結論
unerryはスマートフォンから得られる人の移動・来店データを、店舗運営や広告に役立てる会社である。独自データという魅力はあるが、現時点の時価総額約98億円には割高と判断する。広告運用と顧客別の開発業務が売上の大きな部分を占め、AIエージェントがその仕事を安く速くこなせる世界で、過去の増収率を10年先に伸ばすことはできない。
同社はBeacon Bankという行動データ基盤を築き、2026年6月期には売上48.8億円、営業利益4.2億円まで成長した。継続取引先は176社で、既存顧客の売上継続率は120%と公表される。ブログウォッチャーを買収し、生活圏を把握するデータの厚さをさらに増した。これは一定の競争上の堀になるが、利用者の同意と外部アプリからの供給が欠ければ容易に損なわれる堀でもある。
長期に残るのは、人の移動という現実世界の観測情報と顧客の意思決定に組み込まれたデータ供給の部分だろう。他方、広告配信の設定、報告資料づくり、顧客ごとのデータ接続は自動化の標的になる。中立では買収した顧客基盤が分析売上を支えても、広告と個別開発の減少がその利益を相殺する。
2026年9月の約6.35億円の自己株取得は持分の希薄化を抑えたが、同額の現金も会社から出ている。取得前の自己資本や現金をそのまま用いて安く見せることはしない。高い成長を期待できる銘柄であることと、長く持つ株主が今の価格で十分な安全域を持てることは別問題である。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主が問うべきことは、10年後も人の移動情報を顧客が買うかではなく、その情報をunerryから買い続ける理由が残るかである。移動という現実世界の事実は生成AIが勝手につくれず、観測データの収集網には価値がある。店舗の出退店や都市政策に使うデータは、単なる文章生成より入れ替えの手間も大きい。ここには小さくても本物の堀がある。
だが売上の半分は広告に結びつく。媒体を保有しない広告会社では、機械が運用を代行するほど手数料の価値が削られる。顧客ごとのシステム構築も、従業員を増やすことで伸びた売上をそのまま利益と考えられない。資本支出が小さいIT企業に見えても、データの仕入れ、人材、同意管理、計算設備に毎年資金が要る。設備が軽いことと、オーナー利益を自在に配れることは違う。
2026年の買収で一度にデータと顧客を買い足した判断は、独自の資産を増やす意図として理解できる。それでも、のれんを抱えた後の増分利益が資本コストを超えるか確かめる責任は残る。配当を長く実行してきた企業でもなく、買戻し一度だけで株主に現金が戻ると断言することもできない。
筆者なら、既存顧客の継続率を分析だけでなく広告・開発を除いた純粋なデータ契約で確認したい。加えて、値上げしても契約と取扱データが維持されるか、買収のれんを除いて利益率が改善するかを見る。そこまで確認できない段階では、過去の高成長率への期待より支払う値段の安全域を優先する。今回の比較では、その安全域は見いだしにくい。
何で稼ぐ会社か
事業の中心は、人がいつどの街へ移動し、どの店を訪れたかを匿名化・推計したデータである。全国の提携アプリやビーコンなどから得た情報をBeacon Bankに集め、店舗や自治体が使える指標に変える。会社は会計上の単一事業だが、販売する役務を分析・可視化、行動変容、One to Oneの三つに分けて開示している。2026年6月期の売上は順に約15.1億円、24.6億円、9.1億円である。
分析・可視化では、来店者の居住圏、競合店との回遊、訪日客の動きを店舗網の意思決定や出店計画に提供する。自前の観測データは外部の生成AIが文章を書くだけでは作れない。もっとも、完成したレポートを納める作業や画面を操作して集計する機能は、顧客がAIエージェントで代替できる。契約先の多さそのものより、顧客の基幹業務にデータ供給がどれほど深く組み込まれているかが収益の寿命を決める。
行動変容サービスは、行動データから広告を届ける対象を絞り、来店や購買の増加を測定する。顧客が買うのは広告の閲覧数だけではなく、実際の店舗に人を呼んだという証拠だ。しかし広告枠そのものや最終消費者を独占しているわけではなく、広告媒体と配信基盤の主導権は大手プラットフォームにある。運用・制作・入札最適化に払う手数料はAIによって削られやすい。
One to Oneは小売りや自治体などのアプリ、顧客データ統合、個別の施策をつなぐ開発・運用が中心となる。継続収入といっても工数で積み上がる受託部分があり、席や人月の数がそのまま将来の価値になるわけではない。小売DX、リテールメディア、スマートシティなどの販売先区分も開示されるが、前述の三サービスと交差する分類であり、売上を二重に足さない。
2026年5月に取得したブログウォッチャーは位置情報分析の顧客、データ、配信技術を補強する。取得対価約7.48億円に対しのれんが約4.97億円発生し、借入約7.5億円も伴った。2027年6月期から本格連結となるため、買収を無かったものとして既存の数量だけを延長するのも、買収先の全売上を純増利益にするのも適切でない。
優良さと弱いところ
強みは全国の移動データを長年集め、店舗側の売上や来店という現実の行動に結びつけていることだ。共同利用型のBeacon Bankと蓄積された行動履歴は、個々の顧客が短期間で複製しにくい。リカーリング顧客176社、既存顧客売上継続率120%という公表値も、顧客当たりの利用拡大を示す。一方、売上継続率は解約率ではない。解約率5%未満、法令上の記録正本、繰り返した値上げの実績までは確認できず、全社を強固な独占基盤とは見なさない。
堀は広告よりデータの原料と分析結果を顧客の仕事に組み込む部分にある。広告運用には電通系代理店や媒体運営企業、位置分析にはKDDIやAgoop、NTTドコモ系のデータ企業が競合する。ブログウォッチャー統合は供給を厚くするが、似たデータを二重に保有する費用も生じる。2026年のジョイフル向け売上は約6.36億円、売上全体の約13%であり、データの多さを安定した値上げ力へ変えられるかは未検証だ。
資本効率は見かけほど安定していない。2020年と2021年には営業赤字を計上し、その後も2023年は利益がほとんど残らなかった。2026年のROE約14%は評価できるが、資本を追加して同じ利回りを稼げると証明した数字ではない。広告・受託の粗利が伸び悩む中でもエンジニアやインフラに投資を続ける必要があり、増収と増分ROICを分けて判断したい。
もう一つの弱さはデータの入口をすべて所有しているわけではない点だ。アプリの利用許諾、OSのプライバシー制限、提携先からのデータ供給条件が変われば、履歴が豊富でも新しい観測は減る。利用者の権利を守ることは必須であり、その費用を安易に削って維持できる堀ではない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
位置情報の分析需要には本物の成長余地がある。デロイトトーマツミック経済研究所は2025年度の国内位置情報分析・プラットフォーム市場を401.3億円とし、2030年度まで年13.1%の拡大を見込む。同社の分析・可視化売上15.1億円を単純に比べれば約3.8%に相当する。ただし市場の定義と同社の役務範囲は一致せず、公認された市場シェアではない。KDDI Location AnalyzerやAgoopなど通信網・アプリ接点を持つ企業との個別シェアも開示されていない。
広告の市場はさらに大きい。CARTA HOLDINGSなどの調査では2025年の国内リテールメディア広告支出は6066億円で、2029年に1兆3174億円へ拡大する予想だ。ただし約5236億円はEC事業者が中心で、実店舗向けは830億円である。unerryの行動変容売上24.6億円を市場全体で割った約0.4%は規模感にすぎず、代理店手数料と広告主支出が異なるため厳密なシェアではない。Amazonや楽天、量販店自身、広告代理店が広告主の予算を奪い合う。
顧客データ基盤にも投資は続く。ITRが示す2024年度の国内CDP市場は146億円で、顧客情報の統合は広がっている。しかし同社のOne to Oneには個別開発や運用が含まれるため、CDPソフトの売上と直接比較してシェアを主張できない。Salesforce、Adobe、Treasure Dataなどの標準製品を顧客が採用すれば、接続だけを請け負う会社の取り分は小さくなる。
10年先に市場全体が大きくなることと、unerryの取り分が増えることは同じではない。分析市場で独自データの提供者として残れれば、AIが分析の利用人数を広げる恩恵も受けうる。一方、広告の運用作業、レポート作成、システム構築は自動化し、店舗が媒体や顧客情報を内製化することも容易になる。市場統計の高い成長率を同社の長期数量にそのまま当てはめず、所有する原データと代替される役務を切り分ける必要がある。
地理的には国内小売・商圏分析への依存が強く、人口減少と地域間格差も残る。訪日客分析や自治体向けの需要が相殺する可能性はあるが、国内人口が増える前提にはしない。通信事業者と巨大広告媒体の資本力を考えれば、今後10年のシェアは固定ではなく、ブログウォッチャー統合後も継続的な証明が必要だ。
資本政策と M&A
経営の資本配分で最大の変化は2026年のブログウォッチャー買収である。約7.48億円を投じ、借入約7.5億円を新たに抱えたうえ、のれん約4.97億円が生じた。顧客とデータが補完的である点は理解できるが、買収先は2027年6月期に営業赤字と償却負担が見込まれ、買収資本の利益率が資本コストを上回ると判断するには早い。合併検討の成否と、二重のシステム・管理費用を実際に減らせるかが重要になる。
2026年9月には自己株269500株を約6.35億円で取得した。残る株主の持分比率は上がるが、帳簿上の自己資本と現金も同じだけ減った。これを2027年以降の株主還元予想に重ねて足さず、買戻し後の株数と資本を出発点にする。さらに新株予約権と株式報酬には将来の希薄化余地がある。
中期成長戦略では2028年6月期のunerry単体売上100億円を掲げ、営業利益率15〜25%を中長期の収益構造として目指している。これは2028年の連結利益を確約した数字ではない。添付の2027年6月期予想は売上75億円、純利益5億円だが、2026年8月の会社開示は連結売上80億円、純利益3.81億円であり、資本の流れは後者を初年度の参考にする。ROEの長期目標、配当性向、DOE、総還元性向、将来の自社株買い額については数字の約束がない。
2026年6月期までの配当はゼロであり、還元の確立した履歴はまだ乏しい。今回の買戻しという実績は余剰現金を株主に戻す姿勢として評価するが、成長投資と還元の両立を自動的に約束するものではない。将来の還元は各筋書きで稼ぐ利益と買収後の資金余力に応じて変える。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
Beacon Bankには、同じ場所を同じ方法で長期間観測し続けたこと自体に価値がある。位置情報は生成AIの文章とは違って、各企業が簡単に合成できる資源ではない。全国のビーコン網と提携アプリから集めたデータを長年つなぎ、実際の来店や購買の増分まで確かめられる点は、携帯電話会社や一般の分析ソフトに対抗する材料になる。リカーリング顧客176社と既存顧客売上継続率120%は、少なくとも今の顧客が用途を増やしていることを示す。
ブログウォッチャーの取得は、その弱点だった規模を補う。旧親会社のリクルート系や電通系との接点を引き継ぎ、両社のデータを合わせた商圏推計を店舗網の標準指標にできれば、新規顧客の開拓費を抑えながら客単価も増やせる。民間の小売企業だけでなく、観光、自治体、防災や交通政策にも提供先が広がる。独自データの分析契約では、文章や画面操作の自動化を通じて原価がむしろ下がる可能性もある。
国内の位置情報分析市場は2030年に向け二桁成長が予想され、実店舗向けリテールメディアもまだ立ち上がり期にある。人口が減っても、店舗を効率的に配置したいという顧客の動機はむしろ強まる。顧客が広告運用の費用を削ったとしても、データそのものを使う契約に支出を移せるなら、利益率15〜25%という会社の中長期像は無理な水準ではない。
近年の自社株買いは、成長企業であっても既存株主への資本効率を重視する姿勢を表した。追加買収をせず統合の収穫に集中し、データ契約の解約率と増分利益が改善すれば、10年後も一定の利益を自力で稼ぐプラットフォームになれる。
慎重な見方
価値があるのは人の移動データであって、データに基づいて人が手作業でつくる報告書や広告運用ではない。AIエージェントは媒体設定、効果測定、データの統合、提案書作成を安く自動化できる。売上の約半分を占める行動変容サービスでは広告枠を自ら独占しておらず、顧客がAIを利用し、媒体へ直接出稿すれば手数料は下がる。One to Oneの個別開発も、従来の人月が必要なくなるほど単価交渉が厳しくなる。
最も頼りになる分析サービスにも確かな独占権はない。スマートフォンのOSが位置情報の利用を制限したり、アプリの提携先が供給条件を変えたりすれば、網が広くても新しい記録を集められなくなる。KDDI、ソフトバンク系Agoop、NTTドコモなどの大手は通信・顧客接点と販路を持つ。顧客が利用する標準の分析基盤に取り込まれれば、独立したデータ提供者の価格交渉力は細る。
既存顧客売上継続率120%は解約が少ない証明ではなく、主要顧客への追加販売が大きければ一部顧客が離れても数字は維持される。買収したブログウォッチャーは独立後の管理・システム費用を負い、のれん償却も始まる。見かけ上の売上増加は買収によるものなのに、その資金を回収できるほど営業現金を増やせない可能性がある。
人口減少で全国の店舗網が縮む中、広告市場が拡大しても支配するのは大手ECと広告媒体である。立ち上がったばかりの利益水準に対して現在の時価総額は大きく、将来の成熟事業が資本コストを超える利回りを保てないなら、株主が払う値段の大部分は成長への期待だったことになる。
どちらに重みを置いたか
原データを集め続けられる強みは認めるが、広告運用と受託開発の収入まで10年保てるという主張には無理がある。分析サービスも全体が規制上の記録正本ではなく、買収先の統合効果はまだ利益で証明されていない。したがって上側30%に対し、やや悲観と悲観を合わせて39%とやや下に寄せた。これはAIの数量減少を確率で再度一律に差し引いたものではない。経営資本の配分と契約の継続性がまだ十分に確かめられない幅を表している。
中立では分析の価値が残り、広告・開発の縮小を相殺しきれない。現在の時価総額を正当化するには、単に市場が成長するだけでなく、分析契約数とその増分利益率が長年伸び続ける必要がある。現時点では慎重な見方が優勢で、結論は割高である。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 2,462 円86 億円(+ 還元の換算額還元の合計 174 円6 億円)。 今の値に割り戻すと 1,287 円45 億円、今との差 −48.2%、 期待の年率 +0.6%(資本コスト 7.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 6,309 円219 億円 | 680 円24 億円 | +181.5% | +11.7% | 839 円29 億円 |
| やや楽観 | 18% | 4,369 円152 億円 | 327 円11 億円 | +89.1% | +6.9% | 845 円29 億円 |
| 中立 | 31% | 2,272 円79 億円 | 109 円4 億円 | −4.1% | −0.4% | 738 円26 億円 |
| やや悲観 | 25% | 708 円25 億円 | 0 円0 億円 | −71.5% | −11.8% | 177 円6 億円 |
| 悲観 | 14% | 266 円9 億円 | 0 円0 億円 | −89.3% | −20.0% | 37 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,462 円86 億円 | 174 円6 億円 | +6.2% | +0.6% | 2,636 円92 億円 |
今の株価時価総額 2,483 円86 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 12% 統合データが商圏分析の標準へ育つ 利益 15 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 6,309 円219 億円
ブログウォッチャーとの統合が予定より滑らかに進み、重複するデータ基盤と管理体制を合理化できる。国内小売の商圏分析に加え、交通や自治体で観測データの共通指標として採用され、分析契約換算数は450社に増える。増加の大半は買収した契約と新しいデータ提供先によるもので、AIが調査書を自動作成するからという理由ではない。
店舗の広告出稿は外部媒体に依存したままで、AIエージェントが運用工数を奪う。広告の扱い数量は現在より増やさず、One to Oneも開発案件数の成長を見込まない。それでも独自データの提供による高い直接利益と共通費の削減が全体の利益を押し上げる。
営業利益率は20%を超え、買収資金の返済後も配当・買戻しの余力を確保する。大規模な追加M&Aはしないため、のれんを積み増すより顧客の継続性で勝負できる。データの価格交渉力が本物だったと確認される最良の10年である。
- 分析・可視化サービス:数量 450(継続顧客176社を基礎とする年間分析契約換算社数(推計、実際の同サービス契約社数ではない))× 価格 0.12(年間分析契約換算1社あたり売上(億円、名目))→ 売上 52 億円・営業利益 41 億円。既存顧客の維持に買収先と新規の分析契約を追加。価格は今の1.34倍以内で、直接粗利80%。
- 行動変容サービス(広告):数量 4,000(広告運用の年間店舗相当件数(広告案件を売上が年60万円の1店舗相当へ換算した推計))× 価格 0.01(店舗相当1件当たりの年間広告関連手数料等の売上(億円、名目))→ 売上 24 億円・営業利益 7 億円。広告運用はAI代替があるため案件換算件数は現状以下、単価据え置き。直接粗利29%。
- One to Oneサービス(個別開発・運用):数量 60.0(年1500万円の受託開発・運用案件相当件数(実案件数非開示のため推計))× 価格 0.20(受託・運用案件1件相当の年間売上(億円、名目))→ 売上 12 億円・営業利益 5 億円。工数数量は現状以下で単価のみ物価の範囲まで上昇。直接粗利42%。
倍率:k=7.75%、全社の10年以降名目g_long=0%、事業ROE17.3%・堀は普通で超過利益の持続割合1/2。RONIC=約12.54%、正当化PER=(1−0/RONIC)/(0.0775−0)=12.9032倍で上限そのもの。余剰現金2億円の税後利息0.028億円を純利益から除いて事業価値を求め、余剰現金2億円を額面で戻す。現在の市場PERは不使用。
確率:買収先とのデータ・顧客統合が成功し、分析基盤への新規契約を数年にわたり取り続ける必要がある。自社広告枠の独占がなく、上限側でも成長の条件が多いため12%。
やや楽観 18% 買収の相乗効果が利益に現れる 利益 9 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 4,369 円152 億円
ブログウォッチャーの既存顧客が離れず、Beacon Bankのデータと統合した分析機能を追加販売できる。商圏分析や訪日客分析が小売・行政に浸透し、分析契約換算は340社に増える。会社の中期戦略が掲げる高い利益率には届かなくても、共同インフラの使用で業務の重複が減り、データ契約の原価率が改善する。
広告運用はAIによる配信最適化が普及するが、広告による来店増分を測定する価値は残り、案件数は大きく崩れない。手数料は10年でわずかに改善する程度にとどまり、インフレ分をそっくり価格に乗せることはできない。受託開発は案件数を増やさず、人件費上昇を部分的に価格へ反映する。
運転資金とデータ取得費用は成長に応じて増す。買収のれんの償却があっても、共有基盤の運営費を抑えられれば営業利益率は10%台半ばに近づく。会社は大きな追加買収をせず、現金が残る範囲で継続的な還元を始める。
- 分析・可視化サービス:数量 340(継続顧客176社を基礎とする年間分析契約換算社数(推計、実際の同サービス契約社数ではない))× 価格 0.11(年間分析契約換算1社あたり売上(億円、名目))→ 売上 37 億円・営業利益 29 億円。買収・契約開拓の増分を分析基盤に集中。直接粗利78%。
- 行動変容サービス(広告):数量 4,000(広告運用の年間店舗相当件数(広告案件を売上が年60万円の1店舗相当へ換算した推計))× 価格 0.01(店舗相当1件当たりの年間広告関連手数料等の売上(億円、名目))→ 売上 25 億円・営業利益 7 億円。広告運用量は現状以下、データ付加価値の上乗せは10年3%にとどめる。直接粗利30%。
- One to Oneサービス(個別開発・運用):数量 60.0(年1500万円の受託開発・運用案件相当件数(実案件数非開示のため推計))× 価格 0.18(受託・運用案件1件相当の年間売上(億円、名目))→ 売上 11 億円・営業利益 4 億円。AI代替で数量は横ばい弱、名目単価1.17倍。直接粗利40%。
倍率:k=7.75%、全社長期g=0%、ROE約13.2%でkを上回る。RONIC=約10.48%となり、正当化PERは式の上限12.9032倍。余剰現金2億円に対する税後利息0.028億円を除いた利益に掛け、現金2億円を別建てで加算。
確率:位置分析の成長市場と既存の継続契約という根拠はあるが、AIが報告と広告運用を薄めるため、広告を高成長させずに統合利益を増やす確率を18%とした。
中立 31% データは維持するが役務のAI代替が進む 利益 4 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,272 円79 億円
位置情報分析は店舗網の効率化に不可欠な用途が残り、ブログウォッチャーの顧客・データも活用される。もとの176社に相当する分析需要は約158社分に縮むが、買収先などから約117社分の契約換算が加わり、全体で275社相当となる。価格は独自データの利用料には物価上昇を一部反映できるものの、集計画面とレポート部分は競争にさらされる。
広告運用の数量は現在の約73%へ低下し、手数料率の上昇は見込めない。One to OneはAIが受託工数を減らして数量が約75%となり、単価の名目上昇では全売上の減少を補えない。広告媒体や通信事業者との協業は続くが、顧客の販促施策を丸ごと請け負う優位は薄まる。
統合費用の合理化は一部成功するが、データの更新、セキュリティ、専門人材に固定費が残る。営業利益は黒字を保つ一方、蓄積した自己資本に対する利回りは約8%まで低下する。以後の成長率は広告と工数の代替を考慮してゼロ近辺となり、純利益の何年分もの高値を維持する理由は弱くなる。
- 分析・可視化サービス:数量 275(継続顧客176社を基礎とする年間分析契約換算社数(推計、実際の同サービス契約社数ではない))× 価格 0.11(年間分析契約換算1社あたり売上(億円、名目))→ 売上 29 億円・営業利益 22 億円。今の176社相当を0.90倍にし、買収先・新規の117社相当を加算。単価1.23倍。直接粗利76%。
- 行動変容サービス(広告):数量 3,000(広告運用の年間店舗相当件数(広告案件を売上が年60万円の1店舗相当へ換算した推計))× 価格 0.01(店舗相当1件当たりの年間広告関連手数料等の売上(億円、名目))→ 売上 18 億円・営業利益 5 億円。AIエージェント代替で数量4100から0.732倍へ縮み、運用単価は据え置き。直接粗利27%。
- One to Oneサービス(個別開発・運用):数量 45.0(年1500万円の受託開発・運用案件相当件数(実案件数非開示のため推計))× 価格 0.18(受託・運用案件1件相当の年間売上(億円、名目))→ 売上 8 億円・営業利益 3 億円。AIエージェント代替で数量0.746倍、価格1.20倍。直接粗利40%。
倍率:k=7.75%、長期g=0%、事業ROE約8.0%はkをわずかに上回る。堀は普通でRONIC約7.87%、正当化PERの上限は12.9032倍。純利益4.309億円から余剰現金税後利息0.028億円を除いた4.281億円にこの倍率を掛け、現金2億円を別に戻す。過去や現在の市場PERは不使用。
確率:位置データが残る構造的需要と実績ある大口顧客が下支えする一方、全体の約7割を占める広告と個別開発はエージェント自動化にさらされる。買収先の収入を足しても二桁増益が続かない中心見通しとして31%。
やや悲観 25% 競争で分析契約も減速する 利益 1 億円 · PBR 0.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 708 円25 億円
通信事業者が位置情報分析を標準製品に組み込み、小売の本部が複数社のデータを直接統合し始める。ブログウォッチャーの統合は重複費用を削る程度にとどまり、顧客の新規獲得は失速する。分析契約換算は205社と買収分を含んでも伸び悩み、画面とレポートの値下げ圧力が強まる。
広告は顧客のAIエージェントが直接媒体を操作し、案件相当数量は現在の約61%になる。One to Oneの受託開発も約58%に細る。広告枠を独占していないため価格を守れず、採算が合わない小口案件から撤退する。売上の減少に対して研究・データ基盤費は急に下げられず、営業利益はわずかしか残らない。
経営は追加M&Aを控え、手元の現金を保つことを優先する。ROEは2%に満たず、内部留保を積み上げても追加投資の価値は資本コストを下回る。事業を解散するのではなく、観測データの供給と少数の大口顧客を守って縮小する10年になる。
- 分析・可視化サービス:数量 205(継続顧客176社を基礎とする年間分析契約換算社数(推計、実際の同サービス契約社数ではない))× 価格 0.10(年間分析契約換算1社あたり売上(億円、名目))→ 売上 21 億円・営業利益 14 億円。買収分を含む顧客減少、価格は現在比約1.16倍にとどまる。直接粗利66%。
- 行動変容サービス(広告):数量 2,500(広告運用の年間店舗相当件数(広告案件を売上が年60万円の1店舗相当へ換算した推計))× 価格 0.01(店舗相当1件当たりの年間広告関連手数料等の売上(億円、名目))→ 売上 14 億円・営業利益 3 億円。広告運用数量0.61倍、手数料単価も低下。直接粗利22%。
- One to Oneサービス(個別開発・運用):数量 35.0(年1500万円の受託開発・運用案件相当件数(実案件数非開示のため推計))× 価格 0.17(受託・運用案件1件相当の年間売上(億円、名目))→ 売上 6 億円・営業利益 2 億円。人月数量約0.58倍、単価1.13倍。直接粗利31%。
倍率:終点ROE約1.8%は資本コスト7.75%を大きく下回るため、将来積み上がる自己資本を額面で評価しない。利益の稼ぐ力は純利益0.711億円÷資本コスト0.0775で約9.17億円となり、買戻し後の純現金を基礎とする売却可能資産の床約9.3億円に近い。事業の存続価値をわずかに加味した時価総額9.75億円を採用する。SCHEMA §1-3に従い、悲観側のPBRの分母には2036年の自己資本39.88864億円を使わず、現在の2026年6月期自己資本23.6億円を使用する。PBRは9.75÷23.6=0.413136倍であり、現在の自己資本に掛けた結果が時価総額9.75億円となる。買戻し後の実質自己資本17.28364億円とも区別し、終点自己資本に低い床のPBRを掛けて過大評価することを避けた。過去の市場PBRは使っていない。
確率:大手通信会社によるデータ供給と広告媒体の内製化が組み合わさる可能性を評価した。倒産に近い筋書きではなく、利益が資本コストを下回る局面なので25%。
悲観 14% データ供給力が崩れ構造赤字になる 利益 −4 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 266 円9 億円
スマートフォンのOS側で位置情報取得が一段と制約され、データ供給先との契約も縮小する。通信事業者は自ら観測できるデータを大手小売へ直接提供し、unerryが長年蓄積した履歴は新しい情報の更新頻度を失う。ブログウォッチャーとの統合は想定外の管理費を生み、のれんは実質的な価値を失う。
広告運用はAIエージェントによる内製化で数量が今の約39%へ急減し、単価も下がる。One to Oneでは汎用AIの導入支援だけが残り、受託案件数は約41%まで落ちる。データ分析契約も買収分を含め約140社相当に縮む。共有インフラと専門人員の固定費が残り、赤字が定着して追加投資を止めざるを得ない。
経営は買収を断念し、配当・買戻しを停止する。新しい借入を重ねず支出を削るとしても、利益の稼ぐ力は企業価値の根拠にならない。生き残った現金や換金できる資産のみが床となり、成長企業としての優良さは失われる。
- 分析・可視化サービス:数量 140(継続顧客176社を基礎とする年間分析契約換算社数(推計、実際の同サービス契約社数ではない))× 価格 0.09(年間分析契約換算1社あたり売上(億円、名目))→ 売上 12 億円・営業利益 6 億円。データ供給規制と大口顧客喪失で契約相当140社、単価も低下。直接粗利50%。
- 行動変容サービス(広告):数量 1,600(広告運用の年間店舗相当件数(広告案件を売上が年60万円の1店舗相当へ換算した推計))× 価格 0.00(店舗相当1件当たりの年間広告関連手数料等の売上(億円、名目))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。広告数量0.39倍で運用手数料が下落。直接粗利12%。
- One to Oneサービス(個別開発・運用):数量 25.0(年1500万円の受託開発・運用案件相当件数(実案件数非開示のため推計))× 価格 0.14(受託・運用案件1件相当の年間売上(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。受託数量0.41倍、単価下落。直接粗利25%。
倍率:最終年度に営業赤字約4.27億円となり正当化PERは意味を持たない。のれん4.97億円を売却資産から除き、買戻し後の純現金約9.3億円だけを下限とする。累積純損失で2036年自己資本が現在の自己資本23.6億円より小さくなったため、時価総額9.3億円を2036年の自己資本14.83364億円に対するPBR約0.627倍で表す。この筋書きでは終点自己資本が現在の自己資本を下回るため、将来の内部留保を高く評価する問題は生じない。過去の市場PBRは不使用。
確率:外部アプリ・OSの同意規制強化と広告AI代替、買収統合の失敗が同時に起こる複合条件である。継続企業の前提が今すぐ危ういわけではないため14%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
分析・可視化サービス
Beacon Bankを用いた商圏・来店・観光・移動の分析、顧客向けの可視化基盤とデータ供給。独自データに価値があるが、レポート制作と画面操作にはAI代替リスクがある。
| 数量継続顧客176社を基礎とする年間分析契約換算社数(推計、実際の同サービス契約社数ではない) | 価格年間分析契約換算1社あたり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 176 | 0.09 | 15 | 13 |
| 10 年後 中立 | 275 | 0.11 | 29 | 22 |
取り方:会社開示のリカーリング顧客176社・全社の年間顧客単価約2500万円と、同年度の分析・可視化売上15.14億円を組み合わせる。サービス別の契約数は非開示なので、全社顧客を分析契約換算の分母とし、単価860万円/社年を逆算した参考値であって実際の分析顧客数ではない。分析データの供給は独自データ型(中立既存数量0.85〜1.0、価格1.15〜1.34倍)に近いが、可視化画面や調査レポートは席・人月型(中立数量0.70〜0.90倍)として評価する。粗利益相当12.94億円は共通費控除前の推計値。ブログウォッチャーの2026年買収後の増分は2036年数量へ別に織り込む。
行動変容サービス(広告)
位置情報から配信対象を絞り、外部媒体の広告運用と来店・購買効果の検証を受託する。自社独占の広告枠を保有する事業ではない。
| 数量広告運用の年間店舗相当件数(広告案件を売上が年60万円の1店舗相当へ換算した推計) | 価格店舗相当1件当たりの年間広告関連手数料等の売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 4,100 | 0.01 | 25 | 7 |
| 10 年後 中立 | 3,000 | 0.01 | 18 | 5 |
取り方:会社の行動変容売上24.60億円は開示値だが、配信店舗数・広告件数・平均手数料は非開示。月1250万円の広告費等を投じる250店舗の小売チェーンを仮想例とすると店舗年60万円であり、年間4100店舗相当と換算できる。これは実店舗数を示さない数量の感応度指標で、代理店市場の広告主総支出とは定義が異なる。AIエージェント代替の広告運用・制作型なので中立件数は10年0.55〜0.75倍、実質手数料に物価上昇を転嫁しない。6.59億円は直接粗利益相当の推計値。
One to Oneサービス(個別開発・運用)
顧客データ統合やアプリ・業務システム接続、顧客別に設計した施策の開発と運用。人月型の役務が多く、AIエージェントによる工数削減圧力を受ける。
| 数量年1500万円の受託開発・運用案件相当件数(実案件数非開示のため推計) | 価格受託・運用案件1件相当の年間売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 60.3 | 0.15 | 9 | 4 |
| 10 年後 中立 | 45.0 | 0.18 | 8 | 3 |
取り方:会社開示One to One売上9.05億円を、年1500万円の案件相当という仮定で約60.3案件に換算した。案件別売上・人月数・受注件数は非開示であり実件数ではない。CDPの市場統計146億円はソフト売上で、この役務の分母として同一視しない。AIエージェント代替の人月・工数型なので中立数量は10年0.55〜0.75倍、価格は物価の10年累積1.34倍が上限。3.66億円は直接粗利益相当の推計値。
リスクと懸念
AI エージェント代替
広告配信の設定、広告制作、効果測定の報告、One to Oneの開発・運用は、人手での工数や広告運用の役務から収益を得る。AIエージェントが一連の仕事を自動で実施すれば、顧客が内部で済ませる業務が増え、案件数も手数料も削られる。原データの希少性だけでは全売上を守れず、分析画面も同じ影響を受ける。
位置情報の利用規制とデータ供給先への依存
位置情報は取り扱いに慎重さが求められる。AppleやGoogleの権限制御、利用者の同意、提携アプリのデータ提供契約、個人情報保護のルールが変われば、観測件数の減少と取得費の上昇が同時に起こる。過去に蓄積した履歴だけで最新の人流を推計し続けることはできない。
ブログウォッチャー買収の回収
買収対価約7.48億円とのれん約4.97億円は、同社にとって小さくない投資である。独立後に必要となった管理費用やデータ基盤の二重運営、追加開発が残れば、会計上の売上だけ増えて資本の利回りは下がる。のれん償却後の実際の営業現金の増分が、借入金の返済と将来の更新投資を賄えるかを確認する必要がある。
巨大企業とのシェア競争
KDDI、Agoop、NTTドコモ系企業は端末・通信・アプリなど独自の観測網を持ち、広告配信ではGoogle、Meta、楽天、Amazonと大手代理店が予算の配分を握る。独立した分析会社が強みを保つには、データ精度と店舗への実際の成果を示し続けなければならない。市場成長率だけから同社のシェア増を保証できない。
資金繰りと株主の取り分
2026年の買収では借入が増え、その後の自己株取得で現金が減った。通常時は純現金が残るが、顧客からの回収と広告出稿の立替、データ調達費用は同時に動く。後続の投資が重なれば資金余力は乏しくなる。新株予約権や株式報酬による希薄化も現在株主が受け取る価値を薄めうる。
ジョイフルへの顧客集中
2026年6月期の有価証券報告書では、ジョイフル向けの売上が約6.36億円に達し、連結売上の約13%を占める。大口顧客との契約更新や内製化の判断が変われば、データ分析と広告運用の両方の稼ぎが急に減りうる。買収で顧客数を増やしても、大口先への依存が十分に薄まるまで利益の安定性を高く評価できない。
市場統計と実際の収入のずれ
リテールメディアの市場規模は広告主の支出総額であり、unerryの取り分である手数料や運用売上とは異なる。位置分析市場やCDP市場にも定義の差があり、公開された同業各社の厳密なシェアは乏しい。市場が二桁成長しても、媒体やソフト提供者へ利益が移り、同社が取り分を増やせない恐れがある。
今後の分かれ目
- ブログウォッチャー統合後、共通費が明確に減り、のれん償却後の連結営業利益率が15%を2期以上維持したら
- 独自データの規模の経済が表れているため、分析事業の利益率と中立の投下資本利益率を引き上げ、上側の筋書きの比重を増やす。
- 広告運用の案件数が伸びても売上総利益率が数期連続で低下したら
- AIエージェント代替や媒体手数料の圧縮が進んだと解釈し、広告の価格と数量をやや悲観側へ近づける。
- 分析・可視化の解約率5%未満と複数年にわたる実質値上げが具体的な数字で公表されたら
- 独自データ部分の堀をより強く評価し、その事業だけは長期の名目成長率を1〜2%へ見直す根拠ができる。
- 位置情報の取得同意率や外部アプリ由来のデータ量が大きく落ち込んだら
- 分析契約の数量だけでなく、広告効果測定の品質も損なわれるため、全サービスの売上と利益を悲観側へ修正する。
- 買収後の借入と運転資金負担が増え、新たな株式発行を行ったら
- 会社全体の企業価値に増資現金を加える一方、既存株主の持分割合を改めて低下させ、1株当たりの価値が薄まるかを検証する。
- 広告運用を除いた継続データ契約の顧客数と顧客当たり売上が、AI普及下でも成長を続けたら
- モデルの中心である分析の数量・単価を引き上げ、広告・受託の縮小を補うことが持続的か確認する。
見ておくもの
- 分析・可視化、行動変容、One to One各サービスの売上と粗利の推移
- リカーリング顧客数176社を起点とした増減と、売上継続率120%の変化
- ブログウォッチャーとの合併判断、のれん償却額と重複費用の削減実績
- 独自位置情報データの取得可能量、提携アプリ数と利用者同意率
- 広告案件数・単価・直接原価率の分離開示とAI運用の内製化率
- データ提供契約の解約率、継続価格改定の実績と利用範囲拡大
- 新株予約権・株式報酬の行使、自己株取得後の発行済み控除株数
- 2028年6月期単体売上100億円計画と営業利益率15〜25%の進捗
倍率と資本コストの決め方
現在の株価と株数は最後の比較にだけ使い、サービス別の数量・価格と利益を先に積んだ。分析の数量は176社という開示KPIと買収先の増分、広告・開発は非開示のため案件換算の推計である。物価3%は価格だけに反映し、AI代替による数量減少と長期g=0%を寿命リスクへ二重計上しない。
中立の2036年純利益4.309億円と自己資本53.879億円は、買戻し後の自己資本17.284億円に2027年以降の利益を概算で足し、将来還元4億円を控除した結果である。10年後PERは市場倍率でなく、k7.75%と長期g0%からの正当化上限12.90倍とする。余剰現金2億円は利息を利益から外して別建てで数える。
2026年9月の買戻しは株数・自己資本・現金に反映済みで、将来還元に重複加算しない。2027年4月以後に始まる年度からの新リース会計の表示変更があっても、賃借料を重ねて費用化せず、同じ損益概念で比較する。
悲観側のPBRは将来に蓄積した自己資本を不当に高く評価しないよう確認した。特にやや悲観では、終点自己資本39.88864億円ではなく現在の自己資本23.6億円を評価分母とし、PBR0.413136倍で時価総額9.75億円となるよう修正した。悲観では終点自己資本が現在を下回るため、従来の資産評価を維持した。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債3.0%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%に、事業の利益変動+0.5%と純現金−0.25%を足す。個別買収リスクは筋書きと確率で表す。