結論
CRI・ミドルウェアは、ゲームや自動車の内部で音声・映像を処理する技術を提供する会社である。筆者の結論は「やや割安」だ。ゲーム開発現場で積み重ねた採用実績と、車載向けライセンスの拡大余地に対し、現在の時価総額は約63億円にとどまる。しかも2025年9月期末には約32億円の純現金があり、事業を育てる時間を買える財務を持っている。
強みは、人が画面で操作するソフトではなく、ゲームや車両が動くたびに裏側で働く技術を売っていることだ。ゲーム向けCRIWAREの累計ライセンスは2026年6月末に10,723件となった。国内の主要ゲームに広く採用され、開発者が慣れた制作工程を簡単には捨てないことが、顧客との関係を支える。車載向けもADXATとGlasscoの採用台数が増えている。ゲーム一本足から抜け出せれば、収益の安定性は一段高まる。
ただし、2030年に売上高100億円を目指す中期計画を、そのまま将来の実力と認めることはできない。インドの現地自動車メーカー向けは2026年8月時点で売上実績がなく、通信向けTeleXusの用途開拓にも不確実性が残る。音響制作や個別の受託開発は、AIエージェントによる工数削減と内製化の影響を受けやすい。実際、2026年9月期第3四半期累計では売上が増えながら営業利益は前年を下回り、成長投資の負担も表れている。
10年後の中立では売上高約67億円、営業利益約12億円を見込む。会社計画より慎重だが、車載向けの伸びとゲーム技術の継続採用を認める筋書きである。さらに海外展開が成功する可能性を残しつつ、技術競争に敗れる場合も厚く評価した。5つの筋書きを資本コストで現在価値に直した期待値は約81億円で、基準時価総額を約27%上回る。ただし価値の一部は海外車載と通信分野の成功に依存するため、安全域は十分に大きいとまでは言えない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主にとって、CRI・ミドルウェアの魅力は、ソフトを一度採用した開発会社や自動車メーカーから継続して対価を得られることにある。顧客は単なるファイル圧縮の機能ではなく、開発期間を短くし、不具合を減らし、複数の機種で同じ品質を保つ仕組みを買っている。この仕組みが制作工程や車両開発工程に深く組み込まれるほど、収入の予測はしやすくなる。
しかし、繰り返し使われる技術と、永久に競争力を保てる技術は違う。ゲームエンジンの標準機能が充実すれば外部ライブラリの価値は下がり、車載機器の処理方式が変われば設計のやり直しが起こる。既存製品からの利益を維持するためにも研究開発は欠かせない。会計上の純利益をすべて自由に配れるお金と考えず、次の世代に採用されるための技術投資を差し引いて考えるべきだ。
資本配分についても、現金を厚く持つことは評価できるが、それだけでは足りない。直近のROEは資本コストを上回るものの、圧倒的な差ではない。海外営業拠点の拡充や新規技術への投資が成功し、増えた利益が増えた投資を十分に上回れば、本当の経済的価値が生まれる。逆に売上だけが膨らみ、研究開発費と買収費用が同じ速度で増えれば、株主の取り分は小さいままだ。
筆者が最も重視するのは、車載ライセンスの数量増加が一過性の受注ではなく、継続して利益と現金に転換されるかである。国内ゲーム向けの実績だけなら、高い成長率を永久に期待するのは難しい。だが、車載市場への技術転用は既に採用実績があり、単なる構想ではない。現在の価格には計画未達の危険を吸収できる一定の余地がある。ただし海外展開の実績が不十分な現段階では、強い確信を持って高い値段まで追いかける会社ではない。
何で稼ぐ会社か
事業の中心は、ゲームや機器を動かすソフトの内部に組み込まれる音声・映像技術である。CRIWAREはゲームの音を再生し、動画を圧縮し、制作工程を助ける。顧客が自社で同じ機能を作る場合、開発者の確保、品質検証、機種別の調整、発売後の保守まで負担する必要がある。外部の専用技術を使えば、その手間を減らしてゲーム本体の制作に集中できる。
2025年9月期の開示上の区分はゲーム事業とエンタープライズ事業で、売上高はそれぞれ約18億円、約16億円だった。ゲーム事業にはCRIWAREなどのライセンスと、子会社ツーファイブによる音響制作が含まれる。ゲーム向けは契約時の対価だけでなく、作品の販売や運営に応じた利用料を受け取る形もある。既に採用された作品から収入が続く半面、開発会社の新作投入数や作品の売れ行きにも左右される。
エンタープライズ事業では、自動車の音響制御向けADXAT、車載表示向けGlassco、オンライン通信向けTeleXus、Web動画やクラウド配信、カラオケ機器などの組込み技術を扱う。車載向けは車両への搭載台数がライセンス収入の基本となるため、受託開発より数量を追いやすい。一方、通信や業務向けの一部には個別開発や導入支援があり、専用技術の使用料と人が働いた対価が混在する。
会社の説明では、グループ全体のライセンス収入と受託・制作などの比率はおおむね7対3である。筆者はこの構造を踏まえ、技術ライセンス5区分と、人の作業に依存する3区分に分解した。後者にはAIエージェント代替による数量の縮小を明示的に織り込んでいる。細かな区分別売上や販売単価は会社が開示していないため、以下の内訳には推計が含まれる。
優良さと弱いところ
この会社の堀、つまり競合が簡単には奪えない強みは、音響技術そのものより開発現場との長い関係にある。ゲームの発売直前に音声システムを交換すれば、音の聞こえ方、性能、各機種での動作を再検証しなければならない。CRIWAREの累計採用数と主要ゲームでの利用率は、その手間を引き受けてもらうだけの実績があることを示している。2026年にはGodotへの対応も発表しており、新しい開発環境との接点を維持しようとしている。
もっとも、堀を過大評価してはならない。世界にはAudiokineticのWwise、各種ゲームエンジンの標準機能、競合の動画・音声ライブラリが存在する。主要作品で採用されていることと、世界市場で独占していることは違う。開発者の切替負担は確認できても、継続的な大幅値上げや極めて低い解約率を示す定量資料は得られていない。このため、企業全体を強い独占的な堀とは判定しない。
2025年9月期の自己資本利益率は約10%で、過去10年の中央値約9%を上回る。ただし資本コスト7.5%との差は大きくない。売上高は2018年の約16億円から2025年には約34億円へ伸びたが、営業利益は約4億円から約6億円への増加にとどまる。技術を一度作れば限界費用が低いという魅力はあるものの、海外営業、研究開発、買収した事業の運営で費用も増えた。過去の数字だけで増分投下資本利益率が高いと断定するのは難しい。
純現金が約32億円あり、自己資本比率が約70%という財務は明確な長所だ。研究開発の失敗を数年吸収する余力がある。一方、現金を抱えること自体は高い資本効率を生まない。採用台数の拡大と研究開発費の増加を比べ、増分利益が資本コストを超えるかを確かめ続ける必要がある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ゲーム向けミドルウェアの市場は、ゲーム産業全体とは分けて考える必要がある。会社資料では世界のゲームコンテンツ市場を2024年に約31兆円としているが、これは音響ソフトの市場規模ではない。仮にゲーム産業の支出の0.05~0.10%が同社の競争する音声・映像開発技術に向かうとすれば、世界の対象市場は約155~310億円となる。これは公表された市場統計ではなく、競争余地を測るための試算だ。ゲーム向け技術ライセンス売上の推計約13億円との比較では、世界シェアは約4~8%に相当するが、定義次第で大きく変わる。
国内では2026年6月時点で、売上上位スマートフォンゲーム100作品の約34%に採用されていると会社が説明している。家庭用ゲームでも主要作品への採用実績が厚い。ただし、これらは対象を限定した採用率であり、国内ゲーム全体や世界市場の売上シェアを意味しない。今後10年の国内新作本数は大きく増えないと考える。中立では海外への展開と制作環境への対応によって、ゲーム向けの年間新規採用件数が緩やかに増えるとみる。Wwiseやゲームエンジン標準機能が優位になれば、逆に採用率は下がる。
より大きな成長余地は車載向けである。会社資料では世界の四輪車生産が年間約9,000万台、二輪車が約5,700万台という規模を示している。ADXATは主に車載音響、Glasscoは表示機器向けであり、搭載される車両や機能によって契約の対象が異なる。2025年の両製品の新規ライセンス数量を約869万件とみると、世界の車両生産に対して拡大の余地はある。ただし一つの車両に複数の製品が入る可能性があり、その比率をそのまま車両シェアとは呼べない。競合には車載向け独自開発、音響処理用半導体、Kanziなどの画面開発基盤がある。競合各社の同一定義による台数シェアは確認できない。
中期計画は2030年にADXATの年間搭載2,000万台、Glasscoの年間搭載1,500万台を目標としている。インドの二輪車市場に進出できれば数量は大きく増えるが、現地メーカー向けの売上実績はまだ確認できない。オンライン通信も、メタバース全体の市場予測をそのまま同社の売上機会にはできない。通信技術の選択肢にはAgoraなどがあり、顧客の利用量と継続課金を確保できるかが先決である。
AIの影響は事業によって逆向きになる。機器の内部で音声を再生・圧縮する技術は、AIエージェントが普及しても必要になりうる。一方、音声制作や個別の実装作業は自動化されやすい。基盤技術と人月型の仕事を区別しなければ、10年後の収益力を見誤る。
資本政策と M&A
経営陣は2025年11月に中期経営計画「2026-2030」を公表した。2030年9月期の目標は売上高100億円、営業利益率20%、ROE15%以上であり、ライセンス収入比率を60~70%とする方針である。2028年9月期には売上高60億円、営業利益率13%という中間目標も示した。2030年の売上構成目標はゲーム30億円、モビリティ40億円、オンライン20億円、組込み10億円である。数字は具体的だが、2025年の実績から短期間で大きく伸ばす計画であり、達成を当然視してはならない。
株主還元は連結配当性向30%を目安とし、中間・期末の年2回の配当を基本方針としている。DOE、総還元性向、自社株買いの年間金額については数字の約束がない。2021年以降は配当を実施し、2024年から2025年にかけて増配した。従って、余剰現金が全く株主に戻らないとは考えないが、利益の半分以上を安定して還元してきた会社とも言いにくい。
買収では2018年のウェブテクノロジ、2019年のツーファイブが技術と顧客基盤を広げた。一方、ゲーム開発受託を含む過去の事業再編や2022年9月期の最終赤字は、買収すれば必ず収益が高まるわけではないことを示した。今後も海外販売網や周辺技術を買う可能性があるが、売上高100億円という目標を埋めるための高値買収は、長期株主にとって望ましくない。
純現金のうち事業運営に必要な余裕資金を除いた約18億円を現時点の余剰資金とみる。過去の配当と株数の推移から、余剰現金の株主への実質的な戻り方は帳簿価額の75%と評価する。2026年には東証グロース市場からスタンダード市場へ移行したが、それ自体を企業価値の増加とは扱わない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ゲーム向け技術が10年以上使われてきたという事実は、単なる一時的なヒット商品とは異なる。CRIWAREは累計採用ライセンスが1万件を超え、スマートフォン向けでも家庭用ゲーム向けでも主要作品に採用されている。制作工程に慣れた開発者が多く、新作でも採用が続くことが強みだ。Godotへの対応や中国を含む海外営業を広げれば、国内市場の伸びが鈍っても新規ライセンスの獲得を続けられる。音響処理は人が使う画面と違い、AIが制作作業を助けてもゲームや機器の内部に残る機能である。
より大きな機会は自動車向けだ。ADXATは車載音響、Glasscoは表示機器という異なる用途に入り込める。既に両製品で採用数量が増えており、2030年に合計3,500万件の年間搭載を目指す計画にも事業上の筋道がある。海外自動車メーカーとの契約が成立すれば、国内での実績を活用して複数モデルに横展開できる。一度量産車両に採用された技術は車種の寿命に沿って収入を生むため、新規受託案件より見通しを立てやすい。
財務は純現金が厚く、研究開発と海外展開を自己資金で進められる。ライセンス型の収入が増えれば売上原価の伸びを抑えやすく、追加の売上が利益へ大きく変わる。国内ゲーム事業から生まれた技術を車載・通信へ移す経営の方向も合理的だ。海外顧客の開拓が成功した場合、現在の売上規模に対する成長余地は極めて大きく、今の時価総額は将来の成功を十分には反映していない。
慎重な見方
累計採用が多いことと、次世代の標準を握れることは同じではない。ゲーム開発者はWwiseやエンジンに内蔵された機能を使える。音声・動画の圧縮技術も標準化が進むため、顧客が求める機能を競合が低価格で提供し始めれば、過去の採用実績だけでは値上げできない。ゲーム向けの新規契約が減るだけでなく、既存タイトルの運営が終われば使用料も減る。国内の上位ゲームで採用率が高いほど、国内だけでさらにシェアを伸ばす余地は小さい。
車載向けにも落とし穴がある。自動車メーカーは開発から量産まで時間がかかり、量産予定を前提とした採用見込みがそのまま売上になるとは限らない。特にインドの現地メーカー向けは2026年8月時点で売上実績がない。会社が示す2030年の搭載数量は目標であって確定受注ではない。海外メーカーが独自開発や競合技術を選べば、営業費用だけが先行する。車載技術で採用が増えても、単価が低く、研究開発費を回収できなければ利益の伸びは限定的だ。
オンライン通信向けも、採用企業が増えたというだけでは安心できない。利用量に応じた継続収入が積み上がらなければ、個別開発案件の繰り返しになる。音響制作や導入支援ではAIエージェントが人の作業を減らし、売上数量と単価を同時に圧迫する。過去には買収と事業再編を経ながら、売上成長ほど利益が伸びなかった時期がある。将来の海外市場が大きいという理由だけで、高い利益率や強い競争優位を先取りすることはできない。現在の純現金は下値を支えるが、失敗した買収や投資で使ってしまう可能性もある。
どちらに重みを置いたか
技術の必要性と財務の強さでは前向きな見方に説得力がある。ゲームや車両の内部で動く基盤技術は、業務画面や単純な受託作業ほどAIに置き換えられやすいものではない。一方、2030年の会社目標には海外車載と通信分野の大幅な拡大が必要で、インド現地メーカー向けの未収益化は無視できない。そこで確率は上側24%、下側42%と慎重な側へ寄せた。ただしAIの影響そのものは人月型業務の数量と長期成長率に反映済みであり、確率では海外契約と事業開発の不確実性を主に評価した。期待価値は基準時価総額を約27%上回るため、結論はやや割安となる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/09 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 2,714 円142 億円(+ 還元の換算額還元の合計 322 円17 億円)。 今の値に割り戻すと 1,541 円81 億円、今との差 +27.3%、 期待の年率 +10.3%(資本コスト 7.5%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 9,712 円508 億円 | 937 円49 億円 | +779.4% | +26.5% | 745 円39 億円 |
| やや楽観 | 17% | 5,071 円265 億円 | 536 円28 億円 | +362.9% | +17.9% | 953 円50 億円 |
| 中立 | 34% | 2,638 円138 億円 | 363 円19 億円 | +147.9% | +10.3% | 1,021 円53 億円 |
| やや悲観 | 27% | 676 円35 億円 | 134 円7 億円 | −33.1% | −4.3% | 219 円11 億円 |
| 悲観 | 15% | 620 円32 億円 | 38 円2 億円 | −45.7% | −6.1% | 99 円5 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,714 円142 億円 | 322 円17 億円 | +150.7% | +10.3% | 3,036 円159 億円 |
今の株価時価総額 1,211 円63 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 7% 海外車載の量産採用が広がり、音と映像の共通基盤へ成長 利益 33 億円 · PER 14.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 9,712 円508 億円
ゲーム向けCRIWAREは、国内の主要作品での採用率を保ちつつ、中国と欧米の新規開発会社へ浸透する。Godotを含む複数の開発環境への対応が実を結び、年間新規採用は2,100件相当まで増える。Wwiseなどとの競争は続くものの、音質と開発効率を評価する顧客が増え、機能高度化が使用料の上昇にもつながる。
車載向けは大きな転機を迎える。インドの二輪車メーカーだけでなく、四輪車の量産車種でもADXATとGlasscoが広く採用される。年間ライセンス件数は合計5,200万件へ拡大し、音響と表示の技術を使い分けながら採用先を広げる。TeleXusもゲーム外の業務・通信サービスへ浸透し、継続収入のある製品へ育つ。ライセンス型の売上が増えることで利益率は大きく上がる。
音響制作や個別受託はAIエージェントによる省力化を受け、案件数量が現在を下回る。その一方で製品ライセンスの拡大が十分に上回り、10年後の売上高は約175億円となる。研究開発と海外営業には多額の投資が必要だが、投資した資本が高い利益を生み、経営は配当と自社株買いも続ける。
- ゲーム向け音声・映像ミドルウェア:数量 2,100(年間新規採用ライセンス相当件数)× 価格 0.02(新規採用1件相当当たり年間認識売上高(億円))→ 売上 40 億円・営業利益 12 億円。年間新規採用2,100件相当。海外シェア拡大と高付加価値機能の増加。
- ゲーム音響制作・収録受託:数量 90.0(年間制作案件相当件数(推計))× 価格 0.07(制作案件1件当たり認識売上高(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替で制作案件数は現状の0.90倍。単価の上昇は物価相当以内。
- モビリティ向けADXAT・Glasscoライセンス:数量 5,200(年間ライセンス搭載数量(万件、2製品合計で車両数と異なる))× 価格 0.02(1万ライセンス件数当たり年間認識売上高(億円))→ 売上 78 億円・営業利益 25 億円。年間5,200万ライセンス件数。インド・海外四輪への量産横展開。
- オンライン通信向けTeleXus:数量 350(年間有償利用契約相当件数(推計))× 価格 0.08(有償利用契約1件相当当たり認識売上高(億円))→ 売上 26 億円・営業利益 5 億円。ゲーム外の通信・業務サービスでも継続利用が広がる。
- Web動画・クラウド配信ライセンス:数量 90.0(年間有償利用顧客相当数(推計))× 価格 0.07(有償利用顧客1社相当当たり認識売上高(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 2 億円。動画・クラウド技術を継続利用する顧客が増える。
- Web・クラウド個別開発と導入支援:数量 19.0(年間個別開発案件相当件数(推計))× 価格 0.13(個別開発案件1件相当当たり売上高(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替を織り込み、案件数量は現状の0.95倍。
- カラオケ・産業機器向け組込みライセンス:数量 30.0(年間採用機器プラットフォーム相当数(推計))× 価格 0.39(採用プラットフォーム1件相当当たり年間認識売上高(億円))→ 売上 12 億円・営業利益 3 億円。カラオケ・産業用機器で量産採用先を拡大。
- カラオケ・組込み機器の個別開発受託:数量 26.0(年間組込み開発案件相当件数(推計))× 価格 0.15(組込み開発案件1件相当当たり売上高(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替により工数型案件の数量は現状の0.87倍。
倍率:資本コストkは7.5%、長期名目成長率gは1.2%、堀の残存割合は1/2。余剰現金45億円に対応する税後利息0.63億円を除いた事業純利益は31.97億円、事業自己資本111億円に対するROEは28.8%。RONIC=7.5%+0.5×(28.8%-7.5%)=約18.15%。正当化PER=(1-1.2%÷18.15%)÷(7.5%-1.2%)=約14.824倍とする。余剰現金45億円の75%を別に加え、時価総額約507.7億円となる。10年累計純利益を約164億円、還元を49億円とし、期首自己資本41億円から156億円へ積み上がる流れに合わせた。
確率:2030年の会社計画を通過点として、海外自動車メーカーと新たなゲーム開発企業の双方で採用を拡大する筋書きである。既存の技術と国内実績はあるが、インド現地メーカー向けなど未収益化の契約も多いため、成立確率は7%にとどめる。音響制作・個別受託の数量については、AIエージェント代替を無視した増加を認めていない。
やや楽観 17% 車載と海外ゲームが計画に近い成長を遂げる 利益 17 億円 · PER 14.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 5,071 円265 億円
ゲーム向けは国内の採用率を維持し、中国・欧米で新規顧客が増える。海外の音響ミドルウェアやゲームエンジンの標準機能との競争で独走はできないが、CRIWAREに慣れた開発者の支持が続く。年間新規採用は1,700件となり、機能追加と複数機種への展開によって契約当たり売上も増える。
車載向けはADASなどの機器高度化と車内表示の複雑化を追い風に、ADXATとGlasscoの合計ライセンス件数が年間3,700万件へ増加する。国内メーカーに加えて海外の量産モデルにも採用される。TeleXusも一部の通信サービスで定着するが、世界標準になるほどではない。ライセンス売上が増えるため、営業利益率は現在より改善する。
音響制作と顧客別開発にはAIエージェントによる工数削減が進み、案件数量は減少する。しかし収益の主役が車載・ゲームの技術使用料へ移るため、全社では売上高約110億円、営業利益約23億円に届く。買収は小型案件に限られ、資本を大きく毀損しない。配当性向30%程度の還元を続けながら、財務の余裕を保てる。
- ゲーム向け音声・映像ミドルウェア:数量 1,700(年間新規採用ライセンス相当件数)× 価格 0.02(新規採用1件相当当たり年間認識売上高(億円))→ 売上 28 億円・営業利益 7 億円。年間新規採用1,700件相当。国内維持と海外開拓が並行。
- ゲーム音響制作・収録受託:数量 85.0(年間制作案件相当件数(推計))× 価格 0.07(制作案件1件当たり認識売上高(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替で案件数は0.85倍。単価の増加は物価の範囲。
- モビリティ向けADXAT・Glasscoライセンス:数量 3,700(年間ライセンス搭載数量(万件、2製品合計で車両数と異なる))× 価格 0.01(1万ライセンス件数当たり年間認識売上高(億円))→ 売上 48 億円・営業利益 13 億円。海外車載メーカーの採用が増え年間3,700万件。
- オンライン通信向けTeleXus:数量 180(年間有償利用契約相当件数(推計))× 価格 0.06(有償利用契約1件相当当たり認識売上高(億円))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。通信向け利用契約が積み上がり黒字化。
- Web動画・クラウド配信ライセンス:数量 60.0(年間有償利用顧客相当数(推計))× 価格 0.06(有償利用顧客1社相当当たり認識売上高(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。クラウド製品の継続契約が増える。
- Web・クラウド個別開発と導入支援:数量 17.0(年間個別開発案件相当件数(推計))× 価格 0.12(個別開発案件1件相当当たり売上高(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替で案件数量は0.85倍。
- カラオケ・産業機器向け組込みライセンス:数量 23.0(年間採用機器プラットフォーム相当数(推計))× 価格 0.35(採用プラットフォーム1件相当当たり年間認識売上高(億円))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。新たな機器プラットフォームへ採用が広がる。
- カラオケ・組込み機器の個別開発受託:数量 20.0(年間組込み開発案件相当件数(推計))× 価格 0.15(組込み開発案件1件相当当たり売上高(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替で受託案件数は現状の0.67倍。
倍率:余剰現金36億円の税後利息0.504億円を除いた事業純利益16.296億円と事業自己資本72億円から事業ROEは約22.63%。k7.5%、残存割合1/2からRONIC約15.07%、g1.2%で正当化PERは約14.609倍。余剰現金の戻り方75%を別に加えて時価総額約265.1億円とする。10年累計純利益約95億円から還元28億円を差し引けば、自己資本は41億円から108億円へ増える。
確率:ゲーム向け技術の海外販路と車載向けの量産採用が進む可能性は認めるが、すべての新規事業が同時に成功するわけではない。2030年の経営目標に近い成長を実現するには継続的な営業開拓が必要なため17%とする。
中立 34% 車載が伸びるが、海外展開と通信事業は計画未達 利益 9 億円 · PER 14.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,638 円138 億円
ゲーム向けは国内の主要作品で利用され続けるが、市場全体の新作本数は大きく増えない。海外展開は進むものの、Wwiseやゲームエンジン標準機能との競争で獲得できるシェアは限定的だ。年間新規採用は1,450件相当となり、現在より少し増える。契約単価は物価と機能高度化の効果で上昇するが、大幅な独占的値上げはできない。
車載向けでは国内メーカーと一部の海外メーカーへの搭載が進み、ライセンス件数は年間2,600万件となる。これは2025年の約3倍だが、会社の2030年目標より控えめな拡大である。TeleXusはゲーム外の用途を獲得するものの、営業規模は会社計画に届かない。クラウドやカラオケ向け技術は小幅に伸び、グループの収益を補う。
音響制作の案件数量は10年で約3割減り、クラウド受託と組込み受託もAIエージェント代替によって数量が縮む。工数型の値上げは物価を下回るため、これらの利益は伸びない。一方でライセンス型の比率が高まり、営業利益率は約19%へ改善する。大きな買収をせず研究開発と配当を続け、売上高約67億円、純利益約9億円を得る会社として成熟する。
- ゲーム向け音声・映像ミドルウェア:数量 1,450(年間新規採用ライセンス相当件数)× 価格 0.01(新規採用1件相当当たり年間認識売上高(億円))→ 売上 20 億円・営業利益 4 億円。国内採用率はおおむね維持。海外開拓で年間新規採用1,450件相当。
- ゲーム音響制作・収録受託:数量 68.0(年間制作案件相当件数(推計))× 価格 0.07(制作案件1件当たり認識売上高(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替で案件数量0.68倍、価格1.25倍。
- モビリティ向けADXAT・Glasscoライセンス:数量 2,600(年間ライセンス搭載数量(万件、2製品合計で車両数と異なる))× 価格 0.01(1万ライセンス件数当たり年間認識売上高(億円))→ 売上 27 億円・営業利益 7 億円。年間2,600万ライセンス件数。国内メーカー中心に海外で選択的採用。
- オンライン通信向けTeleXus:数量 85.0(年間有償利用契約相当件数(推計))× 価格 0.04(有償利用契約1件相当当たり認識売上高(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。通信技術として一部顧客に定着するが、急成長には至らない。
- Web動画・クラウド配信ライセンス:数量 40.0(年間有償利用顧客相当数(推計))× 価格 0.05(有償利用顧客1社相当当たり認識売上高(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。クラウド製品の継続利用は緩やかに拡大。
- Web・クラウド個別開発と導入支援:数量 14.0(年間個別開発案件相当件数(推計))× 価格 0.12(個別開発案件1件相当当たり売上高(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替で数量0.70倍、価格1.22倍。
- カラオケ・産業機器向け組込みライセンス:数量 18.0(年間採用機器プラットフォーム相当数(推計))× 価格 0.32(採用プラットフォーム1件相当当たり年間認識売上高(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。カラオケ・業務用機器の既存顧客に追加採用。
- カラオケ・組込み機器の個別開発受託:数量 21.0(年間組込み開発案件相当件数(推計))× 価格 0.14(組込み開発案件1件相当当たり売上高(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替で数量0.70倍、価格1.20倍。
倍率:余剰現金26億円の税後利息0.364億円を除いた事業純利益8.386億円、事業自己資本59億円から事業ROEは約14.21%。k7.5%と堀の残存割合1/2からRONIC約10.86%、長期名目成長率g1.2%。正当化PER=(1-g÷RONIC)÷(k-g)=約14.119倍を用いる。事業純利益の価値に余剰現金の75%を加えると、10年後の時価総額は約137.9億円となる。期間累計純利益を約63億円、還元を19億円と見込み、自己資本は41+63-19=85億円。
確率:既存のゲーム向け採用と車載ライセンスの増加は確認できるため、単なる横ばいよりは成長を見込む。他方、2030年の売上100億円目標に必要な海外車載とオンライン領域の成功はまだ十分に実証されていない。会社計画を達成する前提にはせず、計画未達でも技術基盤が残る中立を34%とする。
やや悲観 27% ゲーム採用率と車載の伸びが鈍り、投資負担が残る 利益 1 億円 · PBR 0.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 676 円35 億円
ゲーム向けの国内採用率が低下し、海外ではWwiseとゲームエンジン標準機能に押される。累計採用実績は残るが、新作の年間採用は950件相当に減少する。顧客が複数の音響システムを比較しやすくなり、契約単価も物価上昇ほどは伸びない。既存タイトルの運営終了が重なると、継続使用料も減る。
車載向けでは既存の国内顧客は維持するが、インド現地メーカーや海外四輪メーカーへの展開が進まない。年間ライセンス件数は1,300万件にとどまり、値上げ力も弱い。TeleXusは利用先が限られ、開発費を回収できないまま赤字が残る。クラウド・組込み事業でもライセンス収入の伸びが鈍く、営業効率は改善しない。
人が働いた工数を売る音響制作・個別開発はAIエージェントによる省力化で縮小する。人件費や研究開発費は物価に伴って上がるため、売上が現在と同程度でも利益率は大きく下がる。経営は配当を減らし、投資の絞り込みを進める。最終的には売上高約34億円、営業利益約2億円という小さな黒字を維持するが、資本コストを十分に稼げない会社となる。
- ゲーム向け音声・映像ミドルウェア:数量 950(年間新規採用ライセンス相当件数)× 価格 0.01(新規採用1件相当当たり年間認識売上高(億円))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。標準機能・競合音響技術に採用を奪われる。
- ゲーム音響制作・収録受託:数量 42.0(年間制作案件相当件数(推計))× 価格 0.06(制作案件1件当たり認識売上高(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替と顧客内製化で制作案件が大きく減る。
- モビリティ向けADXAT・Glasscoライセンス:数量 1,300(年間ライセンス搭載数量(万件、2製品合計で車両数と異なる))× 価格 0.01(1万ライセンス件数当たり年間認識売上高(億円))→ 売上 12 億円・営業利益 1 億円。国内採用は残るが海外車載の量産採用が遅れる。
- オンライン通信向けTeleXus:数量 30.0(年間有償利用契約相当件数(推計))× 価格 0.03(有償利用契約1件相当当たり認識売上高(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。開発費を回収できず事業縮小を迫られる。
- Web動画・クラウド配信ライセンス:数量 18.0(年間有償利用顧客相当数(推計))× 価格 0.05(有償利用顧客1社相当当たり認識売上高(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。クラウド製品の利用は伸び悩む。
- Web・クラウド個別開発と導入支援:数量 10.0(年間個別開発案件相当件数(推計))× 価格 0.11(個別開発案件1件相当当たり売上高(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替による工数減少と価格競争。
- カラオケ・産業機器向け組込みライセンス:数量 13.0(年間採用機器プラットフォーム相当数(推計))× 価格 0.28(採用プラットフォーム1件相当当たり年間認識売上高(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。既存のカラオケ等の需要は残るが追加採用が減る。
- カラオケ・組込み機器の個別開発受託:数量 12.0(年間組込み開発案件相当件数(推計))× 価格 0.14(組込み開発案件1件相当当たり売上高(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替と顧客内製化で案件数量が減る。
倍率:この筋書きのROEは純利益1.25億円÷10年後自己資本57億円=約2.2%であり、資本コスト7.5%を下回る。したがって将来の利益成長には高い評価を与えず、現在の純現金32.4億円を価値の中心とし、残る黒字事業の価値を限定的に評価して時価総額35.34億円とする。PBRの評価基準は10年後の自己資本57億円ではなく、現在の自己資本41億円である。床のPBR=35.34÷41=0.86195倍とし、現在の自己資本に掛けて35.34億円を得る。10年後の自己資本57億円はROEと資本蓄積の検証だけに使い、床の倍率の分母には使わない。過去の市場PBRを根拠にしていない。期間累計純利益約23億円、還元7億円、期首自己資本41億円から57億円となる。
確率:海外車載メーカーの獲得が遅れ、ゲームエンジン標準機能が採用を奪う可能性は十分にある。会社固有の海外営業負担と、ライセンスから利益へ転換するまでの時間を重視して27%とする。人月型業務のAI代替による縮小は数量と価格に既に反映しており、確率で同じ損失を重ねない。
悲観 15% 主要技術の競争力を失い、純現金が価値の中心となる 利益 −1 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 620 円32 億円
ゲーム音響では標準機能と競合ソフトの採用が広がり、CRIWAREの新規採用は年間600件へ減少する。大手開発会社が複数のプラットフォーム向けに独自の共通音響基盤を作るようになり、外部技術を買う必要性が薄れる。過去の作品からの収入も運営終了とともに減り、値下げをしても採用を維持できなくなる。
車載向けでは、海外メーカーへの拡大が実現しない。国内メーカーでも音響・表示の技術を内製化する動きが強まり、年間ライセンス件数は650万件に減る。開発費を回収できないため、量産採用のある製品でも赤字となる。TeleXusは事業を大きく縮小し、クラウドとカラオケ向けも技術の陳腐化で利益を失う。受託制作はAIエージェントの普及によって案件数量が大幅に減少する。
経営は海外開拓を断念し、不採算製品を整理する。売上高は約15億円と現在の半分以下となり、営業赤字が続く。配当は初期の小額を除いて停止し、現金は研究開発や事業整理に使われる。純利益に高い倍率を与えられないため、企業価値は残存する純現金と売却可能資産の保守的な床で考える。この筋書きでは、会社は上場していてもかつての優良な技術企業としての評価を失っている。
- ゲーム向け音声・映像ミドルウェア:数量 600(年間新規採用ライセンス相当件数)× 価格 0.01(新規採用1件相当当たり年間認識売上高(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。競合と標準機能に主力顧客を奪われる。
- ゲーム音響制作・収録受託:数量 20.0(年間制作案件相当件数(推計))× 価格 0.06(制作案件1件当たり認識売上高(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替で案件数量は現在の2割まで縮小。
- モビリティ向けADXAT・Glasscoライセンス:数量 650(年間ライセンス搭載数量(万件、2製品合計で車両数と異なる))× 価格 0.01(1万ライセンス件数当たり年間認識売上高(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 −1 億円。海外展開に失敗し国内メーカーも内製化を進める。
- オンライン通信向けTeleXus:数量 8.0(年間有償利用契約相当件数(推計))× 価格 0.03(有償利用契約1件相当当たり認識売上高(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。製品投資を回収できず事業の整理を進める。
- Web動画・クラウド配信ライセンス:数量 8.0(年間有償利用顧客相当数(推計))× 価格 0.04(有償利用顧客1社相当当たり認識売上高(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。無料技術・大手クラウドサービスとの競争に負ける。
- Web・クラウド個別開発と導入支援:数量 4.0(年間個別開発案件相当件数(推計))× 価格 0.11(個別開発案件1件相当当たり売上高(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替で受託開発案件の大部分を失う。
- カラオケ・産業機器向け組込みライセンス:数量 8.0(年間採用機器プラットフォーム相当数(推計))× 価格 0.26(採用プラットフォーム1件相当当たり年間認識売上高(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。カラオケ等の既存採用先も競合へ切り替える。
- カラオケ・組込み機器の個別開発受託:数量 5.0(年間組込み開発案件相当件数(推計))× 価格 0.12(組込み開発案件1件相当当たり売上高(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替と内製化で個別開発案件がほぼ消失。
倍率:10年後は営業赤字であり、利益にPERを掛ける手法は使えない。2025年9月期末の純現金32.4億円を主たる資産の床とし、その他の技術資産やのれんの処分価値をゼロとする。今の自己資本約41億円に対して32.4億円の残存価値に相当するPBR約0.79024とした。期間前半の利益と後半の損失が相殺される累計純利益約2億円、初期還元2億円を見込み、自己資本は41億円程度にとどまる。
確率:ゲームの標準開発環境と車載顧客の内製化によって、組込み技術の採用が同時に減る複合的な悪化を想定する。純現金の厚さから直ちに事業継続が脅かされるとは考えないが、2022年に最終赤字となった実績と、未収益化の新事業への投資を考慮して15%を割り当てる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ゲーム向け音声・映像ミドルウェア
CRIWAREの音声・動画技術をゲームソフトへ組み込むためのライセンスと、運営中のタイトルに応じた使用料。ソフトの内部で動く基盤技術であり、席課金型の業務SaaSには該当しない。
| 数量年間新規採用ライセンス相当件数 | 価格新規採用1件相当当たり年間認識売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 1,267 | 0.01 | 13 | 3 |
| 10 年後 中立 | 1,450 | 0.01 | 20 | 4 |
取り方:2026年9月期第3四半期資料によるゲーム向け累計採用は2024年9月期末8,753件、2025年9月期末10,020件で、差は1,267件。これは年間新規採用数の近似であって、年間請求ライセンス件数とは一致しない。2025年のゲーム事業売上18.07億円から音響制作相当5.42億円を分けた推計12.65億円を、この数量で除して有効単価とした。過去に採用した作品からの継続ロイヤルティも含むため、公表販売単価ではない。国内主要スマートフォンゲームの採用率約34%を数量の競争力の根拠とし、世界全体のシェアとは区別する。
ゲーム音響制作・収録受託
子会社ツーファイブによる音響制作、収録、編集など、人の作業時間に依存する仕事。AIエージェント代替の人月・工数型に該当する。
| 数量年間制作案件相当件数(推計) | 価格制作案件1件当たり認識売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 100 | 0.05 | 5 | 0 |
| 10 年後 中立 | 68.0 | 0.07 | 5 | 0 |
取り方:会社沿革による音響制作事業と3つのサウンドスタジオを手掛かりに、スタジオ1拠点当たり年間約33件、グループで約100件の制作案件相当と仮定する。売上5.42億円はゲーム事業18.07億円とライセンス推計12.65億円の差であり、案件単価542万円は推計である。会社は案件数と平均受注額を公表していない。AIエージェント代替により中立の10年後数量は現状の0.68倍、価格は1.25倍程度とする。
モビリティ向けADXAT・Glasscoライセンス
車載音響と表示機器向けの組込み技術。自動車・二輪車の量産搭載件数に応じた使用料を受け取る。人月型や席課金型ではない。
| 数量年間ライセンス搭載数量(万件、2製品合計で車両数と異なる) | 価格1万ライセンス件数当たり年間認識売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 869 | 0.01 | 6 | 2 |
| 10 年後 中立 | 2,600 | 0.01 | 27 | 7 |
取り方:中期計画の2025年モビリティ売上約6.4億円を使用する。2024年から2025年にかけたADXAT累計採用数量の増分約649万件とGlasscoの年間搭載約220万件を合わせ、年間約869万ライセンス件数と推計した。製品間で同じ車両を含む可能性があるため、これは車両の実台数ではない。認識売上高を件数で除した有効単価は1件約74円となるが、契約上の単価は非開示であり概算である。世界四輪車約9,000万台、二輪車約5,700万台の市場と、会社の2030年搭載目標を数量シナリオの材料とする。
オンライン通信向けTeleXus
音声・映像によるオンラインコミュニケーションを支える組込み技術。個別受託ではなく、製品利用契約とその継続使用料を想定する。
| 数量年間有償利用契約相当件数(推計) | 価格有償利用契約1件相当当たり認識売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 10.0 | 0.03 | 0 | −1 |
| 10 年後 中立 | 85.0 | 0.04 | 4 | 0 |
取り方:会社資料が示す2025年のオンライン領域の初期的な売上規模を参考に、TeleXusに帰属する売上を0.3億円と仮置きした。有償契約10件は利用先の広がりを測るための代理数量であり、会社の公表契約数ではない。音声SDKの利用単価を契約件数で逆算した。営業赤字1.3億円には販売・開発の先行費用を配賦している。音声処理の組込み技術は操作画面が価値の中心ではないため、席課金型SaaSには分類しない。
Web動画・クラウド配信ライセンス
Webサービスでの動画再生・配信・音声処理を支える製品利用料。継続するソフトウェア利用契約の部分である。
| 数量年間有償利用顧客相当数(推計) | 価格有償利用顧客1社相当当たり認識売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 20.0 | 0.04 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 40.0 | 0.05 | 2 | 0 |
取り方:中期計画のオンライン領域とクラウド事業の売上構成を参考に、製品利用料を0.8億円、年額相当の顧客数を20社と推定した。企業数も単価も未開示であり、営業資料にある製品用途と顧客の導入形態からの推計である。画面操作の席数ではなく処理技術の利用契約とするため、席課金型のAIエージェント代替制約を直接は掛けない。
Web・クラウド個別開発と導入支援
クラウド・通信技術の顧客別開発、導入、運用支援。受注件数と作業工数によって稼ぐため、AIエージェント代替の人月・工数型に該当する。
| 数量年間個別開発案件相当件数(推計) | 価格個別開発案件1件相当当たり売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 20.0 | 0.10 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 14.0 | 0.12 | 2 | 0 |
取り方:会社のオンライン・クラウド関連の説明をもとに、ライセンス以外の受託部分を1.9億円と推計した。大型案件と小型案件が混在するため、20件は平均的な案件に換算した代理数量であり実際の受注件数ではない。中立ではAIによる自動実装と顧客内製化により件数を10年で0.70倍、単価を1.22倍とする。
カラオケ・産業機器向け組込みライセンス
カラオケ機器、業務用・産業用機器などに音響・動画技術を搭載する製品ライセンス。量産製品への組込みが主たる価値である。
| 数量年間採用機器プラットフォーム相当数(推計) | 価格採用プラットフォーム1件相当当たり年間認識売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 14.0 | 0.25 | 4 | 1 |
| 10 年後 中立 | 18.0 | 0.32 | 6 | 1 |
取り方:中期計画にある組込み領域の約7億円の売上規模を参考に、量産に結び付いた技術使用料を約半分の3.5億円と推計した。年14プラットフォーム相当は採用対象機器の広がりを示すための仮定で、実際の契約件数ではない。有効単価も推計である。量産機器内部の音響機能は席課金・操作画面型に当たらない。
カラオケ・組込み機器の個別開発受託
顧客機器への組込み調整、専用機能開発、検証作業など。工数と案件数で稼ぐ部分はAIエージェント代替の人月・工数型で評価する。
| 数量年間組込み開発案件相当件数(推計) | 価格組込み開発案件1件相当当たり売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 30.0 | 0.12 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 21.0 | 0.14 | 3 | 0 |
取り方:中期計画で示された組込み領域の売上約7億円から、製品ライセンス3.5億円を控除した3.51億円を受託相当とした。30件は平均的な案件に置き換えた推計であり、会社が開示した受注件数ではない。中立の案件数量はAIによる仕様作成・実装・試験の省力化を踏まえて0.70倍、価格は物価上昇を下回る1.20倍程度とする。
リスクと懸念
AIエージェント代替と工数型収益の減少
音響制作、Web・クラウド個別開発、カラオケ・組込み機器の調整作業は、人の作業工数が対価の基礎になる。生成AIとAIエージェントが実装、検証、編集の作業を減らせば、顧客の発注案件と外注予算が同時に縮む。2025年の全社売上の約3割を占めると推計するこの部分について、中立の10年後数量を0.68~0.70倍、価格上昇を物価以下に制限した。ゲームや車載の組込みライセンスは直接の席・画面代替ではないが、競合の開発効率が上がることによる間接的な価格競争は別途考慮する。
海外車載メーカーへの採用拡大が未確定
中期計画の成長を支えるのは、ADXATとGlasscoの大量搭載である。国内メーカーでの採用実績はあるものの、インド現地メーカー向けについては2026年8月時点で売上実績がない。量産車への採用判断は開発初期から始まり、車種変更、発売延期、機器構成の変更で数量が大きくずれる。海外の新規受注が伸びなければ、拡張した営業費用と開発費が固定費として残る。
ゲームエンジン標準機能とWwiseによる価格競争
ゲーム業界ではWwiseなどの競合ソフトに加え、UnityやUnreal Engineなどの制作環境に備わる音声機能が進化している。CRIWAREの国内採用実績は厚いが、顧客が同等機能を追加料金なしで使えるようになれば、新規採用件数と有効単価の両方に圧力がかかる。動画圧縮方式やハードウェア構成の変化も既存の優位を失わせる可能性がある。
ライセンス数量と実際の収益とのずれ
累計ゲームライセンスや車載搭載件数は技術の採用を確認できる有用な指標だが、単価、契約条件、売上認識期間までは示さない。ゲームでは過去作品からの継続ロイヤルティがあり、車載では複数製品が同じ車両に搭載される場合もある。採用件数だけを見て売上や利益が比例して増えると考えると、見通しを過大評価する。
研究開発費と買収の資本効率
技術ライセンス企業には製品が普及した後の高い利益率が期待できるが、次世代への対応と海外営業には先行支出が必要である。2026年9月期第3四半期累計では売上増にもかかわらず営業利益が前年を下回った。過去にも買収と事業再編を経験しており、売上規模の拡大が株主利益の拡大に直結するとは限らない。増分投資の回収が進まなければROEは資本コストを下回る。
余剰現金が十分に株主へ戻らない危険
純現金が時価総額の半分程度に相当することは強い下支えとなるが、少数株主が現金の使い道を決められるわけではない。経営が海外販路の拡大や採算不明の買収に資金を使えば、帳簿上の現金が株主価値として残らない可能性がある。配当性向30%の方針はある一方、DOEや自社株買いの金額について明確な約束はないため、余剰現金を額面の75%で評価した。
小規模企業ゆえの顧客集中と技術更新
ゲーム大手や自動車メーカーの採用判断に収益が左右され、少数の主要顧客の開発方針変更で売上が変動しうる。車載向けでは長い開発期間が参入障壁になる半面、不採用が決まった場合に次の量産案件を得るまで時間を要する。技術者の採用や維持に失敗して製品更新が遅れれば、大手競合との開発力の差が広がる。
今後の分かれ目
- インド現地自動車メーカー向けの量産売上が実際に立ち上がり、Glasscoの年間搭載件数が1,000万件を超えたら
- 会社計画の最大の未検証部分が前進するため、車載の中立数量を増やし、やや楽観・楽観の確率を見直す。ただし契約当たり収入と開発費を同時に確認する。
- ADXATの年間搭載件数が2,000万件に達し、単価も機能高度化により上昇していたら
- 車載向けの数量と価格の両面が裏付けられる。収益増加が一時的な受託開発ではなく、量産ライセンスから生じているかを確認して将来利益を上方修正する。
- 主要スマートフォンゲームでのCRIWARE採用率が20%を下回り、年間新規採用ライセンスも減少したら
- 国内ゲーム向け技術の堀が弱まっていると考える。中立の新規採用件数と単価を引き下げ、やや悲観の重みを増やす。
- TeleXusとクラウド製品の継続ライセンス収入が年3億円以上へ拡大し、個別開発を除いて黒字化したら
- オンライン領域が構想段階を抜けた証拠として、中立の契約件数と営業利益率を上方修正する。単発案件だけの売上増であれば見通しを変えない。
- 音響制作や受託開発の案件数が半減し、AIエージェントによる内製化が顧客に定着したら
- 工数型3区分の数量を悲観側へ寄せる。技術ライセンスと分けて影響を測り、同じAI要因を資本コストや確率に重複加算しない。
- 2030年の売上高100億円に近づいても、営業利益率が10%前後で停滞したら
- 拡大した事業の追加利益が十分に残っていないと判断する。純利益率と資本効率を下方修正し、成長投資の採算性を再点検する。
- 配当性向が50%以上に引き上げられるか、発行済株式の5%以上に相当する自社株買いが実行されたら
- 余剰現金が少数株主に戻る実績が強まるため、現金の戻り方を0.75から1.0へ引き上げることを検討する。ただし買収資金との二重計上は避ける。
見ておくもの
- ゲーム向けCRIWAREの累計採用ライセンス数と前年差。2025年末10,020件、2026年6月末10,723件を基準に確認する。
- スマートフォン上位100作品と家庭用ゲーム主要作品におけるCRIWARE採用率の推移。
- ADXATとGlasscoそれぞれの累計搭載件数、年間増分、契約単価の変化。
- インド現地自動車メーカーからの売上計上、量産開始、海外四輪メーカーとの契約。
- TeleXusの有償利用顧客数、継続課金売上、製品開発費を除いた採算。
- グループ全体のライセンス収入比率と工数型の受託・制作収入比率。
- 2028年の売上高60億円・営業利益率13%、2030年の売上高100億円・営業利益率20%という中期計画の進捗。
- 純現金の増減、買収支出、配当性向30%方針の実行と自己株式取得の有無。
- 営業利益と純利益の伸びに対する研究開発費、海外営業費、人員数の増加率。
倍率と資本コストの決め方
基準株価1,214円と自己株式控除後5,227,373株から、2026年10月22日時点の時価総額を約63.46億円と確認した。ただし数量、価格、利益率、PERを決める段階では、この時価総額を使っていない。数量はゲームの累計ライセンス増分と車載搭載件数を主な実測の出発点とし、開示のない事業には推計数量を明示した。2030年の会社計画は上側の可能性として扱い、中立へそのまま写していない。
中立の資本コストは7.5%、長期名目成長率は1.2%とし、事業のROEから増分資本利益率を計算したうえで正当化PER約14.12倍を用いた。既存の純現金と将来残る余剰現金は事業利益と分け、75%の戻り方を適用した。やや悲観のPBRは現在の自己資本41億円を分母として0.86195倍とし、10年後の自己資本57億円には掛けていない。各筋書きの10年後時価総額と期間中の還元をそれぞれ割り引き、確率で重み付けした現在価値は約80.6億円、基準時価総額との差は約+27%となる。今や過去の市場PER・PBR、類似企業の市場倍率から逆算していない。新リース会計基準による表示変更が起きても、家賃を営業費用に含めた同じ経済的な形で比較する。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%に、事業の循環、値決め力、純現金、寿命の調整を合算した。個別の海外開拓や買収リスクは資本コストに上乗せせず、各筋書きの数量、利益率、確率で評価する。