結論
オークネットは、中古車・中古スマホ・ブランド品の売り手と買い手を引き合わせる会員制オークションの運営会社だ。商品は持たず、取引のたびに手数料を取る。2025 年 12 月期は 6 年連続の増収増益で、営業利益は 95 億円だった。
筆者の結論は「事業は良いが、今の値段は 10 年先の成長を先に払っている」だ。10 年後の本質価値は、今の時価総額を 1 割強下回るとみる。
稼ぎの源は単純だ。取引が 1 件成立するたびに手数料が入る。固定費は軽く、純現金が約 230 億円ある。最近は台数が伸び、中計の目標は 2 年早く達成した。
ただ、伸びの一部は一時的だ。中古スマホは学校に配った GIGA 端末の戻りが押し上げている。この波は数年で引く。中古車は最大手の USS が圧倒的で、オークネットは 1 割ほどのシェアを取りに行っている。
10 年で営業利益は 1.9 倍、年 6% ほどで伸びると置いた。物価の上昇と、シェアの伸びで説明できる範囲だ。高い ROE は、現金を配当と自社株買いで戻し続ける前提で保たれる。
気になる点は 2 つある。商品の相場に利益が左右されること。そして、創業家系の会社が株の約半分を握っていることだ。後者は安定にもなるが、少数株主に不利な決定もしやすい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で見るべき点は 3 つある。
1 つめは、堀だ。ブランド品のオークションは会員と出品が集まる場で、堀は浅くない。だが中古車は最大手の USS が 4 倍の規模で、検査の信用で追う立場だ。スマホは GIGA 端末の戻りという一時的な追い風が混じる。全体で見て、堀は「普通」にとどめる。
2 つめは、オーナーに残る利益だ。この会社は設備投資が軽い。利益の大半が配当と自社株買いに回せる。純現金があるため、借金のリスクもない。これは魅力だ。
3 つめは、払う値段だ。10 年の利益の伸びは物価とシェアで説明できる範囲にある。それでも、今の時価総額は、中立の筋書きの 10 年後を割り引いた価値を上回る。会社が悪いのではなく、値段が先に走っている。
上振れは、ブランド品の海外需要と、中古車のシェア拡大が両方進む場合だ。下振れは、オークションを通さない直接取引が広がる場合だ。安全域は今の値段にはない。
何で稼ぐ会社か
事業は 4 つに分かれる。どれも「会員が集まる場」を運営し、成約のたびに手数料を取る形だ。
中古車(モビリティ&エネルギー)は最大の柱で、会員は約 1.6 万。中古車販売店が仕入れの場として使う。出品車を検査して状態を点数にし、写真と一緒に出す。検査は年 158 万台で、5 年連続の過去最高だ。この検査の信用が、買い手の安心になっている。バイクも同じ仕組みで小さく併走している。
デジタルプロダクツは、中古のスマホやタブレットを集めて国内外の事業者に売る。携帯会社の下取り品や、学校が返す GIGA 端末が供給源になる。流通台数は 2025 年に 254 万台で、前年の 5 割増だった。
ファッションリセールは、ブランド品の法人間オークションだ。古物商が出品し、国内外の会員が買う。成約点数は約 96 万点、会員は約 6,900 に増えた。ここは手数料の利益率が高い。
最後に個人向けがある。ブランド品を個人から買い取り、通販と店舗で売る。2025 年に買収したブランディアを中心に、2 社を「サークラックス」として統合した。法人間の取引に比べて利益は薄い。
この 4 つを合わせた取扱高は約 7,400 億円。売上の約 7 割は、ブランド品とスマホを扱うライフスタイルプロダクツから来る。利益の面では、中古車が約 3 割、ブランド・スマホが 7 割だ。
優良さと弱いところ
強みは「検査」と「会員のネットワーク」だ。出品物を自社で検査して状態を保証するから、買い手は現物を見ずに入札できる。買い手が増えれば高く売れ、売り手が増える。この循環は、一度回り出すと後発が崩しにくい。
ただし、堀の深さは事業で違う。中古車は USS が成約 229 万台と、オークネットの 4 倍ある。会場型の最大手と、検査とネットで追うオークネットでは、規模の差が埋まらない。筆者はここを「強い堀」とは呼ばない。
ブランド品の法人間オークションは、会員が 17% 増え、手数料の見直しで収益性も上がった。ここは堀が相対的に深い。
弱点は、取扱品の相場に利益が左右される点だ。中古スマホは新品の価格やメモリーの値動き、中古車は新車の供給に影響される。個人向けは、インバウンドと関税の影響を受ける。
資本の使い方は評価できる。配当性向を 50% 以上へ引き上げ、2025 年は自社株買いも実施した。総還元性向は 100% を超える。一方、買収は慎重で、前の中計では予算を使い切れなかった。ROE は 20% 台で、軽い資産が理由だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の中古車オートオークションは、成約が年 540 万台ほどの成熟市場だ。人口は減るが、中古車の流通は底堅い。2026 年の上期は、市場全体の成約が前年比で 3〜4% 伸びた。オークネットの 2026 年上期の成約は 13% 伸び、市場より速い。
競争の形は、会場型の最大手 USS、ほかの会場、そしてネットだ。新車ディーラーの下取り車を直接販売する動きや、買取店がネットで直接販売する動きも広がる。オークションを通さない取引が増えれば、場の価値は薄れる。
中古スマホは、成長の速い市場だ。MM 総研によると、2025 年度の販売は約 361 万台で 7 年連続の過去最高。2029 年度には 500 万台を超える見込みだ。新品の価格上昇が追い風になっている。ただし、オークネットの流通台数は海外向けの転売を含み、国内の販売台数とは同じ土俵で比べにくい。キャリアが自前の認定中古に回す動きとは競合する。
ブランド品の二次流通は、インバウンドと海外の買い手が支える。メルカリやコメ兵など個人向けの場は増えたが、法人間のオークションは別の層で、需要は安定している。
10 年の構図は、国内の台数は横ばいに近く、スマホとブランド品の海外需要で伸ばす形だ。物価は 10 年で約 1.34 倍になる。手数料の単価がこれに連動するかが分かれ目になる。
資本政策と M&A
還元は厚くなった。配当性向を 50% 以上へ引き上げ、2025 年 2 月には上限 45 億円の自社株買いを実施した。2026 年 8 月には特別配当を決め、年間の配当性向が約 95% に跳ね上がる。
特別配当の原資は、中計の M&A 予算 70 億円の半分だ。会社自身が「今は買う案件が乏しい」と認めた形になる。筆者はこの判断を良いものとみる。使い道のないお金を抱え込まず、株主に返した。
M&A は、前の中計でデファクトスタンダードと JOYLAB(2025 年 2 月)を買い、2025 年には yep の 50.89% を取得した。ブランディアの統合はこれから成果を問われる。
大株主は、創業家の資産管理会社だ。フレックスコーポレーションが約 39%、Blue Peak が約 10%(有価証券報告書の注記)。合わせて約 5 割で、安定株主として働く。この構成のため、第三者が仕掛ける TOB は現実味が薄い。現時点で TOB や親会社による買い付けの報道は確認できなかった。ただし 2008 年にファンドが関わる MBO で一度非公開になり、2017 年に再上場した経緯がある。
手元の現金は約 230 億円だが、約 200 億円はオークションの決済に使う運転資金として会社が確保している。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
オークネットは 10 年で、成約の「場」から「データと検査の基盤」に進化する。中古車は検査 178 万台を 2027 年に実現し、検査の点数が業界の共通言語になる。リース会社との提携や MOTA との連携で、仕入れの流れを押さえ、落札台数は 60 万台を超える。シェアは 11% から 14% に伸びる。
中古スマホは、GIGA 端末の戻りが終わっても、海外の買い手が増えて流通台数は 400 万台を超える。販売価格の上昇で 1 台あたりの手数料も物価を上回って伸びる。ブランド品は海外会員が拡大し、法人間の取扱高が今の 2 倍を超える。手数料の収益性も上がる。
個人向けは、ブランディアの統合で黒字が定着し、法人間と個人向けの在庫の融通が効いてくる。
資本の使い方も上々だ。配当性向 50% 以上を守り、自社株買いを重ねる。M&A は小さく、確実なものだけ。ROE は 30% を超える。GCV 1 兆円の長期目標にも手が届く。
この筋書きが成り立つのは、会員と検査という 2 つの資産が、売り手と買い手の両方を同時に引き寄せるからだ。取引が増えるほど、場の価値は上がる。
慎重な見方
強気の筋書きは、いくつもの前提が同時に成り立たないといけない。中古車は USS が圧倒的で、成約台数でオークネットの 4 倍ある。シェア 14% は、最大手が譲らない限り取れない。USS も同じ時期に出品を増やしている。
中古スマホの追い風は一時的だ。GIGA 端末の更新は 2025 年後半に始まったばかりで、戻りの波は数年で終わる。キャリアの直営の中古販売も力を付けており、法人間のオークションを通さなくなる。端末の価格は、半導体の値が下がれば落ちる。
個人向けは、ブランディアの統合に失敗する可能性もある。店舗閉鎖と関税、インバウンドの減少ですでに伸びが鈍っている。
さらに、会社の統治に懸念が残る。創業家系の会社が約 5 割を持つため、少数株主の声は届きにくい。M&A の予算を特別配当に回したことは、成長の道が乏しいことの裏返しでもある。
費用も重い。基幹システムの償却、人件費の上昇、約 1,100 人の従業員。売上が伸びても、営業利益率は上がりにくい。利益の山は、2026〜2027 年のあたりにある可能性が高い。
どちらに重みを置いたか
どちらの言い分にも根拠がある。事業の質は高く、強気の見方の方向は正しい。だが 10 年の確率では、慎重な見方の具体的な事実(USS の規模、GIGA の一時性、統治)の方が重い。
確率は、やや悲観と悲観を合わせて 37% とした。楽観とやや楽観の 32% より重い。中立は 31% で最大だ。
倍率は、中立で式の上限の 78% に置いた。利益の質が、相場と一時的な追い風に左右されるためだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/12 期)
確率で加重した株価時価総額 2,410 円2,218 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 637 円586 億円)。 今の値に割り戻すと 1,679 円1,545 億円、今との差 +21.9%、 期待の年率 +8.3%(資本コスト 7.0%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 4,763 円4,383 億円 | 1,032 円950 億円 | +320.6% | +15.4% | 580 円533 億円 |
| やや楽観 | 22% | 3,757 円3,457 億円 | 839 円772 億円 | +233.5% | +12.8% | 1,011 円930 億円 |
| 中立 | 31% | 2,962 円2,725 億円 | 699 円643 億円 | +165.6% | +10.3% | 1,135 円1,044 億円 |
| やや悲観 | 23% | 738 円679 億円 | 442 円407 億円 | −14.3% | −1.5% | 272 円250 億円 |
| 悲観 | 14% | 140 円129 億円 | 217 円200 億円 | −74.0% | −12.6% | 50 円46 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,410 円2,218 億円 | 637 円586 億円 | +121.1% | +8.3% | 3,047 円2,804 億円 |
今の株価時価総額 1,378 円1,268 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.0% を下回るほど割高。
楽観 10% 会員と検査の基盤が、中古車・スマホ・ブランド品の全部で効く 利益 184 億円 · PER 23.8 倍 · 株価時価総額 4,763 円4,383 億円
中古車は検査の信用が業界の標準になり、リース会社や MOTA との提携で仕入れを押さえる。落札台数は 78 万台、シェアは 14% に届く。
中古スマホは、GIGA 端末の戻りが終わっても海外の買い手が増え、流通台数は 420 万台に伸びる。ブランド品は海外会員が拡大し、手数料も物価を上回って上がる。個人向けは黒字が定着する。
営業利益は 277 億円、ROE は 3 割を超える。配当性向 50% 以上と自社株買いは守られ、M&A は小さく確実な案件に絞る。オークションの場そのものの価値が上がった 10 年になる。
- デジタルプロダクツ(中古スマホ等の法人間取引):数量 420(流通台数(万台))× 価格 8,540(1 台あたり売上(円))→ 売上 359 億円・営業利益 83 億円。スマホ等:流通台数(万台) 420 × 単価 8,540、営業利益率 23%
- ファッションリセール(ブランド品の法人間オークション):数量 150(成約点数(万点))× 価格 15,950(1 点あたり手数料収入(円))→ 売上 239 億円・営業利益 120 億円。ブランド品の法人間:成約点数(万点) 150 × 単価 15,950、営業利益率 50%
- 個人向け(ブランディア・店舗):数量 100(販売点数(万点))× 価格 42,000(1 点あたり販売額(円))→ 売上 420 億円・営業利益 34 億円。個人向け:販売点数(万点) 100 × 単価 42,000、営業利益率 8%
- モビリティ&エネルギー(中古車・バイクのオークション):数量 78.0(成約・落札台数(万台))× 価格 39,832(1 台あたり売上(円))→ 売上 311 億円・営業利益 75 億円。中古車・バイク:成約・落札台数(万台) 78 × 単価 39,832、営業利益率 24%
- その他(アグリ・サーキュラー・新規事業):数量 300(取扱高(億円))× 価格 0.30(売上化率(取扱高に対する売上の比))→ 売上 90 億円・営業利益 7 億円。アグリ等:取扱高(億円) 300 × 単価 0.3、営業利益率 8%
倍率:事業の純利益 184 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 34.7% が k 7.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 20.8%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 23.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 23.8 倍。全体の PER 23.77 倍、時価総額 4,383 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会員と検査という 2 つの資産が、中古車・スマホ・ブランド品の全部で同時にうまく働く必要がある。実現すれば大きいが、USS の規模や GIGA の一時性があり、1 割に抑えた。
やや楽観 22% 中古車のシェアが伸び、スマホとブランド品も海外で伸びる 利益 150 億円 · PER 23.1 倍 · 株価時価総額 3,757 円3,457 億円
中古車のシェアは 13% 前後に伸び、落札台数は 74 万台になる。検査の人員確保が進み、リース会社など仕入れの入り口も広がる。USS を抜くことはないが、差は少し縮まる。
スマホは GIGA 後も海外向けの手堅い需要で、流通台数は 380 万台を保つ。ブランド品の法人間取引は海外会員の増加で順調に伸び、手数料も物価を少し上回って上がる。個人向けは統合が進み、小さな黒字になる。
営業利益は 224 億円と、今の 2.4 倍になる。M&A は yep のような小さな案件が 2〜3 件で、大きな買収はない。還元は配当性向 50% 以上を維持し、ROE は 3 割近くを保つ。
- デジタルプロダクツ(中古スマホ等の法人間取引):数量 380(流通台数(万台))× 価格 8,235(1 台あたり売上(円))→ 売上 313 億円・営業利益 67 億円。スマホ等:流通台数(万台) 380 × 単価 8,235、営業利益率 22%
- ファッションリセール(ブランド品の法人間オークション):数量 138(成約点数(万点))× 価格 15,180(1 点あたり手数料収入(円))→ 売上 210 億円・営業利益 103 億円。ブランド品の法人間:成約点数(万点) 138 × 単価 15,180、営業利益率 49%
- 個人向け(ブランディア・店舗):数量 90.0(販売点数(万点))× 価格 41,100(1 点あたり販売額(円))→ 売上 370 億円・営業利益 22 億円。個人向け:販売点数(万点) 90 × 単価 41,100、営業利益率 6%
- モビリティ&エネルギー(中古車・バイクのオークション):数量 74.0(成約・落札台数(万台))× 価格 38,183(1 台あたり売上(円))→ 売上 283 億円・営業利益 65 億円。中古車・バイク:成約・落札台数(万台) 74 × 単価 38,183、営業利益率 23%
- その他(アグリ・サーキュラー・新規事業):数量 250(取扱高(億円))× 価格 0.30(売上化率(取扱高に対する売上の比))→ 売上 75 億円・営業利益 4 億円。アグリ等:取扱高(億円) 250 × 単価 0.3、営業利益率 5%
倍率:事業の純利益 150 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 29.2% が k 7.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 18.1%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 23.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 23.0 倍。全体の PER 23.05 倍、時価総額 3,446 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中古車のシェアが 13% 前後に伸び、スマホとブランド品も海外需要で伸びる筋書き。事業の実力から現実的な範囲で、2 割強を置いた。
中立 31% 手数料が物価並みに上がり、シェアはゆっくり伸びる 利益 119 億円 · PER 22.6 倍 · 株価時価総額 2,962 円2,725 億円
中古車の落札台数は 70 万台になる。シェアは 12% 前後と、ゆっくり伸びる。USS の規模は崩れず、検査とネットで着実に追う形だ。
中古スマホは GIGA の波が引いたあとも、流通台数は 340 万台に落ち着く。ブランド品の法人間取引は成約 125 万点で、手数料は物価並みに上がる。個人向けは 80 万点で、利益率は 4% とほぼ変わらない。
営業利益は 177 億円で、営業利益率は 16% 台。中計の 2027 年の水準を物価で伸ばした姿だ。配当性向は 50% 超を保ち、自己資本は 500 億円台にとどまる。ROE は 20% 台前半の高さを守る。
- デジタルプロダクツ(中古スマホ等の法人間取引):数量 340(流通台数(万台))× 価格 7,930(1 台あたり売上(円))→ 売上 270 億円・営業利益 54 億円。スマホ等:流通台数(万台) 340 × 単価 7,930、営業利益率 20%
- ファッションリセール(ブランド品の法人間オークション):数量 125(成約点数(万点))× 価格 14,740(1 点あたり手数料収入(円))→ 売上 184 億円・営業利益 88 億円。ブランド品の法人間:成約点数(万点) 125 × 単価 14,740、営業利益率 48%
- 個人向け(ブランディア・店舗):数量 80.0(販売点数(万点))× 価格 40,200(1 点あたり販売額(円))→ 売上 322 億円・営業利益 13 億円。個人向け:販売点数(万点) 80 × 単価 40,200、営業利益率 4%
- モビリティ&エネルギー(中古車・バイクのオークション):数量 70.0(成約・落札台数(万台))× 価格 36,810(1 台あたり売上(円))→ 売上 258 億円・営業利益 55 億円。中古車・バイク:成約・落札台数(万台) 70 × 単価 36,810、営業利益率 22%
- その他(アグリ・サーキュラー・新規事業):数量 200(取扱高(億円))× 価格 0.30(売上化率(取扱高に対する売上の比))→ 売上 60 億円・営業利益 2 億円。アグリ等:取扱高(億円) 200 × 単価 0.3、営業利益率 3%
倍率:事業の純利益 119 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 26.5% が k 7.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 16.7%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 22.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 22.6 倍。全体の PER 22.6 倍、時価総額 2,696 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:物価に連動して手数料が上がり、シェアは 11〜12% でゆっくり伸びる。中計の延長の落としどころとして最大の確率を置いた。
やや悲観 23% 中古車は足踏み、スマホは特需の反動で台数が減る 利益 57 億円 · PER 11.0 倍 · 株価時価総額 738 円679 億円
中古車のシェアは 10% 前後で足踏みし、落札台数は 62 万台どまり。ディーラーや買取店の直接販売が広がり、手数料の単価も物価に追いつかない。
スマホは GIGA の戻りが終わって、流通台数は 270 万台に減る。価格競争力を保つため、手数料率を下げざるを得ない。ブランド品の法人間取引は海外の需要が鈍り、成約は 100 万点にとどまる。個人向けは赤字が残る。
営業利益は 82 億円と、2025 年とあまり変わらない。名目の売上は伸びるが、人件費と償却の増加が利益を食う。ROE は 13% に落ち、資本コストを少し上回る程度になる。
- デジタルプロダクツ(中古スマホ等の法人間取引):数量 270(流通台数(万台))× 価格 7,015(1 台あたり売上(円))→ 売上 189 億円・営業利益 28 億円。スマホ等:流通台数(万台) 270 × 単価 7,015、営業利益率 15%
- ファッションリセール(ブランド品の法人間オークション):数量 100(成約点数(万点))× 価格 13,200(1 点あたり手数料収入(円))→ 売上 132 億円・営業利益 55 億円。ブランド品の法人間:成約点数(万点) 100 × 単価 13,200、営業利益率 42%
- 個人向け(ブランディア・店舗):数量 65.0(販売点数(万点))× 価格 36,000(1 点あたり販売額(円))→ 売上 234 億円・営業利益 0 億円。個人向け:販売点数(万点) 65 × 単価 36,000、営業利益率 0%
- モビリティ&エネルギー(中古車・バイクのオークション):数量 62.0(成約・落札台数(万台))× 価格 31,590(1 台あたり売上(円))→ 売上 196 億円・営業利益 33 億円。中古車・バイク:成約・落札台数(万台) 62 × 単価 31,590、営業利益率 17%
- その他(アグリ・サーキュラー・新規事業):数量 120(取扱高(億円))× 価格 0.28(売上化率(取扱高に対する売上の比))→ 売上 34 億円・営業利益 −1 億円。アグリ等:取扱高(億円) 120 × 単価 0.28、営業利益率 -2%
倍率:事業の純利益 57 億円・ROE 13%。RONIC ≒ 10.5%、g を 3% に落とすと式の上限は 14.3 倍。直接取引に押され利益の持続性が低い筋書きなので、上限を使わず稼ぐ力の側で 11.0 倍に置く。
確率:中古車はシェアが横ばい、スマホは GIGA が終わって台数が減る。個人向けは赤字が残る。事実として起こりやすい形で、2 割強を置いた。
悲観 14% 直接取引に押され、優良会社ではなくなる 利益 14 億円 · PER 9.5 倍 · 株価時価総額 140 円129 億円
中古車のオークションを通さない取引が広がり、USS との差も開く。落札台数は 55 万台で伸びず、手数料の単価も物価に追いつかない。検査の信用だけでは、買い手を引き留められなくなる。
スマホは学校端末の戻りが終わり、キャリアが自前の中古販売に回す。流通台数は 170 万台に減る。ブランド品の法人間取引は、メルカリなどの個人間の場に押されて成約が 75 万点にとどまる。個人向けは赤字が続く。
営業利益は 15 億円まで落ち、ROE は 3% 程度。優良会社とは言えない状態になる。会員と検査の仕組みは残るが、手数料を得る力は薄れる。費用は物価で上がるのに売上は伸びず、利益はほとんど残らない。
- デジタルプロダクツ(中古スマホ等の法人間取引):数量 170(流通台数(万台))× 価格 5,978(1 台あたり売上(円))→ 売上 102 億円・営業利益 8 億円。スマホ等:流通台数(万台) 170 × 単価 5,978、営業利益率 8%
- ファッションリセール(ブランド品の法人間オークション):数量 75.0(成約点数(万点))× 価格 11,550(1 点あたり手数料収入(円))→ 売上 87 億円・営業利益 26 億円。ブランド品の法人間:成約点数(万点) 75 × 単価 11,550、営業利益率 30%
- 個人向け(ブランディア・店舗):数量 50.0(販売点数(万点))× 価格 30,000(1 点あたり販売額(円))→ 売上 150 億円・営業利益 −3 億円。個人向け:販売点数(万点) 50 × 単価 30,000、営業利益率 -2%
- モビリティ&エネルギー(中古車・バイクのオークション):数量 55.0(成約・落札台数(万台))× 価格 27,470(1 台あたり売上(円))→ 売上 151 億円・営業利益 15 億円。中古車・バイク:成約・落札台数(万台) 55 × 単価 27,470、営業利益率 10%
- その他(アグリ・サーキュラー・新規事業):数量 100(取扱高(億円))× 価格 0.28(売上化率(取扱高に対する売上の比))→ 売上 28 億円・営業利益 −1 億円。アグリ等:取扱高(億円) 100 × 単価 0.28、営業利益率 -5%
倍率:事業の純利益 14 億円・ROE 3%。ROE が k 7% を下回るので、PER の上限は 1÷k = 12.5 倍。構造的に負けた筋書きで、利益は小さく先細る。上限の約 7.6 割の 9.5 倍に置く(やや悲観の PER を超えない)。
確率:オークションを通さない取引が広がり、USS との差も開いて、もう優良会社とは言えなくなる筋書き。10 年の構造的な負けとして 14% を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
デジタルプロダクツ(中古スマホ等の法人間取引)
携帯キャリア・量販店・法人から中古のスマホやタブレットを集め、国内外の事業者に売る。GIGA スクール端末の戻りも扱う。
| 数量流通台数(万台) | 価格1 台あたり売上(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 254 | 6,100 | 155 | 35 |
| 10 年後 中立 | 340 | 7,930 | 270 | 54 |
取り方:2025/12 期の流通台数 254 万台は開示値。売上は開示が無いため、ライフスタイルプロダクツの売上 452 億円から、ブランド品の法人取引(取扱 526 億円の約 2 割)と個人向け(192 億円)を引いて約 155 億円と置き、台数で割った。営業利益はセグメント利益 83.9 億円を事業の厚みで 35 / 54 / -5 に分けた推定。
ファッションリセール(ブランド品の法人間オークション)
古物商や買取店が持ち込むブランド品を、国内外の会員が入札で買う場を運営し、手数料を取る。
| 数量成約点数(万点) | 価格1 点あたり手数料収入(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 95.6 | 11,000 | 105 | 54 |
| 10 年後 中立 | 125 | 14,740 | 184 | 88 |
取り方:成約点数 95.6 万点は開示値、取扱高 526 億円(1 点約 5.5 万円)。手数料は開示が無く、取扱高の約 2 割(買い手・売り手の合計)と推定して 1 点 1.1 万円と置いた。固定費が軽いため営業利益率は約 5 割と推定。
個人向け(ブランディア・店舗)
ブランド品を個人から買い取り、通販と店舗で個人に売る。2025 年に買収したブランディアなどを統合した。
| 数量販売点数(万点) | 価格1 点あたり販売額(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 64.0 | 30,000 | 192 | −5 |
| 10 年後 中立 | 80.0 | 40,200 | 322 | 13 |
取り方:個人向けの取扱高 192 億円(開示値)は売上にほぼ等しいとみた。販売点数は開示が無いため、1 点約 3 万円と置いて 64 万点と推定。営業利益は買収の償却と店舗閉鎖の影響で小さな赤字と置いた。
モビリティ&エネルギー(中古車・バイクのオークション)
中古車とバイクの会員向けオークション。出品の検査、成約の手数料、陸送などの周辺サービスで稼ぐ。
| 数量成約・落札台数(万台) | 価格1 台あたり売上(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 58.6 | 27,470 | 161 | 35 |
| 10 年後 中立 | 70.0 | 36,810 | 258 | 55 |
取り方:自動車 55.3 万台とバイク 3.3 万台の合計 58.6 万台は開示値。セグメント売上 161 億円を台数で割ると 1 台約 2.7 万円。手数料に検査料・周辺サービスを含む。営業利益 34.6 億円は開示値。
その他(アグリ・サーキュラー・新規事業)
花きのオークション、オフィス家具などの循環販売、EV 電池の再利用など、まだ小さい新しい事業。
| 数量取扱高(億円) | 価格売上化率(取扱高に対する売上の比) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 116 | 0.29 | 33 | −4 |
| 10 年後 中立 | 200 | 0.30 | 60 | 2 |
取り方:取扱高 116 億円と売上 33 億円は開示値。売上化率は約 0.29。営業損失は 3.7 億円。
リスクと懸念
中古車でオークションを通さない取引が広がる
買取店のネット直販や、ディーラーの下取り車の直接販売が増えると、オークションの出品が細る。成約が減ると、手数料の元になる台数が落ちる。USS との規模の差もあり、価格を下げて対抗すると利益率が落ちる。10 年の最大の構造リスクだ。
中古スマホは追い風が一時的
GIGA 端末の戻りで流通台数は急に増えたが、更新の波は数年で終わる。そのあと台数が落ちる可能性が高い。メモリーの値動きで端末の価格も変わるため、売上の単価が下がる局面もある。
個人向け(ブランディア)の統合が進まない
買収した 2 社の統合は途上だ。店舗の閉鎖や米国の関税、訪日客の減少で伸びは鈍った。黒字にならないまま償却だけが続けば、全社の利益を重くする。
創業家系の持株が約 5 割で、統治の自由度が低い
資産管理会社が約 5 割を持ち、他の株主の発言力は限られる。安定は強みだが、買収やグループ内取引の判断が少数株主に不利に動く恐れは残る。TOB の可能性は低い。
費用が重い
約 1,100 人の従業員と、基幹システム「BASE」の償却、株式報酬が営業利益率を抑える。人件費は物価で上がる。売上が伸びても利益率が上がらない可能性がある。
M&A が続かず、特別配当に頼る
中計の M&A 予算 70 億円のうち 35 億円を特別配当に回した。買う案件が乏しい現実の裏返しで、成長の幅は自前の事業だけに頼ることになる。買収に踏み切る時は、高値づかみのリスクもある。
今後の分かれ目
- USS の成約が年 230 万台を超えて伸び、オークネットのシェアが 10% を割る
- 中古車の 10 年はやや悲観に近づく。検査の信用だけでは、規模の差を埋められない。
- GIGA 端末の戻りが終わった後も、デジタルプロダクツの流通台数が 300 万台を超えて保つ
- 中古スマホの筋書きは、中立から楽観へ寄る。海外の買い手が増えた証拠になる。
- ブランディアを含む個人向けが 2 年以内に黒字になる
- 法人間と個人向けの在庫の融通が効き、ファッションリセール全体の利益率が上がる。
- 創業家系の会社が持株を売却する、または MBO・TOB の動きが出る
- 統治の前提が変わる。TOB なら価格は上に飛びうるが、価値の見立ては事業で行い、買い付け価格には寄せない。
- M&A をせずに、特別配当や自社株買いを繰り返す
- 資本政策としては良いが、成長の筋書きは自前の事業に限られる。楽観の確率は下げる。
- 国内の中古車オークション市場が年 3% を下回り、減り始める
- 10 年の数量の前提が崩れる。市場のシェアを上げても、台数は増えない。
見ておくもの
- オートモビルの落札台数と、中古車市場全体に対するシェア(11% を超えるか)
- デジタルプロダクツの流通台数(GIGA 端末の戻りが終わった後も 300 万台を保てるか)
- ファッションリセールの成約点数・会員数と、個人向け(サークラックス)の黒字化
- 営業利益率(15% 台を保てるか)と、基幹システムの償却の終わり
- 配当性向・自社株買いの実績、M&A の案件、創業家系の持株の変化
倍率と資本コストの決め方
5 つの事業を台数と 1 台あたり売上で積み上げ、10 年後の営業利益を出した。倍率は PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)、k 7%、g 4%、堀は普通(残る割合 1/2)。式の上限に対し、楽観 9 割・やや楽観 8.5 割・中立 7.8 割に置いた。やや悲観と悲観は稼ぐ力で置いた。今の株価や同業の倍率は見ていない。リースは今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)でそろえた。新リース会計で BS が膨らむが、利益と価値は変わらない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 18.3→23.77 倍・やや楽観 PER 16.5→23.05 倍・中立 PER 14.5→22.6 倍)。
資本コスト 7.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。