結論
テモナは定期購入通販の受注・顧客管理システムを提供し、顧客の売上に応じた決済手数料も受け取る会社である。筆者の結論は割高だ。EC市場そのものは拡大しても、同社の取扱アカウントと流通額は減り続けており、成長産業に属することと株主の利益が増えることは違う。2025年9月期は費用削減で黒字に戻したが、2026年6月までの9か月は主力のシステム障害も重なって再び営業赤字になった。
最も大きな変化は、テモナがもはや定期通販のソフト一本で稼ぐ会社ではないことだ。サックルによる受託開発・技術者サービスに加え、2024年に始めた設備の分割利用・金融事業が伸びている。ただし技術者の工数販売はAIに代わられやすく、金融事業は実物資産の取得と借入れが必要だ。新しい売上の拡大を、そのまま現金を生む能力の成長と見なせない。
2025年9月期の純現金は約5億円だったが、その後は賃貸資産を買い増した結果、2026年6月時点の借入控除後の現金は約1億円まで薄くなった。好調な時期に利益率が高かった記憶よりも、この資本の使われ方を重く見る。10年後の中立的な稼ぎから計算した価値は今の時価総額を大きく下回り、強い再成長が起きない限り、長く持つ株主に十分な安全域はない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主が確かめたいのは、テモナのシステムが何年たっても使われるかではない。同じ顧客に十年後も相応の料金を請求でき、設備と人員の維持に必要な投資を差し引いた後で、現金がどれだけ残るかである。定期購入という商売そのものは消えないが、注文を受け、顧客を管理する道具は変わる。利用企業の数が減り続けている間は、過去に積んだ業務ノウハウを永続的な高収益の根拠にはできない。
決済と物流の連携は実務上の乗り換え障壁になる。しかし契約が実際に減り、不正アクセスが起きた会社で、強い独占力や値上げ力を先取りして払うのは危険だ。AIが管理画面を不要にする場合、顧客はデータを守りながら裏側の処理だけを利用する。その処理基盤をテモナが担い続けられるか、それともShopifyや決済会社のAPIへ移るかは今からは読みにくい。
金融事業も見かけの成長率に惑わされやすい。顧客が毎月払う賃料には設備代金の回収が含まれ、その全額が自由な利益になるわけではない。設備を更新するための費用は物価とともに高くなり、金利負担も増える。2026年に賃貸資産が大幅に増え、純現金が縮んだ事実こそ、この転換の代償である。
したがって筆者は、継続課金の安定性より契約数の持続性を、売上の伸びより増分資本利益率を重視する。株主への現金還元がないため、帳簿上の余剰現金も額面どおりの価値とはしない。10年の利益が中立程度でとどまるなら、現在の時価総額との間に十分な安全域は見当たらない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は「サブスクストア」と旧製品「たまごリピート」である。健康食品、化粧品、食品などの定期通販を営む会社が、注文、顧客、配送、決済を継続して管理する。2025年9月末の両製品の契約アカウントは705件で、2022年の1,030件から減った。月額料金と顧客の販売額に連動した手数料を得る仕組みなので、利用企業が減ると固定課金だけでなく取扱高からの収入も傷む。
2025年9月期のEC支援売上約14.1億円のうち、両製品の利用料・開発・周辺収入が約8.4億円、決済等のGMV連動収入が約4.2億円、実店舗向け「サブスクアット」と法人取引向けシステムなどが約1.5億円だった。EC支援内の利益の内訳は会社が公表していないため、事業別の粗利特性に応じた推定にとどまる。「サブスクアット」は2027年に完全子会社AISへ移す予定だが、外部売却ではなく連結内の再配置である。
エンジニアリング事業は2022年に取得したサックルが担う。外部企業向けのシステム受託開発と、技術者のスキルを一定期間提供するSESが売り物であり、利用席数ではなく案件と人の稼働が数量となる。2025年9月期の外部売上は約4.1億円。関連する社員40人を手掛かりに、外部向け稼働の年間換算と案件単価を概算した。
第三の柱はサブスクソリューションズの「サブスククレジット」と「足場サブスク」である。建設足場や診療設備を顧客が月額で利用できるようにし、実物資産の取得・賃貸と資金回収から稼ぐ。2026年4月に累計取扱高6億円、契約120件を公表したが、取扱高は売上高ではない。設備を保有し続け、償却と貸倒れ、借換金利を負担した後の利益が株主の取り分になる。
優良さと弱いところ
強みは、定期購入という細かな業務に合わせ、カート、顧客管理、決済、発送をつないできた経験にある。導入した通販企業にとって乗り換えには注文履歴の移行、決済設定の再接続、顧客対応の再訓練が必要であり、翌日から簡単に別の仕組みに替えられるわけではない。販売額に連動する手数料は、顧客の事業が伸びればテモナも恩恵を受ける設計だ。
しかし、その強みは広い堀、すなわち競争相手が越えられない障壁にはなっていない。サブスクストアとたまごリピートの合計アカウントは3年で約3割減った。値上げ後も年解約率5%未満という開示も、法令対応が他社にできないという証拠も確認できない。2025年10月の不正アクセスに続き、翌期のたまごリピートのリカーリング収益は大きく落ちた。安全な注文管理という最も基礎的な信頼が揺らいだ点は、単なる一時費用以上に重要である。
資本効率もまだ回復していない。2021年には営業利益が4億円台だったが、2022年から3期連続で営業赤字となり、2024年には減損等で自己資本が傷んだ。2025年の黒字復帰には外注費・人件費削減が効いた一方、アカウント数そのものは回復しなかった。新しい金融事業はAIが置き換えにくい実物の資金供給で差別化できる反面、借入れと設備投資を増やす。利益の増分が、そこに投じた資本のコストを上回るかは未証明だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
追い風の大きさと取り分の大きさを分けて考える必要がある。経済産業省による2024年の国内BtoC電子商取引は26.1兆円、BtoBは514.4兆円に達した。ただしこれは通販全体の金額であり、定期購入向けカートのソフト市場ではない。テモナの2025年度取扱高1,223億円はBtoC市場の約0.47%に相当する規模だが、同社の取扱高には法人向けなども含むため、厳密な市場シェアとは呼べない。定期通販カートに限定した国内の契約母数や各社シェアは、比較可能な公的統計が見当たらない。
競争相手はecforceのSUPER STUDIO、W2の定期通販システム、リピスト、Shopifyの定期購入アプリなどである。さらに決済代行会社や大手ECサービスが注文から継続課金までまとめれば、小さな専業会社の交渉力は落ちる。どの競合が何%を占めるかを断定できないため、今後のシェアは契約アカウントと取扱高の変化で測る。中立では大きいEC市場が緩やかに伸びても、テモナの実質取扱額は縮むと見ている。
AIエージェントは業務担当者の代わりに受注確認、顧客対応、広告制作、カートの設定変更や簡単なシステム接続を実行できる。人が管理画面を操作することを前提にした機能と、工数で請求する受託開発の両方に値下げ圧力がかかる。決済記録そのものは残るが、その処理がテモナ経由である必然性は弱まる。国内情報サービス産業の2024年売上33.6兆円という大市場に比べ、同社の技術者事業は極めて小さい。大きな市場を理由に市場占有率の上昇を当然視しない。
設備金融には別の競争がある。2025年の国内リース取扱高は約5.1兆円で、三菱HCキャピタル、東京センチュリー、銀行系リース会社など資金調達力の強い相手がいる。足場や中小事業者向けの途中返却可能な仕組みは特色になるが、金利3%の長期国債という前提では調達金利も高くなり、貸倒れと残価損失を含めた利幅が問われる。
資本政策と M&A
資本配分には厳しい評価が必要だ。2022年にサックルとAISを取得して受託開発や広告・制作を足したが、その後の連結決算は3期連続赤字となり、買収時に計上したのれんの一部も減損した。2025年9月期の有報ではエンジニアリング関連に約1.6億円ののれんが残る。顧客基盤の相乗効果を宣言するだけでは足りず、この買収に使った資本がどれだけ利益として返ったかを見なければならない。
会社のFY22〜FY24の中期方針は、先に開発・採用へ投資し、FY23〜FY24に回収するというものだった。ところが両年度は営業赤字となり、当初の回収の道筋は実現しなかった。現行の経営方針はARRとGMVの拡大を掲げる。2025年有報には1人当たり売上高2,000万円、営業利益率20%という経営指標があるが、2025年実績はそれぞれ約1,546万円と8.5%にとどまる。公表中の2026年以降の中期計画には、年度別の売上・利益・ROEや配当性向・DOE・総還元性向・自社株買い額について確認できる数字の約束はない。
2025年まで無配が続き、2026年9月期も無配予想である。上位10株主の保有割合は2025年9月末で約68%と高く、過去5年間に株数を2%以上減らす買戻しも確認できない。そのため余剰資金の少数株主への戻り方は慎重に評価する。2026年10月のサブスクアットの完全子会社への移管は上場会社の売却ではなく、連結価値を直ちに増やす取引ではない。金融事業に現金と借入れを集中させる前に、既存顧客を守り、配当・自社株買いを含む資本規律を示してほしい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
定期通販の基盤には、売り手が別のソフトに替えるときの手間という実際の強みがある。販売履歴、定期配送、決済の継続課金、コールセンター、顧客別販促まで一体で動いており、乗り換えの際には単に画面を作り直すだけでは済まない。2025年のシステム障害から立ち直り、後継のサブスクストアへ顧客を移行させれば、解約を止めたうえで価格を安定させる余地はある。国内の通販市場が拡大し続ける限り、すべての事業者が一つの巨大な汎用カートを使うわけでもない。細かな定期購入の商慣行に詳しい事業者には専門製品への需要が残る。
金融事業は成長の起点をすでに示した。足場サブスクとサブスククレジットは2026年4月までに累計取扱高6億円、120件に達し、同年6月までの9か月では新事業としてセグメント黒字を出した。法人の設備調達はAIだけでは完結せず、実際の設備、審査、回収、返却の運用が必要である。設備残高を慎重に増やして貸倒れを抑えれば、定期通販ソフトに依存しない利益源になる。
サックルの技術者はAIに置き換わる仕事も多いが、要求定義や顧客の既存基盤への接続は残る。社内でAIを使って開発生産性を上げれば、人数を増やさず受託利益率を改善できる可能性がある。ただしAI新商品での売上額はまだ確認できず、楽観の契約数量は既存水準を超えない。強い筋書きは、失ったEC顧客を完全に取り戻すより、既存顧客の収益性と設備金融の選別成長で全社利益を伸ばす姿である。
慎重な見方
会社の最大の問題は市場が小さいことではなく、市場拡大の中でも利用顧客が減ったことである。サブスクストアとたまごリピートのアカウントは2022年9月の1,030件から2025年9月の705件に減り、2026年6月には586件になった。継続課金が安全な利益源であれば、これほど速い契約減少は起きにくい。2025年10月の不正アクセスは一度の損失で終わらず、取扱高と顧客の信頼を同時に傷つけた。代替先のecforce、W2、Shopifyには資金力と製品改良の速度があり、規模の小さい提供者が価格を上げて顧客を引き止めるのは難しい。
AIエージェントの代替は会社の弱い場所を直撃する。人がカートの管理画面で行っていた操作は自動化され、比較的標準的なシステム開発や広告制作は工数で請求しにくくなる。決済情報は残っても、その決済が必ずテモナを通るわけではない。正式な業界共通基盤でもなければ、年5%未満の低解約率も示せていない。同社のソフトを『記録の正本』という高い堀で評価する根拠はまだない。
新しい金融事業には別種の危険がある。2026年6月までに賃貸資産を大幅に増やし、借入金も積み増した。足場や医療機器は途中返却時に当初見込んだ価額で売れるとは限らない。顧客の倒産、金利上昇、設備価格の下落が重なると、売上の増加より先に現金が消える。2022年の買収後にのれんを抱えたまま赤字が続いた経験を考えると、成長分野への資本投入が必ず株主価値を増やすという前提は持てない。
どちらに重みを置いたか
定期通販の決済が残る点と設備金融の立ち上がりは評価する。しかし、システム障害の前から契約数が減少し、2026年もEC支援事業は営業赤字に陥った。好転の証拠より既に起きた毀損の方が強いため、やや悲観と悲観を合計40%とし、楽観側28%より厚くした。AIによる縮小は中立の数量と長期成長率に反映済みで、確率の下寄せは主に不正アクセス後の顧客離脱と金融事業の残価・資金繰りという別の不確実性による。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/09 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 132 円14 億円(+ 還元の換算額還元の合計 3 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 61 円7 億円、今との差 −65.7%、 期待の年率 −2.9%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 315 円34 億円 | 19 円2 億円 | +86.7% | +6.7% | 33 円4 億円 |
| やや楽観 | 18% | 216 円23 億円 | 5 円1 億円 | +23.3% | +2.1% | 40 円4 億円 |
| 中立 | 32% | 128 円14 億円 | 0 円0 億円 | −28.5% | −3.3% | 41 円4 億円 |
| やや悲観 | 25% | 51 円6 億円 | 0 円0 億円 | −71.3% | −11.7% | 13 円1 億円 |
| 悲観 | 15% | 49 円5 億円 | 0 円0 億円 | −72.9% | −12.2% | 7 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 132 円14 億円 | 3 円0 億円 | −25.0% | −2.9% | 134 円14 億円 |
今の株価時価総額 179 円19 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 既存契約を守り金融事業を選別拡大 利益 3 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 315 円34 億円
不正アクセス後のシステム再構築が功を奏し、サブスクストアへの移行も顧客流出を止める。注文管理や決済の連携で顧客から再び選ばれ、コア製品の契約アカウント数は705件を守る。物価上昇を含む価格改定や大口企業向けの追加開発が通り、既存顧客から得る収入が増える。GMVは実質で現水準を保ち、ネット通販全体の伸びを大手と分け合う。Shopify、ecforce、W2との競争でシェアを取り返すとまでは見ないが、減少を止めること自体が大きな改善になる。
サックルはAIを開発の道具に用い、同じ人数で複雑な案件を収める。社内の生産性向上は利益率の改善につながるが、AIエージェント製品として開示された売上はまだないため、技術者数量の拡大は見込まない。設備金融は契約先を慎重に選び、賃貸設備残高を15億円相当まで育てる。新しい機器への投資や借換えが必要でも延滞は抑えられ、金融事業の営業採算が安定する。2030年代には配当等による小規模の還元が始まり、10年間の利益の一部が株主へ渡る。
- 定期通販向けシステム・周辺開発:数量 705(サブスクストア+たまごリピートの契約アカウント数(件))× 価格 0.01(1アカウント当たり年間売上(億円/件、受託・付帯収入込み))→ 売上 10 億円・営業利益 2 億円。SaaS実質数量1.00倍、単価1.15倍。障害後の解約停止を条件とする。
- EC決済・取扱高連動手数料:数量 1,223(同社経由取扱高(2025年の実質価格換算・億円))× 価格 0.00(実質取扱高1億円に対する名目受取手数料(億円/億円、物価と料率変化込み))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。実質GMVを維持、取扱額の名目上昇は単価に反映。
- 店舗サブスク・法人向け・周辺制作:数量 182(店舗・B2B事業者の契約法人数(合算件))× 価格 0.01(1契約法人当たり年間売上(億円/件、BCモール等を含む))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。B2B・店舗顧客を維持、制作・BCモールの収益性が改善。
- サックルのエンジニアリング:数量 40.0(外販換算の年間稼働エンジニア人数(人年、推計))× 価格 0.14(外販換算1人年の年間売上(億円/人年))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。工数型の人数は増やさず、成果物の単価と生産性を改善。
- 設備サブスク・ファイナンス:数量 15.0(稼働する賃貸設備の2025年簿価換算残高(億円))× 価格 0.32(設備残高1億円当たり年間認識売上(億円/億円))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。実物賃貸設備の残高拡大。取得・残価・貸倒費用を差し引いた採算。
倍率:ROE=2.521÷19.2=13.1%、k8.25%、弱い堀の残存割合1/3よりRONICは約9.88%。ただしAIエージェント代替を受ける全社のg_longは名目0%なので、正当化PER=(1−0÷RONIC)÷(0.0825−0)=12.12倍を採用。事業利益は余剰現金1億円の利息0.014億円を外し、現金還元係数0.5を加える。30.89億円は今の市場PERを参照せず算出。
確率:EC契約数の流出を止め、同時に設備金融の残価・延滞を抑える二つの課題に成功する必要がある。AI商品の定量受注はないため、主力SaaSと人月の数量は現水準を超えない。
やや楽観 18% 解約の下げ止まりと金融の堅実な積み上げ 利益 2 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 216 円23 億円
たまごリピートの縮小は続くが、サブスクストアへの移行が進んでコアの契約アカウント数は635件程度で下げ止まる。新規導入と解約が均衡し、既存顧客には運用、物流、受注処理の機能を追加で提供する。EC経由の流通額は実質で現在より小さくなるものの、顧客の名目販売額と決済手数料はある程度持ちこたえる。競争の強いサービスでは値上げが物価に追い付かないが、信用を回復した顧客からは定期収入を得られる。
サックルは要求定義と複雑な接続案件に絞り、AIで単純作業を減らす。外販稼働人数は32人年相当まで減るが、顧客当たりの収入を厚くでき、利益率が改善する。金融事業は賃貸資産11億円相当まで伸びる。2026年のような急拡大に伴う仕入れ負担は落ち着き、延滞・残価損失も管理できる。成長投資がなお優先されるものの、後半には限定的な利益還元が始まる。買収は小規模に抑え、再度の大きなのれん減損を避ける十年となる。
- 定期通販向けシステム・周辺開発:数量 635(サブスクストア+たまごリピートの契約アカウント数(件))× 価格 0.01(1アカウント当たり年間売上(億円/件、受託・付帯収入込み))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。数量0.90倍、実効単価1.12倍。
- EC決済・取扱高連動手数料:数量 1,100(同社経由取扱高(2025年の実質価格換算・億円))× 価格 0.00(実質取扱高1億円に対する名目受取手数料(億円/億円、物価と料率変化込み))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。実質GMV0.90倍。決済手数料率の悪化を名目販売額が補う。
- 店舗サブスク・法人向け・周辺制作:数量 164(店舗・B2B事業者の契約法人数(合算件))× 価格 0.01(1契約法人当たり年間売上(億円/件、BCモール等を含む))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。店舗・B2B契約0.90倍。
- サックルのエンジニアリング:数量 32.0(外販換算の年間稼働エンジニア人数(人年、推計))× 価格 0.13(外販換算1人年の年間売上(億円/人年))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。工数数量0.80倍でも案件の高度化で採算改善。
- 設備サブスク・ファイナンス:数量 11.0(稼働する賃貸設備の2025年簿価換算残高(億円))× 価格 0.31(設備残高1億円当たり年間認識売上(億円/億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。借入・設備の拡大を抑制しつつ収益化。
倍率:ROE1.690÷15.8=10.7%でk8.25%超、弱い堀のRONIC約9.07%。g_long0%のため正当化PER上限は1÷k=12.12倍であり、そのまま使用。余剰現金利息0.014億円を除いてPERを適用し、残余現金1億円×戻り方0.5を追加する。
確率:障害対応の完了で解約が緩やかになり、足場サブスクを黒字のまま伸ばす余地はある。ただし定期購入カートで失った契約を回復するには競合からの奪還が必要。
中立 32% 残る定期課金と新規金融が既存事業の縮みを相殺 利益 1 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 128 円14 億円
定期通販市場は続くが、ECの顧客企業はより汎用的なクラウド基盤や決済サービスを選ぶ。主力2製品のアカウントは564件へ減り、10年間で約2割を失う。決済の処理は必要とされるが、AIエージェントが他社APIを使えるようになることで、同社の実質取扱高も減少する。単価は物価3%の伸びに届かず、値上げよりも解約を抑えることが優先課題となる。会社は受託・管理体制を整理して固定費を縮め、低い成長に合わせた規模に落ち着く。
受託開発とSESの稼働量は26人年相当へ減る。AIを使った開発効率化の一部は顧客に値引きとして移るため、労務費上昇をすべて料金に転嫁できない。店舗向けサービスも契約数を減らすが、BCモールの周辺業務は一定程度残る。設備金融では賃貸設備7億円相当の運用に成長し、事業利益を生む一方、更新投資と与信費用で利益の全額を自由な現金にはできない。株主還元を積極化する約束はなく、利益が出ても自己資本に留保される。収益は生き残るが、資本コストを上回る高収益企業には戻らない。
- 定期通販向けシステム・周辺開発:数量 564(サブスクストア+たまごリピートの契約アカウント数(件))× 価格 0.01(1アカウント当たり年間売上(億円/件、受託・付帯収入込み))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。AI画面型SaaS:数量0.80倍、価格1.08倍。
- EC決済・取扱高連動手数料:数量 978(同社経由取扱高(2025年の実質価格換算・億円))× 価格 0.00(実質取扱高1億円に対する名目受取手数料(億円/億円、物価と料率変化込み))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。決済導線の逸失で実質GMV0.80倍、実効手数料は名目1.13倍にとどまる。
- 店舗サブスク・法人向け・周辺制作:数量 146(店舗・B2B事業者の契約法人数(合算件))× 価格 0.01(1契約法人当たり年間売上(億円/件、BCモール等を含む))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。画面・制作の型:数量0.80倍、価格1.10倍。
- サックルのエンジニアリング:数量 26.0(外販換算の年間稼働エンジニア人数(人年、推計))× 価格 0.13(外販換算1人年の年間売上(億円/人年))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。工数販売型:数量0.65倍、価格1.25倍。
- 設備サブスク・ファイナンス:数量 7.0(稼働する賃貸設備の2025年簿価換算残高(億円))× 価格 0.29(設備残高1億円当たり年間認識売上(億円/億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。賃貸設備残高7億円、減価償却・借換え・貸倒引当後の利益率10%。
倍率:純利益0.915億円÷自己資本14.3億円=ROE6.4%でk8.25%に届かないため、長期に成長価値を加算しない上限PER1÷k=12.12倍。g_longは0%。正当化値は現金の税後利息0.014億円を除いた事業利益×12.12に、余剰現金1億円×戻り方0.5を足した約11.42億円。
確率:2025年の費用削減の効果は残るが、EC契約の減少が続き、AIによる画面操作・工数需要の圧縮が避けにくい。実物金融が一部を補う中心シナリオ。
やや悲観 25% 障害からの離脱が続き設備金融も縮小 利益 0 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 51 円6 億円
サブスクストアへの切替で離脱を止められず、コアの契約アカウントは475件に減る。決済取扱高は大口利用企業が競合の基盤へ移る影響で縮み、少額の決済手数料を積み上げる仕組みが痩せていく。顧客企業はAIエージェントによる自動接続を使い、注文管理の画面に高い費用を払わない。店舗向けサービスやWeb制作の採算も悪化し、費用削減によってかろうじて全社の営業黒字を維持する。
サックルは簡単な開発案件が自動化され、外販人員の仕事量が減る。稼働の途切れる人員費用をすぐには落とせず、同部門の利益はほぼ消える。フィンテックは新規設備の取得を絞り、設備残高は3.5億円相当へ縮小する。借入れの返済と契約済み設備の回収を優先し、ほとんどの利益を事業の運転と復旧費用に使う。市場全体が成長していても、テモナの収益基盤は弱くなったままだ。継続価値よりも、現金と回収可能な設備・債権が株主価値の支えになる。
- 定期通販向けシステム・周辺開発:数量 475(サブスクストア+たまごリピートの契約アカウント数(件))× 価格 0.01(1アカウント当たり年間売上(億円/件、受託・付帯収入込み))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。解約が続きコア契約数2025年の67%。
- EC決済・取扱高連動手数料:数量 790(同社経由取扱高(2025年の実質価格換算・億円))× 価格 0.00(実質取扱高1億円に対する名目受取手数料(億円/億円、物価と料率変化込み))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。決済経路の切替で実質GMV65%まで縮小。
- 店舗サブスク・法人向け・周辺制作:数量 115(店舗・B2B事業者の契約法人数(合算件))× 価格 0.01(1契約法人当たり年間売上(億円/件、BCモール等を含む))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。制作案件低迷と店舗顧客離脱で赤字。
- サックルのエンジニアリング:数量 19.0(外販換算の年間稼働エンジニア人数(人年、推計))× 価格 0.12(外販換算1人年の年間売上(億円/人年))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AI代替により外販工数が52.5%減り収支均衡。
- 設備サブスク・ファイナンス:数量 3.5(稼働する賃貸設備の2025年簿価換算残高(億円))× 価格 0.27(設備残高1億円当たり年間認識売上(億円/億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。既存契約の回収を優先し新規設備を抑える。
倍率:収益還元価値は純利益0.035億円÷資本コスト8.25%で約0.42億円にとどまるため、純現金と売却可能資産の税後回収価値5.50億円を優先する。2025年9月末の自己資本7.4億円を分母にした床のPBRは5.50÷7.4=約0.7432倍。2036年の自己資本6.7億円に床の倍率を掛けない。
確率:主力契約数とGMVの直近の落ち込みは現実の数字であり、追加のシステム投資と金融資産の回収が必要になれば営業利益が薄くなる。
悲観 15% 定期通販の地位喪失と金融資産の毀損 利益 −1 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 49 円5 億円
AIエージェントが定期注文、カスタマー対応、決済API接続を横断して実行し、利用企業はShopifyや他の大型EC基盤へ急速に移る。テモナのコア契約は350件へ半減し、GMVは実質で2025年度の4割程度しか残らない。決済代行会社との手数料交渉にも負け、既存システムの維持・セキュリティ費用だけが固定的にかかる。加盟店の取引履歴を持っていることだけでは、正本としての地位を守れない。
サックルの受託開発は人月課金が成り立たなくなり、稼働人員を減らしても採算割れが続く。過去の買収で計上したのれんが追加で減損し、配当どころではなくなる。フィンテック事業では設備の途中返却や延滞が増え、貸し出した資産を安値で処分する。金融の運用残高は縮小し、償却と借入金利が収益を上回る。取引先に対する債務を整理して企業として存続しても、かつての高収益ソフト会社とは全く違う姿だ。価値は利益の将来成長ではなく、税後で換価できる残余財産に近づく。
- 定期通販向けシステム・周辺開発:数量 350(サブスクストア+たまごリピートの契約アカウント数(件))× 価格 0.01(1アカウント当たり年間売上(億円/件、受託・付帯収入込み))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。AI置換・セキュリティ不信で契約数量約0.50倍、実効単価も減少。
- EC決済・取扱高連動手数料:数量 480(同社経由取扱高(2025年の実質価格換算・億円))× 価格 0.00(実質取扱高1億円に対する名目受取手数料(億円/億円、物価と料率変化込み))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。大口顧客の流出で実質GMV約0.39倍。
- 店舗サブスク・法人向け・周辺制作:数量 85.0(店舗・B2B事業者の契約法人数(合算件))× 価格 0.01(1契約法人当たり年間売上(億円/件、BCモール等を含む))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。顧客離脱と制作単価下落で構造的赤字。
- サックルのエンジニアリング:数量 14.0(外販換算の年間稼働エンジニア人数(人年、推計))× 価格 0.11(外販換算1人年の年間売上(億円/人年))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AIで技術者稼働が65%縮小し固定費が残る。
- 設備サブスク・ファイナンス:数量 1.3(稼働する賃貸設備の2025年簿価換算残高(億円))× 価格 0.24(設備残高1億円当たり年間認識売上(億円/億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。残価損失と信用損失、借換利払いで赤字。
倍率:継続的な営業赤字で純利益にPERを掛けると適切な価値が出ない。2025年9月期の純現金5.2億円と、2026年6月末の純現金・賃貸設備・債権の保守的な税後換価額を照合し、悲観の床を5.20億円とする。床のPBRは現時点の自己資本7.4億円に対して5.20÷7.4=約0.7027倍であり、2036年の損失後の自己資本4.5億円に掛けていない。
確率:決済基盤の顧客離脱に再度のシステム障害、設備顧客の延滞と残価下落が重なる複合危機。直近の契約減少と金融の借入拡大に照らし、発生確率を無視できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
定期通販向けシステム・周辺開発
サブスクストア・たまごリピートの月額利用、カスタマイズ受託、関連する周辺売上。管理画面課金と人月の混合。
| 数量サブスクストア+たまごリピートの契約アカウント数(件) | 価格1アカウント当たり年間売上(億円/件、受託・付帯収入込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 705 | 0.01 | 8 | 1 |
| 10 年後 中立 | 564 | 0.01 | 7 | 1 |
取り方:2025年有報のサブスクストア329件+たまごリピート376件=705件、両製品の利用料・受託開発・その他の合算売上8.37834億円を使用。1件当たり約118.8万円は月額利用料金そのものではなく、受託開発などを含む実効売上。営業利益0.74億円はEC支援事業全体の1.6117億円を収入源別に推定配分したもので会社の非開示数値ではない。AIエージェント代替の型は画面・席課金+一部人月であり、中立の数量0.80倍、実効単価1.08倍、長期g0%を採用。解約率5%未満や法規制に基づく値上げなど独立した堀の証拠2件はない。
EC決済・取扱高連動手数料
カート経由で発生した販売額に応じて、決済代行等の収入から所定料率を受け取る。直接の販売商品代金は売上に計上しない。
| 数量同社経由取扱高(2025年の実質価格換算・億円) | 価格実質取扱高1億円に対する名目受取手数料(億円/億円、物価と料率変化込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 1,223 | 0.00 | 4 | 1 |
| 10 年後 中立 | 978 | 0.00 | 4 | 1 |
取り方:2025年有報の取扱高GMV1,223億円とGMV連動収益4.247億円から会社帰属の実効受取率0.3473%を直接計算。EC支援営業利益のうち0.67億円を便宜配分するが区分利益は非開示。中立の数量は決済記録を扱う主力ソフトの離脱を考慮して実質0.80倍、価格はCPI1.34倍から代行会社・大型ECプラットフォームとの手数料競争を差し引いた1.13倍。単なる記録の正本と見なすには低解約率等の2つの証拠が不足し、AIエージェントが決済導線を別APIへ移すリスクを含む。
店舗サブスク・法人向け・周辺制作
サブスクアット、サブスクストアB2B、Web制作、BCモール関連など。ソフト利用料と制作・販促を併営。
| 数量店舗・B2B事業者の契約法人数(合算件) | 価格1契約法人当たり年間売上(億円/件、BCモール等を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 182 | 0.01 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 146 | 0.01 | 1 | 0 |
取り方:2025年有報のサブスクアット163社+B2B19社と、その他サービス売上1.50445億円を使用。単価は周辺制作を含む平均であり正式な月額契約単価ではない。EC支援の営業利益残額0.2017億円を便宜配分。2026年はBCモール収入が増えて構成比が変わるが持続利益は未確認。画面型SaaSと制作・運用人月が混在し、AIエージェント代替を中立数量0.80倍・名目実効単価1.10倍に織り込む。
サックルのエンジニアリング
システム受託開発とシステムエンジニアリングサービス。技術者が一定期間案件に参加する工数販売が中心。
| 数量外販換算の年間稼働エンジニア人数(人年、推計) | 価格外販換算1人年の年間売上(億円/人年) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 40.0 | 0.10 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 26.0 | 0.13 | 3 | 0 |
取り方:2025年有報のエンジニアリング外部売上4.11999億円、事業の従業員40人を単純な外販換算稼働人年の代理変数とし、1人年約1,030万円。実際の客先常駐人員・稼働率・契約単価は非開示で、内部取引約2.51億円は二重計上しない。AIエージェント代替の工数型に該当し、中立数量0.65倍、価格1.25倍(物価1.34倍以下)とした。
設備サブスク・ファイナンス
足場サブスク、サブスククレジットで企業設備を月額化する。賃貸設備の取得と運用が必要な金融・実物資産型。
| 数量稼働する賃貸設備の2025年簿価換算残高(億円) | 価格設備残高1億円当たり年間認識売上(億円/億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 0.3 | 0.28 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 7.0 | 0.29 | 2 | 0 |
取り方:2025年有報のフィンテック外部売上0.07579億円と期末賃貸資産簿価0.27464億円から年換算認識率を概算。稼働開始時期と契約期間が不明で、初年度の比率は将来の利回りを保証しない。2026年6月末の賃貸資産簿価は約5.28億円、2026年4月の契約累計120件・取扱高6億円は先行確認材料であり、2025年末を起点とする数量には加えない。実物資産と与信が中心で、画面操作や人月のAI代替型をこのセグメント全体には当てない。
リスクと懸念
AIエージェント代替
受注処理、定期課金管理画面、顧客対応、カスタマイズ開発、広告制作の価値は人の操作回数や工数から切り離される。中立でコアSaaS数量を0.80倍、SESを0.65倍にした。電子商取引と決済自体がなくなるのではなく、テモナを通らないAPIや大手基盤が増える危険である。
セキュリティ障害と解約の連鎖
2025年10月のたまごリピートへの不正アクセスは特別損失だけでは測れない。顧客が他社基盤に移れば、月額料金とGMV連動手数料が同時に失われる。復旧済みかどうかに加え、2026年以降のアカウント数と継続取扱高が回復するかを確認する必要がある。
競合プラットフォームの規模
ecforce、W2、Shopifyとその定期課金アプリは機能と連携先を増やせる。テモナは業界共通の決済台帳を独占しておらず、価格転嫁を強く主張できない。販売事業者が移れば決済代行会社からの手数料収入も消え、製品改善に使う原資まで減る悪循環になる。
設備サブスクの資産・金利・残価
設備金融の2026年6月末賃貸資産は約5.3億円に膨らみ、借入れも増加した。長期金利3%、短期金利2%という共通前提では調達費が上がり、途中返却時の売却損や顧客倒産の損失は契約売上に先行する。設備を買い続けないと収益が維持できない点はソフトの定期課金と違う。
買収、のれん、株主還元の欠如
サックルとAISを取り込んだ後、赤字期と減損が生じている。現金を使った新規事業は増えても配当・自社株買いによる還元は乏しい。支配的な株主構成のもとでは、少数株主が余剰資金の使途を変更できず、低いROEのまま利益を留保すると株主価値が積み上がりにくい。
健康食品・化粧品の定期通販規制
同社の古い顧客基盤には健康食品・化粧品を扱う定期通販業者が多い。景品表示法や特定商取引法に関する販売表示・勧誘規制への対応が厳しくなるほど一部の定期購入手法は採算が落ちる。顧客の売上減少はテモナのGMV手数料まで減らすため、単純なEC市場の成長とは逆向きに働く場合がある。
今後の分かれ目
- 主力2製品の契約アカウント数が四半期で底打ちし、2年以上連続で増加するなら
- AI代替にもかかわらず乗り換え障壁と新規獲得が効いている証拠となる。コア数量を中立0.80倍から上方に修正し、弱い堀の判断を再評価する。
- たまごリピート障害後のGMVが回復せず、2026年の月次・四半期の前年割れが常態化するなら
- 単発の障害費用でなく永久的な決済基盤の喪失と判断し、EC決済数量を下げ、やや悲観・悲観の確率を引き上げる。
- 設備金融の契約残高が増えても、貸倒れ・残価損失を含めた税後の増分ROICが資本コスト8.25%を3期続けて超えるなら
- 新しい事業の成長が本当のオーナー利益に変わった証拠となるため、設備残高と利益率を上方修正する。
- 有利子負債が現預金を超え、賃貸設備の取得資金を短期借入れで常時賄う状態になったら
- 資金繰りの安全性を再点検する。調達金利上昇を純利益に織り込み、余剰現金をゼロとし、換価可能な設備を保守的に評価する。
- 配当性向・総還元性向の具体的な目標が公表され、実際の増配・継続自社株買いが始まったら
- 現金の少数株主への戻り方を0.5から0.75または1.0へ変更する余地がある。利益の成長と区別して資本配分の改善として評価する。
- AIエージェント機能を独自の商品として販売し、金額が分かる継続売上が決算で確認できたら
- それまでは楽観でもソフト契約数量を2025年超としない。収益化した部分だけAIによる数量成長を認め、セグメントごとに長期成長率を見直す。
見ておくもの
- サブスクストアとたまごリピートの四半期末契約アカウント数、解約率、移行完了率
- EC事業の取扱GMV、手数料率、継続課金収入、障害後の顧客回復
- EC支援事業の営業利益率とセキュリティ対策費用
- サックルの外販技術者人年、実効単価、案件利益率
- 足場サブスクとサブスククレジットの契約件数、稼働設備残高、延滞率、残価損失、借換金利
- 現預金、有利子負債、賃貸設備簿価、のれん、営業キャッシュフロー
- 配当性向・DOE・自社株買いの数値目標と実行の有無
- AIエージェント関連の独自製品売上が金額で開示されるか
倍率と資本コストの決め方
2025年9月期の製品別のアカウント、取扱GMV、エンジニア人数、賃貸設備簿価を数量の起点とした。会社が開示していないセグメント内の利益配分と、工数・金融の実効単価は推定と明記した。10年の物価3%は名目価格側だけに考慮し、SaaSと工数ではAIによる低価格化・契約縮小を反映した。営業利益から純利益へは過去の正常時の比率を基礎に金融費用を控除した。
倍率は今の株価や比較企業の市場PERに合わせていない。資本コスト8.25%、ROE、弱い堀、2036年以後の名目成長率0%により、中立から楽観までの正当化PERは12.12倍。実物金融のため、残る利益の大きさと自己資本の増え方を別々に確認した。悲観は過去のPBR安値でなく2026年6月末の現金・借入・賃貸資産の保守的換価額で評価した。新リース会計基準による使用権資産・負債の両建ては、家賃を営業費用として見る利益価値と混同しない。悲観側の床は2025年9月期の純現金5.2億円を下回らせず、2026年6月末の賃貸設備・借入増加を別途突き合わせた。床のPBRは将来の積み上がった自己資本ではなく、今の自己資本7.4億円を分母にしている。最後にのみ時価総額約19.69億円と照合し、確率加重した現在価値約5.92億円、差約-70%という結論をそのまま受け入れた。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%による基本7.5%に、4項目の合計+0.75%を加えて8.25%。小型株の規模やベータの加算はしない。