結論
オービーシステムは、金融機関の勘定系や電力・公共の重要システムを開発・保守する受託ソフト会社である。筆者の結論は「割高」だ。2026年3月期には売上高86.6億円、営業利益6.7億円を稼ぎ、純現金や保有有価証券にも厚みがある。しかし、10年後も開発工数に対して今と同じ金額を請求できるとは考えにくく、配当を含めて割り引いた本質価値は基準時価総額を大きく下回る。
長所は、銀行の中枢システムから電力系統・自治体まで、失敗の許されない仕事を50年超にわたって担ってきたことである。日立製作所との取引は長く、買収したヒューマン&テクノロジーとグリーンキャットも開発陣容を補った。足元のDX需要は強く、2027年3月期には売上高100億円が見込まれる。だが、顧客が重要視するのはシステムの継続稼働であって、開発にかかった人月数そのものではない。
危うさは、開発を発注する大手SIerがAIを内製化したとき、同社の作業量と受託単価が同時に圧迫されうる点にある。強い製品と呼べる医療用CLIPには長期稼働例があるが、売上寄与と解約率の開示がなく、全社の堀とは見なせない。保有株式を売却して増配してきた姿勢は評価するものの、低い増分利益率の買収を続ければ財務の強さは減る。長期保有には、顧客との取引年数より成果課金への移行と資本配分の規律を確かめたい。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主にとって第一の問いは、この企業の顧客が2036年にも必要とするものは何かである。銀行の元帳、電力系統の安全、病院の検査結果は確実に残る。しかし、その記録を支えるシステムの設計・保守を人間が何人月もかけて行う必然性は残らない。仕事が消えるのではなく、仕事一件当たりで請求できる労働時間が消える可能性を大きく見るべきだ。
第二の問いは、競争相手を追い払えるかである。50年続く顧客との関係は安定受注につながるが、直接発注ではない案件が多く、元請の利益率を超えて単価を上げる権利はない。CLIPは病院の運用に組み込まれており、何度も更新された実例もある。しかし、解約率の数値、移行に必要な年数、規制対応の継続値上げ実績、独自データの支配は開示で二つ以上確認できない。これを全社の『記録の正本』の堀へ格上げすることはしない。
第三の問いはオーナー利益である。給与と協力会社費用が主な原価なので、大規模な工場更新は要らないが、人材育成・採用と品質保証の投資は毎年必要になる。借入が小さく政策保有株の現金化も進むため、苦境でも資本の時間を買う余力はある。それでも、その余裕を低収益のSI会社買収へ再投資すれば現金は株主のものにならない。
10年の中立は、利益を積み上げてもROEが資本コストを下回る。そんな企業に成長倍率を高く付ける理由はない。現時点の財務の厚さと増配は評価するが、買値に十分な安全域があるとは言えない。価格ではなく、成果課金への移行と買収後の増分収益が確認できるかで見方を変える。
何で稼ぐ会社か
収益の核は人が設計・開発・試験・保守する時間である。開示上はシステムインテグレーションサービスの単一セグメントだが、2026年3月期は金融34.8億円、産業流通25.1億円、社会公共19.9億円、ITイノベーション6.7億円の四つのサービスラインに分かれる。2027年3月期からはITイノベーションを金融へ統合しているため、単純に前年の金融だけを比較すると成長を見誤る。
金融では日立製作所やBIPROGYなどの大手SIerを通じ、銀行の預金・貸出・為替、ATM、保険、証券のシステムを作る。クラウド基盤の構築や運用も含む。産業流通は家電量販店、物流、自動車・マイコン向けの組み込みソフトと医療システムを担う。自社のCLIPは臨床検査の結果、検体、試薬在庫、電子カルテとの連携を扱い、MEX-Plusは健診情報を扱う。AI音声操作を搭載した製品の発売実績はあるが、製品単独の売上額や課金単位は開示されていない。
社会公共では電力ICT、道路や河川の監視制御、自治体のシステム標準化、教育・メディア分野の開発を手掛ける。制度変更や既存システムとの結合は顧客の発注を支えるが、実際の記録の正本は原則として顧客や元請の環境に残る。ITイノベーションはAWS・Azure等の基盤構築を中心としていた。四事業の人月、契約本数、契約単価は非開示なので、開示された売上と製造原価を起点に、外部の人月単価調査と連結人員・協力会社の存在を照合して数量と価格を推定した。
2025年の会社説明では日立製作所グループ向けが売上の約68%、三菱電機ソフトウエア向けも含めて約8割だった。日立製作所単体への2026年3月期売上も28.7億円に達する。人材を育てる営業には安定顧客が効く反面、発注者側の値決め力が圧倒的に強い。強固な取引先という長所は、価格決定権が弱いという短所と表裏一体である。
優良さと弱いところ
優れた点は、基幹系を長期間止めずに動かす経験の蓄積だ。銀行の勘定系や電力の制御システムでは障害時の損失が大きく、知識の浅い新規業者に一夜で切り替えることは難しい。医療用CLIPには20年以上稼働している病院の公開事例があり、既存顧客との接点もある。この継続性が採用や協力会社の稼働を支え、直近数年は赤字を出さずに売上を増やした。
ただし、その強みは製品そのものの独占力ではなく、主として元請から選ばれ続ける実務能力である。上位二つの発注先グループへの依存が高く、技術者の人件費上昇を超える単価改定が持続していると確かめられる資料はない。2026年3月期の営業利益率は7.8%であり、直接顧客を握り、独自ソフトから継続課金を取る企業ほどの採算は出ていない。顧客の品質要求は参入障壁になる一方、成果物の所有権や顧客データを同社が握るわけではない。
財務の安全性は明確な長所だ。自己資本比率は約75%で、純現金だけでも約20億円あるうえ、運用社債と日立製作所株を別に保有する。もっとも、2024年・2025年の買収でのれんと顧客関連資産を合わせ約10億円抱えるようになった。過去のROEはおおむね10%だが、今後の買収資金が低い増分利回りしか生まなければ、資本コストとの差は縮む。価格を上げても顧客が離れない力は未証明であり、全社を強い堀の企業には分類しない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内ITサービスの市場は大きく、IDCの2024年実績は約7.0兆円、2029年には約9.7兆円に達する予測がある。金融の基幹系更新、製造業の業務刷新、自治体の標準化やガバメントクラウドが目先の案件を生む。自治体向けソリューションだけでも2025年度は約9,660億円の予測だ。オービーシステムが属する金融・産業流通・社会公共では、それぞれ市場が数千億円から兆円単位であり、同社の売上比率から推定するシェアはどれも1%に遠く及ばない。
競争相手は日立製作所、NTTデータ、富士通、NEC、BIPROGY、TIS、日鉄ソリューションズなどである。Gartnerのより広いITサービス定義では2024年のNTTデータが10.1%、NECが8.3%、富士通が8.0%、日立製作所が7.7%だった。IDCとの市場定義を混同してはならないが、少数の大手が顧客を握り、オービーシステムのような協力会社に工程を発注する階層構造は見える。同社は元請と競うだけでなく、案件を受ける立場でもある。
長期には市場の名目成長率を同社の人月売上に転写できない。AIエージェントがコーディング、テスト、資料作成や運用の一部を自律化すれば、発注したい機能は増えても必要な工数は減るからだ。中立では金融の実効人月を今の7割、産業流通を6割強、社会公共を7割強へ縮める。金融と電力では規制や障害対応が残るため減少は相対的に小さく、定型的なアプリ構築やインフラ設定は置換が早い。人月単価には物価上昇の多くを見込むが、実質値上げはほぼない。2036年以降の名目成長はゼロと見る。
資本政策と M&A
経営陣は株主還元を増やしてきた。年間配当は2023年3月期から2026年3月期にかけて段階的に増え、2027年3月期も増配を予定し、配当性向約40%を見込む。会社の方針も配当性向40%以上を目安とする。自己株取得による大幅な発行済株数の縮小は確認できず、役員や従業員への譲渡制限付株式交付があるため、将来の希薄化には注意が要る。
2027年3月期までの中期計画には売上高100億円、売上総利益率20%以上、営業利益率10%以上、ROE13%以上という数値目標がある。しかし直近の会社予想は売上高100億円でも営業利益8.35億円であり、10%の利益率目標には届かない。大型自社株買い額、DOE、総還元性向については数字の約束が見当たらない。2024年のヒューマン&テクノロジー買収には5億円、2025年のグリーンキャット買収には7億円を使った。投資判断は取得した人材と顧客基盤が買収価額を超えて稼ぐかで行うべきだ。
保有する日立製作所株は2026年3月末に約13.1億円あり、縮減方針に沿って一部を売却している。財務余力のうち株主へ戻るとみる割合は75%とした。大株主上位10者の持分は約78%だが、増配実績があるため、単純に支配株主による全面的な滞留を想定しない。反面、過去の配当性向は5割に届かず、資産が全額還元される約束もない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
金融・電力・自治体という仕事は、ソフトウェアの中でも止めることが難しい。安全性、監査対応、既存設備への接続、実際に運用してきた人の知識が必要だからだ。銀行の勘定系と電力の監視制御は、コードを自動生成できるだけで完結しない。長期取引に加え、日立製作所と三菱電機ソフトウエアの広い案件網は、営業人員を過大に増やさず受注する機会を与える。
短期の業績にも好材料がある。2027年3月期中間期の売上は前年同期比20%増で、金融事業が牽引した。グリーンキャットの連結効果が本格化し、金融の基盤構築需要は強い。従業員は連結で600人台まで増え、AX推進室や大阪大学との協創によって社内のAI利用も進めている。医療用CLIPには20年を超える利用例があり、病院のデータや検査機器との接続を支える。
将来はAIが人を丸ごと置き換えるとは限らない。受注先がAI生成物の検証・移行・安全確認を従来の委託先に依頼し、高度な作業の割合が上がれば、工数が減っても利益率は改善しうる。最良のケースでは現在の人月数量に近い稼働を保ち、名目単価の上昇と品質管理の効率化が重なる。豊富な金融資産と増配が評価を下支えし、2036年でも利益を維持できる余地は十分ある。
慎重な見方
最大の弱点は顧客の集中と、下請けとして買われる仕事の構造である。会社説明では日立製作所グループへの依存が約7割で、三菱電機ソフトウエアを合わせると約8割となる。顧客の障害対応は大切でも、今後AIエージェントによって開発・試験・設定の工程が短縮されれば、元請は人月を減らして同じ成果物を得られる。オービーシステムがその生産性向上分を料金として回収する契約は確認できない。
さらに、受託開発の社内原価の大きな部分が人件費と外注費である。案件が急減しても正社員の給与と教育費はすぐに半分にはならない。2026年3月期の営業利益率は高くなく、数ポイントの粗利率悪化で営業利益は大きく減る。2027年3月期に中期計画の売上目標を達成しても、利益率の目標に届かない会社予想がその脆さを示している。
2024年と2025年に取得した子会社ののれん・顧客関連資産は、売上を生む人材と顧客が残る前提で評価されている。開発需要が縮み、離職や案件の失注が重なれば、減損が利益と自己資本を削る。政策保有株の値上がりは事業の堀ではない。AI化を自社事業の成果報酬へ転換できた金額も未開示だ。売上が10年で半減する場合、清算価値に近い資産しか残らない可能性を無視できない。
どちらに重みを置いたか
財務の厚さと銀行・電力での実績は強気の見方を支える。しかし、売上の大部分が元請から買われる人月であり、値上げや成果課金を継続して成功させた開示はない。確率は楽観側29%に対し、やや悲観と悲観を39%とし、慎重側へ10ポイント寄せた。下に寄せる理由はAI一般論だけではなく、日立・三菱電機系への受注集中と、2027年3月期の利益率目標に会社予想が届かない現実である。AIによる工数減は中立の数量と長期成長ゼロに織り込んでおり、資本コストや悲観確率で同じ理由を機械的に重ねてはいない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 3,743 円87 億円(+ 還元の換算額還元の合計 764 円18 億円)。 今の値に割り戻すと 2,301 円54 億円、今との差 −23.6%、 期待の年率 +4.6%(資本コスト 7.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 11% | 6,675 円156 億円 | 1,331 円31 億円 | +166.0% | +11.5% | 881 円21 億円 |
| やや楽観 | 18% | 5,498 円128 億円 | 1,073 円25 億円 | +118.3% | +9.0% | 1,183 円28 億円 |
| 中立 | 32% | 3,732 円87 億円 | 815 円19 億円 | +51.1% | +4.7% | 1,455 円34 億円 |
| やや悲観 | 25% | 2,508 円58 億円 | 558 円13 億円 | +1.9% | +0.2% | 766 円18 億円 |
| 悲観 | 14% | 1,416 円33 億円 | 172 円4 億円 | −47.2% | −6.5% | 222 円5 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,743 円87 億円 | 764 円18 億円 | +49.7% | +4.6% | 4,507 円105 億円 |
今の株価時価総額 3,010 円70 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 11% 高信頼の仕事が残り、採算が改善 利益 9 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 6,675 円156 億円
銀行の元帳刷新や電力の監視制御では、AIが作ったコードを検証して安全に稼働させる責任が残る。日立製作所との継続受注を維持しながら、三菱電機系だけでなく直接取引先も増える。ヒューマン&テクノロジーとグリーンキャットの買収後の社員定着が良く、再教育投資が品質と稼働率を支える。
実効人月は金融と社会公共で現在に近い量が残り、産業流通でも組込みや検査機器連携の仕事が維持される。AIが内部作業を短縮しても発注者は安全確認の委託を続けるため、営業利益率は会社の中期目標を超える。自社医療パッケージも更新されるが、独立した大規模なAI課金事業になる証拠はない。
政策保有株の売却と配当を継続し、余剰資産を大きな買収損失に使わない。長年の取引という緩い堀は残るが、開発人月の永久成長は見込まない。
- 金融事業:数量 3,102(金融関連の受託開発・運用の年間実効人月(協力会社と成果物換算を含む))× 価格 0.01(請求売上の億円/実効人月(名目))→ 売上 46 億円・営業利益 5 億円。実効人月は2026/03期の0.98倍、単価は1.34倍。人月・工数型であるため数量側へAI代替を反映。
- 産業流通事業:数量 2,385(産業流通と組込み開発の年間実効人月相当(医療製品を工数換算))× 価格 0.01(請求売上の億円/実効人月(名目))→ 売上 32 億円・営業利益 4 億円。実効人月は2026/03期の0.95倍、単価は1.34倍。人月・工数型/医療製品の一部は操作画面・席型であるため数量側へAI代替を反映。
- 社会公共事業:数量 1,878(社会公共の受託開発・運用の年間実効人月(協力会社換算))× 価格 0.01(請求売上の億円/実効人月(名目))→ 売上 26 億円・営業利益 3 億円。実効人月は2026/03期の0.99倍、単価は1.34倍。人月・工数型であるため数量側へAI代替を反映。
- ITイノベーション事業(2026/03期区分):数量 631(クラウド・基盤構築・設定作業の年間実効人月(協力会社換算))× 価格 0.01(請求売上の億円/実効人月(名目))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。実効人月は2026/03期の0.94倍、単価は1.34倍。人月・工数型であるため数量側へAI代替を反映。
倍率:名目g_long=0%の人月型SIで、k=7.75%。ROEが資本コストを超える可能性がある場合も継続的な人月増加は見込まないため、正当化PER=(1−0/RONIC)/(k−0)=1/7.75%=12.903倍の上限をそのまま採用する。事業利益に含まれる運用資産の税後利息は20.0億円×1.4%を一度控除し、余剰資産の戻り方75%を一度だけ足す。保有する上場株13.0572億円はholdingsによる独立の資産・受取配当調整対象であり、この原時価総額に手で二重加算しない。mcap=(9.27−20.0×1.4%)×12.903226+20.0×75%≈131.000億円。
確率:金融と社会インフラの複雑なシステムで生産性改善の利益を一定程度確保する最良の道筋。ただしAI由来の商品売上は金額が未開示なので実効人月の数量は足元以下に抑える。
やや楽観 18% 重要システムの移行需要が粘る 利益 7 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 5,498 円128 億円
金融の大型案件が周期的に終わっても、地銀のオープン勘定系やATM、保険の刷新案件が途切れない。社会公共の電力ICTとガバメントクラウド対応も続き、長く維持してきた業務知識で他社との競争をしのぐ。発注先はAIを使い始めるが、監査・移行・保守を人が確認する工程も残る。
通常の受託開発に必要な人月は減るものの、相対的に専門性の高い作業が増え、平均単価はおおむね物価並みに上がる。産業流通の医療パッケージは一定の更新売上が続き、組込みでは制御ソフトが量産現場で使われる。全社利益率は改善するが、直接取引の大幅な増加までは求めない。
買収で得た取引を維持し、純利益の約4割を配当中心に戻す。短期的な会社計画はおおむね達成しても、2036年の事業は人月による成長を終えている。
- 金融事業:数量 2,754(金融関連の受託開発・運用の年間実効人月(協力会社と成果物換算を含む))× 価格 0.01(請求売上の億円/実効人月(名目))→ 売上 41 億円・営業利益 4 億円。実効人月は2026/03期の0.87倍、単価は1.34倍。人月・工数型であるため数量側へAI代替を反映。
- 産業流通事業:数量 2,083(産業流通と組込み開発の年間実効人月相当(医療製品を工数換算))× 価格 0.01(請求売上の億円/実効人月(名目))→ 売上 28 億円・営業利益 3 億円。実効人月は2026/03期の0.83倍、単価は1.32倍。人月・工数型/医療製品の一部は操作画面・席型であるため数量側へAI代替を反映。
- 社会公共事業:数量 1,726(社会公共の受託開発・運用の年間実効人月(協力会社換算))× 価格 0.01(請求売上の億円/実効人月(名目))→ 売上 24 億円・営業利益 3 億円。実効人月は2026/03期の0.91倍、単価は1.34倍。人月・工数型であるため数量側へAI代替を反映。
- ITイノベーション事業(2026/03期区分):数量 551(クラウド・基盤構築・設定作業の年間実効人月(協力会社換算))× 価格 0.01(請求売上の億円/実効人月(名目))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。実効人月は2026/03期の0.82倍、単価は1.30倍。人月・工数型であるため数量側へAI代替を反映。
倍率:名目g_long=0%の人月型SIで、k=7.75%。ROEが資本コストを超える可能性がある場合も継続的な人月増加は見込まないため、正当化PER=(1−0/RONIC)/(k−0)=1/7.75%=12.903倍の上限をそのまま採用する。事業利益に含まれる運用資産の税後利息は20.0億円×1.4%を一度控除し、余剰資産の戻り方75%を一度だけ足す。保有する上場株13.0572億円はholdingsによる独立の資産・受取配当調整対象であり、この原時価総額に手で二重加算しない。mcap=(7.11−20.0×1.4%)×12.903226+20.0×75%≈103.129億円。
確率:金融機関の更改と電力・公共の更新需要が継続し、人月は緩やかに減っても単価と品質管理の効率化が利益を支える。上振れに必要な顧客分散はまだ実証されていない。
中立 32% AIが人月を減らし、利益は小さく残る 利益 4 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,732 円87 億円
2027年3月期のDX需要は当面強く、買収会社の通期寄与も売上を押し上げる。しかし、その売上は技術者と協力会社の工数を束ねて得るものだ。数年をかけて日立製作所や三菱電機ソフトウエアがAI開発の標準環境を整え、同じ仕様に必要な外注人月を減らしていく。
金融では監査と複雑なデータ移行が残り、実効人月は今の7割となる。産業流通の標準アプリ・マイコン関連は約6割強、社会公共は7割強に縮む。IT基盤は2027年3月期に金融へ統合されたが、比較可能性のため旧区分を残し、同じく実効人月の減少を見込む。名目の単価は上がっても物価を超える値決め力は乏しい。
収益性のよい保守が残って営業赤字にはならないが、営業利益は現在より減る。自己資本は配当後も積み上がるため、ROEは資本コストに届かない。株主に戻る現金と日立株の換金価値は残るものの、高い成長倍率を支える事業にはならない。
- 金融事業:数量 2,216(金融関連の受託開発・運用の年間実効人月(協力会社と成果物換算を含む))× 価格 0.01(請求売上の億円/実効人月(名目))→ 売上 32 億円・営業利益 2 億円。実効人月は2026/03期の0.70倍、単価は1.30倍。人月・工数型であるため数量側へAI代替を反映。
- 産業流通事業:数量 1,581(産業流通と組込み開発の年間実効人月相当(医療製品を工数換算))× 価格 0.01(請求売上の億円/実効人月(名目))→ 売上 20 億円・営業利益 2 億円。実効人月は2026/03期の0.63倍、単価は1.27倍。人月・工数型/医療製品の一部は操作画面・席型であるため数量側へAI代替を反映。
- 社会公共事業:数量 1,366(社会公共の受託開発・運用の年間実効人月(協力会社換算))× 価格 0.01(請求売上の億円/実効人月(名目))→ 売上 19 億円・営業利益 2 億円。実効人月は2026/03期の0.72倍、単価は1.30倍。人月・工数型であるため数量側へAI代替を反映。
- ITイノベーション事業(2026/03期区分):数量 416(クラウド・基盤構築・設定作業の年間実効人月(協力会社換算))× 価格 0.01(請求売上の億円/実効人月(名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。実効人月は2026/03期の0.62倍、単価は1.23倍。人月・工数型であるため数量側へAI代替を反映。
倍率:名目g_long=0%の人月型SIで、k=7.75%。ROEが資本コストを超える可能性がある場合も継続的な人月増加は見込まないため、正当化PER=(1−0/RONIC)/(k−0)=1/7.75%=12.903倍の上限をそのまま採用する。事業利益に含まれる運用資産の税後利息は20.0億円×1.4%を一度控除し、余剰資産の戻り方75%を一度だけ足す。保有する上場株13.0572億円はholdingsによる独立の資産・受取配当調整対象であり、この原時価総額に手で二重加算しない。mcap=(4.08−20.0×1.4%)×12.903226+20.0×75%≈64.032億円。
確率:重要業務は残る一方、元請が実装・試験・設定をAIで効率化する。価格は物価のほとんどを転嫁できるが、実質の人月減を相殺できないことを中心見通しにする。
やや悲観 25% 元請の内製化で受託採算が細る 利益 2 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,508 円58 億円
日立製作所と三菱電機ソフトウエアが、コード生成からテストまでを社内AI環境に移していく。従来なら外部に発注された設定や保守の一部が、顧客側の少数の技術者で済むようになる。新規顧客の獲得が遅れると発注数量の減少を埋められず、金融から産業流通まで受託人月が広く減少する。
金融と社会公共では制度対応と障害時の現場作業が残るが、実効人月は今の6割前後に縮む。製造業・流通業の新規開発はさらに弱く、単価改定は物価上昇に負ける。既存人員の配置転換と教育費が必要で、2026年3月期より低い利益率が続く。医療CLIPは一部の病院で残るが、販路を変えるほどの売上には育たない。
大規模な買収は見送り、株主還元も稼いだ利益の範囲へ縮める。純現金と保有資産が破綻を遠ざけるが、利益を増やすための再投資の利回りは資本コストを下回る。
- 金融事業:数量 1,836(金融関連の受託開発・運用の年間実効人月(協力会社と成果物換算を含む))× 価格 0.01(請求売上の億円/実効人月(名目))→ 売上 24 億円・営業利益 1 億円。実効人月は2026/03期の0.58倍、単価は1.20倍。人月・工数型であるため数量側へAI代替を反映。
- 産業流通事業:数量 1,355(産業流通と組込み開発の年間実効人月相当(医療製品を工数換算))× 価格 0.01(請求売上の億円/実効人月(名目))→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。実効人月は2026/03期の0.54倍、単価は1.18倍。人月・工数型/医療製品の一部は操作画面・席型であるため数量側へAI代替を反映。
- 社会公共事業:数量 1,157(社会公共の受託開発・運用の年間実効人月(協力会社換算))× 価格 0.01(請求売上の億円/実効人月(名目))→ 売上 14 億円・営業利益 1 億円。実効人月は2026/03期の0.61倍、単価は1.19倍。人月・工数型であるため数量側へAI代替を反映。
- ITイノベーション事業(2026/03期区分):数量 336(クラウド・基盤構築・設定作業の年間実効人月(協力会社換算))× 価格 0.01(請求売上の億円/実効人月(名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。実効人月は2026/03期の0.50倍、単価は1.15倍。人月・工数型であるため数量側へAI代替を反映。
倍率:名目g_long=0%の人月型SIで、k=7.75%。ROEが資本コストを下回るため、成長による超過価値を認めず正当化PERの上限1/7.75%=12.903倍を採用する。事業利益に含まれる運用資産の税後利息は、やや悲観で縮小した15.0億円×1.4%を一度控除する。余剰資産の戻り方75%を適用し、保有上場株はholdingsで別途評価する。mcap=(2.46−15.0×1.4%)×12.903226+15.0×75%≈40.282億円。税後売却可能資産の床33億円を上回る範囲で、事業の稼ぐ力に基づき評価した。
確率:主要元請がAIを使って実装を内製化し、案件単価も物価に追随できない。労務費や本社費の削減が追いつかず、銀行・公共の継続作業に価値が残るだけとなる。
悲観 14% 人月商売が崩れ資産価値を頼る 利益 0 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,416 円33 億円
元請のAI開発環境が標準となり、実装、テスト、運用手順書やクラウド設定の大半を外注する必要がなくなる。銀行と電力の監査・安全確認だけは人が担い続けるが、これまでの人員数を維持できるほどの発注量ではない。日立製作所関連の大型案件を複数失い、受託単価も名目物価を大幅に下回る。
売上は現在のおよそ半分まで落ち、産業流通の組み込みや旧ITイノベーションの採算は特に悪化する。短期の好業績から数年後には営業赤字の時期があり、買収ののれん約6.2億円と顧客関連資産約4.1億円の減損が期間利益を食う。2036年は小さな営業黒字へ戻るが、10年間の純利益累計は約4億円にとどまり、同額程度の配当を支払ったあと、自己資本はおおむね現在の水準へ戻る。
事業を清算する前提ではないが、売却可能な預金・社債・上場株式を最後の防御線とする。信用収縮と換金コストを控除するため、帳簿純資産すべてを回収できるとは考えない。
- 金融事業:数量 1,393(金融関連の受託開発・運用の年間実効人月(協力会社と成果物換算を含む))× 価格 0.01(請求売上の億円/実効人月(名目))→ 売上 17 億円・営業利益 1 億円。実効人月は2026/03期の0.44倍、単価は1.12倍。人月・工数型であるため数量側へAI代替を反映。
- 産業流通事業:数量 1,004(産業流通と組込み開発の年間実効人月相当(医療製品を工数換算))× 価格 0.01(請求売上の億円/実効人月(名目))→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円。実効人月は2026/03期の0.40倍、単価は1.10倍。人月・工数型/医療製品の一部は操作画面・席型であるため数量側へAI代替を反映。
- 社会公共事業:数量 911(社会公共の受託開発・運用の年間実効人月(協力会社換算))× 価格 0.01(請求売上の億円/実効人月(名目))→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円。実効人月は2026/03期の0.48倍、単価は1.14倍。人月・工数型であるため数量側へAI代替を反映。
- ITイノベーション事業(2026/03期区分):数量 235(クラウド・基盤構築・設定作業の年間実効人月(協力会社換算))× 価格 0.01(請求売上の億円/実効人月(名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。実効人月は2026/03期の0.35倍、単価は1.05倍。人月・工数型であるため数量側へAI代替を反映。
倍率:2036年純利益0.43億円の稼ぐ力(正当化PER上限12.90倍)と、悲観時に縮小した余剰現金を合わせても、税後売却可能資産の床33.0億円を下回る。現在の自己資本57.0億円を評価基準としてPBR=33/57≈0.579倍、mcap=33億円とする。2036年までの利益累計約4億円と配当約4億円を相殺する道筋で、未来の利益で膨らませた資本に床倍率をかけない。のれん6.15億円・顧客関連資産4.12億円は売却価値ゼロとして床に含めない。
確率:10年で売上がほぼ半減し、買収した顧客基盤の減損と営業赤字の時期が重なる。消滅を決めつけず、売れる金融資産から処分費・税を引いた清算的な床を残す。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
金融事業
銀行勘定系・保険・証券・ATM・クラウド基盤の設計開発と運用保守
| 数量金融関連の受託開発・運用の年間実効人月(協力会社と成果物換算を含む) | 価格請求売上の億円/実効人月(名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3,166 | 0.01 | 35 | 2 |
| 10 年後 中立 | 2,216 | 0.01 | 32 | 2 |
取り方:会社有報に実際の区分売上34.82億円と区分製造費用がある。JUAS「ソフトウェア・メトリクス調査2025」のスクラッチ外注工数単価約96万円/人月や、パッケージ利用型約144万円/人月を参照し、混在契約の平均請求単価を110万円/人月と仮定、区分売上÷同単価から3,166実効人月を推定。正社員・外注・受託保守と機能の納品をまとめた換算であって開示された実人月ではない。全社従業員624名(期末)・翌4月665名、外注費が製造原価の約45%という規模感を照合した。営業利益は区分ごとの製造費用と全社の販管費約10億円・共通費用を売上比で配賦した概算。AI代替の型は「人月・工数型」で、強い正本型を適用しない。金融向け国内ITサービス市場を約1.6〜2.1兆円と分析上試算、売上34.8億円の見かけシェア約0.17〜0.22%。元請経由が多く実際の直接発注者シェアではない。
産業流通事業
家電量販店・物流・組み込みソフト・医療CLIP/MEX-Plusを含む
| 数量産業流通と組込み開発の年間実効人月相当(医療製品を工数換算) | 価格請求売上の億円/実効人月(名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,510 | 0.01 | 25 | 2 |
| 10 年後 中立 | 1,581 | 0.01 | 20 | 2 |
取り方:会社有報に実際の区分売上25.10億円と区分製造費用がある。JUAS「ソフトウェア・メトリクス調査2025」のスクラッチ外注工数単価約96万円/人月や、パッケージ利用型約144万円/人月を参照し、混在契約の平均請求単価を100万円/人月と仮定、区分売上÷同単価から2,510実効人月を推定。正社員・外注・受託保守と機能の納品をまとめた換算であって開示された実人月ではない。全社従業員624名(期末)・翌4月665名、外注費が製造原価の約45%という規模感を照合した。営業利益は区分ごとの製造費用と全社の販管費約10億円・共通費用を売上比で配賦した概算。AI代替の型は「人月・工数型/医療製品の一部は操作画面・席型」で、強い正本型を適用しない。産業・流通向けITサービス市場を約2.2〜2.7兆円と分析上試算、見かけシェア約0.09〜0.11%。医療パッケージは売上額・契約ID数非開示なので分離不能。
社会公共事業
電力ICT・交通・公共・自治体・文教分野の設計開発と運用保守
| 数量社会公共の受託開発・運用の年間実効人月(協力会社換算) | 価格請求売上の億円/実効人月(名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,897 | 0.01 | 20 | 2 |
| 10 年後 中立 | 1,366 | 0.01 | 19 | 2 |
取り方:会社有報に実際の区分売上19.92億円と区分製造費用がある。JUAS「ソフトウェア・メトリクス調査2025」のスクラッチ外注工数単価約96万円/人月や、パッケージ利用型約144万円/人月を参照し、混在契約の平均請求単価を105万円/人月と仮定、区分売上÷同単価から1,897実効人月を推定。正社員・外注・受託保守と機能の納品をまとめた換算であって開示された実人月ではない。全社従業員624名(期末)・翌4月665名、外注費が製造原価の約45%という規模感を照合した。営業利益は区分ごとの製造費用と全社の販管費約10億円・共通費用を売上比で配賦した概算。AI代替の型は「人月・工数型」で、強い正本型を適用しない。官公庁・電力・社会インフラ向けを約1.3〜1.8兆円と分析上試算、見かけシェア約0.11〜0.15%。自治体だけの2025年市場予測9,660億円とは対象範囲が違う。
ITイノベーション事業(2026/03期区分)
AWS・Azure等の基盤構築、業務パッケージ設定、導入支援。2027/03期から金融へ統合
| 数量クラウド・基盤構築・設定作業の年間実効人月(協力会社換算) | 価格請求売上の億円/実効人月(名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 671 | 0.01 | 7 | 1 |
| 10 年後 中立 | 416 | 0.01 | 5 | 0 |
取り方:会社有報に実際の区分売上6.71億円と区分製造費用がある。JUAS「ソフトウェア・メトリクス調査2025」のスクラッチ外注工数単価約96万円/人月や、パッケージ利用型約144万円/人月を参照し、混在契約の平均請求単価を100万円/人月と仮定、区分売上÷同単価から671実効人月を推定。正社員・外注・受託保守と機能の納品をまとめた換算であって開示された実人月ではない。全社従業員624名(期末)・翌4月665名、外注費が製造原価の約45%という規模感を照合した。営業利益は区分ごとの製造費用と全社の販管費約10億円・共通費用を売上比で配賦した概算。AI代替の型は「人月・工数型」で、強い正本型を適用しない。国内クラウド構築・IT基盤サービスを約0.8〜1.2兆円と分析上試算、見かけシェア約0.06〜0.08%。金融と重なる市場のため四市場を単純に加算しない。
リスクと懸念
AIエージェント代替と人月単価
銀行、公共、クラウド構築のすべてに設計・実装・試験・運用の労働時間を対価とする契約がある。AIが成果物を短時間で作れば、人員を増やして売上を伸ばす従来の仕組みが細る。長期の市場拡大をそのまま受託人月の増加に変換しない。共同開発の成果が元請の資産になり、値上げの根拠を同社が保持しにくい点も不利である。
日立製作所・三菱電機系への集中
会社資料では二つの取引先グループで売上の約8割を占める。大型案件の終了、購買方針の変更、AI開発環境の内製化は同時に複数ラインへ波及しうる。障害を起こさない業務能力があっても、元請の案件が途切れれば代わりの直接顧客を確保する時間が必要になる。
買収ののれんと増分投資利回り
ヒューマン&テクノロジーとグリーンキャットの買収で売上規模は増えたが、のれん約6.15億円と顧客関連資産約4.12億円が残る。AI代替で買収時の顧客収益が失われると、償却に加えて減損が発生し、ROEと現金に見える安全性の差が広がる。買収後の利益貢献と無形資産償却を必ず切り分けて追う。
医療システムの競争と価格
CLIPとMEX-Plusには長期導入例があるが、製品単独の売上、解約率、単価改定や病院数は開示されない。病院の経営環境は厳しく、2026年3月期はパッケージ販売が減少した。業界で唯一の記録の正本と決めつけず、導入更新と保守売上の実数を確認する。
運用資産の評価と株主への戻り方
満期保有社債約12億円と日立製作所株約13億円は稼ぐ力とは別の財産だが、社債の時価は帳簿より低く、株価変動・売却課税・資金使途の影響を受ける。政策株の売却益は本業の継続利益に含めず、少数株主が全額を受け取れる前提にもしていない。運転に必要な現預金を二重に株主資産と扱うことも避ける。
人員固定費・リースと人材流出
給与と協力会社費用が製造原価の大半を占める。案件を失った際に外注は調整できても、社員給与や教育費、拠点の固定費は直ちに減らせない。2028年3月期の新リース会計適用は財務の表示を変えるが、将来の家賃支払いと価値の二重控除はしない。発注数量が落ちる局面では固定費負担を優先して点検する。
今後の分かれ目
- 金融・公共案件でAI導入後も成果単価を維持し、非人月契約の売上比率と粗利率が2年以上連続して上昇したら
- 数量の低下幅を緩め、2036年以降の長期成長ゼロを再検討する。売上の実額が明らかになるまでは、AIを自社商品にしたという説明だけで楽観を増やさない。
- 日立製作所・三菱電機ソフトウエア系への売上依存が6割未満となり、直接顧客比率が2割を超えたら
- 元請に一括依存する交渉構造が改善したと判断し、金融・産業流通の単価を上側に見直す。新しい顧客でも案件採算が保てることを確認する。
- CLIP・MEX-Plusの導入病院数と保守売上、年間解約率が継続開示され、規制対応と値上げの実績が揃ったら
- 産業流通の一部を人月型から記録の正本型へ分離し、該当部分だけ長期成長率と堀の評価を上げる。全社への自動的な拡張は避ける。
- 2027年3月期の営業利益が8.35億円に届かず、中期計画の利益率目標も未達に終わったら
- 採用・外注単価・研究開発費の先行負担を再検証し、中立とやや悲観の2036年利益率を下げる。計画との乖離を市場全体の成長で正当化しない。
- 政策保有株の売却益を除いた営業キャッシュフローが複数期にわたり純利益を下回ったら
- 利益から株主へ還元できる現金の比率を下げ、余剰現金20億円の見積りと10年配当を減らす。M&Aへの追加資金需要と債務返済も合わせて点検する。
- 主要元請の内製AI開発が進み実効人月や受注残が急減し、買収子会社で減損が発生したら
- 構造的な需要減と認め、やや悲観・悲観の確率を引き上げる。資産の床でも運転資金、のれん、政策株の換金コストを控除して再評価する。
見ておくもの
- 2027年3月期の売上100億円、営業利益8.35億円予想と中計営業利益率10%以上・ROE13%以上の差
- 金融・産業流通・社会公共ごとの受注高・受注残高、元請別売上比率と直接取引比率
- AI利用後の実効人月、稼働率、契約単価、成果報酬案件の受注額と粗利率
- CLIP・MEX-Plusの導入施設数、保守・製品別売上、解約率と単価改定の有無
- ヒューマン&テクノロジー・グリーンキャットの増分営業利益、のれん償却・減損
- 預金・社債・日立製作所株の残高、政策株売却益を除く利益、配当性向と株式報酬による発行済株数
倍率と資本コストの決め方
評価前に株価を使わず、2026年3月期有報のサービスライン別実績と人月単価の外部調査で数量を分けた。中立の実効人月は金融0.70倍、産業流通0.63倍、社会公共0.72倍、旧ITイノベーション0.62倍とし、名目単価の上昇を別に入れた。AI代替は2036年までの数量と、その後の名目成長0%にだけ反映する。
資本コスト7.75%、長期成長率0%では正当化PERは1÷7.75%=約12.90倍となり、今や同業の市場倍率を参照せずに求められる。中立のROEは7.75%を下回るので、それ以上の再投資による超過価値は足さない。余剰預金・社債と政策保有株は別に数え、日立株の配当のPER価値と売却可能資産の価値を重複させない。悲観は現在の自己資本57億円を倍率の分母とし、売れる資産の税後価値33億円を床にした。基準時価総額約74.8億円との比較は最後に行い、その差に合わせて結論を『割高』とした。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。共通基準7.5%に事業の値決め力+0.5%、純現金の防御力−0.25%を加えた7.75%。β・時価総額規模やAI代替を重ねた加算は使わない。