結論
AVILENは、企業のAI開発と社員教育を一緒に引き受ける会社だ。AI技術を売る側にいることは明確な長所だが、現在の時価総額約48億円には長く続く高収益を見込む余地が大きく、筆者の評価は割高である。市場の急成長と同社が受け取る利益の成長は同じではない。顧客のAI活用が進むほど、従来は技術者が時間をかけて作った部分を、顧客や汎用AIエージェントが安く作れるようになるからだ。
強さにも証拠がある。2026年6月までの累計支援先は約1,000社で、E資格の直近試験では合格者の約21%を同社の講座が送り出した。大塚商会との資本業務提携、ベルシステム24とのAI業務代行合弁も、顧客との接点を増やす。もっとも、2025年のソフトウェア売上は大半が個別開発で、パッケージ部分は小さい。継続率も約69%で、長期の解約しにくさが立証されたわけではない。
会社は2028年に売上40億円、営業利益8.8億円を目指す。しかし10年後の事業価値を考えるなら、その計画は通過点にすぎない。受託と研修が自動化される中で、顧客の業務に定着する独自サービスへ転換できるかが本当の勝負だ。純現金は小さな下支えになるが、のれんや未回収債権まで清算価値に数えることはできない。資産と稼ぐ力を分けて考えても、現在の価格に十分な安全域は認めにくい。
バリュー投資の観点から
長く保有する株主として、欲しいのは「AIが普及する」という物語ではない。顧客が自社で導入を進めた後にも、料金を払い続ける理由が必要だ。AVILENはAIを用いた開発の実績と人材育成を一体で提供できる。企業が全社業務を見直す初期段階には役立つ相手だ。しかし成功した顧客ほど自ら使いこなせるようになり、受託会社に残る仕事が減るという逆説がある。
本当に高く評価できるのは、同じソフトウェアを多くの会社へ配り、更新のたびに対価をもらう収入である。E資格講座には一定のブランドと教材の再利用効果が認められる。だが、パッケージ型AIソフトウェアの売上は現時点で小さく、法令上の記録を管理する基幹システムのような乗り換えの難しさは確認できない。投下資本の小ささから生まれる高ROEと、持続的な独占的収益を混同したくない。
経営が利益を留保する判断にも厳しい条件を付ける。案件獲得のための採用や買収に使った資金が、後の利益を増やせなければ、貯めた利益には額面ほどの価値がない。LangCoreののれんと引当金は、その点を確かめる材料になる。ベルシステム24との合弁も、実運用に乗せた成果報酬が広がるかを見届ける必要がある。
今の純現金は損失に耐える緩衝材だが、全株主が自由に引き出せる財布ではない。会社の事業価値と余剰現金を二度数えず、利益の寿命を厳しめに考えると、今の時価総額には安全域が足りない。契約の継続率が改善し、製品別の継続課金が数字で裏付けられるまでは、よく知っている優良企業と同じ確信度では保有できない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎ方は、AIソフトウェアとビルドアップという二つの営業単位に分かれる。会計上はAIソリューション事業の単一セグメントだ。2025年の売上は前者が約10.9億円、後者が約5.8億円だった。AIソフトウェアのほとんどは、顧客の図面、帳票、問い合わせ対応、データ分析などに合わせて作るカスタマイズ型である。開発した後の保守や横展開はあるものの、案件獲得と技術者の投入が収益を左右する。
ソフトウェアのパッケージ部分は約0.43億円にすぎない。帳票処理やコールセンター向けAIエージェントなどの共通機能を複数社に売る構想は魅力的だが、現時点では会計システムのような記録の正本を保有していない。契約件数や解約率も製品別には開示されず、安定した継続課金事業だと断定できない。
ビルドアップは大企業向けの研修、内製化支援、組織開発と、個人向けの資格・学習講座から成る。2025年は法人向け約4.9億円、個人向け約0.95億円であった。E資格講座には動画、演習、添削、質問対応が付き、教材の再利用による効率がある。一方で、企業ごとに教材を作る仕事はコンサルティングと同じ労務集約型だ。教材を売ることと、技術者の稼働を売ることは、十年後の守りの強さが違う。
提案から研修、試行開発、業務システムへの実装までつなぐ営業経路には意味がある。DS-Hubの外部研究者を含む開発人材の調達力も小規模会社には貴重だ。しかし、その仕組みは顧客の基幹データを独占する事業ではない。AIの道具が普及すると、同じ人数から多くの成果を生める半面、顧客が支払う工数の総量そのものが減る。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社が容易にまねできない強みは、専門人材の供給網と顧客との共同作業の実績にある。DS-Hubは厳しい選考を通った研究者を集め、技術の変化が速い案件にも対応する。累計約1,000社を支援した経験から、研修先で見つかった課題を実装案件につなぐことができる。2025年には年間3,000万円以上を取引する顧客が30社に増えた。こうした大口化は小規模な競合より有利に働く。
ただし、堀を強いとは判定しない。開示された年間継続率は69.1%であり、長期間の契約拘束や解約率5%未満といった防御力を示さない。企業顧客の平均単価は前年比8.3%増えたが、案件の大型化による取引構成の変化も含む。競争相手に対して一律に値上げを通せる証拠にはならない。開発コード、講座動画、営業資料の一部は汎用AIで代替しやすい。
E資格は例外的に確かな地位を築いている。2026年第2回では149人が合格し、同試験の合格者シェアは20.93%だった。認定講座と実装演習にはブランドの蓄積があるが、これは全社売上にそのまま当てはめられる市場支配力ではない。資格制度の改訂と、無料教材・AI家庭教師の進化にも対応し続ける必要がある。
財務には借入を上回る現預金がある一方、買収に伴うのれんと受託案件の貸倒引当金が残る。高い過去のROEは、少ない自己資本で人材と知識を回してきた結果でもある。再投資利益率が資本コストを上回り続けるかは、顧客単価よりも反復販売できる製品の粗利益で判断すべきだ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
市場そのものは大きく伸びる。IDCが2026年3月に示した国内AI関連支出は2025年に約2.37兆円で、2029年には約6.89兆円との予測である。AVILENのAIソフトウェア売上を2025年の市場総額に単純に照らすと約0.05%で、規模はまだ小さい。ただしIDCの数字には基盤や各種サービスが含まれ、同社が直接競争する受託開発の市場シェアとは一致しない。比較できる競合別シェアの統一統計も確認できないため、この比率を精密な占有率として扱わない。
企業向け研修サービスの国内市場は、矢野経済研究所によれば2025年度に6,075億円規模である。法人向けビルドアップを当てはめると広義の市場の約0.08%となる。資格講座の狭い市場ではE資格合格者の約21%という実績があり、広い法人研修と同じ評価はできない。競争相手にはキカガク、Aidemy、SIGNATEなどの教育・人材開発企業がいる。AI開発ではPKSHA Technology、エクサウィザーズ、Laboro.AIなどに加え、NTTデータやアクセンチュアのような大手が提案力で競う。競合各社の厳密な同一市場シェアは非開示である。
数量を左右するのは需要総額より発注方法の転換だ。Microsoftなどのクラウド基盤に組み込まれたAIエージェントを、顧客の情報システム部門が直接使うようになれば、個別に発注される開発件数と研修工数は減りやすい。汎用品を組み合わせればできる仕事の値段も抑えられる。逆に顧客固有のデータ、業務統制、現場の責任分担まで設計する仕事には残る需要がある。
2028年までの会社目標にはAI導入投資の波が追い風になる。ただし2035年の中立では、人月・研修案件数が2025年より約3分の1少なくなる想定とする。インフレは契約単価にだけ入れ、案件数には混ぜない。AIエージェントを売っている事実は評価するが、独立した製品売上の金額が示されていないため、急成長の市場予測をそのまま将来の数量に移さない。
資本政策と M&A
株主への分配より、製品化と提携への再投資を優先している。2025年まで創業以来無配であり、2026年の配当予想もゼロである。2026〜2028年の中期計画は売上を2026年21.41億円、2027年29億円、2028年40億円とし、営業利益を順に3.56億円、5.8億円、8.8億円へ伸ばす目標を掲げる。最終年の営業利益率は22%超が目標だ。ROE、配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い額については数字の約束なしである。
2024年に傘下へ収めたLangCoreはAIコールセンターの実装能力を補ったが、2025年末には約2.9億円ののれんが残った。同年のAI受託開発では0.75億円の貸倒引当金も計上している。買収の成否は売上成長率ではなく、投じた資本を上回る自由な現金を生むかで判定したい。2026年にはベルシステム24とBA Intelligenceを設立し、AVILENが49%を保有した。合弁の収益は全額が連結売上に入るわけではない。
大株主には日本郵政キャピタルと大塚商会がおり、上位10株主の持分は2025年末で64.51%であった。配当も自社株買いもまだ実績に乏しいが、強い支配かつ無還元という特別な条件まではそろわない。蓄積する余剰現金が少数株主の価値に戻る割合は75%とみる。既存の安い権利行使価格の新株予約権による約2%の潜在希薄化も評価から外さない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
同社の武器は、顧客企業のAI導入の入口から本番運用まで案件を取り切る営業経路にある。2026年上期の売上は前年同期比で2割を超えて伸び、ソフトウェアとビルドアップの両輪が動いている。E資格では直近試験の合格者の約21%を送り出した。約1,000社の累計支援先から見つけた課題を、再利用できるソフトウェアに仕立て直せば、大手企業の多部門へ広げる余地は大きい。研究者ネットワークによって専門家を採用する時間も短縮できる。
AIエージェントが開発工数を圧縮するなら、受託側も少ない人員で納入できる。従来の作業単価ではなく業務改善の成果に対して料金を受け取る契約へ移れるなら、顧客の総費用は減り、同社の利益率はむしろ改善し得る。大塚商会の販売網とベルシステム24の業務運営力を使い、音声対応や帳票処理のAIを現場へ組み込めば、机上の実証実験だけで終わらない。
2028年の中期計画は自律成長を前提としており、買収が実現すればさらに上振れる。LangCoreの音声技術も本番開発で差別化できる可能性がある。小規模な会社にとって年ごとの案件変動は大きいが、純現金があり、銀行借入も極端ではない。工数の削減を価格下落ではなく利益率改善に結び付け、無理な増資なしで業務基盤を広げる道は残っている。
慎重な見方
市場が伸びていることと、専門会社の取り分が増えることは別である。2025年のAIソフトウェア売上の約96%は顧客別に作る仕事だった。高度なモデルのAPIや汎用エージェントが普及すると、その仕事の一部は顧客が社内で組み合わせて作れる。調査、設計、実装、研修資料作成の時間が減るほど、人月や講座回数を請求する仕組みは弱る。平均法人単価の上昇も、顧客の解約しにくさを証明しない。
顧客の継続率は69.1%と開示されており、契約が自然に積み上がる業務基盤とは違う。E資格には実績があるが、生成AIの使い方が毎年変わる中で、教材は更新し続けなければならない。大手システム会社とAIプラットフォーム企業には販売網も既存データとの接続もある。差別化の弱い機能は、より安い統合サービスに吸収されかねない。
LangCoreの買収で残ったのれんは、期待した将来利益が生まれなければ減損が必要になる。売掛債権への貸倒引当金は、受注が利益と現金になるまでの不確かさも教えている。BA Intelligenceの持分は49%であり、合弁の売上を丸ごと株主利益にしてはいけない。今後の採用や買収を進めるほど、拡大のための資金は必要となる。無配のまま資本を積み上げても利益が縮めばROEは下がり、簿価がそのまま株主の価値になるわけではない。
どちらに重みを置いたか
実績のあるE資格と大企業との関係は評価するが、全社の中心は依然として工数や研修提供から収入を得る事業である。下振れ確率を上振れよりやや多くしたのは、AI普及をもう一度罰するためではない。69.1%という継続率、製品収入の小ささ、買収ののれんと売掛金の回収リスクが別に残るためだ。AI導入支援の先駆者であることは強みでも、その地位が十年後に同じ利益を保証するわけではない。確率を掛けた価値は現在の約48億円を明らかに下回ると判断する。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 446 円27 億円(+ 還元の換算額還元の合計 0 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 211 円13 億円、今との差 −71.3%、 期待の年率 −4.9%(資本コスト 7.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 11% | 1,055 円64 億円 | 0 円0 億円 | +43.2% | +3.7% | 116 円7 億円 |
| やや楽観 | 20% | 729 円44 億円 | 0 円0 億円 | −1.1% | −0.1% | 146 円9 億円 |
| 中立 | 30% | 453 円28 億円 | 0 円0 億円 | −38.5% | −4.7% | 136 円8 億円 |
| やや悲観 | 24% | 163 円10 億円 | 0 円0 億円 | −77.9% | −14.0% | 39 円2 億円 |
| 悲観 | 15% | 59 円4 億円 | 0 円0 億円 | −92.0% | −22.4% | 9 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 446 円27 億円 | 0 円0 億円 | −39.5% | −4.9% | 446 円27 億円 |
今の株価時価総額 737 円45 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 11% 顧客との共同開発が成果報酬へ近づく 利益 4 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,055 円64 億円
AI導入の初期需要が一巡しても、AVILENは大企業の業務全体を組み替える案件を継続して受注する。大塚商会の販路を通じて顧客接点が広がり、ベルシステム24との合弁では音声対応の本番運用が積み上がる。AIエージェントは自社の納入工数を減らし、工程の削減分を単純な値引きに取られず利益率へ振り向ける。LangCoreの技術も複数の業務へ横展開できる。
顧客が導入を内製化するため、案件数そのものは2025年を超えない。それでも残る仕事は複雑な業務設計に集中し、販売単価は物価に沿って上がる。E資格講座の優位も維持され、教材更新費の負担が増えても講座販売は現状規模を保つ。2028年までの収益拡大を経て成長速度は落ちるが、2035年には高い収益性を残せる。買収を何度も成功させる仮定や、BA Intelligenceの売上を全額取り込む仮定には頼らない。
- カスタマイズ型AIソフトウェア:数量 86.0(年間の有償開発プロジェクト換算件数(件・推定))× 価格 0.16(1案件当たり売上(億円・名目))→ 売上 14 億円・営業利益 4 億円。受託案件は現在の99%。主力の価格上昇は1.33倍で、工数削減を営業利益率の改善に転換する。
- パッケージ型AIソフトウェア:数量 50.0(有償稼働契約の年間換算数(契約・推定))× 価格 0.01(1契約当たり年間売上(億円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。有料契約は現状維持。価格上昇は約1.14倍にとどめる。
- 法人向けAI・DX人材育成と組織開発:数量 129(法人研修・組織支援の年間契約換算件数(件・推定))× 価格 0.05(1契約当たり売上(億円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 2 億円。法人研修の案件数は横ばい。単価は物価の範囲内で上がる。
- 個人向けAI資格講座・教育コンテンツ:数量 760(年間の有料講座購入換算件数(件・推定))× 価格 0.00(1購入当たり平均売上(億円・名目、税抜))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。資格講座の購入数は維持。単価は物価約1.34倍を反映する。
倍率:長期g=0%、資本コスト7.75%、弱い堀のRONICで正当化PER=(1−0÷RONIC)÷(7.75%−0)=12.903倍。楽観〜中立は上限に手加減を加えず、期末純利益に掛ける。留保される余剰現金の自動加算とストックオプション既存株主取り分は別に処理する。
確率:E資格の実績と大口法人との取引が続き、工数削減を生産性改善へ転嫁できる。ただし製品売上の独立した金額開示がないため、数量は現状を超えて拡大させない。
やや楽観 20% 専門領域を残しつつ案件を絞る 利益 3 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 729 円44 億円
企業はAIを外から買い続けるが、単純なプログラム作成や定型研修は社内でまかなうようになる。AVILENは金融・製造などの複雑な業務に焦点を絞り、案件数が減っても1件の付加価値を高める。DS-Hubの研究者網は専門性が必要な案件で役立ち、E資格講座の認定実績も受注のきっかけを作る。大塚商会との協業は新規顧客への入口として働く。
ベルシステム24との合弁は稼働しているが、売上分配と持分法損益にとどまり、AVILENの売上を何倍にも押し上げない。パッケージソフトは一定の有料契約を保つものの、大きな契約基盤には育たない。社内でAIを使って納入の手間を減らすことで利益率は改善するが、営業件数は控えめに推移する。成長計画の利益率改善は部分的に実現し、その後は成熟した中堅専門会社として収まる。
- カスタマイズ型AIソフトウェア:数量 75.0(年間の有償開発プロジェクト換算件数(件・推定))× 価格 0.16(1案件当たり売上(億円・名目))→ 売上 12 億円・営業利益 3 億円。受託数量は現在の86%。価格は約1.29倍で、内製化による数量減と生産性改善を両方反映する。
- パッケージ型AIソフトウェア:数量 45.0(有償稼働契約の年間換算数(契約・推定))× 価格 0.01(1契約当たり年間売上(億円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。契約数90%、単価約1.10倍。製品化の進展は限定的である。
- 法人向けAI・DX人材育成と組織開発:数量 115(法人研修・組織支援の年間契約換算件数(件・推定))× 価格 0.05(1契約当たり売上(億円・名目))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。法人研修件数は現在の89%、単価は約1.24倍。
- 個人向けAI資格講座・教育コンテンツ:数量 675(年間の有料講座購入換算件数(件・推定))× 価格 0.00(1購入当たり平均売上(億円・名目、税抜))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。有料講座購入数は現在の89%、価格は約1.24倍。
倍率:長期g=0%、資本コスト7.75%、弱い堀のRONICで正当化PER=(1−0÷RONIC)÷(7.75%−0)=12.903倍。楽観〜中立は上限に手加減を加えず、期末純利益に掛ける。留保される余剰現金の自動加算とストックオプション既存株主取り分は別に処理する。
確率:大口顧客からの継続受注と資格講座の評価を相当程度維持するが、汎用AIによる内製化には逆らえず、案件数は2025年より減る。
中立 30% AI市場は伸びても受託工数は減る 利益 1 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 453 円28 億円
企業のAI投資は続き、AVILENにも業務固有の実装案件は残る。しかし、AIモデルや業務アプリの基本機能はクラウドとAIエージェントに組み込まれ、顧客自身が短期間で作れるようになる。受託の実質案件数は大きく減る。広い販売網を持つSI企業やクラウド提供者の製品に需要が流れ、平均単価の上昇では数量減を補い切れない。
E資格の教材ブランドは残るものの、法人研修は企業の内製教育とAI家庭教師の普及で案件数が減る。パッケージソフトは一部が契約更新されるが、記録の正本を持たないため強い囲い込みはできない。営業利益率は極端には崩れず、2025年に近い水準へ落ち着く。配当を実施しないため自己資本は増えるが、利益が伸び悩んで資本効率は低下する。2028年の会社計画を十年後まで直線的に延ばさないことが、この見通しの中心である。
- カスタマイズ型AIソフトウェア:数量 57.0(年間の有償開発プロジェクト換算件数(件・推定))× 価格 0.15(1案件当たり売上(億円・名目))→ 売上 9 億円・営業利益 2 億円。人月・SI型の受託案件は57/87=0.66倍。価格は約1.28倍で、数量減を補えない。
- パッケージ型AIソフトウェア:数量 40.0(有償稼働契約の年間換算数(契約・推定))× 価格 0.01(1契約当たり年間売上(億円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。SaaS型契約数は40/50=0.80倍、単価は約1.07倍。
- 法人向けAI・DX人材育成と組織開発:数量 86.0(法人研修・組織支援の年間契約換算件数(件・推定))× 価格 0.05(1契約当たり売上(億円・名目))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。研修案件は86/129=0.67倍。単価は約1.30倍。
- 個人向けAI資格講座・教育コンテンツ:数量 500(年間の有料講座購入換算件数(件・推定))× 価格 0.00(1購入当たり平均売上(億円・名目、税抜))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。個人向け講座の購入数は500/760=0.66倍、価格は約1.30倍。
倍率:長期g=0%、資本コスト7.75%、弱い堀のRONICで正当化PER=(1−0÷RONIC)÷(7.75%−0)=12.903倍。楽観〜中立は上限に手加減を加えず、期末純利益に掛ける。留保される余剰現金の自動加算とストックオプション既存株主取り分は別に処理する。
確率:国内AI投資の総額が増えることと小規模な受託企業への発注数は別である。開示された取引継続率と小さい製品構成比から、この筋書きを中心に据える。
やや悲観 24% 大口案件が細りコストを吸収しきれない 利益 1 億円 · PER 9.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 163 円10 億円
多くの企業はシステムの導入支援を最低限だけ外部へ委託するようになる。AVILENの大手顧客も検証業務を内製化し、新しい発注は顧客固有の難題に限られる。案件数は2025年の半分程度になり、要求される機能が高度になっても支払われる単価はあまり伸びない。Microsoftなどの汎用基盤と大型SI企業が一括で提供する契約には、小規模な専門会社が入りにくい。
人員を急には減らせず、採用して育てた技術者の固定費が重くなる。ビルドアップでも研修教材の自動生成と顧客の自社教育が進み、認定講座の実績だけでは売上を支えられない。パッケージ型AIの有料契約も減る。資本を配当に回さないため会計上の自己資本は残るが、低収益の資産全額が本質価値になるわけではない。余った現金と縮んだ稼ぐ力を比べ、下振れの価値を見積もる。
- カスタマイズ型AIソフトウェア:数量 46.0(年間の有償開発プロジェクト換算件数(件・推定))× 価格 0.14(1案件当たり売上(億円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。受託の件数は約0.53倍。売上減と固定人件費が利益率を圧迫する。
- パッケージ型AIソフトウェア:数量 30.0(有償稼働契約の年間換算数(契約・推定))× 価格 0.01(1契約当たり年間売上(億円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。有料契約数が現在の6割に減り、単価にも値下げ圧力が加わる。
- 法人向けAI・DX人材育成と組織開発:数量 70.0(法人研修・組織支援の年間契約換算件数(件・推定))× 価格 0.04(1契約当たり売上(億円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。法人研修の案件数と採算が同時に悪化する。
- 個人向けAI資格講座・教育コンテンツ:数量 400(年間の有料講座購入換算件数(件・推定))× 価格 0.00(1購入当たり平均売上(億円・名目、税抜))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。講座購入数の減少と教材更新費の負担が重なる。
倍率:中立より稼ぐ力が弱く、2035年のROEは資本コストを下回る。成長価値を数えず、純利益0.51億円に9.5倍を掛ける。現在の純現金約3億円より大きく、将来の簿価を清算価値とはしない。
確率:顧客が汎用エージェントで個別開発を内製化するだけでなく、大口契約の更新が細り、採用・営業費用が利益を圧迫する。
悲観 15% 内製化と大型契約喪失で競争力が崩れる 利益 0 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 59 円4 億円
汎用AIエージェントが画面操作、プログラミング、研修教材の更新を吸収し、顧客は外部の開発会社へ発注する仕事を大幅に減らす。AVILENのカスタマイズ案件数は現在の4割程度となる。付加価値の高い案件を狙っても、大手SIとプラットフォーム企業が顧客基盤を握り、値上げも難しい。法人研修と個人講座は資格ブランドを残すものの、市場全体の学習方法が変わって売上規模が縮む。
売上は2025年の半分以下となり、開発体制と管理費の調整が遅れて営業赤字に陥る。LangCoreの残存のれんは回収不能となって減損する想定だ。BA Intelligenceにも大きな持分利益は生まれず、無配は継続する。事業が10年後に持ち直す確証はなく、価値の下限は稼ぐ力ではなく借入を控除した純現金に近い。顧客データの所有権や独占ライセンスを持たないため、会計上の資本増加を丸ごと床にはしない。
- カスタマイズ型AIソフトウェア:数量 35.0(年間の有償開発プロジェクト換算件数(件・推定))× 価格 0.13(1案件当たり売上(億円・名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。案件数が現在の約4割に縮み、価格も物価に追いつかない。
- パッケージ型AIソフトウェア:数量 20.0(有償稼働契約の年間換算数(契約・推定))× 価格 0.01(1契約当たり年間売上(億円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。契約数と単価がともに減少し、製品部門も赤字に転落する。
- 法人向けAI・DX人材育成と組織開発:数量 50.0(法人研修・組織支援の年間契約換算件数(件・推定))× 価格 0.04(1契約当たり売上(億円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。法人向け研修は規模を縮小し、間接費を吸収できなくなる。
- 個人向けAI資格講座・教育コンテンツ:数量 300(年間の有料講座購入換算件数(件・推定))× 価格 0.00(1購入当たり平均売上(億円・名目、税抜))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。E資格の実績を残しても学習の自動化で購入数が減る。
倍率:営業赤字のためPERは使わない。LangCore関連ののれん約2.92億円を売却可能資産から外し、現在の自己資本7.3億円に資産回収のPBR0.49を適用する。端数を丸めた約3.58億円は直近の純現金約3億円を下回らない。
確率:顧客の業務実装を自動化するプラットフォームに主要案件が移り、LangCore買収から見込んだ収益力にも届かない厳しい場合。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
カスタマイズ型AIソフトウェア
顧客ごとの業務データやシステムに合わせ、AIモデルやAIエージェントを設計・実装する。受託開発が主で、工数型として判定する。
| 数量年間の有償開発プロジェクト換算件数(件・推定) | 価格1案件当たり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 87.0 | 0.12 | 10 | 2 |
| 10 年後 中立 | 57.0 | 0.15 | 9 | 2 |
取り方:2026年3月27日事業計画の2025年実績内訳ではカスタマイズ型売上1,044百万円と明記。実際の案件件数と案件別受注単価は非開示なので、平均1,200万円の開発案件87件に換算した推計である。大口顧客のうち年間3,000万円以上が30社という開示で大型案件の存在を確認。利益2.0億円は原価の部門別非開示を補う分析上の配賦値。AIエージェント代替は人月・SI型:中立数量0.55〜0.75倍、価格は物価10年1.34倍以下。現在の推定部門営業利益はソフトウェア2.0億円、製品0.10億円、法人研修0.86億円、個人講座0.25億円で、共通費約0.47億円を差し引いた連結営業利益2.74億円に一致させている。
パッケージ型AIソフトウェア
再利用可能な帳票処理、音声応答、AIエージェントなどの製品。小規模だが継続課金・売上分配の可能性を持つ。
| 数量有償稼働契約の年間換算数(契約・推定) | 価格1契約当たり年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 50.0 | 0.01 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 40.0 | 0.01 | 0 | 0 |
取り方:2026年3月開示の2025年売上円グラフはパッケージ型43百万円を明示。契約数や継続課金単価は非開示のため、年86万円相当の有償契約50件とする換算値であり実数ではない。操作・契約課金型の業務SaaSとして中立契約数0.70〜0.90倍、単価1.00〜1.15倍。独自の記録基盤や年5%未満の解約率は確認できず、記録の正本型にはしない。
法人向けAI・DX人材育成と組織開発
大企業ごとにAIリテラシー研修、生成AI研修、内製化ロードマップ、組織変革を提供する。講師・コンサル工数の代替リスクがある。
| 数量法人研修・組織支援の年間契約換算件数(件・推定) | 価格1契約当たり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 129 | 0.04 | 5 | 1 |
| 10 年後 中立 | 86.0 | 0.05 | 4 | 1 |
取り方:2026年3月の2025年内訳では法人ビルドアップ490百万円。年間法人単価380万円は全事業のAVILEN単体平均であり法人研修固有の平均ではないため、129件×380万円は契約数を見積もるためだけの代理指標。需要規模は矢野経済研究所の2025年度企業研修市場6,075億円。中立は人月・研修型で数量0.55〜0.75倍、単価1.34倍以下。
個人向けAI資格講座・教育コンテンツ
E資格などのオンライン講座を個人に提供し、動画視聴・演習・添削で対価を得る。教材の再利用性はあるが、AI教材との競争にさらされる。
| 数量年間の有料講座購入換算件数(件・推定) | 価格1購入当たり平均売上(億円・名目、税抜) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 760 | 0.00 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 500 | 0.00 | 1 | 0 |
取り方:2026年3月開示の2025年内訳では個人ビルドアップ95百万円。AVILEN公式のE資格講座価格は99,000〜198,880円(税込)であり、他講座を含め税抜の平均12.5万円、年間760件という推計に換算。実際の受講者数ではない。JDLA発表の2026年後半のE資格合格者712名、AVILEN経由149名を狭い資格市場の実績として参照し、会社全体のシェアに転用しない。人月・研修型の中立数量0.55〜0.75倍、単価物価の1.34倍以下。
リスクと懸念
AIエージェント代替
開発・調査・プログラム作成・教材更新の工数を汎用AIが減らす。AIを販売する側であっても、人月と研修時間に課金する仕事は数量が縮みやすい。製品ごとの継続課金額と成果報酬への移行が開示されるまでは、受託の市場成長率をそのまま利益成長にできない。
製品化が進まないままの競争激化
2025年のパッケージ型売上は約0.43億円と全体の3%未満である。共通AIツールの性能が上がり、大手SIやクラウド基盤が同機能を束ねれば、個別開発案件の選定で価格競争が強まる。製品の顧客数・解約率が非開示であることも、保有価値を判断する不確実さを増やしている。
大口顧客と検収・債権回収
2025年には年間売上3,000万円以上の顧客が30社に増え、大口化は進んだ。一方でAI受託案件に0.75億円の貸倒引当金を計上しており、契約した売上が確実な現金になるわけではない。案件検収の遅延や顧客側の導入中断が起これば、少人数で高利益率を維持する前提が揺らぐ。
LangCore買収と合弁の資本配分
2025年末のLangCore関連のれんは約2.9億円あり、事業の相乗効果が続かなければ減損余地がある。ベルシステム24とのBA Intelligenceは49%持分で、売上を全額取り込めないうえ、立ち上げ期の費用負担が先行し得る。追加買収を行うなら投入資金の回収率を継続して確認する必要がある。
E資格講座の制度変更と学習の自動化
E資格の2026年第2回では合格者の20.93%を同社講座が輩出し、狭い市場では有力だ。しかし試験の仕様変更、無料教材、AIによる個別指導が広がれば受講単価と顧客数に圧力がかかる。認定講座の実績は有利でも、それだけで人材育成事業全体の高成長を保証しない。
無配継続・潜在希薄化・固定費
配当や自社株買いの数字の約束はなく、留保した利益が買収や人員拡大に使われる。権利行使価格の低い新株予約権が発行済み株数の約2%分あり、既存株主の取り分は薄まる。オフィス賃借料と社員の人件費は売上が減ってもすぐには消えず、悲観時には損失と現金流出を長引かせる。
今後の分かれ目
- AIエージェント製品の年間継続収益と製品別解約率が開示され、黒字のストック型売上が拡大したら
- パッケージを受託と分離して収益と数量を再推計する。単なる実証実験ではなく有償更新実績が複数年続けば、弱い堀という評価と長期成長率を上方修正する。
- 2027〜2028年に売上40億円・営業利益8.8億円へ近づき、同時に受託案件当たり工数が下がったら
- 自動化の生産性向上が価格低下を上回っている証拠として、利益率の上側の筋書きを厚くする。ただし受注高と回収した現金を併せて確認する。
- E資格の合格者シェアが2回以上続けて下がり、法人研修の契約更新率も低下したら
- 教育ブランドの強さを小さく評価し、受講換算数量と法人研修案件数を悲観側に改める。市場全体の資格受験者の増減と混同しない。
- LangCoreのれんが減損されるか、未回収債権の引当金が追加計上されたら
- 買収の投資回収力と売上の質を引き下げて判断し、過去の高ROEの持続性を低く見直す。床にはのれんを足さない。
- BA Intelligenceが200社という2030年度末目標に向けて、実際の受注金額と持分利益を示したら
- 合弁の持分49%による投資利益だけを会社価値に追加し、二重に連結売上として計算しない。成果報酬が確認できれば人月型の比率も再判定する。
- 累積した現金から増配または継続的な自社株買いが実行されたら
- 余剰現金の株主への戻り方を0.75から1.0へ見直し、ただし配当と期末現金の双方に同じ資金を重複計上しない。
見ておくもの
- AIソフトウェア内のパッケージ型売上と継続課金額、製品別更新率の開示
- AIソフトウェアとビルドアップの売上・粗利益率・顧客単価
- 年間取引継続率69.1%と3,000万円以上取引先30社の推移
- E資格の合格者シェアとJDLA全体の受験者数
- 2028年の売上40億円・営業利益8.8億円に対する達成率
- LangCoreののれん残高、貸倒引当金と営業キャッシュフロー
- BA Intelligenceの有償案件金額と持分法投資損益
- 配当・自社株買い、SO行使と株数の変化
倍率と資本コストの決め方
2025年実績を受託ソフトウェア、製品、法人研修、個人講座に分けた。数量は案件・契約・講座購入の推定実数とし、インフレは単価だけに入れた。AIエージェント代替は工数型と研修型の中立数量、席・契約型の中立数量と単価、2035年以降の名目成長率0%に反映し、寿命の上乗せや確率で同じ縮みを繰り返し引かなかった。楽観でも実際のAIエージェント製品別売上金額が確認できないため数量を現在以上に膨らませていない。資本コスト7.75%とg=0%から、楽観〜中立の正当化PERは1÷7.75%の約12.90倍となる。現在や同業のPERから逆算していない。悲観はのれんを床から外し、今の純現金約3億円と稼ぐ力を別々に確認する。2028年から新リース基準で貸借対照表の形式が変わるが、家賃は引き続き費用として比較する。なお10年で生じる余剰現金は帳簿の自己資本と二重に倍率を掛けず、ルール上の留保現金の戻り方75%で扱う。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%に、値決め力と借金の差引き0.25ポイントを反映。AI代替を資本コストや技術寿命に重ねて加算しない。