結論
CAICA DIGITALは、金融機関向けシステム開発を中心に、IoT機器、介護DX、Web3関連サービスを手掛ける企業グループである。筆者の結論は「割高」だ。長年の金融システム開発で築いた顧客との関係には価値があるが、それを継続的な高収益へ変える力は、まだ十分に証明されていない。
最大の問題は、売上の柱である受託開発が、AIエージェントによる工数削減の影響を直接受けることだ。金融システムの複雑さや安全性への要求は仕事を残す。しかし、必要な技術者の作業時間が減れば、人月で請求する収益は縮みうる。会社もその変化を認識し、AI駆動型開発やDXソリューションへの転換を進めているが、新しい収益モデルが従来の工数収入を置き換えた実績はまだ限定的である。
希望が持てるのは、ネクスのIoT機器と善光総合研究所の介護DXだ。介護ソフト「SCOP」は約1,200事業所に導入され、契約対象のベッド数も増えている。現場の記録と機器を結びつける仕組みには、受託開発よりも長持ちする事業を育てられる可能性がある。ただし、介護ソフト市場には大手の先行企業が多く、現在の規模ではグループ全体を支える利益を生み出すまでに時間がかかる。
資本配分にも厳しい目を向けたい。2022年から2023年にかけて大きな損失を計上し、その後も株式発行を伴う再編が続いた。2026年には善光総研の取得で多額ののれんが発生し、フィスコへの投資でも損失を計上した。資金調達や買収によって事業を維持・拡大する力と、既存株主の持分価値を増やす力は別物である。
10年後の中立では営業利益の回復を見込むが、自己資本に対する利益率はなお資本コストを下回る。確率加重した現在価値は約10.1億円で、基準時価総額約108.6億円を約90.7%下回る。これは将来の倒産を前提とした評価ではない。事業が存続し、一定の利益を生み続ける場合でも、現在の時価総額を正当化するには収益力の大幅な改善が必要だという判断である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社を保有する理由は、暗号資産やAIという流行の分野に名前があることではない。10年後も必要とされる顧客業務に関わり、その対価を利益として安定して受け取れるかが判断の中心になる。
金融システム開発は確かに必要とされ続ける。銀行や保険会社が重要なシステムを維持するには、業務に精通し、事故を防ぐ能力のある技術者が必要だ。しかし、顧客が長く付き合う業者であることと、株主が高い利回りを得られる会社であることは違う。顧客の業務が続いても、工数課金がAIエージェントに置き換えられれば、売上の経済性は変わる。
SCOPには、受託開発より望ましい事業の芽がある。介護記録が蓄積し、現場の機器とつながるほど、顧客にとって使い続ける理由が増える。これは将来的な価格維持力や継続課金の源になる。ただし、強い競合が存在し、現状では同社のソフトウェアが業界の標準になったわけではない。利用施設数の拡大だけでなく、解約率、顧客当たり収入、開発費控除後の利益を確認したい。
資本配分にはさらに慎重になる。利益を生む事業を買収したとしても、支払った対価が大きすぎれば株主は豊かにならない。CAICAでは新株発行による買収で自己資本が増えた一方、多額ののれんが発生した。持分法投資の評価損失も起きている。経営が新事業を創る意欲と、既存株主の1円を増やす能力は分けて評価する必要がある。
10年後の利益は中立でも現在より改善すると考えるが、その水準では資本コストを満たさない。のれんを含む自己資本の額をそのまま株式価値とは見なせず、事業の稼ぐ力を中心に評価すると安全域は大きく不足する。筆者は事業の変化を継続して観察する価値を認めるが、現時点では長く持つ株主が安心して資本を託せる収益構造になっていないと判断する。
何で稼ぐ会社か
CAICA DIGITALの事業は、2026年10月期からITサービス、金融サービス、IoT関連、介護DXの4つの報告セグメントで構成されている。介護DXについては収益の性質が異なるため、以下の分析ではSCOPの継続課金と、コンサルティング・人材育成を分けて考える。事業構造の転換期にあり、過去の連結売上高をそのまま将来へ延ばすことは適切ではない。
ITサービスの中核はCAICAテクノロジーズである。銀行、証券、保険、決済、公共などの顧客に対し、システムの設計、開発、試験、保守、運用を提供する。50年以上の金融システム開発実績があり、楽天グループ、東京海上日動火災保険、日本IBMなどとの取引実績が開示されている。2025年10月期のセグメント売上高は約51.9億円、利益は約6.1億円だった。グループ全体では、金融サービスの損失と持株会社の費用がこの利益を大きく削っている。
成長分野としているDXソリューションでは、海外ベンダーの製品を利用したシステム構築や導入支援を手掛ける。2026年にはAI駆動型開発を開始し、COBOL資産の刷新や脆弱性診断にも対象を広げた。従来の開発受託から成果や製品に対価が付く事業への転換を目指しているが、現時点ではAI関連の契約単価、継続課金額、独立した利益額が十分に開示されていない。
IoT関連事業は、2025年10月に完全子会社化したネクスが担う。法人向け通信ルーター、モデム、車両の状態を把握する通信機器などを販売する。ソフトウェアだけでなく実際の通信機器が必要な事業なので、AIエージェントによる操作業務の代替とは性質が違う。一方で、NECなどの大手通信機器メーカーや専業機器メーカーと競争し、製品更新と販売数量が業績を左右する。
介護DXは、2026年2月に子会社化した善光総合研究所が担う。介護現場向けソフトウェア「SCOP」は、介護記録、利用者情報、見守り機器との連携を提供する。約1,200事業所に導入され、契約アカウントは17,740ベッドとなった。同社は自治体や介護事業者への業務改善コンサルティング、ICT導入支援、スマート介護士の育成も行い、行政との関係を持つ。ただし、自治体案件は年度末の契約・検収に売上が集中するため、2026年の特定四半期の利益率を年間の実力とは見なせない。
金融サービスでは、自社発行のカイカコインやNFT販売サービス「INO Fine」などを扱う。暗号資産交換所Zaifの運営事業は2023年に売却済みであり、現在のグループが取引所手数料を継続的に受け取る構造ではない。2026年には金融サービスの外部売上高が暗号資産評価等の影響でマイナスとなる一方、事業損失が続いた。この領域は売上規模よりも、今後どれだけ資金流出を抑えられるかが株主価値に効く。
優良さと弱いところ
最も確かな強みは、金融システム開発で蓄積した業務知識と顧客との長い取引関係である。金融機関の基幹システムには安全性、監査対応、既存システムとの接続が求められるため、新しい業者に簡単には切り替えられない。ただし、これは強固な独占的地位とは異なる。最終的なシステムの所有者は顧客であり、会社が価格を自由に引き上げられる証拠や、長期の解約率に関する十分な開示はない。
ITサービス単体では2025年10月期に11%台の利益率を保った。高単価案件を選別した結果であり、経営が利益率を意識していることは評価できる。しかし、売上高は減少した。値決め力によって販売数量と価格の両方を伸ばしたのではなく、採算の低い仕事を減らしている面が強い。人月を販売する事業では、顧客のAI活用が進むほど、同じ成果に必要な請求工数が減る危険がある。
介護DXのSCOPには、より興味深い性質がある。介護記録と利用者情報が蓄積し、現場機器との接続が進めば、乗り換えの手間が増える。契約対象のベッド数が前年比26.9%増えたことも成長の証拠だ。しかし、年5%未満など数値で確認できる解約率、複数年の移行負担、規制対応の独占性、継続的な値上げ実績はまだ確認できない。したがって、SCOP全体を強い堀に守られた記録の正本として高く評価する段階ではない。
会社全体の資本効率は弱い。2025年10月期の自己資本は約36億円まで回復したが、その前には大幅な赤字と株式希薄化が繰り返された。2026年7月末の自己資本は約54.9億円へ増えたものの、これは主に株式交付による買収の結果であり、事業利益の蓄積によるものではない。増えた資本に十分な利益を付けられなければ、自己資本の厚さは株主価値を保証しない。
筆者は、金融システムの知識と介護データを評価しつつ、会社全体の堀は弱いと判断する。特定の技術や顧客関係には価値があっても、買収と本社費用を含めた最終利益が安定して資本コストを超える仕組みは、まだ出来上がっていない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内ITサービス市場は、業種ノートの前提で2025年に約7.5兆円と見る。IDC Japanは2026年の国内IT市場全体を約28.4兆円と予測しているが、こちらには機器なども含まれるため、ITサービス市場と同一視しない。大手ではTISの2026年3月期売上高が約5,965億円に達し、野村総合研究所、NTTデータ、富士通系、NEC系企業なども強い。CAICAのITサービス売上は国内ITサービス市場の約0.07%に相当し、価格形成を主導できる規模ではない。
業界全体では金融システムの刷新、老朽化した基幹システムの更新、クラウド化、安全対策などの需要が続く。一方で、AIエージェントが設計、プログラム作成、試験、保守作業を自動化するほど、売上を技術者の工数で積み上げる会社は収益構造の変更を迫られる。CAICAが提供を始めたAI駆動型開発は、この変化への適応策である。しかし、顧客が同じ仕事に支払う総額まで維持できるかは別の問題だ。
産業用IoT機器には、施設監視、設備保守、車両管理などの需要がある。富士キメラ総研が2021年に公表した調査では、2025年度の国内IoTゲートウェイ・IoTルーター市場を237億円と予測していた。ネクスのIoT関連売上を年間約6.8億円とすれば、市場規模に対する単純な比較値は約3%となる。ただし、商品構成や市場定義が異なるため、正式なシェアではない。NEC、サン電子などとの競争を考えると、ネクスに業界全体の価格を決める力はない。
介護ソフト市場は、人口構成の変化と人手不足を背景に需要が強い。厚生労働省の介護サービス施設・事業所調査では、活動中の施設・事業所数は延べ約22万件である。SCOPの約1,200事業所は、単純比較では0.5%程度にとどまる。競合にはエヌ・デーソフトウェアの「ほのぼのNEXT」、ワイズマン、エス・エム・エスの「カイポケ」、カナミックなどがあり、それぞれ大きな導入基盤を持つ。SCOPは現場機器との連携や導入支援で差別化を図る必要がある。
介護DXのうち、ソフトウェアの継続課金とコンサルティングは区別すべきだ。前者は記録データの蓄積や導入済み施設との関係に価値があるが、AIエージェントによって席数や画面操作の価値が減る可能性がある。後者は自治体の予算と人員投入量に左右され、AIによる資料作成や導入支援の自動化の影響を受ける。介護の現場業務そのものは消えないが、その周囲の情報処理に支払われる金額は変化する。
金融サービスのWeb3・NFT市場は、大手交換業者や広域プラットフォームとの競争が激しい。カイカコインとNFTサービスの成否を暗号資産市場全体の拡大だけから推測することはできない。自社サービスの有料利用件数と手数料収入が小さく、現段階では市場シェアを信頼できる形で推定できない。10年先には、金融SIと介護DXが利益の中心となり、Web3は収益化が確認された部分だけが残ると考える。
資本政策と M&A
資本配分の実績は、長期株主にとって最も厳しく評価すべき点だ。会社は暗号資産交換所や金融商品関連事業への参入と撤退を経験し、2023年にはZaif運営会社などの持分を売却した。2022年10月期は約62億円、2023年10月期は約39億円の最終赤字を計上した。事業の方向を何度も変えてきた結果、長期間保有した株主の持分価値が増え続けたとは言い難い。
その後は受託開発への回帰と再編を進め、2025年10月にネクスを株式交換で完全子会社化した。2026年2月には善光総合研究所を株式交付で子会社化し、資本剰余金が約27.3億円増加した。2026年7月末にはのれん約22.3億円が計上されている。さらにフィスコ株式の追加取得で持分法適用関連会社としたが、評価差額などに由来する投資損失が発生した。買収で増やした資産が、将来の株主利益を確実に増やすとは限らない。
2024年10月期から2026年10月期の中期経営計画では、最終年度の売上高78.13億円、営業利益4.67億円、営業利益率約6%を目標としていた。しかし、2025年10月期実績は売上高約52.0億円、営業利益約0.7億円だった。2026年10月期の会社予想は売上高61.66億円、営業利益1.07億円であり、当初計画と大きな差がある。2026年6月時点では2027年10月期以降の新しい中期計画は未定とされた。
株主還元について、配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い額の継続的な数値の約束は確認できない。2025年10月期の配当はゼロで、2026年10月期の期末配当予想も未定である。過去の株式増加は大きく、自社株買いによる継続的な持分縮小の実績も乏しい。利益が安定して増えない限り、今後の還元を大きく期待することはできない。
2026年7月末の現金及び預金は約12.2億円だが、同時に買掛金、未払金、預り金、給与関連費用などがある。投資有価証券も約6.1億円あり、その一部は戦略投資である。現金や投資資産の全額を自由に株主へ配れるとは見なさない。事業の運転資金を控除した余剰現金のみを別に評価し、株主に戻る割合は75%と判断した。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
CAICA DIGITALには、既存の財務数値だけでは測り切れない事業転換の余地がある。50年以上の金融システム開発実績と、大手顧客との取引関係は、新興のAI開発業者には容易に手に入らない。金融機関ではコードを作れることだけでなく、業務を理解し、監査や障害対応まで責任を持つことに対価が支払われる。AI駆動型開発を活用できれば、少ない人数で高付加価値な仕事を行い、受託開発の利益率を改善できる。
ネクスのIoT機器は、ソフトウェアの工数課金とは違い、通信機器という物理的な需要を持つ。5G、車両管理、設備監視が広がれば、既存顧客との関係を活かして販売数量を増やせる。介護DXでは、SCOPの17,740ベッドという契約基盤と、自治体・介護事業者への多数の支援実績がある。介護人材の不足は長く続く問題であり、介護記録、見守り機器、業務改善を一体で扱える企業への需要は増える可能性がある。
過去の暗号資産関連事業を整理し、金融SI、IoT、介護DXへ事業の柱を移していることも評価できる。新しい買収先ののれん償却が一巡し、持株会社費用を圧縮できれば、売上を大幅に増やさなくても連結利益は改善する。中長期で新しい収益の柱が定着すれば、現在の薄い利益率だけで会社の将来を判断するのは早計である。
ただし、この見方が成立するには、新事業の継続課金と利益が実際に積み上がる必要がある。顧客基盤や技術力は可能性の源泉であって、株主に帰属する利益そのものではない。転換の成功を確認できれば、今より高い事業評価につながる。
慎重な見方
最大の問題は、CAICA DIGITALが収益性を繰り返し失ってきた企業だという事実である。暗号資産事業への参入と撤退、多額の最終赤字、相次ぐ資本政策を経ても、グループ全体では十分な利益を生む体質になっていない。金融システム開発に専門性があることは認めるが、その利益の相当部分が本社費用や他事業の損失に吸収されている。
AIエージェントはこの構造をさらに厳しくする。金融SIの技術者は今後も必要だとしても、顧客に請求できる開発人月数が減る可能性は高い。会社がAI駆動型開発を提供し始めたことは適応への第一歩だが、顧客が同じ成果に対して従来の工数料金を払うとは限らない。むしろ開発生産性が上がった分だけ価格引下げを要求される可能性がある。高単価案件を選別しても、売上規模が縮めば固定費の負担は重くなる。
新たに取得したIoTと介護DXも万能ではない。通信機器の市場には大手が存在し、SCOPの導入規模は介護ソフト大手に大きく劣る。自治体向けのコンサルティングは年度末の検収と公的予算に左右される。これらの事業が伸びても、グループ全体の管理費、買収に伴う償却費、金融サービスの赤字を十分に賄えない可能性がある。
2026年には株式交付によって自己資本が増えたが、のれんも大きく増えた。資産規模の拡大を価値創造と混同してはならない。フィスコへの投資ではすでに損失が計上されている。今後も買収と株式発行が続けば、会社の事業が拡大しても既存株主の取り分は増えない。現在の時価総額は、まだ実証されていない将来の利益改善を過大に評価している。
どちらに重みを置いたか
金融システムの顧客関係とSCOPの契約基盤には確かな事業上の価値がある。しかし、長期株主が受け取る利益という基準では、慎重な見方の根拠がより強い。2022年から2023年の巨額赤字、株式希薄化、2026年の買収に伴うのれんと投資損失は、資本配分の弱さを示している。確率は楽観側25%、中立34%、悲観側41%とし、下側に16ポイント寄せた。AI代替による数量減少は各筋書きに反映済みであり、確率で重ね引きしたものではない。下側を厚くした理由は、会社固有の資本配分と利益の不安定さにある。中立でも現在の評価を支える利益が不足しており、結論は割高となる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/10 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 12 円22 億円(+ 還元の換算額還元の合計 0 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 6 円10 億円、今との差 −90.0%、 期待の年率 −14.0%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 34 円62 億円 | 2 円3 億円 | −35.5% | −4.4% | 3 円5 億円 |
| やや楽観 | 17% | 19 円34 億円 | 1 円1 億円 | −65.3% | −10.2% | 3 円6 億円 |
| 中立 | 34% | 12 円22 億円 | 0 円0 億円 | −77.9% | −14.0% | 4 円8 億円 |
| やや悲観 | 26% | 6 円10 億円 | 0 円0 億円 | −90.1% | −20.7% | 1 円3 億円 |
| 悲観 | 15% | 4 円8 億円 | 0 円0 億円 | −92.1% | −22.4% | 1 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 12 円22 億円 | 0 円0 億円 | −77.7% | −14.0% | 12 円23 億円 |
今の株価時価総額 56 円101 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 高収益案件への転換とIoT・介護DXの収益化が進む 利益 5 億円 · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 34 円62 億円
金融システム開発では、AIエージェントによって作業時間が減るものの、顧客は安全性と責任を持つ開発業者を必要とし続ける。CAICAは複雑な金融システムの更新、COBOL資産の刷新、セキュリティ対応など、単純なコード生成では代替されにくい領域へ業務を集中させる。従来よりも少ない工数で仕事を進め、高付加価値な案件を選別することで利益率が改善する。
ネクスのIoT機器は企業向け販路が広がり、産業通信や車両管理向けの製品販売を増やす。介護DXではSCOPの利用施設を維持し、記録と見守り機器の連携機能を深める。善光総研は自治体案件の採算管理にも成功し、従来より少ない人的負担で幅広い介護事業所を支援する。金融サービスでは不採算案件から撤退し、資金流出を小さくする。
経営が追加の大型買収を控え、既存事業の統合と本社費用削減に集中することが前提となる。これまで発生したのれん償却が概ね終わり、連結利益の改善が見えやすくなる。金融サービスの再拡大には依存せず、ITサービスとIoT機器の採算改善によって、営業利益は近年を大きく上回る。ただし、株主にとっての成果は、過去の損失を取り戻し、自己資本に見合った稼ぐ力を確立できるかで測る。
- ITサービス事業:数量 4,940(年間の請求可能な技術者稼働人月(人月、推定))× 価格 0.01(1人月当たり売上高(億円、人件費・外注費を含む平均請求単価))→ 売上 66 億円・営業利益 9 億円。人月数量は現在の0.95倍。単価は1.34倍。複雑な金融案件に集中し営業利益率14%。AI関連の単独売上額が未開示のため、楽観でも数量を現在超にしない。
- IoT関連事業:数量 18,000(通信機器の年間換算販売台数(台、推定))× 価格 0.00(1台当たり平均売上高(億円、推定))→ 売上 14 億円・営業利益 2 億円。販路拡大で年間換算1.8万台。単価は物価相当の1.34倍。売上拡大と製品構成改善で利益率12%。
- 介護DX事業:SCOPプラットフォーム:数量 17,740(契約対象ベッド数(ベッド))× 価格 0.00(1ベッド当たり年間継続売上高(億円、推定))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。契約ベッド数は現在並み。単価1.15倍。継続課金と開発費の効率化により利益率30%。
- 介護DX事業:コンサルティング・導入支援・人材育成:数量 1,900(年間の介護事業所支援案件換算数(件、推定))× 価格 0.00(1案件当たり平均年間売上高(億円、推定))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。支援案件数0.95倍、価格1.34倍。自治体案件の標準化で利益率25%。
- 金融サービス事業:数量 700(NFT等の年間有料取引案件換算数(件、推定))× 価格 0.00(1件当たり平均手数料・サービス売上高(億円、推定))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。年間700件の有料取引案件換算数に、平均手数料1.2万円を掛けて売上0.084億円とする。小規模な有料利用は継続するが、積極投資を避けて損失を縮小。
倍率:資本コストkは8.5%、10年より先のg_longは0%。10年後のROEは約6.4%で資本コストを下回るため、成長による超過価値を付けず、稼ぐ力の上限である1÷0.085=11.76倍をそのまま用いる。事業純利益は余剰現金2.0億円の税後利息約0.028億円を除く約5.172億円。事業純利益×正当化PERに、余剰現金の株主帰属見込額1.5億円を加える。
確率:AI駆動型開発の成果課金への転換、IoT機器の販路拡大、SCOPの継続課金維持、金融サービスの赤字縮小が同時に進む筋書きである。会社には各分野の技術と顧客接点があるが、これらを連結利益へ結びつける実績はまだ限定的なので8%とする。
やや楽観 17% 受託開発の高付加価値化と新規事業が部分的に成功 利益 3 億円 · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 19 円34 億円
金融システムの更新需要は続くが、AIによる開発工数の削減は避けられない。CAICAは低単価案件から撤退し、設計、検証、セキュリティ、運用といった専門性の高い仕事へ技術者を振り向ける。売上は大きく増えないものの、選別受注と開発効率化によって単体事業の採算は維持される。
IoT関連では、ネクスの5G・LTE製品が既存顧客への販売を広げる。産業通信需要の増加を取り込みつつ、競合との価格競争が残るため、利益率の改善は段階的なものになる。SCOPは記録管理や機器連携の需要を取り込み、既存契約の維持と顧客当たり収入の増加に成功する。
介護DXのコンサルティングでは、自治体向けの支援実績が次の受注につながる。ただし、人的な導入支援を完全にソフトウェア収入へ置き換えることはできない。金融サービスの赤字は縮小するが、利益の柱にはならない。追加買収は小規模な技術補完にとどめ、本社費用を管理することで連結営業利益を改善させる。自己資本は増えるものの、資本効率の改善は限定的である。
- ITサービス事業:数量 4,160(年間の請求可能な技術者稼働人月(人月、推定))× 価格 0.01(1人月当たり売上高(億円、人件費・外注費を含む平均請求単価))→ 売上 54 億円・営業利益 7 億円。人月数量0.80倍、価格1.30倍。高採算案件の比率上昇で利益率13%。
- IoT関連事業:数量 15,000(通信機器の年間換算販売台数(台、推定))× 価格 0.00(1台当たり平均売上高(億円、推定))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。年間換算1.5万台、価格1.30倍。販路拡大と製品構成改善で利益率10.5%。
- 介護DX事業:SCOPプラットフォーム:数量 16,500(契約対象ベッド数(ベッド))× 価格 0.00(1ベッド当たり年間継続売上高(億円、推定))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。契約ベッド数は現在の約0.93倍、価格1.125倍。継続利用を保ち利益率28%。
- 介護DX事業:コンサルティング・導入支援・人材育成:数量 1,600(年間の介護事業所支援案件換算数(件、推定))× 価格 0.00(1案件当たり平均年間売上高(億円、推定))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。案件数0.80倍、単価1.28倍。定型業務の効率化で利益率22%。
- 金融サービス事業:数量 600(NFT等の年間有料取引案件換算数(件、推定))× 価格 0.00(1件当たり平均手数料・サービス売上高(億円、推定))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。年間600件の有料取引案件換算数に、平均手数料1.1万円を掛けて売上0.066億円とする。NFT等の小規模サービスは続くが、投資を抑制し損失を縮小。
倍率:k8.5%、g_long0%、2036年ROE約4.0%。新規投資の利益率が資本コストを下回るため、PER上限は1÷k=11.76倍となる。事業純利益は余剰現金の税後利息を除いた約2.772億円であり、その稼ぐ力に余剰現金の株主帰属額1.5億円を加える。
確率:ITサービスの選別受注とIoT関連の拡大には実績があり、SCOPの導入も増加している。一方で、人的工数の減少を単価と効率化で十分補うには継続的な改善が必要であり、全面的な成功よりは現実味がある筋書きとして17%とする。
中立 34% AIで工数が減り、IoTと介護DXが一部を補う 利益 2 億円 · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 12 円22 億円
10年後も銀行や保険会社の基幹システムは存在し、設計、監査対応、安全性の確保、障害対応などに専門企業が関わり続ける。しかし、AIエージェントが開発、試験、資料作成、日常保守の多くを担うため、CAICAが顧客に請求できる工数は減少する。高単価案件への集中で一部を補うものの、ITサービス売上は現在より縮小する。
IoT関連では法人向けの通信機器需要が残り、ネクスの既存顧客への販売も続く。端末の数量は小幅に増えるが、業界全体を主導するメーカーにはならない。SCOPは利用施設を一定程度維持するものの、大手介護ソフトとの競争やAIによる画面操作の自動化によって、契約ベッド数と価格に圧力がかかる。
介護DXのコンサルティングは、自治体の支援予算と現場の導入需要に支えられる。ただし、資料作成や業務分析の自動化が進み、従来と同じ件数の人手を必要としなくなる。金融サービスは大きな成長を見込まず、赤字縮小と資金流出の抑制を優先する。
グループ全体では買収した事業が残り、合理化によって本社費用も抑えられる。のれん償却負担が一巡することも利益回復に寄与する。ただし、連結の純利益は増えた自己資本に対して小さく、再投資して資本コストを上回る収益性には届かない。会社は存続し、一定の事業利益を上げるが、長期株主のための高収益企業には変わり切れない。
- ITサービス事業:数量 3,380(年間の請求可能な技術者稼働人月(人月、推定))× 価格 0.01(1人月当たり売上高(億円、人件費・外注費を含む平均請求単価))→ 売上 43 億円・営業利益 5 億円。人月数量は0.65倍、価格1.26倍。AIによる工数削減と選別受注が同時に進み、利益率は12.5%。
- IoT関連事業:数量 13,200(通信機器の年間換算販売台数(台、推定))× 価格 0.00(1台当たり平均売上高(億円、推定))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。年間換算台数1.10倍、価格1.34倍。製品更新と販路拡大で利益率12%。
- 介護DX事業:SCOPプラットフォーム:数量 15,080(契約対象ベッド数(ベッド))× 価格 0.00(1ベッド当たり年間継続売上高(億円、推定))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。契約ベッド数は約0.85倍、価格1.10倍。競合とAI操作代替の圧力を受けつつ継続課金を維持。
- 介護DX事業:コンサルティング・導入支援・人材育成:数量 1,200(年間の介護事業所支援案件換算数(件、推定))× 価格 0.00(1案件当たり平均年間売上高(億円、推定))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。案件数0.60倍、単価1.30倍。自動化と少人数運営により利益率20%。
- 金融サービス事業:数量 400(NFT等の年間有料取引案件換算数(件、推定))× 価格 0.00(1件当たり平均手数料・サービス売上高(億円、推定))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。Web3関連の大規模投資を抑えるが、小規模サービスと管理費用は残る。
倍率:中立のROEは1.8÷65.0=約2.8%であり、k8.5%を大きく下回る。g_long0%の下で正当化PERは1÷k=11.76倍が上限となる。余剰現金2.0億円から生じる税後利息約0.028億円を純利益から外し、事業利益約1.772億円を評価する。これに余剰現金の株主帰属見込額1.5億円を加える。のれんを含む帳簿の自己資本に一律のPBRを掛けて価値を膨らませない。
確率:AI代替による人月減少を中心に据えつつ、IoT需要、SCOPの実際の契約数、金融システム開発の継続性を認める。新事業を全て失敗とも全て成功とも見ない筋書きであり、各分野の現在の実績に最も整合すると判断して34%とする。
やや悲観 26% 受託開発が縮み、買収事業の利益では本社費用を支えられない 利益 −3 億円 · PBR 0.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 6 円10 億円
金融システムの保守需要は残るが、開発と試験の自動化が想定以上に進み、CAICAの受託工数が減る。大手SIerは顧客の上流工程と運用基盤を囲い込み、CAICAのような中堅企業は価格交渉で不利になる。会社は高付加価値案件に絞るものの、固定的な人件費と管理費を十分に吸収できない。
IoT関連ではネクスの機器販売が競争にさらされ、販売数量が減る。SCOPは競合ソフトへの切り替えや機能の標準化によって一部顧客を失う。介護DXコンサルティングも自治体の予算削減とAIによる導入支援の自動化で案件数が減り、利益貢献が小さくなる。
金融サービスの再建は進まず、細かな新規企画に費用がかかり続ける。過去の再編で増えた持株会社機能と投資管理費用が重く、ITサービスの利益だけでは全社の費用を負担し切れない。経営は赤字事業の整理と人員削減を進めるが、十分な営業黒字には戻らない。
会社は直ちに清算されるわけではなく、金融システム開発の契約や通信機器の顧客は残る。しかし、新規投資による超過利益を期待できなくなり、株式価値は残った稼ぐ力と現金化できる資産に近づく。過去の株価やPBRの底を価値の根拠には使わない。
- ITサービス事業:数量 2,600(年間の請求可能な技術者稼働人月(人月、推定))× 価格 0.01(1人月当たり売上高(億円、人件費・外注費を含む平均請求単価))→ 売上 31 億円・営業利益 2 億円。人月数量0.50倍、価格1.20倍。高採算案件への集中でも稼働率を維持できず利益率8%。
- IoT関連事業:数量 9,600(通信機器の年間換算販売台数(台、推定))× 価格 0.00(1台当たり平均売上高(億円、推定))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。販売数量0.80倍、価格1.20倍。競争激化で利益率5%。
- 介護DX事業:SCOPプラットフォーム:数量 12,000(契約対象ベッド数(ベッド))× 価格 0.00(1ベッド当たり年間継続売上高(億円、推定))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。契約ベッド数減少と単価据え置きで利益率10%。
- 介護DX事業:コンサルティング・導入支援・人材育成:数量 1,000(年間の介護事業所支援案件換算数(件、推定))× 価格 0.00(1案件当たり平均年間売上高(億円、推定))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。支援案件数0.50倍、単価1.10倍。自治体予算の縮小と工数削減。
- 金融サービス事業:数量 150(NFT等の年間有料取引案件換算数(件、推定))× 価格 0.00(1件当たり平均手数料・サービス売上高(億円、推定))→ 売上 0 億円・営業利益 −1 億円。年間150件の有料取引案件換算数に、平均手数料0.8万円を掛けて売上0.012億円とする。NFTなどの小規模サービスは残るが、固定的な管理費を賄えない。
倍率:2036年には営業赤字が続き、利益によるPER評価が適さないため、売れる資産の税後価値を根拠とする。2025年10月期の自己資本約36.1億円に対するPBRは10.0÷36.1=約0.277倍である。2036年の自己資本も36.0億円と見込み、0.278倍を掛けた時価総額は約10.0億円となる。これは中立の時価総額22.35億円÷自己資本65.0億円=PBR約0.344倍を明確に下回る。事業の純利益がマイナスであるため、継続収益による正の価値は追加せず、売却可能資産の税後価値10.0億円だけを評価する。過去のPBRの谷や将来に積み上げた自己資本を床の根拠には使わない。
確率:下に寄せる理由:2022年から2023年の大幅赤字、2026年ののれん計上と持分法投資損失、利益を上回る本社費用の負担という会社固有の実績がある。AI代替による数量減少は各シナリオのIT売上にも反映済みであり、確率で同じ減少率を再度掛けていない。
悲観 15% AIと競争で主力事業が構造的に敗れ、資産処分へ向かう 利益 −7 億円 · PBR 0.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 4 円8 億円
AIエージェントが金融システムの設計、実装、試験、保守の標準作業を広く代替し、受託開発に必要な工数が大幅に減る。金融機関は少数の大手事業者に運用と安全対策を集約し、CAICAは上流の大型案件を失う。残った顧客には低価格での保守や既存システム対応を提供するが、人件費と品質管理費の負担が重く、利益率はマイナスとなる。
IoT関連では大手通信機器メーカーの量産・調達力に対抗できず、販売数量が半減する。SCOPも大手介護ソフトへの統合やAIエージェントによる操作機能の代替が進み、契約対象が大きく減る。介護DXコンサルティングでは自治体向け業務の定型化が進み、従来型の導入支援案件は大幅に減少する。金融サービスの新規企画も黒字化に至らない。
経営はグループ会社の売却、投資の整理、人員削減を進めるが、業績悪化が先行する。過去の株式交付で積み上がったのれんや投資資産の価値は維持できず、自己資本は大きく減る。追加の株式発行が必要になれば既存株主の持分価値はさらに損なわれる可能性があるが、未確定の将来発行株数を機械的に加えてはいない。
この段階では、事業に長期の超過利益を期待する理由はなくなる。現在の現金、回収可能な売掛金、処分できる投資資産の税後価値が主な評価根拠となる。ただし、少数株主がいつでも清算を要求できるわけではなく、赤字の継続による資産消耗が最大の危険である。
- ITサービス事業:数量 1,820(年間の請求可能な技術者稼働人月(人月、推定))× 価格 0.01(1人月当たり売上高(億円、人件費・外注費を含む平均請求単価))→ 売上 19 億円・営業利益 −1 億円。人月数量0.35倍、価格1.05倍。固定的な人件費と管理費が残り利益率マイナス3%。
- IoT関連事業:数量 6,000(通信機器の年間換算販売台数(台、推定))× 価格 0.00(1台当たり平均売上高(億円、推定))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。販売台数半減、単価横ばい。量産競争に負け営業赤字。
- 介護DX事業:SCOPプラットフォーム:数量 8,500(契約対象ベッド数(ベッド))× 価格 0.00(1ベッド当たり年間継続売上高(億円、推定))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。契約ベッド数は約0.48倍、単価0.90倍。保守・開発費を回収できない。
- 介護DX事業:コンサルティング・導入支援・人材育成:数量 700(年間の介護事業所支援案件換算数(件、推定))× 価格 0.00(1案件当たり平均年間売上高(億円、推定))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。支援案件数0.35倍、単価横ばい。自治体向け業務の自動化で採算悪化。
- 金融サービス事業:数量 0.0(NFT等の年間有料取引案件換算数(件、推定))× 価格 0.00(1件当たり平均手数料・サービス売上高(億円、推定))→ 売上 0 億円・営業利益 −1 億円。有料サービスはほぼ終了するが、整理費用と残存管理費が発生する。
倍率:事業の純利益が赤字であり、利益倍率による継続価値はゼロ以下となる。したがって、現在の現預金と回収・売却可能資産の税後価値だけを評価する。2025年10月期の自己資本36.1億円を基準として、8.0÷36.1=約0.222倍とする。2036年の自己資本18.0億円は赤字と減損によって毀損した後の残高であり、ここに床のPBRを掛けてはいない。中立のPBR約0.344倍、やや悲観の実効PBR約0.277倍をいずれも下回る。過去のPBRの底を根拠とせず、売れる資産と負債の差額を直接評価した結果である。
確率:金融システムの顧客関係が残るため直ちに事業消滅とは見ないが、大きな赤字と希薄化を過去に繰り返した実績がある。買収した介護DXやIoTが期待利益を生まず、投資資産と現金を使いながら縮小する複合的な悪化を15%とする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ITサービス事業
CAICAテクノロジーズなどによる金融システム開発、保守・運用、DXソリューション、AI駆動型開発。主として人月・工数で売る事業と判断する。
| 数量年間の請求可能な技術者稼働人月(人月、推定) | 価格1人月当たり売上高(億円、人件費・外注費を含む平均請求単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/10 | 5,200 | 0.01 | 52 | 6 |
| 10 年後 中立 | 3,380 | 0.01 | 43 | 5 |
取り方:2025年10月期のITサービス売上高約51.94億円、セグメント利益約6.09億円を会社資料から取得した。請求人月数は未開示のため、会社が過去の中期計画で示したパートナーを含むITサービス人員725人という目標を上限の参考にし、実際の稼働率と管理部門を考慮して年間5,200人月と推定した。51.94億円を5,200人月で割ると1人月当たり約99.9万円となる。これは開示された契約単価ではなく、売上を実際の数量単位で再構成するための推定値である。2026年10月期第3四半期のITサービス売上高37.81億円、利益4.38億円とも大きく矛盾しない。AIエージェント代替の型は人月・工数であり、中立数量を10年で0.65倍、価格を1.26倍、g_longを0%とする。AI駆動型開発の提供開始は確認できるが、独立したAIサービス売上額の開示がないため、楽観でも請求人月は現在を超えない。
IoT関連事業
ネクスによる法人向け5G・LTEルーター、通信モデム、車両・設備向けIoT通信機器の開発・販売。
| 数量通信機器の年間換算販売台数(台、推定) | 価格1台当たり平均売上高(億円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/10推定 | 12,000 | 0.00 | 7 | 0 |
| 10 年後 中立 | 13,200 | 0.00 | 10 | 1 |
取り方:2026年10月期第3四半期累計のIoT関連事業売上高5.11億円、営業利益0.28億円を起点に、9か月実績を12か月換算して売上約6.8億円、営業利益約0.38億円とした。通年実績ではない。製品別の出荷台数と単価は開示されていないため、法人用通信機器の平均売価を約5.68万円、年間販売数量を約1.2万台と仮定した。国内IoTゲートウェイ・ルーター市場については富士キメラ総研の2025年度237億円予測を参考にしたが、CAICAの製品構成とは完全には一致せず、市場シェアは暫定的な比較値にとどまる。通信機器自体はAIエージェント代替の対象外とし、製品数量は需要・競争・販路で、単価は物価と製品構成で見積もる。
介護DX事業:SCOPプラットフォーム
介護記録、利用者情報、見守り機器連携などを提供する介護現場向けソフトウェア。契約対象ベッドを数量として扱う。
| 数量契約対象ベッド数(ベッド) | 価格1ベッド当たり年間継続売上高(億円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/10推定 | 17,740 | 0.00 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 15,080 | 0.00 | 2 | 1 |
取り方:2026年9月の会社決算説明資料で、SCOP導入事業所約1,200、契約アカウント17,740ベッド、前年同期比26.9%増を確認した。SCOP単体の売上高と契約単価は未開示であるため、1ベッド当たり年1.2万円を仮定し、年間売上約2.13億円と推定した。これは実際の料金表を確認した数値ではない。介護DXセグメント全体では2026年3月から5月の売上4.50億円、利益1.37億円が連結されているが、自治体案件の年度末集中があるためSCOPの通年利益には転用しない。型は席課金に近い業務ソフトとし、記録の正本として扱うのに必要な数値付き解約率などの証拠は不足している。中立数量は現在の約0.85倍、価格は1.10倍とする。
介護DX事業:コンサルティング・導入支援・人材育成
善光総合研究所による自治体・介護事業者向けの業務改善、介護ICT導入支援、ロボット活用支援、研修事業。
| 数量年間の介護事業所支援案件換算数(件、推定) | 価格1案件当たり平均年間売上高(億円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/10推定 | 2,000 | 0.00 | 3 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1,200 | 0.00 | 2 | 0 |
取り方:会社の2026年9月決算説明資料では、直近1年に2,000法人超へのコンサルティング実績があり、全国約3,000事業所との接点を持つと説明されている。これは有料契約の実数ではないため、延べ支援先を案件換算数とする代理変数である。介護DX全体の売上とSCOPの推定継続売上の差を参考に、年間2,000案件、平均15万円、計3.0億円を試算した。公的事業の年度末偏重があるため、四半期売上の単純年率換算は採用しない。主な対価がコンサルタントの工数と研修・導入支援に依存するため、AIエージェント代替の人月・工数の型を適用し、中立数量0.60倍、価格1.30倍とする。
金融サービス事業
カイカコイン、NFT販売所INO Fine、Web3関連企画など。暗号資産取引所Zaifの運営手数料事業はすでに売却済み。
| 数量NFT等の年間有料取引案件換算数(件、推定) | 価格1件当たり平均手数料・サービス売上高(億円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/10 | 500 | 0.00 | 0 | −1 |
| 10 年後 中立 | 400 | 0.00 | 0 | 0 |
取り方:2025年10月期の金融サービス売上高約0.05億円、セグメント損失約1.17億円を起点にした。NFT取引件数や案件別の手数料は未開示であるため、年間500件、平均1万円という代理数量と単価を仮置きした。正式な契約件数や市場シェアを表すものではない。2026年10月期第3四半期には暗号資産の評価等の影響で外部売上高が約マイナス0.45億円、セグメント損失が約1.26億円となった。NFT販売・Web3サービスは新規利用者と手数料収入が確立していないため、中立で急成長を見込まず、事業費用の削減を主な改善要因とする。
リスクと懸念
AIエージェント代替による工数課金の崩壊
売上の中心は金融機関などに提供する人月型のシステム開発である。AIエージェントが設計、コーディング、試験、保守を自動化すれば、同じシステムを納品するための請求工数が減る。高単価案件への転換を進めても、顧客が開発の成果に対して従来と同額を払う保証はない。DXソリューションやAI駆動型開発の売上額が独立して確認できない現状では、AIを利益成長の確実な追い風と見ることはできない。
買収とのれんの回収不足
2026年に取得した善光総合研究所の連結によって、2026年7月末には約22.3億円ののれんが計上された。償却費は非現金費用だが、買収対価が既存株主の持分価値を減らしていないかという問題は残る。介護DXの収益が想定を下回れば、償却だけでなく追加の減損が起こりうる。2026年にはフィスコ関連の持分法投資損失も生じており、買収先の収益予想には慎重さが必要だ。
度重なる株式希薄化
過去には大幅な赤字を補う資本政策が繰り返され、2017年以降も発行株式数が大きく増えた。ネクスと善光総研の取得にも株式交換・株式交付が用いられている。企業全体の売上や自己資本が増えても、既存株主の持分価値が同じ割合で増えるとは限らない。将来の大型買収で再び新株を発行する場合には、買収対価と増加する稼ぐ力を比較する必要がある。
SCOPの競争と価格圧力
SCOPは介護現場の記録と機器連携を提供し、契約対象ベッド数も増加している。しかし、介護ソフト市場ではほのぼのNEXT、ワイズマン、カイポケ、カナミックなどがはるかに大きな導入基盤を持つ。規模の経済、法改正対応、販売網の差は簡単に埋まらない。AIが画面操作を代替し、複数システムのデータを横断して扱えるようになれば、契約ベッド数や利用画面への課金も見直しを迫られる。
金融サービスと投資資産の価格変動
Zaif運営事業の売却後も、カイカコイン、NFT、Web3関連サービスなどには市場流動性と規制のリスクが残る。実際に金融サービスの売上は小さく、2026年には暗号資産の評価等でマイナスとなった。また、フィスコなどとの資本関係は営業上の連携を生む可能性がある一方、投資損失や経営資源の分散にもつながる。株主にとって重要なのは話題性ではなく、継続的な手数料収入と資金流出の減少である。
本社費用と利益の薄さ
2026年10月期第3四半期累計では、ITサービス事業が約4.38億円の利益を上げた一方、持株会社などの調整費用は約3.65億円に達した。金融サービスの損失も重なり、連結営業利益は約1.12億円にとどまった。売上が伸びない状態で賃金、外注費、管理費が増えれば、事業単体の利益率が改善しても最終利益には残りにくい。AIや買収による事業拡大が本社費用の増加を伴うだけなら、資本効率は改善しない。
今後の分かれ目
- AI駆動型開発やDXソリューションについて、継続契約額と独立した利益額が開示され、工数減少を補うことが確認できたら
- ITサービスを単純な人月型だけで評価する必要がなくなる。成果課金による売上維持の根拠が確認できた範囲で、数量と単価の前提を上方修正する。
- ITサービスの売上が減少しても、セグメント利益率が15%前後で複数年安定したら
- 低採算案件の選別とAI利用による効率化が本物と判断し、やや楽観以上の利益前提に重みを移す。ただし全社の本社費用も同時に確認する。
- SCOPの契約ベッド数が増え、数値で示された解約率が年5%未満となり、値上げ実績も確認できたら
- 記録の正本としての堀が強まった可能性を認める。継続課金部分の長期成長率と利益率を再評価し、AI代替の一律的な席課金の見方から切り離す。
- 善光総研の利益が年間を通して安定せず、のれんの追加減損が発生したら
- 買収の収益力と資本配分能力を下方修正する。介護DXの成長率だけでなく自己資本の毀損と株主の追加希薄化の可能性も見直す。
- 2027年10月期以降の新しい中期経営計画で、ROE、営業利益、配当性向、自社株買い額を具体的に約束し、実行が始まったら
- 株主還元と資本効率の改善を評価する。特に営業利益の伸びが買収対価と本社費用を上回るか、株数当たりの価値が増えているかを見る。
- フィスコなどへの追加投資や新株発行を伴う大型買収が繰り返されたら
- 株主への利益還元より事業拡大を優先していると判断し、買収の収益寄与が確認できるまで慎重側の確率を引き上げる。
見ておくもの
- ITサービスの売上高、セグメント利益率、開示される技術者数とパートナー稼働状況
- AI駆動型開発・DXソリューションの独立した受注額、継続契約額、成果課金の比率
- SCOPの導入事業所数、契約ベッド数、年次解約率、契約単価
- 善光総研の年度末集中を除いた通年利益と自治体向け案件の採算
- IoT関連事業の製品別販売台数、平均単価、営業利益率
- 金融サービスの営業損失と投資有価証券・持分法損益
- 連結の本社費用と営業利益・純利益の差
- 善光総研買収に伴うのれん残高、年間償却額、追加減損の有無
- 発行済株式数、自己株式、株式交換・株式交付に伴う既存株主の持分変化
- 2027年10月期以降の中期経営計画におけるROEと株主還元の数値目標
倍率と資本コストの決め方
10年後の売上は、ITサービスを技術者の請求人月数と平均単価、IoTを販売台数と平均価格、SCOPを契約ベッド数と年間単価、介護コンサルティングを支援案件数と平均収入、金融サービスを有料取引案件数と手数料から組み立てた。会社が数量と単価を開示していない部分は、実績売上や会社が示した導入件数から推定した。金融サービスの楽観・やや楽観・やや悲観についても数量×価格と売上を一致させた。AIエージェント代替は人月と席課金の数量・価格、およびg_longに反映し、資本コストの寿命には重ねていない。
倍率は現在や過去のPER・PBRを根拠にしない。k8.5%、g_long0%、2036年のROEから稼ぐ力を評価し、楽観から中立は正当化PERの上限11.76倍をそのまま採用した。悲観側は利益が赤字となるため、現在の現金・回収可能債権・処分可能な投資資産から、負債、処分費用、のれん等の実体のない資産を除いた税後資産価値を用いた。やや悲観の床を10.0億円、悲観の床を8.0億円とし、前回の15.2億円から債権回収率と処分費用を保守的に見直した。床のPBRは現在の自己資本約36.1億円を基準とし、将来積み上がる自己資本には掛けない。実効PBRは中立約0.344倍、やや悲観約0.277倍、悲観約0.222倍の順に低下する。
楽観62.35億円、やや楽観34.11億円、中立22.35億円、やや悲観10.0億円、悲観8.0億円の10年後時価総額に、8%、17%、34%、26%、15%の確率を掛ける。10年後時価総額の確率加重平均は22.1857億円となる。累積還元の確率加重平均は0.41億円である。資本コスト8.5%を用い、時価総額を10年、還元を平均5年割り引くと、現在の適正時価総額は約10.09億円となる。基準時価総額108.55134億円との差は約マイナス90.7%であり、結論は割高となる。この結果は今の株価に近づけるために調整していない。
2026年7月末の短信では発行済株式181,081,018株、自己株式8,799,185株であり、差引172,281,833株となる。一方、指定された2026年4月末基準のfactsでは180,918,900株である。自己株式には連結子会社・持分法適用関連会社の保有分も含まれるため、基準日時点の違いと連結上の自己株式控除の差を認識している。basisは依頼資料の指定値を維持したが、将来の更新では最新株数への統一が必要である。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本資本コスト7.5%に、営業利益の大きな変動と弱い値決め力から1.0ポイントを加え、8.5%とする。直近では営業黒字を回復しており、継続企業の前提に関する注記もないため、存続危機に対する追加上乗せはしない。