結論
エコモットは北海道発のIoT企業である。工事現場の見える化と融雪設備の遠隔監視には確かな利用実績があるが、長く持つ株主にとって現状の約30億円という時価総額は割高と判断する。最も評価したいのは、現場ロイドの累計導入が2万5千件を超え、ゆりもっとも3千箇所を超えるという実物の顧客接点だ。机上のソフト会社ではなく、雪の降る地域や建設現場で端末を稼働させた経験がある。
問題は、その接点が利益に変わっていないことである。最新の2026年8月期は売上約22億円に対し営業損失2.32億円、最終損失1.75億円を計上した。前期に太陽光関連子会社を売却し、今期は水産加工を買収したため、前年の売上30億円と単純比較すると事業の実力を誤る。それでも建設事業の売上が伸びながら赤字を免れていない事実は軽くない。
2027年8月期は黒字復帰を予想するが、前年も利益計画から大きく外れた。10年後の中立では建設用機器の物理的な需要は増える一方、人月型開発や画面中心のソフトはAIエージェントによって数量を減らす。新規事業と利益率改善がともに進んでようやく普通の収益企業になる、という道筋である。
資金余力も潤沢ではない。純有利子負債を抱え、株主還元は配当より優待に偏る。自社の株を長く所有するなら、累計導入数よりも有料の稼働契約、事業別の営業利益、開発投資を差し引いた現金収入を見たい。確率を掛けて資本コストで割り戻した価値は約5.6億円であり、足元の価格に見合う安全域は乏しい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、エコモットの価値は「現場から毎年、いくら自由な現金が戻るのか」に尽きる。北国の融雪装置や工事現場のカメラは必要性がはっきりしている。故障時に施工や安全へ影響する機器なら、顧客は単純に安い商品へ切り替えない。2万件以上の現場導入と数千箇所の融雪監視は、試作だけを売る企業にはない実績である。
だが、稼いでいない市場の実績は堀、つまり競争者を遠ざける力の証明にならない。毎年の契約更新率も値上げ率も分からないままでは、端末を何台置いていても長期の収益を保証できない。まして人手を掛けてアプリを作り、顧客に画面を見てもらうサービスは、AIが本人に代わって操作を済ませる時代に構造を変える必要がある。機器が残るのと、その機器に付けていたソフトの単価が残るのは別の話だ。
資本を投じる判断にも厳しい基準が要る。過去には増資と株数の増加があり、直近は赤字のなかで水産加工と予報業務を取得した。新しい事業がIoTの実験台として役立つのはよいが、水産加工で取れる粗利と買収後の回収額を示さなければ、株主には再投資の利回りが分からない。営業キャッシュフローが二期連続で赤字である以上、会計上の黒字予想だけではオーナー利益と呼べない。
少数株主に望ましいのは、利益率が低い受託案件を選別し、機器レンタルの更新・保守から現金を残し、余剰資金が生まれた段階で還元する順序である。KDDIの支援や買収の可能性は上振れだが、株主が買収条件を決められるわけではない。現在の時価総額に十分な安全域があるとは見ない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの土台は二つのIoT事業である。エコモット本体のIoTビジネスイノベーションは、集合住宅などの融雪ボイラーを遠隔監視する「ゆりもっと」と、KDDI・積水樹脂との共同開発、IoT機器の接続やデータ管理を担う。監視サービスには設備の効率化という成果があるが、共同開発には案件ごとの検収と技術者の工数に左右される部分が残る。2026年8月期の外部売上は約10.05億円である。
GRIFFYが担うコンストラクションソリューションでは、現場ロイド、PROLICA、GenVital LTEなどを工事現場へ貸し出し、販売し、保守する。建設現場の騒音・安全・映像・作業員の体調・気象を把握するため、通信端末と施工の実務が結び付いている。BAIASの配筋検査ARやKIYOMASA PROの気象情報はソフトの価値が高いが、その画面の操作部分はAIの代替を受けやすい。同事業の外部売上は約10.95億円で、グループ全体のほぼ半分を占める。
2026年3月から藤山水産加工が加わった。つぶ貝・ホッキ貝などを仕入れて水槽で畜養し、加工・卸売する事業である。売上は連結初年度の約半年で1.17億円となったが、粗利率は極めて薄く、最初の半年で赤字を出した。水温監視の実証先になることと、水産加工自体の投資収益が上がることは区別すべきだ。
会社の開示は、IoT、建設、水産の売上までである。ゆりもっと単独売上、課金アカウント、現場の年間稼働件数、受託人月、貝類の取扱重量は非開示だ。そのため数量表には、開示された導入箇所・年間増加件数・従業員規模・卸売価格から組み立てた現場換算値を置き、契約実数とは区別した。
優良さと弱いところ
製品の強みは現場への設置経験にある。雪や雨、屋外電源、通信不感地帯を扱う端末は、汎用ソフトを動かすだけでは済まない。ゆりもっとは導入3,254箇所に達し、会社は燃料費の平均約42%削減を訴求する。現場ロイドの累計導入も25,322件に増え、国土交通省のNETISに登録された製品を持つ。建設会社の現場担当者や販売代理店とのつながりは、小規模企業にとって実際の参入障壁になり得る。
しかし、累計導入は現在の課金現場数ではない。契約の年次解約率、1現場当たりの継続課金、値上げの成功率、顧客の切替えにかかる期間は開示されていない。NETISは新技術の情報提供制度であって独占許可ではない。予報業務許可も業法上の入口にはなるが、技術的優位や価格決定力を保証しない。したがって、堀の強さを確定できず、事業の超過収益の持続には慎重である。
資本効率はむしろ弱点を示す。2017~2018年には利益率7%前後の年度もあったが、その後は赤字と僅かな黒字を繰り返した。2026年には建設事業で原価上昇と管理システム更新、IoT側で大型案件の失注が重なった。親会社に帰属する自己資本は約6.61億円、自己資本比率は26.4%まで下がった。利益を積み上げるより技術開発と資金調達が先行している。
KDDIとの提携は販売の力になる反面、大口提携先が仕様と価格を主導する余地もある。2026年の代表交代予定を機に、現場データを蓄積するだけでなく、更新契約と資本効率を公開できるかが品質を分ける。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
建設業の人手不足と工事現場の安全規制は長期の追い風である。国土交通省のi-Construction 2.0は遠隔施工や現場の省人化を促し、矢野経済研究所は端末を含む建設現場DXの主要5分野を2024年度586億円、2030年度1,250億円と予測する。建設用のアプリ・ソフトを扱う別の市場は2023年度1,845億円から2030年度3,043億円へ拡大する見通しだ。両者は調査範囲が違い、足してエコモットの獲得可能市場とすることはできない。
同社の建設ソリューション売上は前者の広い市場との比較で約2%弱という参考値にすぎない。遠隔臨場に限定した厳密なシェアではなく、主な競合であるセーフィーなどの遠隔映像企業や大手建機メーカーのシェアも同じ定義では公表されていない。施工管理アプリではANDPAD、スパイダープラスなどと機能が一部重なるが、こちらも現場機器のレンタルとは売上母集団が異なる。業界の市場拡大だけで同社のシェア増加を約束するものではない。
IoT全体の国内市場は会社資料に引用されたIDC推計で2023年約6.9兆円、2028年約10.1兆円だ。同社のIoT関連売上はその1万分の数程度でしかなく、国内市場シェアを拡大できる余地と、大手による内製化・価格交渉の双方が大きい。冬季融雪遠隔監視の設置可能施設数、貝類畜養の地域別市場、競合各社の厳密なシェアは信頼できる同一定義の統計を確認できなかったため、数量には会社の実際の導入件数と推定出荷重量を使う。
最大の変化はAIエージェントである。工事現場のカメラ、温度・湿度センサー、融雪ボイラー、水槽は物理的に残る。しかし開発の人月売上や、画面を開いて帳票や気象情報を確認するための席課金は減る。大手通信会社・プラットフォーム提供者が機器の接続、解析、発注まで統合すれば、中間の受託開発者は競争力を失う。インフレ3%に伴う価格上昇は現場機器にはある程度通っても、画面型サービスには通りにくい。
資本政策と M&A
資本配分では、事業の売却と取得が短期間に重なった。2025年8月に太陽光関連のパワーでんきイノベーションを売却し、2026年3月には藤山水産加工を買った。後者から負ののれん発生益約0.87億円が生じたが、これは毎年稼げる利益ではない。GRIFFYは戸田建設や村本建設の資本参加を受け、2026年には気象予報事業を譲り受けた。2026年11月の定時株主総会後には創業経営者からKDDI出身者への代表交代が予定される。
KDDIは2025年8月末に約20.5%を保有する戦略株主だ。将来のTOBは選択肢だが、買付けの発表はなく、買収プレミアムを価値に前払いしない。
2025年11月公表の事業計画では、レンタル・販売年率5%、共創事業年率20%、建設DXアプリの2028年売上構成比15%を目標に掲げる。ただし2036年の連結売上・営業利益・ROEの数値目標はなく、配当性向・DOE・総還元性向・自己株買い額も数字の約束なしだ。2026年8月期の利益計画が大幅未達だったため、計画そのものには割引が必要である。
2025年8月期には約0.50億円の自社株買いを行ったが、2025~2027年の普通配当はゼロまたはゼロ予想である。一方、保有株主には銘菓4千円分か水産品5千円分を選べる優待があり、2026年8月期の引当金は約0.325億円に達した。10年の株主還元には実際の優待費用相当額を加え、現金配当や自社株買いの再開は業績好転時だけ認める。利益が十分に出ていない段階で優待と開発投資が資本を圧迫する構図には注意したい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
建設現場に深く入り込んだ小さな技術企業は、大手ソフト会社が単純に代替できない。現場ロイドは累計25,322件まで拡大し、2026年にも2,654件の導入実績が上積みされた。国土交通省のNETIS対応製品が多数あり、配筋検査ARのBAIASや映像を端末内で解析するPROLICAには安全と省人化の実際の用途がある。建設業の人手不足と熱中症対策の厳格化が続けば、これらの現場機器の設置数は長期的に増える。
ゆりもっとは3,254箇所まで広がり、融雪燃料費の節約という料金対効果を数字で訴えられる。冬季監視を人手から自動判定に変えれば、工数を売るのではなく省エネルギーの成果を売る事業へ移行できる。2026年に引き継いだKIYOMASA PROと自社の現場端末を組み合わせれば、気象予報、現地の観測、安全指示までを一つにできる。大手ゼネコンやKDDIとの販路は、有望なサービスの普及速度を押し上げるだろう。
水産加工も、単なる食品卸でなく畜養水槽の自動監視を磨く実証設備と考えられる。既に路面解析のMiruroadや音声解析などエッジAIを提供し始めており、現場データの収集と継続記録を製品に結び付けられれば価値の源は画面でなく現場に残る。GRIFFYへ戸田建設、村本建設が参加したことも販路と信頼性を強くする。事業を整理して開発費を抑えれば、過去に示した営業利益率を超える回復もあり得る。
慎重な見方
累計25,322件は有料の継続契約数ではなく、過去に機器を置いた数である。新設件数は分かっても、何件が今も稼働し、更新料金を払っているかが分からない。販売代理店や大口取引先に顧客接点を握られれば、製品の改善費用はエコモットが負担し、値上げの利益は他社が取る可能性もある。そもそも2026年は売上総利益が計画に届かず、建設子会社の原価上昇と管理費が全社の損益を悪化させた。
人月型の開発はAIエージェントによる自動生成と検証で請求工数が減る。建設アプリと気象情報の画面も顧客のAIから直接呼び出されるなら、従来の席課金を守りにくい。予報業務許可は必要条件でも独占権ではない。現場データや建設会社との関係が有料更新率と価格上昇を生む証拠はまだ乏しく、SIやクラウドの大手による機能の統合で製品の一部が無料化することもある。
水産加工の買収では負ののれん益を認識したが、加工・畜養そのものは仕入れ価格と鮮度管理に収益が左右され、初年度は売上総利益率がほぼゼロだった。太陽光事業の売却直後に分野の離れた買収をしたことで、経営の注意と資金が散らばる。自己資本比率が26.4%、営業キャッシュフローが二期連続のマイナスという状況で、さらに開発費と機器の更新費用が必要になる。借り換え金利の上昇や新株発行が重なれば、残る事業が生き延びても既存株主の取り分は細る。
どちらに重みを置いたか
現場機器の導入実績と販売網には確かな価値があるので、会社が十年後に存在しないと決めつけるべきではない。しかし利益計画の大幅未達、負債、異業種買収、継続課金指標の非開示が重なる以上、慎重な見方を優先する。下側2筋書きの確率を46%、上側を24%とした理由はAIを確率でも重ねて罰するためではない。AI代替は既に中立の人月・アプリ数量と長期成長率に反映し、確率の偏りは同社固有の資本配分と直近の損失から決めた。2027年の会社予想どおり黒字に戻っても、その利益が何年続くかを見極めたい。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/08 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 208 円11 億円(+ 還元の換算額還元の合計 53 円3 億円)。 今の値に割り戻すと 109 円6 億円、今との差 −80.8%、 期待の年率 −8.1%(資本コスト 10.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 761 円39 億円 | 112 円6 億円 | +54.9% | +4.8% | 70 円4 億円 |
| やや楽観 | 16% | 423 円22 億円 | 83 円4 億円 | −10.3% | −1.2% | 81 円4 億円 |
| 中立 | 30% | 183 円9 億円 | 64 円3 億円 | −56.3% | −8.9% | 74 円4 億円 |
| やや悲観 | 29% | 78 円4 億円 | 39 円2 億円 | −79.4% | −16.5% | 34 円2 億円 |
| 悲観 | 17% | 12 円1 億円 | 0 円0 億円 | −98.0% | −32.2% | 2 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 208 円11 億円 | 53 円3 億円 | −53.8% | −8.1% | 261 円13 億円 |
今の株価時価総額 564 円29 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 現場機器と気象を一体化し高収益化 利益 4 億円 · PER 9.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 761 円39 億円
全国の土木工事で遠隔監視の標準化が進み、端末・保守の販売代理店網が大きく広がる。建設現場の年間導入換算量は5,700件に達し、PROLICA、BAIAS、GenVital LTEや気象予測を一体で売ることで、現場1件当たりの機器売上も高まる。累計導入に見合う更新契約が増え、建設の営業利益率が15%まで改善する。戸田建設・村本建設の協力が単なる出資で終わらず、全国現場への実装を促進する。
雪対策の必要性は北海道と東北で続き、ゆりもっとの導入は4,250箇所まで広がる。監視の人手は自動判定へ切り替わり、設備の燃料削減という成果をより多くの施設に売る。IoT受託開発の請求工数はAIエージェント代替で従来を上回らないが、KDDI経由の大規模連携案件と高付加価値な個別開発で単価を保つ。ソフトの課金IDも従来以下にとどまるものの、現場データと端末を一体化して単価下落を防ぐ。
水産加工は出荷400トン級の企業になり、鮮度・水温管理の歩留まりが改善して利益を出す。買収の失敗がなく、予報業務や路面解析の新事業も長期利益を積む。ただし市場拡大やM&Aの相乗効果は予測であり、現在の利益実績から確認されたものではない。
- 融雪監視「ゆりもっと」:数量 4,250(監視対象の導入箇所数(箇所、累計値を年間契約量の代理))× 価格 0.00(1導入箇所当たり年間売上(億円/箇所))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。監視4,250箇所。人手判定の自動化で監視原価低下
- IoT共同開発・受託とデータ連携:数量 800(請求対象の開発・保守工数(人月、推定))× 価格 0.01(請求1人月当たり売上(億円/人月))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。800人月=現状の0.94倍、AIによる工数圧縮をなお反映
- 建設現場の端末・安全監視レンタル:数量 5,700(年間導入増に基づく現場換算件数(件、推定))× 価格 0.00(現場換算1件当たり機器・保守売上(億円/件))→ 売上 27 億円・営業利益 4 億円。年5,700現場換算、機器の高度化で単価増
- 建設DXアプリ・気象予測:数量 2,600(年間導入増に対応する有料サイト換算ID(件、推定))× 価格 0.00(サイト換算ID当たり年間売上(億円/件))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。2600有料サイト換算、現状未満の数量
- 藤山水産加工の貝類畜養・販売:数量 400(貝類等の出荷重量(トン、概算))× 価格 0.02(出荷1トン当たり平均売上(億円/トン))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。400トン、成長する加工・畜養工場
倍率:2036年の事業純利益4.056億円、帰属自己資本23.814億円、ROE17.03%。弱い堀の残存割合1/3からRONIC=12.68%。g_long1%、k10.5%、PER=(1−g/RONIC)/(k−g)≒9.70倍。新しい投資の稼ぎだけが薄れると見て式の上限をそのまま採用する。余剰現金はなく、時価総額は利益×このPERで求める。現在の市場PERは参照しない。
確率:全国のゼネコン販路拡大、気象・安全端末の横展開、原価低減、水産加工の立て直しが全て成功する必要がある。現場数には実績があるが採算の同時改善は低確率なので8%。
やや楽観 16% 建設端末の導入とレンタル採算が改善 利益 2 億円 · PER 9.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 423 円22 億円
人手不足が進む建設会社にとって、遠隔臨場と端末監視は必要な設備として残る。現場ロイドの導入フローを年4,600件相当に増やし、売上の厚いレンタル・機器部門で11%の営業利益率を獲得する。BAIASの検査工程の自動化とKIYOMASA PROの予報を既存現場へ追加することで、高い導入コストを掛けずに契約単価を底上げできる。NETIS登録を受注の入口として使えるが、競合の遠隔カメラや施工アプリを排除できるほどの独占力は期待しない。
ゆりもっとは3,900箇所まで広がり、監視センターの自動化で固定費を抑える。共同開発はAIで人月が減るため、数量は650人月相当へ縮小する。残る案件は現場機器の設計や大口クラウド連携が中心になり、単価の改善が数量減少を一部相殺する。ソフトの課金IDも2400件相当にとどまり、単価は物価より緩やかに伸びる。
藤山水産加工は買収後の事業整理を終え、2026年より薄い粗利を改善する。業績が持ち直せば優待の継続に加えて少額の配当や自社株買いも可能になる。2026年の資金流出を反転できることが、この筋書きの条件になる。
- 融雪監視「ゆりもっと」:数量 3,900(監視対象の導入箇所数(箇所、累計値を年間契約量の代理))× 価格 0.00(1導入箇所当たり年間売上(億円/箇所))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。監視3,900箇所、設備効果を訴求
- IoT共同開発・受託とデータ連携:数量 650(請求対象の開発・保守工数(人月、推定))× 価格 0.01(請求1人月当たり売上(億円/人月))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。650人月=現状の0.76倍、単価は1.26倍
- 建設現場の端末・安全監視レンタル:数量 4,600(年間導入増に基づく現場換算件数(件、推定))× 価格 0.00(現場換算1件当たり機器・保守売上(億円/件))→ 売上 21 億円・営業利益 2 億円。年4,600現場換算、端末更新収入が増える
- 建設DXアプリ・気象予測:数量 2,400(年間導入増に対応する有料サイト換算ID(件、推定))× 価格 0.00(サイト換算ID当たり年間売上(億円/件))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。2400サイト=現状の0.90倍、価格1.14倍
- 藤山水産加工の貝類畜養・販売:数量 300(貝類等の出荷重量(トン、概算))× 価格 0.02(出荷1トン当たり平均売上(億円/トン))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。300トン、通年化と顧客開拓
倍率:2036年の事業純利益2.274億円、帰属自己資本17.314億円、ROE13.13%。弱い堀の残存割合1/3からRONIC=11.38%。g_long1%、k10.5%、PER=(1−g/RONIC)/(k−g)≒9.60倍。新しい投資の稼ぎだけが薄れると見て式の上限をそのまま採用する。余剰現金はなく、時価総額は利益×このPERで求める。現在の市場PERは参照しない。
確率:建設DX需要の構造拡大と既存販路を活用できれば到達可能。ただし2026年の原価超過と案件失注が示す実行難易度を反映して16%。
中立 30% 現場機器は伸びるが開発と画面は縮む 利益 1 億円 · PER 9.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 183 円9 億円
現場ロイドの累計導入とNETIS対応は10年後も営業の武器になるが、すべての導入現場が毎年料金を払うわけではない。施工の人手不足を背景に機器の年間導入換算量は3,600件へ増え、1件当たりの販売・レンタル価格は名目で上がる。しかし大手の映像サービスや建機メーカーも現場DXへ入り、費用転嫁は限定的だ。建設ハードの利益率は7%まで回復するものの、独占的な水準にはならない。
ゆりもっとは3,500箇所を維持・拡大し、IoTの物理現場との接点として存続する。一方、KDDI向けを含む人月型の受託開発はAIエージェントにより請求工数が0.65倍となり、名目単価の上昇でも売上全体は伸びない。画面主体の建設アプリ・気象情報もID数が0.83倍に減り、競争で価格は物価ほど上がらない。現場機器とデータの一体サービスに転じられない部分は細る。
水産加工は6カ月だけだった連結期間が通年となり出荷数量を増やすが、仕入れ価格に左右される薄利商売として扱う。管理費の削減、商品欠品の解消、開発案件の採算管理が進めばグループ全体で営業利益率5%台へ戻る。2027年の黒字予想を無条件に延長せず、以前の増資や買収のような資本効率低下が再発する可能性も残す。
- 融雪監視「ゆりもっと」:数量 3,500(監視対象の導入箇所数(箇所、累計値を年間契約量の代理))× 価格 0.00(1導入箇所当たり年間売上(億円/箇所))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。3,500箇所、現場は残るが人手工数減
- IoT共同開発・受託とデータ連携:数量 550(請求対象の開発・保守工数(人月、推定))× 価格 0.01(請求1人月当たり売上(億円/人月))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。550人月=0.647倍、単価は1.26倍。人月AI代替の範囲
- 建設現場の端末・安全監視レンタル:数量 3,600(年間導入増に基づく現場換算件数(件、推定))× 価格 0.00(現場換算1件当たり機器・保守売上(億円/件))→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。年3,600現場換算、需要増と物価上昇
- 建設DXアプリ・気象予測:数量 2,200(年間導入増に対応する有料サイト換算ID(件、推定))× 価格 0.00(サイト換算ID当たり年間売上(億円/件))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。2200サイト=現状の0.83倍、価格1.09倍。席AI代替
- 藤山水産加工の貝類畜養・販売:数量 170(貝類等の出荷重量(トン、概算))× 価格 0.02(出荷1トン当たり平均売上(億円/トン))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。170トン、連結期間の通年化が主要因
倍率:2036年の事業純利益0.992億円、帰属自己資本10.914億円、ROE9.09%。ROEが資本コスト未満なので長期投資の超過収益は付けず、PER上限1÷10.5%=9.5238倍。新しい投資の稼ぎだけが薄れると見て式の上限をそのまま採用する。余剰現金はなく、時価総額は利益×このPERで求める。現在の市場PERは参照しない。
確率:建設端末の需要と物価転嫁で売上は上向くが、人月・画面型のAIエージェント代替と水産加工の低い粗利が相殺する中心シナリオ。利益計画への信頼は限定的なので30%。
やや悲観 29% シェア停滞と値下げで収益は低迷 利益 0 億円 · PER 9.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 78 円4 億円
建設市場そのものは縮まないが、エコモットの端末が選ばれる件数は伸びず、年間導入換算量は2,750件にとどまる。セーフィーなどが遠隔映像を低価格にし、ゼネコンの内製システムが機器の更新間隔を延ばす。端末1件当たりの売上も物価上昇に追いつかない。会社は外注や販管費を削って一応黒字を守るが、建設機器の営業利益率は5%に抑えられる。
AIエージェントによって人月請求できる開発部分は500人月相当へ縮み、他社への機能統合でアプリの有料サイト数も減る。ゆりもっとの導入施設には競合が入り、遠隔監視の単価上昇は物価を下回る。設備制御の物理的な価値は残るため全契約が失われるわけではないが、更新時の料金交渉が厳しくなる。予報業務許可を取得しても予報データだけでは十分な継続料金を取れない。
水産加工は想定ほど取扱重量を増やせず、原料価格や鮮度管理の負担で赤字になる。過去の買収を拡大する余力は乏しく、株主還元は優待を縮小しながら続ける程度にとどまる。企業の存続は保てても利益率と自己資本利益率が資本コストを大きく下回り、資産を積んで成長させる意味は薄くなる。
- 融雪監視「ゆりもっと」:数量 3,100(監視対象の導入箇所数(箇所、累計値を年間契約量の代理))× 価格 0.00(1導入箇所当たり年間売上(億円/箇所))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。監視3,100箇所、名目単価は物価未満
- IoT共同開発・受託とデータ連携:数量 500(請求対象の開発・保守工数(人月、推定))× 価格 0.01(請求1人月当たり売上(億円/人月))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。500人月=0.59倍、単価は1.15倍
- 建設現場の端末・安全監視レンタル:数量 2,750(年間導入増に基づく現場換算件数(件、推定))× 価格 0.00(現場換算1件当たり機器・保守売上(億円/件))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。年2,750現場換算、物価未満の値決め
- 建設DXアプリ・気象予測:数量 1,650(年間導入増に対応する有料サイト換算ID(件、推定))× 価格 0.00(サイト換算ID当たり年間売上(億円/件))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。1650サイト=現状の0.62倍、価格据え置き
- 藤山水産加工の貝類畜養・販売:数量 115(貝類等の出荷重量(トン、概算))× 価格 0.02(出荷1トン当たり平均売上(億円/トン))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。115トン、粗利不足で赤字
倍率:2036年純利益0.446億円、自己資本9.114億円、ROE4.9%がk10.5%を下回り、長期の成長は追加価値を生まない。稼ぐ力の上限1/k=9.52倍より弱い存続力を反映したPER9.0倍を採る。清算床に正の余剰はなく、価値4.014億円は稼ぐ力に依る。
確率:下に寄せる理由:2026年の営業損失2.32億円、最終赤字の連続、短期借入金増加と建設子会社の原価高騰が確認された。AI縮小は既に数量へ反映済みで、その理由で確率を再び増やさない。
悲観 17% 独自性を失い赤字と資金制約が残る 利益 −1 億円 · PBR 0.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 12 円1 億円
建設現場に端末が必要という需要は残るが、独立ベンダーであるエコモットは競争に敗れる。通信会社と大手建設テックがデータ、カメラ、安全管理を一括提供し、販路を握る販売代理店も安価な代替品へ切り替える。現場ロイドの年間導入換算量は1,700件に落ち、更新・保守単価も下がる。累計導入の看板は残っても、有料稼働現場は少なくなる。建設の機器・アプリとも営業赤字に陥る。
冬季の融雪設備には管理需要が残るが、ゆりもっとの導入施設は2,000箇所へ後退し、他社の自動制御との価格競争で粗利が消える。IoT受託開発はAIエージェントにより人月の価値が減り、大口取引先の内製化も重なって数量は350人月相当へ落ちる。画面操作を前提としたアプリの課金も縮む。データ蓄積を独占的な利益に変えられず、気象予測や路面解析が損失を埋める新しい柱には育たない。
貝類の畜養加工も原料高と歩留まり悪化で損失が続き、追加買収の資金はない。負債の借り換え負担が重くなり、開発投資や株主優待を停止する。これは会社の継続に疑問が出る構造的な負け筋で、将来の増資による既存株主の希薄化が起これば、ここに書いた事業全体の残価さえ既存株主には全額帰属しない。
- 融雪監視「ゆりもっと」:数量 2,000(監視対象の導入箇所数(箇所、累計値を年間契約量の代理))× 価格 0.00(1導入箇所当たり年間売上(億円/箇所))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。施設2,000箇所、価格も低迷
- IoT共同開発・受託とデータ連携:数量 350(請求対象の開発・保守工数(人月、推定))× 価格 0.01(請求1人月当たり売上(億円/人月))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。350人月=0.41倍、顧客が内製化
- 建設現場の端末・安全監視レンタル:数量 1,700(年間導入増に基づく現場換算件数(件、推定))× 価格 0.00(現場換算1件当たり機器・保守売上(億円/件))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。年1,700現場換算、低価格代替品に押される
- 建設DXアプリ・気象予測:数量 900(年間導入増に対応する有料サイト換算ID(件、推定))× 価格 0.00(サイト換算ID当たり年間売上(億円/件))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。900サイト、ソフト契約の消失
- 藤山水産加工の貝類畜養・販売:数量 80.0(貝類等の出荷重量(トン、概算))× 価格 0.01(出荷1トン当たり平均売上(億円/トン))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。80トン、供給・価格競争で構造赤字
倍率:営業赤字が恒常化し、売れる資産の税後から全負債を控除すると正の残余は確認できない。継続価値も弱く、現在の親会社自己資本6.61436億円に0.09を掛けた事業再編時の残価0.5953億円。過去の谷のPBRではない。将来積み上げた自己資本には掛けない。
確率:下に寄せる理由:工事現場で製品の採用はあっても利益が残らず、二期連続の営業CF流出と新しい水産事業の赤字によって借り換え・事業継続余力が削られている。存続が難しくなる尾部事象に17%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
融雪監視「ゆりもっと」
積雪地の集合住宅や施設の融雪設備を監視し、遠隔操作とエネルギー節約を支援する継続サービス。現場の装置と季節ごとの人による監視が混在する。
| 数量監視対象の導入箇所数(箇所、累計値を年間契約量の代理) | 価格1導入箇所当たり年間売上(億円/箇所) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 3,254 | 0.00 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 3,500 | 0.00 | 6 | 1 |
取り方:会社資料の2026年8月末導入3,254箇所は開示事実。独立採算売上は非開示のため、IoT外部売上10.05084億円のうち冬季監視を4.00億円と仮配分し、年間1箇所約12.3万円と逆算した推定値であり実際の単価・稼働箇所数ではない。現地IoT装置と融雪制御は物理サービスだが人が監視する事務工程はAIエージェント代替型であり、10年後の人手工数を中立で現在の0.65倍程度とする。
IoT共同開発・受託とデータ連携
KDDIのIoTクラウド、積水樹脂のICOT-LINK、直販先向けの機器連携とシステム開発・保守。案件の人月売り部分を独立して扱う。
| 数量請求対象の開発・保守工数(人月、推定) | 価格請求1人月当たり売上(億円/人月) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 850 | 0.01 | 6 | −2 |
| 10 年後 中立 | 550 | 0.01 | 5 | 0 |
取り方:2026/08のIoT外部売上10.05084億円から冬季監視の仮配分4.00億円を差し引いた6.05084億円が起点。会社は契約人月も単価も開示していない。連結従業員165人のうち約70人強が12カ月の請求稼働を担う計850人月、平均約71.2万円/人月と置いた独立した人員稼働の概算で、検証済み契約数ではない。人月・工数型のAIエージェント代替を適用し、中立の数量は850から550人月へ0.647倍、価格は約1.26倍にとどめる。
建設現場の端末・安全監視レンタル
GRIFFYの「現場ロイド」、エッジAIカメラPROLICA、GenVital LTE、現場向け通信機器など、現実の工事現場に置く端末と施工支援のレンタル・販売。
| 数量年間導入増に基づく現場換算件数(件、推定) | 価格現場換算1件当たり機器・保守売上(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 2,654 | 0.00 | 9 | 0 |
| 10 年後 中立 | 3,600 | 0.00 | 16 | 1 |
取り方:2025年8月末の累計22,668件から2026年8月末25,322件への差2,654件を、新規現場導入の年間フローの代理とした。実際には更新・稼働中レンタル・再利用も含むため契約数とは一致しない。2026年の建設ソリューション外部売上10.95301億円の80%をハード系8.762408億円とする分析上の仮区分で、単価は約33.0万円/件。物理作業はAIエージェントの席代替とは別に市場拡大を評価する。
建設DXアプリ・気象予測
配筋検査AR「BAIAS」、建設現場向け気象情報「KIYOMASA PRO」や端末の画面を介した管理機能。2026年に買った予報サービスを含む。
| 数量年間導入増に対応する有料サイト換算ID(件、推定) | 価格サイト換算ID当たり年間売上(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 2,654 | 0.00 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 2,200 | 0.00 | 2 | 0 |
取り方:2026/08の建設売上10.95301億円から機器仮区分80%を除いた20%、2.190602億円をアプリ・気象に割り当て、同じ累計導入差2,654件をID相当量の代理として約8.25万円/件とした推計。直接開示される課金ID・解約率・セグメント分割売上はない。席課金・画面中心のAIエージェント代替型を適用し、中立数量2,200件(0.829倍)、価格上昇約1.09倍とする。予報業務許可248号とNETIS登録は事実だが、低解約率や価格転嫁の数値の二証拠がなく記録の正本型にはしない。
藤山水産加工の貝類畜養・販売
2026年3月に取得した水産子会社がつぶ貝、ホッキ貝などを仕入れ、水槽で畜養し加工・販売する。AI・IoTの現場実証先でもある。
| 数量貝類等の出荷重量(トン、概算) | 価格出荷1トン当たり平均売上(億円/トン) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 70.0 | 0.02 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 170 | 0.02 | 4 | 0 |
取り方:2026年3月以降の連結外部売上1.16503億円は確定値。重量は非開示なので、つぶ貝・ホッキ貝の市場卸売価格の概数(魚種混合で1キロ約1,660円)から、1トン約0.01664億円、約70トンと試算した。半年連結を単純年換算すれば約140トン相当になるが季節と商品構成が違うため不確実。水産の仕入れ・畜養・加工は現場の物理工程であり、ソフトや人月型のAIエージェント代替を直接掛けない。
リスクと懸念
AIエージェント代替と共同開発の人月縮小
KDDIとの開発や保守が人月・工数で請求される部分は、AIが設計、実装、テスト、問い合わせ対応をまとめて処理するほど請求工数が減る。会社は成果報酬型への転換額を開示していないため、中立では工数0.65倍程度とする。機器の物理的導入と同じ成長率を人月に掛けるのは危険である。
AIによる画面型ソフト・予報情報の値下げ
BAIASやKIYOMASA PROの画面をAIが介さずに直接呼び出すようになれば、ID数や利用者数を根拠とした価格設定は弱くなる。2026年の予報業務許可は事業を営む資格であり、顧客の解約率5%未満や法対応による値上げ実績のような「記録の正本」の堀を裏付ける証拠ではない。
建設子会社の原価・人件費と更新投資
2026年にはGRIFFYで原価上昇、販売管理システム更新、家賃改定が利益を圧迫した。機器レンタルは需要があっても修理と更新に現金を要し、労務費は物価とともに増える。既存機器の簿価上の償却を一律に3%増やさず、更新する端末の再調達コストだけを上げて考える必要がある。
財務の余裕の薄さと資金調達
2026年8月末の現預金は約5.89億円だが、借入金は約11.53億円と上回り、自己資本比率は26.4%である。営業キャッシュフローも2025年と2026年に流出した。借入を3.5%前後で借り換える局面では金利負担が重く、開発投資や水産の運転資金が想定外に増えれば増資による希薄化が起こりうる。
水産加工買収の採算と会計上一過性利益
藤山水産加工は2026年に約半年で1.17億円の売上を計上したが、粗利率はほぼゼロで営業損失も出た。取得時の負ののれん益約0.87億円は売却可能な現金収入ではなく、翌年以降の利益を保証しない。水産物価格、歩留まり、食品衛生、需給変動をIoTの技術開発だけで打ち消すことはできない。
導入実績と課金契約数の差
現場ロイドの累計25,322件とゆりもっとの3,254箇所は開示された強みだが、年間の稼働現場、解約数、平均価格は別に公表されていない。累計値を現在の継続課金IDと誤認すると売上と利益の伸びを過大評価する。主要ゼネコンや代理店との取引条件の変更も数量と単価に同時に影響する。
経営承継と買収・売却の資本配分
2025年の太陽光事業売却、2026年の水産買収と予報事業譲受、代表交代予定が短期間に重なる。新事業の利益目標と投下資本利益率が確認できなければ、売上の種類だけが増え、現金を生む力が薄まる可能性がある。KDDIによる買収観測だけで本質価値を引き上げることもしない。
今後の分かれ目
- 現場ロイドの年間新規導入が3,600件を超え、稼働中有料契約と更新率も併せて開示されたら
- 累計導入ではなく継続課金の数量増を確認できる。建設端末の中立数量と利益率を上げ、上側の確率を増やす。
- ゆりもっとの監視対象が3,500箇所を超え、燃料削減効果が更新単価の上昇として契約に反映されたら
- 冬季IoTの価格決定力を見直す。ただし人による監視工数のAI代替は並行して評価する。
- IoT共同開発の売上のうち、工数以外の成果報酬・ライセンス収入が金額付きで開示されたら
- 人月縮小の一律扱いから、その実績額に限って数量と長期成長率を改善できる。実証や受注件数だけでは足りない。
- BAIASやKIYOMASA PROの課金ID、解約率、継続値上げ実績が公開されたら
- AIに置き換わりにくいデータ基盤の根拠を精査する。解約率と値上げの両方が強ければ当該部分にだけ長期の堀を認める。
- 2027年8月期の営業利益0.75億円という会社計画を達成し、営業キャッシュフローも継続黒字になったら
- 近年の計画未達による下振れ確率を引き下げ、借入返済後のオーナー利益を再計算する。
- 水産の通年売上4.60億円を達成しても営業損失が続く、または追加買収を増資で賄ったら
- 水産の数量拡大に価値を与えず、利益率と既存株主の取り分を下方修正する。
- 純有利子負債が自己資本の過半を割り、普通配当または計画的な自社株買いが始まったら
- 資本コストの借金部分と余剰現金の還元係数を見直す。優待だけでなく株主へ戻る現金を確かめる。
見ておくもの
- 現場ロイド累計件数に加え年間純増・稼働中課金現場数・解約率の開示
- ゆりもっとの監視箇所数・監視原価と燃料削減実績、契約改定単価
- GRIFFYの外部売上、営業利益、レンタル端末の償却と更新投資
- KDDI・積水樹脂との開発受注残、保守契約、成果報酬売上の区分
- BAIAS・KIYOMASA PROの有料ID、NETIS登録と実際の受注転換率
- 藤山水産加工の貝類出荷重量、粗利益率、通年売上予想との差
- 営業キャッシュフロー、純有利子負債、借入金利および株数の増減
- 2026年11月予定の代表交代後の事業整理と長期還元方針
倍率と資本コストの決め方
基準時価総額は30.23億円だが、先に2036年の数量・名目単価・利益を積み上げた。2025/08で止まる添付財務の実績起点だけ2026/08短信に更新した。現場ロイド累計件数は年間の有料契約ではなく、年2,654件の増加を推計の代理にした。人月の工数と画面型IDはAIエージェント代替による縮小を織り込み、現物機器だけに実質増を認めた。倍率はk10.5%、g_long1%、堀の残存1/3で求め、ROEがk以下ならPERは1/kを上限とした。赤字の悲観は、借入・契約負債とソフトの処分価値を差し引いて床を調べ、過去の谷のPBRには頼らない。新リース基準で賃借負債の表示が変わっても家賃と金利を二重に数えない。確率加重した10年後時価総額10.74億円、還元2.72億円を各10年・5年で割り戻すと約5.61億円、時価総額比-81.4%。株価水準は価値の仮定に使っていない。
資本コスト 10.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 1.0%。国債3%と株式リスクプレミアム4.5%から基準7.5%。循環0.5%+値決め力0.5%+負債1.0%+寿命0%のquality2.0%と、連続赤字のdistress1.0%を加えた10.5%。βと時価総額の小ささから機械的な上乗せはしない。