結論
東計電算は川崎市のシステム開発会社で、従業員は約800人。製造・流通向けの業務システムを作り、自社のデータセンターで運用まで請け負う。筆者の結論は割高で、稼ぎが技術者の時間と運用の手作業で、そこをAIエージェントが置き換えること、そして時価総額の半分以上を保有株への期待が占めることが理由だ。
情報処理・開発は売上の88%。開発は人月型だが、自社データセンターの運用は継続収入で残りやすい。この二つを合わせて数量は今の0.76倍、利益率は30%台から29%台へ下げた。機器販売・リースは小さく、数量0.80倍・価格1.10倍とした。
中立の売上は今の0.95倍の199億円、純利益は44億円。保有株を含む余った現金400億円は、創業者の出資会社が株の約5割を握るため、戻り方5割で足した。資本コストは8.50%、本質価値は1,541億円に対して538億円で、差は-65%。やや悲観と悲観の確率は39%。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、見るべきものは二つある。事業と、保有株だ。
事業は悪くない。人を増やさずに高い利益率を保ち、借金も要らない。株主が自由に使えるオーナー利益は、営業利益のおよそ7割、40億円台だ。ただ人が資産の商売で、成長は人の数と単価に縛られる。堀は並みだ。
問題は保有株だ。会社は余った利益を株に回してきた。株主が自分で選べるはずのお金を、会社が代わりに選んでいる。しかも創業家が過半を握るので、株主は意見を言いにくい。
払う値段には安全域が要る。今の時価総額は、事業の価値と保有株の価値の合計を大きく上回っている。保有株の半分しか株主に届かないとみれば、なおさらだ。一方で、2026年の増配は経営の変化の兆しだ。保有株を売って配る方針が続くなら、見方は改める。
筆者は、事業は持ち続けたいが、この値段では持ちたくないと考える。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、顧客ごとに作り込んだ業務システムの開発と、その運用だ。
中心は情報処理・ソフトウェア開発で、売上の約9割を占める。製造業と流通業の基幹システムが得意で、倉庫管理や食品流通の仕組みなど、現場に近い分野に強いとみられる。作って終わりではなく、保守と運用が続く。顧客にとっては乗り換えの手間が大きく、仕事は途切れにくい。
川崎市の自社データセンターも柱の一つだ。免震装置と自社開発のセキュリティを備え、汎用機からサーバーまでの運用を預かる。顧客のシステムがここで動くため、関係は長く続く。
残りは機器販売とリース等で、売上の1割強だ。サーバーなどを納める仕事で、営業利益は約4億円と薄い。2026年に入ってからは特需で売上が伸びた。関連会社はイースタンリース、ファインシステム、タイの現地法人。海外は小さい。
稼ぐ力を数量と価格で言えば、開発・運用側の人員が約700人、1人あたり年2,600万円ほどの売上だ。人が増えなければ売上も増えない。ここが成長の天井になる。一方、営業利益率は3割に達し、受託開発の会社としては珍しい水準だ。理由は開示から読み切れない。顧客との取引が長く、値段を自社で決めやすい仕事が多いのだろう、と筆者はみる。
優良さと弱いところ
優良さの中身は、軽い資産と高い利益率だ。
事業に使う資産が少ない。実質は借金のない純現金で、営業キャッシュフローは2025年に約64億円と純利益を上回った。自己資本比率は約80%だが、厚いのは事業ではなく保有株で、事業に要る資本は小さい。
堀、つまり他社がまねできない強みは、並みだ。顧客の業務に合わせて作り込むので乗り換えにくい。だが受託開発はどの会社も似た仕事をしており、単価を支えているのは人手不足だ。強い堀とは言わない。
弱い点は三つある。第一に、人員が成長の上限になる。第二に、特定顧客への依存が指摘されている(開示で確かめられていない)。第三に、資本の使い方だ。2025年の配当性向は約6割で、残りの利益は有価証券の購入に回ってきた。本業で稼ぐ会社が、本業の外で株を運用している。
経営は創業家の影響下にある。出資会社が株の約5割を持つ。決断が速い利点はあるが、少数株主は保有株の使い道に口を出せない。2026年の売却と増配は、その姿勢が変わる兆しだ。ただ数値の目標はなく、中期経営計画も出ていない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のITサービスは、人手不足を追い風にした売り手市場にある。
市場は2025年に約7.5兆円(IDC Japan)で、年6%前後の伸びが見込まれる。古い基幹システムの作り替え、データ活用、AIの実装が需要を押し上げる。技術者が足りないため、人月単価は物価を上回って上がりやすい。
競合は、日鉄ソリューションズ、TIS、BIPROGYのような独立系の大手と、NSD、システナ、JBCCホールディングスのような中堅だ。大手は金融・公共の大型案件を握る。東計電算は、製造・流通の中規模案件とデータセンターの運用に軸足を置く。同じ中堅のNSDの営業利益率は10%台後半で、3割という水準は突出している。
最大の変化は生成AIだ。コードの生成やテストの自動化で、開発に要る人は減りうる。人月で売る商売は、工数が減れば売上が減る。運用や保守が多い会社ほど下振れは浅い。だが新規の開発は先に減る。
景気の影響は緩やかだ。IT予算が削られるのは新規案件からで、2008〜09年のリーマン級の谷では、業界の営業利益が3〜5割減った例がある。
M&Aは技術者の確保や領域の補強が目的で活発だ。東計電算は買収を重ねてきた会社ではない。
【AIエージェント代替】製造・流通向けの開発需要が続いても、人月の数量は減る。東計電算は運用の継続収入があるので、中立で売上が今の0.95倍と比較的小さい縮みにとどまる。
資本政策と M&A
資本政策の本題は、保有株の扱いだ。
同社は長く、中長期の純投資として上場株を持ってきた。投資等は2021年12月期の約210億円から2025年12月期の約487億円へ、4年で2倍以上になった。2026年6月末は約596億円で、総資産の約8割にあたる。相場の上昇が大きいが、毎年の購入も重なった。
2026年8月、会社は保有株の一部売却を決めた。売却益は43億円の見込みだ。年間配当は、分割前に直した1株あたりで約2.8倍に引き上げられた。2026年12月期は、配当が純利益とほぼ同じ額になる。
これは大きな一歩だが、続くとは限らない。会社は「ROE向上を目指し、適宜見直す」と述べるにとどまる。配当方針の明文はない。創業者の出資会社が株の約5割を持つので、動くかどうかは創業家次第だ。
10月1日には、1株を4株に分ける株式分割を実施した。自社株買いの実績は確かめられていない。
還元の置き方:配当方針の明文はない。10年の中立は純利益の合計の94%で、定常の配当性向85%前後に、保有株の一部売却益(約43億円)の配当を足した形だ。余った現金は筋書きごとに別に立てて二重にしていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
事業の力は過小評価されている。人手不足は10年続き、技術者の単価は物価を上回って上がる。同社は開発・運用の顧客を長く抱え、乗り換えは難しい。営業利益率は3割で、崩れる理由は見当たらない。会社は2026年12月期に営業利益68億円、2027年12月期に74億円を見込み、増益が続く。
保有株は隠れた資産だ。総資産の約8割、時価で約600億円にのぼり、含み益は大きい。一部を売って配ると決めた以上、続けて売る可能性が高い。残りも売却や増配に回れば、価値は一気に実現する。
資本効率の改善は始まったばかりだ。売却益43億円を含めても、2026年の純利益はほぼ全部が配当になる。配当性向が7割、8割と上がれば、保有株を積み上げる時代は終わる。創業家が株の約5割を持つことも、経営と株主の利害が揃うという利点になる。
10年では、営業利益は100億円を超え、保有株の多くが株主に戻る。事業が高く評価されれば、今の時価総額に迫る水準に届く。
慎重な見方
事業の値段が高すぎる。営業利益63億円の事業に、時価総額の半分以上を払っている。しかも人が資産の商売だ。人員は約800人で、増えなければ売上は伸びない。
生成AIは真っ先にここを襲う。コードの自動生成で工数が減れば、人月の単価と案件数が両方下がる。3割の利益率は、その分だけ崩れやすい。同業のNSDは10%台後半で、同社の水準は他社が追い付く余地を示している。
保有株の価値は帳簿ほどでなく、株主に届くとも限らない。含み益には約3割の税がかかる。創業家が株の約5割を持つ。今回の売却と増配は一回限りかもしれない。2025年の配当性向は約6割で、残りは有価証券に積まれてきた。
株価は10月に年初来高値を更新し、2か月余りで5割以上上がった。業績が変わったのではなく、増配と分割への期待で上がった。期待が先行している。
10年後、中立でも今の時価総額には届かない。AIで開発が縮み、相場が下がれば、半分以下になる。
どちらに重みを置いたか
強気は高い利益率と運用の継続収入、保有株の売却と増配を言い、慎重は人月の置き換えと、創業者側が株の約5割を握ることを言う。運用が残るぶん数量の縮みは軽めに置いたが、時価総額が事業の稼ぐ力を大きく上回る点は変わらない。やや悲観と悲観の確率は39%、差は-65%。強気が当たるのは、AI関連の売上が金額で開示された時だけだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 1,033 円745 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 598 円431 億円)。 今の値に割り戻すと 952 円686 億円、今との差 −52.9%、 期待の年率 −2.1%(資本コスト 7.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 1,623 円1,170 億円 | 781 円563 億円 | +19.0% | +1.8% | 144 円104 億円 |
| やや楽観 | 19% | 1,350 円973 億円 | 691 円498 億円 | +1.0% | +0.1% | 388 円280 億円 |
| 中立 | 36% | 1,209 円872 億円 | 637 円459 億円 | −8.6% | −0.9% | 665 円479 億円 |
| やや悲観 | 26% | 749 円540 億円 | 523 円377 億円 | −37.1% | −4.5% | 331 円238 億円 |
| 悲観 | 13% | 379 円273 億円 | 423 円305 億円 | −60.3% | −8.8% | 104 円75 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,033 円745 億円 | 598 円431 億円 | −19.2% | −2.1% | 1,631 円1,176 億円 |
今の株価時価総額 2,020 円1,456 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.0% を下回るほど割高。
楽観 6% データセンター運用が支え、減りが小さい 利益 67 億円 · PER 14.3 倍 · 株価時価総額 1,623 円1,170 億円
データセンター運用をAIエージェント込みの定額サービスにして、減りを抑える筋書き。情報処理・開発は数量が今の0.99倍、価格1.36倍、利益率33%。AIを自社の売り物にして金額が出ている開示は確かめられないので、数量は今以上には置かない。保有株の売却益と増配も続く。 内訳は情報処理・ソフトウェア開発=数量0.99倍・価格1.36倍・利益率32.8%、機器販売・リース等=数量1.00倍・価格1.18倍・利益率17.3%。 この筋書きの確率は6%。結果は、売上が今の1.32倍の275億円、営業利益86億円、純利益66億円、自己資本541億円、10年の還元563億円、時価総額1,170億円(PER14.29倍)。
- 情報処理・ソフトウェア開発(開発・運用・データセンター):数量 692(開発・運用の人員(人))× 価格 3,552(1人あたり年間売上(万円))→ 売上 246 億円・営業利益 81 億円。数量0.99倍・価格1.36倍・営業利益率32.9%(人月と記録の正本の混合)
- 機器販売・リース等:数量 45.0(担当人員(人))× 価格 6,539(1人あたり年間売上(万円))→ 売上 29 億円・営業利益 5 億円。数量1.00倍・価格1.18倍・営業利益率17.3%(席課金・製品販売型)
倍率:事業の純利益 61 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 43.2% が k 7.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 25.1%、10 年より先の名目の伸び g 0.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)300 億円。全体の PER 14.29 倍、時価総額 1,170 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AIを自社の売り物にした金額の開示は無く、楽観でも数量は今以下。6%。
やや楽観 19% 業務システムの更新が続き、運用が残る 利益 53 億円 · PER 14.3 倍 · 株価時価総額 1,350 円973 億円
製造・流通向けの業務システムの更新が続き、運用の継続収入が残る。情報処理・開発は数量0.85倍・価格1.31倍。技術者の数は緩やかに減るが、単価は物価並みに上がる。約800人の小さな会社なので、人の抜けが響きやすい。 内訳は情報処理・ソフトウェア開発=数量0.85倍・価格1.31倍・利益率31.4%、機器販売・リース等=数量0.90倍・価格1.13倍・利益率16.5%。 この筋書きの確率は19%。結果は、売上が今の1.10倍の229億円、営業利益68億円、純利益53億円、自己資本538億円、10年の還元498億円、時価総額973億円(PER14.29倍)。
- 情報処理・ソフトウェア開発(開発・運用・データセンター):数量 596(開発・運用の人員(人))× 価格 3,419(1人あたり年間売上(万円))→ 売上 204 億円・営業利益 64 億円。数量0.85倍・価格1.31倍・営業利益率31.3%(人月と記録の正本の混合)
- 機器販売・リース等:数量 40.3(担当人員(人))× 価格 6,295(1人あたり年間売上(万円))→ 売上 25 億円・営業利益 4 億円。数量0.90倍・価格1.13倍・営業利益率16.5%(席課金・製品販売型)
倍率:事業の純利益 47 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 34.1% が k 7.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 20.6%、10 年より先の名目の伸び g 0.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)300 億円。全体の PER 14.29 倍、時価総額 973 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:更新が続き運用が残る筋書き。19%。
中立 36% 開発は縮み、運用は残る 利益 44 億円 · PER 14.3 倍 · 株価時価総額 1,209 円872 億円
開発をAIエージェントが肩代わりし、運用も手作業から置き換えが進む。情報処理・開発は数量0.76倍・価格1.27倍、利益率は30.4%。機器販売は数量0.80倍。約800人の小さな会社で技術者が減ると、高い利益率を保ちにくい。 内訳は情報処理・ソフトウェア開発=数量0.76倍・価格1.27倍・利益率30.4%、機器販売・リース等=数量0.80倍・価格1.10倍・利益率15.9%。 この筋書きの確率は36%。結果は、売上が今の0.95倍の199億円、営業利益57億円、純利益44億円、自己資本535億円、10年の還元459億円、時価総額854億円(PER14.29倍)。
- 情報処理・ソフトウェア開発(開発・運用・データセンター):数量 532(開発・運用の人員(人))× 価格 3,320(1人あたり年間売上(万円))→ 売上 177 億円・営業利益 54 億円。数量0.76倍・価格1.27倍・営業利益率30.4%(人月と記録の正本の混合)
- 機器販売・リース等:数量 36.0(担当人員(人))× 価格 6,112(1人あたり年間売上(万円))→ 売上 22 億円・営業利益 4 億円。数量0.80倍・価格1.10倍・営業利益率16.0%(席課金・製品販売型)
倍率:事業の純利益 39 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 37.1% が k 7.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 22.0%、10 年より先の名目の伸び g 0.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)300 億円。全体の PER 14.29 倍、時価総額 854 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:開発が縮み運用が残る中心の筋書き。36%。
やや悲観 26% 顧客がクラウドと内製へ移り、運用も細る 利益 27 億円 · PER 13.4 倍 · 株価時価総額 749 円540 億円
顧客がクラウドと内製に移り、データセンター運用の需要が細る。数量と単価が同時に下がり、固定費の重さで利益率が22.8%に落ちる。情報処理・開発の数量は0.65倍、価格は1.21倍。保有株は戻り方5割で見る。 内訳は情報処理・ソフトウェア開発=数量0.65倍・価格1.21倍・利益率22.8%、機器販売・リース等=数量0.68倍・価格1.05倍・利益率11.8%。 この筋書きの確率は26%。結果は、売上が今の0.77倍の160億円、営業利益35億円、純利益27億円、自己資本529億円、10年の還元377億円、時価総額529億円(PER13.39倍)。
- 情報処理・ソフトウェア開発(開発・運用・データセンター):数量 452(開発・運用の人員(人))× 価格 3,154(1人あたり年間売上(万円))→ 売上 143 億円・営業利益 33 億円。数量0.65倍・価格1.21倍・営業利益率22.8%(人月と記録の正本の混合)
- 機器販売・リース等:数量 30.6(担当人員(人))× 価格 5,806(1人あたり年間売上(万円))→ 売上 18 億円・営業利益 2 億円。数量0.68倍・価格1.04倍・営業利益率12.0%(席課金・製品販売型)
倍率:10年より先の名目の伸びg0.00%(人月は0%・席は0〜−1%。実質の縮みは10年の数量に入れ済み)で、利益を全部株主に分ける形の正当化PER=1÷(k−g)=1÷(8.5%+-0.00%)=13.39倍(事業のROE9.9%、RONICは使わない)。余った現金は(純利益−帳簿額×1.4%)×PERに、戻り方0.5掛けの現金を足す。AIエージェント代替はgと別に数量・k・確率へ入れ済みで、PERの上に割引は重ねない。
確率:クラウドと内製で運用が細る筋書き。26%。
悲観 13% 開発と運用の大半が置き換わる 利益 11 億円 · PER 14.3 倍 · 株価時価総額 379 円273 億円
AIエージェントが開発と運用の大半を置き換え、売上は今の半分前後に縮む。利益率は13.7%と一桁になり、保有株の売却益が最後の拠り所になる。創業者側が株を握るため、保有株が株主に戻る保証はない。 内訳は情報処理・ソフトウェア開発=数量0.49倍・価格1.12倍・利益率13.7%、機器販売・リース等=数量0.52倍・価格0.97倍・利益率7.1%。 この筋書きの確率は13%。結果は、売上が今の0.55倍の114億円、営業利益15億円、純利益11億円、自己資本524億円、10年の還元305億円、時価総額273億円(PER14.3倍)。
- 情報処理・ソフトウェア開発(開発・運用・データセンター):数量 346(開発・運用の人員(人))× 価格 2,921(1人あたり年間売上(万円))→ 売上 101 億円・営業利益 14 億円。数量0.49倍・価格1.12倍・営業利益率13.7%(人月と記録の正本の混合)
- 機器販売・リース等:数量 23.4(担当人員(人))× 価格 5,378(1人あたり年間売上(万円))→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。数量0.52倍・価格0.97倍・営業利益率7.2%(席課金・製品販売型)
倍率:10年より先の名目の伸びg0.00%(人月は0%・席は0〜−1%。実質の縮みは10年の数量に入れ済み)で、利益を全部株主に分ける形の正当化PER=1÷(k−g)=1÷(8.5%+-0.00%)=14.3倍(事業のROE2.7%、RONICは使わない)。余った現金は(純利益−帳簿額×1.4%)×PERに、戻り方0.5掛けの現金を足す。AIエージェント代替はgと別に数量・k・確率へ入れ済みで、PERの上に割引は重ねない。
確率:開発と運用が置き換わる筋書き。保有株が床になるので13%、合わせて39%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
情報処理・ソフトウェア開発(開発・運用・データセンター)
製造・流通などの業務システムの設計・開発と、自社データセンターを使った運用・保守の受託。
| 数量開発・運用の人員(人) | 価格1人あたり年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 700 | 2,614 | 183 | 58 |
| 10 年後 中立 | 532 | 3,320 | 177 | 54 |
取り方:2025年12月期の連結売上208億円から機器販売・リース等の約25億円を引いた約183億円を、従業員809人のうち開発・運用側とみる約700人で割った。人員の按分は開示がなく推定。営業利益58億円はセグメント別開示(SalesNow)による。 【AIエージェント代替の見直し】情報処理・ソフトウェア開発(売上183億円、88%)は開発が人月型、データセンター運用が継続収入で、両者の混合。AIエージェントの影響を受けにくい運用を考慮し、中立で数量0.76倍・価格1.27倍、利益率は31.7%から30.4%へ。
機器販売・リース等
サーバーなどの機器の販売と、関連会社を通じたリース。システム開発に付随する。
| 数量担当人員(人) | 価格1人あたり年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 45.0 | 5,556 | 25 | 5 |
| 10 年後 中立 | 36.0 | 6,112 | 22 | 4 |
取り方:2023年12月期の機器販売21億円・リース等3.5億円から2025年を約25億円と置き、担当人員を約45人と推定して割った。営業利益は機器4億円・リース等0.7億円(SalesNow)。人員は開示がなく推定。 【AIエージェント代替の見直し】機器販売・リース等(売上25億円、12%)は開発に付随する製品販売型。中立で数量0.80倍・価格1.10倍。
リスクと懸念
AIエージェント代替(開発の人月とデータセンター運用)
東計電算の稼ぎは、製造・流通向けの開発の人月と、自社データセンターの運用の手作業にある。AIエージェントが開発を肩代わりし、顧客がクラウドへ移れば、数量も単価も下がる。約800人の小さな会社で、高い利益率を保つ余地は小さい。中立の売上は今の0.95倍、悲観では0.55倍とした。
保有株の相場と使い道
総資産の約8割が保有株で、相場の下落は自己資本と株主還元を直撃する。会社は2026年に一部売却を決めたが、残りの使い道に数値の方針はない。創業家が過半を握るため、少数株主は口を出しにくい。
高い利益率の持続性
営業利益率30%は、同業の中堅の倍近い。理由が開示から読み切れないため、賃金の上昇や顧客の値下げ要求で、水準が戻るリスクがある。
特定顧客・特定分野への依存
特定顧客への依存が指摘されている。製造・流通向けが中心で、その業界のIT投資が止まれば案件が減る。主要顧客の構成は開示で確かめられていない。
人員の確保
成長の上限は人員だ。採用難や退職で人が増えなければ、売上は伸びない。人件費は物価で上がるので、単価が追い付かない年は利益率が下がる。
2026年の増配が一回限りに終わる
2026年12月期の配当は売却益43億円に支えられ、純利益とほぼ同じ額になる。2027年12月期の純利益予想は59億円で、配当が今の水準を保てる保証はない。
今後の分かれ目
- 保有株の売却が続き、配当性向が8割以上で定着したら
- 保有株の戻り方を上げて見直す。楽観・やや楽観の重みを増やし、割高の度合いは縮まる。
- 数値のROE目標や配当方針を、会社が公表したら
- 資本配分の不確実性が下がる。保有株の戻り方を0.5から引き上げる材料になる。
- 開発・運用の人員が年3%以上増え、営業利益率が3割を保ったら
- 中立の前提が保守的だったことになる。やや楽観側へ確率を寄せる。
- 生成AIの導入で、顧客から人月単価の引き下げを求められたら
- やや悲観・悲観の重みを増やす。利益率の下がり方を確かめる。
- 株式相場が大きく下がり、保有株の評価額が3割減ったら
- 自己資本と事業外の価値が減る。事業の値段は変わらないので、割高の度合いは縮む。
- 創業家の出資会社が持株を売る、またはTOBで非上場化する動きが出たら
- 買い付け価格が本質価値を上回るかを確かめる。保有株の価値が株主に届く道が開く。
- データセンター運用の契約更新で単価の引き下げが増えたら
- やや悲観の確率を上げる。
- 保有株の売却と還元の方針が、売却益以外にも広がったら
- 余った現金の戻り方を見直す。
見ておくもの
- 開発・運用の人員数と1人あたり売上
- 情報処理・ソフトウェア開発の営業利益率(3割の維持)
- 投資有価証券の残高と売却の進み具合
- 配当性向と、数値のROE目標の有無
- 2027年12月期の営業利益(会社予想の増益が続くか)
- データセンター運用の契約数と単価、保有株の売却と還元額
倍率と資本コストの決め方
倍率は10年先の名目の伸びg=0%の式 1÷(k−g) で出し、過去のPERや同業の値付けは使っていない。kは基本7.5%に寿命+1.0%(人月の下限)を足した8.50%。AI代替は数量に主に入れ、確率とgで重ねなかった。余った現金400億円は戻り方0.5で足した。今の株価との差は狙っていない。リース会計の形は今と同じ。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.76→14.29 倍・やや楽観 PER 11.76→14.29 倍・中立 PER 11.76→14.29 倍・やや悲観 PER 11.76→13.39 倍・悲観 PER 11.76→14.3 倍)。
資本コスト 7.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。