結論
ウォンテッドリーは、企業と働き手を仕事への共感で結び付けるビジネスSNS「Wantedly Visit」を主力とする会社である。筆者の結論は「割高」だ。登録者457万人、登録企業4.5万社という顧客基盤と豊富な現金には確かな価値がある。しかし、採用需要が底堅いにもかかわらず新規受注が減少し、営業利益が急減した事実は重い。10年先の企業価値を考えると、ネットワークの大きさをそのまま将来の利益に換えることはできない。
2026年8月期の営業収益は44.77億円と前期から8.8%減少し、営業利益は7.35億円と55.3%減少した。純利益は14.44億円だったが、本社移転に伴う15.50億円の特別利益が含まれる。これを恒常的な稼ぐ力と取り違えてはならない。会社は2027年8月期について、営業収益42億円、営業利益4.60億円、純利益3.10億円を見込む。採用媒体としての顧客獲得力を立て直すため、当面の利益を削って投資する局面に入っている。
一方、2026年8月末の現金及び預金は68.05億円で、有利子負債は見当たらない。時価総額約80.34億円の会社として財務の防御力は高い。ただし、契約負債や未払税金があり、現金の全額を少数株主が自由に受け取れるわけではない。創業者が議決権の約68%を握り、還元よりも事業の立て直しを優先できる構造も考慮する必要がある。
10年後も採用の情報交換や企業文化の発信は必要とされるだろう。しかし、求人検索、候補者探索、スカウト、採用管理の多くはAIエージェントに置き換えられ得る。独自データと利用者ネットワークを守れれば事業は存続するが、収益力が以前の高水準に戻ると決めつける根拠は乏しい。5つの筋書きから求めた現在の本質価値は約46.9億円で、指定された基準時価総額を約42%下回る。資産の厚さは評価するが、長期保有に十分な安全域はまだ確認できない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、最初に評価したいのは利益率の高さよりも、利用者が10年後もこのサービスを使う理由である。企業文化や社員の姿を伝え、まだ転職するか決めていない人と企業を結び付ける仕組みには存在意義がある。採用は人生と組織の大きな決断であり、情報を検索する作業が自動化されても、人が相手の考えに共感する過程は残る。しかし、その価値を提供する会社が必ずウォンテッドリーであるとは限らない。
ネットワークの強さは、参加者の累計数ではなく、現在の活動と支払いで確かめたい。採用企業が十分な候補者に出会い、継続契約を自発的に更新しているなら、多少の価格上昇にも耐えるはずだ。逆に、企業が広告を追加しなければ候補者が集まらず、営業費用を増やしても有料企業が減るなら、過去の利益率は持続可能な優位性を示していない。現在は後者の兆候が現れており、堀が広がっていると評価するには証拠が足りない。
オーナー利益を考えると、ソフトウェア企業であるため設備更新への支出は比較的小さい。しかし、開発者、営業担当者、広告宣伝への支出は、競争力を維持するために必要な再投資である。会計上の営業利益からこれらの費用はすでに引かれているが、利益率を保つために広告や開発を削り続ければ、将来の収益基盤を傷める。2026年8月期の営業利益の減少は、この事業の顧客獲得費用を過小評価できないことを示している。
現金が豊富である点は魅力的だ。利益が一時的に落ちても資金調達に追われず、製品改善や事業の整理を進められる。ただし、現金の使途を決めるのは支配株主と経営陣であり、少数株主のものになる価値と帳簿上の残高は同じではない。買収や新規事業の失敗で現金が消える可能性もある。筆者は事業の存続可能性を評価しつつ、稼ぐ力の不確実性が大きい会社には十分な安全域を求める。今の値段では、財務の安全性だけでその条件を満たしたとは言えない。
何で稼ぐ会社か
ウォンテッドリーの稼ぎの中心は、企業が採用候補者に自社の魅力を伝え、直接接触するための利用料金である。主力のWantedly Visitでは、企業が事業の目的や働く人の姿を発信し、興味を持った個人がカジュアル面談を申し込む。給与条件よりも企業文化や仕事への共感を出会いの入口にする点が特徴だ。採用成立時の成功報酬は基本的に取らず、募集掲載と候補者への接触機能を利用する企業から料金を受け取る。
Visitの基本プランは月額6万〜22万円で、契約期間は6カ月、12カ月、24カ月である。上位プランではスカウト機能を組み込み、追加オプションは1件10万円から販売している。2026年8月期の会社全体では基本プラン中心のストック収益が38.20億円、スカウトなどのフロー収益が6.57億円だった。基本プランの売上が約85%を占めるため、新規契約の減少は将来の継続課金にも影響する。四半期のストック収益は2025年8月期第2四半期の約10.60億円から、2026年8月期第4四半期には約9.03億円へ減少した。
新しい収益源は採用管理システムのWantedly Hireと、従業員向けサービスのEngagement Suiteである。Hireは選考管理、日程調整、採用分析などを提供し、AI書類選考や外部AIエージェントとの連携機能も備える。Engagement Suiteには福利厚生のPerk、社内報のStory、組織運営を支援するPulseがある。Perkは月額基本料金に加えて従業員数に応じた課金を行い、ライセンス単価は1人当たり月額350円からである。
会計上はビジネスSNS事業という単一セグメントであり、Visit、Hire、Engagementの個別売上や営業利益は開示されていない。このため分析上はVisit基本プラン、Visitオプション、Hire、Engagementの4つに分けるが、製品別の内訳は推定である。利益の出発点は会社全体の実績に合わせる。Wantedly Peopleの名刺管理や関連するデータも利用者接点として意味を持つものの、独立した大きな収益源としては数えない。
優良さと弱いところ
この会社の最大の強みは、仕事を探す個人と企業の双方が参加しているネットワークである。2026年8月末の国内登録者は457万人、登録企業は4.5万社に達する。企業の理念や社員の経験、個人のプロフィール、閲覧履歴、興味関心が結び付いており、単純な求人票の集合よりも多面的な情報を持つ。双方の参加者が十分に活動するなら、新規参入者は同じ場を一から作らなければならない。
ただし、登録者数は活動人数ではなく、登録企業数も有料契約社数ではない。継続課金を支えるのは実際に採用成果を得て契約を更新する企業である。会社はマーケティング効率の低下と商談数の減少を認め、有料企業数の回復を経営課題としている。解約率5%未満、長期間の乗り換え負担、継続的な値上げの成功といった強い堀を裏付ける数字も確認できない。独自データの蓄積は評価できるが、値決め力の強い独占企業とは判断しない。
資本効率は過去と現在を分ける必要がある。2022〜2025年8月期には営業利益率が28〜34%程度に達し、ROEも高かった。しかし2026年8月期の見かけのROEには本社移転の特別利益が含まれる。さらに、売上獲得のため広告宣伝費や開発費を増やしても、新規受注の回復は確認できていない。過去の高いROEを、追加投資でも再現できるという証拠にはならない。
財務の強さは明瞭である。2026年8月末の自己資本は61.57億円、自己資本比率は79.3%である。借入金への依存も小さく、競争力を再構築する時間を確保できる。ただし、豊富な現金を含む自己資本の増加によって全社ROEは低下しやすい。バランスシートの安全性と、将来の事業投資が資本コストを上回るかどうかは別の問題だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の求人情報提供サービス市場は大きい。全国求人情報協会が2026年2月に公表した調査では、2024年度の市場規模は6,661億円だった。2025年の求人広告掲載件数は約2,887万件である。ウォンテッドリーの2026年8月期売上をこの市場規模と単純比較すると約0.7%に当たるが、対象年度やサービス範囲が異なるため厳密な市場シェアではない。採用管理システムや福利厚生サービスの売上も含まれている点に注意が必要だ。
会社は自らの市場余地を、国内の中小・大企業約52万社と対象労働人口約3,700万人を中心に捉えている。登録企業4.5万社は対象企業数の約9%、登録者457万人は対象人口の約12%に相当する。しかし、これは累計登録基盤の浸透率であり、現在課金している企業の比率ではない。残りの未登録企業がそのまま有料顧客になるわけではなく、新規契約の獲得費用と更新率が重要になる。
競争相手はIndeed、ビズリーチ、OpenWork、Greenなどの採用媒体と、人材紹介会社である。ビズリーチは2026年7月期にスカウト可能会員353万人以上、累計導入企業4.58万社以上、年次利用中企業2.31万社以上を公表した。OpenWorkも従業員口コミという独自データを蓄積している。これらの会社の会員数、利用企業数、売上規模はそれぞれ定義が違うが、ウォンテッドリーだけが強固なネットワークを持つわけではないことを示す。競合の求人広告市場内の正確な売上シェアは、開示範囲が揃わないため確定できない。
Hireが参入する採用管理市場にはHERP Hire、HRMOS採用、sonar ATSなどが存在する。HERPは3,000社以上への導入を公表し、ビジョナルはHRMOSとsonar ATSの連携を進めている。福利厚生ではリロクラブやベネフィット・ワンが有力だ。リロクラブは2026年8月時点で2.71万団体・約1,358万人の会員を持ち、大手4社の公表団体数に基づく自社集計で52%のシェアを示している。WantedlyのHireとPerkの契約数は非開示であり、市場シェアは推定できない。
今後10年の需要には、人手不足と転職の一般化が追い風となる。一方、国内の働き手の数は長期的に減り、企業は採用費用の効率化を求める。AIエージェントが候補者の検索、応募、スカウト、日程調整まで処理すれば、人が求人サイトや採用管理画面を操作する回数は減る。求人媒体は登録者数だけでなく、独自の接触機会と採用成果を提供できるかが問われる。市場全体が成長しても、個別媒体の有料企業数や単価が同じように伸びるとは限らない。
資本政策と M&A
ウォンテッドリーの資本政策は、長く内部留保を優先し、近年になって安定配当を始めたという特徴を持つ。2022年8月期までは無配だったが、2023年8月期から配当を開始し、その後は同額を維持している。2026年8月期の配当総額は約1.90億円で、配当性向は13.2%だった。2027年8月期も同水準の配当を予定しており、会社予想純利益に対する配当性向は61.3%となる。配当を増やすよりも、減益下でも継続する姿勢が示されている。
2026年10月14日の事業計画資料には、2027年8月期の売上42億円、営業利益4.60億円、純利益3.10億円という単年度目標がある。一方、複数年度にわたる中期経営計画の売上・利益・ROE目標については、具体的な数字の約束を確認できない。DOEの数値目標、配当性向の固定目標、総還元性向、自社株買いの金額についても数字の約束なしである。成長投資を続ける方針と安定配当の方針はあるが、利益をどの割合で株主に戻すかは経営判断に委ねられている。
創業者の仲暁子氏は2026年2月時点で約68.17%を保有する支配株主であり、サイバーエージェントも約7.66%を保有する。経営の長期性を保てる反面、少数株主から余剰資本の払い戻しを求めても実現する保証はない。最近5年間に発行済株式数を大きく減らす自社株買いは確認できない。事業の多角化は主として新製品の自社開発で進んでおり、大型買収によって既存株主の資本を大きく失った事例も確認できない。
本社移転に伴う補償金は一時的な利益と現金の増加をもたらしたが、再現性のある投資収益ではない。過去10年の資本配分は、初期の製品開発と事業成長には成果があった一方、近年の追加投資が新規受注の増加に結び付いているとはまだ言えない。今後はHireとEngagementの収益性を個別に開示し、投資回収の実績を示せるかが重要になる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ウォンテッドリーには、採用条件ではなく仕事への共感を重視する独自の地位がある。国内の登録者457万人、企業4.5万社は短期間では集められない。求職者のプロフィールだけでなく、企業の文化、社員の仕事観、閲覧・検索行動が蓄積されている。この情報を利用することで、給与や職歴だけでは見つからなかった出会いを生み出せる。採用市場の競争が激しくなるほど、企業は単なる求人掲載では得られない候補者との接点を求める。
2026年8月期の減収は、媒体としての需要が永久に失われた結果とは限らない。会社は営業体制の再構築を進め、マーケティング効率の低下に対応している。営業担当者の育成、新しい集客チャネルの開拓、顧客ごとの生涯価値を重視した販売への転換が成果を生めば、新規受注は回復する。直近ではソーシングAIエージェントやキャリアAIエージェントを投入し、HireでもAI書類選考と外部AI接続を実装した。これらはAIによる中抜きへの対応であり、既存の顧客接点を維持する助けになる。
HireとEngagementにも発展の余地がある。採用媒体で接点を持った企業に対し、採用管理、福利厚生、社内コミュニケーションへと販売領域を広げられる。複数製品の利用が定着すれば、企業との関係は単発の求人掲載よりも長く続く。特にHireが採用結果と入社後の活躍データを結び付ける仕組みを構築できれば、単なる操作画面ではない価値が生まれる。
財務面では、大きな借金がなく、現金が豊富なことが重要だ。競合との価格競争が続いても資金不足による撤退を迫られにくく、利益の低迷期に製品を改善できる。現状の投資が成果を上げ、顧客獲得費用が正常化すれば、以前の高い利益率の一部を取り戻すことは可能である。楽観の筋書きはAI関連製品の未確認の売上増加に依存せず、既存の顧客基盤を守りながら顧客単価と営業効率を改善することで成り立つ。
慎重な見方
最大の問題は、採用市場が堅調な中でウォンテッドリー自身の新規受注が減っていることである。需要全体が消えたのではなく、競争上の位置が変化している可能性がある。2026年8月期の営業収益は減少し、広告宣伝や開発への投資を増やした結果、営業利益は半分以下になった。2027年8月期にも会社は減収減益を予想している。営業組織の立て直しが必要という説明は、単なる一時的な費用増加よりも深い問題を示している。
競合には大きな顧客基盤を持つ企業が並ぶ。Indeedは幅広い求人検索の入口を持ち、ビズリーチは採用企業とスカウト可能会員を増やしている。OpenWorkには膨大な従業員口コミがある。企業は複数の採用経路を同時に利用でき、Wantedly Visitを使い続けなければ採用業務が止まるわけではない。カジュアル面談という考え方も広く普及し、特定の媒体だけの特徴とは言いにくくなっている。
AIエージェントの普及は構造的な脅威となる。企業側のAIが公開プロフィールを横断して候補者を探し、個人側のAIが募集情報を比較して応募を支援するなら、求人サイトを人が訪問する必要性は下がる。スカウト文面の作成や送信の価値も安くなる。Hireの採用管理画面は外部AIによって操作されるようになり、PerkやPulseも他の人事システムに取り込まれ得る。会社自身がAI機能を開発していることは防御策だが、それによって顧客単価や有料企業数が増えたという金額の開示はまだない。
現金の厚さも万能ではない。支配株主が約68%を保有しており、少数株主が資産売却や大規模還元を決めることはできない。利益が減っても新規事業への投資を続ければ、余剰現金は小さくなる。さらに、AIによって既存の収益モデルが変われば、過去の高ROEは将来の価値の根拠にならない。採用媒体の市場シェアを失い、販売と開発の固定費を抱えたまま収益が縮む場合、企業価値は保有資産の回収可能額に近づいていく。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方の方が、現時点の事業実績に強く支えられている。登録基盤と現金は確かな強みだが、新規受注の減少と営業利益の急減が、稼ぐ力の持続性に疑問を投げかけている。AIエージェント代替は中立の数量・単価と長期成長率に反映し、確率でも同じ不安を重ねて引かない。一方、会社固有の営業効率悪化と新規事業の投資回収の不確実性から、楽観側32%に対して悲観側40%とした。現金が厚いため事業の急激な消滅は想定しにくいが、収益の回復を前提に高く評価するのも難しい。現在の株価には、長期保有に求める安全域が不足している。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/08 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 776 円74 億円(+ 還元の換算額還元の合計 182 円17 億円)。 今の値に割り戻すと 493 円47 億円、今との差 −39.9%、 期待の年率 +1.7%(資本コスト 7.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 1,451 円138 億円 | 252 円24 億円 | +107.5% | +8.3% | 204 円19 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,075 円102 億円 | 221 円21 億円 | +57.8% | +5.2% | 259 円25 億円 |
| 中立 | 28% | 756 円72 億円 | 200 円19 億円 | +16.5% | +1.7% | 268 円25 億円 |
| やや悲観 | 25% | 451 円43 億円 | 137 円13 億円 | −28.4% | −3.7% | 147 円14 億円 |
| 悲観 | 15% | 418 円40 億円 | 116 円11 億円 | −35.0% | −4.7% | 80 円8 億円 |
| 加重平均 | 100% | 776 円74 億円 | 182 円17 億円 | +16.7% | +1.7% | 958 円91 億円 |
今の株価時価総額 821 円78 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 12% 顧客基盤を守り、収益効率を再建 利益 8 億円 · PER 13.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,451 円138 億円
Wantedly Visitは営業体制の立て直しに成功し、企業文化に共感する候補者との接触機会を増やす。登録者の活動率が改善し、求人媒体を使う企業が得る採用成果も高まる。採用企業はIndeedやビズリーチを利用しながらも、Wantedly独自の候補者層へ接触するため契約を維持する。10年後の基本プランの有料企業数は現在の推定水準を守り、製品価値の向上によって料金を物価並みに引き上げられる。
Hireは採用履歴と入社後の活躍データを結び付け、外部AIエージェントとの接続を顧客利便性の向上に生かす。Perkも福利厚生の選択肢を増やし、企業との取引を維持する。新規事業の顧客数は大きく増やさないが、開発費と販売費の効率が改善して黒字化する。追加の大型買収には頼らず、自社開発製品の収益性向上を中心に据える。
営業収益は約58億円に達し、広告宣伝費の効率改善によって営業利益率は22%台となる。積み上がった現金の一部を配当として戻しながらも、研究開発を継続する。事業の優位性は以前より明確になるが、AIエージェントによる競争そのものが消えるわけではない。
- Wantedly Visit基本プラン:数量 3,000(年換算の有料契約企業数(社・推定))× 価格 0.02(有料契約企業1社当たり年間利用料(億円・名目))→ 売上 48 億円・営業利益 19 億円。有料企業3000社を維持し、平均年間単価は現在の1.32倍。媒体の価値を守り、広告効率を改善する。
- Wantedly Visitスカウト・オプション等:数量 5,000(年間のオプション販売件数(件・推定))× 価格 0.00(オプション1件当たりの平均販売額(億円・名目))→ 売上 8 億円・営業利益 5 億円。オプション販売数量は維持。単価は1.26倍で、顧客の採用成果に基づく販売が続く。
- Wantedly Hire:数量 200(年換算の有料契約企業数(社・推定))× 価格 0.01(契約企業1社当たり年間利用料(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。契約数は維持。AI機能の開発を採算改善に結び付けるが、数量の大幅増加は想定しない。
- Engagement Suite:数量 19,048(年間の有料従業員ライセンス数(席・年、推定))× 価格 0.00(1ライセンス当たり年間料金(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。契約席数をほぼ維持し、単価は1.15倍。福利厚生の独自性で一定の採算を確保する。
倍率:資本コストk=7.75%、余剰現金45億円を除いた事業ROEは約14.7%。堀はnormalなので超過収益の残存率を1/2とし、RONICは約11.2%となる。g_long=1%を使い、正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=約13.49倍。現金に帰属する税後利息0.63億円を純利益から除き、事業純利益7.72億円に倍率を適用する。余剰現金45億円には戻り方0.75を掛けて33.75億円を加える。株価や同業倍率は使用しない。
確率:営業組織の再構築とAI対応製品がともに成功し、既存の有料顧客基盤を維持しながら収益性を大きく改善する筋書き。財務余力は十分だが、新規受注の減少が実際に続いているため、成功を高確率にはしない。AI製品の独立売上は未開示なので、楽観でもAIを理由とする数量増加は織り込まず、すべての事業の数量を現在以下に抑える。
やや楽観 20% Visitが持ち直し、新製品も黒字化 利益 6 億円 · PER 13.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,075 円102 億円
Wantedly Visitは新規受注の減少を数年で止め、既存顧客を中心に安定した契約基盤を維持する。企業文化や社員の情報が採用候補者との接触に役立つという独自性は残るが、検索やスカウトの効率化では外部のAIサービスとの競争が続く。有料企業数は現在の推定値をやや下回るものの、顧客単価の上昇で売上の一部を補う。
Hireは採用管理の自動化機能を充実させ、顧客企業への販売を継続する。PerkやStoryも一定の顧客を確保するが、大手福利厚生サービスや人事ソフトウェアとの競争により急拡大はしない。新規製品への投資を段階的に見直し、失敗の大きい事業に資本を固定しない経営が定着する。
営業収益は約52億円となり、営業利益率は17%程度まで回復する。2010年代から2020年代前半のような成長企業ではなく、比較的安定した採用関連プラットフォームとして生き残る。還元は安定配当を基本とし、現金の全額を払い出すほど積極的な資本政策には変わらない。
- Wantedly Visit基本プラン:数量 2,850(年換算の有料契約企業数(社・推定))× 価格 0.02(有料契約企業1社当たり年間利用料(億円・名目))→ 売上 43 億円・営業利益 16 億円。有料企業数は現在の95%、年間単価は1.24倍。競争下でも一定の値上げを実現する。
- Wantedly Visitスカウト・オプション等:数量 4,700(年間のオプション販売件数(件・推定))× 価格 0.00(オプション1件当たりの平均販売額(億円・名目))→ 売上 7 億円・営業利益 4 億円。販売件数は94%を維持し、単価は1.19倍。スカウト需要の一部はAIに代替される。
- Wantedly Hire:数量 190(年換算の有料契約企業数(社・推定))× 価格 0.01(契約企業1社当たり年間利用料(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。契約数は95%、価格1.12倍。操作画面中心の機能は競争するが、選考記録と分析機能は残る。
- Engagement Suite:数量 18,000(年間の有料従業員ライセンス数(席・年、推定))× 価格 0.00(1ライセンス当たり年間料金(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。席数は約95%を維持し、価格は1.12倍。採算改善によって黒字化する。
倍率:k=7.75%。余剰現金45億円の税後利息0.63億円を除くと事業純利益は5.12億円、事業資本は約40.57億円となり、事業ROEは約12.6%。堀normalの残存率1/2でRONICは約10.2%。g_long=1%に対する正当化PERは約13.36倍。事業純利益に適用した価値へ余剰現金の回収価値33.75億円を加える。
確率:有料企業の減少に歯止めがかかり、新規事業の採算が改善する可能性は十分ある。ただし競合の顧客基盤が拡大しており、価格を物価並みに引き上げられる確信まではないため、楽観ほど強い成長を見込まない。
中立 28% 採用媒体は縮小均衡し、現金が価値を支える 利益 4 億円 · PER 13.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 756 円72 億円
国内の採用需要は、人手不足と転職の一般化によって維持される。しかし求人検索と候補者探索の自動化が進み、企業は複数の媒体を比較して採用費用を抑えるようになる。Wantedly Visitの文化共感型の情報には需要が残るが、有料企業数は現在の推定3000社から2550社へ緩やかに減る。基本料金は上がるものの、競合とAIによる価格圧力で物価の上昇には追い付かない。
スカウトオプションは企業の接触需要に支えられて存続するが、AIが候補者を探し、文面を作ることが一般化するため販売件数は減る。Hireは外部AIと接続する採用データ管理基盤として一定の役割を持つものの、独立した大きな利益源には育たない。Perkも福利厚生サービスとして残るが、席数と単価の競争が続く。新規事業の開発を続けるため、販管費の重さは残る。
営業収益は約44億円、営業利益率は12%程度となる。全社の利益率は過去の最盛期から低下し、自己資本も厚くなるためROEは低い。会社が保有する現金は経営の選択肢を支えるが、余剰現金をすべて株主に返すほど資本政策が変わるとは想定しない。大型買収やTOBを前提とせず、既存事業の縮小均衡を中心の見込みとする。
- Wantedly Visit基本プラン:数量 2,550(年換算の有料契約企業数(社・推定))× 価格 0.01(有料契約企業1社当たり年間利用料(億円・名目))→ 売上 36 億円・営業利益 12 億円。有料企業数は現在の85%、年間単価は1.16倍。物価1.34倍を下回り、価格競争とAI検索代替を反映する。
- Wantedly Visitスカウト・オプション等:数量 4,500(年間のオプション販売件数(件・推定))× 価格 0.00(オプション1件当たりの平均販売額(億円・名目))→ 売上 7 億円・営業利益 3 億円。販売件数は90%、単価1.12倍。スカウトの自動化により従来型の追加販売は伸びにくい。
- Wantedly Hire:数量 160(年換算の有料契約企業数(社・推定))× 価格 0.01(契約企業1社当たり年間利用料(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。契約数は80%、価格1.10倍。AIによる画面操作代替により、席課金型の拡大を見込まない。
- Engagement Suite:数量 16,000(年間の有料従業員ライセンス数(席・年、推定))× 価格 0.00(1ライセンス当たり年間料金(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。席数は84%、価格1.10倍。既存顧客への福利厚生提供は残るが、大手との競争で市場占有は進まない。
倍率:k=7.75%、g_long=1%。全社ROEは3.55÷76.57で約4.6%となるが、余剰現金45億円を事業から分離すると事業純利益は2.92億円、事業自己資本は31.57億円で、事業ROEは約9.25%となる。堀normalによりRONICは約8.50%。この事業の正当化PERは約13.07倍であり、事業利益2.92億円の価値へ余剰現金の回収価値33.75億円を一度だけ加える。全社の低ROEを無視した高い成長倍率は認めない。
確率:採用需要は残る一方、競争とAIによって有料企業数は減少し、顧客単価の上昇も物価以下にとどまると考える。2026年の新規受注の減少、2027年の会社減益予想を重視するが、顧客基盤が完全に失われるとは見ない。
やや悲観 25% 媒体の競争力が低下し、資産価値が下支え 利益 1 億円 · PBR 0.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 451 円43 億円
Wantedly Visitでは新規契約の回復が進まず、有料企業数が現在の推定水準から大きく減少する。企業はIndeedやビズリーチ、OpenWorkなどの採用媒体を組み合わせ、採用成果の乏しい媒体への支出を減らす。共感採用という考え方は残るが、特定のサイトに集まる必要性は弱くなる。基本料金の上昇は限定的で、売上全体は縮小する。
Hireは採用記録を保持するサービスとして存続するものの、外部の採用管理ソフトウェアに顧客を奪われる。Engagementも大手福利厚生サービスに比べて規模が小さく、拡販費用を回収しにくい。会社は広告宣伝と開発体制の一部を縮小するが、固定的な人件費やシステム運営費は残り、営業利益率は5%程度まで下がる。
利益が細るため株主還元も縮小し、配当水準は利益に応じて調整される。支配株主が現金の全額を配るとは限らず、事業価値の中心は将来の成長から既存資産の回収可能額へ移る。収益力だけでは十分な企業価値を支えられず、過去に蓄積した現金も新製品投資と事業整理で一部を消費し、最終的な純現金と売れる資産が下値の中心になる。
- Wantedly Visit基本プラン:数量 1,900(年換算の有料契約企業数(社・推定))× 価格 0.01(有料契約企業1社当たり年間利用料(億円・名目))→ 売上 26 億円・営業利益 7 億円。有料企業数は現在の63%、価格は1.14倍。営業効率の悪化が長期化する。
- Wantedly Visitスカウト・オプション等:数量 3,400(年間のオプション販売件数(件・推定))× 価格 0.00(オプション1件当たりの平均販売額(億円・名目))→ 売上 4 億円・営業利益 2 億円。販売数量は68%、単価はほぼ横ばい。採用企業が追加費用を抑える。
- Wantedly Hire:数量 120(年換算の有料契約企業数(社・推定))× 価格 0.01(契約企業1社当たり年間利用料(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。契約数は60%。採用管理ソフトウェア間の競争で利益がほとんど残らない。
- Engagement Suite:数量 13,000(年間の有料従業員ライセンス数(席・年、推定))× 価格 0.00(1ライセンス当たり年間料金(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。契約席数は68%、価格は1.05倍。福利厚生事業の拡大が停滞する。
倍率:悲観側のPBRは、添付factsの2025年8月期末自己資本48.9億円を基準に0.87705倍とし、2026年8月期の最新自己資本および10年後のequity_okuに記載された61.57億円へ掛けない。時価総額は48.9億円×0.87705倍=約42.89億円であり、当該筋書きの回収可能資産の床も約42.89億円とする。2026年8月期決算で確認できる自己資本61.57億円は、10年間の純利益と還元を追う出発点にのみ用いる。事業の利益は資本コストに届かず、資産の換金可能性を主要な尺度とする。現金と企業価値は重複して足さない。
確率:競合の利用企業増加とWantedly自身の新規受注減少が続けば、採用媒体の有料企業数が一段と落ち込む可能性がある。AI代替は中立の数量に織り込んでいるため、ここでは営業効率の立て直しの失敗と新規事業の収益化遅れを追加の下振れ要因とする。
悲観 15% 共感採用媒体が構造的に敗れ、残存資産中心の価値 利益 0 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 418 円40 億円
企業と求職者の間ではAIエージェントによる直接マッチングが一般化し、求人サイトを人が訪れる必要性が低下する。Wantedlyが蓄積した企業文化情報は残るものの、他社のAIサービスが多くの採用経路を横断して同様の情報を利用できるようになる。企業はVisitに独立した料金を払う理由を失い、有料企業数は現在の推定値の半分以下となる。スカウトオプションもAIによる自動化で需要が縮む。
Hireは大手採用管理ソフトウェアの機能に埋もれ、Engagementも大手福利厚生サービスとの競争に敗れる。会社は広告宣伝費と人件費を大幅に削り、事業の規模を小さくする。売上は約21億円と現在の半分程度になり、営業利益率も2%台まで低下する。採用市場の需要そのものがなくなるのではなく、ウォンテッドリーが十分な対価を受け取れなくなる構造的な敗北である。
経営は赤字転落を避けるため事業を縮小し、株主還元を利益水準に合わせて減らす。大型M&Aによる救済やTOBの成立は前提にしない。存続のための支出や撤退費用で換金可能な資産の一部を消費する。将来の稼ぐ力には大きな価値を認められず、企業価値は現金と売れる資産の回収可能額に近づく。支配株主による資本配分の失敗や清算費用も考慮するが、既存の純現金をすべて失うような倒産寸前の状態までは想定しない。
- Wantedly Visit基本プラン:数量 1,400(年換算の有料契約企業数(社・推定))× 価格 0.01(有料契約企業1社当たり年間利用料(億円・名目))→ 売上 18 億円・営業利益 4 億円。有料企業数は47%。単価は1.06倍にとどまり、媒体としての優位性を失う。
- Wantedly Visitスカウト・オプション等:数量 1,900(年間のオプション販売件数(件・推定))× 価格 0.00(オプション1件当たりの平均販売額(億円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。販売数量は38%。スカウト機能の付加価値が大きく低下する。
- Wantedly Hire:数量 80.0(年換算の有料契約企業数(社・推定))× 価格 0.01(契約企業1社当たり年間利用料(億円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。契約数は40%。競合の採用管理基盤に顧客を奪われる。
- Engagement Suite:数量 10,000(年間の有料従業員ライセンス数(席・年、推定))× 価格 0.00(1ライセンス当たり年間料金(億円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。席数は約52%。価格は現在並みで、大手福利厚生事業者に対抗できない。
倍率:悲観側のPBRは、添付factsの2025年8月期末自己資本48.9億円を基準に0.81208倍とし、2026年8月期の最新自己資本および10年後のequity_okuに記載された61.57億円へ掛けない。時価総額は48.9億円×0.81208倍=約39.71億円であり、当該筋書きの回収可能資産の床も約39.71億円とする。2026年8月期決算で確認できる自己資本61.57億円は、10年間の純利益と還元を追う出発点にのみ用いる。事業の利益は資本コストに届かず、資産の換金可能性を主要な尺度とする。現金と企業価値は重複して足さない。
確率:AIエージェントによる採用経路の中抜きと競合媒体への顧客流出が同時に進み、採用媒体としての地位を失う筋書き。純現金が厚く倒産の可能性は低いが、収益モデルが壊れる危険は無視できない。新規事業も代替収益源に育たず、売上が約半分になる可能性を明示する。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
Wantedly Visit基本プラン
企業文化や仕事への共感を軸に求職者と採用企業を結び付ける自社媒体。基本料金を企業から受け取る継続課金であり、採用成功報酬には依存しない。AI代替の型は自社利用者を持つプラットフォーム媒体とする。
| 数量年換算の有料契約企業数(社・推定) | 価格有料契約企業1社当たり年間利用料(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 3,000 | 0.01 | 36 | 11 |
| 10 年後 中立 | 2,550 | 0.01 | 36 | 12 |
取り方:会社開示の2026年8月期ストック収益38.20億円から、個別売上が非開示のHire1.20億円、Engagement0.80億円を推定配分し、Visitを36.20億円とした。Visitの公式料金は月額6万〜22万円であり、年換算平均を約120.7万円と仮定すると、有料契約企業は約3000社となる。全登録企業4.5万社の約6.7%に相当するが、有料契約社数は実測ではない。営業利益は直接採算に関する推定で、全社営業利益との調整は本社費・共通広告費等で行う。AI代替型は自社媒体。中立の数量は0.85倍、価格は1.16倍とし、検索・スカウトの自動化に伴う有料契約の減少と値上げ制約を反映する。市場規模は全国求人情報協会の求人情報提供サービス市場6661億円を参照し、売上ベースの厳密なシェアが不明なため、有料企業数と対象52万社に対する浸透率を数量の主な物差しにする。
Wantedly Visitスカウト・オプション等
採用企業向けのスカウト機能、広告・コンテンツ制作などの追加販売。媒体内の候補者接触を支える一方、制作・運用の一部はAIエージェントに直接代替される。
| 数量年間のオプション販売件数(件・推定) | 価格オプション1件当たりの平均販売額(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 5,000 | 0.00 | 7 | 3 |
| 10 年後 中立 | 4,500 | 0.00 | 7 | 3 |
取り方:2026年8月期のフロー収益は6.57億円と開示されている。会社の料金資料ではVisitの追加オプションは1件10万円からで、スカウトを中心に広告・コンテンツ制作などを含む。平均13.14万円と仮定した年5000件は売上からの逆算推定であり、実際の販売件数と構成比は非開示である。中立では販売件数を0.90倍、平均単価を1.12倍とし、候補者探索と文面作成の自動化による利用減少を織り込む。AI代替の型は自社媒体の有料接触枠と広告制作・運用の混合で、独立した専用データ基盤としての堀は認めない。
Wantedly Hire
採用管理、日程調整、選考状況の把握、分析、AI書類選考などを提供する採用管理システム。外部AIエージェントとの接続機能も備えるが、記録の正本としての強い堀を裏付ける実績はまだない。
| 数量年換算の有料契約企業数(社・推定) | 価格契約企業1社当たり年間利用料(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 200 | 0.01 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 160 | 0.01 | 1 | 0 |
取り方:2024年10月提供開始のWantedly Hireは12カ月契約の基本プランを持ち、AI書類選考やレポート機能などを提供する。公式資料は製品単独の契約数、ARPU、売上、営業利益を開示していない。現時点の全社ストック収益38.20億円のうち1.20億円をHireへ仮配分し、年額60万円・契約200社とした検証用推定である。市場にはHERP Hire、HRMOS採用、sonar ATSなどがあり、HERPは3000社以上への導入を公表する。各社の契約定義が異なるため市場シェアは算出しない。AI代替型は席・操作画面中心の業務SaaS。中立数量0.80倍、価格1.10倍とし、名目物価3%を十分に転嫁できない前提とする。AI機能の提供は確認できるが、AI単独売上の金額は未開示である。
Engagement Suite
福利厚生のPerk、社内報のStory、組織マネジメントのPulseを提供する従業員向けサービス群。主として契約企業の従業員ライセンスを販売する。
| 数量年間の有料従業員ライセンス数(席・年、推定) | 価格1ライセンス当たり年間料金(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 19,048 | 0.00 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 16,000 | 0.00 | 1 | 0 |
取り方:会社資料ではEngagementの基本料金は月額2.7万円から、従業員ライセンスは各製品とも月額350円からである。製品別売上や契約席数は非開示であり、全社ストック収益のうち0.80億円を仮配分した。1席年4200円を用いると約1.9万席相当になる。実際には基本料金や複数製品の販売があるため、これは厳密な実契約席数ではない。競合のリロクラブは2026年8月時点で1358万人の会員を持ち、Perkの市場シェアは極めて小さいと考えられるが正確には不明である。AI代替型は席課金SaaSとし、中立数量0.84倍、価格1.10倍を採用する。
リスクと懸念
AIエージェント代替
候補者探索、スカウト文面作成、求人比較、応募管理、日程調整はAIエージェントが直接実行しやすい。Visitでは採用企業が媒体へ支払う必要性が低下し、Hireでは操作画面や席数に応じた料金が圧迫される。Engagementも他の人事システムへ機能が統合され得る。自社のAI機能は防御策だが、個別のAI売上額やAI導入による更新率改善は未開示である。
有料企業数の減少と顧客獲得費用
登録企業数が増えても、有料企業が増えるとは限らない。2026年8月期はVisitの新規受注が減少し、マーケティング効率の低下も続いた。営業担当者の増強や広告キャンペーンで短期的に契約を獲得しても、顧客生涯価値が獲得費用を上回らなければ株主価値は増えない。契約更新率、有料企業数、顧客獲得費用の継続開示が不足している点が不確実性を高める。
採用媒体の競争とネットワーク効果の弱体化
Indeed、ビズリーチ、OpenWork、Greenなどが競争相手となる。企業は複数の媒体を使えるため、Wantedlyの利用を停止しても採用業務そのものは止まらない。共感採用という考え方が一般化すると、ブランドの独自性も薄れやすい。登録者数が増えていても活動率と採用成果が低下すれば、ネットワーク効果は売上や価格決定力につながらなくなる。
新規事業の投資回収
Hire、Perk、Story、Pulseは収益の多角化に役立つ可能性があるが、個別の契約数、売上、損益は公表されていない。競合には採用管理や福利厚生を主力とする規模の大きい企業がある。開発人員、営業人員、広告宣伝に資金を投じても継続収益が十分に増えなければ、追加投資の利回りは資本コストを下回る。製品別の採算が見えない状態では高い成功確率を置きにくい。
現金の回収可能性と支配株主
2026年8月末の現金及び預金68.05億円は大きな強みだが、契約負債、未払税金、運転資金への対応が必要である。創業者が議決権の約68%を保有しており、少数株主が大規模な自社株買いや特別配当を実現させることは難しい。利益を生まない事業投資や買収が続けば、豊富な資産は株主へ還元されないまま減少する可能性がある。
求人情報・個人情報に関する規制
会社は応募情報、経歴、名刺情報などの個人情報を扱う。個人情報保護法、職業安定法などへの対応が不十分であれば、業務改善や信用低下につながる。AI書類選考や候補者推薦では、利用目的、情報の取扱い、判断の公平性について顧客の要求が高まる可能性がある。重大な漏えいや不適切な求人表示は、求職者と企業の双方が参加する媒体への信頼を損なう。
一時利益とキャッシュフローの見誤り
2026年8月期の純利益14.44億円には本社移転補償金15.50億円が税前の特別利益として含まれる。営業キャッシュフロー7.79億円にも、移転補償金の現金受領7.50億円が含まれている。投資キャッシュフローの大幅なマイナスには定期預金への振替15億円が含まれ、設備投資の急増と同一視できない。利益、現金収支、定期預金への振替を分けないと、恒常的な収益力も資金余力も誤って評価する。
今後の分かれ目
- Visitの有料企業数が四半期ごとに増加し、少なくとも1年以上持続したら
- 顧客獲得力が回復した証拠として中立の有料企業数を引き上げる。登録企業数ではなく有料契約の実数と更新率を重視し、広告費を増やした結果だけでないことを確認する。
- ストック収益の四半期減少が止まり、営業利益率が改善したら
- Visitの値決め力と販売効率への評価を改善する。単なる広告費削減ではなく、採用成果と継続契約による売上回復が伴えば、やや楽観の確率を高める。
- HireとEngagementの契約数、ARR、解約率、製品別利益が継続的に開示されたら
- 仮配分している製品別の売上と利益を実績に置き換える。新規事業が資本コストを超える増分利益を生んでいるなら、事業価値を上方修正する。
- 自社のAIエージェント関連製品で独立した売上額と有料契約の増加が確認できたら
- AIを防御手段だけでなく新しい収益源として評価する。数量上限の見直しを検討するが、単に機能を発表した段階では楽観的な売上を加えない。
- 採用媒体の売上がさらに大きく減り、顧客獲得費用が改善しなければ
- やや悲観・悲観の確率を引き上げる。営業費用を十分に削れない場合には利益率と資本効率を下方修正し、現金の消費も再評価する。
- 余剰現金を使った大規模な自社株買い、特別配当、または明確な総還元方針が公表されたら
- 現金の株主への戻り方を0.75から1.0へ見直す余地がある。ただし還元額と株数、実際の実行状況を確認し、すでに配当として評価した額を重複して足さない。
- 正式なTOB、MBO、株式交換による完全子会社化や上場廃止方針が発表されたら
- 通常の10年継続企業評価を中止し、提示対価、成立条件、旧株主が受け取る現金や株式を基準に評価し直す。支配株主の存在だけから成立を予測しない。
見ておくもの
- Wantedly Visitの有料企業数、新規受注数、契約更新率の開示と推移
- ストック収益とフロー収益の四半期推移、特に2026年8月期第4四半期のストック収益約9.03億円からの回復
- 広告宣伝費と営業収益の関係、商談獲得数・受注率・顧客獲得費用の変化
- 登録ユーザー数だけでなく月間活動者数、応募・面談・採用成果の推移
- HireとEngagementの有料契約企業数、契約席数、ARR、解約率、製品別営業損益
- AIエージェント関連機能の独立した売上・契約数と、外部AI経由の利用状況
- Indeed、ビズリーチ、OpenWork、HERP、HRMOSなど競合の利用企業数と提供機能
- 配当総額、自社株買い、新株予約権・株式報酬による希薄化、支配株主の保有状況
- 現金及び預金、定期預金、契約負債、未払税金の残高と営業キャッシュフローの継続収益部分
- 会社の中期数値目標や資本配分方針の新規公表、TOB・MBO・上場廃止に関する正式開示
倍率と資本コストの決め方
企業価値は、現在の株価や過去・同業のPERを使わず、2026年8月期の事業構造と2027年の会社予想を出発点として、数量と単価から10年後の売上・利益を求めた。主力Visitは独自データを持つ自社媒体だが、AI代替と顧客獲得力の低下を中立の数量と価格に反映し、10年より先の名目成長率を1%に制限した。楽観から中立までの倍率はk、事業ROE、RONIC、g_longに基づく正当化PERとし、余剰現金の価値を別に加えた。悲観側は現時点の純現金と売れる資産を出発点に、将来の換金困難な投資と処分費用を控除した資産床を用い、将来の積み上がった自己資本へ低PBRを掛けていない。基準株価845円と950万7183株から時価総額は約80.34億円となる。確率加重した10年後時価総額は約73.80億円、10年間の還元は約17.30億円であり、資本コスト7.75%で割り引いた現在価値は約46.90億円となる。差は約-41.6%で「割高」である。現在の株価に価値を近づけるための倍率や確率の調整はしていない。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%を基本とし、値決め力の弱さと純現金による財務の強さを反映する。創業者支配、AI代替、新規事業の投資回収不確実性は追加の資本コストではなく、筋書きと確率に反映する。