結論
トランヴィアは、東邦システムサイエンスとランドコンピュータが2026年4月に統合して生まれた金融系に強いシステム開発会社である。長く持つ株主の目では、現在の時価総額368億円は割高と判断する。顧客との付き合いは長く、現金も厚いが、売上の大半が開発・導入・運用の工数に依存するため、AIエージェントが広がる10年間には従来どおりの成長を見込みにくい。利益を生む事業と、余裕のある貸借対照表を分けて評価することが肝心だ。
両社の2026年3月期売上を合算すると約309億円で、旧東邦の金融案件と旧ランドのSalesforce・SAP導入、インフラ運用が補い合う。統合後初めての四半期決算では金融システム開発の売上が半分を超え、銀行・保険向けの案件が基盤を支えている。一方、旧ランドでは前期に失注や不採算案件の反動で減収減益となった。統合だけで単価が上がるわけではないことを、既に数字が教えている。
2031年3月期の売上500億円という会社の目標は重く受け止める。ただし、受託工数を減らす技術の進歩と、顧客が自ら開発・運用する流れを無視して10年先へ延長するわけにはいかない。中立の10年後は利益19億円程度、株主への10年間の還元135億円程度と考える。5つの筋書きを資本コストで現在に戻すと価値は約231億円となり、現在値から約37%低い。財務の強さだけで事業の寿命を買わない、という結論である。
バリュー投資の観点から
10年持つ株主にとっての最初の問いは、金融システムがなくなるかではなく、誰がその保守と開発から利益を受け取るかである。金融機関の決済や保険契約の処理は10年先も残る。しかし、作業の多くがAIで自動化されるなら、発注者が同じ額を技術者の時間に払い続ける必然性はない。顧客の基幹システムを知るという蓄積を、成果に対する価格決定力へ変換できるかが会社の価値を分ける。
営業利益と株主が自由に使える現金も同じではない。合併後の会社は大型の工場投資を必要としないが、技術者の採用・教育、提携先への外注費、開発失敗の損失が避けられない。買収で生じたのれん償却は非現金費用とはいえ、買収に際して払った経済的な代価が大きかったことを示している。償却を機械的に全額足し戻して高い価値を与えるのは慎重でありたい。
現金預金の厚さは評価できる。借入金をほとんど使わず、保険・銀行の既存顧客が急に離れないなら、経営は変革に時間を使える。だが、株主から見れば、現金を保有しているだけでは資本コストを稼がない。高い配当を継続しつつ、工数販売から業務の成果や継続的な価値への転換を実現して初めて、再投資の利回りが資本コストを上回る。
長期の価値は過去の株価倍率から決めない。先行するAIの変化は予測しにくいため、財務の底堅さを認めながらも事業の超過利益には高い値を払わない。2031年の売上目標が実現しただけでは不十分で、収益の質と株主に戻る現金が改善したときに評価を改めるのが筋である。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は、金融機関が日々使うシステムの開発と改修だ。統合後の2027年3月期第1四半期には金融向けソフトウェア開発が38.46億円に達し、その中でも保険向けが20.66億円を占めた。銀行向けは8.81億円で、ネット銀行や大手金融機関の機能追加も対象となる。金融の業務を理解し、既存システムを止めずに仕様変更する能力が発注継続の理由である。
非金融開発では官公庁・流通・建設などの顧客にソフトウェアを納める。パッケージサービスでは旧ランドのSalesforce導入・開発、SAPや会計・人事パッケージの導入支援が主な売り物だ。顧客の利用料を自社だけで継続的に徴収する独自SaaSと、他社製品を使えるようにする仕事とでは、利益の守られ方が違う。会社開示に基づけば、後者の人手を伴う導入役務が大きい。
インフラサービスは銀行・通信会社のサーバーやクラウド基盤の構築・保守を担う。情報システムサービスは証券分野などの監視・運用が中心で、止められない業務ゆえの継続性はあるが、手順の自動化にもさらされる。法定の報告セグメントは単一の「ソフトウェア・サービス」であるため、以下の5区分は会社が開示するサービスラインを用いた分析上の区分だ。
統合前の年間売上は旧東邦182.81億円、旧ランド126.09億円で、単純合計が308.90億円となる。第1四半期の5区分と比較可能にするため、旧東邦の非金融売上の一部をインフラへ組み替えている。公表されていない契約件数と請求人月は、両社の人員規模および業界の役務単価を手掛かりに推定したものであり、実際の稼働人月ではない。
優良さと弱いところ
この会社の強みは、商品を独占していることではなく、金融の現場で失敗が許されない仕事をこなす経験にある。旧東邦は保険会社の基幹システムに深く入り、旧ランドは業務ソフトの導入・構築を積み重ねた。発注者は既存の仕様を理解した相手を簡単には替えないため、案件の継続には相応の壁がある。ただし、契約更新率や解約率が5%未満という数字、規制による独占権、値上げを通した継続実績は確認できない。
最大の弱点は、売るものが技術者の時間と結び付いていることだ。金融システムが今後も必要であることと、開発・保守の作業量が今後も必要であることは別問題である。生成AIによるコード生成や試験の自動化が進めば、顧客は同じシステムをより少ない外注時間で維持できる。付加価値を工数ではなく成果で値付けできなければ、強い顧客基盤も売上の防波堤にはなり切れない。
2026年6月末の自己資本は約250億円、現金預金は約138億円と厚い。ただし統合時の会計処理で約104億円ののれんが残り、帳簿の純資産のすべてが売って現金にできる資産ではない。旧2社はともに配当を継続してきた一方、旧ランドでは大型案件の失注と採算悪化が見られた。増分の投下資本利益率を長期にわたって資本コスト以上で保てるかについては、合併後の実績がまだなく、強い堀を認定するには証拠が足りない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のITサービス市場は、IDC Japanの推計で2025年に7兆5,663億円、2030年には10兆2,541億円へ拡大する見通しだ。企業は古い基幹システムの改修、クラウド移行、金融規制への対応を先送りしにくく、表面上の需要は底堅い。ITモダナイゼーションだけでも2025年の約1兆3,044億円から2030年に約2兆1,234億円へ広がるという予測がある。ただし、これは発注金額の市場予測であり、1件あたり必要な開発工数が増えるという意味ではない。
旧2社の売上を国内ITサービス市場と粗く比べるとシェアは約0.41%となる。TISの直近売上は約5,965億円、野村総合研究所は約8,147億円で、受託・基盤・共同利用などを抱える大手との規模差は大きい。両社の全社売上を同じ市場で割った比率は約7.9%と約10.8%だが、海外や非該当事業を含む参考上限であり、厳密な国内ITサービスシェアではない。金融、Salesforce導入、インフラ運用それぞれの市場分母と競合別シェアについては比較できる公表値がなく、断定できない。
金融開発ではNTTデータ、野村総合研究所、TIS、BIPROGYなどの大手に対し、専門性と継続受注で戦う。パッケージ導入では多数のSalesforce・SAPパートナーと競合し、製品の改定や顧客の内製化に左右される。AIエージェントが設計、コード作成、テスト、運用画面の操作を引き受け始めると、IT投資総額の増加がSI会社の人月売上増加につながらなくなる。2036年の中立では市場そのものが増えても同社の売上シェアが低下する、と考えるのが合理的だ。
資本政策と M&A
経営は2026年4月の共同株式移転で持株会社を設け、東邦システムサイエンスとランドコンピュータを傘下に収めた。統合による販路の相互利用、金融とパッケージ技術の組み合わせ、採用・管理業務の共通化を掲げている。旧ランドが公表した長期構想では2031年3月期の売上500億円が数値目標だが、同じ資料で営業利益、ROE、増分ROICの具体的な到達数値は確認できない。5年で売上を伸ばしても、それが低収益の人月仕事なら株主価値の増加は限られる。
統合会社の2027年3月期計画は売上328億円、営業利益36億円、純利益24.3億円である。同時に公表された年間配当の予想総額は約16.0億円、予想利益の約66%に相当する。旧東邦の2026年3月期配当総額は約7.79億円、旧ランドは約6.82億円だった。統合後については、配当性向の継続目標、DOE、総還元性向や自社株買いの具体額を中長期で拘束する数字の約束は確認できない。
従来2社の増配と配当実績を踏まえ、株主に返る余剰現金を額面どおり評価する。新たな株主優待は通常年の対象株主数を推定して年間約0.5億円の費用を見込み、10年の還元に加算した。2026年9月の子会社から持株会社への配当金受領はグループ内部の移動で、外部株主への配当とは区別する。統合で生じたのれんの償却は年約7億円が当面続く。成長のための買収を繰り返すなら買値と利益増加の関係を検証する必要があり、当面は統合会社の利益率と営業現金収支を実際に確認したい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
最大の資産は、統合によって銀行・証券・保険の深い知識と、Salesforce・SAP・インフラ基盤の実装能力が一つになったことだ。保険の基幹システムは長年の改修履歴と規制上の要求が積み重なり、安さだけで発注先を替えることは難しい。会社の第1四半期開示では保険向けだけで20億円を超える収入があり、実需が確かめられる。旧東邦の金融案件を起点に旧ランドのパッケージやクラウドの仕事を受注すれば、営業の重複を減らしながら顧客1社当たりの取り分を伸ばせる。
金融機関の基幹システムは寿命が長く、サイバー対策や制度改正のための改修を止められない。デジタル化の予算は国内で伸びており、顧客の手元にAIが普及しても、最終的な検証や責任の所在までは自動化しにくい。単価の上昇と標準化で採算を改善できれば、請求人月が減っても利益は増えうる。小さな会社だからこそ、大手が取らない細かな案件で専門性を磨く余地がある。
財務余力も見逃せない。現金と預金を厚く持ち、年度配当の予想は利益の約3分の2に届く。大きな投資を要さずに統合効果が出れば、増配と内部投資を両立できるだろう。ただし、これを根拠にAIエージェント製品の売上が急増するとまでは主張できない。実際の販売金額の開示がないため、強気でも既存の役務数量が無制限に伸びるとは見込まない。
慎重な見方
システム開発の売上は、最終的には顧客が外部に頼む作業量とその請求額の積である。AIエージェントが設計書の読み取り、プログラム修正、検証、クラウド運用を自律化すれば、長い取引関係を保ったまま受注金額だけが小さくなりうる。過去に人手不足が単価上昇を助けた局面と、次の10年を同じように見ることは危険だ。旧ランドの失注と売上減少は、既に顧客関係だけでは受注を守れないことを示した。
金融システムの重要性を、受託会社の独占権と取り違えてはいけない。契約の正本、データの権利、決済ネットワークを持つのは原則として顧客側や製品の提供会社だ。開示上、更新率の高さ、独自データの蓄積、継続値上げの実績を2つ以上確認できず、「記録の正本」の強い堀には分類できない。SalesforceやSAPの導入支援も、メーカー自身がAI機能を充実させれば工数が先細りする。
統合時に計上した約104億円ののれんは、株主の清算価値をその額だけ確実に高めるものではない。売上500億円への目標は野心的だが、規模を得るための追加買収は再びのれんを増やす可能性がある。利益率が悪化すれば配当は切り下がり、財務に見える厚さも人件費と失注対応で減る。仮に2036年に会社が存続しても、高い資本効率を保った優良企業としては扱われなくなる筋書きを重く見る必要がある。
どちらに重みを置いたか
金融の既存顧客と厚い純現金には防御力があるが、営業権の強さを証明する定量的な継続率や値上げ実績がないため、利益の再現性については慎重な見方が勝る。統合直後で事業の歴史が短く、旧ランドの売上減少も無視できない。楽観側28%に対し、やや悲観と悲観に合計40%を配分したのは、同社固有の金融向け受託比率と統合のれんを考えたためだ。中立には既にAIによる工数の減少を入れており、確率と資本コストで同じ損失を重ねていない。長期の適正価値が現在の時価総額を約37%下回るため、現時点の安全域は乏しい。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 746 円298 億円(+ 還元の換算額還元の合計 325 円130 億円)。 今の値に割り戻すと 577 円231 億円、今との差 −38.9%、 期待の年率 +1.5%(資本コスト 7.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 1,514 円605 億円 | 551 円220 億円 | +118.5% | +9.7% | 186 円74 億円 |
| やや楽観 | 19% | 1,138 円454 億円 | 451 円180 億円 | +68.1% | +6.4% | 302 円121 億円 |
| 中立 | 32% | 784 円313 億円 | 338 円135 億円 | +18.7% | +2.1% | 359 円143 億円 |
| やや悲観 | 25% | 385 円154 億円 | 250 円100 億円 | −32.7% | −4.7% | 159 円63 億円 |
| 悲観 | 15% | 313 円125 億円 | 125 円50 億円 | −53.6% | −8.4% | 66 円26 億円 |
| 加重平均 | 100% | 746 円298 億円 | 325 円130 億円 | +13.4% | +1.5% | 1,071 円428 億円 |
今の株価時価総額 945 円377 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 金融の強みを成果報酬に変えられる 利益 42 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,514 円605 億円
金融向けの契約関係と統合による販路の相互利用が機能し、銀行・保険の顧客へクラウドとパッケージを組み合わせた大きな案件を獲得する。AIエージェントは既存工数を減らすが、同社は契約設計と品質保証の責任を引き受け、案件単位で対価を確保できる。独自のエージェント製品が売れているとの公表額はないため、新製品の売上急増は見込まない。金融の人月相当数量は現在より僅かに小さくなるが、高付加価値案件と適切な採用・外注管理で単価と利益率が上がる。
2031年の売上500億円目標は強気でもなお届かない。ただし、旧ランドの不採算案件が解消し、サービスラインの利益率が大幅に上がることで、2036年の営業利益は62億円台になる。追加の買収は無理に追わず、統合で生じたのれん償却を吸収しながら配当を増やす。競争相手の大手SIが高額な大型案件に偏る間、金融の中型改修でシェアを落とさず、投下資本利益率を守ることが条件である。
- 金融向けソフトウェア開発:数量 10,260(年間請求人月相当数(人月、外注・製品再販を含む売上換算の推計))× 価格 0.02(1人月相当の売上(億円/人月、名目、外注・再販売を含む))→ 売上 206 億円・営業利益 39 億円。現状の人月相当0.98倍、名目単価1.34倍。金融の成果責任を引き受けて利益率19%を確保する。
- 非金融向けソフトウェア開発:数量 4,663(年間請求人月相当数(人月、外注・製品再販を含む売上換算の推計))× 価格 0.02(1人月相当の売上(億円/人月、名目、外注・再販売を含む))→ 売上 87 億円・営業利益 15 億円。現状の人月相当0.96倍、名目単価1.34倍。品質管理と標準化による利益率改善。
- パッケージ導入・業務アプリ:数量 2,553(年間請求人月相当数(人月、外注・製品再販を含む売上換算の推計))× 価格 0.02(1人月相当の売上(億円/人月、名目、外注・再販売を含む))→ 売上 47 億円・営業利益 8 億円。現状数量0.90倍、名目単価1.15倍。他社製品への依存は続くが高付加価値案件を選別する。
- インフラ構築・保守:数量 2,700(年間請求人月相当数(人月、外注・製品再販を含む売上換算の推計))× 価格 0.02(1人月相当の売上(億円/人月、名目、外注・再販売を含む))→ 売上 45 億円・営業利益 7 億円。現状数量0.96倍、名目単価1.34倍。高度な銀行・通信基盤の保守が採算を支える。
- 情報システム監視・運用:数量 319(年間請求人月相当数(人月、外注・製品再販を含む売上換算の推計))× 価格 0.01(1人月相当の売上(億円/人月、名目、外注・再販売を含む))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。現状数量0.96倍、名目単価1.34倍。自動化を生産性向上に取り込む。
倍率:AIエージェント代替のため2036年以降の名目成長率g_long=0%。k=7.75%、g=0%なら正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=12.903倍。純利益41.78億円から余剰現金80億円の税後想定利息1.4%を控除した事業利益に掛け、余剰現金80億円を加算する。現在・過去・同業のPERは使わない。
確率:この会社の金融特化と既存顧客への追加販売が実際に採算改善につながることを期待するが、2031年の公表目標に必要な新規案件獲得と工数販売からの転換の両方が成功する確率は高くないので9%とした。2026年6月末の自己資本約250億円+10年間の純利益合計約330億円−累計配当・優待・買戻し等220億円=360億円。還元は経常利益より確実に増える場合に限る。
やや楽観 19% 契約単価を守り統合効果を実現 利益 30 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,138 円454 億円
保険・銀行のシステム更改需要は続き、金融向けは他の開発に比べ案件を守る。旧東邦の顧客へ旧ランドのSalesforce・SAP導入やインフラサービスを提案する相乗効果も徐々に表れる。AIはプログラム作成と試験を短縮し、従来の人月請求は目減りする。それでも金融業務の調整や責任分担を担う能力が評価され、名目単価は物価並みに近い上昇を維持できる。
国内ITサービス市場は拡大するが、同社の市場シェアは横ばいから小幅縮小にとどまる。営業利益は約45億円となり、のれん償却の負担も吸収できる。増員を競う買収より、技術者の教育と契約当たりの粗利の改善に資金を使う。目標売上に未達でも株主還元は安定し、保守契約の増加が競合大手に対する交渉力を支える。
- 金融向けソフトウェア開発:数量 9,003(年間請求人月相当数(人月、外注・製品再販を含む売上換算の推計))× 価格 0.02(1人月相当の売上(億円/人月、名目、外注・再販売を含む))→ 売上 178 億円・営業利益 29 億円。現状数量0.86倍、名目単価1.32倍。金融案件の価格と採算を比較的よく守る。
- 非金融向けソフトウェア開発:数量 3,983(年間請求人月相当数(人月、外注・製品再販を含む売上換算の推計))× 価格 0.02(1人月相当の売上(億円/人月、名目、外注・再販売を含む))→ 売上 74 億円・営業利益 11 億円。現状数量0.82倍、名目単価1.32倍。高度な開発工程に重点を移す。
- パッケージ導入・業務アプリ:数量 2,440(年間請求人月相当数(人月、外注・製品再販を含む売上換算の推計))× 価格 0.02(1人月相当の売上(億円/人月、名目、外注・再販売を含む))→ 売上 45 億円・営業利益 7 億円。現状数量0.86倍、名目単価1.15倍。導入工数の縮小を付加価値化で補う。
- インフラ構築・保守:数量 2,362(年間請求人月相当数(人月、外注・製品再販を含む売上換算の推計))× 価格 0.02(1人月相当の売上(億円/人月、名目、外注・再販売を含む))→ 売上 39 億円・営業利益 5 億円。現状数量0.84倍、名目単価1.31倍。クラウド基盤の専門業務を維持する。
- 情報システム監視・運用:数量 299(年間請求人月相当数(人月、外注・製品再販を含む売上換算の推計))× 価格 0.01(1人月相当の売上(億円/人月、名目、外注・再販売を含む))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。現状数量0.90倍、名目単価1.32倍。運用自動化の利益を一部確保する。
倍率:k=7.75%、g_long=0%より正当化PER上限は1/k=12.903倍。AIによって将来の受託工数が伸びにくいので、現在の利益水準や市場倍率ではなく長期の稼ぐ力から決定した。純利益30.13億円から余剰現金80億円の利息1.4%を控除した利益を資本化し、現金80億円を加算した。
確率:金融分野の需要は現実にあり、統合後の初期計画が達成されれば利益の底上げが可能なため、上側では最も現実味のある19%を配分した。ただし人月需要の縮小までは免れない。起点250億円+10年間の純利益合計約270億円−配当・優待等180億円=340億円。
中立 32% AIで工数が減り、金融の顧客基盤は残る 利益 19 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 784 円313 億円
銀行・保険の基幹業務が残るため、主要顧客からの受注が突然なくなるわけではない。だがAIエージェントが設計、テスト、改修を実行し、顧客自身や大手元請けが下請けに回す仕事を減らす。金融の請求人月相当は10年間で約7割、非金融では約6割に縮む。名目単価は物価に近い範囲で上がるが、開発工数を穴埋めするほどの値上げは通らない。
Salesforce・SAPの導入業務も製品ベンダーの自動化機能で案件が小さくなり、契約単位の売上が減る。システム監視は必要だが自動運転化が進むため、継続契約が残っても作業量は小さくなる。国内のITサービス市場全体は増える一方、同社の総売上は約275億円に減り、粗い市場シェアも現在の約0.4%から低下する。統合済みののれん償却を吸収し、営業利益約29億円、純利益約19億円を維持する。
- 金融向けソフトウェア開発:数量 7,328(年間請求人月相当数(人月、外注・製品再販を含む売上換算の推計))× 価格 0.02(1人月相当の売上(億円/人月、名目、外注・再販売を含む))→ 売上 143 億円・営業利益 19 億円。AIエージェント代替:人月型。数量は現在の0.70倍、名目単価1.30倍。金融業務の難しさによって採算を一部維持する。
- 非金融向けソフトウェア開発:数量 3,060(年間請求人月相当数(人月、外注・製品再販を含む売上換算の推計))× 価格 0.02(1人月相当の売上(億円/人月、名目、外注・再販売を含む))→ 売上 56 億円・営業利益 7 億円。AIエージェント代替:人月型。数量0.63倍、単価1.30倍。汎用的な開発工程から工数を失う。
- パッケージ導入・業務アプリ:数量 2,213(年間請求人月相当数(人月、外注・製品再販を含む売上換算の推計))× 価格 0.02(1人月相当の売上(億円/人月、名目、外注・再販売を含む))→ 売上 40 億円・営業利益 6 億円。AIエージェント代替:席・UIおよび導入工数型。数量0.78倍、単価1.13倍。操作・設定の自動化による単価圧力。
- インフラ構築・保守:数量 2,025(年間請求人月相当数(人月、外注・製品再販を含む売上換算の推計))× 価格 0.02(1人月相当の売上(億円/人月、名目、外注・再販売を含む))→ 売上 33 億円・営業利益 4 億円。AIエージェント代替:受託工数型。数量0.72倍、単価1.30倍。手作業の保守が縮む。
- 情報システム監視・運用:数量 249(年間請求人月相当数(人月、外注・製品再販を含む売上換算の推計))× 価格 0.01(1人月相当の売上(億円/人月、名目、外注・再販売を含む))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:運用工数型。数量0.75倍、単価1.27倍。監視・対応の自動化。
倍率:2036年以降の名目成長g=0%、資本コストk=7.75%から、利益ベースの正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=12.903倍。中立ROEは純利益19.18億円÷自己資本330億円=約5.8%でk以下となるため、追加投資の超過利益を評価せず、1/kが上限。余剰現金80億円の利息1.4%を除いた利益に倍率を掛け、現金を加える。
確率:会社の顧客資産を全面否定するほどAI代替は速くない一方、過去の拡大率を長期に延長する根拠もない。金融の守られ方と人月商売の変質の両方を反映する最頻の32%とした。下に寄せる理由:旧ランドで現に失注・減益が起き、統合直後ののれんが大きく、価格決定力を示す解約率や値上げ実績が未開示のため、上側28%より下側40%を厚くする。起点250億円+10年間の純利益合計約215億円−配当・優待等135億円=330億円。
やや悲観 25% 値下げと内製化で利益が細る 利益 8 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 385 円154 億円
金融大手は生成AIの開発基盤を自社に取り込み、標準化した改修案件を発注しなくなる。残る仕事は高難度の連携や規制対応だが、大手元請けが利益率の高い部分を押さえる。旧ランドが経験したような失注や外注費の負担が続き、非金融の受託人月も半分近く減る。製品の設定や運用画面をAIエージェントが扱うようになり、パッケージ導入案件の単価にも圧力がかかる。
保守やインフラの受注は残るものの、価格交渉力を失い、売上は約210億円に縮小する。のれん償却と人材維持の固定費はすぐには下げられず、営業利益は約12億円、純利益は約8億円にとどまる。配当は減額されるが、初期に積んだ利益と手元現金から還元を続ける。競合との差を知る営業担当や技術者が離れれば、再投資の利回りも一段と悪化する。
- 金融向けソフトウェア開発:数量 5,758(年間請求人月相当数(人月、外注・製品再販を含む売上換算の推計))× 価格 0.02(1人月相当の売上(億円/人月、名目、外注・再販売を含む))→ 売上 104 億円・営業利益 10 億円。現状数量0.55倍、単価1.20倍。顧客が標準開発を内製化し、元請けが利益を確保する。
- 非金融向けソフトウェア開発:数量 2,671(年間請求人月相当数(人月、外注・製品再販を含む売上換算の推計))× 価格 0.02(1人月相当の売上(億円/人月、名目、外注・再販売を含む))→ 売上 44 億円・営業利益 4 億円。現状数量0.55倍、単価1.18倍。汎用的な受託開発の競争が厳しくなる。
- パッケージ導入・業務アプリ:数量 1,986(年間請求人月相当数(人月、外注・製品再販を含む売上換算の推計))× 価格 0.02(1人月相当の売上(億円/人月、名目、外注・再販売を含む))→ 売上 34 億円・営業利益 3 億円。現状数量0.70倍、単価1.06倍。製品メーカーの自動化によって導入案件が小型化する。
- インフラ構築・保守:数量 1,743(年間請求人月相当数(人月、外注・製品再販を含む売上換算の推計))× 価格 0.02(1人月相当の売上(億円/人月、名目、外注・再販売を含む))→ 売上 26 億円・営業利益 2 億円。現状数量0.62倍、単価1.20倍。クラウド運用の自動化と価格競争が続く。
- 情報システム監視・運用:数量 222(年間請求人月相当数(人月、外注・製品再販を含む売上換算の推計))× 価格 0.01(1人月相当の売上(億円/人月、名目、外注・再販売を含む))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。現状数量0.67倍、単価1.16倍。単純監視は自動化される。
倍率:資本コストk=7.75%に対し、2036年のROEは約2.7%で資本コストを下回る。長期成長率を名目0%とするため稼ぐ力の上限は1/k=12.903倍。余剰現金80億円はこの筋書きでは0.75倍の60億円として扱い、対応する利息0.84億円を純利益から除いて事業を評価する。のれんを含まない換金資産の床125億円よりこの稼ぐ力の価値が大きい。
確率:統合新設会社で連続した利益の実績がなく、旧ランドでは既に失注・減収が起きている。市場全体が伸びても受注構成が悪化するおそれがあるため、下側の主な筋書きに25%を配分した。起点250億円+10年間の純利益合計約150億円−配当・優待等100億円=300億円。2027年計画の配当水準は維持できない。
悲観 15% 受託モデルが構造的に敗れる 利益 −6 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 313 円125 億円
金融機関がAIエージェントと自社開発チームで保守・テスト・小規模改修を回すようになり、同社は業務責任の一部を担えても、請求できる技術者の時間を大幅に失う。非金融は安値競争に陥り、パッケージ導入もSalesforce・SAPが持つ自動化機能に侵食される。インフラ運用の単純な監視業務は消え、大手元請けがクラウド運用を集約する。金融の人月相当は約4割に落ち込み、会社全体の売上は約144億円に縮む。
給与・管理費、統合で生じたのれん償却が重く、営業損失は約9億円となる。事業価値は利益ベースでは支えられず、保有現金と売却可能な資産を税・のれん・繰延税金資産の調整後に評価する必要が生じる。大規模な追加M&Aには資金を投じず、減配を進め、のれんの一部減損によって会計上の自己資本が縮む。破綻ではなく、金融システム市場に参加しながら高い収益力を失う10年である。
- 金融向けソフトウェア開発:数量 4,188(年間請求人月相当数(人月、外注・製品再販を含む売上換算の推計))× 価格 0.02(1人月相当の売上(億円/人月、名目、外注・再販売を含む))→ 売上 70 億円・営業利益 2 億円。現状数量0.40倍、単価1.12倍。金融の既存案件は一部残るが、外部開発の工数が消える。
- 非金融向けソフトウェア開発:数量 1,943(年間請求人月相当数(人月、外注・製品再販を含む売上換算の推計))× 価格 0.02(1人月相当の売上(億円/人月、名目、外注・再販売を含む))→ 売上 30 億円・営業利益 −1 億円。現状数量0.40倍、単価1.10倍。汎用開発の競争に敗れ、営業赤字となる。
- パッケージ導入・業務アプリ:数量 1,504(年間請求人月相当数(人月、外注・製品再販を含む売上換算の推計))× 価格 0.02(1人月相当の売上(億円/人月、名目、外注・再販売を含む))→ 売上 24 億円・営業利益 0 億円。現状数量0.53倍、単価1.00倍。他社パッケージの自動設定に需要を奪われる。
- インフラ構築・保守:数量 1,265(年間請求人月相当数(人月、外注・製品再販を含む売上換算の推計))× 価格 0.01(1人月相当の売上(億円/人月、名目、外注・再販売を含む))→ 売上 18 億円・営業利益 −2 億円。現状数量0.45倍、単価1.12倍。技術者維持の固定費が売上減少を上回る。
- 情報システム監視・運用:数量 166(年間請求人月相当数(人月、外注・製品再販を含む売上換算の推計))× 価格 0.01(1人月相当の売上(億円/人月、名目、外注・再販売を含む))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。現状数量0.50倍、単価1.08倍。監視業務の自動化によって赤字化する。
倍率:2036年は営業赤字で純利益もマイナスのためPERは使わない。現在の株主資本約250.08億円から、のれん104.50億円、繰延税金資産9.48億円、回収不能・換金費用等約11.1億円を控除した税後換金価値約125億円を下値とする。2036年の自己資本205億円に対し、この資産価値125億円に対応するPBRは125÷205=約0.609756倍であり、時価総額125億円と整合する。現在の自己資本を用いた場合のPBR約0.50倍とは分母が異なるため区別した。市場の過去のPBRではなく、換金可能資産の価値を基礎に評価した。
確率:発注者の内製化、AIエージェントの普及、元請けによる契約囲い込みが同時に進む厳しい筋書きである。旧ランドの失注経験と大きなのれんを考慮し、まれとは言い切れず15%とした。起点250億円+10年間の純利益合計約40億円−配当・優待等50億円−のれん減損約35億円=205億円。事業単年度の赤字と初期年度の黒字を区別する。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
金融向けソフトウェア開発
銀行・保険・証券などの既存基幹系の開発・改修。金融の業務知識は必要だが受注の中心は人月・工数型。
| 数量年間請求人月相当数(人月、外注・製品再販を含む売上換算の推計) | 価格1人月相当の売上(億円/人月、名目、外注・再販売を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 10,469 | 0.02 | 157 | 16 |
| 10 年後 中立 | 7,328 | 0.02 | 143 | 19 |
取り方:2026/03旧東邦金融127.02億円+旧ランド金融SI30.01億円=157.03億円。公表人月・実現単価なし。仮定単価150万円/人月で約10,469人月に換算。2027/03第1四半期の金融38.46億円(保険20.66億円)で妥当性を照合。AIエージェント代替:人月型、2036年中立の数量0.70倍、単価1.30倍。
非金融向けソフトウェア開発
官公庁・流通・製造・建設などの受託開発と業務システムの更新。独自ライセンスより工数報酬に依存する。
| 数量年間請求人月相当数(人月、外注・製品再販を含む売上換算の推計) | 価格1人月相当の売上(億円/人月、名目、外注・再販売を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 4,857 | 0.01 | 68 | 6 |
| 10 年後 中立 | 3,060 | 0.02 | 56 | 7 |
取り方:2026/03旧東邦非金融52.46億円+旧ランド非金融SI39.96億円から、旧東邦のインフラ相当24.42億円を分離した分析用売上68.00億円。分離額は統合後2027/03第1四半期の非金融15.61億円・インフラ8.79億円の構成と整合する推定であり、旧東邦の公式内訳ではない。140万円/人月換算約4,857人月。AIエージェント代替:人月型、中立数量0.63倍、価格1.30倍。
パッケージ導入・業務アプリ
旧ランドのSalesforce、SAP、会計・人事システムなどの導入・追加開発。他社製品のUIと導入作業が中心である。
| 数量年間請求人月相当数(人月、外注・製品再販を含む売上換算の推計) | 価格1人月相当の売上(億円/人月、名目、外注・再販売を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,837 | 0.02 | 45 | 5 |
| 10 年後 中立 | 2,213 | 0.02 | 40 | 6 |
取り方:2026/03旧ランドのパッケージベースSI45.39億円(うちSalesforce18.04億円、SAP10.10億円ほか)をそのまま採用。ライセンス数・更新率と請求人月は未公表。再販売代金を含む仮定160万円/人月相当で約2,837人月。2027/03第1四半期は11.98億円。AIエージェント代替:席・UIと導入工数の複合型、中立数量0.78倍、価格1.13倍、独自の正本なし。
インフラ構築・保守
銀行・通信会社などのクラウド・オンプレミス基盤を設計、構築、保守する。現地・機器の仕事を含むが受託工数の比重が高い。
| 数量年間請求人月相当数(人月、外注・製品再販を含む売上換算の推計) | 価格1人月相当の売上(億円/人月、名目、外注・再販売を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,812 | 0.01 | 35 | 3 |
| 10 年後 中立 | 2,025 | 0.02 | 33 | 4 |
取り方:2026/03旧ランド開示のインフラ10.72億円に、旧東邦の非金融区分から再分類した24.42億円を加え約35.14億円。2027/03第1四半期の公式インフラ8.79億円を4倍すると35.16億円となり照合可能。仮定125万円/人月相当で約2,812人月。AIエージェント代替:設計・保守の工数型、中立数量0.72倍、単価1.30倍。
情報システム監視・運用
証券会社の情報システム監視、クラウド運用などの継続作業。
| 数量年間請求人月相当数(人月、外注・製品再販を含む売上換算の推計) | 価格1人月相当の売上(億円/人月、名目、外注・再販売を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 332 | 0.01 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 249 | 0.01 | 3 | 0 |
取り方:2026/03旧東邦の情報システムサービス3.32億円を採用し、仮定100万円/人月相当で332人月に換算。2027/03第1四半期の公式区分では0.78億円。継続契約数・単価とも未公表で、AIエージェント代替:運用工数・BPO型、中立数量0.75倍、価格1.27倍。
リスクと懸念
AIエージェント代替と人月課金の縮小
金融開発、非金融開発、インフラ設計、システム運用は人月・工数型であり、パッケージ導入も席・操作画面と実装工数に依存する。AIエージェントが設計・改修・テスト・画面操作を担えば、需要が残っても請求可能な作業量は減る。独自の記録の正本や成果報酬への転換を売上金額で示せなければ、長期の利益と価格決定力が同時に低下する。
金融顧客と元請けへの依存
第1四半期の金融向け売上は全体の約半分で、特に保険が大きい。顧客固有のシステムへの習熟は受注維持に役立つが、元請けの大手SIや金融機関自身が開発・保守を内製化すると取り分が減る。顧客別売上構成、直接契約比率、継続率の細かな数字は十分に開示されていないため、契約集中と交渉力を過大評価できない。
のれん104億円と統合の実行
2026年6月末に約104億円ののれんが計上され、年約7億円の償却が続く見通しだ。両社の営業や採用が一体化せず、案件の相互紹介が売上・利益に結び付かなければ、帳簿の純資産ほど換金価値はない。追加買収が同じ経路で無形資産を積み上げると、営業赤字への耐性と配当余力が同時に削られやすい。
採用難と不採算案件の再発
高い技能を持つ金融系エンジニアの採用・育成には時間がかかる。人件費や外注費が先に上がっても固定価格の契約に転嫁できなければ利益率は低下する。旧ランドでは大規模不採算案件の収束後も失注で2026年3月期の売上と営業利益が減少しており、規模の拡大だけで利益を保証できないことが示されている。
他社製パッケージへの依存
旧ランドのSalesforce・SAP・会計人事製品の導入支援は、製品ブランドと規格を顧客に提供する会社とは別の立場にある。製品会社が生成AIによる設定・統合の自動化を標準機能として提供したり、販売条件を変えたりすれば、導入パートナーの工数と再販売利益の双方が下がる。独自製品の解約率が低いことを根拠に防御力を評価することはできない。
現金の使途と株主還元の持続
統合後の現預金は厚いが、人件費、外注代金、退職給付、受注代金の回収期間に備える資金は自由に配れる現金ではない。約16億円の年間配当予想があっても、AIによる工数縮小が進めば配当を維持するために現金を取り崩すことになる。買収と株主還元の競合、減損や資本政策の変更には継続した監視が必要である。
今後の分かれ目
- 金融向けの成果報酬契約が金額付きで増え、直契約比率と継続率が開示されるなら
- 人月の減少を補う値決め力と堀の実証になる。金融の実質数量と価格、2036年以降の成長率を見直し、強気側の確率を引き上げる。
- 統合後の営業利益率がのれん償却後で継続して12%を超え、年度計画を達成するなら
- 採算管理と相互販売の実行力が立証される。中立の各サービス利益率と純利益を上方修正するが、AIによる長期の人月縮小は別に確認する。
- 金融向け請求人月、外注費、契約単価が前年を下回る傾向が2期続くなら
- 顧客関係は保てても金額を守れない兆候である。金融・非金融開発の数量を悲観寄りにし、還元見込みを減らす。
- 2031年3月期の売上500億円目標への進捗が買収抜きで裏付けられ、増分ROICが7.75%を超えるなら
- 成長が資本の価値を増やしていると判断できる。買収のれんと希薄化を同時に検証し、単に売上目標を達成しただけの場合は価値を引き上げない。
- のれん減損や大型固定価格案件の赤字が再発し、配当原資が利益を上回るなら
- 現金の厚さに頼る局面へ移ったと考える。やや悲観・悲観の確率を高め、余剰現金のうち本当に株主が回収できる額を再評価する。
- 国内ITサービス市場が成長しているのに会社の金融・パッケージ売上シェアが落ち続けるなら
- 需要不足ではなく相対的競争力の低下と捉える。数量前提と利益率を下げ、AIエージェントや顧客の内製化による構造的なシェア損失を調べる。
見ておくもの
- 2027年3月期の四半期ごとの金融・非金融・パッケージ・インフラ・運用5サービスライン売上
- 金融事業の銀行・保険別売上と元請け/直契約の割合、顧客継続率と案件単価
- 請求人月相当、外注費率、開発人員数、技術者1人当たり営業利益
- 経営統合後ののれん残高と償却・減損、営業キャッシュフロー
- 2031年売上500億円に向けた達成率と、利益・ROICを伴う有機的な成長
- 配当総額・株主優待費用・自社株買いの実額と純現金の残高
- 金融顧客のAI内製開発事例とSalesforce・SAPのエージェント機能による導入工数の変化
倍率と資本コストの決め方
2026年10月23日の株価と株数は時価総額の比較にだけ用い、2036年の事業利益・倍率の決定には用いていない。添付factsの2026年3月期実績は旧東邦側だけで、統合会社の売上・資本が欠けているため、売上は旧東邦と旧ランドの2026年3月期を合算し、統合後1四半期に公表された5区分で比較可能になるよう推定の内訳を調整した。公表されない請求人月はサービスライン売上と仮定単価から換算したもので、開示された実績数量ではない。AIエージェント代替の10年間の縮みは数量と単価、2036年以降の名目成長0%だけに反映した。資本コスト7.75%に対する正当化PER約12.90倍は長期成長0%の式から決め、同業の取引倍率には寄せていない。合併に伴う104億円ののれんと、2027年以後に適用される新リース会計の表示変更による見かけの負債増加を、営業利益の経済的価値と混同しない。悲観の資産価値は現在の自己資本から換金できないのれん等を除外し、現金を二重計上しない。悲観のPBRは2036年の自己資本205億円を分母とし、換金可能資産の床125億円と整合する約0.609756倍に修正した。現在の自己資本250億円を分母とした約0.50倍とは区別する。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%の計7.5%に、4区分の事業品質の合計0.25ポイントを加算した。個別の統合実行リスクは確率と業績で表した。
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- 旧ランドコンピュータ 経営統合に関する資料と2031年売上500億円の中長期目標
- トランヴィア 株主優待制度導入(2026年5月14日)
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- IDC Japanの2026年2月発表のITモダナイゼーション市場予測(IT Leaders)
- 東証 2026年4月1日付テクニカル上場概要
- TIS 2026年3月期・2027年3月期の業績概要
- 野村総合研究所 会社概要・2026年3月期売上