結論
インフォメティスは、電気の使われ方をデータから読み解き、電力会社や住宅設備メーカーの業務に役立てる技術企業である。長く持つ株主の立場では、現在の時価総額約19.1億円をやや割高と判断する。10年先の事業価値には上振れの余地があるものの、その実現までに必要な開発費と資金調達が大きく、今の株主が成長の成果をすべて受け取れるわけではない。
同社の魅力は、電力使用量の波形から機器別の消費を推定するNILM技術にある。東京電力グループとの合弁事業に加え、中国電力、四国電力、関西電力、九州電力との協業が広がっている。2026年から始まった次世代スマートメーターの更新は、家庭の見守り、配電網の安全管理、電力需給調整という新しい用途を生み出す可能性がある。単なる画面表示ソフトから、電力インフラの運用を支える事業へ変わることができれば、会社の姿は大きく変わる。
しかし、技術の有用性と株主に帰属する利益は別問題である。2025年12月期は売上高約5.3億円に対して営業損失約6.3億円を計上し、2026年上期も赤字が続いた。大口顧客との契約終了で継続収益が減り、第9回に続いて第10回新株予約権による調達が必要になった。会社の2030年計画は売上高65.12億円という意欲的なものだが、契約の実数、単価、継続率、現金収支の裏付けはまだ不足している。
筆者が重視するのは、電力会社との協業が有料の継続契約に変わる速度である。10年後の中立では、新しいスマートメーター関連サービスが育ち、年間売上高は約29億円、純利益は約4億円に達する。ただし、技術競争、既存の受託開発に対するAIエージェント代替、追加増資を含めて評価すると、確率加重した現在価値は約15.4億円となる。現在の約19.1億円との差は約マイナス19%であり、事業の将来性を認めても株式の安全域は十分ではない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主が最初に確かめたいのは、10年後にも顧客がお金を払い続ける理由である。電力の安定供給、停電や設備異常の予防、家庭用蓄電池の制御は、社会に必要な仕事として残る可能性が高い。しかし、必要な仕事が存在することと、その仕事をインフォメティスが独占的に請け負い、高い利益率を保てることは別だ。電力会社が求める解析精度と安全性を維持し、更新費用を回収しながら長期契約を継続できるかが本質となる。
技術企業を見る際には、研究開発費とソフトウェア投資を引いた後に株主が自由に使える現金を重視したい。同社は、すでに開発したソフトをほぼ無償で複製できるという利点を持つ反面、電力機器の仕様変更、データ連携、顧客ごとの実装、制度改正への対応を続けなければならない。2026年上期にも営業キャッシュ・フローは赤字で、無形固定資産への投資が続いた。将来の高い利益率をそのまま余剰現金の発生とみなすことはできない。
もう一つの審査は、利益を再投資したときの増分利回りである。DRやスマートメーター解析の顧客を増やす追加投資が少額で済み、既存システムを多数の電力会社へ横展開できれば、投下資本利益率は資本コストを大きく上回る可能性がある。反対に、契約を取るたびに専任技術者と新規開発が必要なら、売上成長が利益成長につながらない。現時点では、その分岐を判断するだけの契約単位の収益性が開示されていない。
現在の時価総額は、会社の将来を全面的に否定するほど高くはない。それでも、まだ資金調達を繰り返している会社を10年間持ち続けるには、安全域が必要だ。新株予約権の行使後も利益が旧株主にどれほど帰属するかを考えると、期待だけで支払える金額は限られる。筆者は電力解析という市場を評価するが、株式の本質価値については、持続的な黒字と現金創出が確認できるまで慎重な評価を維持する。
何で稼ぐ会社か
同社は2013年にソニー由来の電力解析技術を事業化して生まれた企業である。核となるNILMは、電力使用量の時系列データを分析し、家電や設備の稼働状態を推定する技術だ。専用の計測器を各家電に付けなくても情報を得られるため、家庭の省エネや高齢者の見守り、電力需要の予測に使える。現在の報告セグメントはエナジー・インフォマティクス事業の単一セグメントであり、以下の七つの販売単位は10年先を考えるために分解したものである。
既存の収入源は、住宅向けの「ienowa」「enenowa」「hitonowa」などを含むスマート・リビングサービス、電力小売事業者向けの「BridgeLAB DR」、電力センサーなどの機器販売、そして電力データ活用に関する受託開発である。住宅向けは住宅設備メーカーや電力関連事業者を通じて提供される。DRはデマンドレスポンスの略で、電力の需給が逼迫する時間帯などに家庭用蓄電池や給湯機器の動作を調整し、電力会社の調達費用を抑える仕組みだ。
次の成長領域は、次世代スマートメーターを使った配電網の安全管理と、家庭・法人向けの電力診断である。電力会社がメーターを設置するだけで売上が発生するわけではなく、解析サービスの採用と課金契約が必要になる。会社は2030年までの急拡大を計画しているが、2025年時点の当該売上はまだ本格化していない。国内の電力センサー販売と開発受託は、サービスの導入を先行して支える役割も持つ。
海外では英国子会社を通じ、ヒートポンプと電力データを組み合わせたエネルギーマネジメントを展開する。ダイキンとの協業を足場として、ドイツ、フランス、イタリアなどへの進出を検討している。ただし、英国での事業化と欧州大陸での商業契約は同じではない。2025年の海外売上はまだ小さく、現段階では巨大な欧州市場の存在を、そのまま同社の将来収入とみなすべきではない。
2025年の売上構成を開示区分から整理すると、国内プラットフォーム・アプリが約3.00億円、国内の開発受託などが約2.02億円、国内機器販売が約0.15億円、海外が約0.13億円である。継続契約から収入を得る部分と、人の工数や開発案件で稼ぐ部分が混在している点が重要だ。前者は顧客が増えるほど利益率を高めやすい一方、後者は人件費の上昇やAIによる開発工数の圧縮を受けやすい。
優良さと弱いところ
技術的な強みは確かにある。NILMの解析技術を電力会社の実務に組み込み、東京電力グループとの合弁会社エナジーゲートウェイを通じて住宅設備向けサービスを展開している。2026年には旧一般電気事業者10社のうち5社との協業関係を説明しており、机上の技術ではなく実際の電力事業者に使われる段階まで進んだ。電力需要予測と機器制御を結ぶ現場経験は、新規参入者にとって一定の障壁になる。
ただし、これを強固な独占的競争優位と認めるには証拠が足りない。業界で他社への乗り換えに何年かかるか、年間解約率がどれほど低いか、値上げを継続して通せたかという定量的な実績は確認できない。むしろ2026年3月末には大手賃貸事業者向け契約が終了し、2026年上期の年間経常収益は前年同期を下回った。技術的な評価と顧客を長期間つなぎ止める力を同一視してはいけない。
電力会社との協業は参入障壁にも交渉上の弱みにもなる。電力会社は需要データ、顧客への接点、配電設備、規制対応の主体を握っており、同社が価値の高い機能を開発しても、収益の取り分を自由に決められるわけではない。共同開発した技術を電力会社自身や他のシステム会社が取り込む可能性もある。競争優位の中心は独占的な顧客基盤ではなく、解析精度、電力設備との接続実績、運用ノウハウの組み合わせにある。
資本効率の実績は弱い。2024年に一度黒字化したものの、2025年は大幅赤字へ戻った。2026年上期の売上総利益率は改善したが、販管費に加えてソフトウェア開発投資が続き、営業活動と投資活動の双方で現金が流出している。新しい契約を獲得しても、その収入を得るために毎年多額の研究開発と機能更新が必要なら、会計上の利益ほど株主の取り分は増えない。現時点の堀は弱めと判断し、拡大の可能性を強気の筋書きに残す。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の電力市場では、再生可能エネルギーの変動、データセンターの電力需要、電力小売事業者の調達費用の変動が、需要予測とデマンドレスポンスの価値を高めている。電力の使用量そのものが10年で急増する必要はない。使う時間をずらすことや、送配電網の異常を早く見つけることによって、電力会社の費用を減らせればサービスに対価が生まれる。この点で、同社の市場は一般的な業務SaaS市場よりも電力設備、制度、実際の運用成果に強く左右される。
市場の具体的な数量基盤は、全国で約5,600万件規模の低圧スマートメーターである。次世代への更新が2026年から順次進むため、データ解析の対象となり得る設備は広い。ただし、全国のメーター全件を同社が解析することは競争上も契約上も考えにくい。1件当たり月額6円と仮定すれば、全国全件でも年間約40億円のサービス市場に相当する。単価6円は会社の目標から参考にした試算条件であり、業界全体で確定した料金ではない。
電力小売の側には、2026年秋時点で登録小売電気事業者が800社を超えるという広い潜在顧客群がある。BridgeLAB DRの累計申込社数が30社を超えたことは営業上の進展だが、申込社数と有料契約社数、年間売上高を混同してはいけない。仮に823社を母数としても、30社は事業者数の約3.6%にすぎず、売上シェアを意味しない。各社が複数の制御メニューを採用する余地はある一方、実際の利用量が少なければ成果報酬は伸びない。
競争相手には、自社の制御基盤を電力会社や蓄電池メーカーへ提供するShizen Connect、電力需要家との接点を持つエネチェンジ、電力会社の内製部門、大手システム開発会社、海外のエネルギー管理ソフト企業などがある。エネチェンジとは2026年10月に販売提携を発表しており、競合になり得る機能を持つ企業が販路上の協力先にもなる構図だ。関連市場の統一的な売上シェア統計は確認できず、特定企業の市場支配率を数字で断定できない。
AIは需要と競争の双方を変える。AIデータセンターによる電力需要の増加は需給調整の価値を高めるが、汎用AIエージェントは電力の可視化画面、レポート作成、開発受託、需要予測の周辺作業を安く代替できる。最終的に守られやすいのは、電力会社の本番環境に接続し、安全な制御と精算を継続して担う部分だ。NILM解析そのものが国際標準化に関与した実績は評価できるが、標準への採用は他社を排除する独占権とは異なる。
資本政策と M&A
資本政策で最も注意したいのは、成長投資を既存株主の希薄化によって賄う状態が続いていることだ。2026年上期には第9回新株予約権の行使による資金調達で自己資本が増えた。その後、7月に最大140万株となる第10回新株予約権を発行し、10月15日には下限行使価額を437円から313円に引き下げた。株式を発行して現金を得ること自体は悪ではないが、安い価格で繰り返し発行すれば、将来の利益が増えても今の株主の取り分は減る。
2025年11月公表の中期経営計画は、2030年12月期に売上高65.12億円、経常利益30.58億円を目指す。途中の2026年計画は売上高8.45億円、経常損失約3.50億円であり、2027年には売上高14.93億円、経常利益約2.05億円への転換を見込む。2030年の売上構成はストック型収入81%、フロー型収入19%という目標だ。目標が達成されれば資本配分の問題は大きく改善するが、利益水準が飛躍的に変わる計画であり、過去の実績だけで信頼できる約束とはいえない。
配当性向、DOE、総還元性向、自社株買いの具体的な金額について、中期計画に数字の約束はない。2025年の配当実績と2026年の配当予想はいずれもゼロであり、直近5年に継続的な増配や大規模な自己株買いを確認できない。利益が安定するまでは研究開発、借入返済、運転資金を優先するのが自然だが、その資金が資本コストを超える利益につながったかを毎年検証する必要がある。
買収による成長より、東京電力グループとの合弁、電力会社との共同開発、海外子会社による事業展開が中心である。エナジーゲートウェイの持分法利益は業績を支える一方、その利益を親会社が自由に現金として回収できるとは限らない。現時点で発表済みのTOB、MBO、上場廃止予定は確認していない。継続企業の前提に関する注記もないが、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象等は会社自身が認識しており、両者を区別して評価する。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
電力市場は同社にとって、創業以来で最も大きな機会を迎えている。次世代スマートメーターの設置が始まり、電力会社が保有するデータを配電網の管理や家庭の機器制御に直接使えるようになる。日本では多数の電力会社が同時期に更新を進めるため、一社で実証した技術を別の地域へ横展開できる可能性が高い。東京電力グループとの合弁事業に加えて、中国電力、四国電力、関西電力、九州電力との協業を確保したことは、他の小規模なソフト会社には簡単にまねできない販売実績になる。
BridgeLAB DRには、小売電気事業者の収益改善という明確な用途がある。再生可能エネルギーの発電量が大きく変わる時間帯や、データセンターの消費が増える局面では、蓄電池や給湯機器を制御できる価値が高まる。2026年10月には累計申込社数が30社を超え、エネチェンジとの提携で営業経路も増えた。単発の開発案件から継続的な成果報酬へ移行すれば、契約社数の拡大とともに利益が積み上がる。
海外にも成長余地がある。ダイキンとの協業を活用して英国のヒートポンプ向け解析を広げ、その実績を欧州大陸へ持ち込めれば、国内電力会社への依存を下げられる。英国で収益化した技術を欧州の設備メーカーへ横展開できれば、地域ごとに一から研究開発する負担も減る。2030年の会社目標は高いが、ソフトウェアの複製費用が小さいという特徴を生かせれば、売上拡大の後半で利益が急増する構造は十分に考えられる。
強い事業が成立すれば、現在の赤字は過去の投資負担として意味が変わる。新株発行によって確保した資金が高採算の継続契約へ変わり、2030年代前半に多額の現金を生み始める可能性がある。その場合、既存株主の取り分が多少薄まっても、会社全体の価値の拡大がそれを上回る。重要なのは、今の赤字を永久に続くものと考えず、実際に始まった電力会社との協業がどこまで収益化するかを判断することだ。
慎重な見方
同社には、優れた技術があっても利益を獲得できないという危険がある。2024年にようやく黒字化した後、2025年には大口顧客との契約終了などで売上が急減し、多額の赤字に戻った。顧客が一度契約を始めれば長期間解約しないという証拠は、これによって大きく弱まった。2026年上期のARRは前年同期比で減少しており、将来のストック収益が既に安定したとはいえない。
電力会社との提携発表は重要だが、提携先の数は利益を保証しない。電力会社は顧客基盤とデータの管理主体を握り、競合するシステム会社への発注や内製化を選べる。電力データの国際標準化が進めば、特定企業にしか実装できない技術はむしろ減る可能性がある。Shizen Connectなどが機器制御の実績を積み、大手企業が解析機能を標準搭載すれば、同社は受託開発と低い手数料の部分に押し込まれかねない。
資金調達にも厳しい問題がある。2026年上期の営業活動による現金流出は前年同期より大きく、その後も追加の新株予約権が発行された。10月には行使価額の下限を引き下げており、当初期待した価格で資金を集めにくい状態が明らかになった。会社の価値が将来増加したとしても、新株を大量に発行した後であれば、当初の株主に帰属する部分は小さくなる。
2030年の会社目標は、2025年実績から見て売上と利益の両方に極めて大きな飛躍を求める。次世代スマートメーターの設置時期は電力会社が決めるため、解析サービスの採用が遅れても自社だけでは解決できない。英国での事業化を欧州大陸全体の商用契約と見なすこともできない。開発投資が続く間に一般的なAIエージェントが可視化や受託開発を安く代替すれば、利益が出る前に既存事業の収益が細るおそれがある。
どちらに重みを置いたか
電力インフラの変化と実際の協業先の広がりを考えると、上振れをゼロにする判断は適切ではない。しかし、長期の株主にとっては、大口顧客の離脱、過去の赤字、追加増資、申込から有料売上への転換という未解決の問題が重い。確率は楽観側26%、中立26%、やや悲観と悲観の合計48%とした。下に寄せる理由は、単なる技術企業一般への不安ではなく、契約の継続性と現金創出がまだ実証されず、2026年にも株式希薄化が進んでいるという会社固有の事実である。中立の事業価値は現在の時価総額を上回るが、実現までの時間と既存株主の取り分を考えると、現在の値段はやや割高という結論になる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 701 円42 億円(+ 還元の換算額還元の合計 18 円1 億円)。 今の値に割り戻すと 258 円15 億円、今との差 −16.3%、 期待の年率 +9.0%(資本コスト 11.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 3,815 円228 億円 | 135 円8 億円 | +1,182.4% | +30.2% | 316 円19 億円 |
| やや楽観 | 18% | 1,477 円88 億円 | 41 円2 億円 | +392.6% | +17.7% | 273 円16 億円 |
| 中立 | 26% | 492 円29 億円 | 0 円0 億円 | +59.8% | +4.8% | 128 円8 億円 |
| やや悲観 | 28% | 7 円0 億円 | 0 円0 億円 | −97.6% | −31.1% | 2 円0 億円 |
| 悲観 | 20% | 2 円0 億円 | 0 円0 億円 | −99.5% | −41.1% | 0 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 701 円42 億円 | 18 円1 億円 | +133.6% | +9.0% | 719 円43 億円 |
今の株価時価総額 308 円18 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 電力データ基盤として定着し海外にも広がる 利益 31 億円 · PER 9.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,815 円228 億円
電力事業者との共同開発が標準的な商用サービスへ移る。次世代スマートメーターの解析対象は2,500万件へ広がり、配電網の安全管理で安定した課金が定着する。DRは大手電力会社のサービスだけでなく、多数の小売電気事業者へ横展開する。電力需要の変動が大きい地域ほど機器制御への対価が高まり、価格競争を抑えながらサービスが普及する。
英国ではダイキンとの連携を実績へ変え、他の欧州設備メーカーにも採用を広げる。既存のNILMアプリはAIエージェントによる競争を受けて数量を増やせないが、電力設備の実制御が収益の中心となる。受託開発も大きく増やさず、製品に組み込める機能だけを蓄積する。会社は買収に頼らず、既存技術と電力会社との接続実績を繰り返し使うことで高い利益率を獲得する。
投資資金は第10回新株予約権の行使によって確保され、2030年代に大幅な営業黒字と営業キャッシュ・フローの黒字へ転じる。余剰資金の一部は借入返済に使い、後半には初めて継続的な株主還元が可能になる。将来の技術開発を維持しながらも、既存ソフトを多数の顧客へ提供するための追加費用が売上ほど増えないことが、非常に高い利益水準を支える。
- 国内スマート・リビング/NILM関連アプリ:数量 1,000,000(課金対象世帯相当数・契約単位、推定)× 価格 25(1世帯相当当たり月額料金・円、推定)→ 売上 3 億円・営業利益 2 億円。画面型はAIエージェント代替のため数量を増やさず、機能追加による単価上昇のみ。
- 国内電力小売事業者向けDR・機器制御:数量 300(有料の制御メニュー・契約メニュー相当数、推定)× 価格 0.05(1メニュー当たり年間売上・億円、推定)→ 売上 16 億円・営業利益 12 億円。300の有料制御メニュー相当、年額540万円。
- 次世代スマートメーター・配電網安全管理:数量 25,000,000(有料解析の対象となるメーター件数・件)× 価格 8.00(対象メーター1件当たり月額・円)→ 売上 24 億円・営業利益 20 億円。2,500万件のメーター解析契約、月額8円。
- 国内電力センサー・関連機器販売:数量 36,000(センサー販売台数相当・台、推定)× 価格 15,600(1台当たり売上・円、推定)→ 売上 6 億円・営業利益 2 億円。専用センサーが残る用途へ販売。
- 国内システム開発受託・その他:数量 20.0(年間開発案件相当数・件、推定)× 価格 0.14(1案件当たり平均売上・億円、推定)→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替のため案件数は増やさず、価格は物価上昇の範囲内。
- 英国・欧州エネルギーマネジメント:数量 45,000(年間課金設備相当数・台、推定)× 価格 75,000(1設備当たり年間売上・円、推定)→ 売上 34 億円・営業利益 20 億円。英国に加えて欧州大陸で設備メーカーとの契約を獲得。
- 法人向けエネルギー診断・関連サービス:数量 80,000(有料診断の対象事業所数・拠点)× 価格 15,000(1拠点当たり年間利用料金・円、推定)→ 売上 12 億円・営業利益 8 億円。8万事業所へ継続診断を提供。
倍率:全社純利益31億円、2036年自己資本90億円からROEは約34.4%で資本コスト11%を超える。堀は弱いと判定してRONICの超過部分は3分の1だけ残す。2036年以降は電力会社の内製化、AIエージェント代替、初回普及の終了を考えg_long=0%とするため、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=1÷11%=約9.09倍。上限から裁量的に割り引かない。
確率:電力会社5社との協業が本番の継続課金へ移り、国内DR・次世代メーター解析・英国事業の三つを同時に成功させる必要がある。会社の技術・提携の実績は評価するが、2025年赤字と2026年の追加増資が示す実行難度を考え、確率は8%とした。
やや楽観 18% 国内の商用化が進み、英国事業も収益源になる 利益 12 億円 · PER 9.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,477 円88 億円
日本の電力会社との協業の一部が有料の長期契約へ転換する。次世代スマートメーターの解析対象は1,300万件になり、デマンドレスポンスは継続契約を中心に広がる。電力会社の内製化や競合サービスとの入札はあるものの、既存設備との接続実績を評価する顧客から一定の対価を得られる。事業者ごとに必要な機能を共通化し、個別開発の比率を徐々に引き下げる。
英国ではヒートポンプ向けの解析事業が定着し、採用設備が増える。欧州大陸での普及は限定的だが、既存製品の横展開によって売上の一角を担う。住宅向けの可視化サービスは汎用AIの影響で数量が少し減り、受託開発も規模を縮める。収益の中心は、電力会社の設備・サービスに組み込まれた解析と制御へ移る。
固定費が売上ほど増えないため営業利益が安定し、10年後には現金を生む事業として評価できる。ただし会社の2030年目標より成長の速度は遅く、新株予約権の行使による既存株主の持分減少も発生する。利益の一部は研究開発と設備更新に再投資され、株主還元はまだ小規模にとどまる。
- 国内スマート・リビング/NILM関連アプリ:数量 950,000(課金対象世帯相当数・契約単位、推定)× 価格 25(1世帯相当当たり月額料金・円、推定)→ 売上 3 億円・営業利益 2 億円。AI代替を受け数量は現在の95%。
- 国内電力小売事業者向けDR・機器制御:数量 168(有料の制御メニュー・契約メニュー相当数、推定)× 価格 0.05(1メニュー当たり年間売上・億円、推定)→ 売上 8 億円・営業利益 6 億円。168の有料制御メニュー相当。
- 次世代スマートメーター・配電網安全管理:数量 13,000,000(有料解析の対象となるメーター件数・件)× 価格 7.00(対象メーター1件当たり月額・円)→ 売上 11 億円・営業利益 9 億円。1,300万件の解析対象、月額7円。
- 国内電力センサー・関連機器販売:数量 26,000(センサー販売台数相当・台、推定)× 価格 14,800(1台当たり売上・円、推定)→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。機器販売は一定程度残る。
- 国内システム開発受託・その他:数量 18.0(年間開発案件相当数・件、推定)× 価格 0.13(1案件当たり平均売上・億円、推定)→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。受託開発数量は現在の90%。
- 英国・欧州エネルギーマネジメント:数量 25,000(年間課金設備相当数・台、推定)× 価格 65,000(1設備当たり年間売上・円、推定)→ 売上 16 億円・営業利益 9 億円。英国を中心に2万5,000設備相当を採用。
- 法人向けエネルギー診断・関連サービス:数量 40,000(有料診断の対象事業所数・拠点)× 価格 13,000(1拠点当たり年間利用料金・円、推定)→ 売上 5 億円・営業利益 3 億円。法人向けの実制御・診断が一部定着。
倍率:10年後のROEは12÷40=30%でk11%を超えるが、初回導入の成長が一巡し、受託開発・操作画面はAIエージェント代替を受ける。g_longを名目0%とするため、正当化PERは1÷k=約9.09倍になる。堀の過大評価や2036年以降の高成長を倍率へ重ねない。
確率:電力会社との実際の協業と2026年のDR申込増加は商用化の可能性を示すが、2030年会社目標の達成までを確信するには足りない。国内と英国の一部が成功し、会社目標には届かない筋書きとして18%とする。
中立 26% 電力解析事業として黒字化するが、計画の成長には届かない 利益 4 億円 · PER 9.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 492 円29 億円
日本の次世代スマートメーターの更新が進み、データ解析サービスにも一定の需要が生まれる。インフォメティスは電力会社との既存の協業を生かし、約1,000万件のメーターに相当する解析契約を確保する。DRは国内の小売電気事業者へ広がるが、料金は競争を受け、成果報酬も電力市場の状況によって変動する。設備メーカーや大手システム会社も参入するため、圧倒的なシェアは獲得しない。
英国事業は黒字化へ貢献するが、欧州全域への急拡大は実現しない。住宅の可視化アプリはAIエージェントの普及で需要が減り、同社はより高い付加価値を持つ電力設備の制御・データ連携へ開発資源を移す。受託開発の案件数は約3割減るものの、標準化した製品への横展開によって一定の粗利益を維持する。法人向け診断も、レポート作成ではなく設備管理と結び付く契約だけが残る。
売上高は約29億円となり、共通開発費と本社費用を負担しても営業利益を確保する。純利益は約4億円で、将来の再投資に資金を回せる水準になる。ただし、資金調達を経た既存株主の取り分は薄く、これまでの赤字を回収するにはなお時間がかかる。社会に必要な事業として残っても、際立った価格決定力を持つ企業にはならないという筋書きである。
- 国内スマート・リビング/NILM関連アプリ:数量 800,000(課金対象世帯相当数・契約単位、推定)× 価格 23(1世帯相当当たり月額料金・円、推定)→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替の操作画面型。数量は80%、単価は約1.10倍。
- 国内電力小売事業者向けDR・機器制御:数量 125(有料の制御メニュー・契約メニュー相当数、推定)× 価格 0.04(1メニュー当たり年間売上・億円、推定)→ 売上 5 億円・営業利益 4 億円。125の有料制御メニュー相当、年間400万円。
- 次世代スマートメーター・配電網安全管理:数量 10,000,000(有料解析の対象となるメーター件数・件)× 価格 6.00(対象メーター1件当たり月額・円)→ 売上 7 億円・営業利益 5 億円。1,000万件、月額6円。対象件数は国内低圧メーター市場の約18%。
- 国内電力センサー・関連機器販売:数量 18,000(センサー販売台数相当・台、推定)× 価格 13,600(1台当たり売上・円、推定)→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。専用機器が必要な設備向けに販売。
- 国内システム開発受託・その他:数量 14.0(年間開発案件相当数・件、推定)× 価格 0.13(1案件当たり平均売上・億円、推定)→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替で案件数量70%、価格は約1.24倍。
- 英国・欧州エネルギーマネジメント:数量 14,000(年間課金設備相当数・台、推定)× 価格 60,000(1設備当たり年間売上・円、推定)→ 売上 8 億円・営業利益 4 億円。英国中心の1万4,000設備相当。
- 法人向けエネルギー診断・関連サービス:数量 20,000(有料診断の対象事業所数・拠点)× 価格 10,000(1拠点当たり年間利用料金・円、推定)→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。現場管理に結び付いた法人契約を中心に2万拠点。
倍率:純利益4億円、自己資本18.5億円から10年後ROEは約21.6%となり、資本コスト11%を上回る。しかし堀は弱く、電力会社の内製化、次世代メーターの普及一巡、AIエージェント代替により2036年以降の名目成長率は0%とする。RONIC=k+3分の1×(ROE−k)とし、正当化PER=(1−0÷RONIC)÷(0.11−0)=約9.09倍。現在や過去のPERを参照していない。
確率:電力会社との商用化を否定しない一方、2025年の契約喪失、2026年のARR減少、借入と新株発行の事実を反映する。2030年計画に大幅に届かなくても黒字化する中間的な事業像として26%を割り当てる。
やや悲観 28% 協業は続くが大規模な有料契約にならない 利益 −3 億円 · PBR 0.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 7 円0 億円
電力会社との協業は続くが、次世代スマートメーターのデータ活用は各社の内製システムや大手ベンダーが中心となる。インフォメティスは解析や機器制御の一部を受託するものの、メーター1件ごとの大規模な継続課金を確保できない。DRの導入先も増え悩み、成果報酬は競争と取引条件に押される。日本の電力システムが高度化しても、その利益の多くは電力会社側に残る。
住宅向けの可視化サービスはAIエージェントの普及や顧客の内製化で縮小する。受託開発には一定の案件が残るが、人月で売る仕事への値下げ圧力が続き、研究開発費を十分に回収できない。英国事業も小規模な導入にとどまり、欧州大陸での拡大には至らない。法人向けの診断サービスは競争が激しく、継続料金を大きく引き上げられない。
売上は2025年並みの規模にとどまり、将来性を見込んだ開発費を縮小しても赤字が続く。経営は人員削減、開発対象の絞り込み、新株発行による資金調達を繰り返す。技術と一部の顧客は残るが、既存株主の取り分はさらに薄まり、継続企業としての価値は小さくなる。
- 国内スマート・リビング/NILM関連アプリ:数量 550,000(課金対象世帯相当数・契約単位、推定)× 価格 19(1世帯相当当たり月額料金・円、推定)→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。AI代替と主要顧客の内製化で数量55%。
- 国内電力小売事業者向けDR・機器制御:数量 30.0(有料の制御メニュー・契約メニュー相当数、推定)× 価格 0.03(1メニュー当たり年間売上・億円、推定)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。少数の制御メニューしか商用化できない。
- 次世代スマートメーター・配電網安全管理:数量 1,000,000(有料解析の対象となるメーター件数・件)× 価格 5.00(対象メーター1件当たり月額・円)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。100万件の限定導入、月額5円。
- 国内電力センサー・関連機器販売:数量 4,000(センサー販売台数相当・台、推定)× 価格 12,500(1台当たり売上・円、推定)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。専用センサー需要が縮小。
- 国内システム開発受託・その他:数量 11.0(年間開発案件相当数・件、推定)× 価格 0.11(1案件当たり平均売上・億円、推定)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AI代替により案件数量55%、粗採算も悪化。
- 英国・欧州エネルギーマネジメント:数量 2,200(年間課金設備相当数・台、推定)× 価格 50,000(1設備当たり年間売上・円、推定)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。英国で小規模な事業のみ残る。
- 法人向けエネルギー診断・関連サービス:数量 2,000(有料診断の対象事業所数・拠点)× 価格 8,000(1拠点当たり年間利用料金・円、推定)→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。汎用AIによる診断の代替が進む。
倍率:継続赤字によりPERによる永続収益評価は適切でない。2025年末の自己資本約5.8億円を物差しとし、0.12倍で約0.696億円とする。過去のPBRの谷ではなく、開発済みソフトの換金性の低さ、純負債、将来の赤字による資本消耗を反映した残存事業価値である。10年後自己資本3億円を床のPBRの分母に使わない。
確率:下に寄せる理由:2025年の大口顧客との取引終了、2026年上期のARR減少、追加資金調達の必要性が、事業化の遅れを具体的に示している。電力会社の実証・協業は継続しても課金対象が増えない場合として28%とした。
悲観 20% 新しい事業が育たず、既存株主の価値がほぼ失われる 利益 −3 億円 · PBR 0.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2 円0 億円
次世代スマートメーターの大量設置は予定どおり進むが、インフォメティスの解析サービスは主力契約を獲得できない。電力会社と大手システム会社が標準機能を内製化し、同社のNILM技術は特殊な用途にしか使われなくなる。DRでも競合が設備メーカーとの接続を先に広げ、同社は価格面で対抗できない。海外事業はダイキンとの関係を維持しながらも大きな採算事業にはならない。
住宅向けの可視化は汎用AIエージェントや電力会社自身のアプリに置き換わる。受託開発の案件数も減り、単価は十分に上げられない。新規の法人向け診断は売上をほとんど獲得できず、研究開発の成果が収入にならない。既存センサーの需要も次世代メーターへの更新によって縮小する。かつての技術上の優位を支えた人材の維持が難しくなる。
経営は事業売却や提携先への技術譲渡を検討し、赤字を抑えるための大幅な人員整理を行う。資金不足を埋める増資が重なり、旧株主の持分は半分以下となる。技術資産や一部の取引先は別の会社へ引き継がれる可能性があるが、それが旧株主の十分な回収につながるとは限らない。倒産に近い状態や著しい希薄化まで含む、構造的な敗北の筋書きである。
- 国内スマート・リビング/NILM関連アプリ:数量 320,000(課金対象世帯相当数・契約単位、推定)× 価格 14(1世帯相当当たり月額料金・円、推定)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替で既存契約の大部分を失う。
- 国内電力小売事業者向けDR・機器制御:数量 12.0(有料の制御メニュー・契約メニュー相当数、推定)× 価格 0.02(1メニュー当たり年間売上・億円、推定)→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。ニッチな制御契約だけ残る。
- 次世代スマートメーター・配電網安全管理:数量 250,000(有料解析の対象となるメーター件数・件)× 価格 4.00(対象メーター1件当たり月額・円)→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。電力会社がほぼ内製化し、ごく一部のみ契約。
- 国内電力センサー・関連機器販売:数量 1,500(センサー販売台数相当・台、推定)× 価格 10,000(1台当たり売上・円、推定)→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。センサー事業が縮小。
- 国内システム開発受託・その他:数量 6.0(年間開発案件相当数・件、推定)× 価格 0.08(1案件当たり平均売上・億円、推定)→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。AI代替と価格競争で受託案件が現在の30%へ。
- 英国・欧州エネルギーマネジメント:数量 500(年間課金設備相当数・台、推定)× 価格 40,000(1設備当たり年間売上・円、推定)→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。海外の拡大に失敗。
- 法人向けエネルギー診断・関連サービス:数量 300(有料診断の対象事業所数・拠点)× 価格 7,000(1拠点当たり年間利用料金・円、推定)→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。法人診断はほぼ撤退。
倍率:会社の継続的な収益力が失われ、会計上のソフトウェアと持分法投資の価値が大きく毀損するため、PERを使わない。今の自己資本約5.8億円の0.035倍で約0.203億円という微小な事業売却・再編価値を残す。過去の市場PBRは根拠とせず、純負債、清算費用、将来損失、追加増資後の既存株主の持分減少を理由とする。
確率:下に寄せる理由:2025年の大幅赤字、2026年の継続的な現金流出、下限行使価額の引き下げという具体的な事実から、長期的な資金不足の可能性を無視できない。電力会社が解析機能を内製化し、AIが既存事業を代替する複合的な失敗の確率を20%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内スマート・リビング/NILM関連アプリ
住宅設備や家庭向けに電力の使用状況、機器の稼働状態、見守りなどの情報を提供する。人が画面を使う部分はAIエージェント代替の影響を受ける。
| 数量課金対象世帯相当数・契約単位、推定 | 価格1世帯相当当たり月額料金・円、推定 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,000,000 | 20 | 2 | 1 |
| 10 年後 中立 | 800,000 | 23 | 2 | 1 |
取り方:2025年の国内プラットフォーム・アプリ売上約2.9995億円を、住宅向け約2.45億円とDR等約0.55億円に推定分解した。2026年のARR開示にあるスマート・リビング系とエネルギーマネジメント系の比率を補助材料にしたが、2025年の契約世帯実数や実際の月額単価は非開示である。100万世帯相当と月額約20.42円は、売上の数量・価格感応度を調べるための便宜的な換算であり、実際の顧客数や請求料金ではない。営業利益は共通開発費を控除する前の推定寄与利益である。
国内電力小売事業者向けDR・機器制御
電力会社向けのデマンドレスポンス支援と蓄電池・給湯機器などの制御を提供する。成果報酬や継続的なシステム利用収入の獲得を目指す。
| 数量有料の制御メニュー・契約メニュー相当数、推定 | 価格1メニュー当たり年間売上・億円、推定 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 10.0 | 0.06 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 125 | 0.04 | 5 | 4 |
取り方:国内プラットフォーム・アプリ売上約3.00億円のうち住宅向けへ配分しなかった約0.55億円をDR・エネルギーマネジメント系の基準額とした。10メニューと年間550万円は売上を説明する仮の契約単位で、開示された有料契約件数や実際の単価ではない。将来の価格は中期計画の小売事業者向けサービスの単価設計を参考にした。2026年10月時点の30社超は累計申込社数であり、有料売上の実績とみなしていない。
次世代スマートメーター・配電網安全管理
次世代スマートメーターのデータから配電網の状態や異常を分析する。計測器の販売ではなく、電力会社から解析サービスの対価を得る事業を想定する。
| 数量有料解析の対象となるメーター件数・件 | 価格対象メーター1件当たり月額・円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 6.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 10,000,000 | 6.00 | 7 | 5 |
取り方:2025年時点では本格的な有料解析サービスの売上を独立して確認できないため、基準売上をゼロとした。会社の中期計画には次世代スマートメーターの大規模な設置と解析サービスの構想がある。月額6円は同計画の市場・単価仮定を参考にした試算条件で、会社が全契約に適用できると確認された料金ではない。国内の潜在対象は約5,600万件規模だが、メーター設置件数と当社の有料解析件数は区別する。
国内電力センサー・関連機器販売
住宅向け電力解析サービスの導入に必要なセンサーや付属品を販売する。設置済み機器の増加が関連サービスの営業基盤にもなる。
| 数量センサー販売台数相当・台、推定 | 価格1台当たり売上・円、推定 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,324 | 11,400 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 18,000 | 13,600 | 2 | 1 |
取り方:2025年の国内アップフロント収入約0.15091億円を機器販売に対応させた。実際の販売台数・平均単価は開示されていないため、中期計画で示された機器価格の考え方を参考に1台11,400円とし、約1,324台相当に換算した。今後は次世代スマートメーターの普及によって専用センサーが不要になる用途もあるため、出荷台数の際限ない拡大は想定しない。
国内システム開発受託・その他
電力事業者向けのデータ連携、蓄電池・給湯機器制御、次世代スマートメーター対応などの開発案件を請け負う。人の工数で売る部分はAIエージェント代替の対象になる。
| 数量年間開発案件相当数・件、推定 | 価格1案件当たり平均売上・億円、推定 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 20.0 | 0.10 | 2 | 1 |
| 10 年後 中立 | 14.0 | 0.13 | 2 | 1 |
取り方:2025年国内のその他売上約2.01791億円を開発受託等に対応させた。件数と契約単価は非開示なので、年20案件相当・1案件約1,009万円と仮置きした。2026年上期には電力需給調整関連の受託開発が伸びたが、それを10年間の継続成長とは扱わない。AIエージェント代替の人月・工数型に分類し、中立では実質の案件数量を2025年の70%へ縮小、案件単価の上昇も物価以下にとどめる。
英国・欧州エネルギーマネジメント
英国を起点にヒートポンプなどの設備データを解析し、機器メーカーや電力関連事業者へサービスを提供する。欧州大陸での展開はまだ検討・開拓段階である。
| 数量年間課金設備相当数・台、推定 | 価格1設備当たり年間売上・円、推定 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 220 | 60,000 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 14,000 | 60,000 | 8 | 4 |
取り方:2025年の海外売上約0.13186億円を基準に、220台相当×年額6万円の売上へ換算した。実際の設備台数、1設備当たり料金、開発収入との内訳は開示されておらず、この数量と価格は推定である。会社の2030年海外売上目標16.30億円に対して、中立の2036年売上を8.40億円とするため、設備採用数の拡大だけでなく商用契約への転換を必要条件にした。
法人向けエネルギー診断・関連サービス
DR導入先などの法人顧客に、エネルギー使用状況の分析や設備運用改善を提供する。既存の電力会社との関係から追加契約を得る事業である。
| 数量有料診断の対象事業所数・拠点 | 価格1拠点当たり年間利用料金・円、推定 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 10,000 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 20,000 | 10,000 | 2 | 1 |
取り方:法人向け新サービスについて、2025年の独立した売上・課金拠点数を確認できないためゼロとした。会社の中期計画には2030年に法人向けサービス売上約10.24億円の構想があり、その規模を拠点数と年間利用料金に分解するため、年額1万円を参考単価とした。実契約価格ではない。顧客企業自身がAIで診断レポートを作れる部分は代替リスクがあるが、電力設備の現場制御に結び付く部分は残る。
リスクと懸念
継続企業の前提と追加資金調達
2026年上期の決算短信には継続企業の前提に関する注記はないが、会社は重要な疑義を生じさせる事象等を認識している。営業活動とソフトウェア開発に現金を使い続けており、新株予約権の行使が予定どおり進まなければ資金繰りに影響する。新株発行は財務を補強する一方、既存株主の持分を薄める。
大口顧客の喪失と継続収益の弱さ
大手賃貸事業者との取引は2026年3月末で終了した。住宅設備向けサービスの伸びがその穴を部分的に埋めても、2026年上期のARRは前年同期比で減少している。年次経常収益という名称から安定した収益を連想しやすいが、顧客集中と取引契約の終了リスクを十分に確認する必要がある。
AIエージェント代替
住宅向けの使用状況表示、レポート作成、開発受託、法人向け診断の一部は、汎用AIエージェントによって安価に代替される。中立では操作画面型の数量を現在の80%、工数型の数量を70%へ縮小し、将来の名目成長率もゼロとした。電力機器の実制御や規制対応を伴う部分は残りやすいが、その独占性はまだ十分に証明されていない。
電力会社の内製化と価格決定力の不足
電力会社は顧客基盤、データの権限、送配電設備を管理しており、同社は発注先の一つという立場を抜けられない可能性がある。共同開発先が増えても、料金体系や契約条件を電力会社側が決めれば、売上の規模ほど利益は残らない。実際の解約率、更新率、値上げ実績の開示が乏しく、強い堀があるとまでは評価できない。
中期経営計画の実行難度
2030年の売上高65.12億円、経常利益30.58億円という目標は、2025年の売上約5.3億円、営業赤字約6.3億円からの飛躍を前提とする。国内のメーター解析、DR、英国を含む海外事業を同時に立ち上げる必要があり、どこか一つが遅れれば利益計画は大きく下振れする。目標と現時点の受注・継続課金実績を分けて見る必要がある。
英国・欧州市場の採用と収益化
欧州ではヒートポンプなどを使った省エネ・需給管理に需要があるが、国ごとに補助金、電力料金、機器仕様、データ利用制度が異なる。英国での事業実績をそのままドイツやフランスで再現できるとは限らない。海外の販売台数と継続利用料が開示されない段階では、大きな市場規模だけを利益の根拠にしてはいけない。
ソフトウェア資産と現金収支の乖離
2026年6月末の無形固定資産は約6.20億円と、自己資本の大きな部分を占める。ソフトウェアの開発支出は資産計上される場合があり、会計上の利益と現金の増減は一致しない。技術の更新が速まれば償却や減損の負担が増える一方、契約獲得のための追加開発も必要になる。株主価値では将来の維持投資を差し引いて考えるべきである。
今後の分かれ目
- BridgeLAB DRの累計申込社数だけでなく、有料契約社数・契約メニュー数・実現売上が継続して増えたら
- DRの数量前提を上方修正する。電力会社との協業が収益化した証拠となり、やや楽観の確率を高める。
- 次世代スマートメーターの有料解析対象数と1件当たり料金が開示され、年間100万件以上の課金実績を確認できたら
- メーター解析事業を見込みから実績へ移し、数量、値決め力、共通システム費用を再評価する。
- 年間経常収益が大口契約終了の影響を克服し、解約率も定量開示されたら
- 既存事業の継続性に対する評価を改善する。特に解約率が年5%未満で複数年確認できれば堀の判定を見直す。
- 2027年の会社計画どおり経常黒字となり、同時に営業キャッシュ・フローと開発投資後の現金収支が黒字化したら
- 財務の存続リスクと将来の希薄化前提を引き下げる。利益よりも現金創出の持続を重視する。
- 第10回新株予約権の行使が進まず、追加の低価格増資や大幅な借入増加が必要になったら
- 既存株主の取り分と資金繰りの見通しを下方修正し、やや悲観・悲観の確率を高める。
- 英国の設備メーカー向けに有料稼働台数、年間契約単価、更新率が示され、ドイツ・フランスなどで商用契約が成立したら
- 海外の数量成長と利益率を上方修正する。ただし欧州市場全体の設備数ではなく、同社の課金設備数を使う。
- AIによる自動診断や大手電力会社の内製化で住宅向け・受託開発向けの売上が想定以上に縮小したら
- 中立の数量をさらに減らし、長期成長率はゼロ以下を検討する。固定費の削減速度も同時に確認する。
見ておくもの
- BridgeLAB DRの累計申込社数と、実際に有料契約へ移行した電力小売事業者数の差
- 国内のスマート・リビングサービスとエネルギーマネジメントサービスのARR、解約率、更新率
- 次世代スマートメーターの解析対象件数、1件当たり課金単価、導入先の電力会社数
- 電力会社向け受託開発の売上から継続課金売上への転換率
- 英国・欧州の課金設備台数と設備1台当たり年間売上、主要メーカーとの商用契約
- 営業キャッシュ・フローからソフトウェア開発投資を差し引いた現金収支
- 第10回新株予約権の行使株数、追加調達額、潜在株式数、借入残高の変化
- 2027年の経常黒字化計画と2030年の売上・利益目標に対する実績の進捗
倍率と資本コストの決め方
2026年10月23日時点の基準時価総額は319円×5,987,357株=約19.10億円である。この値を売上、利益率、倍率、確率の設定には用いず、各販売単位の数量×価格から事業収入を積み上げた。既存の画面型・受託型事業にはAIエージェント代替を数量と2036年以降の成長率に反映し、資本コストの寿命項目では重ねていない。楽観から中立のPERはROE・RONIC・資本コスト11%・長期成長率0%から算出される約9.09倍そのものを使った。2025年の営業赤字を生む共通費用は2036年も売上の増減とは別に残し、開発投資と償却も考慮した。悲観では過去のPBRの底を使わず、純負債と換金可能資産から清算床を点検した。株式希薄化は既存株主の最終的な取り分にだけ適用し、会社全体の時価総額には二重に掛けていない。概算の確率加重現在価値15.4億円は時価総額19.1億円を約19%下回るため、結論をやや割高とした。
資本コスト 11.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 1.5%。基本の7.5%に事業品質2.0%と財務上の存続リスク1.5%を加える。βや時価総額の小ささからの上乗せは使わない。成長投資の失敗、競争、追加希薄化の個別リスクは主として筋書きと確率で表す。
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読んだ資料
- インフォメティス 2025年12月期有価証券報告書・事業及び財務の開示
- インフォメティス 2026年12月期第2四半期決算短信(2026年8月13日)
- インフォメティス 2026年12月期第2四半期決算説明資料(2026年8月)
- インフォメティス 中期経営計画・2026年12月期~2030年12月期目標(2025年11月13日)
- インフォメティス 第10回新株予約権の下限行使価額修正(2026年10月15日)
- インフォメティス BridgeLAB DR販売拡大に向けたENECHANGEとの提携(2026年10月23日)
- インフォメティス 公式ニュース・適時開示一覧
- Shizen Connectの家庭向けデマンドレスポンス事業・競争環境