結論
HEROZは将棋アプリ、企業向けAI開発、生成AIの業務ソフト、ネットワークセキュリティを営む会社だ。長く持つ株主の視点では、現状は大幅な割高と判断する。将棋の対局相手が集まる場所と、顧客拠点に導入済みのセキュリティ機器には実物の強みがある。
しかし、その外側にあるAI受託と一般業務向けのソフトは、顧客自身がAIエージェントを動かす時代ほど稼ぎ方が揺らぐ。市場が大きくなることと、この会社の利益が増えることは別である。
会社の姿は近年大きく変わった。2022年以降の買収で売上は急増したが、親会社株主に帰属する純利益は2023~2025年に連続して赤字だった。2026年4月期の黒字も子会社株式の売却益に支えられ、反復できる利益とは言い切れない。
2026年9月の四半期説明では、年換算の継続収益が約50億円まで増えた。一方で、全社費用、のれん償却、買収で増えた資本の稼ぎを確かめる作業はまだ終わっていない。
評価の軸は十年後の残存利益だ。中立では将棋とセキュリティの月額収入が踏みとどまり、全社売上は緩やかに増える。ただしAI受託の作業量と席課金の数量は減り、経費も物価に応じて増すため、オーナー利益は大きく膨らまない。AIが浸透すればするほど必ずHEROZが勝つ、という物語は採用しない。
バリオセキュアの完全子会社化は事業の支配権を強めた半面、株式交換で既存株主の持分を薄めた。無配が続く現実も踏まえると、今の時価総額に十分な安全域はない。強気の筋書きでは新しい収益源が立ち上がり得るが、それが起こる確率と株主の取り分は分けて考えるべきだ。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主にとって大事なのは、AIが話題になることではなく、十年後も自分の持分に現金を残せるかだ。将棋ウォーズでは、対局相手が多いほど遊びやすくなる。セキュリティ運用では、顧客の現場に装置があり、毎月監視を続ける契約がある。
この二つは人の仕事が自動化されても、直ちに価値が消えない。とりわけ中小企業のネットワークを守る運用責任は、画面を操作するだけの仕事より外部に委託し続ける理由が強い。
だが、その安定した部分を保有するために何を払うかは別の問題だ。営業利益が積み上がっても、のれん償却、買収資金、入れ替えが必要なVSR機器、追加開発費があれば、株主が自由に引き出せる利益は小さい。装置の更新費用は物価の上昇とともに増える。古い装置の帳簿上の償却費が小さく見えても、次に買い替える現金支出まで安くなるわけではない。
直近の自己資本は厚く、借入金を差し引いても純現金が残る。ただし貸借対照表には買収で生じたのれんとソフトウエアが大きい。競争に敗れた時、それらを帳簿価格で売却できると考えてはいけない。
経営者がさらに会社を買うなら、その投資から生じる税後利益が資本コストを超える証拠を求める。株価を支えるための優待と、実際に現金が株主へ戻る仕組みも区別すべきだ。
仮にAIプロダクトが想定以上に普及すれば、ここから大きな価値が生まれる道はある。しかし、汎用AIを利用するだけの技術は専有できない。価格を上げても離れない顧客、成果に対する課金、買収先との利益の相乗効果が数字で確認できるまでは、成長物語に高い値を払わない。今の評価には、その慎重さに見合う安全域がない。
何で稼ぐ会社か
収益は公表上、AIX事業とAI Security事業に分かれる。2026年4月期の売上64.25億円のうちAIXは35.82億円、セキュリティは28.43億円だった。AIXのBtoCは将棋ウォーズを中心に11.90億円を稼ぐ。
全国の対局相手と蓄積された棋譜が利用者を呼び、対局機能、棋神による解析、プレミアム機能などの継続利用が収益を支える。四半期の対局数はおおむね3000万局で、利用者が増えるほど相手探しが容易になる。
AIXのBtoBは23.43億円である。企業向けのAIモデル導入、業務設計、共創型の開発支援に加え、AIさくらさんなどの業務ソフト、営業支援子会社のサービスが混在する。単純に全売上をAI製品のライセンスと見てはいけない。
稼働案件数や技術者の実働、プロジェクトの長さで決まる部分が残るからだ。顧客の内製化やAIによる実装工数の短縮は、その部分の請求対象を直接減らす。
HEROZ ASKは2024年に正式提供を始めた企業向けAIアシスタントだ。2026年4月時点の年換算継続収益は2億円、累計契約社数は約430社に達し、同年7月はそれぞれ2.3億円、約470社となった。これは実際の販売を伴う成長事業だが、売上高はBtoBの内数で、単独の通期実績は開示されない。席数ではなく仕事の成果へ課金を移せるかが将来の分岐点である。
バリオセキュアのセキュリティBPOは24.91億円を占める。自社のVSR装置を顧客に設置し、24時間365日の監視、更新、故障対応を月額で請け負う。2026年2月末には7651拠点で稼働した。
残る3.52億円は機器やネットワークの導入・構築に関わるインテグレーションである。顧客は専任のネットワーク管理者を置きにくい中堅・中小企業が多い。ソフトを配るだけでなく、現地にある装置と運用責任を引き受ける点が、一般の画面型SaaSと違う。
優良さと弱いところ
本物の堀、すなわち他社に顧客を奪われにくい仕組みは二か所に見つかる。将棋ウォーズは対戦相手と蓄積棋譜そのものに価値があり、単独で高性能な将棋AIを作るだけでは同じ体験を再現できない。2025年時点の累計利用者は約800万人、月間利用者は約50万人だった。
日本将棋連盟との連携や大会運営も、将棋専業の小さな市場でブランドを守る。広告を増やすだけではなく、継続課金と大会体験を改善できることが強みだ。
より安定して見えるのはバリオセキュアだ。VSRは国内の数千拠点に設置され、顧客のネットワーク構成や障害対応の履歴を日々扱う。遠隔監視に加え、故障機器の交換まで面倒を見るため、他社へ乗り換えると設定変更と現場作業が発生する。
2026年7月期の四半期解約率は0.84%と低い。装置という現物の設置、運用履歴の蓄積、低い解約率がそろう部分に限り、持続する値決め力を認められる。ただしセキュリティ全市場で独占しているわけではない。
弱点は資本の使い方である。2022年以降にバリオセキュア、エーアイスクエア、ティファナ・ドットコムなどを取り込み、売上規模は増えた。しかし、純利益には多額の赤字期があり、買収後の増分利益が資本コストを超えたという証拠は乏しい。
2026年4月期の自己資本利益率は7.5%だったが、一過性の売却益を除けば平常時の稼ぐ力はもっと低い。売上を買うことと株主価値を増やすことは同義ではない。
HEROZ ASKには企業向けの導入実績と低い解約率が出始めたが、顧客の法定帳簿や基幹取引の唯一の正本ではない。モデルも機能も他社製を組み合わせやすく、現在の利用者数だけで十年の強い堀は認めない。上場企業全体を強い堀と呼ぶのでなく、事業ごとに稼ぎの耐久力を見分ける必要がある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
市場全体の成長は強い。IDCは2025年の国内AI関連支出を2兆3725億円、2029年を6兆8897億円と予測している。金融、建設、営業、顧客対応で業務を自動化する需要は確かに増える。
しかし、この数字は計算基盤や外部サービスも含む広い市場だ。HEROZの企業向けAI売上を同じ分母で割るとシェアは約0.1%にすぎず、対象が異なるため直接競合市場の占有率を意味しない。各社の厳密なAI受託シェアは開示されていない。
顧客を奪うのは同業だけではない。国内のPKSHA Technology、エクサウィザーズ、ABEJAに加え、Microsoft Copilot、Google Gemini、ChatGPT、Claudeなど汎用の製品が顧客企業の仕事を直接引き受ける。開発に必要な人月が減り、情報整理や問い合わせをAIが横断して行えば、従来型の受託開発と席課金SaaSは同時に価格圧力を受ける。大きく伸びる市場で、ある提供会社の取り分だけが縮むことは十分にあり得る。
ネットワークセキュリティ市場は違う顔を持つ。富士キメラ総研は国内の関連サービスと製品を2024年度7195億円、2029年度9599億円と予測した。バリオセキュアの約28億円は、その広い分母では約0.4%に相当するが、同じサービスだけを対象にしたシェアではない。
競合はIIJ、LAC、セコム系に加え、Fortinet、Cisco、Palo Alto Networksなどの機器・クラウド勢である。クラウド型SASEやゼロトラストへの移行で、拠点据え置き型の機器が減る可能性は大きい。だから市場の名目拡大を、設置拠点が一律に増える根拠にはしない。
将棋アプリはさらに別の競争だ。将棋ウォーズは棋譜と対局相手の集積で強いが、将棋クエスト、81Dojo、将棋倶楽部24など無料の対戦先もある。国内ゲーム市場全体の占有率は小さくても、狭い将棋対戦の世界では存在感が大きい。
各社の対局数や課金売上が同一定義で公表されないため、正確な将棋アプリ市場シェアは算定できない。十年先の対局数は人口増でなく、遊びやすさと継続課金への転換で決まる。
資本政策と M&A
資本配分は厳しく点検する必要がある。2022年以降の買収で収益源は広がったが、売上の拡大に比例して親会社株主利益が増えたわけではない。2026年4月期はストラテジットの売却益で最終黒字を確保した。
この利益を毎年生む力だと誤認して買収資金をさらに積み増せば、利益率と自己資本利益率はまた下がる。買収先の重複費用削減と、のれんを償却した後の利益を基準に経営を評価したい。
2026年6月にはバリオセキュアを株式交換で完全子会社化した。こちらは上場廃止したが、HEROZ自身は上場を継続する。少数株主へ流れていた利益を全額取り込める一方、新株約258万株を発行した。
9月には譲渡制限付株式も発行され、元の株主の取り分は約85%になった。完全所有による利益の増加を評価しても、持分の希薄化を無視することはできない。
2026年4月期まで普通配当はなく、2027年4月期予想も無配である。中期経営計画として検証可能な複数年度の売上・ROE目標、配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い額について数字の約束は確認できない。公表された2027年4月期の売上68億円、営業利益8億円、親会社利益3億円は単年度予想だ。
代わりに700株以上を対象とするポイント優待があり、2026年4月期の関連費用は約0.47億円だった。十年の還元はその継続を最低限とし、現金配当の上乗せは楽観側だけに認める。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
強い部分を先に評価するべきだ。将棋ウォーズの強みはコンピューター将棋の勝率ではない。多数の人間が同じ場所で毎日対局し、その棋譜から研究、学習、棋力判定、対戦イベントが生まれることだ。
AIによって将棋がつまらなくなるという予想は、これまで外れた。人間の楽しみ方を広げるAIは、消費者向けの課金機会を増やし得る。
さらに企業向けのAIは既に商売になっている。HEROZ ASKの年換算収益は2026年7月に2.3億円を超え、累計契約社数も470社になった。単なる構想や検証段階ではない。
企業が使う複数の大規模言語モデルを束ね、社内文書を参照し、作業を実行する仕組みを導入した実績がある。ASKを個人向けのチャット画面で終わらせず、会計処理や営業、社内照会まで一括して引き受ける仕事単位のサービスに変えられれば、既存の人月売上を縮めながら製品売上を増やすことができる。
バリオセキュアも過小評価できない。全国7651拠点という設置基盤、低い解約率、25年余りにわたる障害対応と運用履歴は、新規参入者がすぐには手に入れられない。完全子会社化後は共通の開発基盤と営業網を使え、かつて上場会社同士だったために重なっていた間接費を削減できる。
セキュリティの検知や一次対応に独自のAIエージェントを組み合わせれば、人手を減らす技術は利益を奪うのでなく利益率を上げる。将棋、セキュリティ、ASKという異なる収益源を持つことには実際の意味がある。
利益率の改善が定着し、M&Aで買った事業をさらに買い増す必要がなくなれば、余剰資本を配当や買い戻しに回す余地も生まれる。現に翌期は営業増益計画を掲げている。大規模なAI製品への転換を捉えた利益成長には、低い確率でも無視できない上振れがある。
慎重な見方
この会社はAIの先駆者という物語と、株主の儲けが結びついていない。売上は買収で急拡大したが、2023年から2025年まで最終赤字が続いた。2026年の最終黒字には子会社株式の売却益が含まれる。
人員を増やして受託案件を回し、収益性が不足すると次の会社を買う繰り返しでは、企業は成長しても既存株主の一株価値は増えにくい。2026年の完全子会社化も、利益の帰属割合が増える代償として新株を大量発行した。
企業のAI導入で最初に減るのは、情報収集、システム設定、画面操作、試作品の実装に必要な人手だ。HEROZのAIX受託と、顧客の従業員が使う生成AI助手はまさにその対象である。Microsoft、Google、OpenAI、Anthropicなどのプラットフォーム企業は、モデルの性能と配布経路の両方を握っている。
国内のAI導入支援会社が価格を維持できる理由は弱くなる。個別の受託案件が数倍に増えた四半期の成長率を、十年先まで伸ばしてはいけない。
バリオセキュアの機器も永久に安全ではない。顧客の業務がクラウドに移り、支店ごとの通信機器を必要としなくなれば、設置拠点が消える。FortinetやPalo Alto Networksなどが統合型のクラウド保護を標準化すれば、国内での交換対応や監視履歴だけでは単価を守れない。サイバー攻撃が増えることと、特定の機器事業者が儲かることも別だ。
2026年4月末時点の純現金は約17億円あったが、のれんと開発ソフトは清算時にそのまま売れる資産ではない。無配のまま買収と株式報酬が続くと、少数株主がその現金を享受できるとは限らない。過去の黒字期間に見せた高い利益率は事業構成も顧客需要も違う時代の数字であり、現在の複合企業の稼ぎに移すことはできない。
どちらに重みを置いたか
セキュリティ機器の設置基盤と将棋の対局ネットワークが持つ耐久力は明らかで、すべてがAIに代替されるとは考えない。ただし、買収後の連結利益が平常時にどれだけ残るか、ASKが一般の画面型SaaSから脱して成果報酬を獲得できるかはまだ証明されていない。慎重な見方を優勢とする。
下に寄せる理由は、三期の純損失、特別利益依存、株式交換による約17%の発行株数増加、現金配当の不在である。AIによる作業削減は中立の数量に既に反映したので、確率や資本コストで同じ理由を重ねて罰してはいない。やや悲観と悲観を合わせて41%とする。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/04 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 381 円58 億円(+ 還元の換算額還元の合計 41 円6 億円)。 今の値に割り戻すと 209 円32 億円、今との差 −76.9%、 期待の年率 −7.7%(資本コスト 7.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,673 円254 億円 | 127 円19 億円 | +98.7% | +7.4% | 144 円22 億円 |
| やや楽観 | 18% | 593 円90 億円 | 82 円13 億円 | −25.5% | −3.1% | 122 円18 億円 |
| 中立 | 33% | 269 円41 億円 | 26 円4 億円 | −67.4% | −11.0% | 97 円15 億円 |
| やや悲観 | 26% | 143 円22 億円 | 20 円3 億円 | −82.0% | −16.4% | 42 円6 億円 |
| 悲観 | 15% | 98 円15 億円 | 13 円2 億円 | −87.8% | −19.6% | 17 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 381 円58 億円 | 41 円6 億円 | −53.4% | −7.7% | 422 円64 億円 |
今の株価時価総額 906 円138 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% AI製品の成功とセキュリティの成長 利益 21 億円 · PER 13.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,673 円254 億円
収益の中心が売り切りのAI開発から、仕事そのものを請け負う製品へ入れ替わる。HEROZ ASKは既存顧客で成果が確認され、国内の中堅企業へ広く導入される。企業は社員一人につき画面の利用料を払うのでなく、問い合わせ解決、書類処理、案件の一次対応という仕事の完了に対価を払う。
年換算収益が既に開示された製品なので、この成功には現実の出発点がある。ただし、約8500社に広がるには現在の約470社から長年にわたって契約を増やし、世界の巨大モデル提供者との競争にも勝たなければならない。
AIの導入開発そのものは自動化で件数が減るが、失う売上をASKの成果型課金が大きく上回る。将棋ウォーズは独自の詰将棋や競技イベントで対局を増やし、課金単価も改善する。セキュリティではVSRの設置が1万拠点を超える。
障害検知、隔離、復旧の自動化によって、少ない人員で多くの拠点を守れるようになる。顧客の安全を保証する運用責任と過去の脅威履歴は残り、AIが競合でなく収益性を高める道具になる。
買収先との共通費用が減り、新規の買収を重ねずに利益を再投資できる。株式交換による既存株主の持分低下は残るが、事業利益が十分に大きくなればそれを補う余地が生まれる。将来の追加M&Aも既存顧客に製品を売り込める範囲に抑えられる。最後は増えた現金を配当と自社株買いで戻す方向へ転じる。
- AIX・将棋ウォーズ等BtoC:数量 135,000,000(年間の将棋対局数(局、実数の推定。四半期約3000万局×4))× 価格 0.00(対局1局に対応する平均実現売上(億円/局、課金・広告の合算))→ 売上 18 億円・営業利益 7 億円。年間対局1.35億局、課金・広告の換算単価1.33倍。
- AIX・受託AI開発・導入支援等:数量 98.0(年間請求可能な稼働人年換算(人年、非開示のため人員数から推定))× 価格 0.25(請求可能人年当たり平均売上(億円/人年))→ 売上 25 億円・営業利益 6 億円。人月作業は縮むが高難度AI統合案件を継続。数量0.817倍、単価1.34倍。
- AIX・HEROZ ASK生成AI助手:数量 8,500(導入契約社相当(社、累計契約社数で代理))× 価格 0.01(契約社相当の年実現売上(億円/社、代理推計))→ 売上 55 億円・営業利益 15 億円。既に有償ARRを確認済み。成果課金で約8500社へ広がり、社当たり実現売上は現行期中代理単価の2.3倍。
- AI Security・VSR監視運用BPO:数量 11,000(稼働VSR設置拠点数(拠点))× 価格 0.00(年間監視運用売上(億円/設置拠点))→ 売上 49 億円・営業利益 21 億円。既設装置と運用履歴の堀を足場に1万1000拠点へ拡大、単価1.38倍。
- AI Security・機器導入・構築:数量 650(年間VSR新規設置・交換工事件数換算(件、推定))× 価格 0.01(1工事件数換算当たり平均売上(億円/件))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。機器とクラウド共存型の設置支援650件相当。
倍率:10年後ROE13.83%、k7.75%、普通の堀の残存率1/2から増分RONIC=10.79%とする。十年より先の名目g1.25%を用いる正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=13.60271倍の上限そのもの。AIエージェント代替はAIX受託の数量、画面型ASKの数量・単価およびg_longに織り込み、kの寿命には重ねない。余剰現金を別建てでは足さず、会社全体の純利益だけを資本還元可能利益の物差しとした。
確率:2026年7月にASKの有償ARR2.3億円、契約470社という検証可能な出発点があり、VSRの設置基盤もある。しかし顧客数を十年で約8500社へ増やし、AIエージェントを成果単位で売り、業界の巨大事業者に勝つには連続した成功が必要なため確率8%。
やや楽観 18% 既設拠点を守り製品契約を増やす 利益 8 億円 · PER 13.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 593 円90 億円
セキュリティ運用が確実に育ち、ASKも現在の小さな規模から一段大きな製品になる。VSRはクラウドと組み合わせた管理を増やし、現地設備の需要が減った顧客にも監視契約を売れる。拠点数は現在を少し上回り、運用ノウハウと人件費の節約で利益率を改善する。これがAIXの振れを吸収する収益源になる。
企業向けAI開発の工数は減る。それでも金融、建設、顧客対応に特有のデータ接続や監督責任は残り、単価の高い案件を取ることで減少を一部補う。ASKは千社を超える契約基盤を築くが、汎用AIに価格を決められるため、席数だけでは大きな値上げをできない。AIさくらさんを含む操作画面主体のソフトは、成果課金への移行が成功した顧客だけを残す。
将棋ウォーズでは対局と有料機能の双方が穏やかに増える。子会社の統合による共通費の削減は一定程度進むが、広告や営業などの販売費は必要である。2026年に買収したAKMコンサルティングや他の小型事業も、グループ営業を使って自律的に稼げるようになる。大型の株式交換は繰り返さず、株主優待に加えて少額の配当や機動的な買い戻しが始まる。
- AIX・将棋ウォーズ等BtoC:数量 125,000,000(年間の将棋対局数(局、実数の推定。四半期約3000万局×4))× 価格 0.00(対局1局に対応する平均実現売上(億円/局、課金・広告の合算))→ 売上 16 億円・営業利益 5 億円。対局数1.04倍、換算単価1.28倍。
- AIX・受託AI開発・導入支援等:数量 105(年間請求可能な稼働人年換算(人年、非開示のため人員数から推定))× 価格 0.25(請求可能人年当たり平均売上(億円/人年))→ 売上 26 億円・営業利益 6 億円。工数型数量0.875倍、単価1.32倍。
- AIX・HEROZ ASK生成AI助手:数量 1,150(導入契約社相当(社、累計契約社数で代理))× 価格 0.00(契約社相当の年実現売上(億円/社、代理推計))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。有償実績を基礎に1150社相当、成果機能の追加で代理単価1.30倍。
- AI Security・VSR監視運用BPO:数量 8,400(稼働VSR設置拠点数(拠点))× 価格 0.00(年間監視運用売上(億円/設置拠点))→ 売上 36 億円・営業利益 14 億円。VSR8400拠点、単価1.33倍、故障対応効率化。
- AI Security・機器導入・構築:数量 550(年間VSR新規設置・交換工事件数換算(件、推定))× 価格 0.01(1工事件数換算当たり平均売上(億円/件))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。工事550件相当、価格1.31倍。
倍率:10年後ROE8.10%、k7.75%、普通の堀の残存率1/2から増分RONIC=7.92%とする。十年より先の名目g1.25%を用いる正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=12.95794倍の上限そのもの。AIエージェント代替はAIX受託の数量、画面型ASKの数量・単価およびg_longに織り込み、kの寿命には重ねない。余剰現金を別建てでは足さず、会社全体の純利益だけを資本還元可能利益の物差しとした。
確率:セキュリティ設置基盤の維持とASKの継続売上に現実の証拠があり、成功すれば適度な利益改善は十分あり得る。ただし受託工数の減少を完全に止める根拠はないので18%。
中立 33% 運用は残るが受託と席数は縮む 利益 3 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 269 円41 億円
十年後も事業は必要とされているが、今と同じ契約が同じ数量で続くわけではない。日本のAI導入投資は大きくなる一方、企業の担当者は汎用のAIエージェントを使い、初期設定、文書検索、定型コード開発を自分で進める。その結果、AIXの工数型案件は現在の約7割へ減る。
案件の難度が上がって平均単価は物価並みに上昇するものの、売上は増えにくい。HEROZ ASKにも継続契約は残るが、ID単位の請求が弱まり、企業数はやや減る。
将棋ウォーズは大きく膨らまず、対局数をおおむね維持する。棋譜を使った学習と大会、シーズンパスで、プレイヤーが課金する理由を保つ。セキュリティのVSRはクラウド型SASEへ移る顧客を失い、設置拠点がやや減る。
しかし、残った拠点は運用の責任を外部に預け続け、月額単価はインフレに近い水準で上昇する。導入工事はAIによる設定自動化と機器移行によって件数が減る。
売上は名目で緩やかに増えるが、本社の人件費と管理費は物価とともに増える。過去の買収によるのれん償却も残り、大幅な利益率の改善は続かない。買収は大きな成功も致命的な失敗もなく、現金配当の約束がない状態が長く続く。株主には優待という小さな還元しか見込めず、資本効率は資本コストを下回る。
- AIX・将棋ウォーズ等BtoC:数量 120,000,000(年間の将棋対局数(局、実数の推定。四半期約3000万局×4))× 価格 0.00(対局1局に対応する平均実現売上(億円/局、課金・広告の合算))→ 売上 15 億円・営業利益 4 億円。国内将棋人口に制約、対局数横ばい、実現単価1.25倍。
- AIX・受託AI開発・導入支援等:数量 82.0(年間請求可能な稼働人年換算(人年、非開示のため人員数から推定))× 価格 0.24(請求可能人年当たり平均売上(億円/人年))→ 売上 20 億円・営業利益 4 億円。工数・SES型数量0.683倍、難度上昇による単価1.27倍。
- AIX・HEROZ ASK生成AI助手:数量 360(導入契約社相当(社、累計契約社数で代理))× 価格 0.00(契約社相当の年実現売上(億円/社、代理推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。席・画面型SaaSは契約社相当0.837倍、価格1.10倍。
- AI Security・VSR監視運用BPO:数量 7,300(稼働VSR設置拠点数(拠点))× 価格 0.00(年間監視運用売上(億円/設置拠点))→ 売上 30 億円・営業利益 11 億円。低解約率の一方でSASE移行あり、拠点0.954倍、価格1.28倍。
- AI Security・機器導入・構築:数量 325(年間VSR新規設置・交換工事件数換算(件、推定))× 価格 0.01(1工事件数換算当たり平均売上(億円/件))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。設置業務の自動化で件数0.65倍、価格1.28倍。
倍率:10年後のROE3.85%がk7.75%以下なので成長価値を付さず、PER上限1÷k=12.90323倍をそのまま採用。AIエージェント代替はAIX受託の数量、画面型ASKの数量・単価およびg_longに織り込み、kの寿命には重ねない。余剰現金を別建てでは足さず、会社全体の純利益だけを資本還元可能利益の物差しとした。
確率:将棋の高い対局頻度とVSRの低い解約率は安定を支える。下に寄せる理由:2023~2025年の連続最終赤字、2026年黒字の売却益依存、無配の資本政策、2026年の株式交換での既存持分希薄化があるため、企業固有の回復不確実性を残した中心33%。AIエージェント代替の数量減はすでに中立に織り込み、確率で二重計上しない。
やや悲観 26% 受託の価値低下と機器転換 利益 2 億円 · PER 11.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 143 円22 億円
受託AIでは、顧客の内製化と汎用AIの価格競争が予想以上に早く進む。金融や製造業の大口顧客も開発の一部を自動化し、これまで外部へ委託していた作業を減らす。BtoBの案件換算数量は十年で六割を下回る。
複雑なシステム統合には需要が残るが、利益が出やすい仕事だけを選べるほどの交渉力はない。ASKは契約更新が続くものの、席単価はほとんど上がらず、事業単独での開発費負担が重い。
セキュリティも無傷ではない。FortinetやPalo Alto Networksがクラウドを起点に機器と監視を一括提供し、既存VSRの拠点数は六千台後半へ落ちる。バリオセキュアは残った顧客の運用を引き受け続け、低解約率という強みを一部守るが、新しい契約を取るために値引きや追加サービスが必要になる。導入・工事の案件も減る。
将棋ウォーズでは課金利用者の減少を新たな機能で補おうとするが、十分な増益には至らない。経営は本社人員を整理し、買収した事業を再編して費用を落とす。それでものれん償却と借入金の借り換え負担が残り、全社純利益は小さい。
株主優待は規模を縮め、現金配当は再開できない。耐久力のあるVSR収益が倒産を防ぐ一方、会社全体の評価を引き上げる力にはならない。
- AIX・将棋ウォーズ等BtoC:数量 110,000,000(年間の将棋対局数(局、実数の推定。四半期約3000万局×4))× 価格 0.00(対局1局に対応する平均実現売上(億円/局、課金・広告の合算))→ 売上 13 億円・営業利益 3 億円。課金率と対局数は緩やかに弱含み、価格1.15倍。
- AIX・受託AI開発・導入支援等:数量 70.0(年間請求可能な稼働人年換算(人年、非開示のため人員数から推定))× 価格 0.22(請求可能人年当たり平均売上(億円/人年))→ 売上 16 億円・営業利益 2 億円。内製AI導入で数量0.583倍、価格1.17倍。
- AIX・HEROZ ASK生成AI助手:数量 300(導入契約社相当(社、累計契約社数で代理))× 価格 0.00(契約社相当の年実現売上(億円/社、代理推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。ID利用減で契約数0.698倍、価格1.04倍。
- AI Security・VSR監視運用BPO:数量 6,650(稼働VSR設置拠点数(拠点))× 価格 0.00(年間監視運用売上(億円/設置拠点))→ 売上 26 億円・営業利益 8 億円。VSR設置数0.869倍、価格1.22倍。
- AI Security・機器導入・構築:数量 280(年間VSR新規設置・交換工事件数換算(件、推定))× 価格 0.01(1工事件数換算当たり平均売上(億円/件))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。設置件数0.56倍、価格1.15倍。
倍率:ROE約2.4%で資本コスト7.75%を下回るため正当化PERの上限1÷k=12.90倍。やや悲観は安全余裕を設けた11.6倍、税後利益1.70億円から稼ぐ力の価値を計算し、純現金17.2億円の床以上を確保した。AIエージェント代替はAIX受託の数量、画面型ASKの数量・単価およびg_longに織り込み、kの寿命には重ねない。
確率:汎用AIの進歩とクラウドセキュリティ移行が早まり、受託案件数とVSR設置数を同時に圧迫する可能性がある。財務には現金余裕があるため倒産より長期の収益鈍化が現実的で26%。
悲観 15% AIとクラウドに顧客接点を奪われる 利益 −1 億円 · PBR 0.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 98 円15 億円
AIという看板は残っても、会社が顧客の業務で占める場所が失われる。受託開発の定型作業は汎用AIと顧客の内製チームに移り、従来の工数型契約が大幅に減る。HEROZ ASKも多くの顧客でMicrosoftやGoogleなどの標準機能に置き換わり、席課金と月額契約が細る。
独自モデルの開発投資は続くが、それを回収できる利用者は増えない。強みだった将棋のAI技術も企業向けの価格決定力にはつながらなくなる。
セキュリティの危機は、クラウドへの移行と顧客の拠点統合が同時に進むことだ。VSRの稼働拠点は五千程度まで減り、機器保守の固定費が残る。サイバー攻撃の件数は増えるが、保護の大半をクラウド大手が一括管理するようになり、バリオセキュアが得る取り分は細る。将棋ウォーズにも無料競合や別の娯楽へ移る利用者が増え、対局数は約四分の一減る。
経営は買収先の整理と大幅な人員削減を進めるが、のれんと開発ソフトの減損を免れない。十年後も装置保守と将棋の基盤は残るため直ちに倒産する想定ではないが、連結営業利益は赤字となる。株主還元は優待の縮小分にとどまり、過去の買収で蓄えた帳簿上の自己資本はそのまま換金できない。評価の床は現在の純現金と売却できる資産の保守的な価値であり、過去の高い株価や帳簿純資産ではない。
- AIX・将棋ウォーズ等BtoC:数量 90,000,000(年間の将棋対局数(局、実数の推定。四半期約3000万局×4))× 価格 0.00(対局1局に対応する平均実現売上(億円/局、課金・広告の合算))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。無料競合へ流出、対局数0.75倍、価格横ばい。
- AIX・受託AI開発・導入支援等:数量 55.0(年間請求可能な稼働人年換算(人年、非開示のため人員数から推定))× 価格 0.18(請求可能人年当たり平均売上(億円/人年))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。定型AI工数消失、数量0.458倍で価格も下落。
- AIX・HEROZ ASK生成AI助手:数量 200(導入契約社相当(社、累計契約社数で代理))× 価格 0.00(契約社相当の年実現売上(億円/社、代理推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。汎用AI助手へ移行、契約数0.465倍、価格下落。
- AI Security・VSR監視運用BPO:数量 5,000(稼働VSR設置拠点数(拠点))× 価格 0.00(年間監視運用売上(億円/設置拠点))→ 売上 17 億円・営業利益 4 億円。SASE浸透で現地VSR拠点0.654倍、価格ほぼ横ばい。
- AI Security・機器導入・構築:数量 150(年間VSR新規設置・交換工事件数換算(件、推定))× 価格 0.01(1工事件数換算当たり平均売上(億円/件))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。導入件数0.30倍で赤字回避に精一杯。
倍率:構造的敗北で営業損失が続くためPERで永続利益を値付けしない。2026年4月期の現在自己資本49.9億円だけにPBR0.35を掛けた17.465億円を、純現金17.2億円を下回らない売却資産価値の床として採用。十年後の帳簿自己資本37億円に掛けていない。のれん約17.90億円、ソフトと仮勘定約6.08億円は処分時に帳簿価格で売れず床から除外。
確率:技術代替、SASE移行、買収先の減損が重なる複合的な失敗であり最頻ではない。ただし複数回の最終赤字と相応ののれん残高を考えると見落とせず15%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
AIX・将棋ウォーズ等BtoC
対局コミュニティ、棋神解析、プレミアム機能など。AIは対戦・学習を強化する道具であり、席課金の業務SaaSとは違う。
| 数量年間の将棋対局数(局、実数の推定。四半期約3000万局×4) | 価格対局1局に対応する平均実現売上(億円/局、課金・広告の合算) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 120,000,000 | 0.00 | 12 | 4 |
| 10 年後 中立 | 120,000,000 | 0.00 | 15 | 4 |
取り方:2026年4月期のBtoC実績11.89775億円は有価証券報告書の収益認識注記。2026年4月期の四半期対局数が3000万局超、2027年4月期1Qは3000万局弱という会社IRより年1億2000万局を現在数量の代理にした。11.89775÷1.2億局=約9.91円/局という換算平均であり、対局ごとの徴収料金ではない。AIエージェント代替の人月・席の型には当たらず、対局のネットワーク効果を維持する想定。
AIX・受託AI開発・導入支援等
企業のAI組込み、受託開発、営業・顧客対応のBPOや一部業務画面ソフトを含む。労務・工数連動を中心に保守的に扱う。
| 数量年間請求可能な稼働人年換算(人年、非開示のため人員数から推定) | 価格請求可能人年当たり平均売上(億円/人年) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 120 | 0.19 | 23 | 4 |
| 10 年後 中立 | 82.0 | 0.24 | 20 | 4 |
取り方:公表BtoB実績23.43259億円のうちHEROZ ASK実現売上を1.2億円と仮置きし、残額22.23259億円にAIXその他売上0.48957億円を加え22.72216億円とする。2026年4月末のAIX従業員159人という有報の実数に対し、BtoC制作や社内運営にも人員が必要なので、売上請求に換算できる稼働人年を約75%の120人年と推定し、単価1893.5万円/人年(1人月約158万円)を逆算。実際の請求人年と単価は非開示で、2027年4月期1Qの稼働案件数前年同期比+26.8%は方向の裏付けに限られる。AIさくらさんの席型ソフトとVOIQのBPOを残額に含み、独立数値が無いので工数・席の代替リスクを保守的に適用。中立請求人年82÷120=0.683、単価約1.27倍、長期g0%。
AIX・HEROZ ASK生成AI助手
大規模言語モデルと社内データ検索、エージェント機能を組み合わせる生成AIアシスタント。売上はAIX BtoBの内数。
| 数量導入契約社相当(社、累計契約社数で代理) | 価格契約社相当の年実現売上(億円/社、代理推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 430 | 0.00 | 1 | −1 |
| 10 年後 中立 | 360 | 0.00 | 1 | 0 |
取り方:会社IRは2026年4月末の累計契約社数約430社と年換算継続収益ARR2億円、2026年7月末約470社・ARR2.3億円を開示。一方、2026年4月期のASK単体通期実現売上は非開示。期中にARRが1億円から2億円へ上昇したことから、売上を暫定1.2億円と推計。430社×1.2億円/430社=1.2億円に一致するが、累計契約社と稼働ID・期中収益を混同しないため代理単価と明記。中立は人が画面操作する席課金SaaS型で数量360÷430=0.837、価格1.10倍、長期gはマイナス0.5%を想定。既に有償ARRがあるため楽観の成果課金への移行のみ数量拡大を許す。
AI Security・VSR監視運用BPO
自社VSR装置を顧客拠点に設置し24時間監視、更新と機器交換まで責任を持つ月額契約。
| 数量稼働VSR設置拠点数(拠点) | 価格年間監視運用売上(億円/設置拠点) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 7,651 | 0.00 | 25 | 9 |
| 10 年後 中立 | 7,300 | 0.00 | 30 | 11 |
取り方:バリオセキュア有報に2026年2月末のVSR設置7651拠点、HEROZ2026年4月期有報のセキュリティBPO売上24.90555億円。単価=24.90555÷7651=0.003255億円/拠点年(約32.6万円)、月約2.7万円、装置・監視を含む平均で純粋なレンタル料ではない。AIエージェント代替の検査では、現物機器、24時間の顧客別監視履歴と2027年1Q四半期解約率0.84%という二つ以上の証拠を確認できる部分だけ『記録の正本・独自データと切替費』型とし、中立数量7300÷7651=0.954、単価1.28倍、長期名目成長2%。ただしSASEへの移行による減少を数量に織り込む。
AI Security・機器導入・構築
セキュリティ機器の導入工事、ライセンス・構築支援など。顧客ごとに人手が必要な単発プロジェクト。
| 数量年間VSR新規設置・交換工事件数換算(件、推定) | 価格1工事件数換算当たり平均売上(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 500 | 0.01 | 4 | 1 |
| 10 年後 中立 | 325 | 0.01 | 3 | 0 |
取り方:2026年4月期のAI Security売上28.42655億円から開示されたセキュリティBPO24.90555億円を引いて3.521億円(厳密には有報3.52099億円)とした。設置拠点7651と四半期解約率0.84%から年の流出拠点を約257と推し、更新・純増も含めた新規設置・交換を仮に年500件相当とした。したがって1件平均約70.4万円の代理単価になり、会社が公表した件数・単価ではない。中立数量325÷500=0.65、価格1.28倍とする人月・工数型。価格には物価だけ、案件量にはSI導入自動化とオンプレ機器減少を入れる。
リスクと懸念
AI エージェント代替と請求対象の消失
AIXの受託・共創型開発では、顧客がAIエージェントに文書の整理、コード生成、問い合わせ対応を任せるほど必要工数が減る。HEROZ ASKも従業員が画面を開く席数に課金するだけなら、汎用AIが社内業務を直接処理する時代に利用者と単価を同時に失う。受託と画面型SaaSの数量・価格には既に中立から縮小を織り込み、十年超の成長率も抑えた。
国内外の巨大AI基盤による競争
Microsoft、Google、OpenAI、Anthropicなどは自社製品にエージェント機能を組み込める。HEROZの差別化が汎用モデルへの接続と画面の使いやすさだけなら、機能は複製されやすく、導入企業数が増えても課金単価を守れない。契約の成果物が顧客の業務記録として残るか、独自データと顧客統合への切替費用が生まれるかを見極める必要がある。
VSR機器からクラウドセキュリティへの移行
バリオセキュアは機器設置、履歴、遠隔保守で強みを持つが、SASEやゼロトラストの普及で拠点ごとのVSRが不要になる可能性がある。サイバー攻撃の増加は市場全体を広げても、この機器の販売数量を保証しない。Fortinet、Cisco、Palo Alto Networksや国内MSSPが競合し、拠点減少と更新単価の伸び悩みが重なる場合は、同社の最大の利益源が傷む。
M&A、のれんと少数株主の希薄化
2026年4月末の買収のれんは約17.9億円で、ソフト・仮勘定も約6.1億円ある。AIXの買収先の競争力が衰えれば、帳簿上の資産価値と税後利益が同時に損なわれる。2026年6月のバリオセキュア完全子会社化では約258万株を新たに交付した。新しい事業を得ても既存株主の持分が減るため、買収後の増分ROICと一株当たり価値を別々に追うべきだ。
消えない本社費と過大な継続収益評価
2026年4月期の両セグメント利益は合計16億円を超えたが、未配賦の本社費で約11億円が差し引かれた。ARR約50億円という安定収益の見た目だけでは、連結株主利益を判断できない。一般管理費と人件費は物価上昇に影響され、業務委託費やのれん償却も残る。景気後退や顧客減少でも一度増えた固定費をすぐには消せない。
実現利益と資本効率の落差
2023~2025年の親会社株主利益は赤字で、2026年の黒字には子会社の売却益が含まれる。翌期の会社予想は増収増益でも、そのまま高い自己資本利益率が恒久化した証拠ではない。設備とAI研究、買収対価に再投資する資本の利回りが資本コストを超えなければ、売上の成長は株主価値を押し上げない。純現金を将来の買収に使い切る危険もある。
株主還元の弱さと潜在株式
普通配当は継続してゼロで、2027年4月期の予想も無配である。優待費用は2026年4月期に約0.47億円あったが、現金の株主還元に比べれば限定的だ。株式報酬の追加発行や新株予約権の行使があれば持分の希薄化が続く。経営が蓄積した資本を買収でなく既存株主へどう戻すか、明確な数値方針がないことは投資判断の不確実性になる。
今後の分かれ目
- HEROZ ASKの年換算継続収益が20億円を超え、導入企業当たりの収入と粗利率が同時に改善したら
- 単なる座席課金から成果への課金移行を確認し、AIX製品の楽観・やや楽観の数量と収益率を引き上げる。ただし、受託工数の減少を隠していないか別々に検証する。
- 企業向けAI受託の稼働案件数・平均売上が連続して減り、営業利益率も下がったら
- AI エージェント代替が中立より速いと判断し、BtoB数量と利益率をやや悲観側へ移す。別の形態の製品売上が増えていない限り、市場全体の成長率では補わない。
- VSR稼働拠点が8000を超え、四半期解約率1%未満と継続的な単価改定を両立したら
- 現場の切替費用と値決め力が守られた証拠として、セキュリティ数量をやや楽観へ修正する。費用を増やして獲得した契約ではないかも確認する。
- VSR拠点が6000を下回り、SASEへの移行先から継続収益を取れなかったら
- 現在の最大の収益の土台が崩れているとみなし、AI Securityの拠点数と価格を悲観側へ引き下げる。のれん減損の検討も強める。
- 親会社帰属純利益が売却益なしで5億円を3期継続し、純現金を維持できたら
- 利益の反復性と増分投下資本利益率が改善した証拠になる。十年の純利益軌道と再投資価値を引き上げ、無配継続の必要性も見直す。
- 新たな大規模株式交換・増資を実施し、買収先の利益が増えなかったら
- 既存株主の取り分の係数を引き下げ、買収ののれん減損と自己資本利益率の下振れを評価する。売上拡大をそのまま価値拡大とは解釈しない。
- 配当性向・DOE・自社株買い額を明記した資本配分方針が公表され、実際の還元が始まったら
- 留保現金の株主への戻り方を0.75から1.0へ引き上げる余地がある。配当に回した分は自己資本から差し引き、利益と株価の価値を二重計上しない。
見ておくもの
- HEROZ ASKのARR、累計契約社数、課金ID数、実現売上、顧客当たり単価、四半期解約率の区別
- AIX BtoBの稼働案件数・請求可能工数・案件平均単価と人件費率
- AIさくらさん等の画面型SaaSが単独で成果型課金へ転換した売上額
- バリオセキュアのVSR稼働拠点数、四半期解約率、更新単価とSASE移行先の継続契約
- セキュリティBPOの売上・利益率と機器更新費用の現金流出
- 将棋ウォーズの四半期対局数、月間利用者、有料課金率と一対局当たり実現収入
- AIX・AI Securityの個別利益から未配賦本社費を差し引いた営業利益の推移
- 子会社売却益などの一過性損益を除く親会社帰属純利益と増分ROIC
- のれん・ソフトウエアの残高、減損、借入金満期、純現金、キャッシュフロー
- 新株発行・新株予約権と自社株買いの差し引きによる持分希薄化
- 中期経営計画の売上・ROE数値、配当性向・DOE・自社株買いの具体的な数値約束
- 会社の上場継続方針、TOB・MBO・継続企業注記の有無
倍率と資本コストの決め方
株価から十年の利益率を逆算せず、開示された五つの売上内訳を将棋の年対局数、AI開発案件換算数、ASKの契約社相当、VSR設置拠点、セキュリティ工事換算数へ分けた。うち案件数とASKの通期実現売上は非開示ゆえ推計と明示した。物価3%は実質数量ではなく名目単価にだけ入れる。AIX受託とASKにはAIエージェント代替の中立数量縮小を適用し、長期成長率も1.25%に制限したが、kの寿命へ重複加算していない。倍率はROEとk7.75%およびRONICから定まる利益ベースの上限であり、当日のPER・PBRや他社の市場倍率は採用していない。買収後の発行株式は旧株主の取り分0.8515で一度だけ補正した。純現金を過大な余剰現金として二重加算せず、悲観の床はのれん・ソフトの換金難を控除した。2028年4月期以降の新リース基準による資産・負債の両建て変更では収益力を増やさず、旧来の賃借料費用の基準で比較する。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3.0%と株式リスクプレミアム4.5%の計7.5%に、循環+0.5%・純現金-0.25%を反映。個別M&A失敗やAIエージェント代替は数量・利益・確率で評価する。