結論
i-plugは、企業が学生に直接採用の誘いを送る「OfferBox」を主力とする新卒採用プラットフォーム企業である。筆者の結論は「適正」だ。学生約24万人、累計登録企業約2.2万社という接点の広さは本物だが、AIエージェントが採用担当者の検索や候補者選定を代行する時代には、現在の課金方法がそのまま10年後まで続くとは限らない。
同社の強みは、学生と企業の双方を集め、実際の採用決定につなげている点にある。2026年卒の決定人数は8,314人に達した。単なる求人情報の掲載とは異なり、企業がまだ知らない学生と出会える仕組みには価値がある。一方、オファー送信数の急増に対して学生の承認が追いつかず、接点の多さが採用成果の増加に直結しなくなりつつある。顧客の継続購入を支えるのは登録者数よりも採用決定人数である。
2026年3月期は売上高57.6億円、営業利益7.2億円と過去最高益を更新した。2027年3月期も成長を計画している。しかし、過去には新規事業への投資負担で赤字に転落した時期がある。今後も学生獲得費用とソフトウェア開発投資を負担するため、直近の増益率を長期に延ばすことはできない。
前回の評価で見落としていたのは、悲観的な10年間でも現在の純現金約30億円が相応に残る点である。事業が縮小すれば前受金が減少し、ソフトウェアの更新投資も必要になるが、それだけで現金が10億円まで失われるとは考えにくい。今回、期間中の累積利益、配当、前受金の減少、投資支出をつなげて見直した結果、2036年の残存純現金はやや悲観で約30億円、悲観でも約20億円となる。
確率加重した本質価値の現在価値は約49.8億円となり、基準時価総額54.6億円を約8.8%下回る。これは5段階では適正圏に入る。事業の稼ぐ力への確信はなお高くないが、現金という実在する資産が下値を支えるため、従来の「やや割高」という判断は改める。ただし、十分な安全域があるとまでは言えない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、最初に問うべきことは、OfferBoxが10年後も企業に料金を払ってもらえる仕組みを持っているかである。学生と企業が集まるだけでは足りない。採用担当者の時間が節約され、優れた人材を採用できるという成果が、顧客の支払いを支えていなければならない。毎年学生が入れ替わる事業では、利用者を集め直す費用も無視できない。
同社には評価できる点がある。新卒採用の重要な接点を持ち、景気が悪い年でも採用という行為そのものはなくならない。企業から先に料金を受け取る仕組みは資金繰りにも有利で、事業が軌道に乗れば設備投資に多額の資本を必要としない。適性検査や採用支援との組み合わせで、顧客が一度の契約から得られる価値を増やす余地もある。
しかし、価格決定力には疑問が残る。企業は採用媒体を複数使い分け、採用できなければ翌年の契約を見直す。AIが候補者の探索や勧誘を代行すると、企業が購入するものは採用担当者の操作画面ではなく、信頼できる採用結果に近づいていく。OfferBoxがその成果の中心に残れるかは、現在の会員数だけでは判断できない。
資本配分も慎重に見たい。新規事業への先行投資が赤字を招いた過去を考えると、第2の柱を作るという説明だけでは追加投資の収益性を認められない。成長投資の収益率が資本コストを下回るなら、利益を再投資するより配当として返す方が株主の得になる。DOE10%以上という約束は前進だが、将来の利益が細った際にどこまで守れるかは未確認である。
一方、現在の純現金約30億円は、将来の事業価値を考えるうえで無視できない。前受金に対応する履行義務があるからといって、純現金全額を最初から失われた資産とみなすのも誤りである。事業が縮小して前受金が減っても、途中の利益によって補われる現金がある。悲観側ではこの資金の流れを追った結果、相応の残存資産が認められる。現在の株価は極端な割高ではないが、将来の収益構造に対する不確実性を考えると、長期保有に十分な安全域があるとは言い切れない。
何で稼ぐ会社か
収益の中心は新卒採用向けのOfferBoxである。学生がプロフィールや経験、希望条件を登録し、企業が候補者を探して個別にオファーを送る。従来の求人広告のように学生からの応募を待つのではなく、企業から接点を作る仕組みだ。学生の利用は無料で、企業から利用料を受け取る。
最大の収益源は早期定額型で、2026年3月期の売上高は44.9億円、全社の78.0%を占めた。採用予定人数に応じて料金が変わり、3人採用予定なら75万円という料金例が開示されている。企業は早期から学生に接触でき、利用期間に応じて売上が計上される。契約の受注は早い時期に集中するが、会計上の売上と利益は年度後半に偏る。採用予定人数を満たせなくても原則として利用料は返金されない。
成功報酬型は採用が決定したときに料金が発生する。基本料金はなく、採用決定1人当たり45万円である。早期定額型の採用予定枠を超える決定や、一部の紹介サービスによる成功報酬もこの区分に含まれる。2026年3月期の売上高は6.5億円だった。企業が早期定額型に移行すると、この区分の売上が減ることがあるため、決定人数と成功報酬型売上は同じ動きをしない。
適性検査のeF-1Gは子会社イー・ファルコンが提供する。企業は候補者の性格や能力を測定し、採用、配属、育成などに利用する。検査ごとの従量料金に基本利用料や分析サービスを組み合わせた収益で、2026年3月期の売上高は3.1億円だった。長年の診断実績は差別化要因だが、採用担当者が画面を操作して分析結果を読む仕組みは、AIによる代替を受けやすい。
残る約3.0億円は、食品業界向けの就活イベント「Tsunagaru就活」、学生向けコミュニティスペース「OfferBox VVV Station」、企業紹介などから生まれる。大学低学年向けの「OfferBox mirai」も展開しているが、現時点では主力に匹敵する収益実績はない。新卒採用以外に第2の収益の柱を作ろうとしているものの、事業構造はなおOfferBoxに大きく依存している。
優良さと弱いところ
OfferBoxの競争上の強みは、学生と企業の両側を集めるネットワークにある。2026年3月末には学生登録数が約23.9万人、累計登録企業数が22,456社となった。企業のオファー送信数と学生の承認枠に制限を設け、大量の機械的な勧誘よりも個別の接触を促している。学生のプロフィールと適性検査を組み合わせられる点も、単純な求人広告にはない強みだ。
ただし、この強みは独占的な堀ではない。企業登録数は累計のアカウント数であり、実際に料金を支払っている企業数とは異なる。学生は毎年卒業して入れ替わるため、新しい利用者を獲得する広告費が継続的に必要となる。企業も複数の採用媒体を併用できる。公表資料からは、長期の値上げ実績や年5%未満の解約率など、強い価格決定力を裏付ける証拠を十分には確認できない。
資本効率は改善している。2023年3月期と2024年3月期には新規事業投資の負担などで純損失を計上したが、2025年3月期には営業利益が5.8億円、2026年3月期には7.2億円へ回復した。新卒採用プラットフォームは大規模な設備を要さず、顧客が先に支払う利用料も資金繰りを助ける。一方、学生集客、営業担当者、ソフトウェア開発に毎年資金を使うため、見かけほど再投資不要の事業ではない。
長期に必要なのは、会員を増やすだけでなく、企業が前年以上の採用成果を実感することである。2026年卒のオファー送信数は大きく増加したが、承認数の伸びはそれを下回った。採用担当者の手間と学生の負担を減らせなければ、ネットワークが大きくなっても価値は薄まる。現時点では普通の堀を持つ企業と評価し、規制上の記録の正本や強い独占基盤としては扱わない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
日本の新卒採用市場では、人手不足と採用時期の早期化が企業の採用支出を支えている。矢野経済研究所によれば、2025年度の新卒採用支援サービス市場は7分野合計で約1,538億円と見込まれている。この中には就職情報サイト、紹介サービス、イベント、適性検査、ダイレクトリクルーティングなどが含まれる。OfferBoxが直接争うのは、このうち企業から学生に接触する採用支援の領域である。
新卒ダイレクトリクルーティングだけの最新の市場規模と各社売上シェアは、公開情報だけでは確定できない。仮に新卒採用支援市場の15〜25%を直接スカウト関連の支出とみなすと、市場は約230〜385億円になる。OfferBoxの売上高約51億円は、この仮定では約13〜22%に相当する。ただし、分類が一致する統計ではないため、これは規模感を確かめるための推定であり、公表された市場シェアではない。
競合には、dodaキャンパス、キミスカ、キャリアチケット、LabBase就職、TECH OFFERなどがある。学生登録数ではOfferBoxが幅広い接点を持つ一方、競合は理系、特定の業界、選考支援などで差別化している。登録学生は複数媒体を使えるため、各社の公表登録数から厳密なシェアを算出することはできない。
10年後も人材を採用する必要はなくならない。しかし、採用担当者が画面で学生を検索し、文面を作って個別に送信する仕事はAIエージェントに移りやすい。企業の採用管理システムや学生の個人AIが直接連携するようになれば、独立したスカウト画面の利用価値が下がる。逆に、本人確認された学生との接点、信頼できる採用意思、実際の就職決定という成果は引き続き価値を持つ。
国内の若年人口は長期的に減るが、新卒採用の難しさは直ちには解消しない。市場全体の採用支出は物価と人手不足で名目成長できても、同社の利用契約数が増えるとは限らない。中立では実質の対象市場がおおむね横ばいから微増する一方、AIによる採用業務の自動化と競合サービスへの分散によって、従来型の有料利用単位は縮小すると考える。
資本政策と M&A
同社の資本配分は、成長投資優先から株主還元との両立へ転換しつつある。2026年3月期には初配当を実施し、年間配当総額は約2.15億円となった。会社は今後、前期末株主資本に対する配当総額の割合であるDOEを重視し、毎期10%以上を目指すと明示している。総還元性向や自社株買い金額についての確約はなく、株主総利回りの向上も目標としている。
2027年3月期の会社計画は売上高69.1億円、営業利益8.4億円、純利益5.53億円である。中長期では既存事業の年率20%台の売上成長と、前期計画比20%以上の営業利益成長を掲げる。OfferBoxの決定人数2万人に向けた投資も示しているが、10年後の売上高やROEを保証する数値計画ではない。新規事業への投資比率には規律を設け、2026年3月期は投資比率をおおむね15%としている。
過去にはイー・ファルコンを子会社化し、適性検査を主力事業と組み合わせた。マキシマイズの取得は食品業界向けイベント事業の拡張につながった。一方、若手キャリア領域などでは収益化が難しく、事業の統合や撤退を経験した。2025年にはProgateとの業務提携を進め、2026年にはCourseVALUへの資本参加も示している。今後の買収は初年度からの利益貢献と継続的なキャッシュ創出を重視する方針だ。
2026年3月期からはデジタルギフトの株主優待も始めた。年間費用の目安には同年度の株主優待引当金約0.093億円を使い、10年の還元に含める。大株主上位10名の保有比率は約72%と高く、創業者の影響力は強い。ただし、配当を新たに開始しているため、余剰現金が株主に戻る割合を極端に低く扱う理由もない。
悲観側の資本政策では、DOE10%以上を無条件に10年間続けるとは考えない。利益が残る前半に配当を支払った後、事業縮小に伴って還元を止め、現金を守る展開を想定する。また、2026年3月期には無形固定資産の取得に約4.08億円を支出している。採用プラットフォームを維持するには利益のほかに更新投資が必要であり、悲観側では資金流出を具体的に見込む。現時点で公表済みのTOBや上場廃止決定は確認されず、会社はグロース市場の上場維持を基本方針としている。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
OfferBoxにはすでに学生約24万人と登録企業約2.2万社の接点があり、新規参入企業が短期間で同じ規模の学生ネットワークを作るのは容易ではない。企業が求めるのは学生の名前の一覧ではなく、自社と相性のよい学生との接点である。プロフィール、適性検査、過去の採用決定実績を組み合わせられるため、従来の求人広告より採用成果を高める余地がある。
2026年卒の採用決定人数は8,314人に回復し、企業登録数と学生登録数も増えている。採用難によって早期の候補者確保が重要になれば、企業は早期定額型を繰り返し契約しやすくなる。新卒採用市場全体の支出に対してOfferBoxの売上はまだ小さく、大手企業だけでなく中堅企業や地方企業にも利用拡大の余地がある。
AIは必ずしも競争相手だけではない。候補者の推薦精度を高め、日程調整や面接支援を自動化すれば、採用担当者の作業負担を減らせる。重要なのはAI機能そのものを高く売ることではなく、採用決定という成果を増やして契約継続につなげることだ。既存の学生ネットワークを使ってサービスを改善できれば、広告宣伝に使う資本の収益率も改善する。
経営陣は新規事業投資の失敗を経て、費用と利益を管理する姿勢を強めている。DOE10%以上の配当方針は、利益を無制限に再投資する経営からの変化を示す。OfferBoxの利益と株主還元がともに続けば、株主が受け取る現金は相当に大きくなる可能性がある。
慎重な見方
OfferBoxの強みは、企業と学生が現在のサービス上でやり取りすることを前提に成り立っている。しかしAIエージェントが企業の採用管理システムから候補者を検索し、学生側のAIと直接交渉するようになれば、人がスカウト画面を開いて利用する時間そのものが減る。採用を実現する機能は残っても、従来の画面と利用枠に対して料金を払う理由は弱くなる。
企業が送るオファーは急増したが、学生が承認する割合は低下している。これは利用が活発になった証拠であると同時に、情報量が増えすぎたときにネットワークの効率が悪化することを示す。2025年卒の決定人数が減った後には、翌年度のリピート購入や追加購入が伸び悩んだ。採用の成果が少し悪くなるだけで売上に影響するなら、プラットフォームの堀は見た目ほど深くない。
競合はdodaキャンパス、キミスカ、キャリアチケット、LabBase就職など数多い。これらに加えて採用管理システムの提供企業がAIによる候補者探索を組み込めば、別の採用媒体を購入する予算が削られる可能性がある。学生の人数が長期的に減少することも、利用数量を伸ばし続ける上で不利に働く。
財務面では純現金約30億円をそのまま2036年の現金とみなすことはできない。顧客から受け取った利用料の残高は、契約数が減ると縮小する。事業維持のためのソフトウェア投資も続く。ただし、途中の純利益が資金流出を相殺するため、現金の大部分が失われると決めつけるべきでもない。採用事業が構造的に負けた場合にも、残った現金が株主価値を支える点は認める必要がある。
どちらに重みを置いたか
採用成果の実績と学生ネットワークでは強気の見方に説得力がある。しかし、早期定額型への依存度が78%と高く、オファー承認率の低下も確認されているため、長期の課金方式には慎重になる必要がある。中立ではAIによる数量の縮小を織り込み、その同じ理由で資本コストや確率を何重にも悪化させない。確率は上側27%、下側40%と下方に寄せた。一方、悲観側の純現金を累積利益と資金支出から見直した結果、事業が大きく衰退しても現金の価値は残る。確率加重の現在価値は約49.8億円で、基準時価総額を約8.8%下回る。結論は「適正」だが、長期保有に十分な安全域があるとは考えない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,594 円64 億円(+ 還元の換算額還元の合計 710 円28 億円)。 今の値に割り戻すと 1,245 円50 億円、今との差 −7.9%、 期待の年率 +6.7%(資本コスト 7.8%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 3,148 円126 億円 | 909 円36 億円 | +200.3% | +13.7% | 365 円15 億円 |
| やや楽観 | 18% | 2,370 円95 億円 | 860 円34 億円 | +139.1% | +10.9% | 581 円23 億円 |
| 中立 | 33% | 1,885 円75 億円 | 834 円33 億円 | +101.3% | +8.9% | 897 円36 億円 |
| やや悲観 | 25% | 749 円30 億円 | 596 円24 億円 | −0.4% | −0.1% | 336 円13 億円 |
| 悲観 | 15% | 500 円20 億円 | 329 円13 億円 | −38.7% | −5.8% | 124 円5 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,594 円64 億円 | 710 円28 億円 | +70.6% | +6.7% | 2,304 円92 億円 |
今の株価時価総額 1,351 円54 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 採用成果の優位を守り、配当も拡大 利益 8 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,148 円126 億円
OfferBoxは学生と企業の間にある重要な採用接点として定着する。AIが学生の推薦や日程調整を助けても、企業が本当に接触できる学生の獲得と採用結果の確認にはプラットフォームの役割が残る。企業は採用成果を実感し、早期定額型の契約継続と追加利用を続ける。登録学生の確保にも成功し、オファーが増えても承認率の低下を抑えられるようになる。
成果報酬型では採用支援の範囲が広がり、採用決定に基づく収入が増える。イー・ファルコンの検査事業も診断データと分析サービスの質で競争力を保つ。イベント事業は大幅な拡大を追わず、採算を優先して運営する。新しい買収は小規模で収益力のある企業に限定し、かつてのような大きな投資損失を避ける。
営業利益率は17%台に改善する。人材集客費用や採用システムの開発費は必要だが、既存顧客を活用することで投資効率が高まり、DOE10%以上の配当を継続できる。2036年には高い採用成果を持つ成熟した採用基盤として生き残り、蓄積した現金も株主価値に寄与する。
- OfferBox早期定額型:数量 5,985(採用予定3人分の標準契約換算件数(年、推定))× 価格 0.01(標準契約換算1件当たり利用料(億円、名目))→ 売上 52 億円・営業利益 11 億円。AIによる画面利用の代替があっても既存の有料利用数量を維持。数量1.00倍、価格1.15倍。採用成果の改善で販売効率を高める。
- OfferBox成功報酬型:数量 1,745(成功報酬を生む採用決定人数換算(人、年))× 価格 0.01(採用決定1人当たり報酬(億円、名目))→ 売上 10 億円・営業利益 2 億円。成果報酬対象人数換算1.20倍、単価1.25倍。新卒採用の成果課金への移行と顧客基盤の活用が進む。
- eF-1G適性検査:数量 100,000(年間有料検査の受検件数換算(件、推定))× 価格 0.00(受検1件当たりの総合収益(億円、名目。基本料金・分析売上の配賦を含む))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。受検数量1.00倍、総合単価1.15倍。独自診断の価値は残るがAIによる販売数量増は見込まない。
- 就活イベント・コミュニティ・その他:数量 450(年間企業向けイベント・支援案件換算(件、推定))× 価格 0.01(案件換算1件当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。案件換算数量0.90倍、単価1.34倍。対面イベントを残し、事務運営は省力化する。
倍率:資本コスト7.75%、10年より先の名目成長g_longはAIエージェント代替を反映して0%。事業利益8.4−余剰現金31×税後利息率1.4%=7.966億円。事業自己資本約23.3億円に対するROEは34%程度でkを超える。普通の堀のRONICはkとROEの超過分の半分を残す形とするが、g=0%では正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=1÷0.0775=12.9032倍となる。余剰現金31億円の株主帰属価値は戻り方0.75倍を使用する。
確率:国内の新卒採用支援で高い存在感を維持し、競争が激しくなっても採用決定率の改善を続ける筋書き。AIエージェントを独立した有料商品として大きく収益化した証拠はまだなく、主力の利用数量を現在より増やす想定にはしない。実現には継続的な製品改善と費用管理が必要なので9%とする。
やや楽観 18% 利用数量をおおむね維持し、採用成果で稼ぐ 利益 6 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,370 円95 億円
新卒採用の競争は続き、企業は良い学生との接点を求め続ける。OfferBoxは現在ほど急速には成長しないものの、多くの企業にとって使い慣れた採用媒体として残る。AIエージェントによって一部の検索やスカウト業務は代替されるが、採用意思を持つ企業と実際に活動している学生をつなぐ役割には需要がある。
有料利用数量はやや減るが、サービスの改善や採用支援の充実によって、契約当たりの収入をある程度維持できる。成功報酬型では採用決定人数の増加が収入を支え、eF-1Gは分析機能を付加して顧客をつなぎとめる。新規事業の投資は採算が見える範囲に絞られ、赤字の事業を抱え込むことを避ける。
営業利益は現在を上回るが、飛躍的な成長にはならない。早期定額型の利益率改善と余剰現金の蓄積により配当は増える。2036年には新卒採用の主要サービスの一つとして存在し、現在より大きな収益基盤を持つものの、価格を自由に決められる独占的な企業にはなっていない。
- OfferBox早期定額型:数量 5,506(採用予定3人分の標準契約換算件数(年、推定))× 価格 0.01(標準契約換算1件当たり利用料(億円、名目))→ 売上 46 億円・営業利益 8 億円。数量0.92倍、価格1.12倍。AIが事務操作を減らす一方、採用成果を支える既存顧客を維持する。
- OfferBox成功報酬型:数量 1,600(成功報酬を生む採用決定人数換算(人、年))× 価格 0.01(採用決定1人当たり報酬(億円、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。成果報酬対象人数換算1.10倍、単価1.19倍。実際の採用決定への需要が残る。
- eF-1G適性検査:数量 90,000(年間有料検査の受検件数換算(件、推定))× 価格 0.00(受検1件当たりの総合収益(億円、名目。基本料金・分析売上の配賦を含む))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。数量0.90倍、価格1.12倍。検査の自動化を受けながら診断サービスを維持する。
- 就活イベント・コミュニティ・その他:数量 410(年間企業向けイベント・支援案件換算(件、推定))× 価格 0.01(案件換算1件当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。数量0.82倍、価格1.30倍。対面事業の規模を抑え、採算性を改善する。
倍率:k=7.75%、g_long=0%。余剰現金25億円の税後利息0.35億円を純利益から除き、事業純利益5.90億円を評価する。事業自己資本は約21.6億円、ROEは約27%。普通の堀でRONICを算出するが、g=0%なので正当化PERの上限は12.9032倍。余剰現金は25億円×戻り方0.75を加える。市場のPERは参照しない。
確率:採用成果への需要が残り、OfferBoxのブランドと企業基盤がAI時代にも一定の役割を維持する筋書き。既存事業の実績を踏まえれば十分あり得るが、同業サービスとの競争と学生獲得費用を考慮し18%とする。
中立 33% 中立:採用基盤は残るが、従来の利用枠は縮小 利益 5 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,885 円75 億円
新卒採用は引き続き企業の重要な活動だが、採用担当者の仕事は大きく変わる。AIエージェントが学生の情報を探し、候補者を比較して連絡するようになるため、従来のように人がOfferBoxの画面を操作する必要は減る。それでも学生の登録、本人確認、採用意思の確認、企業との接点にはサービスとしての価値が残り、OfferBoxが完全に消えることはない。
早期定額型では有料利用数量が減少する。価格は名目で多少上がるが、物価の上昇ほどは料金を引き上げられない。成果報酬型は実際の採用決定への需要に支えられ、一定の収入を維持する。eF-1GはAIによる検査や分析の自動化で数量が減り、イベント事業も集客費用と人件費を慎重に管理する必要がある。
会社は第2の柱への投資を続けるが、現時点で大きな収益実績のない新事業の成功は中立には含めない。営業利益率は費用効率の改善で13%程度を維持するが、売上規模は現在をやや下回る。DOEを軸とする配当によって株主には一定の現金が戻り、蓄積した利益の一部が余剰現金として残る。事業は存続するが、10年前と同じ成長企業ではなくなる。
- OfferBox早期定額型:数量 4,908(採用予定3人分の標準契約換算件数(年、推定))× 価格 0.01(標準契約換算1件当たり利用料(億円、名目))→ 売上 40 億円・営業利益 7 億円。AIエージェント代替により数量0.82倍、単価1.10倍。物価1.34倍を下回る値上げしかできず、契約枠の価値が低下する。
- OfferBox成功報酬型:数量 1,484(成功報酬を生む採用決定人数換算(人、年))× 価格 0.01(採用決定1人当たり報酬(億円、名目))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。採用決定人数換算1.02倍、価格1.15倍。成果報酬には需要が残るが、値上げは物価を下回る。
- eF-1G適性検査:数量 80,000(年間有料検査の受検件数換算(件、推定))× 価格 0.00(受検1件当たりの総合収益(億円、名目。基本料金・分析売上の配賦を含む))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替により受検数量0.80倍、総合単価1.08倍。独自診断は残るが標準的な分析の価格は下がる。
- 就活イベント・コミュニティ・その他:数量 340(年間企業向けイベント・支援案件換算(件、推定))× 価格 0.01(案件換算1件当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。運営・支援工数に準じ、数量0.68倍、価格1.26倍。対面接点は残るが人手を要する運営が縮小する。
倍率:資本コスト7.75%、AIエージェント代替を反映した長期g=0%。余剰現金17億円の税後利息0.238億円を除く事業純利益は4.862億円。事業自己資本約25.4億円に対するROEは約19.1%で、RONICはkに超過ROEの半分を残す約13.4%。正当化PER=(1−0÷RONIC)÷0.0775=12.9032倍を使用する。現金17億円には戻り方0.75を掛ける。
確率:企業の採用意欲と既存の学生ネットワークが事業を支える一方、AIエージェントによって画面操作を前提にした利用数量が減る。現在の売上集中度と競争の変化を踏まえ、利益はほぼ横ばいからやや減少する筋書きを中心にする。
やや悲観 25% AIによる採用業務の中抜きと価格競争 利益 1 億円 · PBR 1.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 749 円30 億円
採用活動の自動化が広がり、企業がOfferBoxの画面を利用する頻度が大きく減る。採用管理システムとAIエージェントが候補者の選定や連絡を直接処理するようになり、有料の早期定額契約が縮小する。学生は引き続き複数のサービスに登録するが、OfferBoxの中で行われるやり取りと採用決定の割合は下がっていく。
dodaキャンパスやキミスカなどとの競争も厳しくなり、企業は採用成果を比較してサービスを選び直す。成功報酬型には一定の需要が残るものの、競合との手数料競争で利益率が下がる。eF-1Gも標準的な分析をAIに置き換えられ、診断データだけではかつての料金を維持できない。対面イベントは残るが、集客と運営に要する固定費が重くなる。
会社は採用支援の中核機能に事業を絞り、新規事業を整理する。営業利益率は4%程度まで下がり、2036年の純利益は1億円前後にとどまる。DOE10%以上という配当目標も後半には維持できず、還元額を縮小する。ただし、利益は10年間を通して赤字だったわけではない。前半に稼いだ利益が現金を支え、契約負債の縮小とソフトウェアの追加投資を差し引いても約30億円の純現金が残る。事業の稼ぐ力は弱くなるが、資産価値まで同じ割合で失われるわけではない。
- OfferBox早期定額型:数量 3,890(採用予定3人分の標準契約換算件数(年、推定))× 価格 0.01(標準契約換算1件当たり利用料(億円、名目))→ 売上 29 億円・営業利益 3 億円。数量0.65倍、価格1.00倍。AIによる画面の中抜きと有料枠の縮小が進み、値上げできなくなる。
- OfferBox成功報酬型:数量 1,018(成功報酬を生む採用決定人数換算(人、年))× 価格 0.00(採用決定1人当たり報酬(億円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。成果報酬人数換算0.70倍、価格1.05倍。採用決定への需要は残るが競争が強まる。
- eF-1G適性検査:数量 60,000(年間有料検査の受検件数換算(件、推定))× 価格 0.00(受検1件当たりの総合収益(億円、名目。基本料金・分析売上の配賦を含む))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。数量0.60倍、価格1.00倍。AIの標準分析機能への移行で受検数が減る。
- 就活イベント・コミュニティ・その他:数量 275(年間企業向けイベント・支援案件換算(件、推定))× 価格 0.01(案件換算1件当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。数量0.55倍、価格1.18倍。イベント集客の固定費を吸収できなくなる。
倍率:2036年ROEは1.05÷33.76で約3.1%となり、資本コスト7.75%を下回る。事業の稼ぐ力は高く評価しない。一方、2026年3月期の純現金約29.6億円に対し、10年間の累積純利益38.61億円、累積還元23.85億円、契約負債縮小による資金流入の減少6.50億円、償却控除後の純投資7.86億円を反映すると、2036年の純現金は30.00億円となる。実体資産の床30.00億円を評価し、PBR1.57894737倍を現在の自己資本19.0億円に掛ける。倍率が1倍を超えるのは高ROEへの評価ではなく、2036年に残る現金が2026年の自己資本を超えるためである。
確率:オファー送信数の増加に承認数が追いつかない現象と、早期定額型への高い依存度を重視する。AIによる採用管理システムとの直接連携が広がれば、従来の利用枠への支出が減る可能性があるため25%とする。悲観の資産価値は現時点の純現金を一律に切り下げず、期間中の利益・還元・投資・前受金減少から求める。
悲観 15% 従来の採用仲介モデルが構造的に敗れる 利益 −2 億円 · PBR 1.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 500 円20 億円
企業と学生のAIエージェントが採用情報を直接交換する仕組みが普及し、従来のスカウト媒体の利用価値が大きく下がる。企業の採用管理システム、大学のキャリア支援基盤、独立したAIサービスが候補者探索を担うようになり、OfferBoxの独立した操作画面を購入する企業が大幅に減る。残った企業にも低料金のサービスとの競争が及び、利用料金を引き下げざるを得なくなる。
学生の登録数は残っても実際の採用決定が増えず、過去の登録情報と運用実績だけでは顧客を引き留められなくなる。成功報酬型でも紹介手数料が低下し、eF-1Gの標準診断は企業が自社のAIで行うようになる。人手を要するイベントや施設運営は縮小し、固定費の負担が収益を圧迫する。
事業の衰退は一度に起きるのではなく、前半に利益を稼いだ後、後半に赤字へ転落する。会社は当初、競争力を維持するためにソフトウェアと採用支援基盤へ投資するが、成果が出ず、2032年以降は配当を停止して現金を守る。早期定額契約が減ることで前受金も減少し、営業キャッシュ・フローが悪化する。
2036年には営業赤字が約2億円となり、収益力としての評価はほとんど失われる。しかし、初期に得た利益と配当停止による資金温存があるため、10年間で現金がすべて消えるわけではない。前受金の縮小と追加投資を考慮しても約20億円の純現金が残る。採用という需要が残っていても現在のOfferBoxの仕組みでは稼げなくなるが、株主には残存資産の価値が残る。
- OfferBox早期定額型:数量 2,693(採用予定3人分の標準契約換算件数(年、推定))× 価格 0.01(標準契約換算1件当たり利用料(億円、名目))→ 売上 17 億円・営業利益 −1 億円。数量0.45倍、価格0.86倍。AIによる直接マッチングで有料利用枠が消失し、赤字になる。
- OfferBox成功報酬型:数量 509(成功報酬を生む採用決定人数換算(人、年))× 価格 0.00(採用決定1人当たり報酬(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。採用決定人数換算0.35倍、価格0.87倍。手数料競争で利益を失う。
- eF-1G適性検査:数量 35,000(年間有料検査の受検件数換算(件、推定))× 価格 0.00(受検1件当たりの総合収益(億円、名目。基本料金・分析売上の配賦を含む))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。数量0.35倍、価格0.80倍。AIによる評価・診断への代替が進み、採算が悪化する。
- 就活イベント・コミュニティ・その他:数量 175(年間企業向けイベント・支援案件換算(件、推定))× 価格 0.01(案件換算1件当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。数量0.35倍、価格1.00倍。イベントと支援業務の規模が縮み固定費を回収できない。
倍率:2036年は純損失1.90億円であり、利益へのPER評価は使わない。2026年3月期の純現金29.60億円から、10年間の累積純利益25.33億円、累積株主還元13.17億円、契約負債縮小による資金流入の減少12.00億円、減価償却費を超える純資本支出9.76億円を反映すると、2036年の残存純現金は20.00億円となる。事業の収益価値やソフトウェアの売却価値を追加せず、現金20億円を時価総額の床とする。PBR1.05263158倍を現在の自己資本19.0億円に掛ける。1倍超は企業の高い稼ぐ力ではなく、10年間に利益を積み上げた後に現金が残ることによる。
確率:AIエージェントが候補者探索と企業への推薦をほぼ自動化し、既存の採用プラットフォームが料金を維持できなくなる複合的な筋書き。現時点では大きな学生ネットワークと採用実績があるため全面的な敗北を中心にはしないが15%を見込む。事業の敗北と現金の消失は別問題なので、現金は年次利益と実際に必要な資金支出から評価する。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
OfferBox早期定額型
企業が学生へ早期から直接オファーを送る有料プラン。採用予定人数に応じた利用料を先に受け取り、利用期間に応じて売上を認識する。AI代替の分類は採用担当者の操作画面と利用枠を価値の中心とする業務ソフト型。
| 数量採用予定3人分の標準契約換算件数(年、推定) | 価格標準契約換算1件当たり利用料(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 5,985 | 0.01 | 45 | 7 |
| 10 年後 中立 | 4,908 | 0.01 | 40 | 7 |
取り方:2026年3月期有報で売上44.88885億円を確認。会社開示の料金例は3名採用予定で75万円なので、売上を75万円で割り標準契約換算5,985.18件とした。実際の有料契約社数は未開示であり、採用枠数やEXオプションが異なるため実契約件数と一致しない。累計登録企業22,456社を有料顧客数として使わない。営業利益は区分別に非開示のため共通費控除前の推定6.5億円。10年中立ではAIエージェント代替により数量0.82倍、価格1.10倍とし、席課金・画面中心型の指定範囲内に置く。
OfferBox成功報酬型
企業が採用を決定した際に成功報酬を得るサービス。早期定額型の枠超過分や一部の人材紹介も含む。採用という実際の成果に紐づくため席課金とは区別するが、候補者探索にはAIによる中抜きリスクがある。
| 数量成功報酬を生む採用決定人数換算(人、年) | 価格採用決定1人当たり報酬(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,455 | 0.00 | 7 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1,484 | 0.01 | 8 | 1 |
取り方:有報の売上6.5456億円と会社開示の成功報酬1人45万円から、報酬対象の決定人数換算を約1,455人と推定した。早期定額型の入社合意枠で採用した学生は原則ここに含まないため、全社の決定人数8,314人とは異なる。内定辞退の返金や紹介サービスの組み合わせもあるので実人数ではない。採用成果に対する支払いは人の採用が必要な限り残るとみるが、AIによる直接マッチングと料金競争を反映する。営業利益は共通費控除前の推定。
eF-1G適性検査
候補者や従業員の適性を測定し、採用、配属、育成に活用する検査サービス。利用料、従量課金、分析支援を組み合わせる。AI代替の分類は操作画面中心の業務ソフト・情報分析サービス型。
| 数量年間有料検査の受検件数換算(件、推定) | 価格受検1件当たりの総合収益(億円、名目。基本料金・分析売上の配賦を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100,000 | 0.00 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 80,000 | 0.00 | 3 | 0 |
取り方:有報のeF-1G売上は3.13554億円。会社資料では従来、年間受検者10万人以上、基本料金年11.76万円、受検1件2,000円という料金体系が説明されている。2026年3月期の正確な受検件数は非開示なので10万件を推定基準とし、基本料金と分析サービスを含む実効単価3,135.54円で売上と整合させた。検査そのものの実売単価ではない。AIエージェント代替により中立数量0.80倍、価格1.08倍とする。独自の診断データはあるが、規制上の記録の正本や低解約率など複数の堀の証拠を確認できない。
就活イベント・コミュニティ・その他
食品業界の就活イベント、学生向けコミュニティ、企業紹介など。対面接点には価値が残るが、集客、制作、運営支援の工数はAIによる代替や省力化の対象となる。
| 数量年間企業向けイベント・支援案件換算(件、推定) | 価格案件換算1件当たり平均売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 500 | 0.01 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 340 | 0.01 | 3 | 0 |
取り方:有報のその他売上2.99915億円を起点とする。開催件数、顧客ごとの協賛料金、施設利用料の内訳は非開示のため、年間500件の案件換算と平均約60万円を仮定した。実際のイベント開催数や契約件数を示す数字ではない。Tsunagaru就活のイベント実施、VVV Stationの運営、顧客紹介などを含む。AI代替の分類は運営・研修・支援工数に準じ、中立数量0.68倍、価格1.26倍とする。現場イベントの価値は残るが、事務運営部分の工数減少を織り込む。
リスクと懸念
AIエージェント代替
売上の78%を占める早期定額型は、企業の採用担当者が学生を検索し、個別オファーを送る操作を前提にしている。AIエージェントが候補者探索、連絡、日程調整を代行するようになると、人が画面を使う時間と採用枠への支払いが減る。自社でAI機能を実装していても、それによって利用料金を維持できるかは別の問題である。AIによる縮小は中立の数量・価格とg_longで評価し、資本コストの寿命には重ねない。
オファーの増加と承認率の低下
2026年卒向けのオファー送信数は前期比で大きく増加したが、学生の承認数は同じ速度では伸びなかった。企業が大量のオファーを送るほど学生が対応しきれなくなり、マッチングの質が低下する可能性がある。採用決定人数が伸びなければ、翌年度の契約継続や追加購入にも影響する。登録者数の増加をそのまま価格決定力の向上とは解釈できない。
新卒採用市場の競争
dodaキャンパス、キミスカ、キャリアチケット、LabBase就職など、直接スカウトを提供する競合が多い。企業は複数のサービスを併用でき、学生も複数媒体に登録する。AIを組み込んだ採用管理システムや他の就職支援サービスが直接マッチング機能を提供すれば、独立したスカウトサービスに支払う予算が減る。競合の値下げも、OfferBoxの利用料に下押し圧力を与える。
純現金と前受金の取り違え
2026年3月期の純現金は約29.6億円あるが、契約負債も約18.5億円に達している。顧客から先に受け取った利用料には、その後のサービス提供という履行義務が付く。ただし、契約負債の全額が返金される現金債務というわけではない。悲観側では前受金残高の減少が営業キャッシュ・フローに与える影響を計上し、そのうえで累積利益と投資支出を反映する。前受金を全額控除し、さらにサービス提供費用も引く二重計算は避ける。
新規事業投資と買収の失敗
同社は2023年3月期に約4.1億円の営業赤字を計上し、その後も新規事業の整理を進めた。現在は投資規律を重視しているが、大学低学年や若手キャリア市場で新たな収益の柱を作るには、学生集客や製品開発の先行費用が必要になる。買収によって売上が増えても、追加投資の利益率が資本コストを下回れば株主価値は増えない。新規事業の成長期待を無条件に評価することは避ける。
DOE配当の持続性と支配株主
DOE10%以上の配当方針は株主にとって重要な前進だが、利益が縮小すると自己資本に対する高い配当が現金を消費する。悲観的な事業環境でも同じ配当を続けることは難しい。また、創業者の実質持株比率が過半を超え、大株主上位10名に株式が集中している。少数株主は余剰現金の使途や大型買収を直接決められないため、現在の現金全額が株主に返ると仮定しない。
今後の分かれ目
- OfferBoxの採用決定人数が1万人を超え、その後も複数卒業年度で増え続けたら
- 採用成果が継続購入を支えている証拠となる。早期定額型の利用数量と利益率を上方修正し、やや楽観・楽観の確率を増やす。
- 登録企業数とオファー送信数が増えても、承認率や採用決定人数が継続的に下がったら
- ネットワークの効率悪化を疑う。有料契約の維持率と追加購入への影響を確認し、中立数量を引き下げる。
- AIによる採用業務の自動化が進み、早期定額型の受注高が2年以上続けて減少したら
- 従来の画面と契約枠への課金が代替されている可能性が高い。やや悲観・悲観の確率を増やし、10年後の継続利益を低く評価する。
- eF-1Gと新規事業の売上が増え、継続的な営業利益も確認できたら
- OfferBox以外の収益の柱が育ったと判断する。第2の柱の利益を独立して評価し、事業集中リスクを引き下げる。
- DOE10%以上の配当が継続し、余剰現金の還元や自社株買いが定着したら
- 株主への現金の戻り方を0.75から1.0へ近づける。事業の成長率を変えずに、株主が受け取れる価値を引き上げる。
- 大型買収や新事業への投資で営業利益が減り、投下資本に見合う利益回復が進まなかったら
- 資本配分の失敗と判断する。将来の利益率と累積還元を下方修正し、必要なら無形資産の減損を悲観側に反映する。
- 売上が減少しても契約負債が安定し、ソフトウェアの純投資額も想定を下回ったら
- 悲観側でも現金の流出が少ないことを意味する。純現金の床を上方修正し、やや悲観・悲観の資産価値を引き上げる。
見ておくもの
- 卒業年度別のOfferBox採用決定人数と、その前年同期比
- 早期定額型の受注高、リピート購入、アップセルの動向
- オファー送信数に対する承認数と承認率
- 登録企業数と学生登録数の推移。ただし累計企業数と有料契約企業数を区別する
- eF-1Gの受検件数、契約企業数、分析サービスの収益
- 営業利益率とプロモーション関連費用の推移
- DOE10%以上の配当実績、株主優待費用、自社株買いの有無
- AI採用支援の有料受注実績と、採用管理システムとの連携状況
- 新規事業の撤退・買収と、その後の営業利益への貢献
- 期末契約負債と営業キャッシュ・フローの関係
- 無形固定資産の取得支出、減価償却費、ソフトウェア仮勘定の推移
- 純現金から前受金の縮小と設備更新支出を差し引いた実質的な余剰現金
- グロース市場の上場維持基準への対応
倍率と資本コストの決め方
現在の時価総額54.6億円や現在のPERを先に倍率の根拠として使っていない。2026年3月期のサービス別売上と公表料金から数量を推定し、2036年の数量と価格を別々に決めた。最大の早期定額型とeF-1GにはAIエージェント代替の指定範囲を適用した。長期成長率を名目0%とした結果、楽観から中立までの正当化PERは資本コスト7.75%の逆数である12.9032倍となる。これを市場評価に合わせて増減していない。
悲観の床は現時点の純現金29.60億円を出発点に、10年間の累積利益、還元、前受金残高の減少、償却費を超える純資本支出で再計算した。やや悲観は29.60+38.61−23.85−6.50−7.86=30.00億円、悲観は29.60+25.33−13.17−12.00−9.76=20.00億円となる。契約負債の全額を純現金から先に控除することはせず、その減少によるキャッシュ・フローへの影響だけを反映した。2036年に残る純現金を床とし、その他の不確実な売却資産は加えていない。
やや悲観と悲観のPBRは、2036年の積み上がった自己資本ではなく2026年3月期の自己資本19.0億円に掛けている。2036年の自己資本は各筋書きの累積利益と還元から求めた。やや悲観の時価総額30.0億円、悲観の20.0億円は中立75.485億円を下回り、悲観の時価総額と累積還元の合計33.17億円も現在の時価総額54.61億円を下回る。
5つの筋書きの時価総額と累積還元を、資本コスト7.75%、期間10年、還元の割引期間5年で評価すると確率加重現在価値は約49.83億円となる。基準時価総額54.6126億円との差は約マイナス8.75%で、区分は適正となる。前回より価値が上がったのは倍率を調整したためではなく、悲観の残存現金を資金繰りに基づいて評価し直したためである。2027年4月以後開始年度の新リース会計基準による表示変更は、事業価値の増加とは扱わない。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本資本コスト7.5%に事業品質の調整+0.25%を加える。短期の新規事業投資失敗やAI移行の個別リスクは数量・価格・確率で表し、追加の資本コストは課さない。