結論
インテージは、実際に何が売れ、誰が買ったかを継続して調べ、その情報と分析を企業へ売る会社である。独自データの価値は認めるが、長く持つ株主の見方では、現在の時価総額はやや割高だ。調査の作業が安くなる時代に、データの保有だけで会社全体の利益が増え続けるとは限らない。
強みは、同じ基準で積み重ねた購買履歴と、メーカーが共通の物差しとして使う調査基盤にある。生成AIはもっともらしい回答を作れても、新しく起きた購買そのものを観測することはできない。パネル調査では実際に価格改定も進んだが、個別調査や広告運用まで同じ強さがあるわけではない。[資料1] AIが使う元データの供給者として残れるかと、人の作業をまとめて請け負う会社として伸びるかは、別々に判断すべき問題である。
中立では、調査・受託の実質数量が減り、データ契約の値上げがその穴を埋める。10年後も会社は必要とされるが、名目売上は現在とほぼ同じ規模にとどまる。純利益は平準化した現在より増えるものの、更新投資と運転資金を差し引くと、株主が自由に使える稼ぎの増加は小さい。
還元と余剰現金を含む現在価値は約594億円となり、足元の約741億円を約20%下回る。中立の10年後の株主価値が今の時価総額に近くても、10年間待つことには費用がかかる。独自データの販売益を伸ばし、買収やシステム投資の回収を改善できれば評価は変わるが、その成功を先に買うほどの安全域はない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主が所有したいのは、必要なデータを少ない追加費用で繰り返し売れる部分である。顧客が必要とする実際の購買履歴は、文章を生成する能力とは違う。AIが分析の入口になっても、正確な元データを買う必要が残るなら、同社の役割は消えない。
しかし、良い資産を持つ会社と、利益を高い利回りで再投資できる会社は同じではない。調査員や開発人員を増やして受託を伸ばす仕組みは、自動化が進むほど売上の伸びにくい仕組みになる。独自データを安売りして周辺業務を受注する戦略なら、堀の価値を株主ではなく顧客へ渡してしまう。買収の減損は過去の会計上の出来事ではなく、実際に使った資金の回収が不足した結果である。
見るべき利益は、更新投資を済ませた後に残る利益だ。中立の10年後では、純利益が約43億円でも、償却を超える更新負担を考えると、自由に配分できる額はそれより小さい。純現金の厚さは強みだが、調査協力者へのポイント債務や運転資金まで、株主が取り出せる資金と考えてはいけない。
事業の存続には相応の確信を持てるが、利益の成長にはそれほど強い確信を持てない。独自データの対価が上がり、再投資の回収が確認できる会社には高い価値がある。現状では、その可能性を考慮しても時価総額に対する安全域は足りず、会社の良さと現在の評価は分けて考えるべきである。
何で稼ぐ会社か
売っているのは調査票ではなく、企業が販売や商品開発を決めるための確かな観測値である。消費財メーカーは小売店の販売情報と消費者の購買履歴を買い、製薬会社は医薬品の市場情報や医療関係者への調査を買う。継続契約のデータ販売と、案件ごとに設計する調査では、同じ調査会社の売上でも利益の残り方が異なる。
独自データの中核は、小売店の販売を追うSRI+と、消費者の購買を追うSCIである。2025年の統合報告では、それぞれ約6,000店舗と7万人の調査基盤が示されている。これは情報を集める側の規模であり、有料契約の数ではない。継続購入する企業が増えれば既存データを繰り返し販売できるが、代表性の維持、協力者への謝礼、商品分類の更新は毎年必要になる。
個別調査では、質問の設計、回答者の確保、集計、提言に対価が付く。医療は直近の営業利益の約半分を担う柱だが、集計や報告書作成の時間はAIで短くなる。[資料1] 広告制作・運用、顧客データの活用支援、システム開発も担っており、これらは契約件数より人の作業量に売上が結び付きやすい。2027年6月期からはインサイトとデータテクノロジーの二つの区分になるが、区分名だけでは収益構造の違いは見えにくい。[資料1]
ドコモとの連携は販路を広げるが、共同事業の利益がすべて同社に帰属するわけではない。2026年9月のmarkettwinでは、ドコモが会員・行動データを担い、CARTA ZEROが基盤を開発・運営する。インテージの役割は調査設計と実施、調査基盤の運用、分析支援である。会員基盤の大きさを、そのまま同社が独占して売れるデータの量と考えるべきではない。[資料3]
優良さと弱いところ
堀、つまり競合が簡単にはまねできない強みは、独自データの部分にある。長期の時系列と共通の商品分類があれば、顧客は自社商品の変化を市場全体と比較できる。調査会社を替えて比較の連続性を失うより、同じ基盤を使い続ける方が合理的な場面は多い。
その強みには裏付けがある。独自の観測履歴が蓄積され、複数のメーカーが同じ基盤を市場判断に使っているうえ、直近ではパネル調査の価格改定が増収に寄与した。[資料1] ただし、解約率や契約更新率の具体的な開示は確認できず、全顧客が値上げを受け入れ続けるとまでは言えない。
会社全体を強固な独占企業と呼ぶのは行き過ぎだ。小売店や調査協力者から情報を受け取る契約は維持しなければならず、小売店自身のデータ販売も競争相手になる。個別調査にはマクロミルやクロス・マーケティングがおり、システム受託にはさらに多くの代替先がある。独自データの保有と、顧客の業務全体を支配することは別である。
資本の使い方の評価は、事業の強さほど高くない。営業利益は直近で大きく改善したが、純利益は買収子会社と投資先の損失に押し下げられた。直近はSCI更新の二重費用がなくなり利益水準が上がったが、同じ削減効果を毎年繰り返せるわけではない。[資料1] 既存データの再販売は高い利回りを期待できるが、新しい買収や基盤開発にも同じ利回りがあると判断する材料は不足している。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内調査市場は、名目では増えても実質では大きく伸びていない。日本マーケティング・リサーチ協会による2025年の市場は2,775億円で、前年からの増加は1.8%だった。関連する分析・技術サービスまで含む広い市場は約5,038億円だが、そのすべてが従来型の調査会社に開かれた需要ではない。[資料2]
パネル調査市場は約789億円で、個別調査を中心とする市場は約1,650億円である。同社のパネル売上を比較すると約25%になるが、医療や海外の範囲が完全には一致しない。国内消費財だけを分子にすれば約20%となるが、両者を精密なシェアの上下限とは見なさない。個別調査の国内相当分は約15%と推定するが、非開示の地域・商品別内訳があるため、精密なシェアではない。
クロス・マーケティングのリサーチ売上は約165億円で、国内個別調査市場に対して最大約10%相当だが、海外分を含む。マクロミルの2024年6月期の日本事業は約377億円で、同年の国内市場の約14%に相当する。ただし、海外向け案件や周辺事業も含み、正確な国内調査シェアではない。NIQ、カンター、医療調査会社についても、同じ範囲で比較できる国内シェアは確認できなかった。
10年では、国内人口の減少より、調査の内製化と自動化が受託数量を左右する。中立ではパネル需要の実質規模をほぼ横ばいとし、同社のシェアは小幅に低下する。個別調査の外注数量は業界全体で縮み、同社の国内相当シェアも約15%から約15%弱へ緩やかに下がると見る。広告制作・運用と情報システムの市場は広いが、同社は小規模な担い手であり、市場全体の名目拡大をそのまま受託人員の増加には結び付けられない。
資本政策と M&A
第15次中期計画は、2031年6月期に売上1,100億円、営業利益125億円を目指す。純利益85億円と自己資本の利益率であるROE12%も掲げている。5年間の成長投資は300億円以上である。既存事業投資は110億円以上で、費用処理する投資前の営業キャッシュフローを550億円と見込む。[資料1]
還元には具体的な約束がある。計画期間はDOE、つまり自己資本に対する配当の割合を5%以上とし、累進配当を続ける。株主還元の計画額は120億円で、自社株買いは機動的に行う。2026年8月の取得枠は5億円だが、役職員への株式付与による増加も見る必要がある。
過去の資本配分では、2018年のビルドシステムや協和企画の取得で事業を広げ、2024年には医薬品開発受託のCRO事業をアルフレッサへ譲渡した。一方、2021年に取得したリサーチ・アンド・イノベーション(RNI)では減損が生じた。RNIの技術はSCI更新にも使われたが、取得時に期待した稼ぎには届かなかった。旧中計も売上目標に届かず、新計画の達成を当然とは考えない。
ドコモの持分は51%であり、少数株主が投資や現金の使途を決めることはできない。ただし、増配と自社株取得の実績まで否定する理由もない。上場政策保有株は約4億円と小さく、売却だけで企業価値が変わる規模ではない。優待原価は非開示だが、株主数と制度内容から年0.15億円と推定し、中立の累計還元に1.5億円を含めた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
実際の購買を観測する仕組みは、AIが普及するほど価値を増す可能性がある。誰でも似た分析結果を出せるようになれば、差が付くのは元になった情報の鮮度と正確さだからだ。長年の分類体系と継続調査を持つ同社は、単なる報告書の作成会社より有利な位置にいる。
すでにパネル調査の価格改定が進み、顧客が独自データに対価を払う事実は確認できる。[資料1] 質問の作成や集計を省力化しても、削減した費用のすべてを値下げで渡す必要はない。顧客の判断に必要な情報を契約単位で提供できれば、従業員の時間と売上を切り離せる。既存顧客への販売範囲を広げる方が、未知の分野を買収するより資本効率も良い。
ドコモとの共同事業には、購買の結果と購買前の行動をつなげる余地がある。markettwinは大規模な調査と行動情報を組み合わせており、従来の調査だけでは説明しにくかった顧客像を描ける。[資料3] 企業が広告効果を厳密に測ろうとすれば、継続利用する理由は増える。ただし、共同基盤の収益配分とAI商品の売上はまだ確認が必要だ。
組織統合で重複費用を減らし、失敗した事業への追加投資を止めれば、量を増やさなくても利益は伸びる。DOEの下限と累進配当は、資本が際限なく積み上がることへの歯止めにもなる。上振れには急拡大する市場を独占する必要はなく、持っているデータの対価を適切に受け取り、投資の規律を守ることが必要なのである。
慎重な見方
独自データの価値が残っても、会社全体の売上を守れるとは限らない。メーカーが必要とする調査の回数は変わらなくても、質問設計、集計、資料作成に払う金額は減らせる。発注者自身のAIが外部データを読み込めるようになれば、調査会社へまとめて依頼する理由は薄れる。
同社の強い部分と弱い部分は、一つの契約の中に混在している。パネルの利用料が上がる一方で、分析支援や広告運用の追加料金が減れば、顧客一社から得る利益が増えるとは限らない。小売店が自社データを直接販売し、マクロミルやクロス・マーケティングが低価格の調査を広げれば、独自データの範囲も少しずつ狭くなる。値上げの実績は重要だが、長期の契約維持を保証する数字ではない。
親会社との連携も、少数株主に有利な利益配分を保証しない。markettwinでは利用者情報も基盤運営も複数社に分かれ、インテージだけが入口を握るわけではない。[資料3] 調査の実施役として仕事が増えても、作業単価を決める側に立てなければ、高い資本収益にはつながりにくい。
資金の使い方にも未解決の問題がある。買収子会社RNIの減損と企業投資の評価損が出た後に、大きな成長投資を掲げている。[資料1] 直近の利益回復をすべて持続的な改善と見て投資を急げば、現金は増配の原資ではなく損失の吸収材になる。優れた調査基盤を持つことと、今の時価総額に見合う株主利益を残すことの間には、まだ距離がある。
どちらに重みを置いたか
独自データが残るという主張は強いが、その価値が会社全体の成長へ広がるという主張はまだ弱い。価格改定の実績は評価できるものの、作業型の売上が大きく、共同基盤の収益配分と新規投資の回収も確かではない。したがって、データ事業の存続は中立に含め、外注需要を失わず利益率も高める展開は上振れとした。
下側の重みは上側よりわずかに厚い。これは財務破綻を心配した結果ではなく、旧計画の未達と買収・企業投資の損失を踏まえた資本配分への慎重さである。AIによる縮小を数量と長期成長に入れたうえで、同じ理由をさらに確率へ上乗せしてはいない。還元を考慮しても、現在の評価には十分な安全域がない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した株価時価総額 2,094 円800 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 644 円246 億円)。 今の値に割り戻すと 1,554 円594 億円、今との差 −19.8%、 期待の年率 +3.5%(資本コスト 6.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 4,583 円1,750 億円 | 943 円360 億円 | +185.0% | +11.0% | 663 円253 億円 |
| やや楽観 | 21% | 3,267 円1,248 億円 | 759 円290 億円 | +107.6% | +7.6% | 845 円323 億円 |
| 中立 | 32% | 1,943 円742 億円 | 628 円240 億円 | +32.6% | +2.9% | 823 円314 億円 |
| やや悲観 | 23% | 857 円327 億円 | 537 円205 億円 | −28.1% | −3.2% | 321 円122 億円 |
| 悲観 | 12% | 328 円125 億円 | 393 円150 億円 | −62.8% | −9.4% | 86 円33 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,094 円800 億円 | 644 円246 億円 | +41.2% | +3.5% | 2,738 円1,046 億円 |
今の株価時価総額 1,939 円741 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 6.8% を下回るほど割高。
楽観 12% データの対価と投資の規律が両立する 利益 102 億円 · PER 16.1 倍 · 株価時価総額 4,583 円1,750 億円
独自データの対価を引き上げ、調査の効率化で生まれた利益も会社に残せる。メーカーは自社のAIで分析するようになるが、検証可能な元データの契約は維持する。小売店との関係を保ちながら契約範囲を広げ、調査件数が増えなくても顧客一社から得る売上が増える。
ドコモとの共同販売は、行動情報と実購買をつなぐ用途で定着する。ただし、親会社や基盤運営会社に利益の大半を渡すのではなく、同社の調査設計と情報品質にも十分な対価が付く。マクロミルやクロス・マーケティングとの価格競争は続くが、独自性の低い作業を減らすことで全社の利益率が上がる。
組織統合では重複システムと管理費を削り、追加買収は既存顧客へ販売できる範囲に絞る。過去の買収・投資の失敗を繰り返さず、再投資と厚い還元を両立する。会社計画を超える利益率の実現には、実際の人員配置や契約条件の変更が必要であり、AIを導入しただけで達成できる姿ではない。
- 独自データ・パネル:数量 400(年間利用企業相当数(社・推定))× 価格 7,114(利用企業相当1社当たり年間売上(万円・名目))→ 売上 285 億円・営業利益 77 億円。数量1.00倍、価格1.45倍。実際の値上げ実績を起点に契約範囲を拡張し、情報提供元への費用増も負担した後の利益率27%。
- 個別調査・分析・コンサルティング:数量 38,600(同じ作業規模に換算した年間調査案件数(件・推定))× 価格 111(換算調査1件当たり売上(万円・名目))→ 売上 427 億円・営業利益 43 億円。数量1.00倍、価格1.34倍。AI商品による数量成長は加えず、低採算作業の削減と設計・検証の対価で利益率10%。
- マーケティング実行・データ活用支援:数量 478(年間の外部提供作業量(人年相当・推定))× 価格 2,140(作業1人年相当当たり売上(万円・名目))→ 売上 102 億円・営業利益 8 億円。数量1.00倍。広告部分の料率は横ばい、その他の単価のみ物価転嫁。固定費統合を伴って利益率8%。
- システム開発・業務受託:数量 296(年間の外部提供作業量(人年相当・推定))× 価格 3,329(作業1人年相当当たり売上(万円・名目))→ 売上 99 億円・営業利益 12 億円。数量1.00倍、価格1.34倍。手戻り削減と契約採算改善が必要で、単に人月を増やす成長ではない。
倍率:余剰現金の税後利息を除いた事業純利益98.9249億円、事業自己資本500.10億円から事業ROE19.7810%。k6.75%、残る割合1/2によりRONIC=k+0.5×(ROE−k)=13.2655%。g1%として正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=16.080288倍をそのまま採用し、手で割り引かない。時価総額=(純利益−余剰現金×1.4%)×PER+余剰現金×0.75。利益は平準化した現在38億円から終点へ直線的に移る仮定で、将来10期の合計は4.5×38+5.5×終点利益。2027・2028年の添付予想は近年の方向を確かめる材料とし、2031年の会社目標を将来利益に機械的に接続しない。累計利益は731.49億円。自己資本は340.1+累計利益−還元360+優待原価の二重控除調整1.500=713.09億円。優待は既に費用として利益から引かれるため、株主還元にも含める際は同額を資本・現金の流れへ戻す。償却を超える投資と運転資金増の累計は220億円と仮定。10年後余剰現金は212.99億円であり、投資額は単純な利益留保額とは区別する。累進配当と期末自己資本に対するDOE5%を満たす配当は、株買い前の概算で累計約278億円。追加の自社株取得等を含め還元総額360億円とする。
確率:12%。パネルの価格改定という実績はあるが、量を増やさず全社利益率を15%台へ高めるには、顧客への価値訴求、費用の再設計、投資回収が同時に成功する必要がある。未開示のAI売上を根拠に需要の急増を加えず、上側の端として限定した。
やや楽観 21% 独自データを守り、作業を減らして利益を残す 利益 72 億円 · PER 15.9 倍 · 株価時価総額 3,267 円1,248 億円
パネル調査は顧客基盤を保ち、物価にほぼ見合う価格改定が定着する。分析作業の一部は顧客のAIへ移るが、医療や商品開発の調査では専門家による設計と検証が選ばれる。売上の量は減っても、利益の薄い作業が減るため、利益への影響はそれより小さい。
ドコモとの共同商品は既存顧客への販売を補い、独自データと周辺サービスの契約をつなぐ。競合も自動化を進めるため圧倒的な差は付かないが、長期比較の連続性を保ちたい顧客は残る。広告の実行支援やシステム受託では、すべての受注を守るより採算を優先する。
組織統合とシステム共通化によって重複投資が減り、事業規模を広げるための買収は抑制される。新しい投資の収益が立ち上がり、配当と自社株取得を続けても財務余力は残る。現状より良い会社になるが、中期計画の売上目標が自然に実現するほどの需要拡大は想定しない。
- 独自データ・パネル:数量 400(年間利用企業相当数(社・推定))× 価格 6,574(利用企業相当1社当たり年間売上(万円・名目))→ 売上 263 億円・営業利益 60 億円。数量1.00倍、価格1.34倍。契約維持と価格改定、共通基盤化で利益率23%。
- 個別調査・分析・コンサルティング:数量 33,968(同じ作業規模に換算した年間調査案件数(件・推定))× 価格 111(換算調査1件当たり売上(万円・名目))→ 売上 375 億円・営業利益 24 億円。数量0.88倍、価格1.34倍。失う作業は利益の薄い部分が中心で、利益率6.5%。
- マーケティング実行・データ活用支援:数量 407(年間の外部提供作業量(人年相当・推定))× 価格 2,140(作業1人年相当当たり売上(万円・名目))→ 売上 87 億円・営業利益 5 億円。数量0.85倍。広告の料率には物価を掛けず、混合単価1.237115倍。
- システム開発・業務受託:数量 252(年間の外部提供作業量(人年相当・推定))× 価格 3,329(作業1人年相当当たり売上(万円・名目))→ 売上 84 億円・営業利益 8 億円。数量0.85倍、価格1.34倍。受託縮小に合わせて費用を減らし利益率9%。
倍率:余剰現金の税後利息を除いた事業純利益69.6177億円、事業自己資本430.10億円から事業ROE16.1864%。k6.75%、残る割合1/2によりRONIC=k+0.5×(ROE−k)=11.4682%。g1%として正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=15.874824倍をそのまま採用し、手で割り引かない。時価総額=(純利益−余剰現金×1.4%)×PER+余剰現金×0.75。利益は平準化した現在38億円から終点へ直線的に移る仮定で、将来10期の合計は4.5×38+5.5×終点利益。2027・2028年の添付予想は近年の方向を確かめる材料とし、2031年の会社目標を将来利益に機械的に接続しない。累計利益は568.53億円。自己資本は340.1+累計利益−還元290+優待原価の二重控除調整1.500=620.13億円。優待は既に費用として利益から引かれるため、株主還元にも含める際は同額を資本・現金の流れへ戻す。償却を超える投資と運転資金増の累計は150億円と仮定。10年後余剰現金は190.03億円であり、投資額は単純な利益留保額とは区別する。累進配当とDOE5%に沿う配当は株買い前の概算で累計約250億円。余力の範囲の自社株取得等を含め還元総額290億円とする。
確率:21%。既存データ契約の維持と組織統合による採算改善は、ゼロから新しい市場を開くより実現しやすい。価格改定の実績とドコモの販売基盤を評価する一方、共同商品の売上額・利益配分は非開示なので、最も起きやすい結果にはしない。
中立 32% データ契約は残るが、受託数量は縮む 利益 43 億円 · PER 15.4 倍 · 株価時価総額 1,943 円742 億円
独自データの契約は大半が残るが、調査会社に任せる作業は減っていく。メーカーは実際の購買情報を買い続ける一方、集計や定型分析は自社のAIへ移す。長期比較の基盤としての優位は残っても、顧客の統合や調査予算の集約により、利用企業相当数は少し減る。
個別調査は専門性の高い案件を維持しながら、簡単な調査をマクロミルやクロス・マーケティングの低価格サービス、顧客の内製へ失う。広告運用とシステム開発では、人の作業時間が減った分を同じ料金で請求することは難しい。値上げは進むが、すべての分野で人件費の上昇を転嫁できるわけではない。
ドコモとの共同商品と組織統合は、縮小を和らげる役割にとどまる。大型買収に依存せず、データ品質とシステム更新を優先し、投資予算も実際の回収に合わせて絞る。会社は必要とされ続け、配当も積み重なるが、株主の資本を高い利回りで大きく増やす姿にはならない。
- 独自データ・パネル:数量 380(年間利用企業相当数(社・推定))× 価格 6,378(利用企業相当1社当たり年間売上(万円・名目))→ 売上 242 億円・営業利益 46 億円。記録の正本・独自データ型。数量0.95倍、価格1.30倍。価格改定はあるが全物価転嫁までは見込まず、利益率19%。
- 個別調査・分析・コンサルティング:数量 27,792(同じ作業規模に換算した年間調査案件数(件・推定))× 価格 107(換算調査1件当たり売上(万円・名目))→ 売上 298 億円・営業利益 6 億円。人月・工数型。数量0.72倍、価格1.30倍。自動化で有料作業が減り、価格競争で物価1.34倍に届かない。
- マーケティング実行・データ活用支援:数量 311(年間の外部提供作業量(人年相当・推定))× 価格 2,140(作業1人年相当当たり売上(万円・名目))→ 売上 67 億円・営業利益 2 億円。広告型と人月型。数量0.65倍。広告25.04億円部分の単価1.00倍とその他57.71億円部分1.34倍を混ぜ、1.237115倍。
- システム開発・業務受託:数量 193(年間の外部提供作業量(人年相当・推定))× 価格 3,229(作業1人年相当当たり売上(万円・名目))→ 売上 62 億円・営業利益 3 億円。人月・工数型。数量0.65倍、価格1.30倍。共同利用基盤の堀を全体へ広げる証拠がなく、利益率5%。
倍率:余剰現金の税後利息を除いた事業純利益41.2410億円、事業自己資本370.10億円から事業ROE11.1432%。k6.75%、残る割合1/2によりRONIC=k+0.5×(ROE−k)=8.9466%。g1%として正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=15.447402倍をそのまま採用し、手で割り引かない。時価総額=(純利益−余剰現金×1.4%)×PER+余剰現金×0.75。利益は平準化した現在38億円から終点へ直線的に移る仮定で、将来10期の合計は4.5×38+5.5×終点利益。2027・2028年の添付予想は近年の方向を確かめる材料とし、2031年の会社目標を将来利益に機械的に接続しない。累計利益は408.61億円。自己資本は340.1+累計利益−還元240+優待原価の二重控除調整1.500=510.21億円。優待は既に費用として利益から引かれるため、株主還元にも含める際は同額を資本・現金の流れへ戻す。償却を超える投資と運転資金増の累計は90億円と仮定。10年後余剰現金は140.11億円であり、投資額は単純な利益留保額とは区別する。累進配当とDOE5%に沿う配当は株買い前の概算で累計約223億円。控えめな自社株取得等を含め還元総額240億円とする。会社の5年還元120億円計画とも大きく乖離しないが、10年継続は分析上の仮定である。
確率:32%。実観測データの必要性が残り、個別調査・広告・SIの作業量は減るという二つの変化が並行する中心的な見込み。AI エージェント代替は数量と価格、長期成長に織り込んだ。確率は楽観12%、やや楽観21%、中立32%、やや悲観23%、悲観12%であり、下側35%と上側33%の差は小さい。
やや悲観 23% 契約範囲と作業受注が同時に細る 利益 23 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 857 円327 億円
小売店の直接販売と顧客の内製化が進み、継続データの契約にも解約や対象範囲の縮小が出る。実購買を観測する価値は消えないものの、市場全体を一つの調査会社から買う顧客は減る。過去の比較情報は残るが、新しい情報を高い価格で更新する力は弱くなる。
個別調査の発注量は減り、専門性だけでは従来の作業単価を守れない。広告支援では案件が減っても人員と賃借費用が残り、赤字が続く。システム受託も小幅な黒字にとどまり、競合より早く人員配置と提供方法を変えられなかったことが利益を圧迫する。
ドコモとの連携は仕事を生むが、共同事業の利益が想定ほど同社に残らない。成長投資の拡大は止め、更新と顧客維持に資金を振り向ける。配当方針は維持するものの自社株取得の余地はほぼ失われ、資本の蓄積に対して稼ぎの伸びが不足する状態が続く。
- 独自データ・パネル:数量 340(年間利用企業相当数(社・推定))× 価格 5,888(利用企業相当1社当たり年間売上(万円・名目))→ 売上 200 億円・営業利益 30 億円。数量0.85倍、価格1.20倍。調査範囲の縮小とデータ調達費の上昇で利益率15%。
- 個別調査・分析・コンサルティング:数量 21,230(同じ作業規模に換算した年間調査案件数(件・推定))× 価格 99(換算調査1件当たり売上(万円・名目))→ 売上 210 億円・営業利益 0 億円。数量0.55倍、価格1.20倍。残った案件の粗利が調査設計・品質管理の固定費を賄うだけになる。
- マーケティング実行・データ活用支援:数量 239(年間の外部提供作業量(人年相当・推定))× 価格 1,730(作業1人年相当当たり売上(万円・名目))→ 売上 41 億円・営業利益 −1 億円。数量0.50倍、価格1.00倍。広告単価は上がらず、残存人員・賃料で営業赤字。
- システム開発・業務受託:数量 148(年間の外部提供作業量(人年相当・推定))× 価格 2,981(作業1人年相当当たり売上(万円・名目))→ 売上 44 億円・営業利益 1 億円。数量0.50倍、価格1.20倍。低稼働と採用済み専門人材の固定費で利益率2%。
倍率:事業ROEは6.20%でk6.75%を下回る。継続する契約縮小により10年後以降の分配可能利益が年1.5%減る局面を想定し、PERは1÷(6.75%+1.5%)=12.121212倍。上振れ側の成長倍率を使わず、事業利益22.3171億円に掛け、余剰現金の75%を別加算する。売れる資産の床125.3億円より継続事業の価値が高い。利益は平準化した現在38億円から終点へ直線的に移る仮定で、将来10期の合計は4.5×38+5.5×終点利益。2027・2028年の添付予想は近年の方向を確かめる材料とし、2031年の会社目標を将来利益に機械的に接続しない。累計利益は299.57億円。自己資本は340.1+累計利益−還元205+優待原価の二重控除調整1.125=435.80億円。優待は既に費用として利益から引かれるため、株主還元にも含める際は同額を資本・現金の流れへ戻す。償却を超える投資と運転資金増の累計は80億円と仮定。10年後余剰現金は75.70億円であり、投資額は単純な利益留保額とは区別する。累進配当とDOE5%をおおむね守り、還元総額205億円とする。自社株取得はほぼ行わず、下がる利益に対して配当負担は重くなる。
確率:23%。旧中計の売上未達、国内の買収子会社RNIの減損、投資有価証券の評価損を踏まえると、資本配分の改善が遅れる展開は軽視できない。下に寄せる理由:独自データの堀よりも、その周辺へ投じた資金の回収実績が弱いためである。AIだけを理由に確率をさらに下げる調整はしていない。
悲観 12% 発注の仕組みが変わり、資産価値が中心になる 利益 5 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 328 円125 億円
調査基盤は残るが、顧客が同社へまとめて発注する仕組みが崩れる。大手小売店と製薬会社が自社情報の利用を強め、外部の分析はAIと低価格の調査サービスへ移す。独自パネルも対象範囲を縮小され、過去の時系列を持つ強みだけでは契約減を止められない。
売上は現在のほぼ半分となり、協力者への謝礼や情報管理費用が重くなる。広告と受託開発では人員・事務所の整理が遅れ、黒字のパネルが他部門の赤字を支える。単なる景気の谷ではなく、顧客の支払う先が変わった結果であり、需要が戻れば元に戻る状況ではない。
過去の買収資産と開発資産には追加減損が発生し、経営は成長投資から撤退する。中計期間後には配当方針も引き下げられ、親会社による高値の救済買収は前提にしない。倒産は避けても、少数株主に残る価値は現金と処分可能な資産が中心になる。資産の処分時期まで株主が決められるわけではない。
- 独自データ・パネル:数量 260(年間利用企業相当数(社・推定))× 価格 5,397(利用企業相当1社当たり年間売上(万円・名目))→ 売上 140 億円・営業利益 11 億円。数量0.65倍、価格1.10倍。契約減と情報提供者の交渉力上昇で、継続データの利益率も8%まで低下。
- 個別調査・分析・コンサルティング:数量 15,440(同じ作業規模に換算した年間調査案件数(件・推定))× 価格 91(換算調査1件当たり売上(万円・名目))→ 売上 140 億円・営業利益 −6 億円。数量0.40倍、価格1.10倍。顧客内製への移行が定着し、残る設計・品質管理費により赤字。
- マーケティング実行・データ活用支援:数量 167(年間の外部提供作業量(人年相当・推定))× 価格 1,557(作業1人年相当当たり売上(万円・名目))→ 売上 26 億円・営業利益 −1 億円。数量0.35倍、価格0.90倍。作業代替と料率低下が重なり、撤退・縮小後にも赤字が残る。
- システム開発・業務受託:数量 118(年間の外部提供作業量(人年相当・推定))× 価格 2,733(作業1人年相当当たり売上(万円・名目))→ 売上 32 億円・営業利益 −1 億円。数量0.40倍、価格1.10倍。更新需要は残るが受託で利益を取れず、固定費を回収できない。
倍率:AI代替の悲観は稼ぐ力の床ではなく、現在確認できる現金と処分可能資産から評価する。floor_assets_oku125.3億円を現在の自己資本340.1億円で割ったPBR0.368421倍であり、過去の市場PBRや将来の利益留保額は根拠にしない。将来自己資本329.82億円にこの倍率を掛けるのではない。余剰現金は床に含むので、時価総額へ別加算せず、当該シナリオのexcess_cash_okuは評価上0とする。利益は平準化した現在38億円から終点へ直線的に移る仮定で、将来10期の合計は4.5×38+5.5×終点利益。2027・2028年の添付予想は近年の方向を確かめる材料とし、2031年の会社目標を将来利益に機械的に接続しない。累計利益は138.97億円で、期間中の追加減損60億円を控除済み。減損は非現金費用として現金の流れには足し戻す。自己資本は340.1+累計利益−還元150+優待原価の二重控除調整0.750=329.82億円。優待は既に費用として利益から引かれるため、株主還元にも含める際は同額を資本・現金の流れへ戻す。償却を超える投資と運転資金増の累計は20億円と仮定。10年後余剰現金は89.72億円であり、投資額は単純な利益留保額とは区別する。2031年までは累進配当を優先するが、その後はDOE5%方針を変更して減配し、還元総額150億円とする。現行方針を10年間そのまま守れるとは想定せず、自社株取得も停止する。
確率:12%。情報提供元との条件悪化、顧客の内製化、買収・開発資産の回収失敗が重なる構造的敗北を想定する。現金が厚いので倒産寸前とはしないが、長期の株主価値は大きく傷む。下側合計35%は指定されたAI対象事業の最低水準であり、資本コストにも同じ不安を加えてはいない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
独自データ・パネル
消費財と医療の継続調査データを契約単位で提供する。新しいインサイト区分のうち、独自観測情報を反復販売する部分である。
| 数量年間利用企業相当数(社・推定) | 価格利用企業相当1社当たり年間売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 400 | 4,906 | 196 | 39 |
| 10 年後 中立 | 380 | 6,378 | 242 | 46 |
取り方:会社の2026年説明資料6〜7頁の消費財パネル154.24億円と医療パネル42.01億円を合算。17頁のパネルルーチン顧客約400社を数量の基準とし、196.25億円÷400社=4,906.25万円を平均契約売上とする。医療との顧客重複や複数契約数は非開示なので、400は有料契約の実数ではなく利用企業相当数である。SCIの調査協力者7万人やSRI+の約6,000店舗を顧客数には使わない。AI エージェント代替の型は、製品別売上と二つの証拠を対応できるこの部分を「記録の正本・独自データ」とする。独自履歴の蓄積と、メーカーが共通に使う比較基盤の二点を堀の証拠とし、2026年の価格改定実績も確認した。売上比率は29.25%。JMRAのパネル市場789億円との比は約24.9%だが医療等の範囲差があり、国内消費財だけなら約19.5%。中立は市場実質数量0.98倍、同社数量0.95倍で、対応範囲を固定した相対シェアは約3%低下とする。NIQ、カンター、マクロミルの同一範囲の国内パネルシェアは非開示。製品別利益は非開示のため営業利益39.25億円は20%利益率による分析上の配賦であり、会社開示値ではない。出典:[資料1]、[資料2]、2025年統合報告書13〜14頁 https://www.intageholdings.co.jp/ir/library/pdf/intagegroupreport2025.pdf 、現在の基盤説明 https://www.intageholdings.co.jp/company/business/ 。以下の四区分はAI耐性を分ける分析用の再区分であり、法定セグメントではない。旧三区分と新二区分を会社開示で接続し、全社売上671億円と営業利益57.5億円は添付に合わせた。
個別調査・分析・コンサルティング
個別の消費者調査、医療調査、海外調査と分析・提言を提供する。独自パネルの利用料とは分け、主として案件ごとの外注作業として見る。
| 数量同じ作業規模に換算した年間調査案件数(件・推定) | 価格換算調査1件当たり売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 38,600 | 82 | 318 | 11 |
| 10 年後 中立 | 27,792 | 107 | 298 | 6 |
取り方:会社の新しいインサイト区分の2026年参考売上514.68億円から独自パネル196.25億円を控除した318.43億円。数量はクロス・マーケティングのリサーチ売上165億円と年間2万件超の公表を外部基準にした。1件約82.5万円の作業規模なら約3.86万件となり、算術上の平均単価は82.4948万円。競合の件数は「超」であり商品・地域の範囲も異なるため、実際の受注件数や料金を示すものではなく、案件換算には少なくとも3割程度の推計幅がある。売上を数量と呼んで価格を1にしたものではない。AI エージェント代替は主として人月・工数型で、売上比率47.46%。Co等のメディアデータも混在するが、その収入と継続率を分離できず、記録の正本型へ一括で移さない。この分類は堀がないことの断定ではなく、追加証拠によって改善しうる評価上の留保である。中立の数量0.72倍、価格1.30倍は、設計・集計・報告の内製化と入札競争を反映する。JMRAの個別調査1555億円とその他95億円を対象市場とし、海外売上相当約63億円を控除した国内相当約255億円からシェア約15.5%を推定。会社がESOMARの2025年報告を引用した世界市場調査560億ドルは固定為替150円で8.4兆円となるが、国外約63億円はその0.1%未満の規模であり、地域別の正確なシェアは不明。海外需要にも同じ人月型の数量減を適用し、大きい世界市場を根拠に成長を加えない。地域と商品の完全な対応は非開示である。市場の実質外注数量0.75倍に対して同社0.72倍なら、同比較のシェアは約14.9%となる。競合クロスの165億円は海外込みで市場の約10%に相当する上限参考値。営業利益11.31億円はインサイト利益50.56億円からパネル推定利益を控除した値。出典:[資料1]、[資料2]、クロス公式企業情報 https://www.cm-group.co.jp/ 、マクロミル第11期定時株主総会資料72頁 https://finance-frontend-pc-dist.west.edge.storage-yahoo.jp/disclosure/20240903/20240902579844.pdf 。
マーケティング実行・データ活用支援
広告の制作・運用や販促、顧客データを使う実行支援を行う。媒体の広告枠自体を独占保有している事業とは扱わない。
| 数量年間の外部提供作業量(人年相当・推定) | 価格作業1人年相当当たり売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 478 | 1,730 | 83 | 1 |
| 10 年後 中立 | 311 | 2,140 | 67 | 2 |
取り方:新しいデータテクノロジー区分の2026年参考売上156.32億円から旧ビジネスインテリジェンス相当73.57億円を控除し82.75億円とする。旧製品別売上で広告・販促と明示されるヘルスケアのプロモーション25.04億円を広告型に対応させ、残り57.71億円をその他の実行支援として人月型に仮分類する。Co33.51億円はi-SSPやMedia Gauge等のコミュニケーション調査であり、全額を広告制作・運用とは扱わない。新区分への完全な対応と広告手数料の純額は非開示なので、広告比率には推計誤差がある。数量の基準はクロス・マーケティングの全社売上332億円÷従業者1919人=約1730万円。これを外部提供作業の換算単価として約478.3人年を得る。人数は派遣等を含む比較指標で、同社の実人数でも賃金でもない。AI エージェント代替は広告型25.04億円と人月型57.71億円で、全社売上比率12.33%。中立数量0.65倍。広告部分の手数料単価に物価を掛けず1.00倍、その他だけ1.34倍とし、混合価格は1.237115倍。電通の2025年ネット広告制作費4922億円に媒体費33093億円の仮定手数料10%を加えると、対価市場の参考値は8231億円となる。手数料10%は分析上の仮定で、媒体取扱高をそのまま市場にしてはいない。同社82.75億円は約1%、クロスのデジタル売上167億円は約2%に相当する規模だが、医療販促を含み会計・事業範囲も異なるため、これはシェアの測定値ではない。直接対応する市場統計と競合シェアは確認できなかった。中立の業界作業量0.75倍に対し同社0.65倍なので、対応範囲を固定した相対シェアは約13%低下。営業利益0.59億円は全社57.5億円へ接続する配賦で、開示区分合計との丸め差0.03億円も含む。出典:[資料1]、https://www.cm-group.co.jp/ 、電通 https://www.dentsu.co.jp/media3 。
システム開発・業務受託
データ処理システムの開発、運用と業務受託を提供する。顧客の内部業務に関わるが、そのことだけでは独自データの堀を認めない。
| 数量年間の外部提供作業量(人年相当・推定) | 価格作業1人年相当当たり売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 296 | 2,484 | 74 | 6 |
| 10 年後 中立 | 193 | 3,229 | 62 | 3 |
取り方:旧ビジネスインテリジェンス区分の売上73.56億円を新区分との端数調整後73.57億円として採用。数量の外部基準はインテージテクノスフィア公式会社概要の2026年6月期売上124.7億円÷2026年7月の社員502人=約2484万円であり、外販73.57億円は約296.16人年相当になる。子会社売上は内部取引を含むため、連結売上へ追加せず換算単価の参考にだけ使う。業務構成の差が大きく、この人数は実従業員数ではない。AI エージェント代替は人月・工数型で、全社売上比率10.96%。全体を共同利用の業務基盤と認める二つの開示証拠は確認できず、席課金売上の額も非開示なので、独自データ型への例外は与えない。中立数量0.65倍、価格1.30倍とし、効率化による工数減と受注単価の競争を反映。JISAの2025年調査は2024年度の回答300社で情報サービス売上10兆132億円を集計しており、同社外販はこの標本の約0.074%。全国市場シェアではなく、母数が標本なので上限的な目安である。競合はNTTデータ、野村総合研究所、SCSK、TIS等で、対象業務をそろえたシェアは非開示。業界外注作業0.75倍に対し同社0.65倍なら相対シェアは約13%低下。営業利益6.35億円は開示値を使用。出典:[資料1]、https://www.intage-technosphere.co.jp/company/corporate-data/ 、JISA https://www.jisa.or.jp/Portals/0/report/basic2025report.pdf 。
リスクと懸念
AI エージェント代替
調査結果を作る作業と、実際の購買情報を集める仕組みは別である。前者では顧客の内製化が進み、件数が維持されても支払われる工数が減る。残る売上にも独自データは混在するが、その割合と採算は未確認である。データを持つ会社だから全社が守られると考えるのは危険だ。中立の数量減と長期成長の鈍化に反映し、資本コストには同じ理由を加えていない。
データ提供元の交渉力と利用許諾
観測情報の価値は、協力する小売店や消費者との契約が続いて初めて保たれる。小売店の直接販売、提供料金の上昇、同意範囲の縮小が起きれば、売上を維持しても利益は減る。個人情報の管理不備は収集の継続性と信用の双方を損ない、AIによる集計費用の削減だけでは埋め合わせられない。
親会社との連携と利益配分
ドコモの会員規模は、インテージが自由に使える独占データ量ではない。共同サービスには基盤運営会社や広告会社も参加し、同社の役割が調査作業の提供に偏る可能性がある。親会社の販売力が仕事を増やしても、料金と利益の配分が少数株主に有利とは限らず、連携売上の増加だけで評価しない。
成長投資の回収失敗
第15次中計の成長投資は大きく、既存の調査基盤とは異なる分野にも資金が向かう。買収子会社と企業投資で損失が出た実績を踏まえると、取得後の追加投資やのれんの減損は無視できない。利益の増加より先に現金が出るため、DOEの約束があっても、投資と配当を両立できるかは別に確かめる必要がある。
継続契約と固定費の非対称性
契約の対象商品や地域が減っても、調査協力者の維持、商品分類、情報保護、品質管理の費用は同じ割合では減らない。受託部門でも採用済みの人員と事務所の賃料が残る。過去の営業利益が安定していたことは、発注方法が構造的に変わる将来の利益率の下限を保証しない。
推計した数量・利益配分の誤差
会社は製品別の有料契約数、平均価格、営業利益を全面的には開示していない。本分析の顧客相当数、調査案件、人年は、公表された顧客数と競合の単価を使った換算値である。独自パネルの利益配分が想定より小さい場合、同じ全社利益でも長期の価値は下がるため、部門別採算の追加開示が評価を大きく変えうる。
今後の分かれ目
- パネル調査で値上げ後も契約更新率95%以上が確認でき、価格と販売範囲の拡大が継続する。
- 独自データの値決め力をより強く認め、中立の数量と価格、当該部分の長期成長を上方へ見直す。現時点で未開示の継続率を先取りしない。
- 自社のAIエージェント商品について実際の売上・受注金額と更新実績が開示され、減った調査工数以上の対価を得ている。
- 該当する事業だけ、楽観の数量上限と人月型の分類を再検討する。試験提供や利用回数の増加だけでは、有料需要の増加と認めない。
- markettwinなど共同商品の売上、利益配分、継続利用が開示され、インテージ側の利益と資本回収が確認できる。
- ドコモ連携を販路の可能性から実際の利益源へ評価し直す。親会社の会員数ではなく、同社に帰属する利益に応じて上振れの重みを増す。
- 独自パネルが値上げを続けても、その調達費と品質維持費の増加によって利益率が下がる。
- 契約数の減少がなくても価格の堀が弱まったと判断し、パネル利益率と長期成長を下げる。小売店等へ利益が移っていないかを確認する。
- 成長投資の実行額が増える一方、取得後の営業キャッシュフローと利益が伸びず、減損が再び発生する。
- 投資回収の不足を将来利益と余剰現金に反映し、やや悲観・悲観へ重みを移す。配当維持だけを理由に現金の流出を無視しない。
- DOE5%以上と累進配当を実行しながら、役職員向け発行を差し引いた株数が十分減り、現金還元の実績基準を満たす。
- 余剰現金の戻り方を0.75から1.0へ見直す。自社株取得の発表枠ではなく実行額と純株数で判断し、事業利益の見通しまで同時に引き上げない。
- 新たなTOB、完全子会社化、上場廃止の正式発表、または継続企業の前提の注記が出る。
- 独立した上場会社としての10年評価の対象から外す。2023年の部分TOBと、2027年予定の社内再編は、それだけではこの条件に当たらない。
見ておくもの
- パネル調査の増収を、価格改定、契約社数、契約範囲の変化に分けた開示と、値上げ後の更新率。
- 個別調査の受注件数、実際の平均単価、AI内製化に伴う外注工数の減少。
- 共同商品の売上総利益と、データ利用許諾・同意範囲・各社の収益配分。
- インサイトとデータテクノロジーの採算、共通費の削減額、移行費用と資産計上した開発費。
- 減損・投資評価損、買収後の営業キャッシュフロー、投資額と償却費の差。
- DOEと配当総額、自社株取得の実行額、役職員付与後の純株数、ポイント債務控除後の現金余力。
倍率と資本コストの決め方
物価年3%、10年国債3%、ドル円150円を共通前提とし、為替は筋書きで変えていない。数量・価格・利益率を先に決め、余剰現金の利息を外したROEとk6.75%、g1%から倍率を求めた。現在・過去・同業のPERは使っていない。株価が変わってもシナリオの価値は変わらない。全社財務・基準株数は添付を優先し、開示の新旧区分は内訳推定にだけ使った。2023年の部分TOBは上場維持で、2026年10月22日までに新たな上場廃止案件は確認せず、直近短信の継続企業注記も該当なし。新リース会計後も家賃を営業費用に含む従来形で比較する。
資本コスト 6.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%からquality0.75ポイントを引いて6.75%。同領域のウェザーニューズの約6.8%とほぼ同じ物差しである。β、企業規模、親子上場、AI代替を別の上乗せには使わない。成長余地の違いは倍率のg_longとシナリオに反映し、事業が傾いている会社への追加加算は行わない。比較資料のウェザーニューズの中立倍率23.2倍に対し本件が約15.4倍となるのは、同じ資本コストでも長期名目成長を1%へ抑えたためであり、比較先の倍率を評価の根拠にはしていない。