結論
IPSホールディングスは、ドイツSAP社の企業向け基幹システムの導入と保守に特化したITサービス会社である。筆者の結論は「やや割高」だ。SAPの最上位パートナーとして培った信用と約11億円の純現金は評価できるが、利益の源泉であるコンサルタントの作業時間が、今後10年で大きく減る可能性を重く見ている。
同社には一般的な受託開発会社とは異なる強みがある。創業以来のSAP導入顧客は180社を超え、日本国内で10社程度とされるプラチナパートナーに認定されている。独自の導入ノウハウをまとめたEasyOneや、海外のSAPパートナーとの連携も持つ。2026年6月期は売上高37.8億円、営業利益3.7億円を確保し、過去10年のROE中央値も13.9%と良好だった。
しかし、経営基盤となるSAPそのものが強いことと、SAPを導入する作業から長く高い利益を得られることは別問題である。SAPはクラウドERPの標準化とAIによる業務自動化を推進している。IPS自身も導入作業の低価格化が進むことを認識しており、導入支援から業務改善サービスへの転換を掲げている。価値の中心が人月から成果へ移らなければ、顧客が増えても請求できる作業時間は減りうる。
もう一つの弱点は案件の集中だ。2026年6月期には上位2顧客だけで売上の約34%を占めた。大型案件の終了時期によって業績が変わるため、過去の増収率を10年後まで延長するのは危険である。
5つの筋書きの加重平均から求めた本質価値は約18.8億円で、基準時価総額24.1億円を約22%下回る。中立の2036年時価総額は約26.1億円と現在を上回るものの、10年間の時間価値を考慮すると十分ではない。純現金が下値を支える一方、長期のオーナー利益にはまだ不確実性が残る。
バリュー投資の観点から
長く保有する株主の見方では、IPSホールディングスは魅力と警戒すべき点がはっきり分かれる会社である。顧客の基幹業務に長年関わり、SAPから認定を受け、純現金を積み上げてきたことは評価できる。経営陣が大規模な借金による拡大を追わず、長期にわたり利益を出してきた点にも一定の信頼が置ける。
しかし、最も大切なのは10年後のオーナー利益である。現在の利益は技術者の作業時間と高度な業務知識から生まれている。業務知識は残るとしても、その知識を売る方法が変われば、今と同じだけの収入が続く保証はない。AIがプログラムや業務文書を作成し、ERPの標準機能が増えるほど、顧客は従来の作業に高額の料金を払わなくなる。
EasyOneには再利用できる知識資産としての価値があるが、その単独収益、継続課金額、解約率、値上げ実績は開示されていない。筆者は独自ノウハウを本物の強みとして認めながらも、それが独占的な現金収入につながっているとは断定しない。
資本配分にも注文がある。成長投資を行うなら、人数と売上の増加だけでなく、営業キャッシュフローと投下資本利益率の改善を示してほしい。利益が減少する局面では新規開発や買収を抑え、現金を守り、適切に株主へ還元する判断が重要になる。
今の時価総額には純現金という支えがあり、会社が短期間で資金繰りに困る可能性は低い。それでも保有する10年間の機会費用を考えれば、現時点では十分な安全域があるとは言えない。10年後にも必要とされる会社だが、10年後にも同じ稼ぎ方で高収益を維持する会社とは限らない。
何で稼ぐ会社か
事業の中心はSAPのERP導入である。ERPとは会計、販売、購買、在庫、生産などの業務を一つの仕組みに統合する基幹システムを指す。同社は顧客の業務分析からシステム設計、導入、稼働後の保守までを担う。2025年7月には持株会社体制へ移行し、SAP事業を子会社のアイ・ピー・エスに承継した。
2026年6月期の製品・サービス別売上は、ERP導入事業が28.84億円で76.4%、保守その他事業が8.92億円で23.6%だった。正式な報告セグメントはERP導入関連事業の一つであり、この二つは収益を理解するためのサービス区分である。会社はサービス別営業利益、年間導入件数、保守契約数、平均単価を開示していない。
導入事業では、業務改革の設計とSAP S/4HANA Cloudの実装に伴う人員の作業時間が主な売上の源泉となる。ERPの導入には通常、顧客の複数部門が関わり、企業全体の業務を整理する能力が必要だ。IPSはSAP導入の知見を標準化したEasyOneを持ち、設計期間の短縮やプロジェクト品質の向上に活用している。顧客には製造業や商社が含まれる。
保守その他事業では、導入後の運用、業務上の問題解決、機能改善、追加設定などを担う。顧客は基幹システムを日々使うため、保守の関係は新規導入より継続しやすい。ただし、保守サービスの売上とSAPそのもののライセンス収入を混同してはならない。ERPの記録とソフトウェアの基本機能を所有しているのはSAPと顧客であり、IPSが独占的な利用料を徴収できる構造ではない。
会社は工場のスマート化やAI・IoTを利用する新しいサービスにも取り組む。これらは成長の選択肢として評価できるが、独立した売上規模と利益率の開示がないため、既存のERP導入事業に含めている。AI事業が将来の大きな利益源になると決めつける根拠は、現時点では十分ではない。
利益の生まれ方は、技術者の稼働率、案件の請求単価、外注費、導入時の手戻りの少なさに左右される。顧客数が積み上がるだけで高収益が保証されるソフトウェア会社ではなく、熟練した人材の働き方によって収益が変わる会社である。
優良さと弱いところ
同社の最大の競争力は、SAP導入に必要な業務知識を長年蓄積してきたことである。SAPのプラチナパートナーという地位に加え、180社超の累計導入実績、EasyOneの導入ノウハウ、海外のパートナー網がある。新規参入企業が同じ経験を短期間で得ることは難しく、SAPから顧客を紹介される信用にも価値がある。
一方で、堀、つまり他社が簡単には奪えない利益の源泉がどこまで広いかは慎重に判断したい。SAPの記録システム自体は顧客の基幹業務に深く組み込まれるが、IPSはその記録の正本を保有していない。顧客が保守会社を変更できないことや、解約率が年5%未満であることを示す数字も確認できない。業界の認定資格と経験は有力な競争力だが、独占的な値上げ力の証明にはならない。
財務の強さは明確である。2026年6月期の自己資本は約17.9億円、純有利子負債は約マイナス10.6億円である。過去10年の売上高は約20億円から約38億円に拡大し、2021年以降は営業利益率がおおむね9〜11%で推移してきた。2021年から2026年までの増分営業利益を増分自己資本と比較すると、税後の簡易的な増分資本利益率は約9%となり、資本コストを上回る水準だった。ただし、これは厳密な投下資本利益率ではない。
気になるのは現金への転換である。2026年6月期の営業キャッシュフローは約1.81億円だった一方、有形・無形固定資産の取得支出は合計約2.43億円に達した。ソフトウェア仮勘定も約2.81億円まで積み上がっている。この投資から新しい高収益サービスが生まれれば評価できるが、投下した資金の回収実績はまだ十分に確認できない。
長い目では、現在の営業利益率を維持することより、作業時間が減った後も顧客に成果の価値を認めてもらえるかが重要になる。現時点の堀は普通以上の専門性を持つものの、強い独占的な堀とまでは判断しない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内ITサービス市場は、企業のシステム刷新とクラウド移行を背景に拡大している。IDC Japanによれば2024年の市場は約7.02兆円で、2029年には約9.66兆円に達する見通しである。ただし、この予測には従来型の人手による開発や運用の売上も含まれる。AIによる工数削減が進む2036年の人月市場を、現在の成長率で延長することはできない。
SAPに関しては2027年末が大きな転換点となる。従来のSAP Business Suite 7の標準保守が終了し、希望企業には2030年末まで延長保守が提供される。SAP S/4HANAは2040年末までの技術革新と保守が約束されており、SAP製品自体の存続可能性は高い。既存顧客の移行と新規クラウドERP導入は、少なくとも2030年前後まで一定の需要を生む。
ただし、IPSは付加価値の低い単純なバージョンアップ案件には注力しないと明言している。市場全体の移行需要が増えても、それがそのまま同社の受注増にはならない。重点は新規導入と業務改革を伴う高付加価値案件である。
競争相手にはアクセンチュア、NTTデータ、富士通、電通総研、TISなどのSAP導入を手掛ける企業がある。クラウドERPの選択肢としてはSAP以外にオービック、Oracle、Microsoftなども存在する。会社によれば、日本のSAP市場で元請けとなる企業は20社程度、プラチナパートナーは10社程度である。一方、主要導入事業者の売上シェアは同じ定義で公表されていないため、IPSのSAP導入市場での正確なシェアは算定できない。
広い国内ITサービス市場を比較対象にすると、2026年の同社売上のシェアは約0.05%である。これはSAP専業市場のシェアではなく、企業規模を測るための参考値にすぎない。国内市場が拡大しても、SAPパートナー同士の競争に負ければ同社の取り分は減る。
最大の構造変化はAIエージェントである。要件定義の補助、コード生成、テスト、データ移行、問い合わせ対応が自動化されれば、同じ導入案件をより少ない人数で完了できる。人月単価の上昇だけでは、この数量減少を相殺できない可能性がある。顧客が求めるのは作業時間ではなく導入後の成果になり、業界の利益の分配方法が変わると考える。
資本政策と M&A
経営陣の資本配分には、堅実さと未検証の成長投資が同居している。2025年7月に持株会社体制へ移行し、事業執行とグループ管理を分離した。国内外に事業子会社を持つが、過去10年で企業価値を大きく変えるような大型買収を繰り返してきた会社ではない。今後の買収も、既存のSAP顧客基盤を強化できるか、投資収益率が資本コストを超えるかで評価すべきだ。
2022年9月に公表した旧中期計画は2025年6月期で終了した。2026年10月時点の会社の中長期戦略では、持株会社化後の新しい計画を検討中としており、新しい中期計画について売上高、営業利益、ROE、自社株買い額の具体的な数字の約束は確認できない。公表済みの2027年6月期単年度予想は売上高38.0億円、営業利益3.8億円、純利益約2.7億円である。
株主還元については、中長期的に配当性向50%を目指すと明記している。2026年6月期の実績は38.5%であり、目標には届いていない。過去には増配を続け、2022年から2025年にかけても配当水準を引き上げてきた。株数も緩やかに減少したが、最近5年間に大幅な自己株買いを継続したとは言いにくい。
株主優待は100株以上の保有者にクオカードを贈呈する制度である。2026年6月末の株主優待引当金は約0.086億円だった。10年間の還元には、この実額を基準とする優待費用も含めている。
2026年6月期は、営業キャッシュフローを設備・ソフトウェアへの投資支出が上回った。増えたソフトウェア資産が利益を生み始めるか、それとも研究開発に近い費用負担が続くかが、今後の還元余力を左右する。筆者は現金がすべて株主に返るとは考えず、将来の余剰現金に対する株主の取り分を75%で評価する。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
IPSホールディングスは単なる人材派遣型SI企業ではない。SAP製品に専門特化し、長年の導入経験をEasyOneとして体系化している。プラチナパートナーとしての信用もあり、顧客が大規模な業務改革を行う際には、経験豊富な導入企業を選ぶ合理性が高い。人手の不足によって質の高いSAPコンサルタントには希少価値が生まれ、付加価値の高い上流工程の単価は維持できる。
SAPの従来製品は2027年末に標準保守が終了し、2030年まで延長保守期間が続く。さらにSAP S/4HANA自体は2040年まで維持されるため、顧客は次の10年間もSAPを利用し続ける可能性が高い。ERPの新規導入、海外拠点への展開、クラウドへの移行、業務改革の需要はなくならない。保守その他事業も2026年6月期に前年から増収となり、顧客基盤の積み上がりが収益を支えている。
同社は借入金に依存せず、現金を厚く保有している。現在の利益水準に対して時価総額は極端に大きくない。AIが設計やテストを効率化しても、効率化の利益を会社が取り込めれば営業利益率は改善する。SAPの業務知識を持つ人材が、AIの成果物を確認し顧客の経営課題を解決する役割へ移行できれば、従来の受託会社よりも高い収益性を維持できる。スマート工場などの新サービスが独自収益を生み出す可能性も残る。
この見方では、SAP市場の成長だけに頼らず、既存顧客への追加サービスを広げられることが長期の価値になる。純現金、専門性、既存顧客との関係を合わせれば、事業が急速に消える可能性は低く、過度な悲観は適切ではない。
慎重な見方
SAPという製品の競争力と、IPSが受け取る導入報酬の持続性は別である。SAP自身がクラウドERPの標準化を進めており、会社も導入サービスの低価格化を予想している。AIエージェントが要件整理、プログラム作成、テスト、障害調査まで担えば、導入案件に必要な人月は減少する。単価が名目で上がっても、請求できる仕事の数量がそれ以上に減る可能性がある。
同社の強みはSAPに依存している。顧客の基幹データを独占的に保持しているわけではなく、SAPの製品戦略やパートナー政策が変われば、現在の認定や顧客紹介の価値も変わる。競合には大規模な開発体制を持つ企業が多く、AIへの投資規模でも差が生じうる。顧客がクラウドの標準機能を優先すれば、専業ならではの強みが弱点になる。
顧客集中も軽視できない。2026年6月期の日本電波工業向け売上は約8.31億円、光アルファクス向けは約4.54億円だった。上位2社の合計は全売上の約34%を占める。大型案件の完了後に同規模の受注が続かなければ、業界全体が成長していても同社の売上は減少する。
現金が多いことは救いだが、そのすべてが余剰資金ではない。顧客からの前受金、退職給付債務、運転資金が必要である。2026年6月期には営業キャッシュフローが投資支出を下回っており、保有現金がそのまま将来の株主利益になるとは言えない。新規サービスの開発が売上につながらなければ、会計上のソフトウェア資産を減損する可能性もある。
さらに、AIの導入が必ず同社の利益を増やすとは限らない。生産性改善による利益が顧客への値下げや競合との価格競争によって失われれば、同社は規模の小さい専門受託会社として、以前より低い資本利益率に収束する。
どちらに重みを置いたか
SAP専門家としての蓄積と純現金は高く評価する。しかし、SAP製品の強さをIPSの永続的な価格決定力と同一視することはできない。中立では請求工数が縮小し、保守収益も名目で大幅には伸びない姿を中心にした。
確率は上側27%、中立32%、下側41%と慎重側へ寄せた。下方への偏りはAIリスクを確率で二重に引くためではない。大型2顧客への集中と、ソフトウェア投資の回収が未確認であることを反映したものである。結果として本質価値は現時点の時価総額を約22%下回り、判断はやや割高となる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,151 円26 億円(+ 還元の換算額還元の合計 356 円8 億円)。 今の値に割り戻すと 823 円19 億円、今との差 −20.3%、 期待の年率 +4.4%(資本コスト 7.2%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 2,602 円60 億円 | 631 円14 億円 | +213.0% | +14.0% | 291 円7 億円 |
| やや楽観 | 18% | 1,978 円45 億円 | 522 円12 億円 | +142.1% | +10.7% | 450 円10 億円 |
| 中立 | 32% | 1,137 円26 億円 | 396 円9 億円 | +48.4% | +4.7% | 491 円11 億円 |
| やや悲観 | 27% | 515 円12 億円 | 239 円5 億円 | −27.0% | −3.6% | 204 円5 億円 |
| 悲観 | 14% | 415 円10 億円 | 100 円2 億円 | −50.1% | −7.3% | 72 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,151 円26 億円 | 356 円8 億円 | +45.9% | +4.4% | 1,508 円34 億円 |
今の株価時価総額 1,033 円24 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 高付加価値のSAP専門会社として残る 利益 4 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,602 円60 億円
SAPのクラウド化は進むが、中堅企業の業務改革や海外拠点への展開には引き続き高度な専門家が必要となる。IPSはEasyOneと長年の導入経験を生かし、要件定義や業務改革など付加価値の高い仕事を選ぶ。AIによって作業が効率化しても、顧客が求める成果を確実に提供する企業としての信用が強まり、請求できる実質工数は現在の水準を維持する。
保守その他事業では、顧客の重要な業務を熟知している強みが続く。SAPや大手導入企業との競争は残るが、既存顧客からの追加業務を確保し、収益の安定性が増す。会社のスマート工場や新しいDX支援の取り組みも、既存のコンサルティング契約の価値向上に役立つ。
経営は大きな買収に頼らず、製品開発への投資を絞り込み、顧客との関係を深める。純現金を維持しながら配当を増やし、営業利益率は現在より改善する。これはAIを新たな収益源として評価したものではなく、既存サービスの効率改善と専門性の維持が同時に成立する筋書きである。
- ERP導入事業:数量 120(SAP導入コンサルティングの年間売上換算人年)× 価格 0.32(年間売上換算人年当たりの売上高(億円、人件費以外の付随収入を含む))→ 売上 39 億円・営業利益 4 億円。人年換算120人年、価格は現状の1.34倍。人月数量の成長は見込まず、付加価値の維持と効率改善で利益率11.5%。
- 保守その他事業:数量 100(年間保守契約の売上換算口数)× 価格 0.12(年間保守契約換算1口当たりの売上高(億円))→ 売上 12 億円・営業利益 2 億円。保守契約換算100口、単価は物価並みの1.34倍。安定契約と効率改善で利益率18%。
倍率:2036年のROEは約11.1%で資本コスト7.25%を上回る。堀は普通としてRONIC=7.25%+0.5×(11.1%−7.25%)=約9.2%。AIエージェント代替を踏まえたg_longは名目0%。正当化PER=(1−0÷RONIC)÷(7.25%−0%)=13.79倍を上限そのものとして用いる。余剰現金6億円の税後利息相当0.084億円を純利益から除き、6億円×戻り方75%を加える。
確率:専門性と顧客との関係を守り、AIによる工数削減を生産性改善として取り込む筋書き。既存の導入ノウハウと財務の強さから可能性はあるが、AIサービスの定量的な収益実績がまだないため楽観の確率は限定する。
やや楽観 18% 専門性を維持しながら作業量の減少を吸収 利益 3 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,978 円45 億円
SAPの移行と新規クラウド導入は2030年前後まで需要を生み、その後も企業の業務改善が続く。IPSはプラチナパートナーとしての地位を維持し、中堅企業向けの案件を安定的に獲得する。ただしAIによる作業効率化が広がり、以前と同じ案件でも請求できる工数は少なくなる。
新規導入の請求工数は現在より減るが、顧客との関係を維持して保守や追加設定の仕事を確保する。EasyOneは作業の品質と効率を改善するが、独立した高成長ソフトウェア収益として大きな価値を与える段階には至らない。SAPの標準化で単純な導入作業は競争が厳しくなるものの、業務改革を伴う案件には一定の利幅が残る。
経営はソフトウェア投資を回収できる範囲に抑え、大型買収による過度な拡大を避ける。保守収益が利益を支え、売上規模が大幅に増えなくても現在より高い営業利益を得る。純現金を維持しながら株主還元も続く、比較的順調な10年となる。
- ERP導入事業:数量 103(SAP導入コンサルティングの年間売上換算人年)× 価格 0.31(年間売上換算人年当たりの売上高(億円、人件費以外の付随収入を含む))→ 売上 32 億円・営業利益 3 億円。請求工数は現状の86%、価格は1.30倍。専門性を保ち利益率10.5%。
- 保守その他事業:数量 91.0(年間保守契約の売上換算口数)× 価格 0.12(年間保守契約換算1口当たりの売上高(億円))→ 売上 10 億円・営業利益 2 億円。契約換算数量は91%、価格は1.29倍。保守収益の安定性を維持。
倍率:ROEは約8.9%、資本コスト7.25%。堀は普通でRONICは約8.1%となるが、g_longが0%のため正当化PERは1÷7.25%=13.79倍である。AI代替による利益減はすでに2036年までの数量に入れており、倍率を追加で減らさない。余剰現金6億円の利息を除いた事業純利益にPERを適用し、現金価値4.5億円を加える。
確率:SAPの導入と保守が続き、案件の一部は自動化されるものの、高付加価値の上流工程で競争力を保つ筋書き。保守その他事業の増収実績があり、導入事業より収益基盤が安定する可能性を評価する。
中立 32% SAP市場は残るが、請求工数は構造的に縮む 利益 2 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,137 円26 億円
2036年にもSAPは日本企業の重要な基幹システムであり続ける。ただし、導入に必要な人月は現在より大幅に減る。AIエージェントがプログラム作成、テスト、データ移行、マニュアル作成を担い、導入サービスが標準化する。IPSは高度な要件定義や顧客の業務改革を担うが、従来と同じ人数で同じ売上を得ることは難しい。
2027年の保守期限は需要を一時的に押し上げるが、2030年以降には移行案件の山が一巡する。同社は低付加価値の単純な更新案件を積極的に追わないため、市場の案件数の増加をすべて取り込めない。SAP専業としてのブランドは残るものの、アクセンチュアやNTTデータなどの大規模事業者と競争し、価格を自由に決められるほどの独占力はない。
保守その他事業は一定の継続性を保つが、問い合わせ対応や定型作業の自動化により有償業務量が減る。EasyOneは競争力を支える一方、独立した大規模な継続課金事業には育たない。会社は買収による急拡大を避け、現金と顧客基盤を維持するが、利益は現在より小さくなる。
結果として売上高は約31億円、営業利益は約2.4億円となる。経営は続くものの、留保された自己資本に対して十分な利益を生まない会社になる。
- ERP導入事業:数量 78.0(SAP導入コンサルティングの年間売上換算人年)× 価格 0.30(年間売上換算人年当たりの売上高(億円、人件費以外の付随収入を含む))→ 売上 23 億円・営業利益 2 億円。AIエージェント代替の人月型。工数は現在の65%、価格は1.24倍、利益率8.5%。
- 保守その他事業:数量 72.0(年間保守契約の売上換算口数)× 価格 0.11(年間保守契約換算1口当たりの売上高(億円))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。保守の有償作業量は現在の72%、価格は1.22倍、利益率14%。
倍率:2036年のROEは1.6507÷30.05=約5.5%と資本コスト7.25%を下回る。増分の再投資には超過収益を認めず、長期成長率もAIエージェント代替を理由に0%とするため、利益を成長させない稼ぐ力の上限は1÷7.25%=13.79倍である。これは中立の上限そのものを使ったもので、市場の過去PERによる調整はしていない。余剰現金の利息相当0.084億円を除いた純利益に適用し、6億円×75%を加える。
確率:SAPそのものは2040年までの保守・技術革新が約束されている一方、IPSの売上の大半は工数課金に依存する。下に寄せる理由:2026年6月期の上位2顧客への売上集中が約34%であり、新規開発投資の回収も不確実なため、下方41%に対して上方27%とする。ただしAIによる工数減少は中立の数量にすでに反映しており、確率で二重には引かない。
やや悲観 27% 競争激化と大型案件の終了で利益が細る 利益 1 億円 · PER 12.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 515 円12 億円
SAPのクラウドERPは普及するが、顧客は導入費用を減らすため標準機能を優先する。IPSが得意としてきた業務別の複雑な開発が減り、大手コンサルティング会社や新しい専門事業者との価格競争が厳しくなる。さらに大型顧客の導入プロジェクトが完了し、代わりとなる案件を確保するまで稼働率が低下する。
同社はSAPとの提携を維持するが、高い単価を請求できる仕事は限られる。AIによる開発や保守の自動化が進み、売上に計上できる工数は大幅に減少する。保守事業は残るものの、問い合わせや小規模改修の単価が低下し、利益率の維持が難しくなる。
会社は人員採用を抑え、外注先を減らして固定費を管理する。新規の大規模な買収や開発投資は控え、事業を縮小しながら現金を守る。配当は減額されるが継続し、経営の存続には支障がない。ただし、株主の資本に対する利益率は大きく低下し、以前の高収益な専門会社という評価は失われる。
- ERP導入事業:数量 60.0(SAP導入コンサルティングの年間売上換算人年)× 価格 0.28(年間売上換算人年当たりの売上高(億円、人件費以外の付随収入を含む))→ 売上 17 億円・営業利益 1 億円。請求工数は現在の50%、価格は1.17倍。稼働率低下と競争により利益率6%。
- 保守その他事業:数量 60.0(年間保守契約の売上換算口数)× 価格 0.10(年間保守契約換算1口当たりの売上高(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。保守契約換算60口、価格は1.15倍。自動化と顧客流出が進む。
倍率:ROEは約2.6%と資本コスト7.25%を大幅に下回る。長期成長率は0%で、通常の利益価値の上限は1÷7.25%=13.79倍。やや悲観では事業の継続性と少数の大型案件への依存を慎重に見て、上限より低い12倍で残存利益を評価する。余剰現金は6億円から4.5億円に減るとし、その税後利息相当を利益から除き、株主に戻る割合75%を掛けた3.375億円を加える。
確率:上位顧客の大型導入案件が終了し、代替受注が十分に取れず、SAPクラウドの標準化による価格競争も強まる筋書き。AIによる工数減少は数量に織り込んだうえで、顧客集中と事業規模の小ささによる個別案件リスクを重視する。
悲観 14% SAP導入の付加価値が失われ、資産価値が中心となる 利益 −1 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 415 円10 億円
SAPのERP市場自体は存続するが、導入作業が高度に標準化され、AIエージェントとSAP標準サービスが従来の受託開発を代替する。IPSは高単価の導入案件を失い、顧客の一部が大手SAPパートナーや別のERPへ移る。最大顧客に相当する大型案件の終了後も代替となる仕事を確保できず、実質の請求工数は現在の3割前後まで縮む。
保守事業も顧客の利用するサービスに組み込まれ、個別の問い合わせ対応や設定変更に支払われる料金が減る。EasyOneの知識資産は残るが、競争力の回復には結びつかない。営業利益は赤字となり、経営は人員整理、撤退、ソフトウェア資産の減損を迫られる。
会社は大型買収を行わず、赤字の事業を縮小して純現金を維持しようとする。ただしソフトウェア仮勘定や繰延税金資産などの回収価値は下がり、減損と貸倒れを合わせて約7.6億円の自己資本を失う。配当は前半の黒字期間に限られ、後半には停止される。
10年後には以前の収益力ではなく、現金と回収可能資産を中心に価値が決まる。新しい大株主による買収や再編が起こる可能性はあるが、具体的な公開買付けの発表がないため買収プレミアムは含めない。
- ERP導入事業:数量 34.8(SAP導入コンサルティングの年間売上換算人年)× 価格 0.25(年間売上換算人年当たりの売上高(億円、人件費以外の付随収入を含む))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。請求工数は現在の29%。固定費を吸収できず導入事業は赤字。
- 保守その他事業:数量 38.0(年間保守契約の売上換算口数)× 価格 0.09(年間保守契約換算1口当たりの売上高(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。保守契約換算38口。継続サービスとして残るが利益はごく小さい。
倍率:2036年は最終赤字であり、通常のPERによる継続価値は成立しない。直近自己資本約17.9億円から、換金できないソフトウェア仮勘定、繰延税金資産、固定資産等の回収損を控除した税後資産価値を約9.5億円と推定する。今の自己資本を基準にしたPBR約0.53倍に相当し、将来積み上がる自己資本に同倍率を掛けたものではない。資産の換金価値を超える収益プレミアムは認めない。
確率:大型顧客の案件終了、SAP標準クラウドへの移行によるカスタマイズ需要の減少、専門人材の流出が重なる場合。直近の純現金が厚いため倒産は中心的な想定ではないが、事業価値が大きく毀損する可能性は無視できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ERP導入事業
SAP S/4HANA Cloudを中心とする新規導入、業務改革、設計、開発、移行支援。2026年6月期の売上構成比は76.4%。AI代替の型は人月・工数型。
| 数量SAP導入コンサルティングの年間売上換算人年 | 価格年間売上換算人年当たりの売上高(億円、人件費以外の付随収入を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 120 | 0.24 | 29 | 3 |
| 10 年後 中立 | 78.0 | 0.30 | 23 | 2 |
取り方:2026年6月期決算短信のERP導入事業売上は28.8421億円。実際の請求人月は非開示のため、連結従業員164人という会社情報、SAPの導入業務に携わる技術者の一般的な月額単価120万〜200万円程度という公開案件例、ライセンス・自社テンプレート等の付随売上を参考に、月当たり売上約200万円の年間120人年に換算した。120人年は会社が開示した実働人数ではなく、売上を工数と単価に分けるための推定量である。サービス別営業利益は非開示なので、導入事業の営業利益を2.8億円と仮配分し、残りは保守事業と本社調整で全社の営業利益に合わせる。AIエージェント代替の人月型として中立の2036年数量を現在の0.65倍、価格を1.24倍とする。
保守その他事業
導入済みSAPの保守、障害対応、設定変更、運用改善などのサービス。2026年6月期の売上構成比は23.6%。独立したSaaS事業ではなく、AI代替の型は保守運用の工数型。
| 数量年間保守契約の売上換算口数 | 価格年間保守契約換算1口当たりの売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 100 | 0.09 | 9 | 1 |
| 10 年後 中立 | 72.0 | 0.11 | 8 | 1 |
取り方:2026年6月期の保守その他事業売上は8.91565億円。会社は創業以来180社超の累計SAP導入実績を持つが、現役の保守契約数は非開示である。仮に年間100口の契約換算とすれば平均年額約892万円となり、基幹システムの保守・機能改善を含む契約として無理のない規模である。この100口は実契約数ではなく売上換算の推定値であり、将来は契約統合や自動化による有償作業量の減少を口数に反映する。利益率は導入事業より高い可能性を考慮して営業利益1.36億円を仮配分する。SAPのシステム自体は記録の正本だがIPS独自の記録資産ではなく、解約率・独占料金・独自DBなどの定量的な証拠が不足するため、記録の正本型には分類しない。中立の数量は0.72倍、価格は1.22倍とする。
リスクと懸念
AIエージェント代替
ERP導入売上の中心は要件定義、開発、設定、テストなどの作業である。AIエージェントがこれらを直接実行できるようになれば、人月で料金を請求する仕事は減少する。保守も問い合わせ対応や定型変更が自動化される。顧客が得る成果は同じでも、IPSが受け取る工数報酬だけが縮む可能性がある。独自の成果報酬サービスへの転換が進まなければ、利益の持続性は低下する。
SAPという特定ベンダーへの依存
同社はSAPに強く依存しており、SAP以外のERP市場に収益基盤を広く分散していない。SAPがパートナー制度、販売条件、クラウド標準化の方針を変えれば同社の競争力が直接影響を受ける。SAP製品自体が成長しても導入・運用支援会社の取り分が減る可能性がある。
主要顧客と大型案件への集中
2026年6月期の日本電波工業向け売上は約8.31億円、光アルファクス向けは約4.54億円であり、合計は売上の約34%に相当する。大型ERP導入は一度完了すると同規模の売上が継続するとは限らない。案件終了後の稼働率と新規受注を確認しなければ、見かけの売上成長を長期の需要増と解釈できない。
ソフトウェア投資の回収
2026年6月期のソフトウェア仮勘定は約2.81億円となった。一方、同年の営業キャッシュフローは約1.81億円で、固定資産への投資支出を下回った。新規サービスが十分な売上を生まなければ、現金の減少とソフトウェア資産の減損が同時に起こる可能性がある。
SAPクラウドの標準化と価格競争
SAP S/4HANA Cloudの標準機能が広がるほど、複雑な個別開発を必要としない導入案件が増える。導入期間が短くなれば顧客にとっては利益だが、同社の従来型の売上は減る。競争相手には大規模な開発体制を持つ企業があり、単価を維持できる案件に集中するほど市場が狭くなる可能性がある。
余剰現金と少数株主の利益が一致しない可能性
財務は強いものの、現金の使い道は経営陣が決める。顧客からの前受金や退職給付に伴う負担もあり、貸借対照表の現金全額を株主に返せるわけではない。2025年の持株会社化後に開発投資や買収が増え、資本コストを下回る利回りしか得られなければ、現金が多いこと自体は割安の証拠にならない。
今後の分かれ目
- SAP導入案件の請求人月が減っても、営業利益率と営業キャッシュフローが継続して改善したら
- AIによる効率化の利益を会社側が取り込めている証拠となる。中立の利益率とやや楽観の確率を引き上げ、工数減少だけで評価する見方を修正する。
- EasyOneや新しいDX支援サービスで、独立した継続売上・利益・解約率が開示されたら
- その売上部分を人月型から分離して評価する。独自データや継続課金の堀を示す証拠が複数確認できれば、長期成長率と資本効率の前提を見直す。
- 日本電波工業など上位顧客の大型案件が終了し、新規受注で補えなくなったら
- 稼働率低下が単発か構造的かを調べる。新規案件が不足する状態が続くなら、やや悲観と悲観の確率を高め、導入事業の数量を引き下げる。
- 保守その他事業の売上比率が30%を超え、解約率の低さや値上げ実績も確認できたら
- 長く続く収益の割合が高まった証拠として評価する。ただしSAPのシステムそのものとIPSの保守サービスを区別し、契約の独占性まで確認してから堀を強くする。
- 営業キャッシュフローが継続して投資支出を下回り、ソフトウェア仮勘定がさらに増えたら
- 新規開発投資の回収可能性を下げて評価する。余剰現金の額、悲観の売却可能資産、将来の株主還元額を見直す。
- 新中期経営計画でROE、投下資本利益率、配当性向、自社株買い額に定量的な目標が示されたら
- 目標だけで価値を上げず、実績と照合する。投下資本利益率が資本コストを上回り、実際の株主還元も増えるなら、余剰現金の戻り方と資本配分への評価を上げる。
見ておくもの
- ERP導入事業と保守その他事業の売上高、前年同期比、売上構成比の変化
- SAP導入案件の稼働人月、平均請求単価、稼働率、外注費比率の開示状況
- 日本電波工業、光アルファクスなど主要顧客向け売上と大型案件の完了時期
- EasyOneやスマート工場支援など新規サービスの独立売上、継続契約、利益率
- 営業キャッシュフロー、固定資産取得支出、ソフトウェア仮勘定の残高
- 保守契約数、契約更新率、解約率、保守単価の値上げ実績
- 2027年末のSAP旧製品の標準保守終了と2030年末の延長保守終了後の受注動向
- 新中期経営計画の数値目標、配当性向50%への進捗、自社株買い実績
倍率と資本コストの決め方
評価は2026年の株価や過去のPERを出発点としていない。まずERP導入事業を請求人年と単価に、保守その他事業を契約換算口数と単価に分け、AIエージェントによる工数減少を数量側へ反映した。市場全体の名目成長と同社の請求工数の増減は区別した。
10年より先は人月依存のため名目成長率0%とし、資本コスト7.25%に基づく利益価値の上限を計算した。中立・楽観側はその上限を用い、AIリスクを資本コストの寿命項目で重ねて引いていない。現在の余剰現金6億円は事業純利益から利息相当を除いて別に加えた。
株式の価値は10年後時価総額を割り引き、10年間の還元を期間中央で受け取る前提で計算した。潜在株式による約0.38%の希薄化も反映している。2027年度以降の新リース会計で貸借対照表の表示が変わりうるが、各筋書きは現在と同じ家賃費用ベースで比較した。
5つの筋書きの現在価値は約18.8億円、現在の時価総額は約24.1億円であり、差は約マイナス22%となった。これは株価に結論を寄せた結果ではなく、事業の請求工数、利益率、株主還元、資本コストから導いた結果である。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3.0%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%から、企業の財務体質に基づく質の調整マイナス0.25%を適用する。個別案件の集中と資本配分の実行リスクは数量・利益率・確率に織り込み、資本コストには加算しない。