結論
アイサンテクノロジーは測量ソフトを祖業に、三次元計測と自動運転の実装へ仕事を広げる会社である。筆者の結論は「割高」だ。現地で計測する能力と約48億円の純現金には価値があるが、現在の時価総額約146億円は事業の稼ぐ力の持続にかなり高い期待を要求する。確率で重みを付け、将来の還元も含めて割り引いた本質価値は約70億円とみる。
業績は改善している。2026年3月期は売上高約76億円、営業利益約7.6億円となり、政府の自動運転社会実装支援と三次元地図の受注が追い風になった。だが、報告セグメントのモビリティ・DX売上の中心は約35億円の請負であり、全国で実証した数がそのまま十年続く定期収益になるわけではない。年度末の納品集中と開発人員の先行投資が収益の見通しを難しくする。
公共のWingneoシリーズには長年の測量士との接点があり、累計出荷ライセンスは1万7千本を超える。ただし、一括販売と保守を合わせたソフトの仕事は、顧客の操作をAIが肩代わりする変化に弱い。現場に車を走らせる仕事と、画面を動かすソフトを同じ成長産業として扱わないことが大切だ。2026年の子会社不正も、資本配分への信頼を慎重にみる理由である。
十年後も会社が社会インフラの一端を担う可能性は高い。しかし、株主のものになる利益は投資・安全管理・競争を経て初めて残る。長く保有するには、技術の可能性だけでなく価格に十分な安全域が欲しい。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主が買うのは、AIや自動運転という響きではなく、十年後にも顧客が支払う必要がある仕事そのものだ。道路の現状を精度よく測り、図面や地図へ責任を持って仕上げる工程は社会に残る。資格と現場ノウハウが必要であり、技術が新しくなるほど手戻りの少ない業者に発注が集まる可能性がある。この部分には資本を投じる意味がある。
一方、画面で測量CADを操作するためのライセンスや、点群の編集に人の工数を掛ける受託は、今と同じ形で十年後も残るとは限らない。稼ぎの形が変わった時、経営が顧客との接点を守っても単価の維持まで約束されるわけではない。AIへの移行で失う業務と、現地作業として残る工程を切り離す必要がある。
オーナー利益は会計上の純利益から維持更新の支出を引いて考える。営業利益が増えても、車両、計測機器、研究開発、安全監視、技術者の採用に現金が必要なら、自由に分配できる額は限られる。DOE3%の配当は規律の改善だが、内部留保を資本コスト以上で運用してこそ複利の価値が生じる。かつてのROE中央値はその条件に届いていなかった。
筆者は現金が厚いことを高く評価するが、それだけを安全域とは呼ばない。公開されていない解約率や反復契約の比率、買収子会社の統制を確認できなければ、楽観の成長に高い値段は払えない。事業の存続と長期株主への十分な報酬は別の問いであり、今の時価総額にはその隔たりがある。
何で稼ぐ会社か
主力は公共とモビリティ・DXの二本柱だ。公共では測量事業者、土地家屋調査士、建設コンサルタントに「Wingneo INFINITY」の測量CADや「WingEarth」「ANIST」の点群処理ソフトを販売する。保守サービスで更新と問い合わせに対応し、トータルステーションや三次元スキャナーの販売、測量請負も手がける。開発、販売店、現場サポートが一体となる仕事である。
2026年3月期の公共売上約32.5億円のうち、自社ソフトと関連サービスが約15.5億円、計測機器と関連サービスが約14.0億円を占める。測量請負は約1.7億円で、残りに付帯ハードがある。会社は顧客4,000社超と累計ライセンス1万7千本超を公表しているが、毎年稼働するID数や解約率は示していない。収益は純粋な席課金SaaSより一括販売と更新が混じる。
モビリティ・DXは約43.3億円の売上で、うち約35.3億円が三次元計測、地図データベース整備、自動運転システムや実証の請負だ。MMS機器や自動運転車両の販売が約5億円あり、付帯の関連サービスも加わる。契約ごとに現地計測、点群解析、システム組込み、車両や安全監視の調整まで必要で、受注を増やしても人手や機材の投下が消えない。
2023年設立のA-Driveは三菱商事との共同出資会社で、アイサンテクノロジーが60%を持つ。自治体・交通事業者に対して自動運転導入を一括支援する販路として期待できるが、利益の一部は非支配株主に属する。小規模な不動産賃貸もあるが、事業価値を決める主役ではない。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社が簡単には奪えない強みは、測量の精度と現場で長く使われる製品群にある。Wingneoシリーズは法令や公共測量の作業規程が変わるたび更新され、利用者は過去の図面や作業手順を持つ。地理空間データの取得から地図化まで一体で扱う技術と、全国の営業・販売網も参入障壁になる。測量法上の資格を必要とする現場業務は、画面の自動化だけでは消えない。
しかし、これを強い独占の堀とは呼ばない。年間の解約率や継続顧客の更新単価、法改正時の実際の値上げ率は開示されていない。2026年の公共部門の増収にはWindows10のサポート終了に伴う買い替えと規程改正の特需があり、値上げを恒常的に通せる証拠とは異なる。測量CADでは福井コンピュータ、機器ではトプコンなどとの競争がある。
収益性は高くない。過去十年のROE中央値は約4.9%で、直近の8%台だけを恒久的な実力としない。現金負担の小さいソフト開発も、毎年の更新と新技術への適応が必要だ。2026年3月期の減価償却は約2.75億円で、新規開発と現場用機器の更新投資も続く。2026年3月期の公表ROICは6.6%で、評価に用いる株主資本コスト7.75%にまだ届かない。今後の増分投資で超過収益を得る力は、実績で確かめる必要がある。
とりわけ秋測で2026年に発覚した架空売上や在庫に関する不正は、資本配分より前の統制という基本条件を傷つけた。連結への損失影響が数千万円規模でも、買収先で不正を防げなかった事実は軽く扱えない。改善策が実務に根付いたことを確認するまで、堀の評価を引き上げない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
公共の測量市場は成熟している。国土交通省による2025年度末の測量業登録業者は1万924者で、22年連続の減少となった。会社の4,000社超の顧客数を単純に割れば約37%となるが、顧客には登記や建設関係者も含まれ、複数ソフトを使う事業者もいるため、これは厳密なCAD市場シェアではない。福井コンピュータの「TREND-ONE」、トプコンなどの機器・関連ソフトが主要な比較相手で、競合各社の同一定義による利用率は非開示である。
測量士・技術者の高齢化と業者数の減少は、従来型のCAD利用者を細らせる。一方、国土強靱化や防災、老朽インフラの点検では、三次元計測と定期的な位置情報の更新はなくならない。価格は機器と入札の競争を受け、物価3%を丸ごと超える値決め力は期待しにくい。CADの操作画面をAIエージェントが飛ばす影響は、ハード機器と現地測量より強く見る。
モビリティでは政府が2027年度までに地域限定型の無人自動運転サービスを100か所以上で実現する目標を掲げる。これは導入予定の場所の数であり、アイサンの年間受注件数でも将来売上の保証でもない。補助金や実証の採択には年度ごとの予算が絡み、需要が実証費から運行維持費へ変わるまで採算の見通しは不安定だ。
技術競争では、ティアフォーのAutowareを使う開発陣、ソフトバンク系BOLDLY、大手自動車会社、ダイナミックマッププラットフォームなどが関わる。競合が地図を不要にする認識技術や共通運行基盤を普及させると、個別の地図編集やシステム受託の単価は下がりうる。市場は今後広がる余地があるが、会社と競合の売上定義が揃わないためシェアの断定は避け、2036年の数量は実装地域の伸びと顧客獲得の別々の仮説で評価する。
資本政策と M&A
資本政策では、純現金約47.9億円が最大の選択肢である。2026年3月期は営業活動で約8.7億円の現金を生んだが、機器更新・ソフト開発・新規事業への投資が必要だ。現預金約58.2億円から短期借入約10.3億円を差し引き、さらに前受金や仕入債務、年度末に集中する受託の運転資金として約22.9億円を拘束すると、自由に使える現在の余剰現金は約25億円と考える。
中期経営計画は2027年3月期に売上80億円、営業利益8.5億円、純利益約5.47億円を掲げ、ROEとROICはともに8%を目標にする。還元は旧来の配当性向30%以上から、当面DOE3%前後の累進的配当へ改めた。2026年の増配と2026年10月の1対3株式分割後に換算した増配予想は前進だが、明示された大規模自社株買いの数字の約束はない。
A-Driveの設立と秋測の買収は、測量の技術を自動運転や中古機器へ広げる試みである。前者は三菱商事との共同事業という販路の価値があり、後者は不正の発覚によって買収後の管理能力に課題を残した。今後は買収規模を追うより、連結内部統制と受注採算の改善に投資すべきだ。
2026年に導入した選べるe-GIFTの株主優待は保有株数と期間に応じた制度で、十年の株主還元には年間約0.05億円、合計約0.5億円の費用相当額を試算して含めた。受給人数は未開示のため概算である。純現金を常に額面で株主のものとはせず、還元の歴史を踏まえた75%の実現可能性で評価する。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
この会社は全国の測量現場と自動運転実証の両方を知っている。Wingneoの累計ライセンスは1万7千本超、国や自治体の測量規格に対応してきた長さが信頼の土台である。国内の測量会社が減っても仕事の量が同率で減るとは限らない。むしろ人手不足だからこそ三次元点群処理、ロボット測量、現場機器とソフトの一体導入が必要になる。顧客接点を持つ会社が装置と保守も納めることで、競合の単品販売との差が広がる。
自動運転の実証はあくまで入り口だ。2024年には国の採択事業25地域に参画し、自治体でのレベル4運行や三次元地図作りの知見を積み上げた。三菱商事と共同で設立したA-Driveが自治体、交通事業者、自動車メーカーをつなぎ、実証の後に車両更新、路線延伸、地図再計測、遠隔監視の契約を一式で得るなら収益は飛躍する。国が2027年度までに100か所超の実現をめざす方向とも合う。
ソフトだけの世界なら海外企業の参入を恐れるが、実道路を測り、地域の安全基準を満たす導入には土地勘と調整力が要る。顧客の案件が標準化されれば、従来は一件ずつ苦労していた採算も改善する。累進配当と潤沢な現金がその時間を与え、現在の営業利益をはるかに上回る稼ぐ力が現実になる可能性はある。
慎重な見方
実証実験の件数と定期的な営業利益は違う。2026年3月期のモビリティ・DXは伸びたが、金額の大半を占めるのは地図作成と実装の請負である。年度末に完成して初めて売上になる案件が多く、受注しても粗利を長期に確保できるとは限らない。車両やMMSの組み立てにも仕入原価があり、規模が大きくなるほど現金の拘束が増える。
測量CADの顧客基盤は誇れるものだが、AIエージェントが法定の測量成果物を直接整える世界では、操作画面に払ってきた利用料の根拠が薄れる。公共測量で国家資格が必要でも、その事実だけでソフトの売上は守られない。福井コンピュータの代替製品や現場機器メーカーのソフトがあり、独自データの所有権、解約率の低さ、継続値上げの裏付けは十分に開示されていない。
A-Driveの利益は一部が三菱商事に帰属し、ティアフォーなど自動運転技術の中核を持つ企業と競合する。2024年に取得した秋測で架空売上と在庫管理の不正が発覚したことも、子会社の数を増やせば複利で価値が増えるという見方を退ける。2026年3月期の高い利益率をそのまま十年の標準にすると、投資家の期待が先回りしてしまう。純現金は下値を和らげても、今の時価総額を全額正当化しない。
どちらに重みを置いたか
現場計測と自動運転の成長余地は確かで、財務も厚い。しかし、モビリティ・DXの受託には納品と予算の不確実さがあり、公共ソフトにもAIエージェントの代替圧力が及ぶ。値上げと高い再投資利回りを十年続けられる証拠はまだ足りない。楽観・やや楽観の確率を30%、やや悲観・悲観を38%として少し慎重側に寄せる。下に寄せる理由は単年度の公共発注への依存と秋測で露呈した子会社統制であり、AIの影響を確率で二重に数えない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 721 円114 億円(+ 還元の換算額還元の合計 147 円23 億円)。 今の値に割り戻すと 443 円70 億円、今との差 −51.2%、 期待の年率 −0.5%(資本コスト 7.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 1,702 円270 億円 | 208 円33 億円 | +110.6% | +8.3% | 191 円30 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,100 円175 億円 | 176 円28 億円 | +40.8% | +3.8% | 255 円41 億円 |
| 中立 | 32% | 722 円115 億円 | 158 円25 億円 | −3.0% | −0.3% | 281 円45 億円 |
| やや悲観 | 25% | 280 円45 億円 | 139 円22 億円 | −53.8% | −8.6% | 105 円17 億円 |
| 悲観 | 13% | 224 円36 億円 | 44 円7 億円 | −70.5% | −12.2% | 35 円6 億円 |
| 加重平均 | 100% | 721 円114 億円 | 147 円23 億円 | −4.4% | −0.5% | 867 円138 億円 |
今の株価時価総額 907 円144 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 楽観:地域交通と三次元地図で確かな地位 利益 18 億円 · PER 14.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,702 円270 億円
都市の道路を繰り返し測り、車両を組み上げ、安全に走らせる役割が業界の標準的な仕事になる。自治体による無人運行の商用導入は実証から長期契約へ移り、同社の現地計測案件数は現在の2倍超に増える。三菱商事とのA-Driveを窓口に、車両・地図・実装支援を一括して獲得し、データを保有しない小規模事業者との差を広げる。
公共では三次元点群と現場機器の組み合わせが販路の強みになる。測量CADはAIが操作を代わるため利用企業数の拡大を過大に見ず、主力顧客を守りながら高度な点群機能の付加価値を維持する。福井コンピュータとの競合は続くが、現場で検証された精度が信頼を支える。
積極的な開発投資と職員増の後、受託の標準化で営業利益率が上がる。補助金依存の案件を固定契約に転換できれば、ROEが資本コストを上回り、利益のうち成長投資後に余る部分を配当へ回せる。秋測の不正を受けた内部統制改革も定着し、買収ではなく技術と顧客への投資で成功する道筋である。
- 公共:測量CAD・三次元点群ソフトと保守:数量 3,920(継続顧客企業換算・社)× 価格 0.00(顧客1社当たり年間のソフト・保守等売上(億円))→ 売上 17 億円・営業利益 6 億円。測量ソフトの顧客換算は現状の98%。高度点群機能で単価を維持。
- 公共:測量機器・関連ハードとサービス:数量 413(測量機器販売パッケージ換算・件/年)× 価格 0.06(1販売パッケージ当たりの売上(億円))→ 売上 27 億円・営業利益 4 億円。現場の三次元測量投資と中古機器市場が拡大。
- 公共:現地測量請負:数量 54.0(現地測量案件換算・件/年)× 価格 0.06(1件当たり年間の平均売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。防災・インフラ更新の現地測量案件が増える。
- モビリティ・DX:現地三次元計測・地図整備:数量 84.0(現地計測・地図整備案件換算・件/年)× 価格 0.89(1件当たりの地図・計測受託売上(億円))→ 売上 75 億円・営業利益 14 億円。現地計測案件は35件換算から84件へ拡大。
- モビリティ・DX:自動運転システム構築・地図データ処理:数量 38.0(ソフト構築・地図編集案件換算・件/年)× 価格 0.41(1件当たりの受託売上(億円))→ 売上 16 億円・営業利益 2 億円。AI代替があっても案件大型化でデジタル受託売上は増える。数量は現状以下。
- モビリティ・DX:MMS機器・自動運転車両と付帯サービス:数量 20.0(計測車両・導入装置パッケージ換算・件/年)× 価格 1.06(1導入パッケージ当たり売上(億円))→ 売上 21 億円・営業利益 3 億円。自動運転車両・MMS導入パッケージ数が倍増。
- その他:保有不動産賃貸:数量 1.0(賃貸資産換算・物件)× 価格 0.13(1物件換算の年間賃料(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。物価に沿った賃料上昇。
倍率:余剰現金30億円に対する税後利息0.42億円を除くと、事業ROE=(17.6−0.42)÷(140−30)=15.62%でk7.75%を上回る。moat=normalの残存割合1/2による増分RONIC11.68%、g_long2.0%から正当化PER=(1−g/RONIC)÷(k−g)=14.414倍の上限。事業純利益にこのPERを掛け、現金30億円の実現率75%相当を足す。市場倍率で調整しない。
確率:実際に100か所超への自治体の無人自動運転導入が進み、採算の合う地域では更新・保守予算が複数年付くことが必要である。地理空間の自前の計測工程と三菱商事との連携が効く場合だけ成立する高い側の道筋とした。
やや楽観 20% やや楽観:自治体向け実装が収益化 利益 11 億円 · PER 14.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,100 円175 億円
国が進める無人移動サービスの社会実装は地方交通の不足を埋め、車両導入と点群地図整備の発注が積み上がる。2023年設立のA-Driveは交通事業者と自治体を結ぶ役割を広げる。現場測量の受注を増やしながら、開発済みの制御・導入技術を再利用して案件ごとの原価を下げる。
「Wingneo INFINITY」や「ANIST」は公共測量の工程に残る。顧客の一部がAIエージェント経由で地図編集を行うため、ソフトの利用者数は微減とみるが、現場機器と一緒に納めることで値引き競争を抑えられる。MMS導入需要も継続し、都市空間DXのDEXIOは小さな追加収益源として育つ。
人手を使うデータ編集受託はAIの進歩によって縮む。伸びるのは自動走行に必要な現場作業と機器の部分であり、十分な値上げ力を持つほどの独占市場にはならない。それでも受注の大型化で管理費を吸収し、資本効率は過去の平均を上回る。
- 公共:測量CAD・三次元点群ソフトと保守:数量 3,600(継続顧客企業換算・社)× 価格 0.00(顧客1社当たり年間のソフト・保守等売上(億円))→ 売上 16 億円・営業利益 4 億円。AI代替で顧客換算数は1割減るが、高機能化で単価を補う。
- 公共:測量機器・関連ハードとサービス:数量 363(測量機器販売パッケージ換算・件/年)× 価格 0.06(1販売パッケージ当たりの売上(億円))→ 売上 23 億円・営業利益 3 億円。三次元測量機器の設備更新需要が増える。
- 公共:現地測量請負:数量 46.0(現地測量案件換算・件/年)× 価格 0.06(1件当たり年間の平均売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。防災・道路更新による測量案件を獲得。
- モビリティ・DX:現地三次元計測・地図整備:数量 64.8(現地計測・地図整備案件換算・件/年)× 価格 0.88(1件当たりの地図・計測受託売上(億円))→ 売上 57 億円・営業利益 10 億円。商用運行の拡大で現地計測・更新を継続受注。
- モビリティ・DX:自動運転システム構築・地図データ処理:数量 32.0(ソフト構築・地図編集案件換算・件/年)× 価格 0.41(1件当たりの受託売上(億円))→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。AIの工数代替が進み、案件換算数量は20%減少。
- モビリティ・DX:MMS機器・自動運転車両と付帯サービス:数量 16.0(計測車両・導入装置パッケージ換算・件/年)× 価格 1.06(1導入パッケージ当たり売上(億円))→ 売上 17 億円・営業利益 2 億円。導入車両・MMS機器パッケージを増販。
- その他:保有不動産賃貸:数量 1.0(賃貸資産換算・物件)× 価格 0.13(1物件換算の年間賃料(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。賃料は物価におおむね連動。
倍率:余剰現金30億円と税後利息0.42億円を除く事業ROE=(11.3−0.42)÷(116−30)=12.65%。k7.75%と残存割合1/2からRONIC約10.20%、g_long2.0%を使う正当化PERは13.981倍となる。事業利益に上限そのものを使い、現金価値22.5億円を別加算する。
確率:導入エリアの増加は実証実績に支えられる一方、自治体の財政負担、車両規格の統一、保守費の交渉が必要で、急成長の確率は高くない。補助金の事業化が数年続く上振れとした。
中立 32% 中立:現地作業は増えるがソフトの収益は細る 利益 7 億円 · PER 13.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 722 円115 億円
自治体が自動運転を導入する地域は増えるが、補助金のなくなった後に全地域が継続契約を結ぶわけではない。アイサンは現地三次元計測と地図更新の案件を増やし、十年先に年間50件相当を担う。測量機器や車両の納入も増えるが、世界の自動運転システムとの共同開発では主導権を握り切れない。
公共の測量CADは行政に必要な図面・測位の出力規格に対応し続ける。もっとも、画面の操作や点群編集はAIエージェントが代替するため、純粋なソフトと保守の顧客換算数量は2割減る。高齢化で測量事業者の数も減るが、現地の計測、機器保守、法定資格を使う業務は残る。
売上高は現地受託と機器の成長で増え、営業利益率は足元とほぼ同水準にとどまる。利益の一部は新製品開発と安全管理体制に再投資し、DOE3%前後の配当を続ける。増分投資の利回りは資本コストを大きく超えず、十年より先に高成長が続くと断言できない。
- 公共:測量CAD・三次元点群ソフトと保守:数量 3,200(継続顧客企業換算・社)× 価格 0.00(顧客1社当たり年間のソフト・保守等売上(億円))→ 売上 14 億円・営業利益 3 億円。AIエージェント代替で顧客換算数量0.80倍、価格1.10倍。
- 公共:測量機器・関連ハードとサービス:数量 323(測量機器販売パッケージ換算・件/年)× 価格 0.06(1販売パッケージ当たりの売上(億円))→ 売上 20 億円・営業利益 2 億円。実質販売パッケージは0.98倍、価格はほぼ物価上昇分。
- 公共:現地測量請負:数量 38.8(現地測量案件換算・件/年)× 価格 0.06(1件当たり年間の平均売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。成熟市場で案件数0.97倍、価格1.32倍。
- モビリティ・DX:現地三次元計測・地図整備:数量 50.1(現地計測・地図整備案件換算・件/年)× 価格 0.88(1件当たりの地図・計測受託売上(億円))→ 売上 44 億円・営業利益 7 億円。実装地域の増加により現地計測案件が1.43倍。
- モビリティ・DX:自動運転システム構築・地図データ処理:数量 26.8(ソフト構築・地図編集案件換算・件/年)× 価格 0.39(1件当たりの受託売上(億円))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。人月・工数型の数量0.67倍、価格1.26倍。
- モビリティ・DX:MMS機器・自動運転車両と付帯サービス:数量 13.0(計測車両・導入装置パッケージ換算・件/年)× 価格 1.06(1導入パッケージ当たり売上(億円))→ 売上 14 億円・営業利益 2 億円。車両・MMS機器の導入パッケージを13件へ拡大。
- その他:保有不動産賃貸:数量 1.0(賃貸資産換算・物件)× 価格 0.13(1物件換算の年間賃料(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。小規模賃貸の価格は物価に連動。
倍率:全社ROEは7.4÷102=7.25%だが、余剰現金28億円と税後利息0.392億円を除く事業ROE=(7.4−0.392)÷(102−28)=9.47%でk7.75%を超える。残存割合1/2のRONIC8.61%、長期g2.0%から正当化PER13.352倍の上限を使う。事業利益に掛け、現金実現分21億円を加える。現金と利息は二重に数えない。
確率:2026年3月期のモビリティ受託の増加と国の導入支援は確かな出発点だが、継続運行への移行率は見えていない。測量業者の減少とAIによる一部作業の代替も織り込み、最も頻度が高い筋書きにした。
やや悲観 25% やや悲観:実装需要は残るが採算を失う 利益 3 億円 · PER 11.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 280 円45 億円
無人運転サービスの採用地域は一定数にとどまり、自治体の予算縮小と車両規格の変化が続く。技術の中心を握るティアフォーや大手自動車・通信会社に合わせる側になり、アイサンは導入工事と計測に強いが価格交渉では弱い。現地計測の数量はほぼ横ばいで、MMSの納入は減る。
測量CADは福井コンピュータなどとの競争に加え、画面を介さず図面を出力するAIで顧客が減る。点群のデジタル編集受託は一段と縮み、顧客が直接自動化する部分が増える。更新が必要な道路の実測や国家資格を要する公共測量は残るため、事業が消えるわけではない。
固定的な研究開発費、人件費、運行安全費は簡単に減らない。利益率が低くなってもDOE方針に沿う配当はできる範囲で維持するが、増分のROEは資本コストに届かない。買収先の統制是正にも費用がかかり、純現金の厚みが下値の支えになる。
- 公共:測量CAD・三次元点群ソフトと保守:数量 2,800(継続顧客企業換算・社)× 価格 0.00(顧客1社当たり年間のソフト・保守等売上(億円))→ 売上 11 億円・営業利益 2 億円。ソフト顧客換算数量は7割に低下し、単価は横ばい。
- 公共:測量機器・関連ハードとサービス:数量 264(測量機器販売パッケージ換算・件/年)× 価格 0.05(1販売パッケージ当たりの売上(億円))→ 売上 15 億円・営業利益 1 億円。設備更新が遅れ、数量と実質単価の双方が弱い。
- 公共:現地測量請負:数量 32.0(現地測量案件換算・件/年)× 価格 0.05(1件当たり年間の平均売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。公共測量の入札競争が強まり案件数が減少。
- モビリティ・DX:現地三次元計測・地図整備:数量 35.7(現地計測・地図整備案件換算・件/年)× 価格 0.79(1件当たりの地図・計測受託売上(億円))→ 売上 28 億円・営業利益 4 億円。現地計測の実質数量はほぼ横ばい。
- モビリティ・DX:自動運転システム構築・地図データ処理:数量 22.0(ソフト構築・地図編集案件換算・件/年)× 価格 0.36(1件当たりの受託売上(億円))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。AI代替と外注価格圧力により受託数量0.55倍。
- モビリティ・DX:MMS機器・自動運転車両と付帯サービス:数量 9.0(計測車両・導入装置パッケージ換算・件/年)× 価格 0.93(1導入パッケージ当たり売上(億円))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。機器の導入案件が減少。
- その他:保有不動産賃貸:数量 1.0(賃貸資産換算・物件)× 価格 0.12(1物件換算の年間賃料(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。賃料回収と稼働率が小幅に低下。
倍率:ROE3.0÷83=3.61%はk7.75%以下で、PERは1÷k=12.90倍までが上限。価格交渉力低下と受託利益の不安定性からPER11.5倍とし、現金17億円の利息を利益から除き、戻り75%を加える。資産の税後床43億円も下回らない。
確率:受託拡大の大部分が公共の単年度予算に依存し、国産・海外の自動運転システムメーカーが主導権を握る可能性を相応に認めた。子会社の統制問題も収益再投資の評価を慎重にする理由である。
悲観 13% 悲観:技術の主導権を失い赤字へ 利益 −2 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 224 円36 億円
ティアフォーなどの共通ソフトと車載側の認識技術が進み、高精度地図や地域ごとに作る制御ソフトの必要量が減る。アイサンの受託案件は採算の悪い現地作業へ偏り、自動運転の実証を長期の保守契約に変える構想は実らない。MMSなどの機器も価格競争にさらされて台数が減る。
公共の測量CADは使い方が画面操作中心だった部分から顧客を失う。AIエージェントが点群を直接処理し、行政様式の最終確認だけを測量士が行うため、従来のライセンス販売が大きく縮む。測量士の現地確認は必要でも、既存の全国販売店網が価格の支えにはならない。
長期の資産償却と開発費が残り、2036年3月期には営業赤字へ転じる。前半に稼いだ利益で配当を行った後は縮小し、グループの再編と製品整理が避けられない。子会社不正の再発を断定せず、統制コストの重さと少数株主に還元されない現金の危うさを評価する。
- 公共:測量CAD・三次元点群ソフトと保守:数量 2,200(継続顧客企業換算・社)× 価格 0.00(顧客1社当たり年間のソフト・保守等売上(億円))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。CAD顧客換算数量0.55倍。価格も低下。
- 公共:測量機器・関連ハードとサービス:数量 205(測量機器販売パッケージ換算・件/年)× 価格 0.05(1販売パッケージ当たりの売上(億円))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。機器入札の値下げ競争と数量減少が同時発生。
- 公共:現地測量請負:数量 24.0(現地測量案件換算・件/年)× 価格 0.04(1件当たり年間の平均売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。現地作業は残るが労務費を価格転嫁できず赤字。
- モビリティ・DX:現地三次元計測・地図整備:数量 22.8(現地計測・地図整備案件換算・件/年)× 価格 0.71(1件当たりの地図・計測受託売上(億円))→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。地図・現地計測が外部プラットフォームの下請けへ後退。
- モビリティ・DX:自動運転システム構築・地図データ処理:数量 14.0(ソフト構築・地図編集案件換算・件/年)× 価格 0.28(1件当たりの受託売上(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。AIに置き換わる工数が多く数量0.35倍、赤字。
- モビリティ・DX:MMS機器・自動運転車両と付帯サービス:数量 6.0(計測車両・導入装置パッケージ換算・件/年)× 価格 0.80(1導入パッケージ当たり売上(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。販売案件減少と調達費負担により採算が崩れる。
- その他:保有不動産賃貸:数量 0.9(賃貸資産換算・物件)× 価格 0.11(1物件換算の年間賃料(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。小規模賃貸の収益は維持するが余剰利益は少ない。
倍率:2036年は赤字のためPERを使わず、現金・回収債権・投資有価証券・不動産の税後換金額から負債と事業継続資金を控除した床35.5億円を価値とする。床のPBR0.545315倍は2026年3月期の現在自己資本65.1億円に掛けるもので、2036年の自己資本75億円には掛けない。75億円は資本蓄積とROEの検証用であり、簿価が増えた分を悲観価値に上乗せしない。無形ソフト約3億円は換金価値を認めず、過去の市場倍率も根拠に使わない。
確率:自動運転の標準化で地図作成やシステム構築が外部プラットフォームに集約される状況と、公共測量ソフトのAI代替が重なる複合的な敗北である。倒産までは想定しないが、競争優位の喪失を明確に表した。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
公共:測量CAD・三次元点群ソフトと保守
測量CAD「Wingneo INFINITY」、点群処理「WingEarth」「ANIST」などのライセンスと年間保守。GUIを操作する業務ソフトで、AIエージェント代替の「席・操作画面型」に属する。
| 数量継続顧客企業換算・社 | 価格顧客1社当たり年間のソフト・保守等売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 4,000 | 0.00 | 15 | 4 |
| 10 年後 中立 | 3,200 | 0.00 | 14 | 3 |
取り方:2026年3月期短信の公共・自社ソフト/関連サービス15.451億円と公式事業案内のユーザー4,000社超を使用。4,000社は切りのよい下限の顧客換算値で、累計17,000ライセンスは稼働ID数ではない。単価約38.6万円は新規販売と年間保守を含む顧客当たり混合売上で、契約月額ではない。個別区分の利益は未開示につき公共部門利益5.882億円を内訳へ推計配賦。AIエージェント代替では中立の顧客換算数量0.80倍、単価1.10倍。
公共:測量機器・関連ハードとサービス
トータルステーション、三次元スキャナー、中古機器の販売・修理と付帯部材。実際に現地で測る装置なのでAIの画面代替とは別の需要である。
| 数量測量機器販売パッケージ換算・件/年 | 価格1販売パッケージ当たりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 330 | 0.05 | 15 | 2 |
| 10 年後 中立 | 323 | 0.06 | 20 | 2 |
取り方:2026年3月期公共の計測機器・関連13.96572億円と「その他」1.40198億円を、ハードと付帯サービスの合算15.36770億円として扱う。実出荷台数・単価は非開示のため、年330件程度の機器パッケージ、平均約466万円/件と仮定した分析用の台数換算であり、公開実数ではない。単価の外部目安は国交省のi-Construction講習資料が地上型レーザースキャナーを約300万円からとし(https://www.qsr.mlit.go.jp/oita/site_files/file/road_info/i-con/R7_i-con_02_keisoku.pdf)、国内販売情報には高機能機の約700〜1200万円の例がある(https://nohara-vdc.jp/matterport/blog/buy-or-outsource-3d-laser-scanner/)。高価な三次元スキャナーと普及型測量機器、修理・中古・付帯を含むパッケージ平均466万円の仮説とし、単品市場価格と混同しない。公共の原価と利益の残りを推計配賦。
公共:現地測量請負
道路、河川、土地の現地測量と測量成果物の納品。現場作業と測量士の資格が必要で、AIに代わらない現場の体が主である。
| 数量現地測量案件換算・件/年 | 価格1件当たり年間の平均売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 40.0 | 0.04 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 38.8 | 0.06 | 2 | 0 |
取り方:2026年3月期短信の公共の各種請負1.68586億円が出所。個別契約数は非開示で、年間40案件、平均約421万円/件という公共・民間の大小混在する便宜的な案件換算にした。入札単価や実際の測量距離は非開示であり、数量と単価は事実ではなく組み立て仮説。公共セグメントの利益588.174百万円との合計が一致するようコストを区分推計する。
モビリティ・DX:現地三次元計測・地図整備
MMS車両などによる道路・都市の現地計測と高精度3D地図作成。現地の計測・車両運行・安全検査はAIエージェントに代替されにくい。
| 数量現地計測・地図整備案件換算・件/年 | 価格1件当たりの地図・計測受託売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 35.0 | 0.66 | 23 | 3 |
| 10 年後 中立 | 50.1 | 0.88 | 44 | 7 |
取り方:2026年3月期モビリティ・DXの各種請負35.28325億円について、現場で機材・車両を動かして取得する部分65%、計測後のデジタル作成とシステム構築35%と推計配賦。この65%/35%は会社の開示ではない。現地側は約22.934億円を年間35案件、平均約0.655億円/案件へ換算した仮説で、全国累計130か所超の実証実績は年間受注件数として使っていない。業界数量は国交省の2027年度100か所超の自動運転社会実装目標と実道路の継続更新需要で検証。
モビリティ・DX:自動運転システム構築・地図データ処理
自動運転制御・管制などのシステム構築とデジタル地図編集・点群解析を納品する受託部分。人月・工数の代替が進むAIエージェント代替の「受託型」に分類する。
| 数量ソフト構築・地図編集案件換算・件/年 | 価格1件当たりの受託売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 40.0 | 0.31 | 12 | 1 |
| 10 年後 中立 | 26.8 | 0.39 | 10 | 1 |
取り方:短信モビリティ・DXの各種請負35.28325億円のうち35%を、人月・作業時間に影響を受ける社内データ処理・ソフト構築部分へ分析上配賦した12.34915億円。会社は作業時間の配分を開示していないので暫定推計である。年間40件、約0.309億円/件へ換算した。AIエージェント代替の中立で数量0.67倍、単価1.26倍、gは受託部分0%とする。自社AI商品の受注金額に裏付けられた上積みは認めていない。
モビリティ・DX:MMS機器・自動運転車両と付帯サービス
MMSや自動運転関連機器・車両、導入時の付帯装置・ハードウェアを販売する。部材調達と据付は物理的な付加価値である。
| 数量計測車両・導入装置パッケージ換算・件/年 | 価格1導入パッケージ当たり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 10.0 | 0.80 | 8 | 1 |
| 10 年後 中立 | 13.0 | 1.06 | 14 | 2 |
取り方:2026年3月期モビリティ・DXの計測機器・関連5.02730億円、同部門の「その他」2.90355億円、自社ソフト0.11582億円を付帯販売として合算した8.04667億円。独立ソフトは小さく付帯サービス扱いとした。台数非開示なので年間10導入パッケージ、約0.805億円/件で販売台数換算した推計で、年間の実MMS出荷は10台と確認できたわけではない。
その他:保有不動産賃貸
保有不動産の賃料収入。主力事業の技術成長とは別の小さな収益源である。
| 数量賃貸資産換算・物件 | 価格1物件換算の年間賃料(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1.0 | 0.10 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1.0 | 0.13 | 0 | 0 |
取り方:2026年3月期短信のその他セグメント不動産賃貸売上0.09694億円、利益0.05324億円が出所。件数・面積の内訳は未開示なので1件の賃貸資産換算とした。簿価や鑑定時価が特定できないため別途資産価値の上乗せをせず、家賃の稼ぐ力の中だけで評価する。
リスクと懸念
AIエージェント代替とCAD席数の減少
測量士の資格と現場計測は残っても、WingneoやANISTの画面で人が点群を編集する仕事はAIエージェントに代わりうる。公共ソフト約15.5億円は操作画面型として中立の顧客換算数量を10年で0.80倍、名目単価を1.10倍とした。解約率や独自データ保有の証拠が乏しく、法対応を理由に「記録の正本」型の強い堀として評価しない。
受託のAI代替と人月工数の消滅
モビリティ受託約35.3億円のうち、分析上約35%を地図編集とシステム構築の工数型と見た。現場車両の移動は必要でも、データの分類や制御ソフトの設定はAIが短縮できる。工数型の中立実質数量を0.67倍、価格を1.26倍に抑え、AIで受注が増えると決めつけていない。対象割合は非開示のため重要な推定不確実性がある。
地方自治体補助金と社会実装の採算
政府は2027年度までに100か所以上で無人自動運転サービスを実現する方針だが、実装地が10年にわたり採算の合う契約を更新する保証はない。補助金の対象が変われば実証や導入工事の件数が減り、車両販売やMMS地図作成まで連鎖する。年度末に納品が集中するため一つの案件の延期でも利益が大きく揺れる。
子会社秋測の不適切取引と買収後統制
2026年に秋測で架空売上や在庫を巡る不正が認定され、特別調査委員会の報告と再発防止策が公表された。金額以上に、仕入、出荷、記帳の職務分掌と監督が不十分だったことが問題である。計測機器を扱う子会社を増やすほど資本配分と監査費用が重くなり、利益が増えても株主価値を損なう恐れがある。
技術標準化による地図依存度の低下
自動運転が共通ソフトや車載センサー主体で進むと、地域ごとに高精度地図とシステムを構築する需要は想定ほど伸びない。ティアフォーなど技術基盤を供給する企業、ソフトバンク系BOLDLY、自動車メーカー、地図企業との共同作業の中で主導権を失うと、アイサンは価格を決めにくい現場下請けとなり利益率が落ちる。
現金と資本効率の見かけの安全性
純現金は厚いが、前受金、仕入債務、年度末の検収までに必要な運転資金を引くと、余裕資金は総額より小さい。保有投資株の価格変動やMMS・車両、ソフト開発への投資負担もある。資本コストを下回るROEのまま利益を留保すると、帳簿上の自己資本が増えてもその全額が株主価値になるわけではない。
今後の分かれ目
- 自動運転の実証後に3年以上の有償保守・運行契約が連続して開示され、ストック収益比率も上がったら
- モビリティの現場案件数と利益率を上方修正し、やや楽観の重みを増やす。売上に対する契約継続率と持分60%の利益帰属を確認する。
- WingneoとANISTの稼働契約数が3年連続増え、AI対応の値上げ実績と低解約率が数字で示されたら
- 公共ソフトの数量減少率を和らげ、操作画面だけではない独自データの堀を再評価する。二つ以上の証拠が揃うまでは「記録の正本」型に変更しない。
- 公共ソフトの更新販売が減少し、保守の解約や値下げが決算説明資料で確認されたら
- AIエージェント代替の下振れを強め、公共ソフトの単価と数量を引き下げる。現場機器の販売数量は別に評価する。
- 自動運転関連の請負受注残高が減り、年度末検収の遅延が2期以上続いたら
- モビリティの現地計測案件数を減らし、固定人件費の負担を営業利益率へ反映してやや悲観の確率を高める。
- 秋測の再発防止策が第三者により検証され、グループ全体の内部統制で新たな指摘が出なければ
- 買収統制の不確実さを徐々に減らし、留保現金の評価を見直す。再発時には資産の回収可能額と損失計上を優先して減額する。
- 営業利益率が2期連続で12%を超え、ROICが8%を安定的に上回ったら
- 受託の標準化による増分利益が実証されたとして中立の利益率と将来ROEを引き上げる。ただし倍率はkとRONICの式で再計算する。
見ておくもの
- 2027年3月期の売上80億円・営業利益8.5億円・ROE/ROIC8%とDOE3%の達成状況
- 公共のWingneo・ANISTの稼働契約数、更新単価、保守加入率と解約率
- モビリティ・DXの請負受注残高、年度末検収件数と受注利益率
- 自動運転の実証地域数ではなく継続課金の商用運行契約数
- 自治体の自動運転補助枠と国の100地域導入計画の進捗
- 秋測の再発防止策、内部統制報告と新たな不適切取引の有無
- 三次元計測とソフト工数の原価構成、受託1件当たり売上とAI導入後の価格
- 余剰現金、投資有価証券、配当DOE・株数・自社株買いの実績
倍率と資本コストの決め方
2026年10月22日の株価922円と分割後の純株数15,869,637株から現在時価総額146.32億円を確認した。ただし、利益や倍率を作る途中ではこの市場評価を使っていない。公共ソフト、現場機器、現地計測、デジタル受託を別にし、数量は顧客や現場案件の換算数、物価は単価だけへ入れた。受託の65:35分割と年案件換算は未開示なので仮説と明示する。
資本コストは基本7.5%に品質+0.25%を足した7.75%。AI代替を数量0.80倍・0.67倍と全社の長期g2.0%へ反映し、寿命の上乗せには再使用していない。中立の全社ROEは7.25%だが、余剰現金を外した事業ROEは9.47%となる。RONIC8.61%とg2.0%からPERの上限13.352倍を使う。余剰現金は現在25億円、10年後の筋書きごとに8〜30億円と明示し、利息との二重評価を避ける。2028年3月期からのリース会計変更は見かけの負債を変えるが、家賃の事業負担を消さない。悲観は過去のPBRではなく売れる資産の床を採用し、その倍率は現在の自己資本65.1億円を分母にして検算する。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債3%とリスクプレミアム4.5%の基本7.5%に、事業品質の0.25%を加えた。個別の秋測統制問題は確率と営業利益率で評価し、kには上乗せしない。