結論
ハッチ・ワークは月極駐車場の管理、賃料決済・滞納保証、契約仲介と貸会議室を手掛ける会社だ。筆者の結論は「やや割安」である。株価に残る余地は、管理ソフトそのものではなく、駐車場利用者から継続して受け取る決済・保証収入がどこまで育つかにある。もっとも、競合の方が多くの区画を掲載する市場であり、会社の強気な長期目標をそのまま信じてよい段階ではない。
2025年12月期の売上高は27.6億円、営業利益は2.4億円となり、赤字続きだった時期から黒字が定着し始めた。2026年上期は登録台数が50.8万台へ増えた一方、営業利益は先行投資で前年同期比6割減った。事業の成長と株主の取り分の成長が同じ速さで進むわけではない。人件費、保証損失、広告費、会議室の賃料が将来の利益を大きく左右する。
2035年の中立像では、保証対象区画が増え、貸会議室の展開も続くが、会社の2030年目標の達成を前提としない。AIエージェントは画面操作や仲介事務の価値を押し下げるため、管理画面の強さを恒久的な独占力とは評価しない。5つの筋書きの確率で評価した現在価値は約43億円で、指定された現在の時価総額約34億円を3割弱上回る。ただし、この差は確かな安全域と呼ぶには薄く、預り金を除いた自由な現金と株主還元の実行を追い続ける必要がある。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主が買うのは、駐車場の台数の多さではなく、その区画から十年後にも残る自由な利益である。ハッチ・ワークが管理会社の業務を軽くして得た顧客接点を、決済・保証という実際の債務を伴うサービスへ育てられるなら、事業の寿命は単なる画面の使いやすさより長い。既存の登録区画をさらに収益化する際の追加投資が小さければ、増分資本利益率は資本コストを超え得る。ここにこの会社を保有する魅力がある。
しかし、価格を自分で決める力はまだ証明されていない。管理会社の使用料は無料を含み、利用者の初回保証料や月額保証料も競争の影響を受ける。保証事故が少ない時だけを見て利益率の高さを評価するのは危険だ。さらに、預り金を伴う決済事業の手元資金は、株主が好きに引き出せる現金とは違う。会議室の家賃と内装更新、顧客獲得の営業費もオーナー利益から差し引いて考える。
経営に問いたいのは、収益化率の上昇を増分利益として残し、買収よりも高い利回りが得られない時には資金を還元できるかである。2030年の数字を達成しても、買収でのれんを積み上げ、配当を後回しにするなら持ち続ける理由は弱くなる。逆に、決済・保証の離脱率が低く、実際の料金改定を通せると分かれば、現在の評価は慎重すぎる可能性がある。今は少しの安全域を認めるが、強固な堀を持つ完成企業としての値段は払えない。
何で稼ぐ会社か
月極イノベーション事業が2025年の売上の約64%を占める。管理会社に提供する「アットパーキングクラウド」は区画の空き、申込み、契約、解約を結び付け、利用者向けの「アットパーキング」に最新情報を届ける。ただし登録しただけの区画から保証料は生まれない。2025年末の登録47.3万台に対し、決済代行は17.9万台、滞納保証は8.6万台であり、この三つの差が将来の収益化余地になる。
APクラウドの年間売上約13.0億円のうち、管理会社が払うシステム利用料は約5%にすぎない。管理会社の料金は無料または1社月額1.5万円で、残る約95%は利用者負担の決済手数料、初回保証料、月額保証料などである。保証料は月額賃料の5%、初回は賃料1か月分が原則で、代金移動と保証リスクを担って収益を得る。APソリューションでは掲載駐車場の仲介手数料と、借り上げて転貸する駐車場の賃料が入る。2025年のサイト経由の契約実績は5.7万件だった。
ビルディングイノベーション事業は2025年に約9.9億円を売り上げた。都心の借り上げフロアで「アットビジネスセンター」などの貸会議室、シェア会議室、レンタルオフィスを運営する。営業面積は3,210坪で、実際の売上は坪数だけでなく稼働率、部屋単価、会議室とオフィスの構成で決まる。2026年には青山一丁目と新橋に省人化を狙う施設を開いたが、最初の年は出店費用が先行している。ごく少額のその他事業には受託システム開発があり、これもAIによる工数代替を受ける。
優良さと弱いところ
最大の資産は、単なる駐車場検索画面ではなく、管理会社が更新する現実の空車情報と、そのまま契約・決済まで進めるつながりにある。管理会社には空車期間の短縮と事務負担削減という利益があり、契約者には手続きを終える便利さがある。掲載区画と成約件数が増えれば相互に選ばれやすくなるため、小さなネットワーク効果は認められる。ハトマーク支援機構との提携も導入先を広げる足場となる。
しかし、堀が十分に深い証拠はまだない。競合のPark Directは2026年5月に掲載130万台超、導入2,200社超を公表しており、登録台数の定義は違うものの、同社だけが業界標準を握っているわけではない。解約率5%未満、年単位の移行負担、法令改正のたびの値上げ実績といった証拠も確認できない。管理会社向け料金には無料プランがあり、価格を引き上げる力は弱い。
2025年のROEは27.4%だが、自己資本が小さい黒字転換直後の数字である。2021年と2022年には大幅な営業赤字を計上した。決済・保証の成長は投下資本に対する高い増分利回りを生み得るが、集金代行のための預り金を自社の余剰資産と誤認してはならない。会議室には解約しにくい賃借料と内装更新費がある。利益が大きくなっても、M&Aや余剰資金の抱え込みで株主の利回りが薄まれば、表面の成長は十分な価値にならない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
市場は大きいが、独り占めできる市場ではない。2026年の会社説明資料は国内の月極駐車場を約4,870万台、そのうち管理会社が管理する対象区画を約2,500万台と推計した。自動車保有台数と集合住宅比率から組み立てた推定であり、公式に全区画を数えた統計ではない。2026年6月の同社登録50.8万台は対象市場の約2%に当たる。実質の駐車区画全体は人口減少で大きく増えないが、紙の台帳からオンライン契約・決済へ移る比率には伸びしろがある。
競争相手はニーリーの「Park Direct」が最も直接的である。2026年5月時点の掲載130万台超は、ハッチ・ワークのクラウド登録台数とは集計範囲が異なるため、単純なシェアの勝敗には使えない。それでもオンライン契約、収納、保証まで一気通貫で提供する同業の存在は、手数料と管理会社獲得費の上限を決める。大手不動産管理会社の自社システム、個別の保証会社、地場仲介業者も顧客獲得を争う。
最大の変化はAIエージェントの普及である。画面を操作して契約入力や問い合わせ対応を代行するソフトは、人が操作する業務ソフトの席数と利用料を減らし得る。一方、資金を実際に動かし、滞納時に債務を負担する保証機能は、AIが書類を処理しても消えない。対価の中心を事務処理から金融取引へ移せるかが会社の十年を分ける。貸会議室はTKP、スペースマーケット、インスタベースなどとも競い、対面研修や会議需要とオフィス回帰に左右される。物価が年3%上がる世界でも、賃料と運営人件費が先に上がれば、部屋の料金だけでは利益を守れない。
資本政策と M&A
2024年の上場以降、収益を成長投資へ回す方針が続き、2025年まで配当はなく、2026年12月期も無配予想である。2026年3月の成長ビジョンは、2030年度に売上65~70億円、営業利益10億円を掲げ、APクラウド登録125~130万台、貸会議室等4,500~5,000坪を目指す。2026~2030年度のM&A予算は累計約10億円で、2030年度までの配当開始を予定する。ただし配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い額については「数字の約束なし」であり、現金が株主に戻る速度はまだ読めない。
2031年度以降の売上100億円超、営業利益20億円超も経営の志向を表す目標であって、既に獲得した利益ではない。大竹関係の持分が厚く、主要10株主の公表比率合計は約68%である。過去の資本配分を上場後10年間で採点できるほどの履歴はなく、成長投資の成否を今後の増分利益と実際の還元で測る必要がある。
2026年4月には役職員向け有償新株予約権を公表した。最大4万5,000株、既存株式のおよそ2.4%に相当し、2028~2030年度の利益と株価に厳しい行使条件がある。好調時の動機付けにはなるが、達成後は既存株主の取り分が薄まる。買収にはのれん償却・過払いの危険があり、時価総額の目標を本質価値の根拠にしてはならない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
登録台数50.8万台は管理会社が管理する推定2,500万台のわずか2%にすぎない。利用者が存在する区画の管理方法を紙からクラウドに替えるだけでも、同社には十分な成長余地がある。しかも売上を作るのは管理画面への課金ではなく、決済代行と滞納保証への転換だ。保証対象は2025年末の8.6万台から2026年上期に9.9万台へ増えており、登録台数の伸び以上に収益化が進む可能性がある。
管理会社にとって、空車を早く埋め、毎月の賃料回収と滞納時の対応をまとめられる価値は大きい。検索サイトで成約が増えれば管理会社が新しい区画を登録し、掲載情報が増えれば利用者も集まる。自動化により事務工数を減らせれば、営業人員を増やさずに対応台数を伸ばせる。信託保全を伴う集金基盤と契約履歴は、見た目だけのソフトよりまねしにくい。
貸会議室も新たな省人化設備を使って坪当たり売上を引き上げられる。都心の築古ビルを活用し、賃借条件の良い物件だけに出店する規律を守れば、利益の柱になる。2030年目標を前倒しするほど登録区画が増え、買収で周辺サービスを獲得しても利益を損なわないなら、十年後の稼ぐ力は2025年の数倍になる。成長後に配当を始められれば、現在の株主にも利益が具体的に戻る。
慎重な見方
登録台数が2%なのは伸びしろであると同時に、まだ業界標準ではないという意味でもある。直接競合のPark Directは2026年5月時点でオンライン契約可能な掲載区画を130万台超と公表した。両社の数え方は違うが、大手管理会社を巡る争奪戦で顧客獲得費が上がり、無償導入の後に手数料だけを得るモデルが苦しくなる危険は無視できない。サイトを通さずAIエージェントが物件を探して契約できるようになれば、仲介サイトの集客力も劣化する。
決済と保証は自動化だけでは消えないが、競合が同じ資金移動と保証を束ねれば価格競争が起きる。初回保証料は契約が入れ替わる時の収入であり、会社が開示するARRにはそれも含まれる。見かけの年間経常収益が増えても、定期料金と同じ粘着性があるとは限らない。滞納が増えれば保証履行の費用も上がる。
貸会議室はソフトと違って家賃を払い続ける。2026年上期の営業利益が前年同期比6割減った事実は、事業拡張に先行費用が必要なことを示した。大きな買収でのれんを抱え、顧客獲得と人件費の支出を止められなければ、売上が伸びてもオーナー利益は痩せる。過去の赤字期から黒字化したばかりで、将来の配当性向にも数字の約束はない。今の株価が安いと断言するには、負けた時の現金流出をかなり重く見なければならない。
どちらに重みを置いたか
決済・保証の実体的な価値と、未電子化の駐車場市場の広さを重く見て、強気の見方にも相応の重みを残す。一方、競合の区画数と2026年の先行投資減益は、会社計画を当然視できない証拠だ。確率は上側29%、中立30%、下側41%と、やや下に寄せた。AIの事務代替は管理画面と仲介の数量・価格、および長期成長率に反映しており、確率では二重に引いていない。なお、今の値段より本質価値が上回るのは、保証収入の伸長と資本配分の成功を条件とした評価である。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 4,706 円88 億円(+ 還元の換算額還元の合計 267 円5 億円)。 今の値に割り戻すと 2,309 円43 億円、今との差 +29.4%、 期待の年率 +11.2%(資本コスト 8.3%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 14,669 円274 億円 | 1,044 円20 億円 | +780.3% | +26.0% | 1,571 円29 億円 |
| やや楽観 | 19% | 8,241 円154 億円 | 522 円10 億円 | +390.9% | +18.1% | 1,665 円31 億円 |
| 中立 | 30% | 4,646 円87 億円 | 187 円4 億円 | +170.8% | +10.8% | 1,450 円27 億円 |
| やや悲観 | 26% | 899 円17 億円 | 27 円1 億円 | −48.1% | −6.4% | 241 円5 億円 |
| 悲観 | 15% | 303 円6 億円 | 0 円0 億円 | −83.0% | −16.3% | 45 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 4,706 円88 億円 | 267 円5 億円 | +178.6% | +11.2% | 4,972 円93 億円 |
今の株価時価総額 1,785 円33 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 金融収益を核に全国へ浸透 利益 20 億円 · PER 13.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 14,669 円274 億円
駐車場の管理会社がオンラインでの契約、決済、滞納対応を外部へ任せる流れが定着する。ハトマーク支援機構の販路と自治体・鉄道会社との協業が新規顧客を呼び込み、登録区画は約200万台まで拡大する。そのうち保証対象は50万台に達し、賃料保証と決済の取扱い増が月極事業の利益を押し上げる。無料管理画面は集客の入口として残すが、値上げの源泉は決済と保証という実取引にある。
競合Park Directも伸びるが、空車情報の即時更新と管理会社の信頼を武器に一定の顧客基盤を守り、分野が違う不動産管理会社との提携で共存する。貸会議室は省人化された新店舗が定着し、5,600坪の面積で堅調な収益を確保する。営業利益は大きく増えるが、全国展開の営業費とシステム更新費もかさむため、無制限な利益率上昇は認めない。
2030年に向けた買収も既存顧客への決済・保証の追加提供に絞り、のれんの過払いを避けられる。好業績と株価の両方が条件を満たし、2026年公表の新株予約権は全て行使される。希薄化と払込金の増加を会社全体の価値と既存株主の取り分に分けて反映する。配当開始後は利益の一部を着実に株主へ戻す。
- APクラウド・決済代行/滞納保証:数量 500,000(滞納保証対象の区画数(台、期末残高による年額換算))× 価格 0.00(保証対象1台当たり決済・保証の混合年間売上(億円/台))→ 売上 93 億円・営業利益 28 億円。登録約200万台・保証対象50万台、単価は競争を踏まえ現在の約1.29倍。
- APクラウド・管理会社向けシステム:数量 360(有料換算管理会社数(社、推定))× 価格 0.00(有料換算1社当たりの年間利用料(億円/社))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIで業務画面を代替するため有料換算席数は現状以下、料金は1.15倍上限。
- APソリューション・仲介/駐車場転貸:数量 57,000(ポータル経由年間成約件数(件、サブリース売上も換算))× 価格 0.00(1件当たり仲介・転貸混合売上(億円/件))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。サイトの成約件数は現状上限、手数料や転貸賃料の混合単価が上昇。
- ビルディング・貸会議室/レンタルオフィス:数量 5,600(管理運営する施設面積(坪))× 価格 0.00(1坪当たり年間売上(億円/坪、利用率込み))→ 売上 24 億円・営業利益 6 億円。省人化された新店が定着、面積5,600坪、物価分と稼働改善。
- その他・小規模受託開発:数量 9.0(受託開発の案件換算数(件、非開示につき仮定))× 価格 0.01(案件換算1件当たり年間売上(億円/件))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。AI代替後も残る限定的な受託工数。
倍率:2035年の余剰現金35億円を除く事業の純利益19.36億円、事業自己資本55億円、ROE35.2%。k8.25%、超過ROEの残存率1/2(moat=normal)からRONIC=k+0.5×(ROE−k)、長期名目g1.0%としてPER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=13.16倍。利益の質を再度手で割り引かず式の上限を採用。全社価値は(全社純利益−余剰現金×1.4%)×PER+余剰現金×戻り方0.75。現在の株価や同業PERは用いない。
確率:約2%の対象市場シェアから全国で導入を広げ、保証対象を50万台にできる余地はある。しかし2030年までの利益・株価の新株予約権条件を共に達成し、以後も保証単価を保つ必要があるため1割とする。
やや楽観 19% 保証転換が進み成長計画に近づく 利益 11 億円 · PER 13.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 8,241 円154 億円
登録済みの区画から決済・保証に移る割合が着実に高まり、2035年には滞納保証の対象が35万台に達する。登録台数も100万台を超え、同社は全国で一定の存在感を得る。管理会社の利用料は競争で伸びにくいが、利用者負担の手数料と保証収入が利益の中心になり、管理画面の価格下落を補う。保証の引受けを慎重に続けることで、滞納による損失の拡大も食い止める。
アットパーキングの検索・仲介はAIエージェントの介入を受けるものの、即時の空き情報と契約実行に支えられて大幅な減少を免れる。貸会議室は5,000坪まで増え、新設備の省人化効果が賃料や人件費の上昇を上回る。先行費用は残るため、会社の長期ビジョンが示す最高水準の営業利益を当然視はしない。
2026~2030年に予定する買収は一部実施されるが、利益の上積みは既存事業の数量拡大から生まれる。利益が増える中で配当も始まり、株主への還元が少しずつ増える。株価と利益の行使条件をともに満たした場合の新株予約権の希薄化も織り込む。
- APクラウド・決済代行/滞納保証:数量 350,000(滞納保証対象の区画数(台、期末残高による年額換算))× 価格 0.00(保証対象1台当たり決済・保証の混合年間売上(億円/台))→ 売上 61 億円・営業利益 17 億円。登録拡大と利用者転換で保証35万台、単価は名目で約1.21倍。
- APクラウド・管理会社向けシステム:数量 320(有料換算管理会社数(社、推定))× 価格 0.00(有料換算1社当たりの年間利用料(億円/社))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。有料席相当は中立より多いが現状以下、価格は約1.14倍。
- APソリューション・仲介/駐車場転貸:数量 53,000(ポータル経由年間成約件数(件、サブリース売上も換算))× 価格 0.00(1件当たり仲介・転貸混合売上(億円/件))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。競争で契約件数は2025年より減少し、混合単価は小幅上昇。
- ビルディング・貸会議室/レンタルオフィス:数量 5,000(管理運営する施設面積(坪))× 価格 0.00(1坪当たり年間売上(億円/坪、利用率込み))→ 売上 21 億円・営業利益 5 億円。5,000坪、省人化による稼働・採算改善。
- その他・小規模受託開発:数量 8.0(受託開発の案件換算数(件、非開示につき仮定))× 価格 0.01(案件換算1件当たり年間売上(億円/件))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。AIで残る工数は現在の8割。
倍率:2035年の余剰現金20億円を除く事業の純利益11.02億円、事業自己資本44億円、ROE25.0%。k8.25%、超過ROEの残存率1/2(moat=normal)からRONIC=k+0.5×(ROE−k)、長期名目g1.0%としてPER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=12.96倍。利益の質を再度手で割り引かず式の上限を採用。全社価値は(全社純利益−余剰現金×1.4%)×PER+余剰現金×戻り方0.75。現在の株価や同業PERは用いない。
確率:2026年上期に保証台数が前年同期比31%増えたのは追い風だが、長く同じペースが続くとは限らない。2030年計画におおむね近い拡大と、その後の落ち着きを想定し、楽観ほど連続成功を求めない。
中立 30% 決済・保証は伸びるが競争で高成長は一巡 利益 6 億円 · PER 12.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 4,646 円87 億円
国内の月極駐車場は大きく増えないが、従来の管理台帳からオンラインへ移る区画は増える。同社は管理会社への販路を育てて登録区画を約115万台まで拡大する。2030年の会社目標には届かないものの、保証対象区画は現在の3倍程度に増え、2035年に26万台へ達する。決済手数料と保証料の混合単価は名目で約16%上がるが、物価の10年累積上昇率には届かない。管理会社の無料導入と競合との手数料競争が値上げを抑えるためである。
操作画面に対価を払う有料換算社数はAIエージェント代替で現在の8割へ減り、管理ソフト単独の成長は見込まない。仲介ポータルの成約件数も減る。増収をもたらすのは、賃料が実際に引き落とされ、滞納時に保証が履行される金融機能の利用拡大である。貸会議室は4,300坪まで広がるものの、賃料の上昇と更新費用を伴い、利益率は大幅には改善しない。
本社システムの改修、顧客獲得、営業人員と保証審査の費用をインフレ後の水準で負担する。大きな買収による上乗せは仮定せず、資本が蓄積することでROEは過去の高水準から低下する。配当は後半から小幅に始まり、残った現金の一部が株主のものになる。
- APクラウド・決済代行/滞納保証:数量 260,000(滞納保証対象の区画数(台、期末残高による年額換算))× 価格 0.00(保証対象1台当たり決済・保証の混合年間売上(億円/台))→ 売上 43 億円・営業利益 11 億円。2035年登録約115万台、保証26万台。決済・保証取引の実数は増えるが価格は物価以下。
- APクラウド・管理会社向けシステム:数量 289(有料換算管理会社数(社、推定))× 価格 0.00(有料換算1社当たりの年間利用料(億円/社))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替により有料換算361社→289社、単価1.10倍。
- APソリューション・仲介/駐車場転貸:数量 46,000(ポータル経由年間成約件数(件、サブリース売上も換算))× 価格 0.00(1件当たり仲介・転貸混合売上(億円/件))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。AI検索・仲介の中抜きで件数0.81倍、混合単価1.07倍。
- ビルディング・貸会議室/レンタルオフィス:数量 4,300(管理運営する施設面積(坪))× 価格 0.00(1坪当たり年間売上(億円/坪、利用率込み))→ 売上 18 億円・営業利益 4 億円。2035年4,300坪、単価1.34倍を目安に賃料・稼働率を織り込む。
- その他・小規模受託開発:数量 6.5(受託開発の案件換算数(件、非開示につき仮定))× 価格 0.01(案件換算1件当たり年間売上(億円/件))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。工数受託は6割5分、名目単価1.20倍。
倍率:2035年の余剰現金20億円を除く事業の純利益5.62億円、事業自己資本29億円、ROE19.4%。k8.25%、超過ROEの残存率1/2(moat=normal)からRONIC=k+0.5×(ROE−k)、長期名目g1.0%としてPER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=12.79倍。利益の質を再度手で割り引かず式の上限を採用。全社価値は(全社純利益−余剰現金×1.4%)×PER+余剰現金×戻り方0.75。現在の株価や同業PERは用いない。
確率:市場の非電子化が大きい事実と、直接競合の拡大・2026年投資先行減益をともに踏まえた中心。会社の2030年登録125万台と営業利益10億円を実現済みのように扱わない。
やや悲観 26% 競合に押され利益が伸び悩む 利益 1 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 899 円17 億円
Park Directと不動産大手の独自管理システムが管理会社の主要な契約を押さえ、同社の新規区画獲得は鈍る。登録済みの一部区画は残るものの、決済や滞納保証まで任される割合が上がらず、2035年の保証対象は15万台にとどまる。手数料は原材料や人件費ほど上がらず、取引の増加があっても利益の伸びは乏しい。保証の審査と滞納対応に必要な固定費は残る。
AIエージェントの普及により管理会社の社員が業務画面を操作する機会は減り、システム利用料は名目でも伸びない。仲介ポータルの集客は検索エンジンや自動契約支援に一部奪われ、成約件数が細る。会議室は増床を続けるものの、賃料改定と競争による値引きで、坪当たり売上と営業利益率が中立に届かない。開いた部屋を簡単に閉じられないため、家賃は重く残る。
大型買収は見送り、現金の流出を抑える方向へ転じるが、既存事業の人件費やシステム更新費はなお必要だ。営業利益が低水準となり、将来の配当もごく少額に縮む。自己資本の積み上がりに比べて純利益が小さく、資本コストを下回る稼ぐ力しか残らない。
- APクラウド・決済代行/滞納保証:数量 150,000(滞納保証対象の区画数(台、期末残高による年額換算))× 価格 0.00(保証対象1台当たり決済・保証の混合年間売上(億円/台))→ 売上 24 億円・営業利益 5 億円。保証15万台で頭打ち、保証・決済料は競争で抑制。
- APクラウド・管理会社向けシステム:数量 260(有料換算管理会社数(社、推定))× 価格 0.00(有料換算1社当たりの年間利用料(億円/社))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。AI代替で有料換算顧客が減少、単価も据え置き。
- APソリューション・仲介/駐車場転貸:数量 40,000(ポータル経由年間成約件数(件、サブリース売上も換算))× 価格 0.00(1件当たり仲介・転貸混合売上(億円/件))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。仲介件数が2025年の約7割、転貸の空室が重荷。
- ビルディング・貸会議室/レンタルオフィス:数量 3,600(管理運営する施設面積(坪))× 価格 0.00(1坪当たり年間売上(億円/坪、利用率込み))→ 売上 14 億円・営業利益 2 億円。3,600坪、稼働率の低下と家賃増を反映。
- その他・小規模受託開発:数量 5.0(受託開発の案件換算数(件、非開示につき仮定))× 価格 0.01(案件換算1件当たり年間売上(億円/件))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。残る小口案件を縮小。
倍率:利益が資本コストを下回り、2035年の事業純利益1.016億円、事業自己資本18億円のROE約5.6%に低下する。成長を褒賞しないためPERは1÷8.25%=12.12倍。余剰現金6億円から擬制受取利息0.084億円を除き、帳簿額の75%に当たる4.5億円を別に足した。稼ぐ力でみた時価総額は約16.82億円。
確率:下に寄せる理由:Park Directの大手管理会社への浸透が早く、ハッチ・ワークは無償提供から有料金融サービスへの転換に時間がかかる。貸会議室の賃料負担も残りやすいため、中立より一段弱い局面を比較的厚く見る。
悲観 15% 契約基盤を失い赤字に戻る 利益 −3 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 303 円6 億円
主要管理会社が競合プラットフォームへ移り、駐車場の新規登録が止まる。かつて登録された区画も更新と解約で流出し、2035年の保証対象は6.5万台へ縮む。残る決済と保証にも強い手数料引き下げ圧力がかかり、保証事故が増えて金融サービスの営業利益率は一桁に近づく。顧客と管理情報のデータが自社システムに残っていても、それを課金に結び付けられない。
AIエージェントが利用者の駐車場探し、契約、管理会社の事務まで代行するため、管理画面の利用料と仲介サイトの収益は構造的に縮む。貸会議室ではテレワークの再拡大と競合施設の増加で稼働率が落ちる。賃料の解約期間と内装設備の撤去負担が残り、拠点整理をしても赤字が続く。M&Aを行えばのれん減損の危険が増すため、資金を守ることが最優先になる。
この局面では成長企業としての利益倍率を使わない。2025年末に存在した資金から顧客預り金、借入金、保証支払準備、解約・原状回復費を控除した処分可能資産を床とする。十年間の利益の毀損で自己資本は縮み、配当も止まり、既存株主に残る価値は清算に近い資産の一部に限られる。
- APクラウド・決済代行/滞納保証:数量 65,000(滞納保証対象の区画数(台、期末残高による年額換算))× 価格 0.00(保証対象1台当たり決済・保証の混合年間売上(億円/台))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。保証対象6.5万台、信用損失と値下げで利益率低下。
- APクラウド・管理会社向けシステム:数量 200(有料換算管理会社数(社、推定))× 価格 0.00(有料換算1社当たりの年間利用料(億円/社))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。AI画面代替と顧客流出で有料換算200社、価格低下。
- APソリューション・仲介/駐車場転貸:数量 26,000(ポータル経由年間成約件数(件、サブリース売上も換算))× 価格 0.00(1件当たり仲介・転貸混合売上(億円/件))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。契約仲介は強い中抜き、サブリースの負担が残る。
- ビルディング・貸会議室/レンタルオフィス:数量 2,600(管理運営する施設面積(坪))× 価格 0.00(1坪当たり年間売上(億円/坪、利用率込み))→ 売上 9 億円・営業利益 −1 億円。採算の悪い拠点を整理しても家賃負担で赤字。
- その他・小規模受託開発:数量 4.0(受託開発の案件換算数(件、非開示につき仮定))× 価格 0.01(案件換算1件当たり年間売上(億円/件))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。受託案件ほぼ消滅。
倍率:構造的な赤字により純利益による恒久価値は成立しない。2025年12月末の自己資本10.3億円に0.55倍を掛けた5.665億円を資産処分の床と突き合わせる。2035年までの留保で増えた自己資本ではなく「今の自己資本」を分母とし、過去の市場PBRは使わない。現預金15.21億円+預け金6.18億円−借入金等約5.0億円−預り金9.18億円−保証・賃貸清算等の控除約1.7億円≒5.5億円を下回らない。
確率:下に寄せる理由:創業から2022年まで赤字期が複数あり、短い黒字履歴しかない。主要競合との規模差、保証損失の増加、オフィス賃借負担が重なれば事業の優良さを失うが、現物の取引・賃貸需要が皆無になるわけではない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
APクラウド・決済代行/滞納保証
駐車場利用者から決済手数料と初回・月額保証料を収受する。取引に伴う資金移動と保証債務が中心で、画面課金と区別する。
| 数量滞納保証対象の区画数(台、期末残高による年額換算) | 価格保証対象1台当たり決済・保証の混合年間売上(億円/台) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 86,000 | 0.00 | 12 | 4 |
| 10 年後 中立 | 260,000 | 0.00 | 43 | 11 |
取り方:2026年3月の会社資料18頁でAPクラウド売上の約95%が利用者負担と開示。2025年APクラウド四半期売上298・319・328・356百万円から年間13.01億円、その95%を12.36億円とする。保証対象8.6万台に決済17.9万台分の手数料も配賦した混合単価であり、保証料自体の単価ではない。初回保証料は賃料1月分、月額は賃料5%。決済・保証は実際の支払と信用リスクを担うため、席課金AI型ではなく取引数量型。ただし事務BPO部分の自動化圧力は利益率に織り込む。2025年のAPセグメント営業利益は各サービス別に未開示のため4.1億円は推計配賦。市場は管理会社対象2,500万区画という会社推計、登録47.3万台は約1.9%。
APクラウド・管理会社向けシステム
区画台帳、空き情報、契約操作の画面を提供する。無料または1社月額1.5万円である。
| 数量有料換算管理会社数(社、推定) | 価格有料換算1社当たりの年間利用料(億円/社) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 361 | 0.00 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 289 | 0.00 | 1 | 0 |
取り方:APクラウド売上13.01億円の約5%=0.65億円を会社開示の月額1.5万円×12か月で割り、有料換算361社と推定した。実際の契約社数は非開示で無料プランがあるため、有料換算は現契約社数ではない。AIエージェント代替の型は「席・操作画面中心の業務SaaS」。中立は数量0.80倍、料金1.10倍に抑え、実際の顧客基盤全体の成長と切り分ける。固定客数の解約率も非開示。利益はセグメント利益からの分析上の配賦。
APソリューション・仲介/駐車場転貸
ポータルによる募集・成約の仲介手数料と、駐車区画を借り上げて利用者に貸す賃料を得る。
| 数量ポータル経由年間成約件数(件、サブリース売上も換算) | 価格1件当たり仲介・転貸混合売上(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 57,000 | 0.00 | 5 | 1 |
| 10 年後 中立 | 46,000 | 0.00 | 4 | 0 |
取り方:成長計画24頁に2025年のアットパーキング成約5.7万件が開示され、同15頁のAPソリューション四半期売上107・110・115・124百万円(丸めで計4.56億円)と、APセグメント売上17.604億円からAPクラウド13.01億円を引いた4.594億円を使った。成約1件当たり約8,060円はサブリース賃料も含む代理単価で、仲介手数料の実単価ではない。AIエージェント代替の「情報・操作画面/仲介サービス」として、中立の成約数量0.81倍、混合単価1.07倍を適用。サブリースの固定賃借料は悲観の営業利益率に残す。
ビルディング・貸会議室/レンタルオフィス
都心の建物のフロアを借り、会議室・シェアオフィス・レンタルオフィスの利用料を得る。
| 数量管理運営する施設面積(坪) | 価格1坪当たり年間売上(億円/坪、利用率込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 3,210 | 0.00 | 10 | 2 |
| 10 年後 中立 | 4,300 | 0.00 | 18 | 4 |
取り方:会社の成長計画40頁に2025年度の運営面積3,210坪と2030年度4,500~5,000坪が開示されている。2025年同事業の売上9.891億円を面積で割った年商は1坪約30.8万円。会議室・オフィスの稼働、賃料、稼働日数を含む混合単価であり契約単価そのものではない。現地の貸室利用はAIで消滅しないため現場型、事務予約だけ効率化対象。中立面積4,300坪、名目単価は物価3%の10年分を基本とし、更新賃料と稼働率の影響を考慮。
その他・小規模受託開発
主力外のシステム等の受託役務。
| 数量受託開発の案件換算数(件、非開示につき仮定) | 価格案件換算1件当たり年間売上(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 10.0 | 0.01 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 6.5 | 0.01 | 0 | 0 |
取り方:2025年短信のその他事業売上約970万円を確認。案件数は非開示で10件相当を仮置きし単価97万円としたため、実際の契約件数の事実ではない。規模は全社の0.4%未満。AIエージェント代替の「人月・工数の受託」型で中立数量0.65倍、単価1.20倍、g_long0%。セグメント利益約490万円を便宜上付す。
リスクと懸念
AIエージェント代替と仲介の中抜き
管理会社が人手で操作していた画面や、利用者が検索画面を巡る行為そのものはAIエージェントに置き換わり得る。管理会社向けシステム利用料と仲介・受託開発の数量を中立でも削り、十年より先の成長率も抑えた。決済・保証には実際の資金移動と信用責任が残るものの、顧客接点を奪われれば手数料の主導権まで失う。
Park Directとの顧客獲得競争
ニーリーのPark Directは2026年5月時点で掲載130万台超、導入2,200社超を公表している。ハッチ・ワークの管理登録台数とは定義が違うが、大きな競争相手であることは明らかだ。管理会社が競合の決済・保証へ切り替えると、登録区画数が残っても金融サービスの利用率が減る。広告宣伝費と営業人員の増加も利益を圧迫する。
預り金と信用保証損失
現預金の一部は駐車場の賃料を集めてオーナーへ送金するためのもので、自由な株主資産ではない。2025年末の預り金は約9.18億円、預け金は約6.18億円であり、その差と保証履行引当金は運転上の制約になる。滞納率上昇、送金障害、資金管理上の不備が重なると、利益だけでなく信用まで傷つく。
借り上げ会議室の固定費とリース
貸会議室は2025年の売上約9.9億円を作るが、家賃・設備更新費・原状回復義務を伴う。空室が増えても賃料を即座に止められず、2026年上期には新規出店の費用で同事業利益が減った。新リース会計基準で将来は使用権資産とリース負債が貸借対照表に載っても、現金の負担は消えない。悲観側では家賃を利益率に残した。
経営計画の実行とM&Aの過払い
2030年度の営業利益10億円と登録125~130万台は会社の目標であって受注済みの利益ではない。2026年上期は成長と減益が同時に起きた。2030年度まで約10億円の買収予算は今の会社規模に比べ大きく、資本コストを下回る買収やのれん減損が起きれば、伸びた売上に見合う株主価値は残らない。
無配・希薄化・資本効率の低下
2026年12月期も無配予想で、配当開始予定には配当性向などの具体的な数字の約束がない。利益を現金のまま抱えると自己資本が先に増え、ROEは低下する。2026年4月の条件付き新株予約権は最大4万5,000株で、成功時にも既存株主の持分を約2.3%希薄化させる。資本配分の質を純利益の増加率だけで判断できない。
今後の分かれ目
- 2028年末のAPクラウド登録台数が80万台に届かず、決済・保証への転換率も横ばいなら
- 2030年125~130万台の目標との乖離が広がる。中立の保証26万台という長期数量前提を下げ、やや悲観側の確率を厚くする。
- 滞納保証台数が登録台数の25%以上で安定し、保証損失率と実質手数料が悪化しなければ
- 登録区画を利益に変える増分利回りが高いと確認できる。金融サービスの中立数量または採算を上方修正し、強気側の重みを増やす。
- Park Directや大手管理会社への契約流出が増え、利用者負担手数料に値下げが続けば
- 管理会社への無償提供を収益化できない懸念が強まる。登録台数だけでなく決済代行・保証台数と一件単価を下げて評価する。
- 2027年以降、新モデル貸会議室の坪当たり売上と営業利益率が同時に改善すれば
- 現場運営の省人化が実現したとみなし、ビルディング事業の利益率・増床計画を改善する。ただし家賃の約束と敷金負担も確認する。
- 買収後にのれん償却前だけでなく償却後の利益が資本コストを上回り、配当も開始すれば
- 経営者の資本配分を高く評価し、余剰現金の戻り方を0.75から1.0へ改める余地が生まれる。具体的な配当性向を継続確認する。
- 2028~2030年の利益と株価が新株予約権の行使条件を同時に満たせば
- 4万5,000株の潜在的な希薄化と約0.812億円の払込金を既存株主の取り分に反映する。達成がなければ悲観・中立側の株数を増やさない。
- 預り金と預け金の差が拡大し、保証履行請求や顧客資金の流出が急増したら
- 帳簿上の純現金を再点検し、余剰現金と悲観の売却可能資産を減額する。送金・収納体制と保証審査の質を優先して確認する。
見ておくもの
- 四半期のAPクラウド登録台数、決済代行台数、滞納保証台数、およびそれぞれの対登録比率
- 決済・保証1台当たり実収入と保証履行損失率。初回保証料込みのARRと純粋な月額課金を区別
- 同社の市場シェア約2%と競合Park Directの掲載・オンライン契約可能区画数。定義の違いを注記
- 管理会社の実際の有料契約数、解約率、契約更新と値上げの実績
- 貸会議室の坪数、稼働率、坪当たり売上、新店舗の黒字化と家賃固定費
- 顧客預り金、預け金、定期預金、借入金、保証履行引当金と自由現金の変化
- 2030年度の売上65~70億円・営業利益10億円、登録125~130万台に対する進捗
- M&A取得額と減損、配当開始後の総還元性向、新株予約権の条件達成と希薄化
倍率と資本コストの決め方
添付factsとbriefの価格1,811円・株数187万600株・2025年末自己資本10.3億円を基準とし、現在時価総額33.88億円は評価を作り終えてから比較した。2026年の会社開示は発行済株数191万株超を記すため、添付の自己株5万株との整合には再点検余地があるが、利用者指定の株数を優先する。販売数量は保証区画数、管理会社有料換算社数、ポータル成約、運営坪数、受託案件換算で組み、物価は価格側にだけ反映した。継続価値のPERは市場の過去倍率を使わず、k8.25%・堀normal・名目g1%の利益式から決めた。資金滞留と顧客預り金を切り分け、各筋書きの余剰現金を明示したので自動の留保現金を二重計上しない。悲観のPBRは現在の自己資本を分母とした。新リース会計適用後も貸室の家賃を営業費用として捉える同じ形で比較した。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%から基本7.5%。循環と競争による+0.75%を品質に反映した。個別の買収リスクは確率で扱い上乗せ金利を付けない。