結論
テックファームホールディングスは、企業向けのシステム開発と運用を主力に、日本食品などの海外流通も手掛ける会社だ。筆者の結論は「割高」である。直近2期の高収益化を否定するわけではないが、利益を生む主役が人の開発工数である以上、10年先の稼ぎを現在と同じ形で延長するのは危うい。確率を加味した現在の適正時価総額は約27億円で、基準時点の時価総額約54億円を約50%下回る。
2026年6月期には売上約71億円、営業利益約7億円を稼いだ。ただし連結売上の約95%はICTソリューションであり、その3分の1強を特定の大口顧客1社が占める。今期の高い利益率は事業の値決め力が永続的に強くなった証拠ではない。2019年6月期から5期続いた最終赤字と、過去10年のROE中央値がほぼゼロだった履歴も無視できない。
転機になりうるのは、2026年9月に投入した仕様管理AI「SPEC AGENT」である。顧客資料の確認時間を大きく減らした先行導入結果は魅力的だ。しかし発表された導入100社、売上10億円は目標であり、契約済み売上ではない。顧客が仕様と開発を自ら扱えるようになれば、従来の受託開発の工数を減らす面もある。製品が増やす収益と既存収益を置き換える分は、分けて観察する必要がある。
現金と流動性のある有価証券を含めた純金融資産は約23億円と厚く、倒産を避けて事業を作り直す時間は買える。だが、現金の存在と少数株主への価値還元は別問題だ。筆者は中立でも開発業務量の縮小を見込み、悲観時には換金可能な資産を下支えにする。それでも、今の評価額は業績回復とAI転換の成功をかなり先取りしている。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主なら、まず「10年後にも顧客がこの会社にお金を払う理由は何か」と考えるだろう。企業の複雑な業務を把握し、責任を持ってシステムを作り直す仕事自体はなくならない。だが、支払う対象は開発者の時間から、結果に責任を持つことや、仕様とデータを安全に保つことへ移りそうだ。テックファームはその移行を理解して新サービスを出している。しかし移行が自社の利益を増やすかどうかは、まだ顧客との商談が売上と継続課金へ変わる過程にある。
企業の堀、つまり競合が容易に奪えない強みを探すと、保守の経験や上流工程の知見は見える。それでも顧客が独自データと仕様を保持し、他のAIを選べるなら、強い継続課金の仕組みにはならない。人月単価の値上げを何度も通した記録も確認できない。人員増による増収は、オーナー利益の永続的な成長ではない。
株主にとっての救いは現金である。純金融資産が厚く、設備更新に多額の借金を要する事業でもない。営業が落ち込んでも開発人員の再配置、新製品の試行、配当維持を検討する余地がある。ただし現金は経営者が保有しており、買収の失敗や長引く赤字によって減る可能性もある。業績が揺れた会社には、資産を株主へ戻す実績が欲しい。
筆者は、利益が増える余地があるというだけでは高い値段を払わない。大口顧客への依存を減らし、SPEC AGENTの継続収益を伸ばし、同時に受託開発の粗利を維持できた時には評価を改める。現段階では、直近のROEではなく、AIによる縮小を含んだ10年後のオーナー利益と、失敗時に換金できる資産の両方を基準にする。そこから見ると現在の値段には十分な安全域がない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は子会社テックファームのICTソリューション事業だ。企業のウェブサービス、アプリ、基幹系や顧客向けシステムの企画から開発、保守までを担い、発注元から案件ごとの報酬を受け取る。2026年6月期の売上は約67億円で、セグメント利益は約12億円だった。全社では持株会社などの費用が差し引かれ、営業利益は約7億円になるため、セグメント利益をそのまま株主の利益と考えてはいけない。
仕事の数量は単純な開発人数では測れない。会社が示す顧客数は2026年6月期に95社、1社当たり売上は約7,034万円であり、前年の83社、約7,466万円から顧客数は増え、平均取引額は減った。主要販売先のサプライズクルー向けは約23億円に上り、売上全体の32.6%を占める。個別の顧客が減注した時には、他社との契約が増えていても収益が揺れる構造である。
ICTの中にはクラウド、人工知能、データ分析、ドローン関連の技術支援も含まれる。2026年7月にはAI駆動開発の内製化支援を発表し、9月には過去の仕様や判断理由を蓄える「SPEC AGENT」を発売した。先行案件で676件の資料を扱い、既存仕様の確認時間を約65%削減したという。技術の実用性には根拠があるが、継続課金契約の件数、解約率、売上総利益の開示はまだない。現在の売上の大半は受託型として扱うのが妥当だ。
もう一つはWeAgriを中心とするクロスボーダー流通プラットフォーム事業である。日本産食品などの仕入れ、越境流通、海外での販売先開拓や販促支援を組み合わせ、商品取引と手数料から収入を得る。2026年6月期の売上は約4億円にとどまり、セグメント損失は約0.6億円だった。食品そのものを動かす仕事はAIだけでは消えないが、販促資料の制作や事務処理は自動化されやすい。会社が案件数と平均単価を公表していないため、この事業の数量は推定の幅が大きい。
優良さと弱いところ
この会社の強みは、長く顧客の業務を理解してきた開発現場の経験と、難しい要件定義まで受け持てる人材にある。とりわけ仕様書に残らない判断の背景を拾う能力は、単なるコード生成より簡単には置き換えられない。SPEC AGENTがそれを顧客が継続して使う仕組みに変えられれば、一案件を終えても関係が続く。だが、低解約率の実績、規制上の移行障壁、継続的な値上げの証拠はない。独自データを顧客横断で独占しているわけでもなく、現時点で強い堀と呼ぶのは早い。
価格を自分で決める力も限定的だ。受託開発では大手発注元が予算と調達方法を決め、同業他社と内製チームが競合する。顧客数が増えた一方で顧客当たりの取引額が下がった事実は、少なくとも高い単価を無条件に通せる状態を示していない。しかも最大顧客への売上集中は、売上の継続性と交渉力を同時に弱める。大型案件の終了が採用、稼働率、利益率に一度に響きうる。
財務は営業面より安心できる。2026年6月末の自己資本は約32億円で、借入と社債を上回る現金、有価証券を持つ。開発会社なので大規模な工場更新も必要ない。他方、2026年の離職率は11.1%と前年より高く、人の入れ替わりによって業務知識が流出する危険がある。人材が競争力であるほど、人件費上昇と退職の影響が大きくなる。
増分の資本効率が改善したかはまだ判定できない。2025年と2026年はROEが2桁に戻ったが、その前は減損や赤字で株主資本が減った。追加の人材採用や新製品開発に投じる1円が、資本コストを十分上回る現金を生むかどうかが問われる。過去の赤字期間と売却・整理した事業の経緯を考えると、直近の高利益率だけで10年間の高収益を約束するのは難しい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のITサービス市場は、資料の業界推計では2025年に約7.5兆円の規模がある。テックファームのICT売上約67億円はこの広い母数に対し約0.09%にすぎず、シェアを奪う余地自体は大きい。しかし市場は分散しており、TISや野村総合研究所はそれぞれ数千億円規模の売上と大口顧客網を持つ。2026年の連結売上はTISが約5,965億円、野村総合研究所が約8,147億円で、7.5兆円の市場と単純比較した売上比率は約8%と11%に相当する。ただし両社は海外・コンサルなども含み、厳密な国内受託市場シェアではない。中堅のシステナ、クレスコ、SHIFTとも人材や納入実績を巡って競う。
短い期間で見れば、老朽化した基幹システムの更新、データ基盤の整備、クラウド移行は市場を押し上げる。業界資料も2030年まではITサービスへの支出増加を見込んでいる。しかし支出が増えることと受託会社に請求できる工数が増えることは同じではない。AIエージェントが仕様調査、設計、コード生成、試験、保守の工程を代行すれば、従来の人月契約の数量が減る。顧客が内部で仕事を完結させる割合も増え、人手不足がそのまま売上拡大につながる構図は崩れうる。2036年の市場を名目10〜12兆円とみても、ICTの中立売上シェアは約0.05〜0.06%へ低下すると見込む。
SPEC AGENTが狙う仕様管理は、こうした変化に対応する筋のよい試みである。ただし競合には大手SIの独自ツール、MicrosoftやGoogleの企業向けAI基盤、専門の開発支援ソフトウェアがある。顧客が自社のデータを保有する構造なら、同じ仕組みを別のAI上に移す選択肢も残る。仕様を整理した実績と、10年にわたり価格を維持できる独占力とは分けて考える。
越境事業の舞台は別だ。農林水産省によれば2025年の日本の農林水産物・食品の輸出額は約1.7兆円で、海外の日本食需要は増えている。しかしWeAgriの売上は日本産食品の輸出市場全体と販売形態が一致せず、厳密な市場シェアは算出できない。現地の商社、スーパー、専門卸、物流会社と販路を競い、輸送費や規制対応に利益を削られる。国内ITの成長見通しをこちらに流用することもできない。
資本政策と M&A
経営が資金をどう使うかには、慎重な評価が要る。2015年に買収したEBEはその後の業績が不安定で、2021年には連結の対象から外れた。2019年に取得したWeAgriは新しい事業の柱として育成中だが、2026年6月期にも営業赤字である。買収額を大きく積み増すより、追加投資から得られる利益と現金を確かめるべき段階だ。米国事業の整理も含め、過去の資本配分を一律に成功と判定する材料は乏しい。
還元は控えめだ。2025年6月期に年間配当を引き上げ、2026年6月期も配当総額は約0.57億円だったが、純利益に対する割合は約12%にとどまる。2027年6月期の会社予想でも同水準を見込む。開示で確認できるのは業績に応じて配当を決める方針であり、配当性向50%、DOEの最低水準、総還元性向、自社株買い額といった数値の約束はない。株主還元については数値の約束なしと評価する。過去の増配は評価するが、余剰現金の全額が近く株主へ戻ると仮定しない。
決算説明資料では2027年6月期に売上75億円、営業利益7.5億円、純利益5億円を見込む。売上100億円規模、時価総額100億円規模という志向や、SPEC AGENTの2027年度売上10億円目標は、それぞれ達成期限や受注実績が異なる。10年後の本質価値を決める確定収益とは区別する。配当や自社株買いの厚い実績がないため、余った現金が少数株主に帰属する価値は帳簿額の75%で扱う。大株主への持分集中だけを根拠に50%へ下げる条件は満たさない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
テックファームには、受託開発を自社の技術で置き換える先手がある。SPEC AGENTは顧客の仕様書だけでなく、その変更理由と例外処理まで拾い上げる。先行導入では676件の資料を扱い、調査時間を約65%減らした。単なるコード補完より業務の根幹に近いため、顧客が長く使う仕組みに成長する可能性がある。会社が掲げる導入100社と売上10億円の目標も、市場が十分に大きい以上、全く荒唐無稽とはいえない。
国内ITサービスへの投資は、基幹システム更新や企業内データ整備の必要性から当面続く。大手が担いきれない現場の個別要件には、小回りの利く独立系開発会社の役割が残る。2026年には取引顧客が95社に増え、先端技術の案件にも受注実績がある。自らAIを使い工数を節約できれば、顧客の支払総額を抑えつつ案件ごとの利益を厚くできる。大口顧客に依存する弱さも、新規顧客の積み上げで段階的に解消できる。
越境流通も、成長した時の利益の振れ幅は大きい。日本の農林水産物・食品輸出は拡大し、WeAgriが小規模でも継続的な現地販路を持てれば、流通量が増えるほど採算が改善する。今は赤字でも連結全体への負担が小さくなれば、利益率への押し上げになる。これはソフトウェア開発とは異なり、商品を動かす手間が残る仕事だ。
さらに現金と有価証券が豊富で、借金の返済に迫られる局面ではない。開発事業に工場の巨額更新投資もいらない。経営が新たな買収で損失を出さず、技術への投資を選別し、製品と受託の双方で成果を上げれば、現在の時価総額を大きく上回る価値を生む可能性は十分にある。
慎重な見方
最大の危険は、この会社の得意なことをAIエージェントが安く実行してしまうことだ。仕様調査、プログラミング、試験、問い合わせ対応は、人月課金の源泉そのものである。もし企業が社内の少人数でこれらを処理するようになれば、受託件数が残っても請求できる工数は急減する。人材を抱える会社は固定給とオフィス費用をすぐには減らせないため、売上の減少以上に利益が傷みやすい。
会社が実際に示したSPEC AGENTの高い省力効果は、需要を創り出す証拠であると同時に、旧来の受託売上が置き換わる警告でもある。製品の導入目標は発注書ではない。Microsoftなどの大手基盤を利用して企業が類似機能を内製した場合、仕様管理の価格は低下する。公開情報には継続課金の解約率、契約単価の値上げ実績、他社へ移れない法的な理由がない。顧客の仕様データは顧客自身のものであり、それを堀と呼ぶのは無理がある。
顧客集中も厄介だ。2026年の最大顧客1社で連結売上の32.6%を占める。会社が持つノウハウが深くても、顧客の内製化、システム更改、調達先見直しが一度起これば、技術者を他の案件に振り向けるまで空白が生じる。10年前から営業利益が一定して高かったわけでもなく、2019年から2023年まで最終赤字が続いた事実は、組織の利益耐久性に疑問を残す。
買収による多角化もまだ成果が乏しい。WeAgriは赤字で、過去に連結を外した事業もある。人件費、固定家賃、海外流通の販促費が残れば、10年後には営業赤字が再発してもおかしくない。現金の一部は赤字補填に使われ、少数株主が換金できない。事業の利益価値ではなく、純金融資産と回収可能な資産の残高を確認する方が確実な局面になりうる。
どちらに重みを置いたか
製品化を進める経営の方向性には意味があり、直近の利益改善も事実である。それでも、AIによる省力化が既存の受託単価を侵食する一方、SPEC AGENTの継続売上が未開示であるため、強気の道筋はまだ条件付きだ。最大顧客への集中とWeAgriの赤字は同社固有の弱さである。楽観・やや楽観は合計28%、やや悲観・悲観は38%と後者を10ポイント重くした。ただし中立の開発工数はすでに縮小させているため、AI代替を理由に確率や資本コストまでさらに重くしてはいない。現金が厚いことは悲観側の下支えだが、株価に十分な安全域を作るほどではない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 742 円53 億円(+ 還元の換算額還元の合計 61 円4 億円)。 今の値に割り戻すと 377 円27 億円、今との差 −44.6%、 期待の年率 +1.7%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 1,572 円112 億円 | 141 円10 億円 | +151.8% | +10.2% | 171 円12 億円 |
| やや楽観 | 18% | 1,139 円81 億円 | 98 円7 億円 | +82.0% | +6.5% | 223 円16 億円 |
| 中立 | 34% | 715 円51 億円 | 70 円5 億円 | +15.5% | +1.5% | 267 円19 億円 |
| やや悲観 | 25% | 379 円27 億円 | 15 円1 億円 | −41.9% | −5.4% | 99 円7 億円 |
| 悲観 | 13% | 323 円23 億円 | 8 円1 億円 | −51.2% | −7.0% | 43 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 742 円53 億円 | 61 円4 億円 | +18.1% | +1.7% | 803 円57 億円 |
今の株価時価総額 680 円48 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 楽観:製品化が奏功し高採算を保つ 利益 8 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,572 円112 億円
2026年に発売したSPEC AGENTが独立した継続課金製品として顧客の業務に定着し、技術者が扱う契約の価値が上流工程に移る。受託の標準工数換算数量は現在の水準を守るが、AIによる生産性向上と成果報酬型の契約への移行が実際に売上へ結び付く。既存の大口顧客からの注文が減っても、金融、通信、小売などの新規発注元を獲得し、1社依存度が下がる。国内ITサービスの大きな市場から狭い専門領域を選び、同業の規模を追わず利益率を高める。
AIサービスの発表だけで新規売上を約束しない。顧客が有償契約を結び、継続更新し、既存の受託売上を大幅に削らない場合だけ強い業績になる。WeAgriも現地の卸や商社と販売網を作り、取扱契約を増やして黒字化する。現金を損失の大きい買収に投じず、組織の育成と製品開発を優先することで、営業利益が過去の好調期を上回る。
- ICTソリューション:数量 95.0(2026年の顧客1社当たり標準年間業務量を1とする受託工数換算の社年(実質))× 価格 0.93(標準工数換算1社年当たりの年間受託収入(億円、名目))→ 売上 88 億円・営業利益 17 億円。人月型の楽観上限として工数換算数量は現状を超えない。値決めは1.32倍、製品化・成果契約の寄与は主に利益率へ表現。国内ITサービス市場が2036年に名目10〜12兆円なら売上シェアは約0.074〜0.088%。
- クロスボーダー流通プラットフォーム:数量 45.0(輸出・販路開拓・販促の年間売上換算契約数(件、推定))× 価格 0.20(1契約当たり年間取扱売上・役務収入(億円、名目、総額と手数料の混在))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。実物の流通契約が1.8倍となる上振れ。販促業務のAI代替は利益率と単価の制約に織り込む。
倍率:人月型SIのAIエージェント代替で2036年以降のg_longは名目0%。k=8.25%、moat=weak、RONIC=k+1/3×(事業ROE−k)。g=0なので正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=1÷0.0825=約12.12倍となる。上限を手で切り下げない。10年後の会社全体の純利益7.6億円から余剰金融資産34.0億円への税後利息1.4%相当を除き、12.12倍を掛け、余剰金融資産34.0億円に株主帰属割合0.75を掛けて別加算する。新AIサービスの発表目標だけで長期成長率を高めない。自己資本の流れは2026年の31.5億円+10年間の累積純利益56.0億円−累積還元10.0億円=2036年77.5億円。
確率:AIサービスの収益化、既存顧客の契約維持、輸出販路拡大の3条件が揃う必要があるため上限寄りの可能性にとどめた。
やや楽観 18% やや楽観:受託の縮小を製品と業務改革が補う 利益 5 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,139 円81 億円
受託のプログラミング工程はAIによって省力化が進むものの、顧客ごとの業務要件の整理と安全性の確認には専門会社の手が残る。テックファームは契約時間の減少をすべて受け入れるのでなく、上流工程と保守責任を組み合わせた発注を獲得する。顧客数を適度に増やしながら、標準工数換算の受注数量は現在より少なくなる。高い技術を必要とする案件を選び、比較的高い採算を保つ。
SPEC AGENTは一部の顧客に使われるが、会社が掲げる2027年度の目標達成を前提にはしない。製品にかかる導入支援も既存の開発人員を使うため、高い売上総利益率がすぐに実現するわけではない。越境事業では取扱契約が増え、販売網の共有で固定費を吸収して小幅な利益を生む。新しい買収を急がず、営業から得る現金を貯めつつ小額の増配を続ける。
- ICTソリューション:数量 81.7(2026年の顧客1社当たり標準年間業務量を1とする受託工数換算の社年(実質))× 価格 0.91(標準工数換算1社年当たりの年間受託収入(億円、名目))→ 売上 74 億円・営業利益 14 億円。人月型でも高付加価値案件が残り、実質工数換算数量は0.86倍、単価は1.29倍。国内ITサービス市場が2036年に名目10〜12兆円なら売上シェアは約0.062〜0.074%。
- クロスボーダー流通プラットフォーム:数量 35.0(輸出・販路開拓・販促の年間売上換算契約数(件、推定))× 価格 0.19(1契約当たり年間取扱売上・役務収入(億円、名目、総額と手数料の混在))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。越境の実物契約件数を1.4倍に増やし、人手販促は自動化して小幅黒字。
倍率:人月型SIのAIエージェント代替で2036年以降のg_longは名目0%。k=8.25%、moat=weak、RONIC=k+1/3×(事業ROE−k)。g=0なので正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=1÷0.0825=約12.12倍となる。上限を手で切り下げない。10年後の会社全体の純利益5.3億円から余剰金融資産29.0億円への税後利息1.4%相当を除き、12.12倍を掛け、余剰金融資産29.0億円に株主帰属割合0.75を掛けて別加算する。新AIサービスの発表目標だけで長期成長率を高めない。自己資本の流れは2026年の31.5億円+10年間の累積純利益45.5億円−累積還元7.0億円=2036年70.0億円。
確率:受託の開発工数が減る中でも上流の要件定義で選ばれ、新サービスの有償契約を一部獲得する想定。
中立 34% 中立:顧客は残るが人月収入が縮む 利益 3 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 715 円51 億円
顧客はITサービスを必要とし続けるが、コード生成、システムテスト、仕様調査の工数はAIエージェントが引き受ける。2026年と同じ仕事量に換算したICTの実質受注数量は約7割に減る。業界全体のIT支出が名目で増加しても、従来型の受託会社が同じ割合で収入を得られるわけではない。顧客数が維持されても、1社当たりの発注工数が小さくなる。
SPEC AGENTは一定の顧客に採用され、開発会社としての競争力低下を和らげる。しかし導入後の課金実績がまだ乏しく、受託売上の落ち込みをすべて補う主力製品には至らない。顧客交渉力が強いため名目単価は一般物価の上昇を下回る。越境事業は現物の輸送と販路開拓が成長し、小幅ながら黒字に変わる。持株会社の固定費は消えず、直近より小さな最終利益が残る。設備負担が軽いため、稼いだ現金の一部は配当と余剰資金に回る。
- ICTソリューション:数量 68.4(2026年の顧客1社当たり標準年間業務量を1とする受託工数換算の社年(実質))× 価格 0.88(標準工数換算1社年当たりの年間受託収入(億円、名目))→ 売上 60 億円・営業利益 10 億円。PROMPT_AI_RISKに従い人月型の数量95×0.72、価格は物価1.34倍以下の1.25倍。国内ITサービス市場が2036年に名目10〜12兆円なら売上シェアは約0.050〜0.060%。
- クロスボーダー流通プラットフォーム:数量 29.0(輸出・販路開拓・販促の年間売上換算契約数(件、推定))× 価格 0.19(1契約当たり年間取扱売上・役務収入(億円、名目、総額と手数料の混在))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。実物取扱いは伸びるが広告・販促の人手工数は0.7倍程度へ減り、契約換算の合計数量は1.16倍。
倍率:人月型SIのAIエージェント代替で2036年以降のg_longは名目0%。k=8.25%、moat=weak、RONIC=k+1/3×(事業ROE−k)。g=0なので正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=1÷0.0825=約12.12倍となる。上限を手で切り下げない。10年後の会社全体の純利益3.05億円から余剰金融資産24.0億円への税後利息1.4%相当を除き、12.12倍を掛け、余剰金融資産24.0億円に株主帰属割合0.75を掛けて別加算する。新AIサービスの発表目標だけで長期成長率を高めない。自己資本の流れは2026年の31.5億円+10年間の累積純利益29.8億円−累積還元5.0億円=2036年56.3億円。
確率:人月型の数量減少と顧客の内製化を中心にした見通しである。黒字回復の一部は残るが、直近の高い売上成長は延長しない。
やや悲観 25% やや悲観:大口顧客の注文が減り損益分岐へ 利益 0 億円 · PBR 0.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 379 円27 億円
最大顧客がAIを使って開発の多くを内製し、既存の大型受託案件が更新ごとに縮む。テックファームは仕様の整理や移行支援では採用されるが、継続して請求できる実質工数は現在の約半分になる。新規の顧客を獲得しても一件当たりの売上は小さく、社員数や外注体制を減らす過程で一時的な費用が発生する。SPEC AGENTは一部が導入されるだけで、既存顧客の契約を守る決定打にならない。
越境事業では海外の競合商社や小売網との競争で販売手数料が薄くなる。輸送や現地販促の費用を吸収できず、小幅な赤字が残る。本社費用と固定家賃を急には減らせないため、連結の営業利益は損益分岐点近辺となる。配当は初期の業績が良い年度には支払われるが、その後は縮小する。事業をすべて清算するわけではないものの、株主が評価できる中心は残った現預金、有価証券と回収可能な運転資金になる。
- ICTソリューション:数量 50.4(2026年の顧客1社当たり標準年間業務量を1とする受託工数換算の社年(実質))× 価格 0.82(標準工数換算1社年当たりの年間受託収入(億円、名目))→ 売上 41 億円・営業利益 6 億円。大口契約の再編があるため実質工数は0.53倍、名目単価は物価以下の1.16倍。国内ITサービス市場が2036年に名目10〜12兆円なら売上シェアは約0.034〜0.041%。
- クロスボーダー流通プラットフォーム:数量 20.0(輸出・販路開拓・販促の年間売上換算契約数(件、推定))× 価格 0.17(1契約当たり年間取扱売上・役務収入(億円、名目、総額と手数料の混在))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。実物流通件数減と広告販促のAI代替で合計数量0.8倍、採算は小幅赤字。
倍率:営業利益0.14億円、純利益0.1億円と資本コスト8.25%を大幅に下回るため、継続事業への高いPERは使わない。2026年現在の自己資本31.5億円を分母とし、税後に回収可能な金融資産・債権等を中心とする26.5億円の床と、少額の残存営業価値0.5億円から27億円とする。PBRは27÷31.5=0.85714286。積み上げた2036年自己資本へ床の倍率を掛け直していない。自己資本の流れは2026年の31.5億円+10年間の累積純利益1.1億円−累積還元1.1億円=2036年31.5億円。
確率:最大顧客が売上の約3分の1を占めるため、内製化や契約再編が続くと固定費を吸収できなくなる固有の下振れがある。
悲観 13% 悲観:開発需要を失い資産価値が残る 利益 −3 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 323 円23 億円
AIエージェントが開発・検証工程を広く代行し、最大顧客は発注を大幅に縮小する。他の顧客も大手クラウドの開発支援基盤や自社の開発チームに移り、テックファームが請求できる標準工数換算の数量は現在の4割まで減る。案件の単価にも強い値下げ圧力がかかり、人材の再配置が間に合わない。過去の開発実績を強みとしてきた事業は、利益率の低い保守や残務整理が中心となる。
SPEC AGENTの機能は大手基盤や同業のサービスに組み込まれ、単独で値段を付ける力を失う。越境事業も販路を広げられず、在庫と物流費の負担から赤字が深まる。持株会社の費用と家賃は一定額が残り、連結営業赤字が続く。経営は人員削減と一部撤退を進めるが、手元現金の一部を退職関連費や赤字補填に使う。配当は初期だけにとどまり、10年後に高い収益倍率を与える理由がなくなる。残った資産の税後換金価値を株主価値の目安にする。
- ICTソリューション:数量 38.0(2026年の顧客1社当たり標準年間業務量を1とする受託工数換算の社年(実質))× 価格 0.77(標準工数換算1社年当たりの年間受託収入(億円、名目))→ 売上 29 億円・営業利益 2 億円。大口顧客を失い工数数量が0.4倍、物価が1.34倍になる環境でも受託価格は1.10倍にとどまる。国内ITサービス市場が2036年に名目10〜12兆円なら売上シェアは約0.025〜0.029%。
- クロスボーダー流通プラットフォーム:数量 14.0(輸出・販路開拓・販促の年間売上換算契約数(件、推定))× 価格 0.16(1契約当たり年間取扱売上・役務収入(億円、名目、総額と手数料の混在))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。海外現地商社に敗れて取引数量0.56倍、固定物流費で営業赤字。
倍率:10年後に営業赤字と最終赤字が続き、利益を資本コストで資本還元する方法は使えない。現在の自己資本31.5億円を分母にした税後換金可能価値23億円を悲観の床とし、PBR=23÷31.5=0.73015873。現金の一部を退職・撤退費用で費消する一方、回収する営業債権や有価証券の価値は残る。過去の株価の底値PBRからは決めていない。自己資本の流れは2026年の31.5億円+10年間の累積純利益0.6億円−累積還元0.6億円=2036年31.5億円。
確率:AIと大口顧客の内製化が同時に進み、製品化・買収のどちらも十分な代替収益を作れない複合条件である。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ICTソリューション
企業のアプリ・基幹システム開発、保守、データ活用とAI内製化支援。売上のほぼ全てが発注元との個別契約に結びつき、顧客別開発工数を主な販売数量とみなす。
| 数量2026年の顧客1社当たり標準年間業務量を1とする受託工数換算の社年(実質) | 価格標準工数換算1社年当たりの年間受託収入(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 95.0 | 0.70 | 67 | 12 |
| 10 年後 中立 | 68.4 | 0.88 | 60 | 10 |
取り方:会社の2026年9月決算説明資料(顧客95社、顧客平均年間売上7,033.6万円)と2026年有報のICT売上66.81954億円を照合。95×0.7033636億円=66.81954億円。数量は実際の契約社数を起点にした標準的な工数換算で、2036年の数量は文字どおりの顧客社数ではなく、2026年と同じ作業量に換算した発注量。人月型AIエージェント代替として中立の実質数量は95×0.72=68.4社年、価格は1.25倍に制限。前年は83社、顧客平均取引額7,466.4万円で、値決め力の乏しさの裏づけとなる。売上の市場シェアは国内ITサービス約7.5兆円を母数にすると約0.089%で、顧客の内製化と大手SIとの競争により今後低下する想定。2026年の大口顧客サプライズクルー向け22.97911億円という集中も保守的見通しの根拠。
クロスボーダー流通プラットフォーム
WeAgriを中心に食品などの越境取引、現地販路の開拓、販促と流通支援を行う。実物の流通と広告運用に類する仕事が混在する。
| 数量輸出・販路開拓・販促の年間売上換算契約数(件、推定) | 価格1契約当たり年間取扱売上・役務収入(億円、名目、総額と手数料の混在) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 25.0 | 0.15 | 4 | −1 |
| 10 年後 中立 | 29.0 | 0.19 | 5 | 0 |
取り方:2026年6月期決算説明資料の海外売上約1.23億円と国内売上約2.54億円の合計、セグメント売上3.7764億円を起点とする。案件数・顧客数・平均単価の会社開示がないので、少人数で扱う年間の売上換算案件を25件とした分析用の仮定で、単価3.7764÷25=0.151056億円は実測の契約価格ではない。国内外の粗売上と手数料が混在し、本当の流通件数・重量・純手数料は確認できない。中立で流通の実物需要は拡大するが、販促・書類業務はAI代替で約3割縮むと仮定し、契約換算数量は全体として1.16倍、価格は1.23倍にとどめた。比較市場は2025年の日本の農林水産物・食品輸出額1兆7,005億円(農林水産省)だが、売上定義と対象地域が異なるので売上÷輸出額による真のシェア推計は不可。現地商社、小売、物流会社が主な競合でシェア獲得は未実証。
リスクと懸念
AIエージェント代替
受託工数が売上の大半を生むため、要件調査、設計、コード生成、テストを自律的に行うAIが普及すると、案件数が横ばいでも請求工数が減る。中立ではICTの標準工数換算数量を10年間で72%まで縮め、2036年以降の名目成長率を0%とした。仕様管理の新製品が発注減を補うには、実際の導入件数と継続収益の開示が必要だ。
特定顧客への集中
2026年6月期のサプライズクルー向け売上は約23億円、連結売上の32.6%に上る。顧客側のIT予算、内製化、調達先変更によって複数の開発チームが同時に余剰になり、追加採用や固定人件費が利益を圧迫する。売上全体の増減だけでは危険を捉えられないため、最大顧客比率の低下が進むかを監視する。
SPEC AGENTの製品化と旧事業の共食い
仕様管理AIの先行案件は確認時間を65%削減したが、発表した100社導入、売上10億円は実現済みの契約額ではない。自社の支援業務が効率化されることは顧客には利点でも、受託会社には請求工数の減少をもたらす。月次・年次の継続契約、解約率、製品粗利率が確認できない間は、自社AIを強い堀として扱わない。
人材定着・固定費
2026年の従業員離職率は11.1%で、前年の5.8%から上昇した。上流工程の暗黙知を持つ技術者が離れれば品質と顧客関係が損なわれる。売上が減っても賃金、教育費、オフィス賃料を即座に落としきれず、2036年の悲観では本社費と固定費が残ると仮定した。新リース基準の会計表示変更で経済的な賃料負担は消えない。
買収と越境流通の投資回収
過去に買収したEBEは連結対象から外れ、WeAgriは2026年にも約0.6億円のセグメント赤字だった。食品輸出市場が伸びても、運送費、通関、在庫、販売促進費を負担する小規模事業者が利益を得られるとは限らない。業容拡大のための追加出資が資本コストを超える現金利益に結び付かなければ、純現金という下支え自体が減る。
実績利益と株主還元の継続性
直近2期の純利益は良好だが、2019年から2023年まで最終赤字が続き、過去10年のROE中央値はほぼゼロである。会社は明確な高い配当性向や総還元性向を約束していない。保有現金が大型買収や採算の悪い新製品開発に長期間とどまれば、帳簿上の価値が少数株主の受取額に結び付かない。
今後の分かれ目
- SPEC AGENTの有償契約が100社近くまで増え、継続率と売上総利益率が3期連続で開示されたら
- 実際の契約売上だけ受託型から継続課金型へ切り分け、解約率や移行負担の証拠が2つ以上確認できる部分に限って長期成長率と堀を再検討する。導入目標だけなら見直さない。
- 最大顧客への売上集中が3割超から2割未満へ低下し、全社営業利益率が維持されたら
- 顧客集中による突然の工数消失リスクを軽く見て、やや楽観側へ確率を移す余地が生じる。取引を失って比率が下がっただけなら評価しない。
- ICTの顧客当たり年間売上が下げ止まり、値上げ後も契約更新率が高いと確認できたら
- 実質工数の縮小速度と名目価格の伸びを再計算する。工数請求から成果型料金へ移れた売上の金額を分けて見る。
- 開発の社内AI利用で工数が半減した一方、受託契約の請求額も同程度減ったら
- 営業利益率が一時的に上がっても総粗利益が減るため、ICTの数量を悲観側へ変更する。省力化率をそのまま利益成長率とみなさない。
- WeAgriが販路数と取扱数量を公表し、二期連続で営業黒字と営業キャッシュフロー黒字を達成したら
- 輸出量と1件当たり粗利益を検証し、越境事業の成長が会社全体の価値に及ぼす寄与を見直す。売上総額の増加だけでは評価しない。
- 余剰現金を原資に自社株買いか継続的な増配を行い、総還元性向が継続して50%を超えたら
- 余った現金の株主への戻り方を0.75から1.0へ見直す。投下資本利益率の低い買収を重ねる場合は逆に資産価値を減額する。
見ておくもの
- ICT顧客数と1顧客当たり年間取引額、顧客の工数換算案件数
- サプライズクルー向け売上と売上集中度、主要顧客の内製化の動き
- SPEC AGENTの実際の有償導入社数、継続課金売上、解約率、売上総利益率
- AI駆動開発による工数削減率と受託契約の請求価格の変化
- WeAgriの取扱数量・販路数・営業損益と運転資金の動き
- 配当性向、実行した自社株買い額、現預金と流動有価証券の内訳
- 営業利益から最終利益への転換率、減損の有無と研究開発費
- 従業員の離職率、技術者採用数、固定費と稼働率
倍率と資本コストの決め方
基準時点の株価や同業のPERから将来利益を逆算していない。事業別に顧客工数換算の数量と名目単価を掛け、販管費・持株会社費用を控除した上で、株主の利益を見積もった。資本コストは8.25%、AI代替後の長期名目成長率は0%であるため、中立以上の正当化PERは純利益の約12.12倍となる。これに運営上不要な現金の株主帰属分を別に加え、利息収入の重複を除いた。悲観側は過去の安値倍率を使わず換金可能資産で測った。2027年7月以降開始の年度に適用される新リース会計基準による貸借対照表の形の変更は、賃料費用を同じ扱いに直して比較した。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式プレミアム4.5%を足した7.5%に、業績循環・値決め力・純現金の品質調整0.75%を加えた。足元は黒字で資金余力があるため窮迫上乗せはゼロ。