結論
Speeeは、不動産売却や住宅リフォームの見込み客を集めて事業者に紹介し、企業の広告・データ活用を支援する会社である。筆者の結論は「割高」だ。足元で稼ぐ送客事業には一定の強みがあるが、株主が現在払う価格には、いまだ売上の小さい金融DXが相当な収益源になる期待が含まれている。10年後の本質価値を現在に引き戻すと約110億円となり、基準時点の時価総額約221億円に対する安全域は乏しい。
「イエウール」は月間3万人超の査定依頼と2,500社超の提携先を持つ。売り手と仲介業者を同時に集める苦労は、後発企業には参入障壁となる。リフォーム事業も独立した事業体に育ち、2026年9月にはSOMPOから18.12億円の出資を受けた。ただし仲介の紹介料金は顧客が成果を比較しやすく、検索を生成AIが代行する時代には集客自体の優位が揺らぎうる。
より大きな分かれ目はDatachainの決済・デジタル資産基盤である。銀行との実証や技術助言は事実だが、継続的な決済取扱量と手数料の開示はない。2026年10月のメガバンク実証には別の事業者の基盤が使われ、採用先は未決定だと会社も説明した。中立の筋書きでは金融DXの商用収益化を一定程度認め、それでも価値は現在の価格に届かない。確率は失敗側に寄せたが、それはAIの脅威を重ねて罰するためでなく、実証から商用契約へ越えるべき距離の長さによる。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の見方では、好きな事業と好きな株価は違う。売却を考える人と信頼できる業者をつなぎ、双方から再び選ばれる仕組みには価値がある。イエウールの実利用者と加盟店の数は、架空の期待ではなく積み重ねた営業資産だ。もし紹介料金を上げても加盟店が離れず、広告を買わなくても利用者が集まるなら、再投資の利回りは相当高くなりうる。
ただし今の収益に対する裁量は広告配信会社や検索サービスにもある。見込み客を有料で獲得して紹介する形では、広告単価が上がったときに利益を守れるとは限らない。DXコンサルティングはAIエージェントの普及によって、現在の人員構成と請求の単位が10年後も残るか疑わしい。経営陣がAIで効率を改善していることと、競争で浮いた利益を株主がすべて取れることは別である。
Datachainが決済の接続基盤として金融機関に欠かせない存在になる可能性はある。しかし導入前の試験、技術助言、本番稼働の継続収入を同じ利益としては数えない。誰が発行するか、どこに規制責任が残るか、接続の利用ごとに誰へ何割の手数料が渡るかが判明するまでは、夢より小さな確率を用いるべきだ。
資本配分で最大の疑問は、赤字の金融事業が今後生む利益の累計が、投じた資金と希薄化の負担を補えるかである。いったん金融DXを撤退・縮小すればコア事業の利益は見えやすくなるが、そこで初めて高い成長価値が残るとは限らない。合弁会社の少数持分も忘れてはならない。事業は見守る価値があっても、今の時価総額に対しては安全域を確保できない。
何で稼ぐ会社か
会社の稼ぎ方は、見込み客を紹介する手数料、広告・マーケティングを改善する支援報酬、そして開発中の金融インフラという三層に分かれる。2025年9月期の会社開示区分では、レガシー産業DXが売上約113億円、DXコンサルティングが約51億円、金融DXは売上ゼロだった。レガシー事業の中でも不動産紹介とリフォームでは顧客も収益配分も違うため、今回の事業予測では四つに分けている。
不動産側の代表は「イエウール」である。家や土地を売りたい個人が査定を申し込み、提携する仲介会社が紹介料を負担する。加盟会社が多いほど売主の選択肢が増え、売却相談が多いほど加盟会社にとって魅力が増す。「ケアスル」など介護施設紹介のように、生活者の検討段階と事業者の営業活動の間をつなぐ事業もある。紹介後の不動産売買総額は会社の売上ではない。紹介が有料になる件数と、一件当たり実現する料金が売上を決める。
住宅修繕の「ヌリカエ」などは、見積りを求める施主と施工会社を結ぶ。2025年9月期に切り出し対象だったこの事業の売上は38.11億円である。2026年9月からはReFactとしてSOMPOが39.3%を保有し、保険事故からの修理需要を取り込む道が開けた。ただし連結売上は100%計上されても、ReFactの将来利益のすべてがSpeeeの株主に属するわけではない。
DXコンサルティングではSEO、広告運用、データ分析、事業戦略を企業から請け負う。2025年9月期のセグメント営業利益は約18億円だったが、2026年9月期の会社予想は約12億円へ下がった。案件拡張で一社当たり単価は直近四半期に前年を上回る一方、顧客数は減っており、人の工数から稼ぐ仕事はAIエージェントと直接競争する。小規模な業務SaaSも、画面や席数への課金が中心なら同じ圧力を受ける。
金融DXはDatachainを軸に、異なるブロックチェーンや銀行・事業法人をつなぐ仕組み、ウォレット、匿名性を高める技術を開発する。現在の収益は技術助言が中心で、銀行の発行残高や預金運用益をSpeee自身の収入と見なすことはできない。収入が積み上がるには、金融機関の本番導入と継続使用、手数料配分の契約が必要になる。
優良さと弱いところ
Speeeの最も確かな競争力は、生活者が売却や修繕を思い立つ場面で、必要な事業者に出会わせる営業網である。イエウールの月間査定依頼と全国2,500社超の提携ネットワークは、模倣しようとすれば広告費と営業人員が要る。後発企業が同じ情報を集めても、双方に十分な件数を流すまで採算が取れない。この意味で紹介市場には弱くない堀、つまり他社が容易に越えられない障壁がある。
しかし値決め力を証明するには、紹介単価の持続的な上昇と加盟企業の解約率を見たい。四半期の単価改善は会社が開示するものの、物価を上回る値上げを複数年継続した記録までは確認できない。利用者の流入は検索エンジンと広告配信に依存し、2026年9月期第3四半期のレガシー事業のユーザー数は前年同期比11%減った。成約率と単価の上昇で吸収できた局面を、恒久的な価格支配力と混同してはならない。
DXコンサルティングは高い利益率を得た実績があるが、その利益は担当者の知識と顧客との契約に結び付いている。顧客のデータの法的な正本を預かる業務とは異なり、他社への乗り換えや社内のAI化を拒む力は限定的だ。金融DXも三菱UFJ銀行との技術助言やProgmatとの連携は前進だが、低解約率、長期移行負担、規制上の不可欠性という堀の証拠はまだそろわない。名称にブロックチェーンやインフラが付いているだけで、独占的な収益の継続を前提にはできない。
2022年9月期の営業利益は約16億円だったが、2025年は赤字である。金融DXに資金を投じた結果、連結資本利益率も振れた。再投資の増分利回りが資本コストを上回ったと断定する材料はなく、次に確かめるべきなのは金融DXの顧客数ではなく、費用を引いた後の経常的な現金創出である。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
日本の不動産売却紹介は成熟市場の取引件数を各サイトが奪い合う競争である。イエウールは査定依頼者数など限定した調査で首位を掲げるが、SUUMO、HOME4U、LIFULL HOME'S、リビンマッチなども売主と仲介会社をつないでいる。全国すべての査定紹介に対する監査済みのシェアは公表されていない。月間約3万件という実績を、比較対象サイト全体の月間10万〜15万件という仮定に当てると2〜3割に見えるが、分母は筆者の仮説であり公的な市場占有率ではない。中立では中古住宅の取引量を大きく増やさず、他社から失ったり奪ったりする分が相殺するとみる。
リフォーム工事の市場は矢野経済研究所の推計で2025年に約7.5兆円ある。しかしこれは施主が施工会社に支払う工事代金であり、ヌリカエが受け取る紹介料とは別物だ。会社が説明するオンライン仲介の対象市場470億円に対して、切り出す事業の売上38億円は単純比で8%程度となる。ただし対象市場の定義や競合の切り分けを検証できないため、これも公式なシェアではない。SOMPOの契約者接点は数量増の理由になる一方、見積り依頼そのものはAIで自動化されうる。
企業のDX投資には追い風がある。会社資料には国内DX市場が2030年に約8兆円へ広がる外部予測が載る。それでもDX投資全体をSpeeeのコンサル受注可能額とみなすのは過大だ。アクセンチュアなど大手コンサル、サイバーエージェントやセプテーニといった広告運用、顧客自身の内製チームが競争相手である。AIエージェントは広告素材、入札調整、レポート作成、検索対応を一段と安くする。受注件数が減って単価だけ上がる事態もありうる。
金融分野は、国際送金やデジタル証券の受け渡しの摩擦が残る巨大市場だ。しかし全世界の送金総額やステーブルコイン発行残高はソフト会社の売上ではない。手数料を得るのは発行銀行、決済網、送金事業者、接続基盤など複数であり、そのうちDatachainの分配率は未確認である。2026年10月、メガバンク3行の実証にTISIの基盤が使われたことは、商用標準が未確定である実例だ。SBI系の基盤や海外のネットワークとも競い、規制への対応だけでなく実利用件数を獲得する必要がある。
資本政策と M&A
資本配分には大胆さがあるが、株主に利益が返った実績はまだ薄い。2020年の上場後、現金配当は実施しておらず、2025年9月期には新株発行によって持ち株一株当たりの取り分が薄まった。過去5年にまとまった自社株買いで株数を減らした形跡もない。上位10株主が約73%を持つため、今後生じる余剰現金が少数株主に届くかを慎重に扱う。
2026年9月期の会社予想は売上170億円、営業損失約12億円、純損失約15億円で、金融DXの開発費が利益を圧迫する。2025年9月末には純現金が約49億円あったが、2026年6月末までに現金残高は減った。金融DXが商用化する前に追加出資が必要なら、将来の利益の伸びと一株当たりの価値は別の動きになりかねない。
SOMPOはReFactへ18.12億円を払い込み、出資後の持分は39.3%となった。外部企業が対価を払ったことはリフォーム事業の価値を裏付ける反面、今後その利益の約4割は外部株主に帰属する。出資金はSpeee本体への無条件の配当原資ではなく、合弁会社の事業資金である。DatachainやSpiral Partnersへの継続投資についても、案件数ではなく資本コスト超過の稼ぎを要求したい。
会社はレガシー産業DX売上300億円、DXコンサルティング100億円の規模を目指す方向を示したが、期限を区切った確定的な中期経営計画の売上・利益・ROE目標ではない。配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い額にも数字の約束はない。正式なTOB・MBO・上場廃止の予定や継続企業の前提に関する注記は確認できず、独立上場を前提に評価する。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
Speeeには、後発が買おうとしてもすぐには買えない二つの資産がある。イエウールの査定依頼者と加盟する不動産会社、そしてヌリカエを軸とする施工業者のネットワークだ。提携店はすでに十分な案件があるサイトを好み、見積りを求める個人も地域に対応できる業者が多いサイトを好む。この相互作用が強まれば、広告費が上がっても送客効率で競争相手を引き離せる。
SOMPOとのReFact合弁は、保険契約者の修繕という既存サイトにはなかった入口を作る。広告を通さない利用者流入が増えれば、同じ紹介件数でも利益は厚くなる。SOMPOが18億円を投じた資本取引は、リフォーム部門を赤字企業の中の一部と見ず、一つの事業として評価した証拠でもある。外部への利益配分は必要だが、取引量を数倍にする提携の利点がこれを上回る可能性がある。
金融DXにはさらに大きい上振れ余地がある。Progmatとの連携、三菱UFJ銀行への助言、Project Trinity、KuraPrivacyのパートナー募集が本番契約につながれば、接続先が増えるほど技術の再利用が進む。国境を越える決済や証券と資金の同時受け渡しが伸びたとき、基盤を提供するDatachainは利用企業ごとに継続収入を受け取れる。AIによる開発効率化も固定費負担を下げうる。既存事業で資金を確保しながら金融基盤が立ち上がれば、現在の本質価値を大幅に上回る10年後も十分想像できる。
慎重な見方
会社の稼ぎは、表面上の高成長市場よりもずっと競争にさらされている。不動産会社や施工業者が欲しいのは紹介そのものではなく実際に成約する顧客だ。紹介先が重複し、顧客の質が落ちれば、加盟会社は支払う料金を減らす。SEOや広告から来る利用者は、Googleなどの検索結果がAI回答へ変わった瞬間に流入経路を失いうる。2026年にすでに利用者数が減っていることは、この危険を遠い仮定として扱えない理由である。
DXコンサルティングにも時間を味方にする強い堀は見えない。広告制作、運用調整、レポーティングの多くがAIエージェントに置き換わり、顧客は自社で同等の分析を行える。高付加価値の上流支援を増やしても、競合も同じ方向へ移るため、価格上昇が従来の工数減少を必ず補うわけではない。新設子会社や採用拡大が固定費を残せば、売上より利益が先に縮む。
金融DXの採用可能性も過大評価されやすい。実証実験の発表は商用契約ではなく、銀行は自前の開発やTISI、SBI系の別基盤を選べる。2026年10月の3メガバンク実証で使われた技術がDatachainではなかった事実は、競争が未決着だと示す。売上がほぼない金融DXに年間十数億円の先行費用を投じ続ければ、現金は減る。さらにReFactの約4割は外部株主が保有する。魅力ある事業の全利益を現在のSpeee株主に配分してしまう計算なら、最後に残る取り分を大きく見誤る。
どちらに重みを置いたか
堅い事業資産として不動産・リフォームの集客網を認めるが、長期の値付けでは慎重な見方が優勢である。金融DXには本番導入が進む上振れがある一方、2026年秋時点では継続的な利用料も市場シェアも確かめられない。AI代替の影響はコンサルティングの数量と10年より先の成長率にすでに反映したため、確率で再度罰していない。やや悲観と悲観の合計を39%とした固有の理由は、競合する銀行基盤の存在、資金の先行流出、ReFactの外部持分である。中立でも価値は株価に届かず、総合判断は割高となる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/09 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 2,002 円231 億円(+ 還元の換算額還元の合計 22 円3 億円)。 今の値に割り戻すと 964 円111 億円、今との差 −47.7%、 期待の年率 +0.9%(資本コスト 7.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 9,142 円1,055 億円 | 156 円18 億円 | +404.0% | +17.8% | 837 円97 億円 |
| やや楽観 | 18% | 3,300 円381 億円 | 43 円5 億円 | +81.2% | +6.2% | 602 円69 億円 |
| 中立 | 34% | 1,075 円124 億円 | 0 円0 億円 | −41.7% | −5.3% | 366 円42 億円 |
| やや悲観 | 24% | 600 円69 億円 | 0 円0 億円 | −67.5% | −10.6% | 144 円17 億円 |
| 悲観 | 15% | 505 円58 億円 | 0 円0 億円 | −72.6% | −12.2% | 76 円9 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,002 円231 億円 | 22 円3 億円 | +9.7% | +0.9% | 2,024 円234 億円 |
今の株価時価総額 1,845 円213 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 金融インフラの採用と送客網の拡張が重なる 利益 74 億円 · PER 14.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 9,142 円1,055 億円
イエウールはAI経由の検索にも対応し、不動産売却の見込み客が意図的に利用する指名サービスへ育つ。中古物件の売却相談で競合するHOME4UやSUUMOから利用を取り込み、紹介件数と実現料金を高める。SOMPOの保険契約者から災害・事故に伴う修繕需要がReFactへ流れ、広告費が売上ほど増えず、業者との信頼関係も厚くなる。ただし連結後のReFact利益の39.3%はSOMPOに渡る。
DatachainはProgmatやProject Trinityから本番運用へ進み、銀行と決済会社の接続先を国内外80社相当に広げる。国際送金に加え、デジタル証券と資金の同時決済で接続技術が使われ、継続利用料と取引連動手数料を得る。銀行やステーブルコイン発行体は預り資産の収益を自ら保持するが、Speeeには技術と使用量に見合う取り分が残る。金融DXの営業利益が既存部門を上回り、開発費を回収できる。
広告制作や運用の定型作業はAIエージェントへ移るため、コンサルの契約数量をなお減らす。高度な経営・医療支援の割合を増やして単価を守り、本社費用は拡大する事業を支える範囲にとどまる。十分な資本が積み上がった後には無配を転換し、10年間の後半で初めて配当・自社株買いを実行する。
- 不動産・介護等の紹介DX(ReFact以外):数量 61.0(年間有料送客の成約課金相当件数(万件、推計))× 価格 2.28(課金相当1万件当たりの実現売上(億円))→ 売上 139 億円・営業利益 31 億円。市場が名目で拡大するのではなく、課金できる紹介件数と実現単価を分ける。売却・介護の紹介網の強さと流入減を同時に反映。
- リフォーム紹介・ReFact:数量 46.0(年間有料施工会社紹介の課金枠換算件数(万件、推計))× 価格 2.45(紹介課金1万枠当たりの実現売上(億円))→ 売上 113 億円・営業利益 26 億円。SOMPO連携が課金枠の数量に影響。ReFact営業利益の非支配持分39.3%は連結純利益の親会社帰属への変換時に控除。
- DXコンサルティング・広告制作運用:数量 270(年間有償の継続契約顧客相当数(社、推計))× 価格 0.23(契約顧客相当1社当たり年収入(億円、運用手数料ベース))→ 売上 61 億円・営業利益 19 億円。AIエージェント代替による工数・契約数減を数量へ、手数料率への値下げ圧力を単価へ織り込む。
- 金融DX・Datachain:数量 80.0(継続有償稼働する金融・決済機関の年換算契約相当数(社))× 価格 2.30(有償先1社当たりの年間実現技術・利用料(億円、決済額ではない))→ 売上 184 億円・営業利益 74 億円。実際の有償契約・取扱実績の開示がないため新規機関数とサービス利用料は条件付きの予測。発行銀行の預り資金利息は計上しない。
倍率:資本コストk=7.75%。余剰現金8億円と対応する税後利息0.112億円を営業事業から外したROEは27.6%。堀は通常(超過収益の残存1/2)としてRONIC=k+0.5×(ROE−k)=17.7%、10年より先の名目成長率g=1.0%から正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=13.98倍を算出した。楽観から中立はこの上限を使用し、事業の税後利益×PERに余剰現金の戻り率50%による4億円を加える。今の市場PERは参照しない。
確率:国内外の金融機関80社相当で商用接続課金を得るには本番採用と規制対応、銀行との利益配分で連続的に成功する必要がある。現時点の有償実績が小さく、少数の成功例のみでは届かない。
やや楽観 18% 紹介網拡大と金融DXの有償化が進む 利益 28 億円 · PER 13.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,300 円381 億円
住宅売却と修繕の見積り需要は高齢化した既存ストックを背景に残る。イエウールは加盟する不動産会社を増やし、競合サイトに利用者を奪われる地域と強い地域が併存しながらも、有償紹介を少し増やす。ReFactではSOMPOが持つ保険と修理の接点を生かし、従来の検索広告に頼らない紹介が増える。成約に結び付く質の高い紹介には施工会社が料金を払うが、相見積りとAI比較の普及で単価の自由度は限定される。
Datachainは三菱UFJ銀行への技術助言などの実績を足掛かりに、商用システムを採用する45社相当を獲得する。機関ごとの接続料と取扱量に応じた収入が生まれるが、独占的な標準にはならず、TISIやSBI系の別基盤も共存する。規制上の責任を持つ発行体に収益の多くが残るため、金融DXの利益率は限定される。
広告運用やSEOの定型支援はAIに代替され、コンサルの有償契約は減るものの、高度案件への転換で平均契約額は上がる。投資先行期が終われば少額の株主還元が始まり、現金は運転資金と開発投資の双方を支えられる。10年後には黒字と再投資の両立が可能になるが、金融のネットワーク効果を全社に無条件で広げるわけではない。
- 不動産・介護等の紹介DX(ReFact以外):数量 54.0(年間有料送客の成約課金相当件数(万件、推計))× 価格 2.25(課金相当1万件当たりの実現売上(億円))→ 売上 122 億円・営業利益 22 億円。市場が名目で拡大するのではなく、課金できる紹介件数と実現単価を分ける。売却・介護の紹介網の強さと流入減を同時に反映。
- リフォーム紹介・ReFact:数量 34.0(年間有料施工会社紹介の課金枠換算件数(万件、推計))× 価格 2.37(紹介課金1万枠当たりの実現売上(億円))→ 売上 81 億円・営業利益 15 億円。SOMPO連携が課金枠の数量に影響。ReFact営業利益の非支配持分39.3%は連結純利益の親会社帰属への変換時に控除。
- DXコンサルティング・広告制作運用:数量 240(年間有償の継続契約顧客相当数(社、推計))× 価格 0.22(契約顧客相当1社当たり年収入(億円、運用手数料ベース))→ 売上 52 億円・営業利益 15 億円。AIエージェント代替による工数・契約数減を数量へ、手数料率への値下げ圧力を単価へ織り込む。
- 金融DX・Datachain:数量 45.0(継続有償稼働する金融・決済機関の年換算契約相当数(社))× 価格 1.65(有償先1社当たりの年間実現技術・利用料(億円、決済額ではない))→ 売上 74 億円・営業利益 22 億円。実際の有償契約・取扱実績の開示がないため新規機関数とサービス利用料は条件付きの予測。発行銀行の預り資金利息は計上しない。
倍率:資本コストk=7.75%。余剰現金8億円と対応する税後利息0.112億円を営業事業から外したROEは14.3%。堀は通常(超過収益の残存1/2)としてRONIC=k+0.5×(ROE−k)=11.0%、10年より先の名目成長率g=1.0%から正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=13.47倍を算出した。楽観から中立はこの上限を使用し、事業の税後利益×PERに余剰現金の戻り率50%による4億円を加える。今の市場PERは参照しない。
確率:既存送客で販路の改善が続き、Datachainに複数行の商用接続が成立する組合せ。技術助言から利用料への転換は十分ありうるが、確認済みの売上に対して大幅な拡張なので楽観側とする。
中立 34% 本業は安定し金融DXは小さく採算化 利益 9 億円 · PER 13.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,075 円124 億円
イエウールは不動産会社との接点を守るが、検索サイトとAIによる査定比較が普及し、利用者数は自然には増えない。国内の中古住宅取引が横ばいに近い中で、紹介件数も現在とほぼ同じになる。一件当たり料金は名目で上がるものの、物価全体の上昇には届かない。ケアスルなどの新たな紹介領域は増えるが、少数分野の成長が既存不動産の成熟を相殺する。
ReFactはSOMPO経由の保険修繕案件を取り込み、紹介件数を増やす。しかし工事の施工会社が賃金と材料高に苦しむため、紹介料を工事代金と同じ割合では上げられない。2026年に成立した合弁契約の通り、利益の39.3%は親会社の株主以外に帰属する。
DXコンサルティングは、従来人が分析や広告配信を行った仕事がAIエージェントに代わる。有償契約社数は現在の約65%まで減る一方、高付加価値案件で単価は持ちこたえる。小規模な席課金型業務ソフトにも値下げ圧力が続く。Datachainは金融機関22社相当の限定的な有料運用に到達し、年間約23億円を稼ぐが、大手銀行の標準インフラを独占するわけではない。本社費と開発費を払い、親会社帰属利益は一桁億円台の後半へ戻る。無配を基本に内部資金で事業を維持する。
- 不動産・介護等の紹介DX(ReFact以外):数量 44.0(年間有料送客の成約課金相当件数(万件、推計))× 価格 2.10(課金相当1万件当たりの実現売上(億円))→ 売上 92 億円・営業利益 16 億円。市場が名目で拡大するのではなく、課金できる紹介件数と実現単価を分ける。売却・介護の紹介網の強さと流入減を同時に反映。
- リフォーム紹介・ReFact:数量 25.0(年間有料施工会社紹介の課金枠換算件数(万件、推計))× 価格 2.18(紹介課金1万枠当たりの実現売上(億円))→ 売上 55 億円・営業利益 9 億円。SOMPO連携が課金枠の数量に影響。ReFact営業利益の非支配持分39.3%は連結純利益の親会社帰属への変換時に控除。
- DXコンサルティング・広告制作運用:数量 195(年間有償の継続契約顧客相当数(社、推計))× 価格 0.21(契約顧客相当1社当たり年収入(億円、運用手数料ベース))→ 売上 41 億円・営業利益 12 億円。AIエージェント代替による工数・契約数減を数量へ、手数料率への値下げ圧力を単価へ織り込む。
- 金融DX・Datachain:数量 22.0(継続有償稼働する金融・決済機関の年換算契約相当数(社))× 価格 1.05(有償先1社当たりの年間実現技術・利用料(億円、決済額ではない))→ 売上 23 億円・営業利益 6 億円。実際の有償契約・取扱実績の開示がないため新規機関数とサービス利用料は条件付きの予測。発行銀行の預り資金利息は計上しない。
倍率:資本コストk=7.75%。余剰現金8億円と対応する税後利息0.112億円を営業事業から外したROEは10.6%。堀は通常(超過収益の残存1/2)としてRONIC=k+0.5×(ROE−k)=9.2%、10年より先の名目成長率g=1.0%から正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=13.20倍を算出した。楽観から中立はこの上限を使用し、事業の税後利益×PERに余剰現金の戻り率50%による4億円を加える。今の市場PERは参照しない。
確率:事実上の黒字事業である送客とコンサルの利益を維持しつつ、金融DXが限定された金融機関に本番導入される。コンサルではAIによる工数縮小、紹介では検索経路の圧力を中立にも反映した。
やや悲観 24% AIによる集客・運用の圧迫と金融投資の縮小 利益 −15 億円 · PBR 1.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 600 円69 億円
生活者が住宅の売却価格や改修費をAIエージェントに直接相談するようになり、紹介サイトに訪れる理由が薄まる。Googleの検索画面から流入した相談者を集める費用も上がり、イエウールは大手の不動産ポータルや仲介会社の自社サービスとの競争で有償紹介を減らす。紹介先を増やすほど成約率が落ち、既存加盟店は料金の引下げを求める。
ReFactはSOMPOとの契約者連携を持っていても、修理施工会社の人手不足で受注可能件数が制約される。粗利が低下するとSOMPOの持分39.3%が親会社の利益回復をさらに遅らせる。DXコンサルティングでは案件の作業範囲がAIに吸収され、見かけの単価が上がっても契約社数の減少が勝つ。
金融DXではTISIなどの競合基盤が主要行の商用案件を取り、Datachainはごく一部の接続・保守案件にとどまる。売上は一定あるが開発費を賄えず、経営は採用縮小と事業再編に追われる。連結赤字と将来の資金需要から、新しい還元はできない。帳簿の自己資本は利益の積み上げでは増えず、株主の価値は売れる資産と残る紹介利益に依存する。
- 不動産・介護等の紹介DX(ReFact以外):数量 34.0(年間有料送客の成約課金相当件数(万件、推計))× 価格 1.78(課金相当1万件当たりの実現売上(億円))→ 売上 61 億円・営業利益 5 億円。市場が名目で拡大するのではなく、課金できる紹介件数と実現単価を分ける。売却・介護の紹介網の強さと流入減を同時に反映。
- リフォーム紹介・ReFact:数量 16.0(年間有料施工会社紹介の課金枠換算件数(万件、推計))× 価格 1.85(紹介課金1万枠当たりの実現売上(億円))→ 売上 30 億円・営業利益 2 億円。SOMPO連携が課金枠の数量に影響。ReFact営業利益の非支配持分39.3%は連結純利益の親会社帰属への変換時に控除。
- DXコンサルティング・広告制作運用:数量 165(年間有償の継続契約顧客相当数(社、推計))× 価格 0.19(契約顧客相当1社当たり年収入(億円、運用手数料ベース))→ 売上 31 億円・営業利益 5 億円。AIエージェント代替による工数・契約数減を数量へ、手数料率への値下げ圧力を単価へ織り込む。
- 金融DX・Datachain:数量 5.0(継続有償稼働する金融・決済機関の年換算契約相当数(社))× 価格 0.60(有償先1社当たりの年間実現技術・利用料(億円、決済額ではない))→ 売上 3 億円・営業利益 −4 億円。実際の有償契約・取扱実績の開示がないため新規機関数とサービス利用料は条件付きの予測。発行銀行の預り資金利息は計上しない。
倍率:AIによる送客の減少と金融DXの商用化遅れで当期損失が続き、10年後の純利益が赤字となるため利益倍率は用いない。現在2025年9月期の親会社自己資本72.9億円を基礎に、運営継続の固定費と金融開発資産の換金難を踏まえたPBR0.95とする。過去の株価の谷のPBRを参考にせず、純現金等の回収可能価値を下回らない。
確率:会社の紹介ユーザー減少が継続し、AI代替で顧客が広告運用や分析を内製化する展開。金融の実証が契約に移らないまま費用が残る場合、比較的早く顕在化する。
悲観 15% 紹介の中抜きと金融DX撤退で構造的に後退 利益 −18 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 505 円58 億円
不動産の売却相談をAIエージェントと仲介会社の直営サイトが取り込み、既存の査定サイトを通す理由が大幅に減る。イエウールの有償紹介件数は半分になり、加盟会社は成約率を重視して他サイトへ配分を移す。介護施設の紹介も自社予約や施設比較AIに置き換わり、集客の規模の利益が消える。売上が落ちても情報管理と利用者対応の固定費は残り、事業が存続しても高い利益率には戻れない。
ReFactではSOMPOの紹介が一部残るが、施工業者の獲得競争が強まり、紹介事業はほぼ損益ゼロになる。広告運用の大半は顧客のAIシステムが代行し、DXコンサルティングの会社数と単価はともに低下する。新設の専門会社を整理する費用が発生し、かつての高い利益率には戻らない。
金融DXは主要銀行の基盤選定で敗れ、商用利用料を獲得しないまま縮小・撤退する。Datachainが開発した技術を一部売却できても、過去の研究開発費は戻らない。増資と現金の取崩しが必要になり、将来の配当余力は消える。損失を重ねた会社を昔の高収益企業として値付けせず、純現金と売却可能な持分の厳しい回収額から評価する。
- 不動産・介護等の紹介DX(ReFact以外):数量 22.0(年間有料送客の成約課金相当件数(万件、推計))× 価格 1.47(課金相当1万件当たりの実現売上(億円))→ 売上 32 億円・営業利益 1 億円。市場が名目で拡大するのではなく、課金できる紹介件数と実現単価を分ける。売却・介護の紹介網の強さと流入減を同時に反映。
- リフォーム紹介・ReFact:数量 9.0(年間有料施工会社紹介の課金枠換算件数(万件、推計))× 価格 1.55(紹介課金1万枠当たりの実現売上(億円))→ 売上 14 億円・営業利益 0 億円。SOMPO連携が課金枠の数量に影響。ReFact営業利益の非支配持分39.3%は連結純利益の親会社帰属への変換時に控除。
- DXコンサルティング・広告制作運用:数量 90.0(年間有償の継続契約顧客相当数(社、推計))× 価格 0.15(契約顧客相当1社当たり年収入(億円、運用手数料ベース))→ 売上 14 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替による工数・契約数減を数量へ、手数料率への値下げ圧力を単価へ織り込む。
- 金融DX・Datachain:数量 0.0(継続有償稼働する金融・決済機関の年換算契約相当数(社))× 価格 0.00(有償先1社当たりの年間実現技術・利用料(億円、決済額ではない))→ 売上 0 億円・営業利益 −2 億円。商用顧客ゼロで撤退・保守整理費のみ発生する。発行銀行の預り資金利息は計上しない。
倍率:10年後も赤字で金融DXが撤退するため、過去の利益倍率は使えない。2025年9月期の親会社持分自己資本72.9億円に資産の換金損失と事業整理費を反映したPBR0.80を掛ける。10年後の減損後自己資本を繰り返し底値の分母として使わない。金銭回収の床58億円以上になるよう、実在する純現金49億円とReFact持分等の厳格な換金仮定9億円との整合を確認した。
確率:銀行の大型商用採用を逃し、検索経路と広告運用が同時に陳腐化する複合ケース。自己資本とSOMPO合弁持分が残るため即時清算は前提としないが、現金流出が長引く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
不動産・介護等の紹介DX(ReFact以外)
イエウールの売却査定紹介を中心にケアスルなど生活者と事業者をつなぐ送客収入。
| 数量年間有料送客の成約課金相当件数(万件、推計) | 価格課金相当1万件当たりの実現売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 44.0 | 1.71 | 75 | 6 |
| 10 年後 中立 | 44.0 | 2.10 | 92 | 16 |
取り方:FY2025レガシー産業DXの会社開示売上113.29億円から、同年のReFactへ移管するリフォーム売上38.11億円を引いた75.18億円を当区分とする。全セグメント合計と連結売上との差約0.13億円は消去・調整であり、いずれの事業の数量にも割り振らない。イエウールの月間3万人超の査定依頼を年間40万件程度へ年率化し、介護等を含め請求対象の課金換算44万件と仮定した。会社は全体の有料送客件数と単価を非開示で、44万件は利用者実人数や不動産の成約件数ではない。1件当たりの実現売上は約1.71万円の逆算推計。営業利益はレガシー全体9.77億円を売上按分した推計6.49億円で、区分別実績ではない。イエウールの監査済みの市場シェアもない。
リフォーム紹介・ReFact
ヌリカエなどの施工会社マッチング。2026年9月からSOMPOとの合弁で、将来利益の39.3%は少数株主に帰属。
| 数量年間有料施工会社紹介の課金枠換算件数(万件、推計) | 価格紹介課金1万枠当たりの実現売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 20.0 | 1.91 | 38 | 3 |
| 10 年後 中立 | 25.0 | 2.18 | 55 | 9 |
取り方:2026年6月30日付の会社分割発表が示すFY2025移管事業売上38.11億円が実額。2025年末までのヌリカエ累計利用者30万人は年次件数でない。年間約3万〜4万人の見積り利用者が平均5〜6件の施工会社への課金枠を生むと仮定し、延べ20万枠・1枠約1.91万円へ換算。実際の課金体系や課金枠、SaaSの内訳は非開示で、架空の事業量を公式数字と混同しない。営業利益3.28億円はレガシーOP9.77億円の売上比での按分推計。会社資料のオンライン領域SOM470億円と38.11億円を比較した8%強は定義違いを含む概算にすぎない。
DXコンサルティング・広告制作運用
SEO・広告運用・企業DX支援、関連会社の戦略・医療コンサル。小規模な業務SaaSも持つが売上内訳は非開示。
| 数量年間有償の継続契約顧客相当数(社、推計) | 価格契約顧客相当1社当たり年収入(億円、運用手数料ベース) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 300 | 0.17 | 51 | 18 |
| 10 年後 中立 | 195 | 0.21 | 41 | 12 |
取り方:FY2025会社開示のDXコンサル売上51.19億円、営業利益18.35億円を使用。累計支援社数3,500社は年度末の継続社数でないため、年の有償契約相当300社と仮定し、社当たり1,706.5万円を逆算。実契約社数・工数は非開示。2026年Q3顧客数前年同期比−2.1%、顧客単価+17.2%で方向を照合。広告媒体費はFY2022からネット売上のため広告総取扱高を掛けない。AIエージェント代替で中立の有償数量は195社(今の0.65倍)、単価は0.210億円(1.23倍)に抑え、10年後以降の同領域gはゼロ。コンプルなどの画面・席課金SaaSは内訳非開示。該当部分の既存席の中立数量0.80倍、単価1.10倍のAI代替圧力を想定し、追加の高成長売上は加算せず本区分の収縮に含める。
金融DX・Datachain
ステーブルコイン、トークン化預金、デジタル証券をつなぐ接続技術・ウォレットと企業向け技術支援。
| 数量継続有償稼働する金融・決済機関の年換算契約相当数(社) | 価格有償先1社当たりの年間実現技術・利用料(億円、決済額ではない) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 0.0 | 0.00 | 0 | −13 |
| 10 年後 中立 | 22.0 | 1.05 | 23 | 6 |
取り方:FY2025の金融DX売上は会社開示で0、営業損失12.64億円。FY2026第3四半期の売上0.13億円はコンサルティングによるもので、本番決済件数や安定課金機関数は開示されていない。各シナリオの顧客数×年利用料は公表受注の積上げでなく、新規商用導入と手数料分配が成立するかを検証する感応度仮定。金融機関の預金・ステーブルコイン発行額は会社収入と扱わない。記録の正本型の堀に必要な低解約率・移行年数・規制価格改定のうち2つの証拠は現段階で不十分。
リスクと懸念
AIエージェント代替と検索の中抜き
広告運用、SEO対策、データレポート、コンサルティングは人の工数が請求根拠になりやすく、AIエージェントで自動化されると契約数そのものが減る。中立ではDXコンサルティングの有償数量を10年で現在の0.65倍、単価を1.23倍とし、業務ソフトの席課金にも値下げ圧力を見込む。紹介サイトでもAI検索が問い合わせを直接仲介会社へ流せば、広告費を掛けて築いた集客資産が目減りする。
金融DXの採用前提と銀行による競争
Datachainの金融DXは2025年に売上がなく、2026年第3四半期の売上0.13億円も技術助言が中心である。2026年10月公表の3メガバンク共同実証で用いられたのはTISIの基盤で、会社は最終的な採用技術が未発表だと認めている。銀行が他社システムを選ぶ、利用料を低く抑える、実証が商用化しない場合、接続先数だけを強気に見積もっても利益は生まれない。
査定紹介の競争と品質悪化
イエウールの月間3万人超の査定依頼は営業基盤だが、2026年第3四半期のレガシー産業DXユーザー数は前年より11%減った。SUUMO、HOME4U、LIFULLなどとの併用が増えれば、仲介会社は重複した問い合わせへの料金を嫌う。紹介件数が増えても媒介契約や成約に至らなければ、単価の上昇が止まり、広告宣伝費率と解約率の両方が悪化する。
ReFactの非支配株主持分と流動性
SOMPOが2026年9月に出資した18.12億円は、Speeeの親会社普通株への払い込みではなくReFactの事業資金である。連結損益にはReFactの営業利益がすべて載るが、その税後利益の39.3%は原則SOMPO側の取り分となる。合弁会社を再評価する際に出資後価値を全額Speeeの持分価値としたり、子会社の現金を親会社が自由に配当できる現金としたりしない。
赤字継続・株式希薄化・資本規律
2025年9月期は営業赤字で、会社が示した2026年9月期の純損失予想は約15億円となる。2025年9月末の純現金約49億円は貴重な緩衝材だが、2026年6月末の現預金は前年の決算時点より減った。新株発行が続けば事業全体の成長を既存株主が同じ割合で受け取れない。金融DXの採用契約と投資回収年数を公表し、撤退基準も示せるかが資本配分の試金石となる。
金融規制・システム安全性と手数料率
円建てステーブルコインやトークン化預金には、発行・償還、本人確認、資金決済、サイバーセキュリティなど厳しい運用要件がある。Datachainが接続部分を担っても、預金金利や発行準備金の利息が同社の利益になるわけではない。銀行や規制対応の主導企業が手数料の大部分を保持すれば、処理件数が増えても接続会社の単価と投下資本利益率は低くなる。
複数分野への投資と本社固定費
不動産、介護、リフォーム、広告、医療支援、金融インフラと投資先が広がり、2025年9月期には本社・その他費用が22億円超に達した。金融DXの研究開発費だけでなく、各領域の採用・新会社設立・運営管理にも現金が必要である。売上だけを拡大しても、固定費を引いた後の増分利益が資本コストを超えなければ長期株主には価値が残らない。
今後の分かれ目
- Datachainが本番稼働する有償の金融・決済機関数と継続利用料を開示し、金融DXが2期連続の営業黒字になったら
- 中立の有償先22社相当という仮定を会社実績に置き換える。案件数だけでなく、収益分配率と解約率が確認できれば金融DXの長期成長率や楽観側の確率を見直せる。
- 3メガバンク等の商用基盤にDatachainが選定されず、金融DXの年間損失が15億円前後で続いたら
- やや悲観と悲観の可能性を引き上げる。現金残高の減少と追加増資の有無を確認し、金融DXの回収可能な残存価値をゼロに近づける。
- イエウールの月間査定依頼が3万人から2割以上減り、加盟企業数まで減少したら
- 市場シェア低下とAIによる検索の中抜きが始まった可能性が高い。有料紹介の数量を下方修正し、顧客獲得コストの上昇を営業利益率に反映する。
- ReFactがSOMPO経由の紹介件数・紹介単価・営業利益を独立開示し、外部出資後も黒字を拡大したら
- リフォーム紹介の数量と利益率の見立てを更新する。ただし親会社帰属利益にできるのは原則60.7%であり、合弁会社に残る現金を親会社の余剰現金と合算しない。
- DXコンサルティングで有償契約社数が減る一方、単価増がインフレ率を超えて長期に続き、営業利益も増えたら
- AIエージェント代替の被害が高付加価値業務の拡張で緩和されたと判断する。顧客数と継続率を分けて確認し、収益拡大を証明した部分だけ中立数量を再評価する。
- 本社と金融DXの投資を含む連結の営業キャッシュフローが安定して黒字になり、配当や自社株買いが始まったら
- 余剰現金の株主への戻り率を0.5から引き上げる余地が生じる。利益の増加だけでなく、増資が止まったことと累積の現金収支を合わせて評価する。
- 大規模な増資や債務増加が必要になり、2025年の純現金水準を取り戻せなくなったら
- 新株発行後の既存株主の持分係数、利益の希薄化、悲観の換金価値を見直す。なおReFactへのSOMPO出資は親会社株式の直接希薄化と混同しない。
見ておくもの
- イエウールの月間査定依頼者数と2,500社超の提携企業数、査定から仲介会社への実際の課金率
- レガシー産業DXのユーザー数・加盟企業数・有料紹介単価・広告宣伝費率の四半期推移
- ReFactのリフォーム紹介件数、業績、SOMPOによる送客実績、Speee帰属利益60.7%の動き
- DXコンサルティングの顧客社数と平均顧客単価、広告運用とAI関連業務の収益構成
- Datachainの商用稼働金融機関数・実際の取引件数・利用料・契約解約率・金融DXの営業利益
- メガバンク・Progmat・TISI・SBI系インフラの本番採用状況と発行体/接続事業者の手数料分配
- 現預金・有利子負債・増資・ReFactの少数持分・連結営業キャッシュフローと株主還元開始
倍率と資本コストの決め方
2026年10月22日の株価と、2026年6月末の発行済み株式から自己株式を控除した11,542,151株を比較用の時価総額にのみ使った。2025年9月期の業績・自己資本・純現金は添付のfactsを基準とし、2026年8月の最新会社見通しは10年間の赤字脱却過程に用いた。ReFactの外部出資による親会社外利益を純利益から除いた。数量は不動産紹介の有料課金換算、リフォームの施工店への課金枠、コンサル契約企業、金融の有償稼働先で測り、物価を価格にだけ入れた。AIエージェント代替はコンサル契約数量と長期gに反映し、資本コストの寿命や確率に同じ理由で重ねていない。
10年後の楽観〜中立のPERは市場の過去倍率に依らず、k7.75%、名目g1%、持続可能な増分資本利益率RONICから計算した正当化上限を採用した。やや悲観と悲観は赤字のため現在の株主持分に対する換金可能な資産価値から見たPBRを使用し、悲観時価総額58.3億円は純現金等の暫定床58億円を上回る。利益が黒字の筋書きでは保有超過現金8億円とその利息を事業価値から分け、株主への戻りを0.5とした。日本の新リース基準で将来BS表示が変わっても、期間比較の営業費用は賃料を含む同じ方式にそろえる。今の値段に合わせて中立の利益率やPERを動かしていない。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債3.0%と株式上乗せ4.5%の基準7.5%に、品質四項目合計0.25ポイントを加える。個別の銀行採用や開発失敗は利益・確率側で扱う。