結論
gumiは、アニメなどの有力な知的財産を借りてスマートフォンゲームを開発する会社から、暗号資産の保有・運用とエンタメを組み合わせる会社へ姿を変えている。筆者の結論は割高だ。2026年4月期の自己資本は207億円と時価総額の2倍を超えるが、それを現金同様に評価するのは危険である。
最大の理由は資産の中身だ。2026年7月末の暗号資産は133億円に達し、その約8割をFCTとOSHIが占めた。FCTは一部取引所で取扱いが終了し、OSHIも複数の取引所で取扱廃止が公表された。評価額どおりに大量売却できるか分からないうえ、暗号資産の値動きが営業利益を上回る規模で純利益を動かしている。
ゲームも立て直しの途上にある。『ジョジョの奇妙な冒険 オラオラオーバードライブ』は売上が会社の想定に届かず、『僕のヒーローアカデミア UNITED SURVIVAL』の開発費が先行した。2027年4月期第1四半期はゲーム部門が赤字となり、暗号資産評価損などを受けて連結でも大きな最終赤字だった。過去の純利益を持続的な稼ぐ力と取り違えてはならない。
SBIグループとの提携、IPの調達、暗号資産ファンドの立ち上げには上振れの余地がある。それでも、十年後に顧客が離れず繰り返し払う収益の割合はまだ薄い。5つの筋書きと株主還元を資本コストで現在に引き直すと、本質価値は約41億円となり、指定された時価総額約97億円を約58%下回る。大きな株価下落そのものを割安の証拠にはしない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の立場なら、貸借対照表に大きな資産があることと、安心して引き出せる現金があることを分けて考える。暗号資産は資金の使い道であると同時に利益の変動源だ。FCTやOSHIを今の表示価額ですべて売れる前提で安全域を作るのは、事業の価値ではなく他人の買値を頼りにする行為になる。実際、取扱廃止の知らせだけで評価方法と換金余地が変わりうる。
オーナー利益も直近の純利益とは大きく異なる。ゲームを維持するには開発者、販促費、ライセンス料を先に払い、次の作品が当たる保証はない。暗号資産の保有益は現金収入と同義ではなく、売却・税・流動性を経なければ株主の資金にならない。2026年4月期の営業キャッシュフローがマイナスだった事実を重く見る。
持ち続けたい企業は、顧客が毎年戻り、商品の値上げを受け入れ、余った利益を資本コスト以上で再投資できる企業である。gumiには有力IPを扱う技術とSBIとの関係があるが、契約更新と暗号資産相場に左右されない継続収益がまだ見えない。値上げの実績、受託開発の利益率、ファンドの純管理報酬が継続して開示されれば評価は変わりうる。
筆者は帳簿上のPBRの低さだけで判断しない。むしろ、安く見える資産がどれほど換金でき、将来に何円の税後利益を残すかを問う。強気の筋書きには十分な余地を設けたが、真ん中の姿では長期の元本毀損を吸収するだけの安全域を見いだせない。
何で稼ぐ会社か
現在の収益は、大きく二つの報告セグメントから生まれる。2026年4月期のネオメディアエンタメ事業に相当するゲーム売上は70.1億円で、部門損失は4.7億円だった。『ジョジョの奇妙な冒険』や『僕のヒーローアカデミア』のような他社IPをゲーム化し、課金者からの売上をプラットフォーム手数料、原作者側の取り分、運営費と分け合う。優れた作品を借りても、そのキャラクター自体を恒久的に所有するわけではない。
ゲームには受託開発もある。自社で開発費と宣伝費を全額抱える作品より失敗時の負担が小さい半面、仕事を人月や制作工程で売る部分は顧客の内製化とAI開発支援にさらされる。売上の内訳が開示されていないため、数量モデルではゲーム部門を課金型と受託型に仮分割した。これは会社が発表した売上内訳ではない。
もう一つのネオクリプト事業は、暗号資産の保有と運用、ブロックチェーンの検証ノード運営、ステーキング報酬、投資ファンド、関連ソフトを扱う。2026年4月期の売上は21.8億円、部門利益は5.5億円で、赤字のゲームを支えた。ただし売上にはトークン受領など通常の手数料ではない収益も入る。元本を自ら危険にさらして得た報酬と、顧客のために役務を提供して得た手数料を区別する必要がある。
2026年7月にはSBI Crypto Fund Iの運営開始を発表し、Hinode Technologiesは機関投資家向けの暗号資産会計管理システムの提供も始めた。規模が開示される前から、これらがゲームに代わる安定利益を生むと決めつけない。ゲームと暗号資産の収益源は異なるが、どちらも競争優位を維持するには技術、人材、宣伝費、運転資金を繰り返し投じる必要がある。
優良さと弱いところ
gumiの長所は、他社IPとゲームエンジンを組み合わせて作品を形にする経験と、SBIグループを通じた金融領域への入り口を持つことだ。新作の開発リスクを分担し、製作委員会への出資からロイヤルティ収入まで取れるようになれば、単発のヒット依存を和らげられる。しかし、その仕組みが複数のタイトルで利益を生んだ実績はまだ十分ではない。値上げしても課金者が離れないという証拠も乏しい。
競争から守られた堀は弱い。人気IPの権利は原作者や版元が持ち、再契約の条件をgumiが一方的に決められない。ゲーム利用者は別の作品に容易に移り、AppleとGoogleの流通経路にも依存する。暗号資産の運用報酬も相場、ノード参加者数、規制で変わり、独占的なデータや顧客の乗換費用に支えられていない。会計管理ソフトについても、低解約率や長年の移行負担といった堀の数字は確認できない。
財務の見かけと稼ぐ力には落差がある。自己資本比率は約72%でも、2026年4月期の営業利益は1億円未満であり、営業キャッシュフローは赤字だった。過去十数年には大きな営業赤字と株式希薄化が何度もあった。最新四半期には暗号資産評価損が純利益を押し下げたが、こうした相場損益は本業の競争力を測る物差しにならない。
増分投資の利回りは未証明だ。新作ゲームがヒットしても開発費の回収と次作への再投資が必要で、保有暗号資産の値上がりは経営による高い投下資本利益率とは異なる。資本コストを継続して上回る運用手数料やIP収益の積み重ねが確認できるまでは、弱い堀として扱う。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ゲーム市場そのものは成長している。『ファミ通ゲーム白書2026』によれば2025年の世界市場は32.1兆円、国内市場は約2.59兆円だった。Newzooは2026年の世界市場を約2,139億ドルと見込む。しかし、モバイル課金の競争は激しく、成熟した日本市場の利用者数が市場全体と同じ速さで伸びるわけではない。gumiの2026年4月期のゲーム売上は国内ゲーム市場の約0.27%に相当するが、売上認識と市場支出の定義が違うため、厳密なシェアではない。
版権もののゲームではバンダイナムコ、スクウェア・エニックス、KLab、アカツキ、Aimingなどが権利獲得、開発力、広告予算を競う。gumiは有力IPをいくつも取得できれば課金者を増やせるが、権利料の高騰や新作の早期失速で増分利益が残らない可能性がある。世界市場が名目で成長しても、同社の売上シェアが十年先まで維持されるとみる根拠は乏しい。中立では国内課金者相当数の伸びを抑え、単価も物価上昇率を下回る。
暗号資産市場は2026年9月末時点で世界の時価総額がおよそ3兆ドルに達したが、同社の保有133億円は市場全体のごく小さな部分だ。これは保有資産の規模比較にすぎず、運用受託シェアではない。取引・管理・検証の領域にはCoinbase、Figment、Lidoや国内のSBIグループなど強い相手がいる。預かり元本、ノードの稼働数、純粋な管理報酬が未開示のため、ネオクリプトの正確な市場シェアを示すことはできない。
先行きは普及だけでは決まらない。取引所が特定トークンを扱わなくなると換金性が下がり、ステーキング報酬率やファンド手数料は新規参入で縮む。規制と税制の整備が機関投資家を呼び込む可能性はあるが、資産価格の上昇を十年間の定常利益と取り違えない。ゲームの市場拡大と暗号資産の価格上昇を二重に好材料とするより、それぞれの収益源の持続性を調べる方が重要だ。
資本政策と M&A
資本配分は長期株主にとって厳しい採点になる。gumiはSBIホールディングスと2022年に資本業務提携し、2026年4月期の大株主欄ではSBIが約30.5%を保有する。金融への展開では販売網や信用を借りられるが、少数株主に資金を返す仕組みまで保証するものではない。上位十株主の合計は約53%で、余剰資金の戻り方を極端に低くする条件にも当たらない。
過去には増資で資本を増やし、赤字のゲームに資金を投入してきた。2025年に発行した行使価額修正型新株予約権は一部行使によって約15億円を調達し、残余は2026年6月に取得・消却した。将来の追加希薄化は確定していないが、相場下落時に資金需要が重なると再び株主の持分が薄まるおそれがある。2026年のグループ内再編は効率化であって、外部事業の買収による利益の増加ではない。
2026年4月期の年間配当はゼロだった。2026年4月末の株主には抽選で総額0.16億円の暗号資産を進呈し、同年10月末にはQUOカードの臨時優待を決めたが、毎年の中間優待は未確約である。中期経営計画として売上・利益・ROEの期限付き定量目標や、配当性向・DOE・総還元性向・自社株買い額の数字の約束は確認できない。2027年4月期の会社業績予想も非開示だ。中立の十年還元は優待の延長を仮定する小額にとどめ、資金はまず損失補填と事業継続に必要と見た。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ゲーム開発力は完全には失われていない。『ジョジョの奇妙な冒険』の大型IPと『僕のヒーローアカデミア』の新作を通じて、既存エンジンを別作品に横展開する費用削減の道がある。製作委員会からIP権利を確保できれば、運営だけでなくロイヤルティも取れる。開発の受託化は、旧来の自社タイトルに伴った巨額の一時損失を減らす手段となる。数年で複数の大型タイトルを抱えれば、ゲームの損益は大きく変わる。
暗号資産も単なる投機だけではない。SBIとの提携を通じて機関投資家向けファンドを運営し、検証ノードから報酬を得ている。2026年4月期のネオクリプト部門は実際に5億円超の営業利益を計上した。暗号資産会計管理システムが金融機関の運用現場に定着し、顧客預かり資産に対して継続的な手数料を得られるようになれば、現在の保有トークンに依存しない収益へ転換できる。
帳簿上の自己資本が時価総額の倍を超えることも無視はできない。BTCやXRP、現預金、投資有価証券など換金しやすいものも存在し、FCTやOSHIの取扱いが別市場で続く可能性もある。未行使新株予約権を消却したことは追加希薄化への歯止めとなりうる。資産価格が安定し、ゲームと管理報酬が同時に黒字化すれば、十年後の利益は今の営業利益から想像するよりかなり大きい。
慎重な見方
実績が示しているのは、持続的な利益の乏しさである。十年ほど前と比べ売上が大きく減り、2024年4月期には深い営業赤字を計上した。2026年4月期もゲームの営業損失を暗号資産関連の利益でかろうじて補った形だ。2027年4月期の第1四半期には、『ジョジョ』の売上が会社の想定を下回り、ゲーム部門だけで約5億円の営業赤字となった。人気IPを借りられることと、課金者が継続して利益をもたらすことは別である。
貸借対照表の大部分を占める暗号資産も、値付けの根拠として弱い。2026年7月末のFCTとOSHIは合計で約106億円だった。FCTはMEXCでの取扱いが終了し、OSHIにも国内外取引所の取扱廃止が重なっている。複数の取引所が残っていても、巨額の保有分を帳簿価格で換金できるとは限らない。会計上の評価損益は現金を生まず、取引所の流動性が細ると下落時の売却コストが跳ね上がる。
暗号資産ファンドや会計管理ソフトは新しいが、預かり元本や反復課金の実績はまだ小さいか未開示である。競争相手は大手金融機関と専門の運用基盤であり、AIエージェントも人月の開発や画面操作中心のソフトを安くしていく。増資による希薄化の歴史があり、業績が不安定な時期の現金配当もほぼ期待できない。自己資本の帳簿を下値保証とみなすのではなく、残った事業の稼ぐ力と保有資産の処分見込額を厳しく見るべきである。
どちらに重みを置いたか
下方の見方に重みがある。独自のゲームエンジンとSBIとの関係は価値があるが、再現性のある利益と資産の換金性では証拠が不足する。強気・やや強気の合計を25%、やや悲観・悲観の合計を42%とし、下に寄せた。理由はAI代替を確率でも重ねて引くためではなく、FCTとOSHIへの集中、ゲーム部門の赤字、株主還元の不確かさが同時にあるためだ。中立の十年後でも営業利益の回復を織り込んでおり、慎重に扱う余地が残る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/04 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 171 円88 億円(+ 還元の換算額還元の合計 7 円4 億円)。 今の値に割り戻すと 80 円42 億円、今との差 −53.6%、 期待の年率 +0.3%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 568 円294 億円 | 35 円18 億円 | +248.2% | +13.9% | 54 円28 億円 |
| やや楽観 | 16% | 295 円153 億円 | 15 円8 億円 | +79.5% | +6.2% | 50 円26 億円 |
| 中立 | 33% | 125 円65 億円 | 3 円2 億円 | −26.1% | −3.0% | 42 円22 億円 |
| やや悲観 | 26% | 88 円46 億円 | 2 円1 億円 | −48.0% | −6.4% | 23 円12 億円 |
| 悲観 | 16% | 52 円27 億円 | 1 円1 億円 | −69.4% | −11.2% | 8 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 171 円88 億円 | 7 円4 億円 | +2.9% | +0.3% | 178 円92 億円 |
今の株価時価総額 173 円90 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 有力IPの連続成功と暗号資産管理報酬の拡大 利益 25 億円 · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 568 円294 億円
他社の有力IPを用いたゲームが複数年にわたり支持を集め、製作委員会への参加と自社ゲームエンジンの再利用によってロイヤルティと運営利益の取り分が増える。課金者は現在の推定15万人相当から24万人へ広がり、国内市場全体より速くシェアを伸ばす。『ジョジョ』と『ヒロアカ』に続くタイトルが収益の柱になり、開発費を回収した後も遊ばれる作品が残る。
ネオクリプトでは、SBI Crypto Fund Iの実績が機関投資家を呼び、ノード運営と資産運用の手数料が増える。FCTとOSHIの換金性問題は解消し、より流動的な資産へ移し替えながら運用元本を拡大できる。受託開発はAIによる省力化で工数自体は減るが、単価上昇と案件の高度化で売上の減少を補う。追加増資を抑え、収益の一部を初めて継続配当へ回す。競合のKLabや大手IP保有会社に劣らない制作実績が積み上がり、十年後の営業利益は大幅に回復する。
- ネオメディアエンタメ:IPゲーム運営・課金:数量 24.0(年間課金者数相当(万人、複数タイトル合計の推定))× 価格 5.50(課金者1人当たり年間認識売上(万円、推定))→ 売上 132 億円・営業利益 24 億円。課金者24万人×年間5.5万円。強いIPの複数作定着を仮定する上振れ。
- ネオメディアエンタメ:ゲーム受託開発:数量 650(顧客向け年間開発工数(人月、未開示のため推定))× 価格 125(1人月当たり認識売上(万円、推定))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。AI代替があっても工数は現状を超えず、高付加価値の残存案件のみ増益。
- ネオクリプト:暗号資産運用・ノード報酬・ファンド等:数量 220(運用対象暗号資産の固定2026年4月期評価単価換算口数(1口=同時点の1億円分、推定))× 価格 0.13(1口当たり年間認識収益(億円/口、利回り相当、評価損益を除く))→ 売上 29 億円・営業利益 13 億円。保有量・受託額増加で220口、収益利回りは現在の15.4%から13%へ低下。
倍率:k8.5%、十年後ROE8.33%で資本コスト以下。moat=weak、g_long=0%のため継続利益の正当化PER上限は1÷0.085=11.7647倍。現金と暗号資産を二重加算しない。
確率:複数の大型IPタイトルで利益を残し、SBI経由の機関投資家需要を反復手数料に変えるという二重の成功が必要である。実例がまだ限定的なので1割未満だが可能性は残す。
やや楽観 16% ゲーム再建と運用業務の採算改善 利益 13 億円 · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 295 円153 億円
大型IPのうち少なくとも一部が長期運営に残り、ゲームの課金者相当数が緩やかに増える。旧来の自社オリジナル開発を減らし、版元との共同事業と受託の組み合わせで開発費の山を小さくする。会社が目指す安定収益化には近づくが、新規IPの権利料は高く、利益率は好調なタイトルが続く年ほどには伸びない。
ネオクリプトでは一部の暗号資産を流動性の高い銘柄に移し、ノード運用とファンド手数料が定着する。SBIの販売力を利用するものの、Coinbaseや専門バリデータとの価格競争は残る。受託開発ではAIエージェントによる工数減少を避けられず、単価改善でも成長は小幅である。負担の大きな新規増資はなく、少額の配当と優待が続く。営業利益は十年前より厚くなるが、資本を多く寝かせたままでROEは高くない。
- ネオメディアエンタメ:IPゲーム運営・課金:数量 19.0(年間課金者数相当(万人、複数タイトル合計の推定))× 価格 5.20(課金者1人当たり年間認識売上(万円、推定))→ 売上 99 億円・営業利益 13 億円。課金者19万人、実質数量は現在の1.27倍。版権費の管理を改善。
- ネオメディアエンタメ:ゲーム受託開発:数量 600(顧客向け年間開発工数(人月、未開示のため推定))× 価格 120(1人月当たり認識売上(万円、推定))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。受託工数0.86倍。AI代替で成長分は限定される。
- ネオクリプト:暗号資産運用・ノード報酬・ファンド等:数量 170(運用対象暗号資産の固定2026年4月期評価単価換算口数(1口=同時点の1億円分、推定))× 価格 0.11(1口当たり年間認識収益(億円/口、利回り相当、評価損益を除く))→ 売上 19 億円・営業利益 7 億円。固定単価で170口、利回り相当は11%。評価益の恒常化は想定しない。
倍率:事業のROEは13÷260=5.0%でk8.5%以下。十年より先のg_longは0%とし、正当化PERの上限1÷k=11.76倍そのもの。
確率:IPの横展開と暗号資産運用の合理化の双方には一定の進捗があるものの、同時に高い利幅を得るには複数作品と市場環境の好転が必要だ。
中立 33% ゲームの小幅回復と暗号資産利回りの平準化 利益 5 億円 · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 125 円65 億円
ゲームでは『ジョジョ』のような発売直後の話題性が薄れ、次の作品で売上を補う循環が続く。日本のゲーム市場は名目では拡大するが、gumiが取れるシェアは少し縮む。課金者相当数は現在より小幅に減る一方、一人当たりの年間認識売上は価格改定で増える。ただし権利料や課金プラットフォームの取り分のため、物価の上昇を全額転嫁できない。制作体制の合理化で部門は黒字化するが、利益率は高くない。
暗号資産は保有量の整理と低収益銘柄の入替えが進む。ファンドやノード運用は生き残るが、過去のトークン受領額を安定手数料とみなすことはできず、口当たり収益は下がる。受託開発はAIエージェントの普及で仕事の工数が約3分の1減り、案件単価の上昇でも売上を十分取り戻せない。配当の数値方針は定着せず、株主優待のみが小規模に残る。SBIとの提携は続くものの、十年後も強い堀とは呼びにくい。
- ネオメディアエンタメ:IPゲーム運営・課金:数量 14.0(年間課金者数相当(万人、複数タイトル合計の推定))× 価格 4.80(課金者1人当たり年間認識売上(万円、推定))→ 売上 67 億円・営業利益 4 億円。14万人×4.8万円。数量0.93倍、単価1.14倍と物価未満の値上げ。
- ネオメディアエンタメ:ゲーム受託開発:数量 455(顧客向け年間開発工数(人月、未開示のため推定))× 価格 125(1人月当たり認識売上(万円、推定))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替の人月型。700人月から0.65倍、単価1.25倍。
- ネオクリプト:暗号資産運用・ノード報酬・ファンド等:数量 110(運用対象暗号資産の固定2026年4月期評価単価換算口数(1口=同時点の1億円分、推定))× 価格 0.08(1口当たり年間認識収益(億円/口、利回り相当、評価損益を除く))→ 売上 9 億円・営業利益 3 億円。運用口数0.78倍、1口の認識収益率は15.4%から8%へ低下。
倍率:ROEは5.2÷213=2.44%でk8.5%を下回る。長期成長g_long0%、超過利益の持続性を示す堀も弱いため、利益を資本コストで資本還元したPER1÷0.085=11.76倍を使う。暗号資産元本は事業に必要な運用資産として、別途足さない。
確率:新作IPの成功が一部にとどまり、暗号資産の運用報酬も競争で下がるが、事業自体は継続できるという中心の筋書き。観測できる新規管理手数料をまだ大きく見込まない。
やや悲観 26% IPの衰退と暗号資産の換金性悪化 利益 −3 億円 · PBR 0.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 88 円46 億円
有力IPを確保してもゲーム化後に課金者を引き留められず、新規タイトルのたびに宣伝費と版権料を失う。国内市場の成長の多くを大手IP保有会社が取り、gumiのシェアは縮小する。受託開発も発注側のAI活用と内製化で工数が細り、値上げは限定的となる。小規模な制作体制への再編はできても、開発費を回収する前に作品を閉じる例が続く。
暗号資産ではFCTやOSHIの流動性が低く、帳簿価額の一部を損失処理する。ノードの報酬率は下がり、SBIとの提携から期待した外部預かり資産も大きくは増えない。ゲームの固定費が残る一方で、ネオクリプトの利益も細るため全社の営業利益は赤字となる。新株発行を避けるため投資を縮め、還元は優待の一部を残す程度になる。時価総額は稼ぐ力よりも、換金できる資産の税後価値で支えられる。
- ネオメディアエンタメ:IPゲーム運営・課金:数量 10.0(年間課金者数相当(万人、複数タイトル合計の推定))× 価格 4.30(課金者1人当たり年間認識売上(万円、推定))→ 売上 43 億円・営業利益 −2 億円。課金者は現在の3分の2。既存IPの再契約費で赤字が続く。
- ネオメディアエンタメ:ゲーム受託開発:数量 380(顧客向け年間開発工数(人月、未開示のため推定))× 価格 110(1人月当たり認識売上(万円、推定))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。受託工数0.54倍、単価1.10倍。AI代替を数量と価格に反映。
- ネオクリプト:暗号資産運用・ノード報酬・ファンド等:数量 65.0(運用対象暗号資産の固定2026年4月期評価単価換算口数(1口=同時点の1億円分、推定))× 価格 0.06(1口当たり年間認識収益(億円/口、利回り相当、評価損益を除く))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。稼働元本を縮小し、収益率は6%へ低下。保有トークンの処分損は純利益にも反映。
倍率:赤字のためPERは使わず、2026年4月期の今の自己資本207.2億円×床のPBR0.22=45.584億円とする。十年後の自己資本147億円には倍率を掛けない。過去の市場PBRを根拠にせず、時価換算した純資産の処分見込額44.5億円をわずかに上回る。
確率:『ジョジョ』の伸び悩みと2026年の取引所取扱廃止は、仮説ではなく既に起きた出来事である。IP更新不発と運用報酬低下が重なる下方筋書きに相応の重みを置く。
悲観 16% ゲーム撤退縮小と主要トークンの価値毀損 利益 −8 億円 · PBR 0.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 52 円27 億円
大型タイトルの開発が続けて失敗し、他社IPを扱う立場を弱める。ゲームを縮小しても契約整理費と残存人件費がかかり、課金者の基盤は現在の3分の1程度に減る。受託開発ではAIエージェントを使う顧客が工程ごとの発注をやめ、少数の専門案件しか残らない。製作委員会への出資も十分なロイヤルティを生まず、ゲームの堀が失われる。
暗号資産ではFCTとOSHIの出来高が細り、帳簿の多くを回収できない。残った資産は処分や債務返済に使い、ノード運営は低利回りで縮小する。経常的な税後利益は赤字で、十年の途中に多額の評価損と整理費を計上する。SBIとの提携が続いても全株主への救済買付けを前提にしない。事業価値は大幅に失われ、配当はなく、優待も縮小する。悲観の下値は将来の帳簿純資産ではなく、いま換金できる資産を税・流動性・債務で削った残額だけに求める。
- ネオメディアエンタメ:IPゲーム運営・課金:数量 5.5(年間課金者数相当(万人、複数タイトル合計の推定))× 価格 3.80(課金者1人当たり年間認識売上(万円、推定))→ 売上 21 億円・営業利益 −4 億円。課金者数は現在の0.37倍に落ち、新作の整理費を負担。
- ネオメディアエンタメ:ゲーム受託開発:数量 200(顧客向け年間開発工数(人月、未開示のため推定))× 価格 90(1人月当たり認識売上(万円、推定))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。受託工数は0.29倍、単価も0.90倍まで下落。
- ネオクリプト:暗号資産運用・ノード報酬・ファンド等:数量 25.0(運用対象暗号資産の固定2026年4月期評価単価換算口数(1口=同時点の1億円分、推定))× 価格 0.03(1口当たり年間認識収益(億円/口、利回り相当、評価損益を除く))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。流動的な資産だけを縮小保有し、年間収益率は3%。
倍率:赤字で稼ぐ力のPERを使えないため、今の自己資本207.2億円×資産処分の床PBR0.13=26.936億円。悲観の十年後の自己資本75億円に掛けず、税後で売れる資産24.8億円を下回らない値とする。
確率:二つの主要トークンの流動性がさらに減り、IP更新でも立て直せない事態は十分あり得る。ただし金融提携先と残存資産があるため、全資産が無価値になる確率とは区別する。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ネオメディアエンタメ:IPゲーム運営・課金
『ジョジョ』『ヒロアカ』など他社IPを利用したゲームの開発・運営。課金者と運営タイトルの継続率が数量を決め、実際の版権条件は競争力に大きく影響する。
| 数量年間課金者数相当(万人、複数タイトル合計の推定) | 価格課金者1人当たり年間認識売上(万円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 15.0 | 4.20 | 63 | −5 |
| 10 年後 中立 | 14.0 | 4.80 | 67 | 4 |
取り方:2026年4月期のゲーム報告セグメント売上70.06597億円、営業損失4.69271億円が開示値。受託開発は金額未開示なので仮に7億円を別区分に取り、課金・運営分63億円とした。『ジョジョ』の事前登録70万人などタイトル規模を参考に、複数作品の実質年間課金者15万人×認識売上4万2,000円で63億円とする推計で、課金者数もARPPUも会社開示ではない。国内ゲーム市場約2.59兆円と対比し、低いシェアからの伸びと作品寿命の双方を考える。
ネオメディアエンタメ:ゲーム受託開発
版元や共同事業者から受ける受託制作・開発工程。人月・工数売りに該当し、AIエージェント代替の影響を数量で明示的に扱う。
| 数量顧客向け年間開発工数(人月、未開示のため推定) | 価格1人月当たり認識売上(万円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 700 | 100 | 7 | 1 |
| 10 年後 中立 | 455 | 125 | 6 | 0 |
取り方:2026年4月期のゲーム部門70.06597億円から便宜上7億円を受託分として推定配賦した。受託額、人月、単価は非開示であり、700人月×100万円×0.0001億円/万円=7億円という感度分析の基準であって実測値ではない。単独部門の営業利益0.8億円も仮定で、残るゲーム運営分との合計が報告ゲーム損失約4.69億円に一致するよう表示した。AIエージェント代替の人月型として十年中立の実質工数を0.65倍、単価を1.25倍に限定する。
ネオクリプト:暗号資産運用・ノード報酬・ファンド等
FCT・OSHI・BTC等の保有、ステーキング・バリデータ報酬、投資ファンドと関連システム。自社保有資産に紐づく報酬が大きく、独立した運用手数料との内訳は非開示。
| 数量運用対象暗号資産の固定2026年4月期評価単価換算口数(1口=同時点の1億円分、推定) | 価格1口当たり年間認識収益(億円/口、利回り相当、評価損益を除く) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 141 | 0.15 | 22 | 6 |
| 10 年後 中立 | 110 | 0.08 | 9 | 3 |
取り方:2026年4月期のネオクリプト旧ブロックチェーン等事業の売上21.77354億円、利益5.52593億円が有報の開示値。保有暗号資産141.33937億円を当時の単価による稼働元本141.34口とみなし、売上÷稼働元本=約15.4%を1口当たりの年間認識収益とした。報酬トークンの受領やその他収益を含み、純粋な運用手数料率ではない。十年の数量は当時の単価に直した運用口数、価格はその口が生む名目収益額とし、暗号資産の値上がりを数量に入れない。Hinodeの管理ソフトは売上未開示のため上乗せせず、席課金ならAI代替型として扱う。
リスクと懸念
主要暗号資産の流動性と評価方法
2026年7月末の保有暗号資産133億円の約8割をFCT・OSHIが占める。FCTはMEXCで取扱廃止となり、OSHIもBITPOINTなどで取扱廃止が公表された。他市場で取引できても大口保有者が帳簿評価で売り切れるとは限らず、会計上の評価方法が変わる可能性まで会社が注記している。
ゲームのヒット依存と権利料
『ジョジョ』が会社の計画より低調だったように、有名な作品のファン数は利益を保証しない。権利者との条件交渉や初期広告費が重く、新作が外れればサーバー・開発者・残存償却費が一斉には減らない。権利を自社で恒久保有しないため、作品の人気が高まるほど更新費が上がる場合もある。
AIエージェント代替
ゲームの受託開発は工数・人月売りの型であり、AIエージェントと顧客内製化によって十年中立の工数を現状の0.65倍とした。Hinodeの暗号資産会計管理ソフトも画面操作・席課金が価値の中心となる部分は数量0.70~0.90倍、単価1.00~1.15倍の圧力がある。規制上の記録の正本や長期低解約率を示す証拠はまだ2つそろわない。
暗号資産の価格変動と金融リスク
受け取ったトークンによる収益はキャッシュ手数料と異なる。2027年4月期第1四半期には暗号資産評価損などが連結純利益を大きく押し下げ、ノード運営が黒字でも株主利益は赤字になった。オプション取引、カウンターパーティー、保管・サイバー事故が資産の値下がりと同時に起これば損失が拡大する。
追加増資と少数株主への帰属
過去には赤字補填と成長投資のため株式を増やした。2026年6月に残余の第26回新株予約権を消却したが、今後の資金需要までは消えない。SBIとの資本関係は事業機会の源である反面、暗号資産の持分や手数料をどの法人に帰属させるか、第三者と少数株主の利益が一致するかを継続して見る必要がある。
規制・取引所・プラットフォームへの依存
日本の暗号資産関連規制、取引所での上場基準、税制の変更は直接収益と保有資産の回収価額に影響する。ゲームはApple・Googleの課金手数料、個人情報規制、未成年への課金制限の変更を受ける。どちらの事業も、自社が価格と販路を完全に支配しているわけではない。
利益と現金創出の乖離
2025年4月期と2026年4月期には純利益が黒字でも営業キャッシュフローはマイナスだった。開発の先行費用、暗号資産への資金投入、持分法投資が続けば、会計上の利益や含み益が増えても株主へ返せる現金は増えない。優待は現金配当を代替するほど大きくない。
今後の分かれ目
- FCT・OSHIの主要取引所で売買が一段と制限され、実際の大口売却価格が帳簿を著しく下回ったら
- ネオクリプトの処分価額と悲観の床を引き下げ、やや悲観・悲観の確率を上げる。帳簿の自己資本だけでは判断しない。
- 『ヒロアカ』を含む新作がリリース後4四半期にわたり課金を維持し、ゲーム部門の営業黒字が続いたら
- 課金者数量とゲーム利益率の中心値を上方修正する。広告費を引いた利益と版権契約の残存期間を確認する。
- SBI Crypto Fund Iの外部預かり資産と税後の反復運用手数料が継続的に金額開示されたら
- 自社保有トークンの価格変動と切り離した収益を評価し、運用事業の堀と長期成長率の再評価を検討する。
- 受託ゲーム開発の売上に対して工数と単価が開示され、AI導入後も成果報酬で利益が増えたら
- 人月型のAIエージェント代替を緩める余地がある。ただしAIサービスの実売上が確認できるまでは楽観の数量を現状超にしない。
- 借入とトークン投資を縮め、営業キャッシュフローが3期連続で黒字となったら
- 資本配分に改善があったと見なし、資産処分の控除率と株主への戻り方を見直す。純利益だけの回復とは区別する。
- 株式数が増加し、取得資金が既存事業の赤字補填へ使われ続けたら
- 既存株主の取り分を薄める条件を新たな希薄化係数に織り込み、中立以下の価値を引き下げる。
- SBIなどによる正式なTOB・完全子会社化・上場廃止予定または継続企業の前提注記が開示されたら
- 十年の継続企業価値による通常分析を中止し、公開買付条件や存続可能性を優先する。現時点でその事実は確認していない。
見ておくもの
- FCT・OSHIの取扱取引所、売買出来高、価格、会計上の評価方法と実際の処分額
- 有報・四半期資料の暗号資産保有数量と流動性の高いBTC・XRP等への構成比変化
- 『ジョジョ』『ヒロアカ』の四半期課金動向と新作IPタイトルの運営継続率
- ネオメディアエンタメとネオクリプトの営業利益・現金収支の分離
- ファンド外部預かり資産、運用手数料、バリデータ報酬と暗号資産評価益の区別
- 発行済株式・自己株式・新株予約権の変化とSBIの持株比率
- 現金配当、株主優待の実費、営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー
倍率と資本コストの決め方
先に2026年4月期のゲーム70.07億円とネオクリプト21.77億円を報告セグメントで確認した。開示されないゲーム内訳は課金者数と受託人月に仮分解し、暗号資産収益は保有元本当たりの認識収益とした。各筋書きの営業利益と税後利益を積み、k8.5%、弱い堀、g_long0%で楽観から中立のPER上限11.76倍をそのまま使った。今のPERやPBRから倍率を逆算していない。悲観側は今の自己資本207.2億円に対してPBRを掛け、十年後の蓄積自己資本に掛けず、清算処分時の床を照合した。暗号資産は運用元本として利益を生むため、帳簿価額をPER価値に別途加えず二重計上を避けた。
株価・株数は指示通りbriefの188円、5,179.7万株を使用した。ただし2026年7月末の会社短信は発行済5,390.1万株・自己株式なしであり、指定株数とは約4%の差がある。会社資料との食い違いを隠さず、時価総額の再計算が必要な未解決点として残す。2027年4月期は会社が業績予想を非開示としており、添付の次期数値は会社の中計公約とは見なさない。新リース基準導入に伴う表示変更は旧来の費用概念にそろえて考えた。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に業績の変動+0.5%、価格決定力の弱さ+0.5%を反映した8.5%。大口暗号資産の評価・上場廃止リスクは利益とシナリオで扱い、別の上乗せはしていない。