結論
Sun Asteriskは、日本企業の新規事業づくりとシステム開発を、国内の企画人材とベトナムの技術者で支える会社である。結論は「割高」だ。顧客の課題を解く力はあるが、売上の大半が人の開発時間や作業の対価であり、AIエージェントの普及後も同じ経済性で稼げる保証は乏しい。10年後の加重評価を現在へ割り戻すと、本質価値は約76億円となり、基準時価総額235億円を約68%下回る。
主力のクリエイティブ&エンジニアリングは2025年に112億円を売り上げた。顧客の業務を理解し、事業の構想から運用まで引き受けることは強みだが、契約の多くは工数型である。2026年上期には大企業向けの案件拡大で利益が回復し、AI駆動開発の新製品も世に出た。しかし、それらが削られる人月収入を長く補うほどの受注金額はまだ確認できない。
現預金から借金を差し引いた61億円の余力は、急な不況への守りになる。一方、買収によるのれんの増加、海外子会社で発見された簿外資金、プライム市場の流通株式時価総額基準の改善期間入りは、株主が現金を満額取り戻せるとは限らない理由でもある。悲観でも事業が直ちに消えるとはみないが、十分な安全域はない。上場廃止の確定や継続企業注記は確認されておらず、条件付きの上場維持リスクとして評価に織り込む。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主なら、まず「客の役に立つこと」と「客が作業時間に高い値を払い続けること」を分けて考える。Sun Asteriskは前者を十分に満たしうる。実際にAI駆動開発HEART Devで短期間のアプリ開発を実現し、Regen*やDesignSync.AIの提供も始めた。しかし、これらは開発に必要な人数を減らす技術でもあるため、工数を販売する既存事業と食い合う。
株主に帰属する利益を見ると、これまでの利益はほぼ無配のまま事業・買収へ再投資された。現金が積み上がった点は評価できるが、2025年の低いROEは、留保したお金が必ずしも高い利回りで働いていないことを示す。新しく投じる資本が資本コストを超え続けるなら、規模より小さくとも価値は大きい。逆に人材を増やすほど固定費が増え、AIで請求できる時間が減るなら、拡大は株主価値を削る。
自社IPは別の可能性を持つ。ゲームやファン向けサービスに熱心な利用者が集まり、継続率と独占的な販売権が数字で示されれば、その部分には工数型とは異なる値を払える。ただし現状は全社の約5%をその他の収益として切り出せる程度で、強い堀と呼べる定量的証拠はまだ足りない。少数株主の安全域は、現金の厚さだけでなく、経営陣が買収の成果を見極め、配当や自社株買いで余剰を戻すかによって決まる。現在の値段では、その不確かさに対して十分な余白がない。
何で稼ぐ会社か
収益の柱はクリエイティブ&エンジニアリング(C&E)だ。新サービスの構想、顧客体験設計、アプリ開発、基幹系刷新、保守を提供し、2025年は全社売上の約76%を占めた。日本で営業と設計を担い、ベトナムの技術者が実装を支えるため、顧客は一社で企画から開発まで発注できる。2025年の開示ではC&E売上112.29億円のうち106.19億円が準委任契約であり、成果物の魅力と同時に人月単価と稼働率が収益を左右する。
タレントプラットフォームは、Sun terrasの常駐型開発、人材紹介、xseedsの人材育成を組み合わせる。2025年売上21.38億円のうち17.66億円は準委任契約である。人を紹介して終わる取引もあれば、技術者が顧客の職場で働き続ける取引もあり、開発予算や顧客の採用方針に敏感だ。C&Eと合わせると、ベトナムで育てた人材を国内の顧客の仕事に結び付ける循環ができている。
インキュベーションその他は、小さくても異なる将来を持つ。2025年の14.66億円は、受託・準委任の7.56億円と、その他の収益7.09億円に分かれる。後者にはグローバルギアのゲームやALLLYのファン向けサービスなどが含まれるが、製品別の利益や利用者数は未開示だ。法定報告上は単一セグメントなので、この分析では収益認識の区分を用い、工数に依存する部分と自社IPの部分を分けて見ている。
優良さと弱いところ
競争力の中心は、事業を考える人と作る人を同時に動かせることにある。約2,000人のグループ人材、顧客企業との共同設計、ベトナムの教育機関との接点は、単純な国内下請けより柔軟な供給力を生む。2026年上期には大企業の大型案件が増え、顧客当たり月額売上も上昇した。設計と開発の間にある手戻りを抑える力は、価格より納期を重視する顧客には意味がある。
ただし、堀、つまり競合が容易に奪えない地位は強くない。2025年の月次平均取引継続率92.6%は、規制業務ソフトの年次解約率5%未満と同じ証拠ではない。顧客固有の記録の正本や、業界全体が共同利用する基盤を保有するわけでもない。顧客はTIS、SHIFT、専門開発会社、海外開発企業、さらには自社内のAI開発組織に仕事を振り替えられる。
資本効率の変化も見逃せない。2021年には営業利益率17%台、ROE約20%を稼いだが、2025年はそれぞれ約7%と約4.5%へ落ちた。2026年上期の持ち直しは良い兆候でも、買収分の売上増と不採算案件の終了が混ざる。さらにベトナム子会社の簿外現金は金額そのものより統制の弱さが問題で、少数株主には再発防止の実効性を確かめる責任が残る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内ITサービス市場は2025年に約7.5兆円で、基幹系刷新やクラウド移行を背景に2030年へ成長が見込まれる。C&Eの112億円は、この広い市場の約0.15%にすぎない。野村総合研究所やTISは連結売上が数千億円あり、同じ分母で単純に割ると一桁後半から一割前後になる。ただし海外・機器・重複売上も含むため、この比較は厳密な市場シェアではなく規模の物差しである。
人材側も市場は大きい。矢野経済研究所の2024年度デジタル人材採用・活用支援4市場は約1.49兆円で、Sun Asteriskのタレント部門は単純比較で約0.14%だ。パーソル系、レバテック、数多くのSES企業が人材獲得と単価を競う。自社IPが参加する国内モバイルゲーム市場は2025年に約1.66兆円とされるが、インキュベーションのその他収益にはゲーム以外もあるため、ゲームの正確なシェアは開示から出せない。
最も大きな変化は、仕事の量とIT支出が切り離されることだ。AIエージェントが設計補助、コード生成、テスト、画面操作を担えば、顧客のIT投資総額が増えても外部の人月は減る。自社開発・成果報酬へ移る競争に加え、人件費上昇も利益を圧迫する。2036年の中立では、同社の工数型部門の実質数量が今の65〜70%程度へ縮み、賃金や物価に沿う単価上昇では完全には埋まらないとみる。自社IPには独立した需要があるが、作品の当たり外れと顧客獲得費の大きさから市場全体の成長をそのまま同社のシェア拡大とはしない。
資本政策と M&A
資本配分は、開発人材の採用・教育と買収、そして始まったばかりの株主還元の間で試される。グローバルギアを2025年に、MIXENSEを2026年に連結し、C&E以外の収益源を増やした。しかし、買収売上の増加と買収価格を上回る現金収益は別問題であり、のれんを伴う案件の投資利回りはまだ長期間の実績で検証できない。2026年上期の海外子会社調査によって、買収後の統制にも追加費用が必要だと分かった。
2026年12月期の会社予想は売上約182億円、営業利益は日本基準約14.7億円、IFRS約17.1億円である。通期予想と異なり、売上、営業利益、ROEを年度別に約束した公表中期計画はなく、数値目標の約束なしと扱う。2026年には初めて年間配当総額約3.9億円に当たる期末配当を予定したが、配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い額の定量的な約束はない。
株主優待は2026年10月にAmazonギフトカードを選択肢に加え、600株以上から段階的にポイントを付す。対象株主比率と仕入原価が非開示なので、株主数約8,500人の三割が対象、平均1.2万ポイント、原価八割として年約0.25億円を仮置きした。中立の10年還元32億円には、この優待費用約2.5億円を含める。上位10株主の保有比率は2025年末約70%と高く、過去5年の実行済みの増配や発行済み純株数2%以上の減少を確認できないため、余剰現金を株主が回収できる割合は半分として慎重に扱う。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
開発会社にとって最大の変化は、人を何人採用できるかから、少人数でどこまで顧客の事業を動かせるかへの転換である。Sun Asteriskは日本側の事業構想と海外側の開発組織を持ち、AI駆動開発を自らの工程に組み込み始めた。自動化で一案件に必要な人数が減っても、案件数を守り、成果に対する報酬を取り続ければ、技術者不足に縛られない利益率を目指せる。2026年上期の営業利益改善や大企業向けの顧客単価上昇は、その移行の兆しとして評価できる。
グローバルギアやALLLYなどの自社コンテンツは、人月と違い、一度作った仕組みを何度も販売できる。グループが保有する開発ノウハウと販売先を活用して、ゲームやファン向けサービスのタイトル数を増やせれば、全社の利益構成が変わる。Regen*の基幹系刷新やDesignSync.AIが顧客企業へ定着すれば、人月契約から成果ベースへの転換も進みうる。ただし現在は製品別売上の開示がないため、最良の筋書きでも工数部門の実質数量の増加には依存せず、利益率改善と自社IPの拡大に期待する。
手元の現金は新規製品の実験を支え、2026年に始めた配当は今後の資本効率改善の起点にもなる。内部統制の再建とプライム上場の流通時価総額基準への復帰が同時に進み、買収案件から現金利益が生まれれば、財務の強さと経営への信頼がそろう。10年で工数の売上を守りながら自社IPの存在感を増やし、営業利益率が再び十数%台に届く可能性は残っている。
慎重な見方
開発の仕事がなくなるわけではない。なくなるのは、開発に費やした時間そのものに値段を付けられる余地である。2025年売上の約95%が受託、SES、人材紹介など人の役務に結び付いており、顧客がAIエージェントを使って設計、実装、テストを自動化すれば、同じ成果への請求額が減りうる。月次平均の取引継続率92.6%は、規制やデータ移行に縛られたソフトウェアの高い継続率とは違う。競合や顧客の内製組織が同じAI道具を使えば、同社固有の生産性向上は価格に転嫁しにくい。
2026年の増益には、不採算プロジェクトが2025年に終了した反動と買収の連結効果が含まれる。これを恒久的な利益率向上とみるのは危うい。ベトナム側に開発人員を大量に持つことは拡大時の強みだが、顧客が必要とする開発時間が減れば、教育・配置転換・人員整理という負担を伴う。新製品の提供開始は確認できても、独立した高採算売上や契約更新率の数字は開示されていない。
経営統制にも弱さが表面化した。ベトナム子会社では2013年頃から簿外の資金授受が続き、2026年に決算の提出を遅らせた。金額は小さく、経営陣の財務数値操作の意図は確認されていないが、問題を長く発見できなかった事実は重い。株主が集中し、積み上げた現金の配分を少数株主が決められないことも、帳簿の純資産を価値と同一視できない理由だ。もし自社IPが当たらず、成果契約への移行も失敗すれば、10年後に低収益・赤字の開発会社となる可能性がある。
どちらに重みを置いたか
価値の源泉は顧客との関係と現金にあるが、持続的に価格を決められる堀はまだ立証されていない。AIエージェント代替は中立の数量減少と10年後以降の成長率ゼロに既に織り込んだため、確率でも重ねて差し引かない。下側39%を上側26%より厚くしたのは、2026年に表面化した海外子会社の内部統制不備、上場維持基準への改善期間入り、買収後の現金収益の未検証という別の事実による。新製品の受注金額と配当実績が見えるまでは、現在の時価総額に安全域は認めにくい。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 323 円126 億円(+ 還元の換算額還元の合計 72 円28 億円)。 今の値に割り戻すと 195 円76 億円、今との差 −65.5%、 期待の年率 −3.8%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 713 円278 億円 | 139 円54 億円 | +50.7% | +4.6% | 68 円27 億円 |
| やや楽観 | 18% | 521 円203 億円 | 106 円41 億円 | +10.9% | +1.1% | 113 円44 億円 |
| 中立 | 35% | 309 円121 億円 | 81 円32 億円 | −31.0% | −4.0% | 136 円53 億円 |
| やや悲観 | 25% | 170 円66 億円 | 43 円17 億円 | −62.3% | −10.1% | 53 円21 億円 |
| 悲観 | 14% | 150 円59 億円 | 23 円9 億円 | −69.4% | −11.7% | 24 円9 億円 |
| 加重平均 | 100% | 323 円126 億円 | 72 円28 億円 | −30.1% | −3.8% | 395 円154 億円 |
今の株価時価総額 565 円221 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 成果契約への移行とIPの成功 利益 22 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 713 円278 億円
大企業が開発の発注方法を変えても、Sun Asteriskは事業構想とAI開発の品質保証を一体で提供し、契約の中心を作業量から成果へ移す。Regen*やDesignSync.AIが実案件で磨かれ、案件単価を守ったまま従業員一人当たりの粗利が伸びる。2026年上期の顧客単価改善が継続し、C&Eの平均稼働顧客数は2025年の水準を保つ。人月売上の数量自体は増やさず、物価並みの価格改善と利益率の回復で稼ぐ。
Talent Platformもエンジニア稼働量を維持し、顧客との契約を高度な実装・運用業務に寄せる。買収したグローバルギアのコンテンツが当たり、ALLLYを含む自社IP等の収益源は実効案件数が約2倍へ伸びる。国内ゲーム市場全体の拡大よりも、少額でも繰り返し課金される商品を増やした効果が大きい。営業利益率は2021年の高水準に近づくが、買収・新技術への投資は続く。
ベトナム子会社の管理は立て直され、上場維持基準にも適合する。余剰現金の一部が蓄積し、配当・自社株買いを含めた10年間の還元も増える。10年後の事業は、工数売りに頼り切った開発会社から、独自の開発手法とコンテンツを併せ持つ会社へ変わっている。
- クリエイティブ&エンジニアリング:数量 185(年間平均の月次稼働顧客数換算(社)。年間ユニーク顧客数とは区別する)× 価格 0.81(平均稼働顧客1社当たり年間売上(億円、12か月分))→ 売上 150 億円・営業利益 25 億円。2025年平均稼働顧客を維持し、名目単価は物価並みの1.34倍。AIによる利益率の改善だけを認める。
- タレントプラットフォーム:数量 223(SES技術者の年間平均稼働人年換算(人年、紹介・育成手数料の売上を換算した推計))× 価格 0.13(稼働人年換算1人当たり売上(億円/人年))→ 売上 29 億円・営業利益 3 億円。SES相当人年を維持し、専門性の高い案件へ移行する。
- インキュベーションの受託制作・開発:数量 60.0(年間平均の受託制作・開発人年換算(人年、推定))× 価格 0.17(受託制作開発1人年当たり売上(億円/人年))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。制作人年は増えず、物価並みの単価で生産性を高める。
- 自社IP・ゲーム・ファン向けサービス等:数量 42.0(年間に収益を生む自社IP・ファン契約等の有効タイトル数(本、推定))× 価格 0.48(有効1タイトル当たり年間売上(億円/タイトル))→ 売上 20 億円・営業利益 5 億円。有効タイトル数が20から42へ増える。IP成功の仮説。
倍率:純利益21.8億円÷自己資本184.6億円のROEは11.8%、弱い堀で超過ROEの3分の1が残るRONICは約9.4%。AIエージェント代替による長期名目成長率g_long=0%、資本コストk8.25%。正当化PER=(1−g/RONIC)÷(k−g)より、ROEが低い場合の上限1/kと同じ12.12倍を、楽観〜中立の式の上限そのものに用いる。現金利息の税後1.4%を控除した事業純利益に掛け、余剰現金55億円の株主回収係数0.5を加える。今の株価や同業PERから倍率を決めていない。
確率:既存C&Eの開発需要を失わず、IPを増やす複数の成功が同時に必要である。2026年のAI新製品は公開されたが売上金額は未確認のため、8%にとどめる。
やや楽観 18% 高付加価値案件を選び採算改善 利益 16 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 521 円203 億円
AIによる実装効率化は顧客の支払い額を押し下げるが、同社は大企業の複雑な案件で一定の価格を守る。TISやSHIFTのような大手・専門会社と競争しながら、構想から画面設計までの一貫支援で顧客を残す。工数型C&Eの平均稼働顧客数は約1割減るが、価格は物価に近い伸びを確保する。開発原価もAIで減るため、少ない案件数でも利益率の悪化は防げる。
Talent Platformでは顧客の内製化が続くものの、採用の難しい技術責任者やAI導入の伴走需要が残る。人材供給量は約1割減となるが、専門性の高い業務への移行で単価を維持する。インキュベーションでは自社ゲームやファン向けサービスが少しずつ増え、グローバルギア買収の費用を回収し始める。ただし世界的な巨大ゲームIPになることまでは期待しない。
配当は初配後も継続し、買収を少数に絞ることで手元資金も積み上がる。海外子会社の統制上の弱点は是正され、継続する案件での信頼は維持される。収益の質は今より改善するが、工数に依存する事業の成長時代は終わった姿だ。
- クリエイティブ&エンジニアリング:数量 167(年間平均の月次稼働顧客数換算(社)。年間ユニーク顧客数とは区別する)× 価格 0.81(平均稼働顧客1社当たり年間売上(億円、12か月分))→ 売上 134 億円・営業利益 20 億円。工数の実質数量0.90倍、単価1.33倍。高付加価値案件が残る。
- タレントプラットフォーム:数量 201(SES技術者の年間平均稼働人年換算(人年、紹介・育成手数料の売上を換算した推計))× 価格 0.13(稼働人年換算1人当たり売上(億円/人年))→ 売上 26 億円・営業利益 2 億円。専門案件へ移り実質人年0.90倍。
- インキュベーションの受託制作・開発:数量 51.0(年間平均の受託制作・開発人年換算(人年、推定))× 価格 0.17(受託制作開発1人年当たり売上(億円/人年))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。工数数量0.85倍、価格はほぼ物価並み。
- 自社IP・ゲーム・ファン向けサービス等:数量 32.0(年間に収益を生む自社IP・ファン契約等の有効タイトル数(本、推定))× 価格 0.46(有効1タイトル当たり年間売上(億円/タイトル))→ 売上 15 億円・営業利益 3 億円。有効タイトル数1.60倍、単価1.30倍。
倍率:純利益15.8億円÷自己資本167.6億円のROEは約9.4%、弱い堀でRONICは約8.6%。AIエージェント代替による長期名目成長率g_long=0%、資本コストk8.25%。正当化PER=(1−g/RONIC)÷(k−g)より、ROEが低い場合の上限1/kと同じ12.12倍を、楽観〜中立の式の上限そのものに用いる。現金利息の税後1.4%を控除した事業純利益に掛け、余剰現金45億円の株主回収係数0.5を加える。今の株価や同業PERから倍率を決めていない。
確率:大企業の単価改善とAI効率化が続く一方、工数の数量は微減する、会社固有の上振れが実現する筋書き。自社IPの成功は中規模までとした。
中立 35% 人月の減少を採算改善とIPで一部補う 利益 9 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 309 円121 億円
AIエージェントはコード生成、仕様書整理、テストのかなりの部分を引き受ける。顧客はIT投資を止めないが、開発の購入単位を人月から成果へ移し、C&Eの平均稼働顧客数換算は185から約130へ下がる。単価は10年で約3割上がるものの、名目売上は現在より小さくなる。2026年上期の利益回復は本物でも、それがそのまま10年間の取扱量増加にはつながらない。
Talent PlatformではSES稼働人年の約3分の1がAIと顧客の内製化に置き換わる。人材紹介・研修は高い専門性が残る部分だけを確保する。自社ゲームとファン向けサービスは顧客接点を増やすが、グローバルギアの作品収益が大きな独占力を生むわけではない。全社売上は約137億円となり、AIツールによる効率化が採算を支える一方、共通人件費と採用・管理費は容易には減らない。
買収は続くが大型の成功も失敗もなく、配当は利益に応じて調整される。2026年の簿外資金問題は再発しないものの、内部統制の整備に費用が残る。純利益は約9億円、ROEは資本コストを下回り、売上が成長していた頃ほど高い資本利回りを株主に提供できない。
- クリエイティブ&エンジニアリング:数量 130(年間平均の月次稼働顧客数換算(社)。年間ユニーク顧客数とは区別する)× 価格 0.79(平均稼働顧客1社当たり年間売上(億円、12か月分))→ 売上 102 億円・営業利益 14 億円。AIエージェント代替で工数・稼働顧客換算0.70倍、単価1.30倍。
- タレントプラットフォーム:数量 145(SES技術者の年間平均稼働人年換算(人年、紹介・育成手数料の売上を換算した推計))× 価格 0.12(稼働人年換算1人当たり売上(億円/人年))→ 売上 18 億円・営業利益 1 億円。SES相当人年0.65倍、単価1.27倍。
- インキュベーションの受託制作・開発:数量 39.0(年間平均の受託制作・開発人年換算(人年、推定))× 価格 0.16(受託制作開発1人年当たり売上(億円/人年))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。制作人年0.65倍、単価1.25倍。
- 自社IP・ゲーム・ファン向けサービス等:数量 24.0(年間に収益を生む自社IP・ファン契約等の有効タイトル数(本、推定))× 価格 0.44(有効1タイトル当たり年間売上(億円/タイトル))→ 売上 11 億円・営業利益 2 億円。有効タイトル数1.20倍、単価1.25倍。
倍率:純利益9.15億円÷自己資本144.35億円のROEは約6.3%でk8.25%を下回る。AIエージェント代替による長期名目成長率g_long=0%、資本コストk8.25%。正当化PER=(1−g/RONIC)÷(k−g)より、ROEが低い場合の上限1/kと同じ12.12倍を、楽観〜中立の式の上限そのものに用いる。現金利息の税後1.4%を控除した事業純利益に掛け、余剰現金35億円の株主回収係数0.5を加える。今の株価や同業PERから倍率を決めていない。
確率:2026年上期の回復を認めつつ、工数型の実質需要が10年間に3〜4割減る前提を中心にする。確率の中心を最大に置き、AIの縮みはここで処理した。
やや悲観 25% 発注単位の転換に乗り遅れる 利益 1 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 170 円66 億円
顧客が生成AIを使うだけでなく、業務部門自身がエージェントを組み合わせるようになり、外部の開発会社への発注が減る。C&Eの稼働顧客換算は約45%減り、案件単価も物価に追いつかない。国内大手SIerや顧客の開発内製チームが業務の上流を握り、Sun Asteriskは低い価格の実装業務へ追いやられる。高度な開発者の維持費と教育費は残り、稼働率の低下が利益を薄くする。
Talent PlatformではSES契約が減り、人材紹介も採用減速の影響を受ける。インキュベーションの新作投資は続くが、ゲームやファン向けサービスの利用者基盤を十分に広げられない。過去に買収した事業の統合コストやシステム費用を吸収できず、全社売上は100億円を下回る。利益はほぼ消え、資本コストを上回る追加投資先が見つからない。
配当は当初の数年は維持されても、その後は減額される。現金は残るが、少数株主は会社の清算を指示できない。10年後の時価総額は伸びを織り込んだ利益価値ではなく、純現金と回収可能な流動資産で支えられる。
- クリエイティブ&エンジニアリング:数量 102(年間平均の月次稼働顧客数換算(社)。年間ユニーク顧客数とは区別する)× 価格 0.70(平均稼働顧客1社当たり年間売上(億円、12か月分))→ 売上 71 億円・営業利益 5 億円。人月数量0.55倍、単価1.15倍。受託価格の伸びは物価に届かない。
- タレントプラットフォーム:数量 123(SES技術者の年間平均稼働人年換算(人年、紹介・育成手数料の売上を換算した推計))× 価格 0.11(稼働人年換算1人当たり売上(億円/人年))→ 売上 13 億円・営業利益 0 億円。派遣・紹介に相当する数量0.55倍、単価1.12倍。
- インキュベーションの受託制作・開発:数量 33.0(年間平均の受託制作・開発人年換算(人年、推定))× 価格 0.14(受託制作開発1人年当たり売上(億円/人年))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。制作数量0.55倍で受注不足による損失を計上。
- 自社IP・ゲーム・ファン向けサービス等:数量 16.0(年間に収益を生む自社IP・ファン契約等の有効タイトル数(本、推定))× 価格 0.41(有効1タイトル当たり年間売上(億円/タイトル))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。失敗作品が増えて有効タイトル数0.80倍。
倍率:ROEが資本コスト8.25%を下回る低収益の筋書きであり、利益の成長倍率を適用しない。足元の自己資本106.6億円と換金価値に対応する床PBR約0.633で時価総額を評価する。10年後の累積利益によって増えた自己資本118.6億円には床のPBRを掛けない。現金・回収可能資産の税後の床67.5億円と突き合わせ、過去の市場PBRは用いない。
確率:顧客内製化や大手競合への流出に加え、買収と組織の維持費が重くなる筋書き。下に寄せる理由:海外子会社の統制不備と上場基準の改善期間入りが実際に生じている。
悲観 14% 開発工数が半減し赤字へ転落 利益 −5 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 150 円59 億円
AIエージェントを導入した顧客が、自ら仕様決定、コード生成、テスト、保守を行い、外注する開発時間が大きく減る。C&Eの実質的な受注数量は現在の4割強まで落ち、SESも同程度になる。人を増やし続けてきた組織の固定費と、ベトナム拠点の教育・雇用維持費が重くなる。価格競争で単価も物価に届かず、工数部門の売上だけでは共通費を賄えない。
Regen*などのAI製品は顧客から一定の評価を得ても、独立採算の高収益商品にはならない。グローバルギアを含むコンテンツ事業でも新作が当たらず、開発費や買収時ののれんの減損が起きる。開発者の整理や不採算契約の終結で現金が流出し、親会社の管理強化にも費用がかかる。売上は2025年の半分弱に落ち、最終損益は赤字となる。
配当は縮小・停止され、自社株買いは実行されない。上場維持基準の条件を満たせず市場変更や整理銘柄指定への圧力が増す可能性があるが、現時点で廃止が確定しているという意味ではない。残る価値は顧客との関係ではなく、損失後に残った現金と回収可能な資産が中心になる。
- クリエイティブ&エンジニアリング:数量 77.7(年間平均の月次稼働顧客数換算(社)。年間ユニーク顧客数とは区別する)× 価格 0.66(平均稼働顧客1社当たり年間売上(億円、12か月分))→ 売上 51 億円・営業利益 0 億円。人月数量0.42倍、価格1.08倍で採算が消える。
- タレントプラットフォーム:数量 89.2(SES技術者の年間平均稼働人年換算(人年、紹介・育成手数料の売上を換算した推計))× 価格 0.10(稼働人年換算1人当たり売上(億円/人年))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。SES数量0.40倍で稼働率を保てず赤字。
- インキュベーションの受託制作・開発:数量 21.0(年間平均の受託制作・開発人年換算(人年、推定))× 価格 0.14(受託制作開発1人年当たり売上(億円/人年))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。制作数量0.35倍で固定費と価格下落を吸収できない。
- 自社IP・ゲーム・ファン向けサービス等:数量 13.0(年間に収益を生む自社IP・ファン契約等の有効タイトル数(本、推定))× 価格 0.38(有効1タイトル当たり年間売上(億円/タイトル))→ 売上 5 億円・営業利益 −1 億円。有効タイトル数0.65倍で新作投資が回収できない。
倍率:ROEが資本コスト8.25%を下回る赤字の筋書きであり、利益の成長倍率を適用しない。足元の自己資本106.6億円と換金価値に対応する床PBR約0.558で時価総額を評価する。10年後の累積利益によって増えた自己資本には床のPBRを掛けない。現金・回収可能資産の税後の床59.5億円と突き合わせ、過去の市場PBRは用いない。
確率:AIによる発注削減、買収IPの不振、労務の固定費が重なる構造的敗北を想定。資本配分上の後悔が10年の現金流出を生むリスクを無視できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
クリエイティブ&エンジニアリング
企業の事業構想から設計・実装・保守までを請け負う主力サービス。2025年の売上の約76%、そのうち約95%が準委任契約に基づく。
| 数量年間平均の月次稼働顧客数換算(社)。年間ユニーク顧客数とは区別する | 価格平均稼働顧客1社当たり年間売上(億円、12か月分) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 185 | 0.61 | 112 | 12 |
| 10 年後 中立 | 130 | 0.79 | 102 | 14 |
取り方:2025年有報のC&E売上11,229百万円、ユニーク顧客285社、月額平均顧客売上5,057千円を使用。月額単価×12=0.60684億円、112.29÷0.60684≒185の平均稼働顧客月年換算とした。285社を12倍すると重複・離脱を数えるため使わない。2026年2Qは187社、ARPU641万円/月。営業利益12.0億円はライン別未開示のため共通費調整前の試算。型はAIエージェント代替の人月・工数型で、中立数量0.70倍、価格1.30倍、g_long0%。成果報酬への移行による売上開示がないため楽観でも数量1.0倍が上限。
タレントプラットフォーム
Sun terrasのSES、人材紹介、xseedsのIT人材育成・採用支援。2025年の売上の約14%、準委任がそのうち約83%。
| 数量SES技術者の年間平均稼働人年換算(人年、紹介・育成手数料の売上を換算した推計) | 価格稼働人年換算1人当たり売上(億円/人年) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 223 | 0.10 | 21 | 2 |
| 10 年後 中立 | 145 | 0.12 | 18 | 1 |
取り方:2025年有報のTPF売上2,138百万円、準委任1,766百万円、その他372百万円。会社は稼働人員を開示しない。Sun terras従業員約132人(2026年3月)と外部の技術者・紹介料を含むため、80万円/人月の売上換算単価を仮定し223稼働人年を逆算した。実際の派遣人数ではなく換算量である。型はAIエージェント代替の人月・工数・人材提供で、中立数量約0.65倍、価格1.27倍、g_long0%。営業利益はライン別未開示の試算。
インキュベーションの受託制作・開発
Trys等のデジタルコンテンツ制作、ゲーム・Web制作の準委任・請負に相当する部分。自社IPから区分する。
| 数量年間平均の受託制作・開発人年換算(人年、推定) | 価格受託制作開発1人年当たり売上(億円/人年) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 60.0 | 0.13 | 8 | 0 |
| 10 年後 中立 | 39.0 | 0.16 | 6 | 0 |
取り方:2025年有報のインキュベーションその他14.66億円を契約種別で分解し、準委任0.93億円+請負6.63億円=7.56億円を受託制作と扱う。Trysの2026年3月従業員約60人を稼働人年の概算代理指標として、平均1人年1,260万円で組み立てた。外注人材、非稼働人員の影響は不明。売上・人員の開示は同一年でないため近似にすぎない。型はAIエージェント代替の人月・工数型で、中立数量0.65倍、価格1.25倍、g_long0%。営業利益は未開示のため試算。
自社IP・ゲーム・ファン向けサービス等
グローバルギアのカジュアルゲーム、ALLLYのファン向け事業など、IP保有・利用者からの収益を主な候補とする。
| 数量年間に収益を生む自社IP・ファン契約等の有効タイトル数(本、推定) | 価格有効1タイトル当たり年間売上(億円/タイトル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 20.0 | 0.35 | 7 | 1 |
| 10 年後 中立 | 24.0 | 0.44 | 11 | 2 |
取り方:2025年有報のインキュベーションその他の「その他」収益709百万円を、受託以外の自社ゲーム・ファンサービス等の売上代理とした。タイトル別売上・稼働数が未開示なので、20タイトル稼働、平均3,545万円/年とする試算で、実タイトル数の確定値ではない。「その他」にはIP以外も混じりうるため自社IPの規模の上限に近い。国内モバイルゲーム約1.66兆円(ファミ通モバイルゲーム白書2026)に対して全額を仮に割っても0.043%にとどまる。収益源は作品課金・広告・ファン向け取引を含み、人月型には一律に当てない。ただしプラットフォーム利用者や解約率の堀の立証はない。営業利益は未開示のため試算。
リスクと懸念
AIエージェント代替で人月の購入量が減る
2025年の受託・工数・人材関連の売上は約141億円で、全社の95%程度を占める。顧客企業がAIエージェントを使って設計、実装、テストを自ら行えば、案件自体が残っても請求可能な稼働時間は減る。単価上昇やAIによる原価削減がこの減少を補えるかが、10年の利益を左右する。新製品の提供開始と、製品単体で継続する売上の確認は区別する。
開発・SESの価格交渉力と顧客の内製化
C&Eの案件の多くは準委任契約で、Talent PlatformもSESが主な収益源である。TISやSHIFT、大企業内のエンジニア組織が同じ生成AIツールを使えば、開発生産性の改善は顧客に値引きを要求する材料にもなる。2026年に上昇した大企業顧客の単価が、継続的な値上げ力なのか一時的な大型案件なのかを区別する必要がある。
ベトナム子会社の簿外資金と統制の再構築
2026年の社内調査では、2013年頃からの帳簿外資金授受が確認され、現金約0.24億円を計上した。過年度訂正は不要と判断され、経営陣による財務操作の意図も確認されていないが、決算提出の延期を招いた。買収でグループが拡大するほど、権限分掌、監査、海外子会社の資金管理を徹底しなければ、財務の信頼性が再び損なわれる。
プライム市場の上場維持基準と流通時価総額
2025年末の流通株式時価総額は約76.5億円で、プライム市場の基準100億円を下回った。2026年12月末が改善期間の期限と公表されている。2026年10月時点で上場廃止が決定したわけではないが、株価と流通株式数によっては市場変更や整理銘柄指定につながる。株価の上昇による一時的な基準充足と、事業価値の改善を混同しない。
買収と自社IPへの再投資の利回り
グローバルギア、MIXENSEの買収は成長の選択肢を広げるが、買収額に見合うキャッシュフローが長く続くかは別である。インキュベーションのその他収益は2025年でも約7億円であり、ゲームやファン向けサービスの作品別採算は未開示だ。新作が当たらなければ償却・減損・開発費が残り、技術者を増やした過去の資本投下も十分な利益を生まない。
余剰現金の還元、支配株主と潜在株式
2025年末は純現金が約61億円あったが、上位10株主の合計保有比率は約70%で、少数株主が清算や現金配分を決められない。2026年に初配を予定したものの、一定の配当性向や買い戻し額の長期的な数値約束はない。ストックオプションの希薄化と、上場維持基準を意識した資本政策が重なれば、会社が稼ぐ利益と既存株主の取り分は違ってくる。
今後の分かれ目
- C&Eの四半期平均稼働顧客が2026年2Qの187社程度で底打ちし、ARPU約641万円/月が実質的にも保たれたら
- 数量減少の中立前提を上方修正する。ただし大型案件による一時的な単価改善を除き、継続顧客数と案件粗利で確認してから楽観側を厚くする。
- Regen*・DesignSync.AI等の独立した有償契約売上が年間10億円規模に達し、更新率と成果報酬単価が開示されたら
- 工数型以外の売上割合を増やし、当該部分の数量見通しと長期成長率を再評価する。現時点では未開示のため、AI製品の販売成功を計算に前借りしていない。
- SES関連の人年稼働量が2025年比で3割以上減り、単価改定も1年超続けて物価に届かなければ
- Talent Platformの中立をやや悲観側に引き下げ、人材再配置費と固定販管費の負担を増やして営業利益を見直す。
- 海外子会社の資金管理問題で追加の決算遅延、修正報告、監査意見の変化が生じたら
- 継続企業注記や上場資格への波及をまず確かめ、統制不備が継続する場合は買収の収益性と配当の見通しを下方修正する。
- 2026年12月末に流通株式時価総額100億円の維持基準を満たせなかったら
- 公表済みの改善計画に沿って監理・整理銘柄や市場変更の手続きを確認し、取引流動性悪化と資本政策の不確かさを悲観シナリオへ反映する。
- 年間配当約3.9億円の初配が実行され、その後の増配か純株数2%以上の自社株買いが確認できたら
- 現金回収係数0.5の条件を再点検し、還元履歴ができれば0.75への改善を検討する。実際の5年間配当性向中央値50%以上または純株数5%以上の減少が定着した場合は1.0を検討する。
- 自社IPのその他収益が年20億円を超え、タイトルごとの継続率と営業利益率が確認できたら
- 工数型と切り離した収益価値を増やし、IP部門の堀を再審査する。タイトル数だけでなく、開発費を引いた現金利益が増えているかを重視する。
見ておくもの
- 2026年12月末の流通株式時価総額100億円基準への適合、東証による指定・市場変更の有無
- C&Eの四半期ユニーク顧客数と月額平均顧客売上、エンタープライズとSMBの内訳
- C&EとTalent Platformの準委任契約売上比率、受託案件の粗利益率・不採算案件数
- Regen*、DesignSync.AI、HEART Devなどの独立した受注額・売上高・契約更新率
- グローバルギアのゲーム、ALLLYのIP・ファン契約ごとの売上と現金利益
- 海外連結子会社の監査・内部統制、決算提出の遅延や訂正の有無
- 期末配当の実施状況、株主優待実費、自己株買い、純発行株式数と新株予約権
- 連結の現預金・借入金・のれん・営業キャッシュフローと増分ROIC
倍率と資本コストの決め方
数量は2025年のC&E稼働顧客約185社、Talentの換算稼働223人年、受託制作60人年、自社IP等20タイトルという業務単位から推計した。2026年上期の買収・大型案件を永続収益とは扱わず、AIエージェント代替による中立数量0.65〜0.70倍と単価1.25〜1.30倍を先に定めた。資本コスト8.25%、長期成長率0%から導く楽観〜中立の正当化PERは式の上限12.12倍であり、市場PERから決めていない。悲観PBRは現在の自己資本106.6億円にだけ掛け、純現金・換金資産の床と突き合わせた。余剰現金の回収係数0.5と潜在株式の希薄化も別に数えた。2026年のIFRS移行と2027年度以降の新リース基準の表示差は、賃借料を費用とする同じ採算基準で比較し、二重計上しない。最後に基準時価総額235億円と比べ、株価に合わせた逆算を避けた。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。普通の株式資本コスト7.5%に、開示実績による循環と純現金、値決め力の弱さを合わせた0.75%を加えた。個別の簿外資金や上場基準のリスクは倍率に二重加算せず、筋書きと確率で扱う。