結論
アバントグループは、大企業の連結決算、経営管理、データ活用を支えるソフトウェアと専門サービスの会社である。筆者の結論は「割高」だ。連結決算ソフトDivaSystem LCAには本物の競争力があるが、グループ全体では人の工数と業務画面に依存する売上が大きく、AIエージェントの普及によって10年後の稼ぎ方が変わると考える。
同社の強さは数字に表れている。過去10年で売上高は約3倍になり、ROEの中央値は21.4%に達した。国内連結会計ソフトのパッケージ分野では44.7%のシェアを持ち、上場大企業の決算に深く入り込んでいる。純現金も約134億円あり、既存事業を守りながら製品を作り直す時間と資金を持っている。
ただし、2026年6月期の営業利益は売上成長ほど伸びなかった。経営管理ソリューション事業では利益が大きく減り、製品中心の事業への転換も道半ばである。生成AIが帳票作成、データ整形、分析画面の操作、システム構築を肩代わりするほど、従来の人月と利用席数をそのまま成長の物差しにはできなくなる。
10年後の中立では、連結決算ソフトの優位は残る一方、人月型の数量はおおむね3割減ると見る。確率を加えた現在の本質価値は約296億円で、基準時価総額約447億円を約34%下回る。会社の質が悪いのではない。優良な製品を持つ部分と、収益構造の作り直しが必要な部分を分けて考えると、今の評価にはなお楽観が残っている。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主にとって魅力的なのは、顧客が毎年必要とする決算業務に、繰り返し料金を受け取れる製品を供給している点だ。連結決算は景気が悪くても省けず、顧客の業務に組み込まれた仕組みは簡単には替えられない。ディーバの主力製品だけを取り出せば、かなり優れた事業である。
しかし、株主が所有するのはその製品だけではない。受託開発、データ整備、コンサルティング、操作画面型の業務ソフトも一緒に保有することになる。これらは、これまで高いROEを生み出してきたとしても、10年後には同じ人数や席数で対価を受け取れない可能性がある。過去の好成績と将来の競争優位を区別しなければならない。
資本の使い方については評価できる面が多い。財務に余裕があり、増配と自社株買いを実際に行っている。2026年6月期の大きな自社株買いは、余った資本を会社に抱え込まない姿勢を示した。ただし、現金を持つ会社の価値は現金の額だけでは決まらない。製品開発や買収で価値を生むのか、経営者の判断次第で株主の取り分は変わる。
筆者が警戒するのは、受託の生産性向上を顧客への値下げで渡し、自社には十分な利益が残らない事態だ。AIが仕事を短時間で終えるなら、同じ成果を従来と同額で売る契約に変える必要がある。ソフトウェア粗利益の成長と実際の価格改定が証明されるまで、全社を強い堀の会社として評価しない。安全域は、今後の変化をうまく乗り切るという期待ではなく、乗り切れなくても残る利益と資産から求めたい。
何で稼ぐ会社か
事業の柱は3つある。ディーバの連結決算開示事業、ジールのデジタルトランスフォーメーション推進事業、アバントの経営管理ソリューション事業だ。2026年6月期の売上高はそれぞれ約96億円、110億円、97億円だった。別に小規模な情報提供事業などがあり、グループ内取引を除いた連結売上高は約305億円となる。
最も価値が高いのはディーバのDivaSystem LCAである。大企業の子会社から数字を集め、連結調整、決算確定、監査対応へつなぐ。いったん会計方針とデータ構造を組み込めば、他社製品に切り替える際はソフトの交換だけでは済まない。同じディーバでも決算支援・業務受託は人の作業で対価を得る部分があり、ソフトの利用料とは経済性が違う。
ジールは企業のデータ基盤、BI、分析環境を構築し、導入後の運用を支える。Microsoftなどの製品を組み合わせる技術力が強みだが、案件ごとの設計、開発、検証に人手がかかる。アバントはAVANT Cruiseなどの自社製品に加え、CCH Tagetik、Oracleなどの外部製品も活用し、予算・業績管理と経営情報の可視化を請け負う。こちらもソフト利用料と導入コンサルティングが混在する。
会社はソフトウェア粗利益を戦略指標にしている。利用企業が増えれば追加原価の小さいソフトを伸ばし、人を増やさないと売上が増えない受託部分への依存を下げたいという狙いだ。方向は正しいが、ソフトと人月の詳細な年間数量・単価は十分には開示されていない。分析では四半期のソフト売上を年率換算し、残額を業務受託・導入支援として分離した。したがって製品別の数量と単価には推計誤差がある。
優良さと弱いところ
最大の堀、つまり競争相手が容易に奪えない強みは、連結決算の業務に組み込まれたDivaSystem LCAにある。ディーバによると累計導入実績は1,300社を超え、クラウドサービスの利用企業も500社を超えた。国内連結会計ソフトではパッケージ分野44.7%、SaaS・PaaS分野55.6%という高いシェアを持つ。大企業の決算、内部統制、監査の手順に組み込まれるため、単なる画面の使いやすさだけで選ばれる製品ではない。
過去の資本効率も高い。2026年6月期までの10年間で営業利益は着実に増え、ROEはおおむね20%前後を維持した。製造設備や在庫に多額の資金を縛られず、顧客の業務知識を再利用できることが、その源泉である。利益を事業に戻しても資本コストを上回る成果を出してきた点は評価できる。
ただし、連結決算ソフトの堀を全社に広げてはいけない。ジールのBI導入やアバントの経営管理コンサルティングには、優秀な人材と顧客関係という強みがある一方、独占的なデータや規制上の参入障壁は薄い。DivaSystem LCAについても、年間解約率、契約単価の継続的な引き上げ率、移行に必要な平均期間は確認できない。高いシェアだけを根拠に、永久に価格を上げられるとは判断しない。
2026年6月期には経営管理ソリューション事業の営業利益が前年から大きく減少した。売上を増やしても利益率が安定しない部分がある証拠だ。連結決算ソフトの強さは認めるが、全社の堀は「普通」とする。今後の増分投資が高い利回りを生むかどうかは、ソフトウェア粗利益が人件費の増加を上回って伸びるかで測りたい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
企業の連結決算、経営管理、データ分析への支出は長期的には必要性が高い。日本企業のグループ経営が複雑になるほど、決算の正確さと経営数値の把握は重要になる。国内の企業向けソフトウェア市場は2025年に約3兆円と推計されている。ただし、これは会計、業務基盤、分析などを含む広い市場であり、アバントグループがすべてを取りに行けるわけではない。
連結会計の狭い市場では、ディーバは有力な首位企業だ。DivaSystem LCAの推定年間売上約43億円を、パッケージ分野のシェア44.7%と比較すると、市場規模約96億円が粗い参考値になる。ただしソフトの売上定義と調査対象が完全には一致しないため、正確な市場規模ではない。SAP、Oracle、CCH Tagetikなどが競争相手となり、個社別の厳密なシェアは確認できない。10年後も連結決算の記録基盤そのものは必要だが、AIが入力・照合・資料作成を自動化すれば、人が操作する席数は減りうる。
データ分析領域の市場はもっと大きい。国内ビジネスアナリティクス市場は2025年に約8,830億円との推計がある。ジールの売上約110億円は、この広い市場に対して約1.2%に相当する参考値だ。ただし市場統計には自社ソフトや別種のサービスも含むため、直接の占有率ではない。Microsoft、SAP、Oracle、各種SI企業と競争し、分析画面やデータ加工の標準化が進むほど工数単価を守りにくくなる。
経営管理ソリューションでは、予算・業績管理を統合するEPM市場の拡大余地がある。Board、Anaplan、Oracle、SAP、CCH Tagetikなどが競合し、世界製品を組み合わせるアバントには導入支援の機会がある。ただし市場が大きくなっても、製品の所有者と導入業者では利益の取り分が違う。AIエージェントによって導入期間が短縮すれば、顧客には好材料でも人月収入には逆風となる。
向こう10年の争点は市場全体の成長率ではなく、作業量と価格の分配だ。連結会計の記録基盤には残存価値があるが、BIの画面操作、データ変換、資料作成、定型的な業務設計では作業時間が減る。アバントグループがその節約分を成果報酬や自社ソフトの継続課金として受け取れなければ、顧客の生産性向上と自社の売上成長は一致しない。
資本政策と M&A
中期経営計画「BE GLOBAL 2028」は、2028年6月期に売上高400億〜450億円、営業利益90億〜110億円、純利益60億〜70億円を目指す。ソフトウェア粗利益は55億〜60億円、ROEは20%以上、純資産配当率DOEは8%以上が主要目標だ。現在の実績からは利益の伸びがとりわけ高い計画であり、達成を既定事実にはできない。
成長投資と還元の配分にも変化がある。計画期間の資金配分は、成長投資160億円、株主還元90億円という方針に修正された。2026年6月期には約32億円の自社株買いを実施し、配当も約11億円を計上した。株数の減少と増配の実績があるため、余剰現金を少数株主に戻す意思は確認できる。
一方、買収と新製品開発は資本配分の試験になる。顧客基盤と独自ソフトを買えるなら高い利益率につながるが、人材の確保だけを目的に受託会社を高値で買っても、AI代替リスクは減らない。筆者は、買収件数よりも買収後のソフトウェア粗利益と増分投下資本利益率を重視する。現金約134億円のうち、契約負債約42億円と運転資金の余裕を除く約65億円を余剰と評価する。
10年の還元は、中立で累計170億円を想定する。これは利益の蓄積に合わせて配当と自社株買いを継続する場合であり、中期計画の数字をそのまま10年へ延ばしたものではない。業績が悪化する筋書きでは還元も減らし、帳簿上の現金を二重に株主価値へ加えない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
連結決算ソフトの強さは一時的なものではない。ディーバは国内のパッケージ分野で44.7%のシェアを持ち、クラウド分野でも過半を占める。大手企業の会計方針、監査対応、子会社の報告手順に深く入り込んでおり、多少安い競合製品が出ても容易には置き換わらない。AIが伝票の照合や資料の作成を自動化しても、正しい数字を確定させる記録基盤は必要だ。むしろ、AIを安全に使うための基準データを持つ製品の価値が高まる。
同社は顧客の財務部門と経営企画部門に接点を持っている。連結決算の周辺には、予算管理、業績分析、グループ管理、内部統制という隣接業務がある。製品を共通のデータ基盤にまとめられれば、競合が個別機能を安く売っても、顧客全体の切り替え費用は高くなる。既存顧客に新製品を追加販売できれば、新規開拓費用を抑えて利益を伸ばせる。
AIの普及も必ずしも売上減だけを意味しない。ジールの技術者が同じ人数で多くの顧客を支え、アバントの導入支援を短期化しても成果に応じて対価を受け取れるなら、利益率が上がる。人員を無制限に増やさずに売上を保てることは、従来の人月型モデルにはなかった魅力だ。
財務の厚さも重要である。純現金を持ち、株主還元を強化しているため、新製品の開発と既存株主への分配を両立する選択肢がある。中期計画が目指すソフトウェア粗利益の拡大に成功すれば、グループ全体の収益構造は数年前とは別のものになる。強みの中心をDivaSystem LCAから経営管理全体へ広げられる可能性は無視できない。
慎重な見方
高いシェアを持つのは主として連結会計ソフトであり、会社の売上全体ではない。ジールのデータ構築やアバントの導入支援は、専門家が何時間働くかによって収益が決まる部分が大きい。顧客がAIエージェントを利用してデータ整備や分析資料の作成を内製化すれば、発注する工数自体が減る。受託企業の生産性が上がっても、顧客が節約額の分配を求めれば単価は守れない。
連結決算の領域も無傷ではない。大企業が使う基幹システムやクラウド基盤には、SAP、Oracle、Microsoftなど巨大な製品群がある。AIが複数のシステムを横断して操作する時代には、独立した専用画面に払う料金の一部が不要になる。記録の正確さに対する需要は残っても、従来の席課金や周辺作業の数量は減る。ディーバのサービス収入も、ソフトそのものと同じ強さを持つとは限らない。
経営管理ソリューション事業の直近の業績は警告である。市場の成長性は高いと説明されているのに、売上の伸びは鈍く、営業利益は大きく落ちた。製品の投入、販売体制の変更、人材投資には時間がかかる。中期計画の利益目標を達成するには、需要が増えるだけでなく、製品化と利益率改善が同時に成功しなければならない。
資本政策にも難しさがある。自社株買いは株主に資金を返すが、成長率そのものを引き上げるものではない。資金を使って受託会社を買収した場合、将来の工数減少を引き受けることにもなりうる。今の高いROEが将来も続くと見て成長投資を重ねると、見た目の売上規模が大きくなっても株主の価値が増えないおそれがある。
どちらに重みを置いたか
連結決算の記録基盤については強い見方に分がある。高い国内シェアと大企業への導入実績は、10年先にも通用しうる競争力の証拠だ。一方、売上の相当部分を占める人月型サービスと操作画面型ソフトには、AI代替による数量減少を避けて通れない。現時点でAIを独立した高収益商品として大規模に販売した金額の裏付けも乏しい。中立の数量に代替リスクを反映したうえで、確率は上側28%、下側36%と少しだけ下に寄せた。純現金と還元実績は下支えとなるが、現行の時価総額を正当化するにはソフト収益への転換で追加の実績が必要だ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,236 円426 億円(+ 還元の換算額還元の合計 439 円151 億円)。 今の値に割り戻すと 960 円331 億円、今との差 −18.8%、 期待の年率 +4.1%(資本コスト 6.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 2,486 円857 億円 | 740 円255 億円 | +173.0% | +12.4% | 290 円100 億円 |
| やや楽観 | 19% | 2,031 円700 億円 | 595 円205 億円 | +122.2% | +9.7% | 499 円172 億円 |
| 中立 | 36% | 1,326 円457 億円 | 493 円170 億円 | +53.9% | +5.2% | 655 円226 億円 |
| やや悲観 | 24% | 532 円183 億円 | 276 円95 億円 | −31.7% | −4.4% | 194 円67 億円 |
| 悲観 | 12% | 178 円61 億円 | 131 円45 億円 | −73.9% | −14.9% | 37 円13 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,236 円426 億円 | 439 円151 億円 | +41.7% | +4.1% | 1,675 円577 億円 |
今の株価時価総額 1,182 円407 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 連結決算の基盤を守り、サービスの生産性も収益化 利益 48 億円 · PER 14.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,486 円857 億円
連結決算の記録基盤としてDivaSystem LCAが選ばれ続ける。会計方針、子会社データ、監査証跡の蓄積が切り替え障壁となり、顧客数を維持しながら物価に沿った価格改定を実現する。SAPやOracleが周辺機能を強化しても、日本企業の複雑な連結決算業務への適合力で競争力を保つ。
ジールはAIを用いてデータ基盤の構築期間を短縮する。顧客には短納期を提供しながら、成果に対する固定料金を維持できるため、必要な人年が減っても利益率が改善する。アバントでも自社ソフトと外部製品の組み合わせが定着し、経営企画部門への追加販売が増える。どちらの事業も売上数量そのものは今より少ないが、同じ仕事に必要な人件費を大きく削減できる。
2036年には営業利益が約70億円となり、高い利益率の主役はソフトウェアになる。中期計画で始めた製品開発の成果を複数の顧客へ横展開でき、過剰な買収に頼らずに稼げる。純現金を維持したまま配当と自社株買いを続け、株主還元も厚い10年になる。
- ディーバ:DivaSystem LCA・連結会計基盤:数量 900(年間稼働顧客数・社(推定))× 価格 0.06(年間顧客1社当たりソフトウェア売上・億円)→ 売上 57 億円・営業利益 30 億円。記録基盤型。稼働顧客は現在並みを維持し、単価は物価相当の1.34倍。営業利益率は製品の再利用性が高まる場合の上振れ。
- ディーバ:決算支援・BPO・導入保守:数量 360(年間請求可能な人年・人(推定))× 価格 0.15(人年当たり売上・億円)→ 売上 54 億円・営業利益 15 億円。人月型。請求工数は現在の75%、単価は1.34倍。自動化した成果を契約価格に残せる場合。
- ジール:データ基盤・BI導入・DX支援:数量 477(年間請求可能な人年・人(推定))× 価格 0.23(人年当たり売上・億円)→ 売上 111 億円・営業利益 20 億円。人月型。人年75%、単価1.34倍。成果報酬型への移行で利益率が上昇。
- アバント:経営管理ソフト・外部製品ライセンス:数量 630(年間稼働ライセンスの企業換算件数・件(推定))× 価格 0.04(企業換算ライセンス1件当たり年間売上・億円)→ 売上 26 億円・営業利益 8 億円。席・操作画面型。企業換算件数90%、価格1.15倍。製品統合と保守費削減で採算改善。
- アバント:経営管理コンサル・システム導入:数量 244(年間請求可能な人年・人(推定))× 価格 0.30(人年当たり売上・億円)→ 売上 72 億円・営業利益 12 億円。人月型。工数75%、単価1.34倍。作業削減を利益へ残すことに成功。
- その他:開示情報サービス・小規模事業:数量 90.0(年間契約の企業換算件数・件(推定))× 価格 0.06(企業換算1件当たり年間売上・億円)→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。情報サービス。契約換算75%、単価1.34倍。独自データの価値が残る。
倍率:資本コストk=6.75%、事業ROE約17.1%。通常の堀として超過ROEの残存割合を1/2とするが、AI代替を考慮した2036年以降の全社名目成長率g_longは0%。したがって正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=14.81倍を上限そのものに採用する。余剰現金65億円の税後利息相当0.91億円を純利益から控除して事業価値を求め、現金65億円を別に加える。
確率:ディーバの強い製品を維持しながら、ジールとアバントがAIで削減した工数の価値を成果報酬や継続契約として受け取る必要がある。既にその規模のAIエージェント商品売上が金額で証明されているわけではないため、工数数量は現状超にせず、確率を9%にとどめる。
やや楽観 19% 主力製品が堅調で、AIによるコスト削減が進む 利益 37 億円 · PER 14.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,031 円700 億円
ディーバは連結決算ソフトの国内首位級の地位を維持する。大企業のクラウド移行が進んでも、法定決算と監査対応に必要な基盤として残り、契約単価も物価に近い水準で上昇する。ただし、全顧客が従来どおりの席数と業務量を維持するわけではない。業務受託は徐々に自動化され、人手の提供量は減少する。
ジールではデータ基盤構築の単純作業が減るが、顧客固有の業務要件を整理する仕事は残る。アバントの経営管理製品も一定の顧客を確保し、導入案件の短期化を採算改善へつなげる。Microsoftや海外の経営管理ソフトとの競争は続き、ソフトの利用件数や人月売上を増やすほどの独占力は得られない。
10年後の営業利益は約54億円となる。2026年の利益をやや上回り、従業員当たりの生産性が高まることで売上より利益が残る形だ。経営は小規模な製品買収を活用する可能性があるが、大型買収による急拡大は前提にしない。配当と自社株買いは継続し、資本効率を保つ方向に経営が進む。
- ディーバ:DivaSystem LCA・連結会計基盤:数量 882(年間稼働顧客数・社(推定))× 価格 0.06(年間顧客1社当たりソフトウェア売上・億円)→ 売上 55 億円・営業利益 27 億円。記録基盤型。稼働顧客98%、単価1.32倍。国内首位級の立場を維持。
- ディーバ:決算支援・BPO・導入保守:数量 350(年間請求可能な人年・人(推定))× 価格 0.15(人年当たり売上・億円)→ 売上 53 億円・営業利益 12 億円。人月型。工数73%、単価1.34倍。業務自動化を収益性改善に利用。
- ジール:データ基盤・BI導入・DX支援:数量 464(年間請求可能な人年・人(推定))× 価格 0.23(人年当たり売上・億円)→ 売上 108 億円・営業利益 17 億円。人月型。工数73%、単価1.34倍。高難度案件への集中が進む。
- アバント:経営管理ソフト・外部製品ライセンス:数量 616(年間稼働ライセンスの企業換算件数・件(推定))× 価格 0.04(企業換算ライセンス1件当たり年間売上・億円)→ 売上 25 億円・営業利益 6 億円。席課金・操作画面型。件数88%、単価1.15倍。製品の追加販売で防衛。
- アバント:経営管理コンサル・システム導入:数量 228(年間請求可能な人年・人(推定))× 価格 0.30(人年当たり売上・億円)→ 売上 68 億円・営業利益 7 億円。人月型。工数70%、単価1.34倍。専門コンサルの価値が残る。
- その他:開示情報サービス・小規模事業:数量 84.0(年間契約の企業換算件数・件(推定))× 価格 0.06(企業換算1件当たり年間売上・億円)→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。情報サービス。件数70%、単価1.34倍。
倍率:資本コスト6.75%、事業ROE約13.4%。通常の堀では増分ROICを資本コストとROEの中間に薄める。ただし全社の長期名目成長率g_long=0%が制約となるため、正当化PERの上限は1÷6.75%=14.81倍。そこから手で割り引かず上限を採用する。純利益から余剰現金65億円の税後利息0.91億円を除き、現金65億円を別に足す。
確率:既存のディーバ顧客基盤は維持できる一方、受託工数を減らして利益率を守るという比較的現実的な成功の筋書き。ただしアバントの直近利益減少と製品転換の未達を踏まえ、楽観側へ大きく重みを移さない。
中立 36% 連結決算の堀は残るが、人月と操作画面の数量が減る 利益 22 億円 · PER 14.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,326 円457 億円
連結決算は2036年も必要な業務であり、DivaSystem LCAは日本の大企業向けに高い地位を保つ。決算確定の記録、監査証跡、会計方針の管理は簡単には消えない。もっとも入力、照合、帳票作成の多くはAIエージェントが行うようになる。ディーバの製品顧客数は緩やかに減り、業務受託の人年は約3割縮む。ソフト本体の価格は上げられても、周辺作業の数量減を完全には補えない。
ジールではデータ加工と分析画面の構築に必要な人手が減り、請求人年は現在の約3分の2となる。アバントも、経営管理の専門知識は売れるが、報告資料の作成やシステム設定の工数を従来どおりには請求できなくなる。海外製品への競争対応が続き、ソフトウェアの利用企業数も減る。市場全体のIT投資が増えても、同社が請求できる工数市場の取り分は小さくなる。
2036年の営業利益は約32億円と見込む。ディーバの記録基盤が利益の中心となり、全社のROEは過去の水準を下回る。経営は配当と自社株買いを継続するが、ソフトウェア粗利益が計画どおり伸びなければ、増配の速度は落ちる。優良な事業の一部を保有しながら、会社全体の成長力は低下する10年である。
- ディーバ:DivaSystem LCA・連結会計基盤:数量 837(年間稼働顧客数・社(推定))× 価格 0.06(年間顧客1社当たりソフトウェア売上・億円)→ 売上 49 億円・営業利益 19 億円。記録基盤型。顧客数93%、単価1.22倍。法定決算の継続需要はあるが席数増加は見込まない。
- ディーバ:決算支援・BPO・導入保守:数量 336(年間請求可能な人年・人(推定))× 価格 0.15(人年当たり売上・億円)→ 売上 49 億円・営業利益 7 億円。人月型。人年70%、単価1.30倍。業務支援の数量がAIで減少。
- ジール:データ基盤・BI導入・DX支援:数量 426(年間請求可能な人年・人(推定))× 価格 0.23(人年当たり売上・億円)→ 売上 97 億円・営業利益 13 億円。人月型。人年67%、単価1.32倍。BI・データ構築の作業量が縮小。
- アバント:経営管理ソフト・外部製品ライセンス:数量 560(年間稼働ライセンスの企業換算件数・件(推定))× 価格 0.04(企業換算ライセンス1件当たり年間売上・億円)→ 売上 22 億円・営業利益 4 億円。席・画面型。ライセンス企業換算80%、単価1.12倍。AI経由の利用が増える。
- アバント:経営管理コンサル・システム導入:数量 211(年間請求可能な人年・人(推定))× 価格 0.29(人年当たり売上・億円)→ 売上 60 億円・営業利益 4 億円。人月型。人年65%、単価1.29倍。高難度コンサル以外の工数が減る。
- その他:開示情報サービス・小規模事業:数量 78.0(年間契約の企業換算件数・件(推定))× 価格 0.06(企業換算1件当たり年間売上・億円)→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。情報サービス。件数65%、単価1.29倍。一般的な調査・検索作業が代替される。
倍率:資本コスト6.75%、2036年ROE約9.5%。資本コストを上回る部分について通常の堀の残存割合1/2を適用する。ただしAIエージェント代替によって10年より先の全社名目成長率g_longは0%と判断したため、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=14.81倍となる。上限そのものを用い、現在の市場PERを参照しない。純利益22.45億円から余剰現金65億円の税後利息0.91億円を差し引き、事業価値に余剰現金65億円を加える。
確率:2026年時点の競争優位と純現金は確かな一方、会社の売上の多くは人月と操作画面に依存する。DivaSystem LCAの高シェアを維持し、人月部分ではAI代替による数量減少を受ける展開を中心とする。悲観的なシェア崩壊を中立に含めず、36%を割り当てる。
やや悲観 24% AIへの移行で受託単価と顧客基盤が傷む 利益 6 億円 · PER 14.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 532 円183 億円
AIエージェントが複数の業務システムを横断してデータを集め、連結決算の準備や経営会議の資料作成を自動で進める。ディーバの記録基盤は残るが、周辺の受託作業は減る。海外製品との競争で値上げも限定的になり、専用ソフトの導入件数は緩やかに減少する。継続する仕事は法定決算と難度の高い例外処理に集中する。
ジールは顧客自身がAIを使って分析環境を作れるようになり、定型案件が減少する。高難度の統合案件では専門家が求められるが、会社全体の稼働人員を支えるだけの量はない。アバントでも経営管理ソフトの画面操作がAIに移り、ユーザー数を基準にした課金が弱くなる。受託企業同士が残る案件を奪い合い、競争入札の比率が上がる。
営業利益は約7億円まで低下する。ソフトウェアを保守する費用と本社費は売上ほど減らず、利益率を押し下げる。既存の資金があるため直ちに存続が危うくなるわけではないが、増配と自社株買いの規模は縮小する。現金の一部は新製品への投資や事業再編に使われ、株主が受け取れる額も現在の見かけほど大きくない。
- ディーバ:DivaSystem LCA・連結会計基盤:数量 783(年間稼働顧客数・社(推定))× 価格 0.05(年間顧客1社当たりソフトウェア売上・億円)→ 売上 43 億円・営業利益 12 億円。記録基盤型。顧客数87%、単価1.15倍。競争で値上げ余地が縮む。
- ディーバ:決算支援・BPO・導入保守:数量 278(年間請求可能な人年・人(推定))× 価格 0.13(人年当たり売上・億円)→ 売上 37 億円・営業利益 3 億円。人月型。工数58%、単価1.20倍。固定的な専門人件費が残る。
- ジール:データ基盤・BI導入・DX支援:数量 350(年間請求可能な人年・人(推定))× 価格 0.21(人年当たり売上・億円)→ 売上 74 億円・営業利益 6 億円。人月型。工数55%、単価1.22倍。顧客の内製化が加速。
- アバント:経営管理ソフト・外部製品ライセンス:数量 504(年間稼働ライセンスの企業換算件数・件(推定))× 価格 0.04(企業換算ライセンス1件当たり年間売上・億円)→ 売上 18 億円・営業利益 1 億円。席・画面型。件数72%、名目単価は据え置き。
- アバント:経営管理コンサル・システム導入:数量 179(年間請求可能な人年・人(推定))× 価格 0.27(人年当たり売上・億円)→ 売上 48 億円・営業利益 1 億円。人月型。工数55%、単価1.20倍。導入案件の価格競争が激化。
- その他:開示情報サービス・小規模事業:数量 66.0(年間契約の企業換算件数・件(推定))× 価格 0.05(企業換算1件当たり年間売上・億円)→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。情報サービス。件数55%、単価1.20倍。
倍率:2036年ROE約2.7%が資本コスト6.75%を下回る。超過利益はなく、長期名目成長率も0%であるため、事業価値の上限を稼ぐ力1÷k=14.81倍で評価する。純利益6.31億円から、やや悲観時に残る余剰現金48.75億円の税後利息約0.68億円を差し引き、その余剰現金を別に加える。現金は事業再建のため一部消費される想定。
確率:経営管理ソリューション事業では既に利益の大幅減少が起きており、製品への転換には実行の難しさがある。加えてデータ基盤構築の工数削減は顧客の明確な利益となるため、同社が料金を維持できない可能性を24%と評価する。
悲観 12% 作業量が半減し、ソフトの堀も一部崩れる 利益 −8 億円 · PBR 0.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 178 円61 億円
海外の基幹システムとAIエージェントが連結決算や経営管理を一体で処理するようになる。DivaSystem LCAは複雑な国内グループの一部に残るが、新規顧客を獲得する力は弱まり、保守料の値上げも難しくなる。連結決算を支援するBPOでは、入力・照合・資料準備の大半が自動化され、従来の請求工数の半分以上が消える。
ジールでは、クラウドとAIの標準機能で済む案件が増える。アバントの経営管理ソフトも独立した画面を使う理由が弱まり、外部製品の販売利益が圧迫される。人員削減には時間と費用がかかり、残った高難度案件も競争が厳しい。業務効率化による利益率の改善より、受注価格の低下と固定費の負担が先に表れる。
2036年には連結売上が現在のおよそ半分になり、営業赤字となる。自社ソフトの開発投資や小型買収の失敗によって現金の一部も失われる。取引先の資金を除いた清算可能な現金と売却可能資産が最終的な下支えとなり、過去に積み上がった自己資本のすべてを株主価値として回収できるわけではない。配当は縮小し、自社株買いも停止に近づく。
- ディーバ:DivaSystem LCA・連結会計基盤:数量 765(年間稼働顧客数・社(推定))× 価格 0.05(年間顧客1社当たりソフトウェア売上・億円)→ 売上 42 億円・営業利益 9 億円。記録基盤型。顧客数85%、単価1.15倍。独立製品の地位が弱まり保守費が相対的に重い。
- ディーバ:決算支援・BPO・導入保守:数量 202(年間請求可能な人年・人(推定))× 価格 0.11(人年当たり売上・億円)→ 売上 23 億円・営業利益 0 億円。人月型。工数42%、名目単価据え置き。人件費を削減しても利益がほぼ残らない。
- ジール:データ基盤・BI導入・DX支援:数量 273(年間請求可能な人年・人(推定))× 価格 0.17(人年当たり売上・億円)→ 売上 47 億円・営業利益 −1 億円。人月型。工数43%、単価据え置き。標準化と内製化で採算悪化。
- アバント:経営管理ソフト・外部製品ライセンス:数量 420(年間稼働ライセンスの企業換算件数・件(推定))× 価格 0.04(企業換算ライセンス1件当たり年間売上・億円)→ 売上 15 億円・営業利益 0 億円。席・画面型。件数60%、単価据え置き。海外統合製品に需要を奪われる。
- アバント:経営管理コンサル・システム導入:数量 146(年間請求可能な人年・人(推定))× 価格 0.22(人年当たり売上・億円)→ 売上 32 億円・営業利益 −2 億円。人月型。工数45%、単価据え置き。リストラ費用と低稼働率が重なる。
- その他:開示情報サービス・小規模事業:数量 50.4(年間契約の企業換算件数・件(推定))× 価格 0.04(企業換算1件当たり年間売上・億円)→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。情報サービス。件数42%、単価据え置き。検索・調査の多くが代替される。
倍率:10年後に営業赤字で純利益もマイナスとなるため、利益倍率による永続価値を与えない。今の自己資本145.7億円を基準に、資産回収価値に近い約0.42倍を採用する。将来の蓄積自己資本212.1億円には倍率を掛けない。純現金134億円から契約負債、運転資金、10年間の事業再編や現金流出を考慮し、回収可能な資産を別途約52億円と推計する。過去の株価や谷のPBRを倍率の根拠には用いない。
確率:人月市場の急縮小と専用ソフトの競争力低下が同時に起こる厳しい筋書き。連結決算の記録基盤そのものは残ること、純現金が厚いことから存続不能の確率は高く見ない。ただし技術的な置き換えが10年で非連続に進む可能性を12%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ディーバ:DivaSystem LCA・連結会計基盤
連結決算、開示、監査対応に用いる中核ソフトウェア。法定決算に使う記録基盤であり、単純な画面操作ソフトより切り替え障壁が高い。
| 数量年間稼働顧客数・社(推定) | 価格年間顧客1社当たりソフトウェア売上・億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 900 | 0.05 | 43 | 20 |
| 10 年後 中立 | 837 | 0.06 | 49 | 19 |
取り方:会社の2026年6月期決算説明資料にある第4四半期のDivaSystem LCA売上約10.70億円を4倍し、年間売上約42.8億円と推計した。これは会社が公表した製品別通期売上ではなく、四半期の年率換算である。累計導入1,300社超、クラウド利用500社超という公表値の間で、現在稼働する顧客を900社と仮定した。単価は年約476万円の推定値。ディーバ全体の売上96.48億円、営業利益29.23億円の一部を構成すると仮定し、営業利益20億円を配分した。AI代替の分類は『記録の正本』とする。連結決算の法令・監査対応と、グループ各社の会計データを長く運用する業務上の切り替え障壁を根拠とする。ただし低解約率の数値や移行年数の直接開示は確認できないため、強さを過大評価しない。
ディーバ:決算支援・BPO・導入保守
連結決算業務の受託、顧客への導入支援、保守など。ソフトの利用権だけではなく、会計実務者と技術者の作業が売上に結びつく。
| 数量年間請求可能な人年・人(推定) | 価格人年当たり売上・億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 480 | 0.11 | 54 | 9 |
| 10 年後 中立 | 336 | 0.15 | 49 | 7 |
取り方:ディーバの開示セグメント売上96.48億円から、LCAソフト売上の年率換算42.80億円を差し引いた残額53.68億円を置く。ディーバのセグメント営業利益29.23億円からソフトへの推定配分20億円を差し引く。年間480人年は社員生産性と作業内容からの推定で、会社の正式な請求人員ではない。導入保守には非人月部分も含むため、すべてを純粋なBPO売上と断定しない。AIエージェント代替の分類は、人月・工数で売る業務受託とする。
ジール:データ基盤・BI導入・DX支援
企業のデータ統合、可視化、分析システムの構築、導入と運用。外部ソフトの選定・設定と顧客向けの技術サービスを含む。
| 数量年間請求可能な人年・人(推定) | 価格人年当たり売上・億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 636 | 0.17 | 110 | 17 |
| 10 年後 中立 | 426 | 0.23 | 97 | 13 |
取り方:2026年6月期のジールの開示売上110.22億円、営業利益17.17億円を使用。開示された従業員1人当たりの利益水準を参考に約636人年へ換算したが、売上に含まれるソフト再販と請求可能稼働率の差は未分離である。年間の人年単価約1,733万円は分析用の代理値である。AIエージェント代替の分類はSI・データ整備の人月型とし、ソフトウェア販売部分も保守的に同じ収益モデルへ含める。
アバント:経営管理ソフト・外部製品ライセンス
AVANT Cruiseなどの自社経営管理ソフトと、CCH TagetikやOracleなどの外部製品の導入・利用にかかわるソフトウェア収入。
| 数量年間稼働ライセンスの企業換算件数・件(推定) | 価格企業換算ライセンス1件当たり年間売上・億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 700 | 0.04 | 25 | 6 |
| 10 年後 中立 | 560 | 0.04 | 22 | 4 |
取り方:2026年6月期決算説明資料の第4四半期におけるLCA以外の自社ソフト約2.77億円と外部ベンダー製品約3.43億円の合計を4倍して24.80億円と推計した。これは全社の四半期製品分類をアバント部門へ便宜的に帰属させた推定であり、厳密な会社別内訳ではない。企業換算700件も未開示の推定。AIエージェント代替の分類は席課金・操作画面型の業務ソフトとする。グループ全体の記録基盤と同じ堀を無条件には認めない。
アバント:経営管理コンサル・システム導入
予算・実績管理、経営情報の設計、業績管理基盤の導入と定着支援。コンサルタントや技術者の作業時間が収益の源泉となる。
| 数量年間請求可能な人年・人(推定) | 価格人年当たり売上・億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 325 | 0.22 | 72 | 5 |
| 10 年後 中立 | 211 | 0.29 | 60 | 4 |
取り方:2026年6月期のアバントの開示売上96.85億円から、ソフトウェア推定売上24.80億円を差し引いて72.05億円とした。セグメント営業利益11.29億円からソフトへの推定配分6.20億円を差し引く。325人年は専門コンサルタントの稼働人数についての推定であり、正確な請求工数は未公表。AIエージェント代替の分類はコンサル・SIの人月型とする。
その他:開示情報サービス・小規模事業
企業開示情報の提供など、グループの小規模な情報・サービス事業。情報検索や加工を含むためAIによる代替の影響を受ける。
| 数量年間契約の企業換算件数・件(推定) | 価格企業換算1件当たり年間売上・億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 120 | 0.04 | 5 | 1 |
| 10 年後 中立 | 78.0 | 0.06 | 4 | 0 |
取り方:2026年6月期のその他事業の開示売上5.31億円、営業利益1.04億円を使用。実際の契約数・単価は開示されていないため、企業換算120件と年442.5万円に分けた推定である。情報サービス・調査サービスのAIエージェント代替に該当するとみなし、顧客が独自データを求める場合だけ残ると考える。
リスクと懸念
AIエージェント代替による人月・工数の縮小
最大の長期リスクである。ジールのデータ整形、BI構築、アバントの経営管理導入、ディーバの決算BPOでは、人が行う作業量が料金の基礎になる。AIが同じ仕事を短時間で終えれば、顧客が購入する人月そのものが減る。成果に応じた料金へ転換できなければ、従業員の生産性が高まっても売上は減少する。
連結会計ソフトの独立性低下
DivaSystem LCAの国内シェアは高いが、SAP、Oracleなどは会計基盤とAI機能を一体で提供できる。顧客が基幹システム側で連結処理まで済ませるようになれば、専用製品の新規導入と更新単価が圧迫される。監査に必要な記録が残ることと、同じ製品が同じ料金で使われることは別問題である。
中期計画の利益目標と実行力
BE GLOBAL 2028はソフトウェア粗利益と営業利益の大幅な拡大を目指す。しかし2026年6月期の経営管理ソリューション事業は利益が大きく減った。新製品の開発、販売方法の変更、優秀な人材の採用には費用と時間がかかる。市場の成長を取る前に固定費が増えれば、売上増加と利益増加が結びつかない。
ソフトウェア売上の内訳と解約率の不透明さ
会社はソフトウェア粗利益を重視しているが、製品ごとの年間稼働顧客数、継続率、平均単価の長期推移には十分な開示がない。累計導入社数は現在の有料契約数と同じではない。投資家がストック型収益の質を過大評価すると、席数の減少や値下げ圧力を見逃すおそれがある。
買収と新製品開発で現金の価値を失う可能性
豊富な純現金は強みだが、少数株主が自由に引き出せるわけではない。人月型事業を高値で買収したり、利用が広がらないソフトの開発を続けたりすれば、帳簿上の余剰資金は減る。買収後の売上より、ソフトウェア粗利益と追加投資に対する利益率を確かめる必要がある。
人件費・本社費・リース費用の固定性
AIによって作業工数が減っても、専門社員の採用費、給与、オフィス費用、クラウド利用料、本社費はすぐには減らない。2026年6月期のセグメント外費用は約12億円ある。新リース会計基準では賃借契約が貸借対照表上にも表れやすくなるが、経済的な支払義務は以前から存在する。売上減少時には固定費の重さが利益を急速に削る。
今後の分かれ目
- DivaSystem LCAの有料稼働顧客数と契約単価がともに継続して増えたら
- 記録基盤の堀が広がっていると判断する。連結決算ソフトの数量、価格と長期成長率を引き上げ、楽観側の確率を増やす余地がある。
- ソフトウェア粗利益が2028年の会社目標55億〜60億円に近づいたら
- 人月から自社製品への転換が進んだ証拠とする。利益率と増分投下資本利益率を再計測し、全社の価値を上方修正する。
- ジールの売上が伸びても、請求工数の減少で粗利益が縮み始めたら
- AIエージェント代替が販売単価にも波及したと判断する。データ構築の実質数量と営業利益率を引き下げ、やや悲観の確率を高める。
- アバントの経営管理ソリューション事業で利益率が再び2桁台後半へ回復したら
- 2026年の減益が構造問題ではなく転換費用だった可能性が強まる。ソフトと導入支援の採算を分けて確認し、改善が継続すれば中立の利益を上方修正する。
- 自社株買いと増配が続き、純現金の減少額が株主還元額で説明できたら
- 余剰現金の株主への戻り方1.0を維持する。一方、買収や開発費による現金減少が続く場合は、現金の追加価値と将来還元額を見直す。
- 大企業が連結決算処理を基幹システムやAIエージェントへ本格的に移し始めたら
- DivaSystem LCAの高い国内シェアだけでは堀が守れないと判断する。記録基盤部分の数量と価格を下げ、悲観の資産回収価値を重視する。
見ておくもの
- DivaSystem LCAの有料稼働顧客数、クラウド契約数、解約率、年間契約単価
- 連結会計ソフトの国内パッケージ・SaaS分野シェアとSAP・Oracleなどの導入動向
- ソフトウェア粗利益の四半期推移と2028年目標55億〜60億円への進捗
- ディーバ、ジール、アバントの個別売上・営業利益・受注残高
- ジールとアバントの従業員当たり粗利益と成果報酬型契約の割合
- AIエージェント商品の実際の売上高、顧客数、既存受託契約の置き換え率
- 純現金、契約負債、自社株買い、DOEと買収後の増分利益率
- 本社費、研究開発費、減価償却費、新リース会計基準適用後の固定支払義務
倍率と資本コストの決め方
評価の出発点は2026年6月期の3事業の売上と利益であり、現在の株価や同業PERを使って将来の倍率を決めていない。ソフト売上は四半期実績の年率換算、人月は社員生産性からの推定で、売上の会社間取引消去約4.05億円も認識した。2036年の本社費は現在の約11.76億円から物価を反映した15.76億円とした。減価償却費は現在約4.17億円で、既存資産の償却を単純に物価で増やさず、新規ソフト・設備投資による追加分を含めて10年後は約5億円程度とみる。設備更新の現金支出は償却費より大きくなる場合がある。2028年6月期以降の新リース会計基準による表示変更は経済価値と区別する。正当化PERは資本コスト6.75%とAI代替後の長期名目成長率0%から算出した上限をそのまま採用した。中立の現在価値は、今の時価総額に合わせず計算した結果、約296億円となった。
資本コスト 6.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%を起点とし、事業の安定性-0.5%、純現金-0.25%を反映した6.75%。個別のAI代替や計画未達のリスクは資本コストに重ねず、数量、利益率、長期成長率と確率に反映する。