結論
ドーンは、消防・警察・自治体に緊急通報と地理情報の仕組みを供給する小さな専門企業である。筆者の結論は「割高」だ。緊急通報システムには本物の乗り換え障壁があるが、それだけで全事業の長期成長を正当化することはできない。10年間の配当と自己株買いも含む確率加重の本質価値は約37億円となり、修正後の現在時価総額約79億円を約53%下回る。
評価すべきは、行政の予算で動くシステムが住民の日常の安全に直接つながっていることだ。NET119は緊急時の登録者情報を預かり、代替事業者への移行には利用者と消防の双方で負担が生じる。唐津市の随意契約理由にまで移行負担が明記されている。会社の営業利益率は2026年5月期に約38%へ上昇し、借入に頼らず現金を保有している。これは一時的な赤字の会社ではなく、既に高い収益力を持つ会社だ。
しかし利益の質には濃淡がある。NET119は全国の消防本部で導入がほぼ一巡し、新規件数の増加余地が細い。Live119の映像通報は伸びしろが残るものの、他社も参入している。クラウドの初期構築、GIS受託開発、画面を使う周辺ソフトは、AIエージェントが工数や操作を代替する影響を正面から受ける。導入済みの公共基盤まで突然消えるとは見ないが、過去10年の増収増益を次の10年に延ばすのは危険である。
2026年10月の開示まで確認すると、発行済み株式から差し引く自己株式は添付の集計より多い。株数の二重基準を正した上で、先に行政導入件数と料金から将来利益を作り、最後に今の価格と比べた。安全域が乏しいという結論は、事業が劣悪だからではなく、優良な部分の持続力を慎重に切り分けた結果である。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主にとって一番魅力的なのは、市民の安全に不可欠な業務の中で少数の技術者が生む利益である。NET119を使う消防本部が突然契約を切り替えれば、利用者の事前登録や指令員の運用も変更しなくてはならない。この手間は価格交渉の助けとなり、景気後退時にも維持費が優先される理由になる。社会的な必要性の強さは、単に「成長産業」であることより価値がある。
ただし、不可欠な公共サービスの提供者であることと、永続的に超過利益を得られることは同じではない。調達価格は自治体の予算と住民への説明責任に縛られる。NET119はほぼ全国に行き渡り、その先に新しい契約を大きく積む市場は存在しない。映像通報や警察アプリは新しい柱だが、競争相手とAI技術の進歩の速さを考えると、10年後の単価やシェアは読み切れない。
所有者の利益という観点では、2026年の営業キャッシュフローが当期純利益を上回ったことは心強い。自社株買いと増配にも株主を意識した姿勢が見える。反面、防災システムは24時間365日の保守、通信障害対策、セキュリティ更新を要する。財務諸表に見える設備投資が小さくても、開発者の人件費やクラウド運営費を将来も負担しなければならない。
結局、最も予測しやすいNET119の収益に厚く値を付け、周辺のSIや操作型ソフトには控えめな将来を与えるべきだ。帳簿の現金を無視せず、同時に事業に必要な資金や将来の買収失敗まで無条件に株主価値へ足さない。高い利益率を尊重した上で現在の値段に安全域がないなら、良い会社でも評価を割高とする。
何で稼ぐ会社か
同社の法定開示上の報告セグメントは「情報サービス事業」一つだが、契約の性質は大きく異なる。2026年5月期の売上約17.3億円のうち、クラウド利用料は約9.1億円で過半を占める。残りはクラウド初期構築約3.7億円、GISなどのSI開発・保守約3.1億円、ライセンス・商品等約1.5億円である。初期案件と継続利用料を混同すると、来年も入る売上の割合を過大評価してしまう。
継続収入の中心は、登録した聴覚・言語障害者から消防本部へ位置情報と文字を伝えるNET119と、通報者のスマートフォン映像を指令室に届けるLive119だ。Live-Xは映像通話を、DMaCSは災害対策本部での情報共有を支え、警察のDigi Policeなどのアプリも担う。料金の原理は消防本部や自治体ごとの年間利用料だが、製品別の売上・単価・契約数は会社が通しで開示していない。したがって各製品の金額は、公開された本部数と自治体の契約例からの推計である。
クラウド初期構築は、警察アプリの機能追加や自治体向け新システムの立ち上げに人手を投じる仕事だ。GISの受託開発と保守も、民間のシステム開発会社やインフラ事業者から個別の仕様を受けて納品する比重が高い。GeoBase.NETのライセンスは完成した利用画面そのものではなく、他の開発会社がGISを組み込むためのソフトウェア部品である。AIがコードを書くようになっても地図データの意味づけは残るが、ライセンス料を今と同じ仕組みで取れる保証はない。
従業員66人のうち開発部門は34人である。2026年5月期のクラウド利用料は前年比10%伸びた一方、SIは大型案件の反動で減った。警察・消防という狭い顧客層に深く入り込むことで少人数でも高い利益率を実現してきた。逆に、顧客を大きく増やすには、個別自治体の調達条件に応じた営業と導入支援が避けられない。
優良さと弱いところ
堀、すなわち競争相手に簡単には奪われない利益の源泉はNET119に最も強く表れている。ドーンはNET119 2.0の標準化作業に関与し、消防の指令業務や事前登録した利用者情報を扱う。唐津市は登録者の移行による不利益を理由に同社との随意契約を選んだ。以前の会社説明資料ではクラウド利用契約全体の解約率がおよそ1%と示されており、実際に利用を継続させる力も確認できる。ただし、この数字はNET119単独の解約率ではない。
一方、標準化は競争を完全に排除しない。むしろ異なる提供事業者の相互接続を進める仕組みなので、長期には切り替え費用を下げ得る。公的調達では予算や契約の透明性が優先され、値上げを何度も通した実績は確認できない。既存ユーザーを守る力と自由に価格を上げる力は別物だ。Live119はNECのDATA119やアルカディアなどとの競争があり、同じ強い堀を与えられない。
2016年から2026年にかけ、純利益は約1億円から約4.7億円に伸び、自己資本は約12億円から約30億円へ増えた。増加利益と増加資本の関係は魅力的だが、そこには留保現金や自社株取得も含まれるので、厳密な増分ROICの証明ではない。2026年の営業キャッシュフローは約6.5億円で、会計利益が現金へ転じている点は強い。
事業全体の堀は「普通」とする。NET119は複数の強い証拠を持つが、売上の過半を占めるクラウド利用料の中にも映像通報や警察アプリが混じり、さらに開発・ライセンスが続く。強い製品の存在を全社の永久的な競争優位へ拡張しないことが、長期保有の出発点になる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
消防庁によれば、2025年4月時点で全国720消防本部のうち659本部がNET119を導入済みで、普及率は91.5%に達している。ドーンが2024年の会社資料で示した採用数379本部をこの659本部と比べると、異時点比較ながら設置本部ベースで約58%となる。利用人口のカバー率では同社が7割超を訴求しており、大都市の顧客に強い。ただし全国未導入本部は61しかなく、ここから契約件数の大幅成長を見込む余地は小さい。
NET119の利用可能市場は、消防本部数という物理的な上限で測るべきだ。年間料金を本部当たりおよそ95万円と仮置きすれば、全国720本部すべてで市場は年約6.8億円となる。唐津市のNET119と映像通報を合わせた実契約は年間税込約102万円だが、二製品を含むためNET119単独の相場とは言えない。この粗い市場額と数量の上限を別々に示しておけば、「防災DX市場は巨大だから、この製品も何倍になる」という飛躍を防げる。
Live119は2026年頃に約220消防本部まで広がり、消防庁の資料には旧時点で初期150万円、月額8万円という料金例がある。年額96万円で全国720本部に普及した場合の単独市場は約6.9億円だが、既存の指令システムに機能が統合されたり、共同導入で単価が下がったりすれば実際の売上は減る。NECのDATA119、アルカディアの映像通報サービスとの競争があり、競合別の正確な契約シェアは公表されていない。2026年には南国市がドーンとアルカディアを順番に試す運用を公表し、競争が机上の話ではないことも分かる。
警察アプリ、災害情報共有、自治体システムの市場はNET119より広いが、機能別に市場規模もドーンのシェアも測れる統計が乏しい。日本の一般的なSaaS市場約1.5兆円をそのまま分母にするのは不適切だ。Microsoft、NEC、NTTデータなど大手との開発・運用競争、自治体システム標準化、AIエージェントによる調達側の内製化を考える。2036年には消防業務の重要性は残るが、周辺画面を人間が一件ずつ操作する必要性は今より小さい。
資本政策と M&A
経営陣は「規模より資本の効率」を掲げ、2026~2028年5月期の第2次中期経営計画で行政向けサービスの深掘り、AI搭載クラウド、M&A・提携を重点施策とした。2028年5月期の具体的な目標は売上18.8億円、営業利益6.7億円、純利益4.85億円、ROE10%以上である。営業利益・純利益は2027年の計画と同額で、受託案件の不確実性と物価上昇を理由に増益を約束していない。配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い金額について中計の固定的な数字の約束は見当たらない。
数字の約束がなくても実行履歴はある。2026年5月期には約2.0億円の自社株買いと約0.73億円の現金配当を実施し、翌期支払予定の配当も増やした。2026年6月の株式2分割と10月の譲渡制限付株式の交付は、保有株数の比較を難しくする。未交付の将来の権利を二重に希薄化計上せず、確認できた処分済み株式は今回の基準株数に織り込んだ。
2024年には画像認識AIを手がけるtiwakiと資本業務提携し、持分は19.9%となった。将来のAI商品に道をつける選択だが、出資、関連債券、開発工数を投入した先でどれほどの利益が出るかはまだ測れない。2026年9月に特殊詐欺AI判定サービスを発売したものの、受注金額が開示された成長エンジンとは扱わない。大型買収やTOBは現時点で発表されておらず、十年の価値に買収プレミアムは足さない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
NET119の登録情報と運用実績は、簡単に作り直せるソフトウェアではない。公的な標準化作業に携わり、障害者の緊急通報を長年支えてきた経験は新規参入者には蓄積しにくい。唐津市の実際の随意契約が示すように、既存利用者を別製品へ移すことは単純な価格比較以上の行政上の問題となる。以前のクラウド契約全体の解約率約1%も、更新の強さを裏付ける。防災予算が削減されても、緊急時に機能する基盤は優先して守られる。
Live119は大都市の消防から地方へ普及しつつあり、電話では分からない現場の状況を映像で確かめる必要性は消えない。東京消防庁などの導入実績を生かし、NET119の既存顧客へ追加機能を提供できる。警察のDigi Police、災害情報共有のDMaCS、海上保安機関向けのLive118といった隣接製品も、防災・治安という同じ顧客接点から育つ。自治体が人手不足に対応するほど、安全性が証明された外部クラウドの共同利用は魅力を増す。
2026年までに高まった営業利益率は、少人数で繰り返し使えるクラウドを運営する事業構造の成果だ。顧客数が横ばいでも、単価調整と機能拡張で利益を維持できる可能性がある。tiwakiとの共同開発で異常検知や詐欺対策を自社サービスへ組み込めれば、AIは脅威だけでなく売り物にもなる。ただし現時点で新AI製品の受注額は不明なので、楽観でも未証明のAI販売増を収益に加えていない。純現金、増配、自社株買いは事業の不確実性に対して一定の下支えとなる。
慎重な見方
最大の強みがNET119であるなら、最大の制約も同じ製品の成熟にある。全国720消防本部の91.5%が既に何らかのNET119を導入しており、ドーンが成長するには残りの未導入先を獲得するか、競合から既存顧客を奪うしかない。人口減少と消防本部の広域統合が進めば、独立した契約の単位そのものが減り得る。導入の事実は守りの強さを意味するが、毎年の契約件数が増えるとは意味しない。
技術標準は大きな矛盾を抱える。行政システムの相互接続が進むほど、ドーン独自の仕様に利用者が縛られる度合いは弱まる。唐津市の随意契約は重要な証拠だが、全国の自治体で入札なしの更新や毎年の値上げを保障するものではない。Live119にはNECのDATA119、アルカディアなど競合製品があり、2026年には実際の比較試験も行われている。高い単価を将来まで保てるという根拠は薄い。
売上の残りの大きな部分は初期開発、受託開発、GIS部品である。AIエージェントが要求整理からコード生成、画面操作、保守まで担えば、人月で売ってきた仕事の数量と単価に同時に圧力がかかる。公共調達側が安い価格を要求するだけでなく、システムを内製化したり、大手の統合基盤へ切り替えたりする可能性もある。tiwakiへの投資はその脅威への備えだが、投資成果は未確定だ。利益率がいま高いほど、固定的な保守・セキュリティ費用を抱えたまま売上が減った時の利益の縮みは大きい。
どちらに重みを置いたか
NET119が社会に不可欠で、既存契約を守りやすいという主張は採用する。しかし全国普及が既に一巡し、売上の半分近くが初期構築・SI・ライセンス等である点は、10年の利益予測にとって重い。AI代替の数量圧力は各事業の中立シナリオに織り込み、同じ理由で資本コストまで上げていない。確率は楽観側28%に対し、やや悲観・悲観側41%と下寄りにした。消防向けの堀が消えるとは見ないが、強い部分だけを全社へ拡張する判断は退ける。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/05 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 863 円52 億円(+ 還元の換算額還元の合計 275 円16 億円)。 今の値に割り戻すと 622 円37 億円、今との差 −53.6%、 期待の年率 −1.9%(資本コスト 7.2%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 1,462 円87 億円 | 402 円24 億円 | +38.9% | +3.8% | 186 円11 億円 |
| やや楽観 | 18% | 1,291 円77 億円 | 369 円22 億円 | +23.7% | +2.4% | 299 円18 億円 |
| 中立 | 31% | 1,018 円61 億円 | 302 円18 億円 | −1.6% | −0.2% | 409 円24 億円 |
| やや悲観 | 26% | 485 円29 億円 | 209 円13 億円 | −48.3% | −7.3% | 181 円11 億円 |
| 悲観 | 15% | 286 円17 億円 | 134 円8 億円 | −68.7% | −12.5% | 63 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 863 円52 億円 | 275 円16 億円 | −15.2% | −1.9% | 1,138 円68 億円 |
今の株価時価総額 1,342 円80 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 消防の顧客基盤を守り、周辺開発の採算も保つ 利益 6 億円 · PER 14.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,462 円87 億円
消防・自治体の緊急通報基盤としての信用が続き、NET119の登録情報と指令システムとの接続を安全に維持する。行政の共同調達が進んでも、既存顧客の契約継続が上回る。唐津市のような移行負担を重視する契約が各地で繰り返され、価格は物価上昇をおおむね反映する。強い製品を守りながら、Live119は既存の大都市顧客から地方へ提案を広げる。
警察アプリと災害情報共有には着実な更新需要があり、既存の契約範囲を維持する。クラウド初期開発、GIS受託、GeoBaseライセンスはAIエージェントで効率が上がる反面、顧客が同じ量を発注するとは限らない。そこで売上が大幅に増えるという想定はせず、案件件数を現在並みに保ちつつ原価管理が成功する姿を考える。tiwakiとの提携で安全性や業務効率が改善しても、受注の未確認なAI新商品を追加の売上源にしない。
利益率は2026年の高水準をおおむね維持し、成長投資と株主還元を両立する。自社株取得は規律を守り、巨額の買収で資金を毀損しない。公共性のある事業への信頼が続くという前提でも、全国の消防本部数という上限は消えない。
- NET119緊急通報基盤:数量 379(消防本部の年間契約数(本部))× 価格 0.01(1本部当たり年間利用料(億円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 3 億円。NET119の導入本部数と年間契約料。記録の正本としての解約抑制を反映。
- Live119映像通報:数量 220(映像通報導入消防本部数(本部))× 価格 0.01(1本部当たり年間利用料(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。映像通報本部数と年額課金。競合による単価制約を反映。
- 警察・災害情報・その他クラウド:数量 50.0(自治体等の大型顧客換算契約数(件、推計))× 価格 0.08(顧客1件当たり年間利用料(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 2 億円。画面型業務クラウドの大型顧客換算件数と利用料。AI操作代替を反映。
- クラウド初期構築:数量 12.0(年度内に完成する初期案件数(件、推計))× 価格 0.42(案件1件当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。人月・工数型。AIエージェント代替による初期構築案件の減少を反映。
- GISのSI受託・保守:数量 35.0(年度内受託・保守案件換算件数(件、推計))× 価格 0.12(案件1件当たり売上(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。人月・工数型。AIによる内製化と受託開発件数の減少を反映。
- GeoBase等のライセンス・商品:数量 90.0(年間ライセンス・保守契約換算件数(件、推計))× 価格 0.02(契約1件当たり売上(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。GISライセンス・商品契約の換算件数。AI開発ツールとの競争を反映。
倍率:ROEの計算では10年後の全社純利益から余剰現金の税後想定利息(帳簿資金×1.4%)を除き、自己資本から同じ帳簿資金を除いた。事業ROE11.90%、資本コスト7.25%、堀の残存割合1/2より新規投資RONIC9.57%。長期名目成長g0.5%として正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=14.04114倍を採用し、事業純利益×倍率に余剰現金12億円(戻り方1.0)を加えた。10年間の自己資本は29.9+5×(起点純利益4.7+2036年純利益5.52586)−累積還元24=57.02930億円。
確率:NET119既存顧客の高い残存率が維持され、映像通報でも大きな競争敗北が起こらず、他の開発案件でも利益率を保つ複数の条件を必要とするため10%。AI新商品が未立証なので追加成長の数量は数えない。
やや楽観 18% 緊急通報の更新を維持し、競争による減収を抑える 利益 5 億円 · PER 14.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,291 円77 億円
NET119は全国での高い設置率を背景に、新規本部を大量に獲得する段階から、利用者登録を預かり更新していく段階へ移る。消防の広域化で一部の契約単位は消えるが、乗り換えの手間が大きく、残存本部の多くは引き続きドーンを選ぶ。単価は公的な予算制約を受けながら物価に近い範囲で上昇する。
Live119は同じ防災ネットワークから販売を続けるものの、NECやアルカディアのサービスと価格競争になる。警察・災害情報の契約も更新を中心に推移し、画面を使う新規ソフトの伸びは鈍る。AIエージェントで開発プロセスが短くなるため、初期構築とSIの件数は減るが、会社は粗利益率と開発品質の維持に成功する。GISライセンスの販売も新用途と既存保守を組み合わせて減少幅を抑える。
現金の運用と配当・自社株買いを継続できる財務余力が残る。tiwakiとの提携は既存製品の競争力を支えるが、未発表の大型買収やAI売上急増は見込まない。高い利益率が残る、落ち着いた成熟企業となる。
- NET119緊急通報基盤:数量 370(消防本部の年間契約数(本部))× 価格 0.01(1本部当たり年間利用料(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 2 億円。NET119の導入本部数と年間契約料。記録の正本としての解約抑制を反映。
- Live119映像通報:数量 210(映像通報導入消防本部数(本部))× 価格 0.01(1本部当たり年間利用料(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。映像通報本部数と年額課金。競合による単価制約を反映。
- 警察・災害情報・その他クラウド:数量 45.0(自治体等の大型顧客換算契約数(件、推計))× 価格 0.08(顧客1件当たり年間利用料(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。画面型業務クラウドの大型顧客換算件数と利用料。AI操作代替を反映。
- クラウド初期構築:数量 10.0(年度内に完成する初期案件数(件、推計))× 価格 0.42(案件1件当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。人月・工数型。AIエージェント代替による初期構築案件の減少を反映。
- GISのSI受託・保守:数量 30.0(年度内受託・保守案件換算件数(件、推計))× 価格 0.12(案件1件当たり売上(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。人月・工数型。AIによる内製化と受託開発件数の減少を反映。
- GeoBase等のライセンス・商品:数量 85.0(年間ライセンス・保守契約換算件数(件、推計))× 価格 0.02(契約1件当たり売上(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。GISライセンス・商品契約の換算件数。AI開発ツールとの競争を反映。
倍率:ROEの計算では10年後の全社純利益から余剰現金の税後想定利息(帳簿資金×1.4%)を除き、自己資本から同じ帳簿資金を除いた。事業ROE10.69%、資本コスト7.25%、堀の残存割合1/2より新規投資RONIC8.97%。長期名目成長g0.5%として正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=13.98916倍を採用し、事業純利益×倍率に余剰現金12億円(戻り方1.0)を加えた。10年間の自己資本は29.9+5×(起点純利益4.7+2036年純利益4.81886)−累積還元22=55.49430億円。
確率:NET119の更新優位と防災関連の継続需要は確かだが、開発案件はAIで効率化され数量減少が避けにくい。高い営業利益率を維持する余地もあるため18%とした。
中立 31% 公共の継続基盤は残り、開発工数と周辺ソフトは縮む 利益 4 億円 · PER 13.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,018 円61 億円
10年後もNET119は音声通報が難しい住民にとって必要な公共サービスである。利用者登録と消防指令システムとの連携が移行費用を生むため、既存本部は大半が契約を維持する。ただし導入は既に全国の9割を超え、消防本部の統合も進む。顧客数はやや減り、利用料は物価3%の世界でも毎年同じ率では引き上げられない。新規導入でなく継続と更新が価値の中心となる。
Live119は映像通報の必要性から一定の導入を保つが、NECのDATA119や自治体共同システムへの統合が価格を抑える。周辺の警察アプリと災害共有も存続するものの、操作画面をAIエージェントが飛ばすことで課金単位と単価に圧力がかかる。クラウド初期構築の受託件数は今の3分の2、GISのSIも7割弱に減り、ソフトウェア部品のライセンスも徐々に代替される。
会社は業務自動化と外注費の管理で一部の原価を削り、大幅な赤字転落は避ける。しかし現在の高い営業利益率が完全に維持されるわけではなく、資本利益率も低下する。今ある余剰現金を維持しながら、配当と自社株買いは利益の範囲で続ける。
- NET119緊急通報基盤:数量 360(消防本部の年間契約数(本部))× 価格 0.01(1本部当たり年間利用料(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 2 億円。NET119の導入本部数と年間契約料。記録の正本としての解約抑制を反映。
- Live119映像通報:数量 187(映像通報導入消防本部数(本部))× 価格 0.01(1本部当たり年間利用料(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。映像通報本部数と年額課金。競合による単価制約を反映。
- 警察・災害情報・その他クラウド:数量 40.0(自治体等の大型顧客換算契約数(件、推計))× 価格 0.07(顧客1件当たり年間利用料(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。画面型業務クラウドの大型顧客換算件数と利用料。AI操作代替を反映。
- クラウド初期構築:数量 8.0(年度内に完成する初期案件数(件、推計))× 価格 0.42(案件1件当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。人月・工数型。AIエージェント代替による初期構築案件の減少を反映。
- GISのSI受託・保守:数量 24.0(年度内受託・保守案件換算件数(件、推計))× 価格 0.12(案件1件当たり売上(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。人月・工数型。AIによる内製化と受託開発件数の減少を反映。
- GeoBase等のライセンス・商品:数量 80.0(年間ライセンス・保守契約換算件数(件、推計))× 価格 0.02(契約1件当たり売上(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。GISライセンス・商品契約の換算件数。AI開発ツールとの競争を反映。
倍率:ROEの計算では10年後の全社純利益から余剰現金の税後想定利息(帳簿資金×1.4%)を除き、自己資本から同じ帳簿資金を除いた。事業ROE8.41%、資本コスト7.25%、堀の残存割合1/2より新規投資RONIC7.83%。長期名目成長g0.5%として正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=13.86873倍を採用し、事業純利益×倍率に余剰現金12億円(戻り方1.0)を加えた。10年間の自己資本は29.9+5×(起点純利益4.7+2036年純利益3.68514)−累積還元18=53.82570億円。
確率:NET119の全国普及91.5%と既存利用者移行負担を守りの根拠にし、2026年に全社52%を占めるクラウド利用料を一律には縮めない。一方で、下に寄せる理由:初期構築・SI・ライセンスの約48%はAIエージェントの工数削減・UI代替にさらされ、価格競争のあるLive119も同じ更新率は見込めないため、上側28%に対し下側41%とした。
やや悲観 26% 消防基盤は生き残るが、新規開発の発注が減速 利益 2 億円 · PER 11.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 485 円29 億円
NET119には依然として住民の事前登録情報と消防の指令設備という強い基盤があるが、消防本部の広域化や他社との相互接続が進むにつれ、契約単位が減っていく。価格は物価の上昇に追いつかず、改定のたびに公共調達で比較される。利用者の安心という使命は続いても、かつての高利益を同じ条件で守るのは難しくなる。
Live119はNECやアルカディアとの競争で導入先を奪われる。警察・自治体の画面型アプリもAIエージェントが一般化し、機能ごとの追加発注が縮小する。クラウド初期構築は半数、GISの受託・保守はおよそ半数の案件しか残らない。管理・監査・障害対応の費用は簡単にゼロにはならず、営業利益率は目立って低下する。
会社は開発人員の自然減と自動化で共通費を抑え、関連会社への支援や新しい買収にも慎重になる。営業黒字を保つため配当は細く長く継続するが、自社株買いは利益と現預金の状況に応じて縮小する。過去の利益成長を前提にした価値はほぼ失われる。
- NET119緊急通報基盤:数量 320(消防本部の年間契約数(本部))× 価格 0.01(1本部当たり年間利用料(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 2 億円。NET119の導入本部数と年間契約料。記録の正本としての解約抑制を反映。
- Live119映像通報:数量 155(映像通報導入消防本部数(本部))× 価格 0.01(1本部当たり年間利用料(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。映像通報本部数と年額課金。競合による単価制約を反映。
- 警察・災害情報・その他クラウド:数量 32.0(自治体等の大型顧客換算契約数(件、推計))× 価格 0.07(顧客1件当たり年間利用料(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。画面型業務クラウドの大型顧客換算件数と利用料。AI操作代替を反映。
- クラウド初期構築:数量 6.0(年度内に完成する初期案件数(件、推計))× 価格 0.39(案件1件当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。人月・工数型。AIエージェント代替による初期構築案件の減少を反映。
- GISのSI受託・保守:数量 18.0(年度内受託・保守案件換算件数(件、推計))× 価格 0.11(案件1件当たり売上(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。人月・工数型。AIによる内製化と受託開発件数の減少を反映。
- GeoBase等のライセンス・商品:数量 60.0(年間ライセンス・保守契約換算件数(件、推計))× 価格 0.02(契約1件当たり売上(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。GISライセンス・商品契約の換算件数。AI開発ツールとの競争を反映。
倍率:既存株主の終価は市場の過去PBRからではなく、利益の稼ぐ力と直ちに売れる資産から見る。事業ROEは4.15%でk7.25%を下回るためPER上限は1/k=13.79倍。長期利益の毀損と更新設備・競争対応の資金拘束を反映してPER11.70倍。事業純利益1.70375億×PER11.70+余剰現金9億(戻り方1.0)=28.93387億円とした。床は現在の可処分資産の慎重な売却価値16億円で、将来の積上げ自己資本50.04875億円をPBRの分母として床評価しない。
確率:自治体の予算抑制と消防本部統合、競合映像通報の採用による減少が同時に起こる可能性を見た。NET119の基幹機能はなお必要であるため26%にとどめ、利益消失を中立には置かない。
悲観 15% AIと調達再編に構造的に敗れる 利益 1 億円 · PER 11.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 286 円17 億円
公共調達の統合と技術標準の浸透が進み、NET119の乗り換え障壁は想定以上に低くなる。大きな消防指令システムを持つ事業者が通報機能を一体提供し、ドーンは既存本部の一部を失う。NET119そのものは社会に不可欠でも、それがドーンの商品である必要はなくなる。残った自治体の契約では単価が伸びず、運用費用だけが続く。
Live119は大手の統合通信基盤へ乗り換えられ、映像通報を売る単独契約が大きく減る。警察アプリの個別開発もAIエージェントで内製され、クラウド初期構築とSIの案件は現在の3分の1ほどとなる。GeoBaseの組込み機能は一般化し、ライセンス単価も実質的に下がる。会社は人員と外注費を減らして黒字だけは守るが、営業利益の絶対額は大きく縮む。
新AI商品の事業化に失敗し、余剰現金の一部を関連会社支援・競争対応で失う。従業員と顧客の安全運用は維持するため、残った利益をすべて配当に回すわけにはいかない。持続的な成長企業としての評価を失い、現金と生き残った小さな事業の稼ぐ力でしか価値を測れなくなる。
- NET119緊急通報基盤:数量 280(消防本部の年間契約数(本部))× 価格 0.01(1本部当たり年間利用料(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。NET119の導入本部数と年間契約料。記録の正本としての解約抑制を反映。
- Live119映像通報:数量 100(映像通報導入消防本部数(本部))× 価格 0.01(1本部当たり年間利用料(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。映像通報本部数と年額課金。競合による単価制約を反映。
- 警察・災害情報・その他クラウド:数量 23.0(自治体等の大型顧客換算契約数(件、推計))× 価格 0.06(顧客1件当たり年間利用料(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。画面型業務クラウドの大型顧客換算件数と利用料。AI操作代替を反映。
- クラウド初期構築:数量 4.0(年度内に完成する初期案件数(件、推計))× 価格 0.37(案件1件当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。人月・工数型。AIエージェント代替による初期構築案件の減少を反映。
- GISのSI受託・保守:数量 12.0(年度内受託・保守案件換算件数(件、推計))× 価格 0.10(案件1件当たり売上(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。人月・工数型。AIによる内製化と受託開発件数の減少を反映。
- GeoBase等のライセンス・商品:数量 40.0(年間ライセンス・保守契約換算件数(件、推計))× 価格 0.02(契約1件当たり売上(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。GISライセンス・商品契約の換算件数。AI開発ツールとの競争を反映。
倍率:既存株主の終価は市場の過去PBRからではなく、利益の稼ぐ力と直ちに売れる資産から見る。事業ROEは2.22%でk7.25%を下回るためPER上限は1/k=13.79倍。長期利益の毀損と更新設備・競争対応の資金拘束を反映してPER11.10倍。事業純利益0.99505億×PER11.10+余剰現金6億(戻り方1.0)=17.04506億円とした。床は現在の可処分資産の慎重な売却価値16億円で、将来の積上げ自己資本50.79525億円をPBRの分母として床評価しない。
確率:NET119の顧客基盤があるため倒産は基本線ではないが、消防の共同化、強い競合、AIによる開発内製化、資本配分の失敗が重なれば売上がおよそ半減する。例外的な複合悪化を15%とする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
NET119緊急通報基盤
事前登録の利用者情報と位置を消防指令室につなぐ継続サービス。
| 数量消防本部の年間契約数(本部) | 価格1本部当たり年間利用料(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 379 | 0.01 | 4 | 2 |
| 10 年後 中立 | 360 | 0.01 | 4 | 2 |
取り方:2024年会社資料に採用379本部(https://s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/disclose.ifis.co.jp/f42/140120240731558435.pdf)。2026年の個別稼働数は未開示なので過年度数を保守的なFY2026仮置きに利用。2025年唐津市のNET119+映像通報の合算契約101.64万円(税込)はNET119単独価格ではないため、利用料を95万円/本部・年とする分析者仮定。379×0.0095=3.6005億。営業利益は共通費配賦前の分析者推計。
Live119映像通報
通報者の携帯電話から救命・災害の映像を消防へ伝える継続型の仕組み。
| 数量映像通報導入消防本部数(本部) | 価格1本部当たり年間利用料(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 220 | 0.01 | 2 | 1 |
| 10 年後 中立 | 187 | 0.01 | 2 | 1 |
取り方:消防庁の映像通報関連資料の2025年導入172本部、2026年頃の政府資料で約220本部。公開料金例は初期150万円・月額8万円(https://www.fdma.go.jp/laws/tutatsu/items/kyuuki04.pdf)。初期費用はクラウド初期構築と重複させず、220×12×8万円=2.112億。実際の大型本部割引・複数年契約価格は非開示。営業利益は共通費配賦前の推計。
警察・災害情報・その他クラウド
Digi Police、DMaCS、Live-X等の行政・警察・民間向け継続契約。
| 数量自治体等の大型顧客換算契約数(件、推計) | 価格顧客1件当たり年間利用料(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 50.0 | 0.07 | 3 | 2 |
| 10 年後 中立 | 40.0 | 0.07 | 3 | 1 |
取り方:会社の製品別売上は非開示。FY2026全クラウド利用料9.07383億からNET119推計3.60050億とLive119推計2.112億を引き、残額3.36133億を計上。警察アプリ導入17都道府県程度という会社資料を参考に、自治体等を足した50大型顧客換算は分析者の未検証仮定。1件672.266万円/年は逆算単価で、実測契約数・ARPUではない。営業利益は共通費配賦前の推計。
クラウド初期構築
警察アプリ機能追加と自治体クラウドの初期導入・設定・開発案件。
| 数量年度内に完成する初期案件数(件、推計) | 価格案件1件当たり平均売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 12.0 | 0.31 | 4 | 1 |
| 10 年後 中立 | 8.0 | 0.42 | 3 | 1 |
取り方:FY2026有報のクラウド初期構築売上3.72622億が確定値。案件数は非開示なので、開発34人の規模と公共案件の単価を考慮した年12件を仮定し、1件0.3105183億。契約数・単価は個別開示ではなく校正用推定。人月・工数型としてAIエージェント代替を10年数量に適用。営業利益は共通費配賦前の推計。
GISのSI受託・保守
GeoBase系を使うGISの特注開発と保守契約。
| 数量年度内受託・保守案件換算件数(件、推計) | 価格案件1件当たり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 35.0 | 0.09 | 3 | 1 |
| 10 年後 中立 | 24.0 | 0.12 | 3 | 1 |
取り方:FY2026有報のSI初期2.27492億とSI保守0.77523億の合計3.05015億。案件件数は会社非開示につき年35件相当を仮定。平均1件871.47万円(開発と保守の複合換算)は逆算値。人月型の中立数量35→24、価格は10年CPI3%に相当する1.34倍の範囲である。営業利益は共通費配賦前の推計。
GeoBase等のライセンス・商品
GIS組込み用ライセンスと更新保守、地図関連商品等。
| 数量年間ライセンス・保守契約換算件数(件、推計) | 価格契約1件当たり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 90.0 | 0.02 | 1 | 1 |
| 10 年後 中立 | 80.0 | 0.02 | 2 | 1 |
取り方:FY2026有報のその他初期1.10003億、その他保守0.39644億の合計1.49647億を起点とする。90契約相当と単価166.27万円は非開示契約数を補う分析者仮定。ライセンスはGISのエンジンだがAIによる開発内製化とコモディティ化を警戒し、操作系ソフトの規律に準じて中立件数を減らし名目単価上昇を1.15倍に抑制。営業利益は共通費配賦前の推計。6部門の推計営業利益7.58億円から共通費約1.03億円を控除すると実績営業利益約6.55億円となる。
リスクと懸念
AIエージェント代替
クラウド初期構築とSIは人月・工数に対する対価が大きく、GISライセンスや行政アプリの一部は人間が画面を操作する価値を含む。AIが仕様作成・コード生成・操作・保守を担えば、会社が値上げしても仕事量は減る。中立の数量はこれらで10年間に55~90%程度へ縮め、10年後以降の成長率も抑えた。NET119の登録記録・緊急接続は例外として扱う。
NET119市場の飽和と消防の広域再編
全国720消防本部の9割超がNET119を導入済みで、新規開拓だけでは拡大しにくい。消防の共同指令センターへの統合が進むと、顧客数は住民数が変わらなくても減り得る。ドーンのカバー人口が大きいことは強みだが、契約を何件失うかには別の注意が必要である。
映像通報の調達競争と価格下押し
Live119の市場にはNECのDATA119やアルカディアなどが存在し、自治体が複数社を試験利用した事例もある。救命に役立つ機能が一般化するほど、通信指令システム本体への標準搭載が進む可能性がある。利用本部数が伸びても単価が下がれば、継続売上は増えない。
公共インフラとしての障害・個人情報漏えい
登録者情報と位置情報を預かる緊急通報基盤が停止すれば、損害は通常の業務ソフトより深刻である。24時間運用の冗長化や訓練に費用がかかり、大きな障害は行政からの信用、更新率、賠償、監査対応の全てを傷つける。解約率が低い過去実績だけでは事故の確率は分からない。
資本配分・AI提携の回収不能
tiwakiとの資本業務提携と新たなAI製品は合理的な選択肢だが、受注実績の数字がない。投資有価証券や関連債券に含まれる額を、流動性の高い現金と同じには扱えない。買収を急いでのれんを積めば、事業利益が減る局面で株主の損失が大きくなる。
人材の集中と営業利益率の持続
従業員66人の小さな組織に、独自GIS技術、自治体営業、消防の安全運用が集中している。熟練開発者の離職や情報セキュリティ運用の負荷増大は、売上が伸びなくても固定費を押し上げる。現在の約38%という高い利益率を全商品が将来も保つという前提は置かない。
今後の分かれ目
- NET119の自社導入本部数が減少し、既存顧客の解約率が5%を超えて続いたら
- 登録情報という堀が弱まったと判断し、NET119の中立本部数と価格維持率を下げ、やや悲観の比重を増やす。
- Live119の有料導入本部が増え、実際の年間単価と更新率が同時に開示されたら
- 会社推計と外部料金例との差を修正し、継続クラウドの数量と単価を分けて中立・楽観を再評価する。
- 消防本部の共同化や他社の統合指令システム採用で、NET119の契約主体が減ったら
- 通報者の人口が横ばいでも課金対象となる消防本部が減るので、長期数量と売上の見通しを下方修正する。
- SI・クラウド初期構築の受注額が減る一方、社員当たり利益が維持・改善したら
- AIによる工数削減が会社の利益に残っている証拠として利益率を見直す。ただし売上数量の縮小を無かったことにはしない。
- 特殊詐欺AI判定サービスの外部受注額と継続利用率が具体的に開示されたら
- 初めてAIを追加の成長商品として評価し、確認できた契約分だけ周辺クラウドの数量前提を引き上げる。
- 自社株買いと増配が5年以上止まり、余剰資金が買収や関連会社支援へ滞留したら
- 余剰現金の株主への戻り方を1.0から0.75以下へ変更し、事業価値と保有現金を別々に見直す。
見ておくもの
- NET119の自社導入消防本部数と全国720本部・NET119普及率の推移
- NET119・Live119の本部別年間単価、解約率、競合からの切替件数
- Live119とNEC DATA119・アルカディア等との自治体調達結果
- クラウド利用料とクラウド初期構築、SI、ライセンスの売上構成と受注残高
- 生成AIで開発工数を減らした成果が社員当たり利益に現れるか
- tiwaki提携・特殊詐欺AI判定サービスの外部売上と稼働顧客
- 現預金・定期預金・投資有価証券、配当・自社株買いと株式報酬交付数
- 2028年5月期の中期経営計画達成とその後の売上・営業利益率
倍率と資本コストの決め方
時価総額の比較には2026年10月22日の添付株価1323円を用いた。株数は添付の627万2,700株ではなく、2026年6月の2分割後に2027年5月期1Qで示された発行660万株・自己株65万4,653株に、10月9日完了の自己株2万2,400株の処分を反映し、596万7,747株へ訂正した。現在価値の比較対象は約78.95億円であり、添付集計の83億円ではない。契約数量は消防庁統計、会社の旧契約本部数と公表料金から考え、現在の株価や同業のPERを売上・倍率の起点にしなかった。倍率は資本コスト7.25%、将来のROE、新規投資収益の持続率2分の1、長期の名目成長0.5%から決めた。各年の還元を10年の中間にまとめる割引計算では本質価値約37.13億円、差約−53%となり、割高という結論と一致する。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。