず、トランスコスモス、パソナ、ベルシステム24など大規模な競合が存在する。市場が大きいことと、小さな事業者の利益が増えることは別問題だ。
写真販売は全国の保育施設がおおむね4万施設という母数を持ち、えんフォトの契約5,506園は単純比較で約14%に相当する。ただし幼稚園と保育園の範囲が一致しないため、正式な市場シェアではない。はいチーズ!などの写真販売サービスと競いながら、少子化による撮影対象の減少を、導入園数と一園当たりの利用拡大で補う必要がある。
資本政策と M&A
経営陣は「ULURU Sustainable Growth」を掲げ、2030年3月期から2032年3月期に売上高200億円、EBITDA30~40億円を目指している。中長期では売上高とEBITDAの年平均20%以上の成長を掲げ、GovtechのARR100億円、BPO売上高50億円規模を方向性として示した。2027年3月期の会社予想は売上高91億円、EBITDA15.3億円、営業利益11.2億円、純利益7.8億円である。ROEやDOEについては数値による達成の約束は確認できない。
株主還元は配当性向15%以上を目安にした累進配当が基本だ。2024年3月期に配当を開始し、2026年5月には取得上限100万株、金額上限3.5億円の自己株式取得枠を設定した。還元姿勢は以前より改善したが、利益の半分以上を継続して返してきた会社ではない。中長期の利益配分はなお成長投資と買収に重心がある。
買収ではOurPhoto、ブレインフィード、横浜綜合写真などを傘下に加えた。既存顧客への追加販売、写真分野の拡張、BPOの業務ノウハウ獲得という筋は理解できる。しかし、写真事業は成長しても赤字であり、買収後の投下資本利益率が資本コストを明確に超えているとはまだ言えない。今後の買収が収益の穴埋めになるのか、独自データを持つ新しい稼ぎの柱になるのかは厳しく区別すべきだ。
株主構成は創業者側や大株主への集中度が高く、少数株主が現金の使い道を自由に決められるわけではない。一方、増配と自社株買いの実績があるため、余剰現金が永久に閉じ込められるとも考えない。株主に戻る価値は現金の帳簿額より慎重に扱い、買収の成功を基本価値へ先取りしない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
NJSSの競争力は検索画面ではなく、入札情報の網羅性と長年の履歴にある。全国約9,000機関の公告を集め、機械的な取得だけでなく人の確認を加えてきたため、データの品質には時間を掛けた会社だけが持つ価値がある。AIが普及すれば、むしろ正しい元データの需要が増える。案件の推薦、資料の要約、入札準備を一体化することで、単なる検索契約から調達業務全体の支援に広げられる可能性がある。
実際にNJSSは契約更新時の単価引き上げを進め、日割り顧客単価も上がっている。nSearchやGoSTEPを加えた複数サービスの販売が進めば、一社当たり収益はさらに増やせる。AIを使った商品を自社で提供する取り組みも始まっており、顧客を外部のAIに奪われる前に、AIが利用するデータと業務の基盤になれるかもしれない。
写真事業には別の強みがある。保育園や学校の行事では、適切な場所で安全に撮影する人の役割が残る。横浜綜合写真やOurPhotoとの連携が進み、えんフォトの導入園数が拡大すれば、利益率が改善する余地は大きい。小規模なサービスの赤字を止め、本社費用を売上の伸びより抑えれば、全社利益は今より増える。
資本配分にも改善が見られる。累進配当と自社株買いを始め、約40億円の純現金を保有している。これを高収益のデータ資産に投資し、買収先を既存サービスの顧客網に組み込めれば、会社が掲げる成長目標へ近づける。大きな財務危機なしに事業の転換を試せることは、競合に対する時間的な余裕になる。
慎重な見方
入札案件がなくならないことと、NJSSの検索契約がなくならないことは別である。AIエージェントは複数の自治体サイトにアクセスし、必要な情報を抽出し、営業担当者の代わりに案件を比較できる。最終的に価値が残るのは正確なデータかもしれないが、そのデータを有料で売る会社が現在のNJSSである保証はない。官公需情報ポータルのような公的な無料情報源もあり、顧客は価格を比較できる。
NJSSの月次解約率は1.42%であり、長期にわたって顧客が移れない基幹システムとは違う。今の値上げ実績も、10年先の実質価格を守れる証拠にはならない。fondeskではAI音声受付が人の一次応答を安く代替し、BPOではデータ入力やスキャン後の確認作業まで自動化が進む。自社がAIを導入して作業人数を減らしても、顧客に節約分を値下げとして要求されれば売上も減る。
会社の事業計画には買収や新規サービスの成功が織り込まれている。写真事業は成長しているがまだ赤字であり、CGSその他にも大きな赤字がある。現在のNJSSの高い利益率に、全社の研究開発や営業費用の増加が追いつけば、利益は小さくなる。売上高200億円という目標に到達したとしても、そこに資本コストを超える利益が残るかは別の検証が必要だ。
純現金の額にも注意が必要だ。サブスクリプションの前受金は将来サービスを提供する義務を伴い、賃借料や人員整理にも資金が要る。大株主への持株集中があるため、業績が落ちた際に残りの資産が少数株主へ速やかに戻るとも限らない。値上げ、契約増、買収成功を長く続く既得権と考えることが、最も危険な楽観である。
どちらに重みを置いたか
NJSSのデータ収集力と値上げ実績には説得力があり、写真事業の現場性も見逃せない。しかし、全社売上の約8割は情報検索、電話受付、事務受託などAIの影響を直接受ける領域である。自社のAI新製品による独立した売上や収益性がまだ十分に立証されていない以上、中立では既存契約と作業量の減少を見込む。楽観側33%に対し慎重側37%とわずかに下へ寄せたのは、AIリスクを確率でも重ねて過度に罰するためではない。写真事業の採算改善と買収効果の未確定性を反映した判断である。事業の転換が成功しても、現時点の時価総額には十分な安全域がない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 248 円68 億円(+ 還元の換算額還元の合計 50 円14 億円)。 今の値に割り戻すと 153 円42 億円、今との差 −67.6%、 期待の年率 −4.8%(資本コスト 7.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 667 円183 億円 | 113 円31 億円 | +65.7% | +5.7% | 94 円26 億円 |
| やや楽観 | 21% | 449 円123 億円 | 77 円21 億円 | +11.6% | +1.2% | 110 円30 億円 |
| 中立 | 30% | 196 円54 億円 | 51 円14 億円 | −47.5% | −6.8% | 74 円20 億円 |
| やや悲観 | 23% | 59 円16 億円 | 22 円6 億円 | −82.7% | −17.6% | 19 円5 億円 |
| 悲観 | 14% | 11 円3 億円 | 3 円1 億円 | −97.0% | −31.0% | 2 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 248 円68 億円 | 50 円14 億円 | −36.5% | −4.8% | 299 円82 億円 |
今の株価時価総額 471 円129 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 12% 独自データがAI時代の基盤となり、写真も黒字化する 利益 13 億円 · PER 13.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 667 円183 億円
NJSSは単なる入札公告の検索サイトから、競合分析や参加準備に必要な情報を供給する業務基盤へ進化する。AIが顧客の代わりに操作するようになっても、過去の落札履歴を整えたデータの品質が選ばれ、契約単価が上がる。AIによる既存検索席数の減少は避けられないため、既存の情報サービス契約件数自体は大幅には増やさず、付加機能とデータ利用の対価で成長する。
fondeskは人が応答する電話の減少を、自社の自動応答サービスへの移行で部分的に補う。BPOでも単純入力の工数は減るが、入札事務全体を任せたい顧客を獲得し、付加価値の高い請負が増える。えんフォトは学校写真やOurPhotoとの連携で撮影先を増やし、販売規模の拡大によって黒字が定着する。新規事業の赤字も解消する。
会社の中期目標に近づくにはさらに大きな買収と新規事業が必要だが、この筋書きでは大型の未確定買収益を先取りしない。累進配当と自社株買いを続けながら高い利益率を保てる場合でも、成長が永遠に続く会社とはみなさない。
- CGS事業 NJSS:数量 7,295(NJSS有料契約件数(期末件数を年間契約相当の数量代理とする))× 価格 0.01(NJSS有料契約1件当たりの年間セグメント売上高(億円、周辺サービスを含む実効単価))→ 売上 48 億円・営業利益 24 億円。契約相当数は現状維持、実効単価1.30倍。独自データと追加機能への対価で高収益を維持する。
- CGS事業 fondesk:数量 5,913(fondesk有料契約件数(期末件数))× 価格 0.00(有料契約1件当たり年間売上高(億円、超過通話料金とIVR等を含む換算値))→ 売上 14 億円・営業利益 3 億円。人手受付の契約量は0.95倍。自動応答への移行が成功し、価格1.34倍と利益率改善を確保する。
- CGS事業 フォト:数量 9,636(えんフォト契約園数(期末件数、写真事業全体の顧客接点代理))× 価格 0.00(契約園1園当たりの写真事業全体の年間売上換算(億円))→ 売上 26 億円・営業利益 4 億円。導入先・撮影機会1.75倍、複合単価1.34倍。学校写真と出張撮影の拡大で黒字化する。
- BPO事業:数量 195(事業従業員・臨時雇用者の期末開示人数(人、処理工数の代理))× 価格 0.11(開示従業員1人当たり年間受託売上高(億円、協力先への外注分も含む))→ 売上 22 億円・営業利益 4 億円。工数相当量0.95倍、単価1.34倍。人手依存を減らし高付加価値の業務請負へ移行する。
- CGS事業 その他:数量 100(収益を生む小規模案件の年間換算件数(推計代理値))× 価格 0.01(推計案件1件当たりの年間売上高(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。数量は横ばい、単価1.30倍。赤字の開発案件が収益化する。
- クラウドソーシング事業:数量 1,800(手数料を生む年間小口受発注の推計件数(件))× 価格 0.00(推計受発注1件当たりの手数料収入(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。推計取扱量0.90倍。単価上昇と運営効率化でわずかに黒字化する。
倍率:資本コストk=7.75%、全社の長期名目成長g_long=0.5%、堀はnormalで超過収益の残存割合1/2。現金15億円の税後受取利息0.21億円を純利益と自己資本から分けた事業ROEは約13.9%、RONICは約10.8%。正当化PER=(1-g/RONIC)/(k-g)で約13.16倍となる。10年後の事業純利益にこの上限を適用し、余剰現金の75%を加える。会社の成長目標や現在の株価倍率は倍率の根拠にしていない。
確率:NJSSが独自の入札・落札データをAIによる調達業務の基盤として収益化し、写真事業の拡大と採算改善も同時に進む筋書き。実現余地はあるが、AI新商品の独立した売上実績は十分に開示されておらず、複数の成功が必要なため12%とする。
やや楽観 21% NJSSの単価成長が残り、写真事業が収益の柱に育つ 利益 9 億円 · PER 13.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 449 円123 億円
NJSSでは入札情報の網羅性とデータの質が評価され、周辺商品の販売が増える。検索画面だけを使う顧客は減るが、複雑な案件を扱う企業は精度の高い情報を引き続き購入する。既存契約相当量の減少を単価上昇でおおむね補い、利益率も高い水準を守る。
fondeskは電話一次受付の一部をAIへ移すため、契約相当量が減少する。それでも顧客対応の設定や通知の品質に対価を払う企業が残り、単価下落を避ける。BPOは単純入力の量が減る一方、専門的な事務フローを管理する請負が残る。えんフォトは導入園数を広げ、OurPhotoと学校写真事業の顧客基盤を活用して利益を生むようになる。
新しいサービスの開発費と本社費用は膨らむが、収益化しない案件の整理で増加を抑える。会社の高成長目標を全面的には達成せずとも、写真事業の黒字化とNJSSの値決め力が全社の利益を支える。配当と小規模な自社株買いを継続できる10年となる。
- CGS事業 NJSS:数量 6,711(NJSS有料契約件数(期末件数を年間契約相当の数量代理とする))× 価格 0.01(NJSS有料契約1件当たりの年間セグメント売上高(億円、周辺サービスを含む実効単価))→ 売上 42 億円・営業利益 20 億円。契約相当量0.92倍、単価1.22倍。データ利用と周辺商品で数量減を補う。
- CGS事業 fondesk:数量 5,290(fondesk有料契約件数(期末件数))× 価格 0.00(有料契約1件当たり年間売上高(億円、超過通話料金とIVR等を含む換算値))→ 売上 12 億円・営業利益 2 億円。数量0.85倍、単価1.30倍。AI応答へ移る顧客を一定程度取り込む。
- CGS事業 フォト:数量 8,259(えんフォト契約園数(期末件数、写真事業全体の顧客接点代理))× 価格 0.00(契約園1園当たりの写真事業全体の年間売上換算(億円))→ 売上 22 億円・営業利益 2 億円。導入先・撮影機会1.50倍、単価1.34倍。連携販売と規模の効果で黒字化する。
- BPO事業:数量 164(事業従業員・臨時雇用者の期末開示人数(人、処理工数の代理))× 価格 0.11(開示従業員1人当たり年間受託売上高(億円、協力先への外注分も含む))→ 売上 18 億円・営業利益 3 億円。工数相当量0.80倍、単価1.30倍。専門性の高い受託案件が残る。
- CGS事業 その他:数量 90.0(収益を生む小規模案件の年間換算件数(推計代理値))× 価格 0.01(推計案件1件当たりの年間売上高(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。数量0.90倍、単価1.20倍。新規サービスの赤字を止める。
- クラウドソーシング事業:数量 1,600(手数料を生む年間小口受発注の推計件数(件))× 価格 0.00(推計受発注1件当たりの手数料収入(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。推計取扱量0.80倍、単価1.25倍。小幅な黒字に転じる。
倍率:k=7.75%、g_long=0.5%、moat=normal。余剰現金12億円の税後利息0.168億円を除く事業純利益は約8.762億円、事業自己資本は86億円となり、ROEは約10.2%。超過ROEの半分を残したRONICは約9.0%で、正当化PERの上限は約13.02倍。事業利益に上限を適用し、現金の75%を加算する。
確率:NJSSの既存顧客向け追加機能販売と写真事業の改善には観測可能な出発点がある。ただしAIによる契約減少を完全には止められず、買収成果の定着も必要なため、楽観より実現しやすい21%とする。
中立 30% 独自データは残るが、既存サービスの作業量が減る 利益 4 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 196 円54 億円
NJSSのデータは使われ続けるが、情報を探すための契約はAIエージェントに部分的に置き換わる。顧客は独自データの品質には料金を払うものの、検索画面や通知機能の価格には以前ほど応じなくなる。契約相当量は現在から2割減り、10年間の値上げは物価上昇を下回る。競争上の優位が完全に失われるわけではないため、NJSSは引き続き高い利益率を確保する。
fondeskはAI受付の普及で人による受付量が約3割減り、BPOでも人手による処理工数が約35%減る。両事業の単価には物価上昇の一部を転嫁できるが、顧客は自動化による節約を求めるため、価格上昇は限定される。写真事業は導入園数を増やして黒字化するものの、少子化と販売価格の競争で利益率は高くならない。
本社費用は人件費上昇と商品開発のため現在より増える。採算の悪い新規事業は縮小し、全社として営業黒字は守るが、直近の高ROEは維持できない。2030年代には売上規模よりも顧客の継続率と収益の質を重視する会社になり、配当を払いながら資本を慎重に使う10年となる。
- CGS事業 NJSS:数量 5,836(NJSS有料契約件数(期末件数を年間契約相当の数量代理とする))× 価格 0.01(NJSS有料契約1件当たりの年間セグメント売上高(億円、周辺サービスを含む実効単価))→ 売上 33 億円・営業利益 15 億円。検索・操作画面型SaaSとして数量0.80倍、単価1.12倍。独自データがあるため利益率は維持する。
- CGS事業 fondesk:数量 4,357(fondesk有料契約件数(期末件数))× 価格 0.00(有料契約1件当たり年間売上高(億円、超過通話料金とIVR等を含む換算値))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。AI音声受付の代替で数量0.70倍、価格1.18倍。安価な自動応答商品への移行も含む。
- CGS事業 フォト:数量 6,882(えんフォト契約園数(期末件数、写真事業全体の顧客接点代理))× 価格 0.00(契約園1園当たりの写真事業全体の年間売上換算(億円))→ 売上 18 億円・営業利益 1 億円。撮影先・機会1.25倍、単価1.30倍。導入シェア拡大が少子化を上回るが利益率は7%にとどまる。
- BPO事業:数量 133(事業従業員・臨時雇用者の期末開示人数(人、処理工数の代理))× 価格 0.11(開示従業員1人当たり年間受託売上高(億円、協力先への外注分も含む))→ 売上 14 億円・営業利益 2 億円。事務処理の実質工数相当量0.65倍、単価1.25倍。AI化で受託量は減り、専門案件だけが残る。
- CGS事業 その他:数量 80.0(収益を生む小規模案件の年間換算件数(推計代理値))× 価格 0.01(推計案件1件当たりの年間売上高(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。数量0.80倍、単価1.10倍。赤字案件を整理して小幅黒字化する。
- クラウドソーシング事業:数量 1,300(手数料を生む年間小口受発注の推計件数(件))× 価格 0.00(推計受発注1件当たりの手数料収入(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。小口作業のAI代替で数量0.65倍、単価1.20倍。ほぼ収支均衡まで改善する。
倍率:k=7.75%。余剰現金10億円の税後利息0.14億円を除いた事業純利益は約3.59億円、事業自己資本は69億円で、事業ROEは約5.2%となる。ROEが資本コストに届かないので、10年より先の成長から追加価値を見込まず、稼ぐ力の上限1/k=12.90倍を適用する。事業純利益に掛け、余剰現金10億円の75%を加える。過去や現在の市場PERは使用しない。
確率:公開入札データへの需要は残る一方、検索画面、電話受付、事務入力の自動化が進むという中心的な判断。既存の値上げ実績と写真事業の現場性を考慮し、全社の売上が消滅する筋書きにはしない。会社固有のデータの価値とAI代替の双方が作用するため30%とする。
やや悲観 23% 検索・受付・事務の値段が下がり、利益が薄くなる 利益 1 億円 · PER 12.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 59 円16 億円
AIエージェントが官公庁の公開データを直接読み取り、落札情報の比較や案件の抽出を顧客自身で実行するようになる。NJSSには精度の高い過去データが残るが、顧客は必要な部分だけを買う方向へ移り、契約相当量が現在の約3分の2になる。過去に実施した値上げを続けることは難しくなり、単価の上昇は物価に大きく負ける。
fondeskでは自動応答の低価格化が進み、人による電話受付は一部の特殊案件に限られる。BPOもデータ入力や書類整理の作業量が半分程度となり、専門案件への転換だけでは不足を補えない。えんフォトは競合との価格競争と少子化に直面し、買収した写真事業から期待した規模の利益を得られない。
経営は本社費用と新規事業費を削り、収益を守ろうとする。しかし、固定的な開発・管理費を完全には落とせず、全社の営業利益は小さくなる。配当は縮小され、買収より事業整理が優先される。純現金があるため直ちに存続が危うくなるわけではないが、株主が受け取る事業価値は大きく減少する。
- CGS事業 NJSS:数量 4,742(NJSS有料契約件数(期末件数を年間契約相当の数量代理とする))× 価格 0.01(NJSS有料契約1件当たりの年間セグメント売上高(億円、周辺サービスを含む実効単価))→ 売上 26 億円・営業利益 10 億円。数量0.65倍、単価1.06倍。データ品質は残るが検索契約の価格決定力が弱まる。
- CGS事業 fondesk:数量 2,801(fondesk有料契約件数(期末件数))× 価格 0.00(有料契約1件当たり年間売上高(億円、超過通話料金とIVR等を含む換算値))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。数量0.45倍、単価1.05倍。AI受付への代替で既存サービスの利益がほぼ消える。
- CGS事業 フォト:数量 4,955(えんフォト契約園数(期末件数、写真事業全体の顧客接点代理))× 価格 0.00(契約園1園当たりの写真事業全体の年間売上換算(億円))→ 売上 12 億円・営業利益 0 億円。数量0.90倍、単価1.18倍。少子化と競争で導入園数が減る。
- BPO事業:数量 102(事業従業員・臨時雇用者の期末開示人数(人、処理工数の代理))× 価格 0.10(開示従業員1人当たり年間受託売上高(億円、協力先への外注分も含む))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。工数相当量0.50倍、単価1.17倍。高付加価値の請負への移行が遅れる。
- CGS事業 その他:数量 55.0(収益を生む小規模案件の年間換算件数(推計代理値))× 価格 0.00(推計案件1件当たりの年間売上高(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。数量0.55倍、単価据え置き。不採算案件の整理が遅れる。
- クラウドソーシング事業:数量 900(手数料を生む年間小口受発注の推計件数(件))× 価格 0.00(推計受発注1件当たりの手数料収入(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。数量0.45倍、単価据え置き。マッチング手数料が細る。
倍率:ROEは資本コスト7.75%を下回るため、稼ぐ力の上限1/k=12.90倍より低い12.50倍とする。競争力の低下と追加投資による収益悪化を受け、継続的な超過利益はないと判断する。純利益0.96億円から余剰現金7.5億円の税後利息0.105億円を除き、事業価値に現金の75%を加える。過去のPBRの底は参照しない。
確率:NJSSのデータ販売は継続するが、競合AIによって契約相当数と価格決定力を失う筋書き。fondeskとBPOの採算がさらに悪くなり、写真の改善も小さい。複数事業の弱さが重なるため、中立より低いが十分起こりうる23%とする。
悲観 14% 情報サービスの優位を失い、資産価値に近づく 利益 −3 億円 · PBR 0.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 11 円3 億円
官公庁の公開情報を利用するAIエージェントが普及し、民間企業は案件発見や入札書類の一次処理を社内で行うようになる。NJSSは過去データの一部を販売するものの、検索契約を大きく失い、値上げも通らない。顧客の業務全体を押さえる基盤への転換は実現せず、かつての高利益率が崩れる。
fondeskの人による電話受付とBPOの単純事務作業は、大半を自動化した競合との価格差を埋められない。写真事業も契約園数が減り、撮影単価への値下げ圧力が強く、赤字になる。新規サービスの開発投資や買収した事業の統合が期待どおりに進まず、のれんやソフトウエアの減損、撤退費用が発生する。
経営は従業員と拠点を減らし、固定費の削減を急ぐが、長期にわたる現金流出によって現在の純現金の大部分を使う。累進配当を維持できず、株主への還元は限定的となる。10年後の価値は過去の市場PBRではなく、契約上の債務と整理費用を差し引いて実際に残りそうな換金可能資産が中心になる。
- CGS事業 NJSS:数量 3,648(NJSS有料契約件数(期末件数を年間契約相当の数量代理とする))× 価格 0.01(NJSS有料契約1件当たりの年間セグメント売上高(億円、周辺サービスを含む実効単価))→ 売上 19 億円・営業利益 4 億円。数量0.50倍、価格据え置き。過去データは残るが契約収益の優位を失う。
- CGS事業 fondesk:数量 1,743(fondesk有料契約件数(期末件数))× 価格 0.00(有料契約1件当たり年間売上高(億円、超過通話料金とIVR等を含む換算値))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。数量0.28倍、単価1.05倍。人による一次受付が大きく置き換わる。
- CGS事業 フォト:数量 3,579(えんフォト契約園数(期末件数、写真事業全体の顧客接点代理))× 価格 0.00(契約園1園当たりの写真事業全体の年間売上換算(億円))→ 売上 8 億円・営業利益 −1 億円。数量0.65倍、単価1.18倍。園の減少、競争、買収後の固定費を吸収できない。
- BPO事業:数量 62.0(事業従業員・臨時雇用者の期末開示人数(人、処理工数の代理))× 価格 0.09(開示従業員1人当たり年間受託売上高(億円、協力先への外注分も含む))→ 売上 6 億円・営業利益 −1 億円。工数相当量0.30倍、単価1.05倍。単純事務の外部委託需要が半分以上消える。
- CGS事業 その他:数量 25.0(収益を生む小規模案件の年間換算件数(推計代理値))× 価格 0.00(推計案件1件当たりの年間売上高(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。数量0.25倍、単価据え置き。新規サービスが十分に収益化しない。
- クラウドソーシング事業:数量 600(手数料を生む年間小口受発注の推計件数(件))× 価格 0.00(推計受発注1件当たりの手数料収入(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。数量0.30倍、単価据え置き。小口発注がAIで代替される。
倍率:事業純利益が赤字のためPERを使用しない。PBR0.082倍は将来の自己資本18億円ではなく、現在の自己資本37億円に掛けるための換算表示であり、時価総額約3.03億円に対応する。価値の実体は過去の谷のPBRではなく、floor_assets_okuで見積もる債務・前受金・継続費用控除後の換金可能資産約3億円である。赤字事業の永続価値は加算しない。
確率:競合のAIエージェントと無料情報源がNJSSの契約を大きく侵食し、人手BPOと電話受付の縮小が重なる構造的敗北。十分な純現金があるため直ちに倒産する筋書きではないが、赤字と減損によって資本が毀損する可能性を14%とする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
CGS事業 NJSS
NJSS、nSearch、GoSTEP、入札BPOなど、官公庁の入札案件の発見と入札参加を支援する情報・業務サービス。収益の中核は継続契約である。
| 数量NJSS有料契約件数(期末件数を年間契約相当の数量代理とする) | 価格NJSS有料契約1件当たりの年間セグメント売上高(億円、周辺サービスを含む実効単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 7,295 | 0.01 | 37 | 16 |
| 10 年後 中立 | 5,836 | 0.01 | 33 | 15 |
取り方:2026年3月期有報のNJSS売上37.28821億円と期末NJSS有料契約7,295件を使用。売上にはnSearch、GoSTEP、入札BPO等が含まれるため、単価はNJSS単体の請求単価ではなくセグメント全体の契約1件換算である。nSearch有料契約839件、2026年3月期第4四半期のNJSS日割りARPU1,352円、月次解約率1.42%も照合した。会社のTAM説明では全省庁統一資格保有企業約7万社、落札実績企業約40万社である。前者に実効年額約51万円を掛けた約350億円は狭い情報サービス機会の試算であり、発注総額28兆円と混同しない。AIエージェント代替の型は情報検索・操作画面型SaaSと判定する。
CGS事業 fondesk
クラウドワーカーによる電話の一次受付と通知が中心。自動音声応答のfondesk IVRにも展開している。
| 数量fondesk有料契約件数(期末件数) | 価格有料契約1件当たり年間売上高(億円、超過通話料金とIVR等を含む換算値) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 6,224 | 0.00 | 11 | 1 |
| 10 年後 中立 | 4,357 | 0.00 | 9 | 1 |
取り方:有報の年間セグメント売上11.17510億円を、2026年3月末の有料契約6,224件で除した実効年額。第4四半期の会社開示月間ARPU14,523円とは、契約数の期末値と年間平均値の違い等で一致しない。解約率は月次1.1%。料金表では人による電話受付が基本料金と従量料金で構成される一方、IVRは低価格で提供されるため、長期はAI音声応答への代替を前提とする。型は人による受付BPOと操作型ソフトの混合で、数量の中立を人手代替に近い水準へ抑える。
CGS事業 フォト
えんフォトによる園児写真の撮影・販売、OurPhotoの出張撮影、横浜綜合写真の学校写真・アルバム制作を含む。
| 数量えんフォト契約園数(期末件数、写真事業全体の顧客接点代理) | 価格契約園1園当たりの写真事業全体の年間売上換算(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 5,506 | 0.00 | 11 | 0 |
| 10 年後 中立 | 6,882 | 0.00 | 18 | 1 |
取り方:有報のフォト事業売上11.00891億円を2026年3月末のえんフォト契約園5,506園で割った。OurPhotoの年間撮影件数22,896件、横浜綜合写真の学校写真収益も分子に含まれるため、開示されている第4四半期の園当たり売上51,923円とは異なる複合的な換算単価である。約4万の国内保育施設に対する契約園数の比率は約14%だが、幼稚園の範囲が一致せず、厳密な市場シェアではない。実際の撮影は現場の身体作業であり、人月BPO・画面型SaaSの一律縮小を当てない。ただし販売画面やアルバム編集の自動化は単価に影響する。
BPO事業
データ入力、書類スキャン、事務処理受託およびNJSSと連動する入札BPOなど、人と技術を組み合わせる業務代行。
| 数量事業従業員・臨時雇用者の期末開示人数(人、処理工数の代理) | 価格開示従業員1人当たり年間受託売上高(億円、協力先への外注分も含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 205 | 0.08 | 17 | 2 |
| 10 年後 中立 | 133 | 0.11 | 14 | 2 |
取り方:有報のBPO事業売上17.34481億円と第4四半期末従業員数205人を使用。従業員数には臨時雇用者の年間平均換算人数を含み、請負時間・外部協力者の作業量は非開示であるため、1人当たり売上は実際の人月販売単価ではなく数量と単価を分離するための代理値。矢野経済研究所の2024年度非IT系BPO市場1兆9,566.5億円に対する当社売上の比率は約0.09%であり、専門分野の厳密な競合シェアではない。中立の工数需要はAIエージェント代替により10年で0.65倍とする。
CGS事業 その他
NJSS、fondesk、フォト以外の小規模な業務支援サービスや新規事業。
| 数量収益を生む小規模案件の年間換算件数(推計代理値) | 価格推計案件1件当たりの年間売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 0.00 | 0 | −1 |
| 10 年後 中立 | 80.0 | 0.01 | 0 | 0 |
取り方:有報でCGSその他の売上48,227千円、営業損失112,917千円が開示されるが、実際の顧客・案件数と単価は非開示である。100件は公表実績ではなく、売上を数量と単価に分解するための仮想的な年間案件換算の仮定であり、将来の案件数の確実な予測ではない。売上構成比0.6%と小さい一方、開発・新規事業費用による赤字が大きい。AI代替対象の情報・業務支援型として保守的に扱う。
クラウドソーシング事業
シュフティで発注企業と在宅のクラウドワーカーをマッチングする。グループ内サービスへの労働力供給の役割も持つ。
| 数量手数料を生む年間小口受発注の推計件数(件) | 価格推計受発注1件当たりの手数料収入(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,000 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1,300 | 0.00 | 0 | 0 |
取り方:有報の売上21,987千円、営業損失5,605千円を使用。登録クラウドワーカー約49万人は累計の会員数であり、課金対象となる発注件数ではない。年間2,000件は実績非開示を補うための保守的な推計代理値で、対応する平均手数料も売上からの逆算値にすぎない。会社開示の確定数量ではないため、この小規模事業の数量推定を企業価値評価の重要な根拠にはしない。AIによる小口タスクの自動化で中立の受発注量を0.65倍とする。
リスクと懸念
AIエージェント代替
NJSSの検索画面と案件通知、fondeskの電話受付、BPOのデータ入力・書類処理、シュフティの小口作業は、AIエージェントによる代替が直接届く領域である。会社自身もAI機能と自動応答サービスを開発しているが、独立した新規収益として従来事業の減少を補える証拠はまだ限られる。中立の数量と価格、10年より先の成長率に影響を反映し、資本コストの寿命項目には重複させない。
NJSSのデータ優位が価格決定力につながらない
NJSSには長年の入札・落札データがあり、契約更新時の単価引き上げも実現した。しかし情報の発生源は官公庁の公開情報であり、AIと他社のデータ整備技術が進めば、顧客は画面に高い料金を払わなくなるかもしれない。月次解約率1.42%という実績は一定の顧客の入れ替わりを示し、解約できない基幹システムと同じ堀はない。
先行投資とM&Aの資本効率
売上高200億円、EBITDA30~40億円という中期目標は魅力的だが、達成には事業拡大と買収が必要である。写真事業とCGSその他は直近でも営業赤字であり、増収が必ずしも価値の増加になっていない。買収後にのれん償却や統合費用が膨らみ、投下した資本に見合う利益が得られなければ、売上目標を達成しても株主価値は伸びない。
顧客前受金を含む現金の見かけの厚さ
約40億円の純現金は財務上の強みだが、顧客から先に受け取った契約代金は将来のサービス提供義務を伴う。未履行契約の処理、事業に必要な運転資金、本社やBPO拠点の賃借料、撤退時の人員整理費用を考慮すれば、全額が株主へ戻るわけではない。悲観価値を現在の純現金や帳簿上の自己資本と同一視しない必要がある。
少子化と写真事業の採算
写真の撮影は現場の仕事でありAIだけでは完全に代替しにくいが、国内の保育対象人口は減少傾向にある。契約園を増やしても一園当たりの子どもの数や写真購入数が減れば、売上の伸びは鈍る。OurPhotoや横浜綜合写真との連携には機会があるものの、撮影者への報酬、顧客獲得費用、学校行事の季節性を吸収して利益を出せるかはまだ検証途中である。
還元方針と大株主への持株集中
累進配当と自社株買いの開始は少数株主にとって改善である。ただし配当性向の数値目安は15%以上であり、利益の大半を必ず還元する約束ではない。創業者側や大株主への持株集中もあり、将来の余剰現金を新規投資、買収、還元のどれに振り向けるかを一般株主が直接決めることは難しい。資本配分の実績を継続的に確かめたい。
今後の分かれ目
- NJSS・nSearchの契約数が継続して増え、月次解約率が1%未満へ低下し、実効単価も上がったら
- 独自データによる顧客の定着力が予想より強い証拠となる。中立の数量減少率と価格上昇率を見直し、場合によっては長期の堀の評価を引き上げる。
- NJSSのAI機能や新たなAIエージェント商品の独立した売上高・受注額が開示され、継続成長したら
- 既存の画面型SaaSが減る一方でAIを売り物にする転換が実証される。楽観とやや楽観の数量想定を再検討し、従来型SaaSの縮小を超える新しい収益源を別に積み上げる。
- fondeskの有料契約数が減少に転じ、IVRへの移行によって月間顧客単価も下がったら
- 人による受付から安価なAI受付への自己代替が進んだと判断する。fondeskの中立売上と利益率を引き下げ、移行後の契約当たり利益を確かめる。
- BPOで従業員当たり売上と営業利益率が同時に改善し、成果報酬型の売上が増えたら
- 単純な人手販売から業務成果を売る事業への転換が進んだ可能性がある。工数の減少をそのまま売上減少とみる前提を見直すが、顧客に値下げとして還元した分を控除する。
- えんフォトの契約園数と園当たり売上がともに伸び、写真事業の営業黒字が複数期続いたら
- 写真事業の再投資採算が改善した証拠となる。現場撮影を伴う利益の割合が増えるため、会社全体のAI代替感応度を下げ、事業価値を見直す。
- 2030~2032年の売上高200億円・EBITDA30~40億円の目標に近づく一方、営業キャッシュフローが増えなかったら
- 買収、運転資金、ソフトウエア開発費が利益を吸収している可能性を疑う。売上規模ではなくオーナー利益と増分ROICを再検証し、成長による価値の上乗せを控える。
- 自社株買いと累進配当が継続し、保有株式数の減少や配当性向の引き上げが実績として積み上がったら
- 余剰現金が株主に戻る確度が改善する。現金の戻り方を0.75から1.0へ見直す余地が生じる。ただし顧客前受金や運転資金まで余剰現金とはしない。
見ておくもの
- NJSSとnSearchの有料契約件数、ARR、日割りARPU、12か月平均の月次解約率
- NJSS ONEやAIエージェント関連商品の独立した売上高、受注額、契約数の開示
- fondeskの契約件数、月間ARPU、解約率、fondesk IVRの収益規模
- BPO事業の売上高、従業員数、従業員当たり売上、営業利益率と成果報酬型契約比率
- えんフォトの契約園数、園当たり売上、OurPhoto撮影件数、フォト事業の営業黒字化
- 中期目標に対する売上高・EBITDAの進捗と、営業キャッシュフロー・ソフトウエア投資との差
- 新規M&Aの投資額、のれん残高、買収先の利益、増分ROIC
- 契約負債・前受金、現預金、借入金、自己株式取得額、配当総額
- 官公庁入札データの自動取得精度、無料調達情報サービスの機能、入札王など競合の料金動向
倍率と資本コストの決め方
2026年10月22日時点の株価468円、株数27,417,064株、時価総額約128.3億円は最後の比較にのみ用いた。セグメントの出発点は2026年3月期の開示売上高と営業利益、契約件数等であり、10年後の数量と価格はAIエージェント代替、入札データの独自性、写真撮影の現場性から独立して推定した。CGSその他とシュフティの案件数は非開示のため明示的な推計代理値とし、価値への影響が小さいことも確認した。
倍率はk=7.75%、長期名目成長率g=0.5%、堀の残存割合1/2に基づく正当化PERから決めた。中立は事業ROEがkに届かないため1/kの稼ぐ力の上限を使用した。今や過去の市場PER、谷のPBR、同業企業の市場倍率は価値算定に使用していない。悲観は現在の自己資本を基準にしたPBR表示と、契約負債等を差し引いた売却可能資産の床で照合した。
余剰現金には税後利息と帳簿価値の二重計上を避ける調整を施し、10年の配当・自社株買いは別に割り引いた。新リース会計基準の適用後も、事業利益は家賃を営業費用として扱う現在の比較可能な形で評価し、悲観の床では賃借契約の固定負担を考慮する。五つの筋書きの加重現在価値は約41.8億円で、今の時価総額に対して約67%低い。評価の方向と結論は一致しており、現在の株価に合わせた逆算はしていない。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3.0%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%を出発点に、事業の収益変動、値決め力、純現金、寿命を合わせて0.25ポイント上乗せする。個別の買収失敗やAI代替を追加のリスクプレミアムとして二重に課さない。