結論
テンダは受託開発、技術者常駐、業務マニュアル製品、AI導入支援、ゲーム制作を営む中小IT企業である。筆者の評価は割高だ。取得できる現金には厚みがあるが、事業の相当部分が人の作業量を売る形であり、AIエージェントがその作業を短くする10年を正面から考える必要がある。2026年5月期は売上高51.3億円に対し営業利益が1.6億円まで落ち込み、10月公表の翌期第1四半期も営業利益はほぼゼロだった。
ただし、単に古い受託会社と決めつけるのも誤りだ。子会社AlmondoはAI実装で既に売上2.56億円、営業利益1.00億円を計上した。マニュアル自動作成のDojoには累計3,381社の導入履歴があり、顧客の業務を理解する入口もある。しかし導入累計は契約継続社数ではなく、AI案件の成約実績も10年後の占有率を保証しない。会社が掲げる現場実装型AIへの転換には可能性がある一方、既存商売の喪失との綱引きになる。
純現金約16.1億円は今の時価総額約29.2億円に対する重要な緩衝材である。だが3年間に20億円以上の買収投資を構想しており、現金がそのまま株主の取り分になるとは限らない。5つの筋書きによる10年価値の現在換算は約19.5億円で、基準時点の時価総額より約33%低い。好調なAlmondoだけでなく、全社費用、少数株主持分、買収の投下資本を含めて見ると、今は十分な安全域を確認できない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主なら、この会社で一番知りたいのは、10年後に誰が何に繰り返しお金を払うのかという問いである。DXの納品、技術者の常駐、ゲームの制作には顧客の予算がある。だが顧客が望むのは作業時間そのものではなく、完成した機能と成果である。AIが作業時間を短くするほど、人月契約で売る会社は値段の根拠を失いやすい。これまでの売上成長を10年延長するだけでは事業の寿命を捉えられない。
一方、Dojoが蓄積した操作説明と顧客の教育課題、Almondoが持つ導入技術は変革の足場になりうる。ただしDojoの利用権が企業の不可欠な記録基盤なのか、単に使いやすい操作画面なのかで、長期の利益は大きく違う。公表された継続率や切替期間の証拠が不足する以上、永久に値上げできる製品とは扱わない。Almondoも本当の差別化を示すには、導入案件の利益が継続収益へ転じる必要がある。
2026年のROICは会社資料で約4%とされ、普通の資本コストを下回った。今後買収へ投じる20億円が資本コスト以上で回るなら、かつての受託会社はより良い事業に生まれ変われる。反対に利益率の良い子会社を高値で買い続ければ、少数株主にはのれんと支配権のない利益だけが残る。親会社への帰属利益と、実際に配当や自社株買いで戻った現金を追う必要がある。
純現金16.1億円は魅力的な防波堤だが、預金の全額を事業から自由に抜けるわけではない。運転資金と買収余力を保つための留保がいるし、労働集約事業では景気悪化時にも給与が先に出る。将来利益を無条件に高く評価せず、上振れはAI実装の実績がさらに積み上がる場合に限定する。この姿勢を貫くと、現在の時価総額にはまだ安全域が足りない。
何で稼ぐ会社か
事業を理解する鍵は、会社が報告する3つの法定セグメントと、経営計画の5つの商売の分類を分けることだ。2026年5月期の法定セグメント売上はDXソリューション30.56億円、Techwiseコンサルティング10.24億円、ゲーム10.50億円である。一方、説明資料はDX24.6億円、SES8.7億円、Techwise4.8億円、Almondo2.6億円、ゲーム10.6億円という事業ポートフォリオを示す。境界が異なるため二つを足してはいけない。以下の数量分析では後者の商売の姿を用いる。
DXソリューションは大手企業の業務システム開発、保守、TRAN-DXによる改善支援で稼ぐ。SESは顧客先へ技術者を常駐させ、人員の稼働と契約単価に売上が連動する。TechwiseはMicrosoft製品などを使う上流支援と、DojoやDojoナビ、OneDojoといった操作マニュアル・教育製品を抱える。公開された契約社数と部門別利益がないため、Techwiseの金額の一部は人月型と製品型に分けて推定した。数量は単なる売上指数ではなく、実効技術者年数や年間契約社数で示す。
AlmondoはRAGと呼ぶ社内文書検索、業務特化AI、数理最適化を組み込む案件を請ける。2026年の実売上は確認できるものの、親会社の持分は51%で、利益の49%相当は他の株主にも帰属する。ゲームはテンダゲームスやSkyartsを通じて受託開発、3D・映像・エフェクト制作、既存の自社IPから収益を得る。開発受注件数は非開示であり、一定規模の年間制作案件に換算した推計に頼る部分がある。
2026年の各事業利益を足すと全社の営業利益を大きく上回る。本社共通費や連結調整が約6.7億円あるからだ。見栄えのよいAI事業の利益だけを抜き出して会社全体を評価すると、株主が引き受ける費用を過小評価する。これこそ過去の高い利益率が2026年に崩れた理由を調べる出発点になる。
優良さと弱いところ
強みは製品開発の経験と顧客の現場に入り込む能力である。Dojoは2000年代から改良を続け、累計で3,381社に導入された。画面操作の記録から手順書を作る仕組みと、人が働く現場にAIを定着させる支援を組み合わせられれば、単純な派遣会社とは異なる仕事が生まれる。Almondoの高い営業利益率は、その可能性を既に売上と利益で示した数少ない証拠だ。
ただし、強い堀、つまり顧客が容易に離れられない競争優位と認定するには足りない。Dojoの年間解約率、企業単位の継続契約社数、年単位の移行障壁、法対応ごとの継続的な値上げ実績は確認できない。2026年の価格改定は値付けの努力として評価するが、AIエージェントが画面を直接操作し、操作説明を自ら生成する時代にも課金を守れる証明にはならない。Dojoを法令上の記録の正本とみなす根拠もない。
以前は10%前後だった営業利益率が2026年に3.2%へ低下し、ROEも約0.7%に落ちた。純現金を抱えるため財務破綻の心配は小さいものの、資本を高い利回りで再投資しているとは現状では言いにくい。法定セグメントの利益率はDXが約19%、Techwiseが約24%なのに全社では3%台となる。共通費、のれん償却、固定的な人件費を差し引いても利益が残るかを見て初めて、品質を判断できる。
AIの利益貢献と開発現場の省人化は表裏である。小規模ゆえ経営判断は速いが、顧客の大企業がAIを内製すれば受注金額そのものが縮む。事業の平均的な堀は弱いと評価する。成長率を高く見せるためにAI導入案件の売上を単純に10倍しても、既存部門を失う影響は消えない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内ITサービス市場は2025年に約7.5兆円、2029年に約9.6兆円というIDC Japanの見通しがある。基幹システム刷新、クラウド移行、AI活用が金額ベースの需要を支える。ただし、市場の拡大は従来の人月単価で測る工数の増加と同義ではない。AIが仕様作成、テスト、画面操作、運用の工程を肩代わりすれば、顧客の課題は増えても一件当たり請求時間は減りうる。会社のDXとSESの合計約33.3億円はこの大きな市場の0.05%にも届かず、シェアを広げる資金力と人材獲得力ではNTTデータ、TIS、BIPROGY、SCSK、アクセンチュアが先行する。
Dojoが属するマニュアル作成・ナレッジ共有市場にはTeachme Biz、tebiki、NotePM、Microsoft Copilotなどの選択肢がある。顧客が文書を整備する価値は残っても、文書を画面で作る席やクリック数にお金を払う必然性は薄れる。累計導入社数から現行シェアを割り出すことはできず、公式な市場分母と稼働社数が出るまでは占有率を不明とする。Almondoが競うAI実装市場も新旧事業者が混在する。売上2.56億円は実績だが、市場全体や競合の厳密なシェア開示はなく、後年の首位争いを前提にしない。
ゲーム市場は2025年の国内消費額が約2.59兆円だった。しかしこれはゲームソフトや課金を含む最終消費額であり、同社の受託制作市場の規模ではない。ゲーム分野ではトーセなどの受託会社と競い、顧客の出版社による内製化とAI制作ツールの普及にもさらされる。会社自身も2029年に向けゲーム売上の縮小を計画し、制作案件の選別を掲げる。市場全体が伸びても、この会社の数量が増えるとは限らない。
10年後の中心像は、AIを売るAlmondoの案件数が増える一方、開発人年、SES稼働、マニュアル製品の席、ゲーム制作案件が実質で減る姿である。物価3%を価格にのみ織り込み、受託・常駐では数量0.55〜0.75倍、Dojoでは0.70〜0.90倍というAI代替の基準を適用する。人口減少だけを見た通常の国内市場予測より数量が厳しいのは、人が行う工程そのものが減るためである。
資本政策と M&A
経営陣は2026年7月の説明資料で、2027年5月期に売上54億円・営業利益3億円、2028年5月期に売上60億円・営業利益6億円、2029年5月期に売上70億円・営業利益9億円を掲げた。2028年の目標はROIC10%、2029年は営業利益率12.9%であり、その先は営業利益率20%、ROE12%以上、ROIC15%以上を構想する。添付の業績予想欄にある2028年の営業利益4.5億円とは区別すべき数値目標であり、現時点で達成された利益ではない。
収益構造の変化を測る約束もある。継続収益比率を現状15%から2028年45%、2029年55%へ、AI関連売上を2.56億円から2028年15億円、2029年25億円へ増やしたいという。現時点でAIの売上が存在することは評価するが、顧客の本番導入率を大きく引き上げる難しさは残る。株主還元については配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い金額の固定的な数字の約束なし。2026年は最終利益を大幅に上回る配当を支払い、直前期との比較では配当総額が減っている。
資本配分で最も慎重に見るべきは買収である。Almondoの51%取得はAIの収益獲得に役立ったものの、その利益を全部親会社の取り分にはできない。今後3年間の買収投資枠は20億円以上と、現在の自己資本25.8億円に近い規模である。買収価格をEV/EBITDAの5〜7倍程度とし、投下資本利益率が資本コストを上回る案件を選び、自己資本比率50%を守ると説明する。これが実行されるか、のれん償却と統合費用まで含めて検証したい。
大株主による支配が強いため、余った現金の処分を少数株主は決められない。ただし過去5年間に増配実績があるため、現金の戻り方を最も厳しい半額にはしない。自己株買いによる大幅な株数減少は確認できず、余剰分は75%が株主価値につながるという評価にとどめた。上場会社が自ら買収を進める構想はあるが、現時点で株式公開買付けや上場廃止が確定しているとの開示は確認されていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
2026年に利益率が崩れたのは、能力が失われたからではなく、従来の大型案件依存から継続契約型へ組み替える痛みだと考えられる。AI実装の子会社Almondoは現に2.56億円を売り上げ、約1億円の営業利益を稼いだ。Microsoftの基盤製品、TRAN-DX、Dojoを束ねれば、企画から業務データの整備、運用まで顧客が一社に任せる理由は生まれる。技術者を時間単位で売るのではなく、顧客の生産性改善を結果として売る転換は十分に可能だ。
国内ITサービス市場には約7.5兆円の需要があり、同社のシェアは極めて小さい。大手が取りこぼす中堅企業の古い業務システムを対象にすれば、人数を増やさずとも高付加価値案件の受注は広がりうる。Dojoには長期の販売履歴があり、製品開発の蓄積は新規参入の営業負担を軽くする。もしAI実装案件が既存客へ次々に広がれば、会社が計画する継続収益比率の引き上げも合理性を持つ。
買収投資枠20億円以上は小さな会社にとって大きいが、Almondoの利益を見る限り、適切な買収で時間を買える余地はある。投資採算の門番としてROICと買収倍率の基準を示したことも評価できる。人月仕事の数量が減っても契約単価と粗利率が改善し、AI案件の実売上が成長すれば、全社営業利益が2026年の低水準から大幅に戻る。最も良い筋書きでは、少数株主の取り分を考慮しても今の時価総額を超える事業価値が生まれる。
慎重な見方
市場が伸びることと、この会社が儲かることは別問題である。顧客がAIエージェントを使えば、業務アプリケーションの要件定義、コーディング、テスト、操作手順書作りまで大幅に自動化できる。DX、SES、Techwiseの人的支援、ゲーム制作を合わせた売上の多くは工数に結びつく。今まで不足していた開発者の数を前提にした価格交渉力も、開発工程の自動化で弱まる可能性がある。
Dojoは長く売れてきたが、導入実績3,381社は累計であって現存する課金社数ではない。顧客が自然言語でAIに操作を任せるなら、操作画面を記録して説明する製品の必要性は低くなる。競合のTeachme BizやMicrosoftの製品と戦いながら席単価を守る根拠は薄い。AI導入支援も、モデル提供企業や大手SIが機能を標準化すれば、収益性の高い専門案件が汎用品に変わりうる。
2026年の営業利益率3.2%は偶然の谷とは言い切れない。2027年5月期第1四半期も売上が減り、営業利益はほぼ消えた。人件費、のれん償却、管理部門の費用を埋める前に、顧客が発注する工数そのものが減る恐れがある。さらに20億円以上という買収構想は、失敗すれば帳簿に残るのれんと借入負担を拡大させる。AI子会社の利益の49%は少数株主に帰属するので、事業の明るい部分を全額親会社の利益に足してもいけない。
どちらに重みを置いたか
実際に売上を生んでいるAlmondoには楽観の根拠がある。しかし人月・制作型の事業が売上の大宗を占め、会社全体の利益率が崩れた直後であり、買収投資も今の資本規模に比べて大きい。AIが既存工数を減らす中立像とは別に、買収失敗や顧客内製化が同時に起きる下振れを重視する。楽観側27%に対し、やや悲観と悲観を合わせて43%とした。確率で見た本質価値は時価総額を約33%下回るため、判定は割高となる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/05 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 408 円27 億円(+ 還元の換算額還元の合計 147 円10 億円)。 今の値に割り戻すと 294 円20 億円、今との差 −30.2%、 期待の年率 +3.2%(資本コスト 7.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 1,229 円82 億円 | 256 円17 億円 | +252.0% | +15.3% | 149 円10 億円 |
| やや楽観 | 17% | 584 円39 億円 | 211 円14 億円 | +88.5% | +7.8% | 135 円9 億円 |
| 中立 | 30% | 264 円18 億円 | 166 円11 億円 | +1.8% | +0.2% | 129 円9 億円 |
| やや悲観 | 27% | 250 円17 億円 | 105 円7 億円 | −15.7% | −2.0% | 96 円6 億円 |
| 悲観 | 16% | 243 円16 億円 | 45 円3 億円 | −31.8% | −4.0% | 46 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 408 円27 億円 | 147 円10 億円 | +31.4% | +3.2% | 555 円37 億円 |
今の株価時価総額 422 円28 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% AI実装と業務成果型への転換が進む 利益 6 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,229 円82 億円
AlmondoのAI実装が既存顧客へ広がり、案件数は現在の15件から65件規模へ増える。業務別のデータ整備、現場への導入、効果測定まで受託し、Microsoft製品を使う顧客から高単価の案件を確保する。Dojoの知識整理機能もAI導入時の教材として残り、顧客が利用契約を続ける。会社の掲げる成果重視の収益モデルへ転換でき、買収先の技術も顧客向け商品に組み込める。
それでも人月で売るDXとSESの請求量はそれぞれ現状の95%、90%に減る。自動化の効果を顧客に還元しつつ、案件の難度に応じた価格を確保するため売上は伸びる。ゲームは制作工程の効率化を受注単価の改善につなげ、限られた案件を選別して利益率を上げる。社員を無理に膨らませず、AI案件と継続収益に稼ぎを移す。
会社全体の固定費や買収関連費用も増えるため、高収益の事業別利益を全てそのまま株主利益にはしない。Almondoの49%に非支配株主持分があることも加味する。買収先が投下資本コストを上回り、借金に過度に依存せず内部資金を積み上げる、まれだが実現しうる成功例である。
- DXソリューション(受託・運用):数量 143(年間請求対象の実効技術者年数(人年、推定))× 価格 0.22(請求対象技術者1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 31 億円・営業利益 9 億円。人月0.95倍・価格1.34倍。AI導入関連の高度案件が残る。
- SES・技術者常駐:数量 49.5(契約で請求できる年間稼働人年(人年、推定))× 価格 0.21(稼働1人年の受取単価(億円、名目))→ 売上 10 億円・営業利益 2 億円。請求人年0.90倍・価格1.34倍。派遣から請負へ一部移行。
- Techwise上流コンサル・SI:数量 19.0(有償コンサル・開発の実効技術者人年(人年、推定))× 価格 0.21(有償人年当たり案件売上(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。人年0.95倍・価格1.34倍。専門コンサルが競争力維持。
- Dojo・OneDojo等のマニュアル製品:数量 360(課金継続中の企業契約換算(社・年、推定))× 価格 0.00(1企業年当たりライセンス・保守の平均収益(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。課金社数0.90倍・価格1.15倍。OneDojo連携が顧客維持に寄与。
- Almondo・AI実装:数量 65.0(売上換算したAI実装案件数(件・年、2026実績15件))× 価格 0.22(AI導入1案件当たり売上(億円、名目))→ 売上 14 億円・営業利益 5 億円。実売上のあるAI案件が15→65件。案件当たり価格1.27倍。
- ゲーム・3D・映像制作:数量 13.5(標準受託制作プロジェクト年換算(件・年、推定))× 価格 0.95(標準制作案件1件年当たり売上(億円、名目))→ 売上 13 億円・営業利益 2 億円。標準制作案件0.90倍・単価1.34倍。高単価の作品へ絞る。
倍率:AIエージェント代替後の長期名目成長g_long=0%、資本コストk=7.75%、堀は弱い(新規投資の超過収益残存は1/3)。正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=1/k=12.903倍となるため、上限ほぼそのままの12.9倍とする。事業純利益は5.84−余剰現金11.0×1.4%、現金価値は11.0×0.75。全社の純利益と別加算する現金利息を二重計上しない。
確率:投下資本規律とPoCの本番化率上昇が実現して初めて達成できる。実績2.56億円のAI案件が拡張し、既存人月の減少を補う複数の成功を要するため高い確率にはしない。
やや楽観 17% AIが減った工数の相当部分を埋める 利益 3 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 584 円39 億円
Almondoの案件数は42件へ増え、RAG、最適化、業務変革の売上が既存の開発と重なる。顧客は完全な内製化に踏み切らず、社内システムとAIをつなぐ設計や安全性の確認を外部へ頼む。会社のAI関連売上計画は全部には届かなくても、一部が継続契約へ転じ、利益率を2026年より引き上げる。
DXの請求人年は現状の8割、SESは4分の3となるが、難度の高い案件の単価は物価に近い水準で増える。Dojoは新しいAI連携機能を加え、契約社数の減少を緩和する。ゲーム制作の受注数量は縮むものの、品質管理を改善して赤字案件を減らす。利益源の入れ替わりが緩やかに進む筋書きである。
管理費とのれん償却は物価上昇と買収に伴い増える。子会社の高い営業利益率と連結の利益率は同じではなく、非支配株主持分を差し引いた親会社利益は抑えられる。資金の使い道を引き締めたまま案件を増やせれば、10年後の株主価値は現在より高くなる。
- DXソリューション(受託・運用):数量 120(年間請求対象の実効技術者年数(人年、推定))× 価格 0.22(請求対象技術者1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 26 億円・営業利益 7 億円。人月0.80倍・価格1.32倍。案件の上流化で単価を守る。
- SES・技術者常駐:数量 41.3(契約で請求できる年間稼働人年(人年、推定))× 価格 0.21(稼働1人年の受取単価(億円、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。請求人年0.75倍・価格1.31倍。高難度案件に選別。
- Techwise上流コンサル・SI:数量 16.0(有償コンサル・開発の実効技術者人年(人年、推定))× 価格 0.21(有償人年当たり案件売上(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。人年0.80倍・価格1.32倍。上流工程が残る。
- Dojo・OneDojo等のマニュアル製品:数量 340(課金継続中の企業契約換算(社・年、推定))× 価格 0.00(1企業年当たりライセンス・保守の平均収益(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。課金社数0.85倍・価格1.15倍。既存契約の更新を進める。
- Almondo・AI実装:数量 42.0(売上換算したAI実装案件数(件・年、2026実績15件))× 価格 0.20(AI導入1案件当たり売上(億円、名目))→ 売上 8 億円・営業利益 3 億円。AI案件15→42件。価格1.18倍。受注成長が定着。
- ゲーム・3D・映像制作:数量 11.4(標準受託制作プロジェクト年換算(件・年、推定))× 価格 0.93(標準制作案件1件年当たり売上(億円、名目))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。標準制作案件0.76倍・価格1.32倍。高付加価値案件を優先。
倍率:AIエージェント代替後の長期名目成長g_long=0%、資本コストk=7.75%、堀は弱い(新規投資の超過収益残存は1/3)。正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=1/k=12.903倍となるため、上限ほぼそのままの12.9倍とする。事業純利益は2.61−余剰現金9.0×1.4%、現金価値は9.0×0.75。全社の純利益と別加算する現金利息を二重計上しない。
確率:Almondoの既存実績と販売網の相乗効果があるので現実味はある。ただしAI事業以外の仕事は物価だけで伸びず、製品も価格競争にさらされるため中立より一段高い条件とする。
中立 30% AIの新商売は伸びるが既存工数が減る 利益 1 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 264 円18 億円
顧客はAIを発注するだけでなく自社でも使いこなすようになる。開発の定型工程は減り、DXの実効請求人年は今の70%、SESは62%、Techwiseの人的コンサルは66%に下がる。契約単価は名目で3割弱上がるが、物価が3%ずつ上がる10年間にこれを上回る値決め力はない。市場が成長しても、企業が外に買う工数は減る。
Dojoは既存の教育・規程整理という用途を保つ一方、画面操作そのものをAIに任せる顧客を失う。契約数は現状推定の8割となり、単価上昇も物価に追いつかない。Almondoは案件が25件へ増え、確認済みのAI売上を上回るが、会社が掲げる数年内の25億円計画ほどには広がらない。ゲーム受託も受注数量が65%まで細り、案件の選別でわずかな利益を残す。
AI事業の売上が増えても、営業部門と管理部門の人件費、研究開発、買収関連費用をまかなう負担は重い。2026年に顕在化した共通費の大きさが利益率の回復を抑え、利益を分配しながら資本効率は以前より低くなる。経営は存続し、顧客との接点も残るが、高い利益率が戻るとは言い切れない10年である。
- DXソリューション(受託・運用):数量 105(年間請求対象の実効技術者年数(人年、推定))× 価格 0.21(請求対象技術者1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 22 億円・営業利益 5 億円。人月0.70倍・価格1.29倍。AIエージェント代替を数量に反映。
- SES・技術者常駐:数量 34.1(契約で請求できる年間稼働人年(人年、推定))× 価格 0.20(稼働1人年の受取単価(億円、名目))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。請求人年0.62倍・価格1.29倍。自動化で配置人数縮小。
- Techwise上流コンサル・SI:数量 13.2(有償コンサル・開発の実効技術者人年(人年、推定))× 価格 0.20(有償人年当たり案件売上(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。人年0.66倍・価格1.29倍。提案作成や設計の自動化。
- Dojo・OneDojo等のマニュアル製品:数量 320(課金継続中の企業契約換算(社・年、推定))× 価格 0.00(1企業年当たりライセンス・保守の平均収益(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。課金社数0.80倍・価格1.10倍。画面経由の利用縮小で物価未満の価格伸び。
- Almondo・AI実装:数量 25.0(売上換算したAI実装案件数(件・年、2026実績15件))× 価格 0.19(AI導入1案件当たり売上(億円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。AI案件15→25件。価格1.11倍。既存の実績から緩やかに拡大。
- ゲーム・3D・映像制作:数量 9.8(標準受託制作プロジェクト年換算(件・年、推定))× 価格 0.90(標準制作案件1件年当たり売上(億円、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。標準制作案件0.65倍・価格1.27倍。AI制作代替が進む。
倍率:AIエージェント代替後の長期名目成長g_long=0%、資本コストk=7.75%、堀は弱い(新規投資の超過収益残存は1/3)。正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=1/k=12.903倍となるため、上限ほぼそのままの12.9倍とする。事業純利益は1.04−余剰現金7.2×1.4%、現金価値は7.2×0.75。全社の純利益と別加算する現金利息を二重計上しない。
確率:会社のAI実装には実売上がありゼロにはならないが、DX・SES・コンサル・ゲームの人月や制作工程はAIが削る。会社の高い中期目標を未達でも成り立つ中心の姿として選んだ。
やや悲観 27% 案件流出と固定費負担が長引く 利益 0 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 250 円17 億円
顧客の大企業がソフトウェア開発と日常業務のAI導入を内製化し、同社に残る仕事は難度が高いものと保守対応に偏る。DXの受注人年は現在の6割、SESは55%まで減る。請求単価は原価高を一部反映するが、競合する大手SIや海外製品が顧客を囲い込み、仕入れられる工数が減る方が大きい。
DojoはAIエージェントが操作画面を迂回する影響を受け、契約数が推定現在の7割へ下がる。Almondoは導入案件を確保するが、顧客の内製化と競争で件数を増やせない。ゲーム制作は発注作品の選別が進み、案件の半数近くを失う。単価より稼働率が大きく効くため、現場の粗利が薄くなる。
会社は人員と拠点を縮小して共通費を削るが、十分ではない。十年末の営業利益は赤字となり、配当余力も限定される。倒産を前提にはしないため、値付けは低い株価純資産倍率の歴史からではなく、回収可能な現預金と債権等の価値を基本にする。
- DXソリューション(受託・運用):数量 90.0(年間請求対象の実効技術者年数(人年、推定))× 価格 0.19(請求対象技術者1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 17 億円・営業利益 3 億円。人月0.60倍・価格1.17倍。内製化で稼働減。
- SES・技術者常駐:数量 30.3(契約で請求できる年間稼働人年(人年、推定))× 価格 0.19(稼働1人年の受取単価(億円、名目))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。請求人年0.55倍・価格1.17倍。常駐需要の減退。
- Techwise上流コンサル・SI:数量 11.6(有償コンサル・開発の実効技術者人年(人年、推定))× 価格 0.18(有償人年当たり案件売上(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。人年0.58倍・価格1.17倍。受注単価も圧迫。
- Dojo・OneDojo等のマニュアル製品:数量 280(課金継続中の企業契約換算(社・年、推定))× 価格 0.00(1企業年当たりライセンス・保守の平均収益(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。課金社数0.70倍・価格横ばい。AIがマニュアルを自動生成。
- Almondo・AI実装:数量 15.0(売上換算したAI実装案件数(件・年、2026実績15件))× 価格 0.17(AI導入1案件当たり売上(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。AI案件15件横ばい。競争で価格も横ばい。
- ゲーム・3D・映像制作:数量 8.3(標準受託制作プロジェクト年換算(件・年、推定))× 価格 0.79(標準制作案件1件年当たり売上(億円、名目))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。標準制作案件0.55倍・価格1.12倍。粗利を確保できない。
倍率:純利益が赤字のため永続PERを用いず、2026年5月期の現在自己資本25.8億円を換金可能資産の補助物差しとする。現在自己資本×PBR 0.6434 ≒16.6億円。2036年の増減した帳簿自己資本には底のPBRを掛けない。清算に近い資産床16.6億円を保つ。
確率:下に寄せる理由:2026年の減益と2027年5月期第1四半期の苦戦が続いた場合、AI案件の上積みでは管理費を吸収できない。大口顧客の発注減や買収の採算悪化が重なる懸念を考えた。
悲観 16% AI代替で旧来の事業が構造的に負ける 利益 −1 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 243 円16 億円
標準的な開発、テスト、データ入力、画面操作を顧客のAIエージェントが処理し、テンダが売ってきた人の時間への支払いが大きく減る。DXとSESの実効人年はほぼ半分、Techwiseのコンサルも半分近くに縮む。大手が独自のAI実装チームを持ち、同社が価格を上げる余地はほぼなくなる。市場全体の名目成長は、同社の占有率低下を埋めない。
Dojoは画面自体を利用しなくなる顧客が増え、現行の半数程度の社数へ落ち込む。ゲームも制作ツールの普及と大型出版社の内製化にさらされ、案件が半減する。AlmondoのAI案件は多少残るものの、モデルの標準化が進み単価と利益率が低下する。買収先が期待した相乗効果を生まなければ、新たな投資より損失処理が優先される。
本社部門は大幅な費用圧縮を迫られるが、売上が現在の6割未満に減るため営業損失が続く。還元は最低限に絞られ、自己資本も減る。継続企業の崩壊までは想定しない一方、のれんは換金できず、株式の評価は売掛金などを慎重に回収した後に残る資産に近づく。
- DXソリューション(受託・運用):数量 82.5(年間請求対象の実効技術者年数(人年、推定))× 価格 0.18(請求対象技術者1人年当たり売上(億円、名目))→ 売上 14 億円・営業利益 2 億円。人月0.55倍・価格1.07倍。定型工程の大半が外注されなくなる。
- SES・技術者常駐:数量 27.5(契約で請求できる年間稼働人年(人年、推定))× 価格 0.17(稼働1人年の受取単価(億円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。請求人年0.50倍・価格1.08倍。AIが常駐工数を削る。
- Techwise上流コンサル・SI:数量 11.0(有償コンサル・開発の実効技術者人年(人年、推定))× 価格 0.17(有償人年当たり案件売上(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。人年0.55倍・価格1.08倍。AI内製化が浸透。
- Dojo・OneDojo等のマニュアル製品:数量 220(課金継続中の企業契約換算(社・年、推定))× 価格 0.00(1企業年当たりライセンス・保守の平均収益(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。課金社数0.55倍・価格0.92倍。画面席価値を失う。
- Almondo・AI実装:数量 12.0(売上換算したAI実装案件数(件・年、2026実績15件))× 価格 0.14(AI導入1案件当たり売上(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AI案件12件、単価0.82倍。標準化で収益性低下。
- ゲーム・3D・映像制作:数量 7.5(標準受託制作プロジェクト年換算(件・年、推定))× 価格 0.76(標準制作案件1件年当たり売上(億円、名目))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。標準制作案件0.50倍・価格1.08倍。赤字制作が発生。
倍率:純利益が赤字のため永続PERを用いず、2026年5月期の現在自己資本25.8億円を換金可能資産の補助物差しとする。現在自己資本×PBR 0.6240 ≒16.1億円。2036年の増減した帳簿自己資本には底のPBRを掛けない。清算に近い資産床16.1億円を保つ。
確率:下に寄せる理由:既存の主要商売が人月・席・制作工数に集中し、2026年の利益水準では追加の失注を吸収しにくい。AI新規受注の伸び悩みと買収後の統合不全が同時に起きる下方の尾を重く見る。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
DXソリューション(受託・運用)
TRAN-DX等を使う企業向け業務システム受託・運用。成果への移行が進むまで大半は人月・工数型。
| 数量年間請求対象の実効技術者年数(人年、推定) | 価格請求対象技術者1人年当たり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 150 | 0.16 | 25 | 5 |
| 10 年後 中立 | 105 | 0.21 | 22 | 5 |
取り方:2026年7月説明資料の事業ポートフォリオDX売上24.6億円を用いた。法定DXセグメントの就業人員192人・臨時16人からSES分を分け、非稼働と管理担当を除く実効請求人年を150と推定し、24.6÷150=0.164億円/人年とした。価格の10年中立1.29倍はCPI1.34倍をやや下回り、数量0.70倍はAIエージェント代替(人月型0.55〜0.75倍)に従う。
SES・技術者常駐
顧客現場へ技術者を配置し、稼働人数と単価で収益を得る。人月型のAI代替リスクが直接効く。
| 数量契約で請求できる年間稼働人年(人年、推定) | 価格稼働1人年の受取単価(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 55.0 | 0.16 | 9 | 1 |
| 10 年後 中立 | 34.1 | 0.20 | 7 | 1 |
取り方:会社の事業別ロードマップでSES現状8.7億円を明示。法定DX192人と臨時16人から常駐と受託を分けるため、SES担当約55人年を仮定した。単価8.7÷55=約0.158億円/人年。製品実績に数量を混ぜず、企業が内製AIで発注人月を減らす効果を数量にのみ反映した。
Techwise上流コンサル・SI
Microsoft製品等を使った業務再設計とシステム開発支援。Dojo製品売上を分析上切り離した残り。
| 数量有償コンサル・開発の実効技術者人年(人年、推定) | 価格有償人年当たり案件売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 20.0 | 0.16 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 13.2 | 0.20 | 3 | 1 |
取り方:会社資料のTechwise部門4.8億円とAlmondo2.56億円を前提に、Techwiseの製品群Dojo等へ1.70億円を仮配賦し、工数・コンサル側を3.14億円と試算。20人年はTechwise法定従業員68人に対し製品・AI担当を除いた分析上の稼働換算で、確定の担当人数ではない。
Dojo・OneDojo等のマニュアル製品
操作画面の記録と社内手順・教育コンテンツ作成を支えるライセンス・保守。契約IDや画面利用価値がAIで代替されうる。
| 数量課金継続中の企業契約換算(社・年、推定) | 価格1企業年当たりライセンス・保守の平均収益(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 400 | 0.00 | 2 | 1 |
| 10 年後 中立 | 320 | 0.00 | 1 | 1 |
取り方:製品紹介では2025年7月末の累計導入3,381社を確認できるが、稼働社数も製品単独売上も非開示である。現在課金中約400企業年×平均42.5万円/年=1.70億円はアナリスト推定であり、実数ではない。単価は保守・ライセンス混合。業務SaaS・画面型として中立の社数0.80倍、価格1.10倍を適用し、記録の正本型へ格上げしない。
Almondo・AI実装
RAG、業務専用AI、数理最適化の導入支援。2026年に売上と利益の実績があり、AI成長の例外扱いに根拠がある。
| 数量売上換算したAI実装案件数(件・年、2026実績15件) | 価格AI導入1案件当たり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 15.0 | 0.17 | 3 | 1 |
| 10 年後 中立 | 25.0 | 0.19 | 5 | 1 |
取り方:2026年7月決算説明資料でAlmondo売上2.56億円・営業利益1.00億円、AI案件数15件、PoC本番化率35%を公表。案件単価の内訳は非開示なので売上÷15件=約0.171億円/件を実績から算出した。親会社持分51%、非支配株主49%。既に実売上があるAIサービスだけは楽観で件数が増える扱いとした。
ゲーム・3D・映像制作
テンダゲームスとSkyartsを中心とした受託開発、エフェクト、旧自社IP。人の制作工数と出版社の発注件数に左右される。
| 数量標準受託制作プロジェクト年換算(件・年、推定) | 価格標準制作案件1件年当たり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 15.0 | 0.71 | 11 | 0 |
| 10 年後 中立 | 9.8 | 0.90 | 9 | 1 |
取り方:会社の事業ポートフォリオにある2026年ゲーム売上10.6億円を使用。法定ゲーム部門は社員64人と臨時22人で、受注案件数は開示されないため、制作グループ15案件年×1件当たり約0.707億円という分析用の換算値にした。ユーザー課金市場2.59兆円を受託市場と取り違えず、量は制作案件数として扱う。
リスクと懸念
AIエージェント代替による請求工数の消失
DX、SES、Techwiseの上流支援、ゲーム制作は、人が作業した時間と制作工程が売上の大きな根拠になる。AIが設計、実装、テスト、説明文生成を行うと顧客のIT支出が増えても発注人月は減る。中立の数量倍率を各事業で0.55~0.75倍の範囲に抑えたのは、この事業モデルの構造的な危険を数値化するためである。
Dojoの席課金と画面操作価値の侵食
Dojoの累計導入3,381社は既存の有料契約社数でも低解約率の証明でもない。AIがソフトウェアを直接操作し、その都度利用者を助けるようになれば、操作画面を記録した手順書への依存が下がる。価格改定の実績だけでは継続率や切替費用を確かめられず、強い堀を前提にすると長期利益を過大評価する。
買収枠20億円以上と利益の帰属
会社の想定する3年間の買収枠20億円以上は自己資本約25.8億円に対して大きい。手元現金を使えば安全域が減り、株式対価なら既存株主は希薄化する。既存のAlmondoも51%持分であり、営業利益の全額は親会社に残らない。買収金額よりも償却後の親会社利益とROICを点検する必要がある。
全社共通費とのれん償却の重さ
法定3セグメントの利益合計は約8.3億円でも連結営業利益は約1.6億円だった。共通費と調整額約6.7億円の存在により、売上増が必ずしも株主利益に結びつかない。物価上昇下では給与や管理費が増え、過去ののれん償却は取得時の金額で推移するが、新たな買収の償却負担は追加される。
AI売上計画と本番導入の隔たり
Almondoの売上と営業利益は既に確認できるが、AI案件の本番化率は2026年時点で35%とされる。会社はそれを大きく高め、AI関連売上を数年で25億円まで伸ばす目標を掲げる。実装の標準化、大手による内製化、案件の失注が進めば、立ち上げ時の高い案件利益率を維持できない。
ゲーム受託の低採算と顧客集中
ゲーム事業は2026年に約10.5億円の売上がありながら、法定セグメント利益は約0.13億円だった。AIによる制作効率化、出版社の内製化、品質問題による追加工数は薄い利益を簡単に消してしまう。大手出版社との取引社数を増やす構想があっても、作品ごとの採算と納期の管理が確立するまでは利益源と見なせない。
純現金の使途と流動資産の換金可能性
純現金16.1億円には安全性があるが、顧客への納品と社員の給与支払いには運転資金が必要であり、総額が自由資金ではない。長期の赤字と買収失敗が重なるなら現金は減る。悲観時の資産価値はのれんやソフトウェアをゼロとして現預金と回収可能債権から求めたもので、将来の清算額を保証しない。
今後の分かれ目
- Almondoの年間AI実装案件が30件を超え、PoC本番化率が60%以上で2期続いたら
- 実売上に基づくAI数量の上方修正を検討する。顧客が社内に抱え込まず反復発注していることも確認できれば、楽観側の重みを引き上げる。
- DXとSESの売上が数量縮小を上回る価格上昇で反転し、案件粗利率も改善したら
- 成果報酬・上流型への転換が実証されたと見て、人月部分の10年中立数量を上方修正する。ただし単なる物価転嫁とは区別する。
- Dojoの有料稼働社数、年間解約率、価格改定後の継続率が開示され、年5%未満の解約が定着したら
- 操作画面型から継続契約の強い製品へ評価を改められるか検討し、製品部分だけ長期の値付け力とg_longを見直す。
- 連結共通費と調整損益が改善し、全社営業利益率が2期連続10%を超えたら
- 会社の収益改革が実証されたと考え、各シナリオの本社調整費と純利益率を更新する。AI案件だけの利益率には反応しない。
- 20億円以上の買収で自己資本比率が50%を割るか、のれん減損が生じたら
- 余剰現金と換金資産の床を引き下げ、親会社株主への残余利益と潜在株式の希薄化を再評価する。
- 2027年5月期の通期営業利益3億円の計画に届かず、翌四半期も低稼働が続いたら
- 2026年の大幅減益を一過性とみなせなくなるため、やや悲観の固定費と人月数量を重く見る。
- ゲームの営業利益率が2期続けて8%を超え、受託案件当たりの採算が改善したら
- 制作受託の選別と品質管理が機能した証拠として、ゲームの中立利益率を更新する。ただし制作量のAI縮小までは消さない。
見ておくもの
- 法定DX・Techwise・ゲーム各売上とセグメント利益、連結の共通費調整額
- 2027年5月期通期の売上54億円・営業利益3億円に対する進捗と次の四半期の稼働率
- AlmondoのAI売上・営業利益・案件数とPoC本番化率、持分51%に対応する非支配株主持分
- Dojoの有料稼働社数、解約率、価格改定後の継続率、OneDojoの顧客定着
- DX・SESの技術者人年、単価、案件別粗利率と請負・継続契約への移行割合
- M&A投資20億円超の実行額、EV/EBITDA倍率、ROIC、買収のれん償却、自己資本比率
- 連結営業利益率10%・12.9%目標、ROIC10%・15%目標と実績の差
- 営業キャッシュフロー、配当総額、自己株式の実際の減少率、純現金残高
倍率と資本コストの決め方
会社の中期計画は2029年に売上70億円、営業利益9億円だが、これを2036年へ機械的に延長していない。会社の2026年に開示された5事業の数量単位を、実効人年、課金企業年、AI案件、ゲーム標準制作案件で構成し、AI代替の類型ごとに中立の数量と単価を分けた。全社の法定3セグメントとの分類差と推計箇所を各howに明示した。
将来のPERは今の市場PERや競合の過去倍率ではなく、資本コスト7.75%とAI代替後の名目長期成長0%から正当化した。楽観から中立ではPER12.9倍の上限を使い、悲観側では現在の換金可能資産に対応する額と2026年自己資本を基礎にした。現金利息と純現金の二重計上、Almondoの少数株主持分、本社費の控除、のれんの換金不能も点検した。
2027年以後に適用される新リース会計基準で事務所の賃借に使用権資産・負債が載っても、将来利益率の比較には現状と同じ家賃費用ベースを用いる。試算の確率加重現在価値約19.5億円と時価総額約29.2億円を最後に比較した結果であり、現在株価への逆算はしていない。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債3%と株式上乗せ4.5%に品質補正0.25%を加えた。買収の成否やAI代替による将来縮小は上乗せ金利に重複計上しない。