結論
システムサポートホールディングスは、企業の基幹システム開発とクラウド導入を支える独立系ITサービス企業だ。筆者の結論は割高である。足元の利益成長は力強いが、売上の大部分を人の作業時間から得る収益構造が、10年後も同じように通用するとは考えにくい。
同社の強みは、ServiceNow、AWS、Google Cloudなど複数の基盤を扱い、顧客の既存システムと結び付ける現場の技術力にある。ServiceNowでは専門技術者を約210人抱え、国内で120社を超える導入実績がある。単にプログラムを書く会社ではなく、業務を理解して導入から運用まで引き受けられることが、これまでの増収と利益率改善を支えてきた。
しかし、顧客が買っているのは必ずしも同社だけが保有する製品やデータではない。基盤の所有者は海外の大手ソフトウェア会社であり、システム開発の相当部分は工数に応じて請求する。AIエージェントが設計、実装、試験、問い合わせ対応を連続して実行するようになれば、顧客に必要な作業時間は大きく減る。技術者の生産性が上がっても、請求できる時間まで増えるとは限らない。
2026年6月期の売上高は約311億円、営業利益は約30億円まで伸び、自己資本利益率も26%に達した。会社は2029年6月期に売上高436億円、営業利益45億円を目指す。それでも、3年間の受注拡大と2036年の競争構造は分けて考えたい。短期の成長計画が実現した後に、人月単価と契約工数の関係そのものが変わる可能性がある。
クラウドの従量課金再販とデータセンターには比較的粘り強い収益が残る。純現金も厚く、急に経営が行き詰まる会社ではない。一方、これらの事業だけでは開発工数の長期的な減少を完全には補いにくい。10年の利益と配当を確率で評価すると、現在の約323億円という時価総額を正当化するには、かなり良好な事業転換が必要だ。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の見方では、最初に問うべきことは、この会社が10年後も顧客に不可欠な仕事を提供し、その利益を株主のものにできるかである。システムサポートホールディングスは顧客の業務に深く入り、クラウドと基幹システムを結び付けている。顧客の仕事を理解した技術者の集団には価値があり、過去の利益成長にも十分な根拠がある。
しかし、優秀な人材がいることと、強固な経済的な堀があることは違う。競合が同じ基盤の認定資格を取り、顧客が複数社から見積もりを取れるなら、超過利益は競争にさらされる。ましてAIエージェントが構築やテストを代行すれば、従来より少ない人数で同じ結果が得られる。その生産性向上を顧客と提供者のどちらが受け取るかが、これからの価値を左右する。
資本を多く必要としないため、これまでは利益の増加が高いROEにつながってきた。一方、買収で技術者を増やし続ける方法には、買収価格に加えて教育費と組織統合費用がかかる。増分の投下資本利益率が資本コストを上回るかを、案件ごとに見る必要がある。買収後も営業利益が伸びている事実は評価できるが、買収を除いた増分利益を十分に分離できないため、その利回りを過大には評価しない。
オーナー利益の観点でも、純利益をすべて自由な現金と考えてはいけない。ソフトウェア開発、採用・教育、クラウド関連設備、買収への支出が続くからだ。他方、現金余力と増配の実績は下値を支える。事業の必要性は認められるが、10年後の請求方法と競争環境を確信できない以上、高い成長倍率を払うより安全域を求める会社だ。
何で稼ぐ会社か
収益の中心は、顧客企業が使うIT基盤を設計、構築し、動かし続ける仕事である。2026年6月期のクラウドインテグレーション事業は売上高約117億円、システムインテグレーション事業は約152億円だった。両者で全社売上の約87%を占め、クラウドの導入支援や受託開発に従事する技術者の工数が、利益を生み出す大きな源泉になっている。
クラウド分野ではServiceNow、AWS、Google Cloud、Microsoft Azureなどを扱う。ServiceNowは企業のIT業務やワークフローを統合する基盤で、導入後も顧客固有の設定変更や他システムとの接続が必要になる。AWSなどではクラウド環境の構築、移行、運用を支援する。クラウド事業の売上のうち約30.3%はライセンスなどの再販であり、技術者の工数に直接依存する導入支援とは経済性が異なる。
システムインテグレーション事業は、顧客の個別開発、ERP、データベース構築などを担う。売上構成は個別開発が約62%、ERPが約25%、データベース関連が約13%とされる。顧客の基幹業務に深く入り込むため一定の継続性はあるが、OracleやSAPのような基幹ソフトそのものを所有しているわけではない。開発・改修の作業量が減れば、契約の組み立ても変わる。
アウトソーシング事業は約24億円で、うち約79%がデータセンター関連である。約1050社の利用顧客を持つとされ、物理設備や運用体制を必要とするため、純粋な事務作業より置き換えにくい。残る運用・事務受託には工数削減の影響が及ぶ。プロダクト事業は約12億円で、建て役者、MOS、SHIFTEE、就業役者などを販売する。自社製品ではあるが、人が画面を操作する業務ソフトという性格が強い。
海外事業は約6億円とまだ小さく、足元ではほぼ損益均衡にある。全社としてはクラウド導入の専門性、基幹系開発、データセンター、自社製品が補完し合う。ただし、事業名を分けても、人の作業時間を売る部分と、他社のソフトウェアを販売する部分では、10年先に守れる収益が違う。
優良さと弱いところ
同社の優良さは、過去10年にわたる利益率の改善に表れている。売上高が約81億円から311億円へ増える間に、営業利益率は約2.5%から9.5%まで上がった。企業のクラウド移行という成長市場で経験を積み、技術者の稼働率と案件の採算を改善してきた成果と考えられる。2026年6月期の自己資本利益率26%も、資本を大きく必要としない事業の強さを示している。
ServiceNowでの長い取引実績、専門技術者約210人、約640の認定資格、120社超の導入実績は、競争上の優位を裏付ける材料だ。既存顧客の業務を理解し、複数のシステムを接続した経験は、初めて参入する会社が短期間で模倣しにくい。それでも、解約率5%未満、年単位の法定移行期間、独自データの蓄積、繰り返し成功した値上げなど、恒久的な堀を示す十分な定量証拠は確認できない。
一番の弱点は、顧客との関係と製品の所有を混同できないことである。ServiceNowやAWSの顧客は、それぞれの基盤を使い続けても、導入支援会社だけを乗り換えられる。AIエージェントが標準的な構築・保守作業を直接こなすようになれば、乗り換える必要すらなくなる業務も出てくる。技術力は高いが、それだけで価格を自由に決められる会社ではない。
財務は健全で、2026年6月期の純有利子負債はマイナス34億円だった。現金及び預金に含まれる長期性の定期預金も考慮すると、実質的な現金余力はさらに大きい。資金調達に追われず採用、教育、買収を続けられる点は明確な強みだ。一方、今の高い資本効率が、新たに積み上がる自己資本にも維持されるかは別問題である。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内ITサービス市場は2025年に約7兆5663億円で、2030年には約10兆2541億円に達するとのIDC Japanの見通しがある。クラウド市場も拡大しており、国内パブリッククラウド市場は2025年に約4兆4930億円と推計される。基幹システムの刷新、クラウドへの移行、データ活用、セキュリティ対策は、今後も企業が支出を続ける領域だ。需要そのものが消えるという見方ではない。
ただし、市場全体の支出額とITサービス会社が受け取る工数収入は同じではない。企業がAIエージェントで開発を自動化すれば、クラウド利用料や計算資源への支出が増えながら、外部技術者への発注時間は減り得る。同社自身も2026年公表の中期経営計画で、AIによる開発工程の効率化が工数型ビジネスに価格下落圧力を与える可能性を認めている。
同社の国内ITサービス相当売上は、市場全体の約0.3%にすぎないと試算される。クラウド再販売上も国内パブリッククラウド市場の約0.08%に相当するが、卸売・再販の売上とクラウド事業者の市場売上は定義が違い、正式なシェアではない。大手のNTTデータ、TIS、SCSK、BIPROGY、アクセンチュアなどに対し、同社は特定技術の専門性と機動力で競う立場にある。これら競合の同一サービス範囲に限った比較可能なシェアは開示から確定できない。
自社プロダクトでは、勤怠管理のKING OF TIMEやジョブカン、建設関連のANDPADなど、製品ごとに異なる競争相手がいる。国内の企業向けソフトウェア市場は2025年に約3兆円と推計されるが、同社製品の約12億円はそのごく一部である。市場全体に伸びしろがあっても、AIが操作画面を介さず処理を終えるようになれば、席数や画面利用を前提とする課金には逆風が吹く。
筆者が10年で重視するのは、国内IT投資総額の伸び率より、顧客が外注する作業量と同社の取り分の変化だ。データセンターの実運用やクラウド従量課金は需要を保ちやすい一方、設計書作成、コード生成、テスト、定型運用は急速に自動化される。市場が拡大しても、同社の従来型売上が同じ速さで増えるとは限らない。
資本政策と M&A
同社は2025年に持株会社体制へ移り、事業会社の専門性を高めながら買収も進めている。近年はコミュニケーション・プランニング、エコー・システムなどの取得や事業譲受によって、技術者と顧客基盤を広げた。2026年公表の中期経営計画では、2024年7月から2026年7月までに4件のM&Aを実施したと説明する。小規模企業の取得を通じた拡大は有効だが、取得した技術者の作業時間までAIで減るなら、買収時に期待した収益力は変わってしまう。
中期経営計画の2029年6月期目標は、売上高436.18億円、営業利益45.13億円、営業利益率10.3%、ROE25%以上である。2027年6月期からの株主還元については、連結配当性向40%以上と累進配当を掲げる。2027年6月期から2029年6月期までの成長投資関連費用は合計23億〜27億円を見込むが、M&Aの取得対価は別枠である。自社株買いの累計額や総還元性向についての確定的な数値目標はない。
過去には増配を続け、自社株買いも実施してきた。したがって余剰現金が全く株主に戻らない会社とは見ない。ただし、過去の配当性向は概ね3割台であり、取得案件への再投資も続くため、積み上がる現金の全額を株主価値として数えるのは慎重であるべきだ。今の強い財務を、AIによる事業転換への投資に使えるかが重要になる。
2026年10月時点で、同社自身を対象とする公表済みのTOB、MBO、上場廃止予定や継続企業の前提に関する注記は確認できない。大手IT企業による買収の対象になる可能性はあるが、確定した取引ではないため買収プレミアムを本質価値には含めない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
企業のクラウド移行は一時的な流行ではない。老朽化した基幹システムを更新し、業務データを安全に接続する仕事は、AIが普及するほど複雑になる可能性がある。ServiceNowの導入経験が豊富な同社は、単なるプログラミング作業から、顧客の業務設計と基盤全体の責任を引き受ける仕事へ進める。120社超の導入実績と専門技術者の厚みがあれば、既存顧客の追加開発や運用の高度化を受注する余地は大きい。
2026年6月期の営業利益率は9.5%に上がり、会社が示す2029年6月期の目標も10.3%である。これまでの増収は単なる人員増だけではなく、付加価値の高いクラウド案件への移行を伴ってきた。実務に強い技術者がAIを使えば、受注した仕事を少ない工数で終え、利益率を高められる可能性もある。顧客が完成した成果に対価を支払う契約へ変われば、生産性の改善を自社の利益として残せる。
加えて、クラウド従量課金の再販とデータセンターは、AIが人の作業を減らしても必ずしも縮小しない。計算資源の利用やシステム稼働の管理は続くため、工数収入から継続課金収入へ収益構成を移せるかもしれない。現金余力は十分で、技術者の採用・教育や小規模な買収にも耐えられる。急速な倒産リスクが低く、配当性向の引き上げも明示された。
この見方で重視するのは、AIそのものの販売が急増するという未確認の期待ではない。既存のクラウド導入技術と運用顧客を生かし、工数が減っても利益を守る契約へ移行できるかである。数量の大幅な増加を前提にしなくても、高度な案件への集中と継続課金の増加によって、現在を上回る利益を得る道は残る。
慎重な見方
現在の成長が続くほど、AIエージェントによる代替の影響を受ける収益も大きくなる。システム開発、クラウド導入、運用支援は、顧客の課題を解決する仕事であると同時に、人が費やす時間に依存して請求する仕事だ。AIが要件整理からテストまで連続して処理するなら、顧客は同じ成果のために従来の工数を買う必要がなくなる。単価の上昇だけで、その減少を補えるとは限らない。
ServiceNowやAWSとの関係は強みであっても、基盤そのものは同社の所有物ではない。海外ベンダーが導入・運用の自動化を製品に組み込むほど、従来パートナーが請求していた作業が製品料金の中へ吸収される。大手SI企業も同じ市場で自動化を進めるため、専門資格の数だけで高い利益率を守れるとは限らない。自社の業務ソフトも、利用者が画面を操作する前提の価値が変わる。
2026年6月期には、大型のクラウド再販案件が解約されたことが売上計画との差に影響した。売上の一部は限られた顧客や販売元の方針に左右される。買収によって人員と顧客を増やしても、取得した会社が同じように工数圧縮を受ければ、期待した利益が得られず、のれんや無形資産の減損につながる。高いROEも、事業規模が縮みながら自己資本だけが積み上がれば低下する。
会社は2029年までの成長計画で、AIによる工数型収益への価格圧力を自ら認めている。これは遠い将来の抽象的な懸念ではない。技術者の生産性が向上しても、顧客が節約分を享受する競争環境なら、売上と利益は別方向に動く。現金とデータセンターが残っても、現在の時価総額すべてを守る根拠にはならない。
どちらに重みを置いたか
事業の存続と財務の健全性では前向きな見方に説得力がある。しかし、現在の稼ぎ方を10年後まで延長できるという主張には慎重である。ServiceNowの専門性は評価するものの、独自の記録基盤や確かな値上げ力を持つ会社とはまだ言えない。中立の数量にはすでにAIによる工数減少を反映し、その同じ理由で資本コストや確率をさらに悪化させてはいない。下側の確率を相対的に厚くしたのは、大型再販契約の解約実績、海外ベンダーへの依存、買収後の収益維持という固有の不確実性があるためだ。高い資本効率は残り得るが、現在の価格に十分な安全域があるとは考えない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,413 円291 億円(+ 還元の換算額還元の合計 381 円79 億円)。 今の値に割り戻すと 971 円200 億円、今との差 −34.6%、 期待の年率 +2.2%(資本コスト 7.2%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 2,980 円614 億円 | 611 円126 億円 | +142.2% | +10.4% | 323 円67 億円 |
| やや楽観 | 20% | 2,177 円449 億円 | 509 円105 億円 | +81.1% | +6.9% | 537 円111 億円 |
| 中立 | 32% | 1,560 円322 億円 | 422 円87 億円 | +33.6% | +3.3% | 634 円131 億円 |
| やや悲観 | 25% | 727 円150 億円 | 277 円57 億円 | −32.3% | −4.4% | 251 円52 億円 |
| 悲観 | 14% | 204 円42 億円 | 146 円30 億円 | −76.4% | −15.8% | 49 円10 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,413 円291 億円 | 381 円79 億円 | +21.0% | +2.2% | 1,794 円370 億円 |
今の株価時価総額 1,483 円306 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 高度な導入支援と継続課金で利益を守る 利益 39 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,980 円614 億円
クラウド移行と基幹システムの刷新需要が続き、同社は複雑な業務設計とシステム連携に強い会社として地位を維持する。ServiceNowの技術者が顧客業務の深い部分を担い、単純な開発作業のAI自動化が進んでも、高度な案件の採算は改善する。SI事業でも、設計と品質保証の責任を負う仕事に集中することで、価格競争を一部避けられる。
クラウド従量課金とデータセンターの利用は増え、自社プロダクトは既存顧客への販売を守る。M&Aで取得した会社も無理に人員を膨らませず、専門技術と顧客関係を生かす。2036年の売上は約427億円で、2029年の会社目標と比べて大きくは増えないが、費用構造の改善により営業利益は約58億円に達する。高い利益率は製品独占ではなく、少ない作業時間で難しい案件を引き受ける実行力から生まれる。
これはAIエージェント自体の新製品売上が急増するという筋書きではない。自社AIエージェントの販売金額について十分な開示がないため、人月型の数量は現在を上限にとどめる。物理的な運用と従量課金を伴う部分が成長し、配当性向の引き上げも継続することで、事業の転換に成功する10年となる。
- クラウド導入・構築支援:数量 5,841(年間請求人月・推定)× 価格 0.02(1人月当たり売上・億円)→ 売上 110 億円・営業利益 21 億円。工数数量は現在と同じ。複雑な業務設計へ集中し採算を改善する。
- 他社クラウド業務ソフトのライセンス再販:数量 600(年間ライセンス契約相当口数・推定)× 価格 0.03(契約相当口数当たり年間売上・億円)→ 売上 21 億円・営業利益 2 億円。席・画面型の数量は増やさず、単価上昇を15%以内に抑える。
- クラウド利用料の従量課金再販:数量 675(クラウド従量課金の年間請求枠相当・推定)× 価格 0.05(請求枠相当当たり年間売上・億円)→ 売上 32 億円・営業利益 3 億円。クラウド利用量が増える。販売元との契約条件を維持できる。
- システムインテグレーション:数量 11,665(年間請求人月・推定)× 価格 0.02(1人月当たり売上・億円)→ 売上 203 億円・営業利益 22 億円。請求工数は現在が上限。高度な設計・統合案件への集中で採算が改善する。
- データセンター・インフラ運用:数量 1,365(年間利用契約企業数・推定)× 価格 0.02(1社当たり年間売上・億円)→ 売上 34 億円・営業利益 6 億円。契約企業数は約1.30倍となり、設備稼働率も高まる。
- 業務運用・アウトソーシング:数量 425(年間運用請求人月相当・推定)× 価格 0.02(1人月相当当たり売上・億円)→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。定型処理は自動化されるが高度な運用業務を維持する。
- 自社業務ソフト・プロダクト:数量 1,600(年間契約ID換算口数・推定)× 価格 0.01(契約ID換算口数当たり年間売上・億円)→ 売上 14 億円・営業利益 3 億円。契約ID換算数量は現在が上限。保守や機能改善で解約を防ぐ。
- 海外ITサービス:数量 370(年間請求人月相当・推定)× 価格 0.02(1人月相当当たり売上・億円)→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。既存の開発工数を維持し、海外の採算を改善する。
倍率:資本コストkは7.25%、2036年のROEは約15.7%。通常の堀としてRONIC=k+0.5×(ROE−k)を用いるが、全社のg_longをAIエージェント代替により0%としたため、正当化PER=(1−0÷RONIC)÷(0.0725−0)=13.7931倍となる。上限を追加で手加減しない。純利益38.59億円から現在の余剰現金10億円の税後利息0.14億円を控除し、PER評価に余剰現金の戻り方75%に当たる7.5億円を足す。
確率:既存の技術者が扱う案件を高度化し、AIによる工数圧縮後も利益率を大きく上げる必要がある。ServiceNowの実績と財務余力は支えになるが、成果報酬への転換を示す十分な売上開示はまだないため、実現確率は限定的とした。
やや楽観 20% 高付加価値化が工数減少をかなり補う 利益 27 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,177 円449 億円
クラウド導入支援とSIの市場では、AIによって標準的な構築や試験の作業時間が減る。顧客が発注する工数は少なくなるが、同社は複雑な業務連携に集中し、仕事の質を上げて収益を守る。ServiceNowの既存顧客から追加改修や運用高度化の案件を受け、クラウド事業は全体として高い利益率を維持する。
従量課金のクラウド利用とデータセンターは堅調に拡大する。自社プロダクトのID換算数量はわずかに減るが、既存顧客への継続提供で利益を確保する。SI事業の利益率も、技術者の教育と標準化によって現在より改善する。M&Aは小規模な技術獲得にとどめ、重い減損や多額の増資は避けられる。
2036年の売上は約366億円、営業利益は約41億円となる。2029年の目標から売上規模は縮むが、営業利益は比較的粘る。増配が続き、純現金の厚みも維持されるため、株主は事業の一部が自動化される中でも相応の利益を受け取れる。価格競争が激化し過ぎず、高付加価値案件を確保できた場合の姿である。
- クラウド導入・構築支援:数量 4,848(年間請求人月・推定)× 価格 0.02(1人月当たり売上・億円)→ 売上 91 億円・営業利益 15 億円。人月数量は現在の約0.83倍。専門案件への集中が進む。
- 他社クラウド業務ソフトのライセンス再販:数量 552(年間ライセンス契約相当口数・推定)× 価格 0.03(契約相当口数当たり年間売上・億円)→ 売上 19 億円・営業利益 2 億円。ID相当数量が約8%減る一方、単価は15%改善する。
- クラウド利用料の従量課金再販:数量 610(クラウド従量課金の年間請求枠相当・推定)× 価格 0.05(請求枠相当当たり年間売上・億円)→ 売上 28 億円・営業利益 2 億円。クラウド利用量の拡大と再販利幅の維持を見込む。
- システムインテグレーション:数量 9,915(年間請求人月・推定)× 価格 0.02(1人月当たり売上・億円)→ 売上 173 億円・営業利益 15 億円。請求工数は約0.85倍となるが、採算を改善する。
- データセンター・インフラ運用:数量 1,239(年間利用契約企業数・推定)× 価格 0.02(1社当たり年間売上・億円)→ 売上 31 億円・営業利益 5 億円。既存契約の拡大と設備の稼働率改善が続く。
- 業務運用・アウトソーシング:数量 349(年間運用請求人月相当・推定)× 価格 0.02(1人月相当当たり売上・億円)→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。業務自動化で数量は減るが、非定型運用が残る。
- 自社業務ソフト・プロダクト:数量 1,472(年間契約ID換算口数・推定)× 価格 0.01(契約ID換算口数当たり年間売上・億円)→ 売上 12 億円・営業利益 2 億円。ID換算数量は0.92倍。継続課金が下支えとなる。
- 海外ITサービス:数量 315(年間請求人月相当・推定)× 価格 0.02(1人月相当当たり売上・億円)→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。数量減少を単価と稼働率の改善で一部補う。
倍率:k=7.25%、2036年のROEは約12.4%。RONICは通常の堀としてkとROEの中間に収れんするとし、AIエージェント代替を織り込んだg_long=0%により正当化PERは13.7931倍となる。高付加価値化の上振れは2036年の利益額に反映し、倍率を上限から恣意的に割り引かない。純利益から余剰現金の税後利息0.14億円を除き、現金の株主への戻り方75%を別途加える。
確率:既存のクラウド技術と顧客基盤は持続力がある一方、成果報酬への全面転換を前提にするほどの証拠はない。工数が緩やかに縮み、従量課金と採算改善が相応に補う場合として評価した。
中立 32% AIで工数が縮み、クラウド運用が利益を支える 利益 19 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,560 円322 億円
企業は引き続きクラウド移行と基幹システム更新に投資する。しかし、要件整理、コード生成、試験、運用の標準作業をAIエージェントが実行するようになり、顧客が外部に発注する人月は減少する。クラウド導入支援は現在の約66%、SIは約64%の請求工数が残る。単価は人件費と物価を背景に上がるものの、売上総額を伸ばすには足りない。
ServiceNow関連では顧客固有の業務を理解する仕事が残り、複雑な連携案件の収益性は守られる。一方、ライセンスは利用席数の見直しを受ける。AWSなどの従量利用は増え、データセンターの契約企業数もほぼ維持されるが、これらの利益は人月収益の縮小をすべては埋められない。自社業務ソフトでも、画面の操作回数や契約ID数に応じた収益が細る。
2036年の売上は約288億円、営業利益は約28億円、純利益は約19億円となる。2029年の成長計画は一時的に実現しても、その後の収益構造転換で規模が縮む。配当性向40%以上の方針に沿って還元を続けるため自己資本は積み上がるが、利益が横ばいに近くなることでROEは1桁台へ低下する。会社は存続し、利益も出すが、過去10年と同じ速度では価値を増やせない。
- クラウド導入・構築支援:数量 3,855(年間請求人月・推定)× 価格 0.02(1人月当たり売上・億円)→ 売上 72 億円・営業利益 10 億円。AIエージェント代替で数量0.66倍、単価は物価相当の1.34倍。
- 他社クラウド業務ソフトのライセンス再販:数量 480(年間ライセンス契約相当口数・推定)× 価格 0.03(契約相当口数当たり年間売上・億円)→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。席・画面型の数量0.80倍、単価1.09倍。
- クラウド利用料の従量課金再販:数量 525(クラウド従量課金の年間請求枠相当・推定)× 価格 0.05(請求枠相当当たり年間売上・億円)→ 売上 24 億円・営業利益 2 億円。クラウド消費量1.05倍、単価は物価に近い1.32倍。
- システムインテグレーション:数量 7,466(年間請求人月・推定)× 価格 0.02(1人月当たり売上・億円)→ 売上 129 億円・営業利益 9 億円。AIによる開発工数の圧縮で数量0.64倍、単価1.33倍。
- データセンター・インフラ運用:数量 1,082(年間利用契約企業数・推定)× 価格 0.02(1社当たり年間売上・億円)→ 売上 27 億円・営業利益 4 億円。顧客数は微増。設備更新費用を考慮し利益率は慎重に見る。
- 業務運用・アウトソーシング:数量 276(年間運用請求人月相当・推定)× 価格 0.02(1人月相当当たり売上・億円)→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。定型業務の自動化で数量0.65倍、単価1.30倍。
- 自社業務ソフト・プロダクト:数量 1,280(年間契約ID換算口数・推定)× 価格 0.01(契約ID換算口数当たり年間売上・億円)→ 売上 11 億円・営業利益 2 億円。AIによる画面操作の代替で数量0.80倍、単価1.11倍。
- 海外ITサービス:数量 241(年間請求人月相当・推定)× 価格 0.02(1人月相当当たり売上・億円)→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。海外の工数数量0.65倍、単価1.30倍。
倍率:k=7.25%、中立ROEは18.84÷197.9で約9.5%。通常の堀としてRONIC=7.25%+0.5×(9.5%−7.25%)で約8.4%。AIエージェント代替により2036年以降のg_long=0%としたため、正当化PER=(1−0÷RONIC)÷(7.25%−0)=13.7931倍。中立の倍率は式の上限そのものとし、追加の主観的な割引はしない。純利益18.84億円から余剰現金10億円の税後利息0.14億円を除き、余剰現金の株主への戻り方75%に相当する7.5億円を足す。
確率:会社の専門性と市場の成長は認めつつ、開発・導入の請求工数をAIエージェント代替の指定範囲内に収めた中心シナリオ。数量の減少をさらに確率で二重に引かず、従量課金とデータセンターが一部を補うとした。
やや悲観 25% 発注工数と再販契約がともに細る 利益 9 億円 · PER 12.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 727 円150 億円
クラウド移行の需要は続くが、大手ソフトウェア会社が導入や運用を標準機能として提供するようになる。システム開発では競合が自動化による低価格提案を広げ、同社の請求工数は現在の半分前後まで減る。ServiceNowの経験が残っても、案件を受注するには価格を抑える必要があり、かつての専門性だけでは利益率を守れない。
再販では大型契約の更新を取り逃し、ライセンスの利用席数も減る。自社製品は一部顧客を維持するものの、画面を直接操作しない業務の広がりで新規獲得が難しくなる。データセンターは比較的安定するが、設備更新と運用費用が利益を圧迫する。M&Aで取得した事業も高い成長を続けられず、買収の効果は限定的になる。
2036年の売上は約200億円、営業利益は約13億円へ低下する。採用・教育費、営業体制、本社費などは売上と同じ速度では減らないため、利益率も縮む。会社は財務余力によって存続できるが、増配を続ける余地は狭まり、還元は利益の減少に合わせて縮小する。高成長企業から、縮小市場の中で顧客を守る企業へ姿を変える10年となる。
- クラウド導入・構築支援:数量 2,804(年間請求人月・推定)× 価格 0.02(1人月当たり売上・億円)→ 売上 47 億円・営業利益 5 億円。工数数量0.48倍。値上げの一部は競争で失われる。
- 他社クラウド業務ソフトのライセンス再販:数量 384(年間ライセンス契約相当口数・推定)× 価格 0.03(契約相当口数当たり年間売上・億円)→ 売上 12 億円・営業利益 1 億円。席数0.64倍、単価は横ばい。
- クラウド利用料の従量課金再販:数量 400(クラウド従量課金の年間請求枠相当・推定)× 価格 0.04(請求枠相当当たり年間売上・億円)→ 売上 17 億円・営業利益 1 億円。利用量の減少と販売手数料の圧縮を受ける。
- システムインテグレーション:数量 5,599(年間請求人月・推定)× 価格 0.02(1人月当たり売上・億円)→ 売上 87 億円・営業利益 4 億円。発注工数0.48倍。価格競争で利益率も低下する。
- データセンター・インフラ運用:数量 998(年間利用契約企業数・推定)× 価格 0.02(1社当たり年間売上・億円)→ 売上 23 億円・営業利益 3 億円。顧客をおおむね維持するが、更新費用が重い。
- 業務運用・アウトソーシング:数量 221(年間運用請求人月相当・推定)× 価格 0.01(1人月相当当たり売上・億円)→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。運用の定型業務が縮小し、採算も悪化する。
- 自社業務ソフト・プロダクト:数量 1,088(年間契約ID換算口数・推定)× 価格 0.01(契約ID換算口数当たり年間売上・億円)→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。契約ID換算数量0.68倍。値上げ余地も乏しい。
- 海外ITサービス:数量 192(年間請求人月相当・推定)× 価格 0.02(1人月相当当たり売上・億円)→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。数量減少で固定費を回収できず、営業赤字となる。
倍率:2036年のROEは約5.5%でk=7.25%を下回るため、追加投資による価値創造は期待せず、稼ぐ力の上限1÷k=13.79倍を超えない。顧客離反と工数価格の低下で収益が再び縮む余地を考慮して、やや悲観はPER12倍とする。余剰現金10億円は指定の0.75倍相当まで減り、7.5億円の税後利息0.105億円を純利益から控除した後、戻り方75%相当を加える。稼ぐ力による値は現時点の換価可能資産の床42億円を上回る。
確率:下に寄せる理由:2026年に大型再販案件の解約が生じたこと、クラウド基盤を海外ベンダーが所有していること、買収した事業の収益維持が未確定なことを重視した。中立にはすでにAIによる工数減少を入れているため、ここでは顧客離反と競争激化の追加的影響を評価する。
悲観 14% 受託開発の経済性を失い、換価可能資産が下値となる 利益 −4 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 204 円42 億円
企業向けAIエージェントが設計、実装、試験、運用を横断して実行するようになり、受託開発の請求工数は現在の3分の1程度に減る。大手クラウドベンダーは導入と運用の自動化を進め、同社の専門技術者が担当していた作業を自社サービスへ取り込む。顧客が必要とする技術支援は残っても、それを従来の工数と単価で販売できなくなる。
システム開発とクラウド導入支援の固定費を十分に減らせず、両事業は赤字へ転じる。再販契約は大口顧客を失い、自社業務ソフトでもID数と単価の双方が下がる。データセンターには物理的な運用需要が残るが、設備更新費と価格競争で利益は薄い。買収先の収益力も落ち、のれんや開発資産には減損圧力がかかる。
2036年の売上は約121億円、営業損益は約5億円の赤字となる。短期の増配方針は維持できず、配当は削減または停止される。現時点で積み上げた金融資産と換価可能な事業資産が企業価値の中心となり、もはや成長企業としては評価できない。悲観時の価値は、10年間に増えた帳簿上の自己資本ではなく、今売却できる資産を保守的に評価した額で考える。
- クラウド導入・構築支援:数量 1,869(年間請求人月・推定)× 価格 0.01(1人月当たり売上・億円)→ 売上 27 億円・営業利益 −1 億円。工数数量0.32倍。人員・管理費の固定負担が残り赤字になる。
- 他社クラウド業務ソフトのライセンス再販:数量 228(年間ライセンス契約相当口数・推定)× 価格 0.03(契約相当口数当たり年間売上・億円)→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。席数0.38倍、単価0.88倍。再販利益はほぼ消える。
- クラウド利用料の従量課金再販:数量 230(クラウド従量課金の年間請求枠相当・推定)× 価格 0.04(請求枠相当当たり年間売上・億円)→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。大口顧客を失い、クラウド従量課金も縮む。
- システムインテグレーション:数量 3,966(年間請求人月・推定)× 価格 0.01(1人月当たり売上・億円)→ 売上 57 億円・営業利益 −3 億円。請求工数0.34倍。既存の管理体制を支えられなくなる。
- データセンター・インフラ運用:数量 756(年間利用契約企業数・推定)× 価格 0.02(1社当たり年間売上・億円)→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。物理設備の需要は残るが、顧客離反と更新費で採算が落ちる。
- 業務運用・アウトソーシング:数量 106(年間運用請求人月相当・推定)× 価格 0.01(1人月相当当たり売上・億円)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。定型事務・運用業務が大部分自動化される。
- 自社業務ソフト・プロダクト:数量 688(年間契約ID換算口数・推定)× 価格 0.01(契約ID換算口数当たり年間売上・億円)→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。契約ID換算数量0.43倍、単価0.90倍。保守固定費が残る。
- 海外ITサービス:数量 111(年間請求人月相当・推定)× 価格 0.02(1人月相当当たり売上・億円)→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。海外の受託開発が縮み、撤退・再編費用の負担が重い。
倍率:2036年の営業・純損益は赤字であり、利益にPERを掛ける方法では存続事業の価値を適切に表せない。現在の自己資本71.9億円を基準に、のれん5.5億円、ソフトウェア・開発関連無形資産約5.1億円、繰延税金資産約7.2億円、売掛金等の回収・換価に伴う減額約6.1億円、閉鎖・整理費用約6億円を控除し、換価可能価値約42億円を見込む。したがって現在の自己資本71.9億円に対する約0.5841倍を悲観の床とする。2036年まで利益を留保して増えた自己資本77.9億円にはこのPBRを掛けない。
確率:AIエージェントが開発・運用の標準作業を広く代替し、加えて主要顧客の離反、再販条件の悪化、買収事業の減損が重なる場合である。現時点では十分な純現金があり即時の経営破綻は中心的な懸念ではないため、事業の損失と資産の換価可能額を区別した。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
クラウド導入・構築支援
ServiceNow、AWS、Google Cloud、Azureなどの設計、移行、設定、連携開発、運用支援を技術者の工数で提供する。AIエージェント代替では人月・工数型に分類する。
| 数量年間請求人月・推定 | 価格1人月当たり売上・億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 5,841 | 0.01 | 82 | 13 |
| 10 年後 中立 | 3,855 | 0.02 | 72 | 10 |
取り方:会社開示のクラウドインテグレーション売上117.3338億円から、フィスコが示す再販比率30.3%相当の35.5518億円を除いた81.782億円を工数収益相当とした。請求人月の実数は未開示のため、1人月140万円程度を仮定して5841人月へ換算した。営業利益13.399億円はクラウド事業営業利益15.918億円を導入支援と再販へ按分した分析上の推定であり、会社開示の内訳ではない。国内ITサービス市場7兆5663億円に対する相当売上比率は約0.11%だが、市場定義が異なるため正式なシェアではない。AIエージェント代替の工数型に分類し、中立数量は10年で0.66倍、価格は1.34倍とする。
他社クラウド業務ソフトのライセンス再販
ServiceNowなど他社の業務ソフトの利用契約を顧客へ提供する。利用IDや画面操作の価値がAIエージェントに置き換わり得るため、席課金・画面型として評価する。
| 数量年間ライセンス契約相当口数・推定 | 価格契約相当口数当たり年間売上・億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 600 | 0.03 | 18 | 2 |
| 10 年後 中立 | 480 | 0.03 | 16 | 1 |
取り方:クラウド事業の再販売上35.5518億円には、ServiceNow等の席・機能ライセンスとAWS等の従量利用料が混在する。両者の売上内訳は公表されていないため、ライセンスを18.0億円、従量課金を17.5518億円に分けた分析上の仮置きである。年間300万円の契約相当口数600は顧客600社という意味ではない。利益も再販収益の中で仮配分した。ServiceNow等の最終顧客向け契約に独自の記録基盤を同社が所有する証拠はなく、AIエージェント代替の席課金型とし、中立数量0.80倍、単価1.09倍、強気でも数量1.0倍を上限にする。
クラウド利用料の従量課金再販
AWS、Google Cloud、Azureなどのクラウド計算資源や利用量に連動する再販収入である。人月・席課金とは区別し、利用量と販売元から得られる利幅を重視する。
| 数量クラウド従量課金の年間請求枠相当・推定 | 価格請求枠相当当たり年間売上・億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 500 | 0.04 | 18 | 1 |
| 10 年後 中立 | 525 | 0.05 | 24 | 2 |
取り方:クラウド事業の再販売上35.5518億円から、推定ライセンス売上18億円を控除した17.5518億円を従量課金型と仮定した。年間約351万円の請求枠相当500は実際の契約口数や利用企業数の開示ではなく、数量と単価を分離するための推計単位である。国内パブリッククラウド市場2025年約4兆4930億円に対して同社再販全体は約0.08%相当だが、卸売と小売の定義が異なる。AIエージェント代替は工数ではなくクラウド消費量への影響として扱い、従量課金部分に席課金の数量制限を機械的には適用しない。
システムインテグレーション
個別業務システムの開発、ERP導入・改修、データベースの設計構築などを担う主力受託開発事業。AIエージェント代替では人月・工数型に分類する。
| 数量年間請求人月・推定 | 価格1人月当たり売上・億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 11,665 | 0.01 | 152 | 9 |
| 10 年後 中立 | 7,466 | 0.02 | 129 | 9 |
取り方:2026年6月期の会社開示のシステムインテグレーション売上151.6485億円とセグメント営業利益8.7268億円を使用。実請求人月と顧客別単価は未開示のため、年間1万1665人月、1人月約130万円を仮定した。フィスコの内訳は個別開発62%、ERP25%、データベース13%。国内ITサービス市場に対する売上相当比率は約0.20%で、狭義の受託開発シェアではない。顧客の正本データはSAPやOracle等のシステム上にあり同社固有の堀ではないため、中立数量0.64倍、単価1.33倍とする。
データセンター・インフラ運用
データセンターの設備と継続運用を提供する。物理的な稼働や安全管理が必要なため、事務作業のAIエージェント代替とは分けて考える。
| 数量年間利用契約企業数・推定 | 価格1社当たり年間売上・億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 1,050 | 0.02 | 19 | 3 |
| 10 年後 中立 | 1,082 | 0.02 | 27 | 4 |
取り方:会社開示のアウトソーシング事業売上24.4544億円に、フィスコが示すデータセンター関連比率79.1%を掛け、約19.3434億円と推定した。顧客約1050社という報道値から1社当たり年間約184万円に換算した。利益3.1億円は事業全体の営業利益3.5947億円からの分析上の配分であり、会社が開示したデータセンター単独利益ではない。設備容量やラック数が公表されていないため顧客数を実質数量とし、中立は10年で約1.03倍とする。
業務運用・アウトソーシング
データセンター以外の運用保守、業務処理支援などを提供する。定型的な作業が多く、AIエージェント代替ではBPO・工数型に分類する。
| 数量年間運用請求人月相当・推定 | 価格1人月相当当たり売上・億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 425 | 0.01 | 5 | 0 |
| 10 年後 中立 | 276 | 0.02 | 4 | 0 |
取り方:アウトソーシング事業売上24.4544億円からデータセンター相当79.1%を控除して約5.111億円とした。年間425人月、1人月約120万円という数量・価格は分析上の推定であり、実際の契約人数ではない。営業利益も同事業の残余利益として配分した。中立数量はAIエージェントによる運用・定型処理の省力化を反映して0.65倍、単価は1.30倍とする。
自社業務ソフト・プロダクト
建て役者、MOS、SHIFTEE、就業役者などの製品を提供する。自社製品だが、利用者の画面操作やID数に価値が結び付く部分があり、AIエージェント代替では席課金・画面型に分類する。
| 数量年間契約ID換算口数・推定 | 価格契約ID換算口数当たり年間売上・億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 1,600 | 0.01 | 12 | 2 |
| 10 年後 中立 | 1,280 | 0.01 | 11 | 2 |
取り方:2026年6月期の会社開示プロダクト事業売上11.9112億円と営業利益2.0474億円を使用。継続課金収入はフィスコ報道で約6.92億円。製品横断の有料契約数・平均単価は非開示のため、年間約74万円の契約ID換算1600口を仮定した。これは実ユーザー数を示さない。2025年の国内企業向けソフトウェア市場約3兆23億円に対して売上相当比率は約0.04%だが、個別製品の競争市場はこれより狭い。中立数量0.80倍、単価1.11倍、強気でも数量1.0倍を上限とする。
海外ITサービス
海外拠点でのシステム開発・技術支援を行う。現状の事業規模は小さく、人月型開発のAI代替と採算改善の双方を見る。
| 数量年間請求人月相当・推定 | 価格1人月相当当たり売上・億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 370 | 0.02 | 6 | 0 |
| 10 年後 中立 | 241 | 0.02 | 5 | 0 |
取り方:2026年6月期の会社開示の海外事業売上5.5693億円と営業損失0.0581億円を使用。実際の請求人月は非開示のため370人月相当、単価約151万円とする分析上の換算である。国内の下請けではなく海外顧客・拠点の事業だが、開発・支援を人の工数で売る構造は同じため、中立数量0.65倍、単価1.30倍とした。
リスクと懸念
AIエージェント代替による人月・工数収益の縮小
クラウド導入、システム開発、運用受託、海外開発は、人が作業した時間を売る性格が強い。AIエージェントが要件整理から実装、試験、保守まで遂行するようになれば、顧客に必要な外注工数が減る。会社がAIを使って生産性を上げても、顧客が発注工数を減らせば売上は増えない。中立では工数数量を10年で概ね0.64〜0.66倍とし、2036年より先の名目成長率も0%とした。
海外プラットフォームへの依存
ServiceNow、AWS、Google Cloud、Microsoft Azureとの関係は受注の源泉である一方、価格、製品機能、販売制度を最終的に決めるのは基盤の所有者である。各社が導入自動化を標準機能として提供し、直接販売やパートナー制度の変更を進めれば、同社の役割と手数料が細る。クラウドに精通していることと、そのクラウドの経済的利益を支配していることは違う。
大型顧客・再販契約の解約
2026年6月期には大型再販案件の解約が売上計画に影響した。再販収益は利用が継続すれば安定するが、契約の一件当たり金額が大きいほど解約時の影響も大きい。技術者が提供する導入支援と異なり、再販売上は顧客が利用を止めれば急速に消える。継続課金という言葉だけで、解約率が低いと推定すべきではない。
高ROEの低下と買収資産の減損
過去の高いROEは、資本をあまり必要とせず利益を増やしてきた結果である。今後も配当以外の利益を留保し、買収やソフトウェア開発に投じれば自己資本は増える。一方、AIによる工数圧縮で利益が横ばいになれば、ROEは下がる。買収先の事業が同じ構造変化に直面した場合には、のれんや開発資産の減損がさらに重なる。
技術者の採用・教育と組織の固定費
2026年6月期末の従業員は約1992人であり、中期経営計画では2029年に約2461人へ増やす構想がある。人材の確保は当面の受注能力を高めるが、工数需要が減り始めた時には固定費になる。高度な設計業務へ移れる技術者と、標準的な作業を主に担当する技術者では価値が変わる。採用人数だけでなく、付加価値と稼働率を見る必要がある。
自社業務ソフトの操作画面・席課金の弱体化
建て役者、MOS、SHIFTEE、就業役者などの自社製品は、導入先の業務を理解した製品である。しかし、利用者が画面を開いて入力することを前提とした機能は、AIエージェントが裏側で直接処理するようになると価値が変わる。独自の正本データや法令対応による強い拘束力が十分に確認できないため、中立では契約ID換算数量と実質単価の双方に圧力を反映した。
データセンター更新投資と金融資産の使途
データセンターは同社の収益の中では相対的に置き換えられにくいが、設備更新、電力費、安全対策、賃料などの固定支出が続く。現状の純現金をすべて余剰資産として配当可能と考えることはできない。買収や設備更新へ資金を使った場合、その投資から資本コスト以上の利益が生まれなければ、帳簿上の資産が増えても株主の価値は増えない。
今後の分かれ目
- ServiceNowなどの導入契約で、工数請求から成果・運用成果に応じた課金への転換が進み、実際の売上と利益が開示されたら
- クラウド導入支援の数量減少と長期成長率を再検討する。AIによる生産性改善を顧客だけでなく同社も利益として取り込める証拠になる。
- 2029年6月期の売上高436億円、営業利益45億円の計画を達成したら
- 短期の受注力と経営の実行力を再評価する。ただし2030年代の工数型収益を維持できる証拠とは分けて扱い、10年後の数量予測を自動的には引き上げない。
- クラウド再販の解約が続き、販売元の契約条件や販売手数料率が悪化したら
- ライセンス・従量課金部分の数量と利益率を下げる。顧客との接点を持つ優位が、継続的な経済的利益として残らない可能性を重く見る。
- データセンターの顧客数と顧客当たり継続売上が増え、設備更新後も高い利益率を維持したら
- 工数に依存しない利益の比率を高く見積もる。物理的な運用収益が全社の下値を支える根拠になり、やや楽観側の価値を引き上げる。
- 買収事業の営業利益が伸びず、のれんや開発資産に大幅な減損が生じたら
- 増分の投下資本利益率が資本コストに届かない兆候と判断する。成長を買収で補う前提を弱め、悲観側の確率を見直す。
- 連結配当性向40%以上と累進配当の方針に加え、継続的な自社株買いによって余剰資金の株主還元が明確になったら
- 株主へ戻る余剰現金の割合を75%から引き上げることを検討する。ただし事業利益の成長予測と同じ資金を二重に数えない。
見ておくもの
- クラウドインテグレーションの売上に占める導入・構築工数と再販収益の比率
- ServiceNowの専門技術者数、認定資格数、導入企業数、新規受注と顧客継続率
- クラウド再販の大型顧客解約件数、販売手数料率、従量課金の継続売上
- システムインテグレーションの請求人月、平均単価、技術者稼働率、成果報酬契約の売上
- AIエージェントを活用したサービスの受注金額と、顧客が削減した開発工数
- データセンターの利用顧客数、顧客当たり年間売上、更新投資と利益率
- 建て役者、MOS、SHIFTEE、就業役者の有料契約数、解約率、継続課金売上
- 買収先別の営業利益、のれん残高、投資後の増分ROIC
- 2029年6月期の売上436.18億円、営業利益45.13億円、ROE25%以上の達成状況
- 連結配当性向40%以上の実行、自己株式数の実際の変化、現金及び定期預金の推移
倍率と資本コストの決め方
現在の時価総額約323億円や過去の市場PERを見て10年後の利益を決めていない。2026年6月期の5事業を、工数型導入支援、ライセンス型再販、従量課金型再販、SI、データセンター、BPO、自社製品、海外開発の8つに分けた。会社が開示していない人月・契約口数や再販内訳は推計であることを明示し、実質数量と名目単価を分離した。中立のAIエージェント代替による縮小は工数数量とg_long=0%に反映し、資本コストの寿命項目や確率で同じ理由を重ねて引いていない。中立から楽観のPERはk=7.25%と長期成長率0%による正当化上限13.7931倍そのものとし、市場倍率による調整を行わない。悲観は将来の留保利益で増えた自己資本にPBRを掛けず、現在の自己資本からのれん・無形資産・繰延税金資産と換価費用を控除して42億円の床を検算した。日本基準の新リース会計基準で将来の貸借対照表の形が変わっても、10年の営業利益は現状と比較可能な賃借費用込みの経済実態で考える。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%を合計した基本7.5%から、純現金による財務上の強み0.25ポイントだけを控除した。βや時価総額の小ささによる上乗せは行わず、M&Aや販売元への依存は筋書きと確率で扱う。