結論
カナミックネットワークは、介護事業所と医療・自治体をつなぐクラウドを核に、24時間ジムとシステム受託開発も営む会社だ。筆者は事業の社会的必要性を認めながら、現在の時価総額は10年先の株主価値に対して割高と見る。介護がなくなることはない。しかし、介護職員が何人のIDで画面を操作するかという課金の土台は、AIエージェントで変わりうる。
2025年9月期の売上高は55億円、営業利益は16億円で、純利益は11億円に達した。クラウドには有料IDが22万超あり、多職種間の情報共有という、単なる入力画面より深い役割がある。2026年9月期第3四半期も増収増益で、足元の経営が悪化しているわけではない。一方、直近10年の高成長には買収によるジム・開発事業の上乗せもあり、既存の席数の成長率をそのまま未来へ延ばせない。
経営陣は2035年に売上高200~300億円、営業利益80~120億円を目指す。その志は高いが、現状の有料IDとジム出店ペース、AIによる受託工数の削減を踏まえると、達成は上振れの連続を要する。強気ならジムの多店舗化と制度対応型の情報基盤が価値を支えるが、中立では利益の伸びよりも株主資本の積み上がりが速くなり、資本効率が落ちる。2035年の時価総額だけでなく途中の還元も割り引いた本質価値は約107億円で、現在の約236億円を5割強下回るという結論になる。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主にとって第一の問いは、十年後にも顧客がこの会社のサービスを替えにくいかである。介護記録を関係者で正しく共有する仕組みは社会の基礎設備に近く、単なる便利な画面より寿命が長い。取引相手の医療機関、事業所、自治体を巻き込むほど切り替えには調整が要る。この部分は本物の堀になりうる。ただし「利用者が多い」ことと「価格を上げても離れない」ことは違う。継続率や値上げ後の契約維持率が開示されなければ、広い堀に見合う高値は払えない。
第二は再投資の利回りだ。クラウドは導入が増えても大きな店舗設備を持たず、利益を現金に変えやすい。これに対し、ジムは内装、器具、家賃、広告費を先に払い、改装時にも現金が出る。受託開発は高単価技術者の確保とAIによる効率化で利幅が揺れる。新たに稼いだ利益の7割程度を買収や成長投資に向ける計画である以上、少なくとも資本コストを超える収益を示せなければ、その留保は株主価値を増やさない。
第三は安全域である。財務の強さは破綻する確率を下げるが、株式を今買う人の安全域を作るとは限らない。純現金27億円は守りとして有効でも、時価総額236億円の大半は未来の稼ぐ力に払う金額である。AI対応を売上に転換した実績、クラウドの契約維持と価格改定、買収後の投下資本利益率が確認できるまでは、経営陣の遠い目標より事業から回収できる現金を優先して評価したい。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は医療・介護クラウドプラットフォーム事業である。自治体、医師会、訪問看護師、ケアマネジャー、介護事業所が利用者情報と業務記録を共有する。介護請求や事業所管理の業務ソフトも提供するため、一つの顧客が継続して利用しやすい。2025年の同部門売上35.83億円のうち、クラウドサービスが29.97億円、広告やホームページ等のプラットフォームサービスが4.74億円、その他が1.12億円である。主力クラウドの有料IDは22万1,822、無料IDも11万7,497ある。
第二の柱はアーバンフィットが運営する「URBAN FIT24」だ。2025年9月末時点で直営13店とフランチャイズ店を合わせ約24店を擁し、会費、入会関連収入、加盟店向けロイヤルティー等を得る。高価格帯の空間と医療・運動データ連携が特色で、単純な無人ジムとは違う客層を狙う。だが、直営店の売上が全額連結される一方、加盟店は主に手数料だけが売上になる。したがって店舗数が増えても1店舗当たりの連結売上は同じ割合では増えず、出店投資と家賃負担にも注意が要る。
第三はRuby開発とシンガポールのTHE WORLD MANAGEMENTによる受託開発・企業向け基幹システム支援である。技術者の時間と設計・導入の専門知識を対価にするため、クラウドとは利益の質が異なる。2025年の売上は7.30億円で、連結利益への寄与は小さい。会社全体ではクラウドが売上の約65%を占め、残りをジム約22%、開発約13%が分け合う。利益面ではクラウドへの依存がさらに強く、ここに生じる価格や課金方式の変化が株主価値を左右する。
優良さと弱いところ
強みは、自治体と医療・介護の事業者が法人をまたいで同じ情報基盤を利用できる点にある。単一の介護事業所だけが使うソフトとは違い、紹介先や関係職種が増えるほど情報共有の便益が高まる。千葉県柏市の地域包括ケアの実証から育った仕組みには特許と長年の運用履歴があり、介護保険制度の変更に対応する実務知識も蓄積されている。2021年から2025年に有料IDが約2.5倍になったことは、販売網と顧客基盤を広げた実績として評価できる。
ただし、強い値決め力を確認するには証拠が足りない。解約率5%未満、移行に要する実際の年数、法改正のたびに値上げできた実績は、確認した開示では具体的な数字がない。共同利用の基盤と一元管理されたデータという二つの性質はあるが、その収益が主力クラウドの何割かも非開示である。規制記録を扱う部分には堀があっても、操作ID課金の全体を「置き換えられない正本」とみなすのは危うい。
過去のROEはおおむね高く、2025年の自己資本は46.5億円、純現金は27.3億円と財務は健全だ。2021年から2025年の純利益増加約5.3億円を自己資本増加約27億円で割ると、粗い増分収益率は約20%で資本コストを上回る。ただし買収や現金の滞留を含むため、これは個々の投資案件の増分ROICではない。2024年にはジムの減損約1億円もあり、今後のジム・買収投資が過去と同じ利回りを出すとは決めつけない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
日本の高齢化は、介護記録の保存と医師・看護師・ケアマネジャーとの連携の必要性を強める。需要そのものは長く残るが、全国の事業所数や介護人材は人口減少の制約を受ける。伸びるのは入力担当者の数ではなく、記録の正確性、法人間のデータ連携、請求や行政報告の自動化の価値である。カナミックが10年先も選ばれるには、この価値に料金を付け替える必要がある。
介護ソフトの導入実績を並べた2026年の業界比較では、ほのぼの約7万2,600、ワイズマン約6万1,200、カイポケ約6万800、カナミック約5万2,704拠点とされる。約31万9,610の介護事業所を仮の分母にすると、カナミックの導入拠点比率は約16.5%となる。ただし複数製品の併用、対象年度、導入拠点の定義が異なるため、これは排他的な売上市場シェアではない。今後もエス・エム・エス、NDソフトウェア、ワイズマン等と競合し、10年先の導入比率も契約単価も確約されていない。
最大の構造変化はAIエージェントである。介護職員が画面を開かず、音声から記録、請求書類、行政提出書類を作れるようになると、1人1IDの課金根拠は弱くなる。カナミックはAI議事録、AI-OCR、音声連携やAIロボを発表したが、AI機能単独の売上・受注額は検証できない。普及による利益拡大を先取りせず、通常の席課金型には数量と単価の圧力を見込む。情報共有の中核だけは他社システムとの接続と規制対応を武器に持ちこたえられる可能性がある。
フィットネス業界では2025年8月時点で国内施設が1万3,876、うち24時間型が5,034ある。アーバンフィットはその1%未満という小さな地位から、チョコザップ、エニタイムフィットネス等と立地・会費で競う。店舗数を伸ばせる余地は大きいが、国内の出店競争は速く、フランチャイズ中心への転換は顧客単価よりロイヤルティー収入の比率を高める。受託開発ではAIによる工数削減が顧客にも供給者にも広がり、人月の数量が縮む方向を中立に採る。
資本政策と M&A
経営陣の資本配分は、かつての高収益クラウドへの集中から買収による多角化へ移った。2022年にアーバンフィット、2023年にRuby開発、2024年にシンガポールのTHE WORLD MANAGEMENTを取得した。2025年ののれんは約7.94億円に達し、ジムの減損と合わせ、買収価格に見合う利益が続くかを問う必要がある。ITと健康づくりの連携が新しい収益を生むなら意義は大きいが、ジムの設備投資はクラウドより重い。
「Kanamic Vision 2035」は2035年の売上高200~300億円、営業利益80~120億円、営業利益率40%を目標とする。2030年の中間目標は売上高100~120億円、営業利益35~40億円だ。2035年までの累計純利益380~600億円を想定し、年間純利益の30%以上を株主還元、残り約70%を成長投資とM&Aに回す。10年間の累計還元目標115~180億円、成長投資・買収目標265~420億円も明示している。ROEの数値目標と定額の自社株買い約束は確認できない。
配当はこの5年間増え、自社株数は大きく減っていない。上位株主への保有集中は高いが、増配実績があるため現金を半値に扱うのは不適切で、余剰現金の株主への戻り方は75%とする。一方、2025年の有報には社長の近親者が支配する団体とのジム加盟店関連取引約0.26億円が載る。金額だけで不正とは言えないが、独立した取引条件の検証が少数株主には欠かせない。抽選式の優待ギフト券は年間約260万円で、10年継続なら約0.26億円を還元に含める。ジム体験券は利用原価が非開示のため、額面で加算しない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
介護の情報連携は単なる業務ソフトではない。病院、在宅医、ケアマネジャー、施設、自治体が異なる組織のまま同じ利用者を支えるには、信頼できる情報交換の基盤が要る。2001年以来の運用と行政との共同実証で作られた仕組みを、安価な汎用ソフトが一夜で再現するのは難しい。競合が介護請求の画面を強化しても、多職種の接続先まで同時に乗り換えさせるには手間がかかる。AIが音声入力や議事録作成を引き受けても、最後に記録を確定し関係機関に渡す役割は残る。
経営陣はすでにAI-OCR、AI議事録、音声からの記録連携を投入しており、クラウドの既存顧客に提供できる位置にいる。新しいAI機能への課金が実証されれば、席数が減っても記録処理件数や法人契約による収益に移れる。クラウドは近年も契約者を増やし、2026年の第3四半期には部門利益率が高まった。広告やカスタマイズの売上もあるため、全社が画面課金だけに依存しているわけではない。
ジムにはもっと見える伸びしろがある。全国の24時間ジム約5,000店に対してアーバンフィットはまだ小さく、フランチャイズ加盟者が増えれば本部は自己資金を抑えて商圏を広げられる。メディカルフィットネスと高齢者の予防需要が顧客単価の下支えになれば、店舗数と収益性が同時に上がる。純現金を厚く持ち、連続増配の実績もある。高収益クラウドと店舗ネットワークの組み合わせは、現在の売上規模からは想像しにくい事業へ育つ余地を持つ。
慎重な見方
介護という必要性の高さは、ソフト会社の価格支配力の高さを意味しない。会計、連絡、訪問記録、請求書作成をAIエージェントがまとめて実行すれば、介護職員ごとにIDを買う理由は薄れる。記録の正本は必要でも、その接続先は複数社が提供できる。カナミックの共同利用部分がどれほど解約を防ぐのか、実際の契約維持率や値上げ成功率は数字で示されていない。競合のエス・エム・エス、NDソフトウェア、ワイズマンがAI対応と制度改正を同時に進めれば、既存の導入拠点の多さだけでは守れない。
2025年の部門別収益を見ると、全社営業利益のほとんどを医療・介護クラウドが支えている。開発子会社は顧客の工数削減を直接受け、フィットネスは賃料・設備償却・広告費が固定費として残る。2024年にジム関連の減損が既に発生したことは、出店を増やすほど高収益になるとは限らない証拠だ。大型の買収を積み重ねれば、のれん償却と将来の減損がクラウドの利益を食う。
経営陣の2035年計画は売上高を現在の数倍に増やす野心的なものだ。そのためにはAIサービスの価格付け、介護システムの国内シェア拡大、ジムの急速な加盟店募集、買収先の収益性をすべて並行して成功させる必要がある。過去の成長率を根拠に高い再投資利回りが続くと信じるには、案件別の資本効率が足りない。さらに、社長の近親者が支配する団体とのフランチャイズ取引は、第三者条件の継続的な検証を要する。純現金があっても、少数株主がその使い道を決めることはできない。
どちらに重みを置いたか
共同利用の医療・介護基盤には本物の強みがあり、2026年の増益も事実である。ただ、独立した値上げの証拠とAI関連の金額付き受注がない以上、全社を守られた高成長SaaSとは評価しない。やや悲観と悲観の合計は41%で、上振れ側の27%より厚くした。これはAIによる数量・価格の減少を二重計上するためではなく、ジムの固定費と買収後の資本効率、関連当事者取引の監督という別の不確実性もあるためだ。2035年の株主還元を含めても、現値には十分な安全域が見いだせない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/09 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 340 円161 億円(+ 還元の換算額還元の合計 80 円38 億円)。 今の値に割り戻すと 226 円107 億円、今との差 −53.4%、 期待の年率 −1.5%(資本コスト 7.2%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 11% | 857 円407 億円 | 148 円70 億円 | +107.5% | +8.3% | 110 円52 億円 |
| やや楽観 | 16% | 557 円265 億円 | 105 円50 億円 | +36.9% | +3.5% | 106 円50 億円 |
| 中立 | 32% | 367 円174 億円 | 84 円40 億円 | −6.8% | −0.8% | 144 円68 億円 |
| やや悲観 | 26% | 118 円56 億円 | 59 円28 億円 | −63.5% | −11.0% | 46 円22 億円 |
| 悲観 | 15% | 58 円27 億円 | 34 円16 億円 | −81.1% | −17.5% | 14 円6 億円 |
| 加重平均 | 100% | 340 円161 億円 | 80 円38 億円 | −13.1% | −1.5% | 420 円200 億円 |
今の株価時価総額 484 円230 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 11% 共同記録基盤を守り、ジム加盟店が全国へ 利益 27 億円 · PER 14.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 857 円407 億円
地域の医療・介護連携を扱うプラットフォームが規制記録の受け皿として認知され、AIエージェントからの自動入力を受け付ける共通基盤に育つ。もっともAIサービス固有の売上実績は確認できないので、既存の有料IDが増えるという楽観は使わない。顧客の課金単位を守りながら、必要な連携機能の契約更新で混合単価を維持・改善する。
全国のURBAN FIT24加盟網が150店に達し、主としてフランチャイズによって出店資金と設備投資を抑える。医療連携と地域密着型の会員基盤で、価格競争の激しい無人ジムとの差を作る。店舗数の拡大と運営ノウハウの共通化で、ジムの部門利益率は23%へ上がる。Ruby開発と基幹システム支援も、工数課金から付加価値の高い保守に一部移れ、利益率が改善する。
2035年の営業利益は約40億円に育つ。ただし既存クラウドの数量をAIに無関係に急増させておらず、会社の長期売上目標にはなお届かない。10年間の累計純利益は約220億円、配当と優待等の還元は約70億円を想定し、買収後の利益を含む自己資本は厚くなる。株主が報われるのは、加盟店の投下資本利益率が資本コストを上回る場合である。
- 医療・介護クラウドプラットフォーム:数量 221,822(有料ユーザーID(人、2025年9月末。期末IDを実質数量の代理とする))× 価格 0.00(有料ID1件当たりの年売上総額(億円/ID年、広告等を含む混合平均))→ 売上 41 億円・営業利益 20 億円。AIエージェント代替:主力の席SaaSを基準に有料IDを現在の1.00倍、混合価格を1.15倍。正本部分は一部残るが売上の独立内訳は不明。
- 健康寿命延伸(URBAN FIT24):数量 150(直営店・FC店の稼働店舗数(店、期末。実質店舗数量の代理))× 価格 0.57(1店舗当たり連結計上年売上(億円/店年、直営・FC混在平均))→ 売上 86 億円・営業利益 20 億円。合計150店。名目混合単価0.57億円/店年は直営会費・FCロイヤルティーの構成変化も含み、会費そのものではない。
- ソリューション開発・基幹業務支援:数量 648(外販可能な技術者人月(人月/年、会社非開示の代理推計))× 価格 0.01(1人月当たり実現売上(億円/人月、固定価格案件も含む平均))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替:人月型。外販相当数量を720人月の0.90倍、実現単価を1.34倍とする。
倍率:現金利息を除く事業純利益26.99億円、余剰現金18億円を除く事業ROE15.12%、資本コスト7.25%、堀の残存割合1/2から新規投資収益率RONIC11.18%。10年後以降の名目成長gはAIエージェント代替を反映して1%。正当化PER=(1-g/RONIC)/(k-g)=14.57倍の上限そのものを使用。市場PERから逆算せず、余剰現金18億円の受取利息控除後に戻り方75%の価値を加える。
確率:2030年100店超という会社目標を2035年にも上回る加盟店獲得と、介護クラウドの顧客維持・値上げ、開発子会社の収益改善が同時に必要であるため、実現可能だが低い確率にとどめる。
やや楽観 16% クラウド維持とジム出店の着実な前進 利益 18 億円 · PER 14.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 557 円265 億円
介護現場ではAIが文書作成と請求事務を肩代わりするが、自治体と医療機関をまたぐ記録の受け渡しは引き続きカナミックが担う。既存の有料IDはわずかに減るものの、規制対応や連携機能の追加料金で収益を補う。解約率と値上げ実績の定量開示が進めば、顧客基盤の価値がより明確になる。
アーバンフィットは80店へ広がる。会社の2030年100店以上という目標には遅れるが、フランチャイズを中心に商圏を増やすため資金負担は抑えられる。一方でFC店の売上は会員会費の全額でなく手数料中心となり、店舗数に比例した売上の急増は起きない。直営店の収益改善と健康関連サービスで利益率は19%に高まる。
受託開発はAIのため外販工数が縮み、価格の上昇だけでは完全に補えない。それでも高付加価値な企業基幹システム支援は一部残る。買収による新規売上を無条件に加えず、2035年の利益は事業が生み出すものに絞る。10年間の累計純利益約160億円のうち50億円を還元し、残りを成長投資に充てる。資本効率は下がるが、事業の競争力は保たれる。
- 医療・介護クラウドプラットフォーム:数量 215,000(有料ユーザーID(人、2025年9月末。期末IDを実質数量の代理とする))× 価格 0.00(有料ID1件当たりの年売上総額(億円/ID年、広告等を含む混合平均))→ 売上 40 億円・営業利益 19 億円。AIエージェント代替:主力の席SaaSを基準に有料IDを現在の0.97倍、混合価格を1.14倍。正本部分は一部残るが売上の独立内訳は不明。
- 健康寿命延伸(URBAN FIT24):数量 80.0(直営店・FC店の稼働店舗数(店、期末。実質店舗数量の代理))× 価格 0.53(1店舗当たり連結計上年売上(億円/店年、直営・FC混在平均))→ 売上 42 億円・営業利益 8 億円。合計80店。名目混合単価0.53億円/店年は直営会費・FCロイヤルティーの構成変化も含み、会費そのものではない。
- ソリューション開発・基幹業務支援:数量 540(外販可能な技術者人月(人月/年、会社非開示の代理推計))× 価格 0.01(1人月当たり実現売上(億円/人月、固定価格案件も含む平均))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替:人月型。外販相当数量を720人月の0.75倍、実現単価を1.30倍とする。
倍率:現金利息を除く事業純利益17.45億円、余剰現金18億円を除く事業ROE12.60%、資本コスト7.25%、堀の残存割合1/2から新規投資収益率RONIC9.92%。10年後以降の名目成長gはAIエージェント代替を反映して1%。正当化PER=(1-g/RONIC)/(k-g)=14.39倍の上限そのものを使用。市場PERから逆算せず、余剰現金18億円の受取利息控除後に戻り方75%の価値を加える。
確率:制度対応と法人間共有によって有料IDの大半が残り、ジムの新規加盟が着実に増えれば達成できる。ただし足元25店舗前後から80店への拡大には投資と加盟店募集の継続が要る。
中立 32% 必要な基盤は残るが席課金と工数は縮む 利益 12 億円 · PER 14.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 367 円174 億円
介護と医療の連携基盤は10年後にも必要で、制度対応の経験と地域での共同利用は残る。しかし、AIエージェントが音声から記録を作り、介護請求の大半を自動処理するようになると、職員数に応じて増えるIDは稼ぎの最適な尺度ではなくなる。有料IDは約19万5,000まで減り、単価は競争のため物価上昇に届かない。広告や個別改修にもAIによる制作単価の低下が及ぶ。
URBAN FIT24の店舗は44店に増えるが、全国拡大という会社の目標には大きく届かない。24時間型施設の出店競争と既存店の家賃負担が続き、フランチャイズ比率が上がることで1店舗当たり連結売上は物価ほど伸びない。利益率16%は2025年より改善するものの、会社が目指す25%には遠い。
Ruby開発とシンガポールの企業基幹システム支援は、高度な設計と監督が残っても必要工数が減る。単価上昇を織り込んでも売上は縮む。部門間調整と買収のれん償却は残り、営業利益はおおむね現在と同程度になる。10年間の累計純利益約124億円から40億円を配り、残りを投資するため、2035年の自己資本が厚くなる一方ROEは1桁になる。
- 医療・介護クラウドプラットフォーム:数量 195,200(有料ユーザーID(人、2025年9月末。期末IDを実質数量の代理とする))× 価格 0.00(有料ID1件当たりの年売上総額(億円/ID年、広告等を含む混合平均))→ 売上 35 億円・営業利益 14 億円。AIエージェント代替:主力の席SaaSを基準に有料IDを現在の0.88倍、混合価格を1.12倍。正本部分は一部残るが売上の独立内訳は不明。
- 健康寿命延伸(URBAN FIT24):数量 44.0(直営店・FC店の稼働店舗数(店、期末。実質店舗数量の代理))× 価格 0.53(1店舗当たり連結計上年売上(億円/店年、直営・FC混在平均))→ 売上 23 億円・営業利益 4 億円。合計44店。名目混合単価0.53億円/店年は直営会費・FCロイヤルティーの構成変化も含み、会費そのものではない。
- ソリューション開発・基幹業務支援:数量 468(外販可能な技術者人月(人月/年、会社非開示の代理推計))× 価格 0.01(1人月当たり実現売上(億円/人月、固定価格案件も含む平均))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:人月型。外販相当数量を720人月の0.65倍、実現単価を1.20倍とする。
倍率:現金利息を除く事業純利益11.34億円、余剰現金18億円を除く事業ROE10.08%、資本コスト7.25%、堀の残存割合1/2から新規投資収益率RONIC8.66%。10年後以降の名目成長gはAIエージェント代替を反映して1%。正当化PER=(1-g/RONIC)/(k-g)=14.15倍の上限そのものを使用。市場PERから逆算せず、余剰現金18億円の受取利息控除後に戻り方75%の価値を加える。
確率:高齢化による記録・連携需要は続くが、AIエージェントが人の画面操作を減らす。数量0.88倍、価格1.12倍のクラウド、工数0.65倍の受託、44店のジムという、三つの異なる力の均衡を中心に置く。下に寄せる理由:不採算店の固定費と買収利回りの不確実性が残る。
やや悲観 26% 課金の侵食とジムの収益鈍化 利益 5 億円 · PER 10.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 118 円56 億円
大手介護ソフトがAI対応を標準装備し、音声記録と請求の自動化を法人単位で提供する。カナミックも共同記録の接続先として残るが、操作画面への課金と追加機能の単価を守り切れない。顧客は月額料金を見直し、複数のIDを統合するため、有料IDは約16万2,000に減る。地域連携のネットワークが完全に消えるわけではないが、かつてのクラウド部門利益率は低下する。
アーバンフィットは28店でほぼ足踏みする。低価格ジムや大手24時間チェーンとの競争で会員の獲得費用が増え、テナント家賃と器具の更新費が利益を削る。FC加盟店も収益性が悪ければ増えない。開発子会社では生成AIによる開発工数の削減が直接の価格交渉材料となり、専門領域以外の案件は採算が合わなくなる。
買収を続けず資金を温存すれば財務的には持ちこたえられる。それでも連結営業利益は1桁に下がり、株主への還元額は計画を下回る。過去のROEを保てない以上、2035年以降の利益にも高い再投資価値を与えられない。
- 医療・介護クラウドプラットフォーム:数量 162,000(有料ユーザーID(人、2025年9月末。期末IDを実質数量の代理とする))× 価格 0.00(有料ID1件当たりの年売上総額(億円/ID年、広告等を含む混合平均))→ 売上 27 億円・営業利益 8 億円。AIエージェント代替:主力の席SaaSを基準に有料IDを現在の0.73倍、混合価格を1.05倍。正本部分は一部残るが売上の独立内訳は不明。
- 健康寿命延伸(URBAN FIT24):数量 28.0(直営店・FC店の稼働店舗数(店、期末。実質店舗数量の代理))× 価格 0.46(1店舗当たり連結計上年売上(億円/店年、直営・FC混在平均))→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。合計28店。名目混合単価0.46億円/店年は直営会費・FCロイヤルティーの構成変化も含み、会費そのものではない。
- ソリューション開発・基幹業務支援:数量 396(外販可能な技術者人月(人月/年、会社非開示の代理推計))× 価格 0.01(1人月当たり実現売上(億円/人月、固定価格案件も含む平均))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:人月型。外販相当数量を720人月の0.55倍、実現単価を1.10倍とする。
倍率:2035年の純利益4.77億円に対しROEは4.5%で資本コスト7.25%を下回る。利益を成長投資に回しても価値が増えにくく、稼ぐ力の上限1/k=13.79倍より低い10倍とする。余剰現金は悲観で13.5億円とし、利息0.19億円を純利益から除き、戻り方75%の価値を足す。
確率:介護記録をAIが処理し席数と価格が同時に弱くなる一方、ジムのFC募集も競争で鈍る筋書き。2024年のジム減損と2026年の受託利益低下が、この組み合わせを単なる空想ではなくしている。
悲観 15% AI代替と買収負担で収益基盤が崩れる 利益 0 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 58 円27 億円
介護事業者は職員のIDを大量に持つ必要がなくなり、AIエージェントから法定記録を自動で生成・登録する契約へ移行する。規制上の保存義務は残るものの、接続先の標準化が進んで既存ソフトの切り替え費用が下がる。カナミックは共同連携の一部を守るが、課金IDは約12万2,000まで減り、混合単価も下落する。既存のデータ量がそのまま独占的な価格決定力にはならない。
アーバンフィットは不採算店舗の閉鎖を迫られ、22店に縮む。会員数が減っても店舗の賃料と設備の償却は残り、店舗閉鎖費用や更新投資で現金が出る。開発子会社の外販工数は4割となり、顧客の内製AIと専門競合に押されて採算を失う。さらなる買収に価値を見いだせず、経営陣は事業規模より資金保全を優先する。
連結の営業利益はほぼ消え、10年目の最終損益も小幅な赤字になる。過去に稼いだ利益の一部から還元が出ても、将来の超過利益を評価できない。のれんとソフトウェアを売却可能な資産とは見なさず、現在の純現金27.3億円を事業縮小時の評価の床にする。
- 医療・介護クラウドプラットフォーム:数量 122,000(有料ユーザーID(人、2025年9月末。期末IDを実質数量の代理とする))× 価格 0.00(有料ID1件当たりの年売上総額(億円/ID年、広告等を含む混合平均))→ 売上 19 億円・営業利益 3 億円。AIエージェント代替:主力の席SaaSを基準に有料IDを現在の0.55倍、混合価格を0.96倍。正本部分は一部残るが売上の独立内訳は不明。
- 健康寿命延伸(URBAN FIT24):数量 22.0(直営店・FC店の稼働店舗数(店、期末。実質店舗数量の代理))× 価格 0.43(1店舗当たり連結計上年売上(億円/店年、直営・FC混在平均))→ 売上 9 億円・営業利益 −1 億円。合計22店。名目混合単価0.43億円/店年は直営会費・FCロイヤルティーの構成変化も含み、会費そのものではない。
- ソリューション開発・基幹業務支援:数量 288(外販可能な技術者人月(人月/年、会社非開示の代理推計))× 価格 0.01(1人月当たり実現売上(億円/人月、固定価格案件も含む平均))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替:人月型。外販相当数量を720人月の0.40倍、実現単価を0.95倍とする。
倍率:現在の純現金27.3億円を売却可能資産の床とし、現時点の自己資本46.5億円に対するPBR0.587倍で評価する。2035年の利益はほぼゼロで、積み上がった自己資本には高い回収率を認めない。のれん約7.94億円とソフトウェア約6.64億円は、顧客関係・開発資産が競争で毀損すると売却が難しいため、床に足さない。
確率:AIでIDがほぼ半減し、人月収益も低下するうえ、ジム店舗と買収の採算が損なわれる複合的な敗北。現金が厚く直ちに倒産する会社ではないため、価値には純現金の売却可能額を床として残す。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
医療・介護クラウドプラットフォーム
介護請求・事業所運営と、自治体・医療・看護・介護間の情報共有基盤。広告・Web・カスタマイズを含む。
| 数量有料ユーザーID(人、2025年9月末。期末IDを実質数量の代理とする) | 価格有料ID1件当たりの年売上総額(億円/ID年、広告等を含む混合平均) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 221,822 | 0.00 | 36 | 15 |
| 10 年後 中立 | 195,200 | 0.00 | 35 | 14 |
取り方:訂正後の2025年9月期有報の顧客向け外部売上35.82874億円と有料ID221,822件を使用。合計単価は年約1.62万円で、契約ID単価そのものではない。有報の実際の収益内訳はクラウド29.97067億円(83.7%)、プラットフォーム広告・Web等4.74066億円(13.2%)、その他1.11740億円(3.1%)。AIエージェント代替の分類は主力の操作・ID課金を「席SaaS」、広告と情報制作を「広告・情報」、個別作業を「人月」、法人間の規制記録共有部分だけを「記録の正本」とする。共同利用と一元管理されたデータ蓄積の開示はあるが、値上げ率・解約率・正本部分の売上比率がないため、全体は席SaaSの厳しい数量・単価条件で評価する。2026年公表の導入拠点52,704は有料ID数とは異なる。出典:https://www.yuhodb.com/documents/viewer?docId=S100Z8WO と https://2ndlabo.com/article/391/
健康寿命延伸(URBAN FIT24)
直営ジム会費収入と、フランチャイズ加盟店からのロイヤルティー・関連サービス収入。
| 数量直営店・FC店の稼働店舗数(店、期末。実質店舗数量の代理) | 価格1店舗当たり連結計上年売上(億円/店年、直営・FC混在平均) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 24.0 | 0.49 | 12 | 2 |
| 10 年後 中立 | 44.0 | 0.53 | 23 | 4 |
取り方:有報の外部売上11.87551億円と期末約24店(直営13店、FC約11店)から混合平均約0.495億円/店年を推計。直営会費とFCロイヤルティーの売上計上が違うため同一店舗の会費や会員数を表さない。店舗別会員数とFCロイヤルティー料率は未開示で、この代理単価は店舗構成、稼働率、会費、物価を合わせた単価である。ジムの運動提供・家賃・設備はAIで置換できない現場型。2025年24時間型市場約5,034店に対し同社約0.5%。出典:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3992。2025年のジム減価償却費は約0.95億円。既存設備の取得原価は物価に連動させず、新店舗や更新設備の取得価額にだけ工事費の上昇を反映し、シナリオ別営業利益率に算入する。
ソリューション開発・基幹業務支援
Ruby開発のシステム受託、シンガポールの基幹システム導入コンサルティング・保守。
| 数量外販可能な技術者人月(人月/年、会社非開示の代理推計) | 価格1人月当たり実現売上(億円/人月、固定価格案件も含む平均) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 720 | 0.01 | 7 | 1 |
| 10 年後 中立 | 468 | 0.01 | 6 | 0 |
取り方:連結子会社の従業員はRuby開発49人、THE WORLD MANAGEMENT24人、計73人。外販稼働可能者を仮に60人、年間12か月とすれば720人月となる。これは開示された請求人月ではなく、管理・社内・固定価格・保守を含む売上7.30360億円から逆算した1人月約101万円の代理単価である。AIエージェント代替は「人月・工数」型とし、中立で数量を0.65倍、単価を1.20倍にする。出典:https://www.yuhodb.com/documents/viewer?docId=S100Z8WO
リスクと懸念
AIエージェント代替とID課金の空洞化
主力クラウドは多職種連携という残りやすい機能を持つものの、有料IDごとに料金を取る部分では、AIが職員の代わりに記録・請求を完結するほど必要席数が減る。クラウド部門の売上内訳に正本の規制機能と画面課金の厳密な区別はなく、独立した解約率や値上げ実績も未開示だ。AI機能の投入自体は事実でも、AI専用の売上・受注金額が確認できるまでは、新しい成長源として数えない。
介護報酬改定と競合の値下げ
介護サービスの収入は公定価格と制度改正の制約を受け、事業所側にはシステム費用を削りたい動機がある。エス・エム・エスのカイポケ、NDソフト、ワイズマンが法改正への対応や連携APIを低価格で提供すれば、導入拠点の多い会社であってもシェアと単価の両方が落ちうる。データ連携標準化は業界全体の利益である半面、既存ベンダーの囲い込みを弱める。
M&Aのれんと再投資利回り
2022年以降、ジム、Ruby開発、海外の基幹システム支援会社へ買収対象を広げた。2025年ののれん約7.94億円は帳簿上の資産でも、買収先の超過収益が消えれば売却で回収できない。2024年には健康寿命延伸事業で約0.97億円の減損も生じた。2035年計画が示す累計265~420億円の投資に対し、投下資本利益率が資本コスト7.25%を超える証拠が必要である。
ジムの店舗家賃と更新費用
URBAN FIT24は健康増進を直接提供するためAIによる全面代替は起きにくい。しかし家賃、人員、内装、マシンの償却は会員が減っても直ちには減らない。会員数と店舗別損益は開示されておらず、FCへの移行は売上の計上方法を変える。新リース会計基準で負債の見え方も変わるため、純現金を額面どおりの自由資金と見ず、契約上の固定支出を確認したい。
関連当事者取引と少数株主の監督
2025年の有価証券報告書には、代表取締役の近親者が議決権を100%持つ団体とのジムのロイヤルティー等の取引約0.26億円が記載される。会社は市場価格を勘案した条件としており、その事実だけで不当取引とは言えない。ただし大株主の持分が集中する会社では、独立取締役による条件の審査や利益相反管理の開示が少数株主の取り分を左右する。
機密医療情報と情報連携障害
医療・介護情報は機微性が高く、漏えい、権限設定ミス、大規模なシステム障害が発生すれば、復旧費用だけでなく自治体・医療機関との信頼にも傷が付く。拠点間の情報共有が強みであるほど影響先は広がる。法令改正への対応費やセキュリティ監査の固定費が先に増え、値上げで転嫁できない場合にはクラウド事業の利益率が下がる。
買収による株主価値の希薄化
会社は追加の資金調達も成長戦略の一つとしており、将来の大規模買収が現金だけでなく新株発行で賄われる可能性がある。2017年には株数が増えた時期があり、過去の成長を一株当たりの増価と単純には同一視できない。本評価の既存株主取り分は現時点の株数を前提とし、具体的な大型増資が決まれば資本配分と持分希薄化を別途織り込む必要がある。
今後の分かれ目
- AIエージェントに課金する新商品について、年商と継続率が別途開示され、現行ID料金の減少を補っていたら
- クラウドの実現単価と10年後の数量前提を上方修正する。AI機能の発表だけでなく金額を伴う契約実績を条件とし、楽観側の確率を引き上げる。
- 有料ID数の減少が2年連続で確認され、1ID当たり売上でも埋められなかったら
- 中立の有料ID0.88倍が甘い可能性を検証し、やや悲観の数量と営業利益率に近づける。法人単位・成果単位への課金転換があるかも調べる。
- 医療・介護クラウドの解約率が年5%未満と確認され、制度改正後の値上げも実証されたら
- 正本・共同利用部分の堀をより強く評価し、全社の成長率上限と事業の持続性を見直す。単なる有料IDの伸び以上に重要な証拠となる。
- URBAN FIT24が2030年までに100店舗を達成し、出店後の現金投下利回りが7.25%を十分上回ったら
- ジムの44店舗という中立の前提を引き上げ、FCの実現単価を開示された直営・加盟店構成に応じて改める。利益率25%目標の達成状況も点検する。
- ジムの減損または大型M&Aののれん減損が再び発生したら
- 新規投資の増分ROICを下方修正し、買収による拡大を無条件に収益に足さない。悲観側の床ではのれんやソフトウェアを引き続き換金資産に含めない。
- 受託開発部門の人月が縮んでも案件単価と利益率が改善し、成果型収入が定着したら
- 工数0.65倍の中立前提を再評価する。ただし固定額・成果報酬による収益比率の公表と利益額の増加を条件とする。
- 第三者性に疑問が生じる関連当事者取引の増額、または株式を対価とした大型買収が決まったら
- 少数株主持分の保護、取引条件、取得会社の収益性を精査する。資本コストを恣意的に上げず、将来利益・還元・必要なら株主取り分に反映させる。
見ておくもの
- クラウドの有料ID・無料ID・導入事業所の四半期推移と、クラウド外部売上を有料IDで割った実現単価
- AI-OCR・音声記録・介護AISaaSの金額付き新規受注、継続契約と解約率、法人単位・成果単位の契約比率
- NDソフト、ワイズマン、エス・エム・エスとの導入拠点・介護請求処理の競争状況と規制共通化
- 医療・介護クラウドの営業利益率(2026年3Q累計46.1%)とセキュリティ投資・情報障害
- URBAN FIT24の直営・FC別店舗数、既存店会員数・会費・加盟料・閉鎖数と店舗別営業キャッシュフロー
- Ruby開発とTHE WORLD MANAGEMENTの稼働人月、成果報酬比率、部門営業利益
- 買収金額・のれん残高・減損・投下資本利益率・関連当事者取引額と独立役員の審査体制
- 2030年の売上100~120億円・営業利益35~40億円と、2035年の200~300億円・80~120億円目標の達成度
- 配当性向30%以上、累計還元115~180億円とM&A投資265~420億円の実行・現金への回収状況
倍率と資本コストの決め方
価格498円と純株数47,457,294株は添付の2026年10月22日基準で固定し、2035年の5つの時価総額を決めた後にだけ比較した。2025年9月期の営業利益16.1億円、純現金27.3億円を起点とし、2026年第3四半期は進捗の確認に使った。介護は有料ID、ジムは直営・FCを含む店舗、開発は外販人月の代理推計で数量と名目単価を分離し、AI代替を数量・価格と長期g=1%のみに反映した。資本コストは7.25%。中立~楽観のPERはROE・再投資利回り・長期gの正当化式を使用し、今の市場PERは使っていない。悲観の床は純現金とし、換金しにくいのれん・ソフトウェアを含めない。新リース基準でBSの負債表示が変わっても、家賃控除後の利益として10年を比較する。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%、株式リスクプレミアム4.5%を基本とし、純現金の厚さによる0.25ポイントの減額だけを加える。AI・買収・関連当事者取引は利益と確率で扱い、追加の資本コストに重ねない。