結論
カヤックは、世界で遊ばれるスマートフォンゲームを作りながら、広告制作、ゲーム開発受託、eスポーツ、地方創生まで手掛けるコンテンツ企業である。筆者の結論は「やや割高」だ。独自のゲーム開発力と約20億円の純現金は評価できるが、10年先も現在の利益を安定して増やせるかには疑問が残る。
同社には確かな実績がある。2025年の自社コンテンツのダウンロード数は約3.46億件に達し、ハイパーカジュアルゲームでは5年連続で日本企業首位を維持した。単なる広告制作会社ではなく、企画、開発、集客、収益改善を自社で繰り返せる会社だ。2026年には大型IPとの共同開発も始まり、ゲーム事業の収益構造を変える機会が生まれている。
それでも、事業全体に強い堀があるとは言い難い。売上の大きな部分を占める受託制作と開発は、AIエージェントによって必要な人手と外注工数が減る。自社ゲームはこの変化に比較的強いが、Apple、Google、広告配信事業者への依存が大きい。新作を生み続けなければ収益は細り、ヒットした作品も永続する保証はない。地域プラットフォームのスマウトには利用者と自治体のネットワークがあるものの、まだ全社の利益を守るほどの規模ではない。
2025年の営業利益は約11億円まで回復したが、2018年と2019年には赤字となり、2024年も約4億円に落ち込んだ。収益力の振れは大きい。一方で経営陣は新事業と買収に資本を投じ続けており、その増分投資が株主資本コストを安定して上回る証拠は十分ではない。5つの筋書きの確率加重価値は約53億円で、基準時価総額の約64億円を17%ほど下回る。大きな上振れの可能性は残るが、現段階では長く持つための安全域が不足している。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、カヤックを単なる広告制作会社として片づけるべきではない。自社ゲームを世界に配信し、累計15億ダウンロードを超える作品群を育ててきた実績は本物である。ヒットの兆候を早期に発見し、失敗した企画への投資を抑える開発文化にも経済的な価値がある。手元の純現金が厚く、借入返済だけで成長機会を逃す状況でもない。
しかし、長く持つ株主が買うのは過去のヒットではなく、これから10年以上にわたって生まれるオーナー利益である。カヤックの利益は、広告単価、アプリ配信網、ヒットの発生、受託先の投資判断によって変動する。いずれも会社だけでは制御できない。2025年に営業利益が回復した事実は評価するが、2018〜2019年の赤字や2024年の落ち込みを考えると、単年度の利益を長期の確実な稼ぎとみなすことはできない。
もう一つの論点は資本配分だ。企業文化を共有する会社を買い、事業の幅を広げる戦略は魅力的である。しかし、株主にとって利益を生むには買収後の営業利益と投下資本の関係が改善しなければならない。売上高200億円を超える企業へ育ったことと、100億円を超える価値を株主にもたらすことは別の話である。内部留保の利益が再投資で十分に増えないなら、還元を厚くしたほうがよい。
スマウトの地域データとネットワーク、ゲームの開発・収益改善ノウハウには将来の堀がある。ただし現状では、受託事業へのAI代替圧力を補い切れるほど強くない。筆者は同社の創造力を評価しつつも、利益の予測可能性と投資規律には高い安全域を要求する。現在の時価総額では悲観時の損失に対する余裕が十分とは言えず、本質価値の上振れを確信するには、ゲーム投資の成果と継続的な資本利益率の改善を待つ必要がある。
何で稼ぐ会社か
カヤックの稼ぎの中心は、自分たちで作ったゲームを世界中に配信し、その中に表示する広告から収入を得る事業である。代表的な作品には「Park Master」などがあり、2025年8月には自社ハイパーカジュアルゲーム46作品の累計ダウンロード数が15億件を突破した。広告収入は実際に遊ぶ利用者の数、広告表示回数、広告単価で決まる。開発段階から利用者獲得費用と生涯収益を検証し、見込みのある作品だけを本格開発する仕組みが特徴である。
もう一つの柱は、他社のコンテンツを作る受託事業だ。カヤックアキバスタジオなどはゲームや映像、XRを制作し、カヤックボンドはゲーム開発やデジタル分野の受託を担う。広告領域では企画力と技術力を生かし、企業のキャンペーン、動画、商品開発、コミュニティづくりを請け負う。2026年からは広告、DX、eスポーツ関連を「ブランド&マーケティング」にまとめ、顧客の課題設定から制作と運用まで支援する方針を明確にした。
eスポーツでは、上場子会社GLOEが大会制作、イベント運営、タレント関連事業を行う。大会運営プラットフォーム「Tonamel」も保有する。ただし大会運営は人手を要し、競技人口が増えても自動的に利益率が高まる事業ではない。GLOEの2025年10月期の営業利益率は1%未満であり、売上成長をそのまま高い資本利益率とみなせない。
地域事業では、移住・関係人口マッチングサービス「スマウト」と地域通貨「まちのコイン」を運営する。自治体や地域企業からシステム利用料、導入費、地域プロモーションの受託費を得る。スマウトは2026年8月に累計登録者数10万人、登録地域数1,200超となった。自治体との接点と蓄積された利用者情報は、ほかの受託事業にはない競争上の資産である。
その他には、ブライダルプラットフォームのプラコレWedding、英治出版、地域不動産、地域企業への投資などがある。2026年には公共向け制作と語学出版を手掛けるブレイングループの取得も決定した。事業の幅は広がる一方、事業ごとに利益率、必要資本、少数株主持分が異なるため、全社売上高の成長だけでは経済的な価値を判断しにくい。
優良さと弱いところ
同社の最も優れた資産は、作品を作る組織と、その良し悪しを迅速に検証できる開発文化である。ハイパーカジュアルゲームでは開発候補のうち約5%だけが世界配信に進むという基準を設け、失敗を早く見切って次の作品へ進む。複数のロングセラーを育てた実績もあり、少数の大作に依存するゲーム会社とは違った強みを持つ。この開発文化は模倣できても、組織全体に根付かせるには時間がかかる。
ただし、強い開発文化と強い価格決定力は別物だ。ゲームの広告単価は広告市場と配信網に左右され、カヤックが自由に値上げできるわけではない。ユーザーが新しいゲームへ移る費用も小さい。世界市場ではVoodoo、Azur Games、SayGamesなどが競争相手となり、生成AIが制作費を下げれば新規参入者も増える。ダウンロード実績は競争力の証拠だが、10年間維持できる独占的な地位ではない。
受託事業の堀はさらに薄い。広告賞や企画力は顧客の獲得に役立つものの、顧客が発注先を変更する費用は比較的小さい。受託開発でも、顧客がAIで内製できる部分が増えるほど従来の工数に対価を払わなくなる。スマウトには地域と利用者のネットワーク効果があり、これが最も継続的な堀に育つ可能性を持つが、利用料金の持続的な引き上げや低解約率については十分な定量開示がない。
資本効率にも注意が要る。2015年から2025年までに自己資本は大きく増えたが、純利益は同じ勢いでは増えていない。2022年には約8億円稼いだ一方、2024年には約2億円に落ち込んだ。2025年は回復したものの、買収した事業も含めて増分資本利益率が恒常的に資本コストを超えているとは判断できない。約20億円の純現金は経営の選択肢を広げるが、その現金を低収益事業へ投じれば株主にとっての価値は減る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ゲーム市場は大きいが、ダウンロード数の成長とゲーム会社の利益成長は同じではない。Sensor Towerによれば、2025年の世界のゲームダウンロードは全プラットフォームで約520億件、モバイルゲーム内課金売上は約820億ドルに達した。モバイルではダウンロード数量の成長が鈍り、継続率や利用者当たりの収益改善が重視されている。カヤックの約3.46億ダウンロードは世界でも無視できない規模だが、個々のゲームの寿命は短く、毎年のヒット開発が必要になる。
カジュアルゲームは参入障壁の低さが最大の脅威である。生成AIは画像、プログラム、広告素材、効果音などの制作費を下げる。既存の開発者には生産性向上の機会だが、競合にも同じ道具が使える。広告配信側ではAppLovin、Unity、Googleなどの仕組みが顧客獲得単価と収益性に影響する。10年後も娯楽としてのゲームは必要とされるが、個々の制作会社の超過利益が守られるとは限らない。
広告市場は成長している。電通によれば2025年の国内インターネット広告費は約4.05兆円となり、そのうちインターネット広告制作費は4,922億円だった。ただし制作会社の取り分は、広告媒体費全体が増えた割合では伸びない。AIによる自動生成、広告運用の自動化、顧客企業の内製化が進めば、制作数量と手数料率の双方に下押し圧力がかかる。カヤックは体験型企画やリアルイベントに強みを残せるものの、すべての案件がこの領域に移るわけではない。
国内eスポーツ市場は日本eスポーツ協会の集計で2024年に約161億円となり、2026年には200億円超が予測されている。大会制作、スポンサー、配信、教育などが成長の源泉だが、イベント運営は労務費や会場費が増える。市場の拡大率をそのままGLOEの利益成長率とすることはできない。
地域事業では人口減少そのものが需要を生む。全国約1,700自治体のうちスマウトの利用地域はすでに約1,200に達し、地域側の新規契約数には上限が見えてくる。今後の拡大余地は企業向け採用、二地域居住、副業、事業承継などにある。ただしJOINなどの移住情報サービス、求人媒体、行政独自システムとの競争があり、自治体予算も制約となる。需要の必要性は高くても、利益を独占できる市場ではない。
資本政策と M&A
資本政策の評価は慎重である。2025年には約3.91億円の自己株式取得を実施し、2026年8月には配当性向20%を目安とする方針を示して増配予想を公表した。これは株主への現金還元を重視し始めた前進だ。ただし配当性向50%以上を継続する企業とは異なり、依然として利益の大半を内部に残して成長投資へ向ける設計になっている。
2026年3月公表の事業計画では、売上高230億円、営業利益10億円、純利益6億円を当期目標とした。中期的にはゲーム・アニメ領域へ3年間重点投資し、2026年だけで6億円超の先行投資を予定する。大型IP共同開発への同社負担約3.3億円を含み、2028年以降に年間10億〜30億円規模の利益創出を目指すとしている。ただしこれは期待する投資成果であり、複数年度の売上高、ROE、ROIC、DOE、総還元性向、自社株買い額を拘束する中期数値目標は示されていない。
買収も成長戦略の中心である。2024年には5社、2025年には2社のM&Aを完了した。2026年には公共領域の制作実績と語学教材を持つブレイングループの取得を決定した。制作案件の幅が広がり、教育コンテンツの利用権が収益源になる可能性はあるが、買収価格に見合う利益を生むかは今後の検証が必要だ。特に上場子会社GLOEのように売上規模と営業利益の差が大きい事業については、増収より資本利益率の改善を優先してほしい。
過去の増資や新株予約権による希薄化にも注意が必要である。2026年6月末の発行済株式数から自己株式を控除した株数を基準にし、未確定の将来の新株発行は数値上織り込んでいない。今後の買収資金や株式報酬の規模は継続監視が必要だ。10年間の還元は中立で累計14億円とし、20%程度の利益還元を基本にした。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
カヤックには、通常の受託制作会社にはない世界規模の顧客接点がある。2025年のゲームダウンロード数は約3.46億件であり、自社で開発と集客の実験を繰り返す仕組みを持つ。これは広告代理店が制作を請け負うだけでは得られない資産だ。ゲーム市場全体が成熟しても、広告収益改善、ハイブリッドカジュアルへの転換、長寿命作品の育成によって稼ぐ余地は大きい。
特に大型IPとの共同開発は、新しい利益の柱を作る機会になる。会社は2026年から資金を投じ、2028年以降に年間10億〜30億円規模の利益創出を目指すと説明している。成功すれば、既存の小型ゲームを多数開発する事業から、知的財産と継続課金を伴う収益事業へ一部が移る。アニメ制作やゲームコミュニティ事業との相乗効果も期待できる。
スマウトは全国約1,200地域へ広がり、利用者は10万人に達した。自治体と地域企業をまたぐマッチングの蓄積は、一般的な制作受託よりも失われにくい。今後は移住だけでなく採用、副業、事業承継などへ対象を広げられる。ブレイングループの公共案件実績も、自治体や観光領域で新しい顧客を獲得する足掛かりになる。
さらに2025年末の純現金は約20億円ある。財務破綻を避けながら、開発投資、買収、自己株取得を選べることは小型成長企業として大きい。長期的にゲーム開発の成功確率が高まり、低採算の受託事業を縮小して自社コンテンツへ資本を移せば、現在よりはるかに高い利益率を実現する可能性がある。
慎重な見方
創造力があることと、株主が利益を安定して受け取れることは別である。カヤックの過去10年には赤字期があり、好調だった2022年から2024年にかけて営業利益は大きく減った。ゲームが世界的に成功しても、ユーザー獲得費や広告単価が変われば利益は消える。2025年のダウンロード数が過去最高だったとしても、その作品群が2035年まで同じ稼ぎを生むとは限らない。
より大きな変化はAIエージェントだ。制作会社や開発会社が人手と工数で請求する仕事は、顧客がAIを使って内製するほど縮小する。画像、広告動画、プログラム、ゲームの試作品、分析、広告最適化まで自動化される。カヤックがAIを活用して一人当たりの制作量を増やしても、顧客への請求単価が同時に下がれば、増加した生産性は株主利益にならない。既存の受託売上を維持するだけでも難しい可能性がある。
自社ゲームにも技術変化の悪影響が及ぶ。生成AIで参入者が増えれば、似たゲームをより低い費用で大量に配信できる。AppleやGoogleの規則、広告配信アルゴリズム、個人情報保護規制も変わりうる。カヤックには利用者を囲い込む独自の配信網がなく、ヒット作品を販売する経路の大部分は他社が握っている。
M&Aも警戒すべきである。2024年と2025年だけで計7社の買収を完了しており、連結売上高の成長に買収の寄与がある。取得した会社の利益率が低ければ、売上規模は増えても資本効率は下がる。2026年の大型IP投資についても、目標利益がまだ実現していない段階で長期の恒常利益へ織り込むべきではない。純現金があっても、先行投資と買収で失うことは十分ありうる。
どちらに重みを置いたか
自社ゲームの開発力とスマウトのネットワークについては強い評価ができる。しかし、受託開発・広告制作・イベント運営の利益の持続性と、再投資の利回りには慎重な見方が勝る。確率は楽観側28%、中立34%、悲観側38%とし、下側をやや厚くした。AI代替は中立の受託数量と長期成長率に反映済みであり、確率でさらに一律の罰を重ねてはいない。大型IP投資の成功には上振れを残したが、実績が出る前に中立利益へ算入することは避けた。総合価値は約53億円で基準時価総額を約17%下回り、結論はやや割高となる。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 628 円97 億円(+ 還元の換算額還元の合計 88 円14 億円)。 今の値に割り戻すと 344 円53 億円、今との差 −13.9%、 期待の年率 +6.5%(資本コスト 8.3%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 1,678 円259 億円 | 208 円32 億円 | +372.6% | +18.4% | 189 円29 億円 |
| やや楽観 | 18% | 1,054 円162 億円 | 123 円19 億円 | +195.1% | +12.3% | 212 円33 億円 |
| 中立 | 34% | 626 円96 億円 | 91 円14 億円 | +79.7% | +6.5% | 244 円38 億円 |
| やや悲観 | 24% | 209 円32 億円 | 52 円8 億円 | −34.5% | −4.5% | 63 円10 億円 |
| 悲観 | 14% | 52 円8 億円 | 13 円2 億円 | −83.6% | −17.7% | 9 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 628 円97 億円 | 88 円14 億円 | +79.5% | +6.5% | 716 円110 億円 |
今の株価時価総額 399 円61 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 新規IP成功と自社ゲームの世界展開 利益 20 億円 · PER 12.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,678 円259 億円
カヤックはハイパーカジュアルゲームの大量開発だけでなく、長く遊ばれるハイブリッドカジュアル作品を複数生み出す。世界の年間ダウンロード数は約4.8億件となり、ゲーム内広告だけでなく継続課金と関連コンテンツの収益も広がる。2026年に始まった大型IPとの共同開発ではヒット作品を獲得し、2028年以降の収益創出目標が実を結ぶ。海外の競合と比べても、開発と運営の収益効率が高い会社になる。
受託開発と広告制作の仕事量にはAI代替が及ぶため、楽観でも両事業の案件数量を現在より大きく増やさない。代わりに大規模な企画やIP共同開発、体験型マーケティングなど、顧客が成果に対して払う仕事へ移る。GLOEは大会制作の採算を改善し、Tonamelの有料機能も拡充する。スマウトは企業の採用や複業に利用が広がり、地域ネットワークから利益を生む。
M&Aでは低採算の事業を改善し、出版・観光・ブライダルの周辺事業も黒字化する。余った現金の一部を還元しながら事業へ再投資し、2035年の営業利益は約31億円となる。堀が独占的になるわけではないが、複数の自社コンテンツが継続的に利益を生む企業へ変わる筋書きである。
- ゲーム・アニメ:自社ゲーム広告・自社コンテンツ:数量 480(年間自社コンテンツダウンロード数(百万DL))× 価格 25(1ダウンロード当たり実効収益(円。広告収入などを含む推定値))→ 売上 121 億円・営業利益 17 億円。年間4.8億DL。単位収益は現状の約1.34倍。IPとロングセラーの収益化成功。
- ゲーム・アニメ:受託開発・IP共同制作:数量 160(年間有償開発案件数(件、推定))× 価格 0.27(1案件当たり平均売上高(億円、推定))→ 売上 43 億円・営業利益 4 億円。AI代替下でも案件数は現状以下。高付加価値の共同開発契約へ移行。
- ブランド&マーケティング:広告企画・DX・コンテンツ受託:数量 335(年間有償制作・DX案件数(件、推定))× 価格 0.13(1案件当たり売上高(億円、推定))→ 売上 45 億円・営業利益 4 億円。数量は現状の約0.91倍。体験型・統合型企画の単価を維持。
- ブランド&マーケティング:eスポーツ・コミュニティ:数量 155(年間の有償イベント・スポンサー案件換算数(件、推定))× 価格 0.27(1案件換算当たり売上高(億円、推定))→ 売上 42 億円・営業利益 3 億円。現場型大会の需要は残り、Tonamel有料化で利益率改善。
- ちいき資本主義:スマウト・まちのコイン・地域支援:数量 1,250(スマウト有料利用地域数(地域))× 価格 0.01(1有料地域当たり年売上換算額(億円、周辺受託を含む))→ 売上 15 億円・営業利益 4 億円。民間導入とデータ活用が進む。自治体数には上限を設ける。
- その他:ブライダル・出版・地域事業・新規投資:数量 11.0(稼働事業運営体数(事業部・グループ会社の合計、概算))× 価格 3.90(1運営体当たり平均年間売上高(億円))→ 売上 43 億円・営業利益 3 億円。買収先の統合が成功し、11運営体で利益を確保。
倍率:資本コストk=8.25%、moat=weakで超過ROEの残存率は1/3。2035年事業純利益は余剰現金25億円の税後利息0.35億円を除いた19.45億円、事業自己資本は136−25=111億円、事業ROEは約17.5%。RONICは約11.34%。g_long=0.5%から正当化PER=(1−0.005÷0.1134)÷(0.0825−0.005)=約12.33倍。事業純利益19.45×12.33+余剰現金25×戻り方0.75=約258.57億円。10年間の大きな成長は2035年利益に反映済みで、永久成長率を上げない。
確率:自社ゲームの新作開発が連続して成功し、大型IP共同開発も収益化し、地域事業と買収先の利益率まで改善する複合的な成功を想定する。十分ありうるが複数の成功が必要なため10%。
やや楽観 18% カジュアルゲームの進化と収益の安定化 利益 12 億円 · PER 12.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,054 円162 億円
世界向けの自社カジュアルゲームは、新作と既存のロングセラーが互いを補い、年間約4.2億ダウンロードを維持する。大型IP共同開発も一定の成果を得るが、全社の利益構造を変えるほどの大成功ではない。ゲーム広告では配信競争が激しくなるものの、開発効率の改善と継続利用率の向上により、営業利益率を現在より高める。
受託開発はAIエージェントによる工数削減で案件数が減るが、高度な企画、版権管理、複雑なシステム統合など人間の判断を要する案件が残る。広告制作も同様に数量を減らし、制作実務より企画設計と実際の体験づくりへ移る。eスポーツ市場は拡大するが、同社は運営効率の改善を利益の源泉にする。
スマウトは自治体向け利用と民間企業向け採用支援を伸ばす。その他の事業では収益性の低い案件を整理し、ブライダル、出版、地域企業のうち利益を生むものへ集中する。買収は続くが規模の拡大を過度に追わず、2035年には営業利益約20億円を確保する。ゲームのヒットに恵まれた年の利益を恒常値にしていないため、楽観よりも再現性が高い筋書きである。
- ゲーム・アニメ:自社ゲーム広告・自社コンテンツ:数量 420(年間自社コンテンツダウンロード数(百万DL))× 価格 25(1ダウンロード当たり実効収益(円。広告収入などを含む推定値))→ 売上 105 億円・営業利益 13 億円。年間4.2億DLと単位収益約1.33倍。ハイブリッド化が一部成功。
- ゲーム・アニメ:受託開発・IP共同制作:数量 140(年間有償開発案件数(件、推定))× 価格 0.26(1案件当たり平均売上高(億円、推定))→ 売上 36 億円・営業利益 3 億円。案件数は現状の0.80倍、平均単価は1.28倍。
- ブランド&マーケティング:広告企画・DX・コンテンツ受託:数量 295(年間有償制作・DX案件数(件、推定))× 価格 0.13(1案件当たり売上高(億円、推定))→ 売上 38 億円・営業利益 3 億円。AIで制作数量は減るが、企画設計を高付加価値化。
- ブランド&マーケティング:eスポーツ・コミュニティ:数量 135(年間の有償イベント・スポンサー案件換算数(件、推定))× 価格 0.26(1案件換算当たり売上高(億円、推定))→ 売上 35 億円・営業利益 2 億円。大会運営の省力化とプラットフォーム収益が寄与。
- ちいき資本主義:スマウト・まちのコイン・地域支援:数量 1,050(スマウト有料利用地域数(地域))× 価格 0.01(1有料地域当たり年売上換算額(億円、周辺受託を含む))→ 売上 12 億円・営業利益 2 億円。企業向け採用支援の拡大で、地域当たり収益が増加。
- その他:ブライダル・出版・地域事業・新規投資:数量 9.0(稼働事業運営体数(事業部・グループ会社の合計、概算))× 価格 3.75(1運営体当たり平均年間売上高(億円))→ 売上 34 億円・営業利益 1 億円。選択的な買収と既存事業の利益率改善。
倍率:k=8.25%、g_long=0.5%、残存率1/3。2035年の余剰現金25億円を外すと事業純利益11.75億円、事業自己資本97億円でROE約12.1%。RONICは約9.54%、正当化PERは約12.23倍。時価総額=(12.1−25×0.014)×12.23+25×0.75=約162.45億円。受託の長期成長を楽観的に延ばさない。
確率:ゲーム開発能力は実証済みであり、ヒットを適度に継続できる可能性がある。一方、IP共同開発とM&Aの両方を高収益化することは容易ではなく18%とする。
中立 34% 自社ゲームが支え、受託の縮小を補う 利益 7 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 626 円96 億円
自社ゲームは新作と既存作品の入れ替わりを続け、年間約3.29億ダウンロードを保つ。世界のゲーム市場は成長するが、生成AIによる制作費低下で作品供給も増えるため、カヤックのシェアはわずかに低下する。広告単価は物価上昇ほどには増えず、ゲーム広告事業は現在よりやや大きい収益規模に落ち着く。大型IP共同開発は収益化するものの、会社が目指す年間10億〜30億円の利益が継続的に上乗せされるとは見込まない。
受託ゲーム開発の案件数は現在の約65%、広告・DX制作の案件数も約65%へ縮小する。AIエージェントが制作と分析を代替し、顧客の内製化が進むためである。単価は一部上昇するが物価全体には届かない。eスポーツは市場が伸びても、運営受託の競争が続き、利益率は緩やかな改善にとどまる。
スマウトは自治体の利用基盤を維持する一方、民間企業への拡大が計画ほど進まず、契約数は現状近辺で推移する。その他の事業では買収と撤退が続き、売上高は増えるが利益への寄与は限定的である。2035年の連結営業利益は約11億円、純利益は約7億円となる。売上高はほぼ横ばいだが、現金収支は一定程度維持し、会社そのものが消える筋書きではない。
- ゲーム・アニメ:自社ゲーム広告・自社コンテンツ:数量 329(年間自社コンテンツダウンロード数(百万DL))× 価格 23(1ダウンロード当たり実効収益(円。広告収入などを含む推定値))→ 売上 77 億円・営業利益 8 億円。ダウンロード数0.95倍、実効収益1.25倍。広告価格の伸びは物価を下回る。
- ゲーム・アニメ:受託開発・IP共同制作:数量 114(年間有償開発案件数(件、推定))× 価格 0.25(1案件当たり平均売上高(億円、推定))→ 売上 29 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替により案件数は約0.65倍。単価は1.25倍。
- ブランド&マーケティング:広告企画・DX・コンテンツ受託:数量 241(年間有償制作・DX案件数(件、推定))× 価格 0.13(1案件当たり売上高(億円、推定))→ 売上 30 億円・営業利益 2 億円。制作・DX受託件数は約0.65倍。顧客の内製化が進む。
- ブランド&マーケティング:eスポーツ・コミュニティ:数量 117(年間の有償イベント・スポンサー案件換算数(件、推定))× 価格 0.25(1案件換算当たり売上高(億円、推定))→ 売上 29 億円・営業利益 1 億円。イベント制作の事務・配信運用の一部をAIが代替。現場運営は残る。
- ちいき資本主義:スマウト・まちのコイン・地域支援:数量 792(スマウト有料利用地域数(地域))× 価格 0.01(1有料地域当たり年売上換算額(億円、周辺受託を含む))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。プラットフォームの有料地域換算数0.85倍、単価1.08倍。
- その他:ブライダル・出版・地域事業・新規投資:数量 8.0(稼働事業運営体数(事業部・グループ会社の合計、概算))× 価格 3.60(1運営体当たり平均年間売上高(億円))→ 売上 29 億円・営業利益 1 億円。買収と撤退を経て8運営体が残る。利益率は低い。
倍率:k=8.25%、全社長期g=0.5%。余剰現金20億円を除いた事業純利益は6.72億円、事業自己資本は90億円、事業ROEは約7.5%となりkを下回る。再投資の超過利益を認めず、正当化PER上限1÷0.0825=12.12倍を使用する。時価総額=(7−20×0.014)×12.12+20×0.75=約96.45億円。利益率の弱さを倍率から二重に引かず、既に縮んだ数量とROEで反映する。
確率:自社ゲームの開発実績と2026年の事業投資を評価しつつ、AI代替による受託数量の減少、ゲーム広告市場の成熟、買収後の利益率の低さを反映した中心シナリオ。確率は34%。
やや悲観 24% 受託の縮小とゲーム広告の失速 利益 3 億円 · PER 10.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 209 円32 億円
自社ゲームでは、既存のロングセラーの利用が減り、新作のヒット率も低下する。競合する海外パブリッシャーがAIを使って短期間で大量の作品を開発し、広告出稿競争が激しくなる。カヤックの年間ダウンロード数は約2.3億件へ減り、利用者当たりの広告収益も物価上昇についていけない。大型IP共同開発は費用回収にとどまり、株主に大きな超過利益を残さない。
企業向け制作とゲーム受託開発では、AIエージェントが作業工程のかなりの部分を代替する。顧客の内製化によって発注件数は現在の約55%へ縮む。eスポーツ大会は続くものの、制作単価とスポンサー予算が伸びず、GLOEの利益は小さいままとなる。スマウトは利用地域の統廃合や自治体の予算見直しで有料契約数が減り、その他の事業でも撤退が増える。
固定費の削減は進めるが、制作人材の維持、システム運営、買収した会社の管理費が残る。2035年の営業利益は約4億円にとどまり、ROEは資本コストを大幅に下回る。10年間で約8億円を還元できる一方、新規投資や再編のために現金の一部が失われる。事業は存続するが、価値を増やす再投資先が乏しい会社へ変わる。
- ゲーム・アニメ:自社ゲーム広告・自社コンテンツ:数量 230(年間自社コンテンツダウンロード数(百万DL))× 価格 22(1ダウンロード当たり実効収益(円。広告収入などを含む推定値))→ 売上 51 億円・営業利益 5 億円。年間DL数は現在の約0.66倍。広告単価も物価に負ける。
- ゲーム・アニメ:受託開発・IP共同制作:数量 96.0(年間有償開発案件数(件、推定))× 価格 0.23(1案件当たり平均売上高(億円、推定))→ 売上 22 億円・営業利益 1 億円。AI代替で案件数0.55倍。利益率は低下。
- ブランド&マーケティング:広告企画・DX・コンテンツ受託:数量 205(年間有償制作・DX案件数(件、推定))× 価格 0.12(1案件当たり売上高(億円、推定))→ 売上 25 億円・営業利益 1 億円。受託件数は約0.55倍。成果報酬への転換も限定的。
- ブランド&マーケティング:eスポーツ・コミュニティ:数量 100(年間の有償イベント・スポンサー案件換算数(件、推定))× 価格 0.23(1案件換算当たり売上高(億円、推定))→ 売上 23 億円・営業利益 0 億円。大型案件の減少と固定費負担で薄利が続く。
- ちいき資本主義:スマウト・まちのコイン・地域支援:数量 700(スマウト有料利用地域数(地域))× 価格 0.01(1有料地域当たり年売上換算額(億円、周辺受託を含む))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。自治体予算縮小と低価格競争で有料地域が減る。
- その他:ブライダル・出版・地域事業・新規投資:数量 6.0(稼働事業運営体数(事業部・グループ会社の合計、概算))× 価格 3.30(1運営体当たり平均年間売上高(億円))→ 売上 20 億円・営業利益 0 億円。低収益事業を撤退し、残った事業も収支均衡。
倍率:事業ROEは約3.2%でk=8.25%を下回るため、稼ぐ力の倍率上限は約12.12倍。低い資本効率と再投資余地の乏しさを考慮し、悲観側は10.5倍とする。将来の余剰現金10億円について、税後利息0.14億円を純利益から控除し、戻り方75%を加える。時価総額=(2.5−0.14)×10.5+10×0.75=32.28億円。現在の純現金のうち事業再編で失われる部分は床に二重計上しない。
確率:ゲームのダウンロードが減り、AIによる内製化が受託売上を侵食する複合的な下振れ。2024年の低利益率とGLOEの薄利実績があり、無視できないため24%。
悲観 14% ゲームの競争優位を失い、買収資本を毀損 利益 −6 億円 · PBR 0.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 52 円8 億円
カヤックは自社ゲームの競争力を失い、年間ダウンロード数は約1.35億件まで縮む。生成AIによって競争相手のゲーム制作費が大幅に下がり、広告配信網も新規参入作品で混雑する。利用者獲得費が上がる一方、広告から得られる収益は低下する。大型IP共同開発は期待した利益を生まず、制作済み資産の価値も毀損する。過去のロングセラーは残るが、新しいヒットを継続して生み出せない。
広告制作とゲーム開発受託では、AIエージェントの普及で従来の人月ビジネスが構造的に縮小する。案件数は現在の4割前後となり、単価も維持できない。GLOEではスポンサー費用の削減と大会運営の競争激化が重なる。スマウトは無料または低価格の行政サービスやAIによる求人・移住マッチングに顧客を奪われ、地域側の課金基盤が弱くなる。
経営陣は買収と新規開発で回復を試みるが、統合費用、撤退費用、人件費の固定負担が残り、2035年の売上高は約81億円、営業赤字は約9億円となる。純現金も失敗した投資と赤字補填で減り、余剰現金を価値に加算できなくなる。前半に得た利益と後半の損失が概ね相殺されても、帳簿の自己資本をそのまま現金化できるわけではない。最終的には残る純現金と売却可能資産の価値だけが株主を支える。
- ゲーム・アニメ:自社ゲーム広告・自社コンテンツ:数量 135(年間自社コンテンツダウンロード数(百万DL))× 価格 17(1ダウンロード当たり実効収益(円。広告収入などを含む推定値))→ 売上 23 億円・営業利益 −1 億円。ダウンロード数は約0.39倍、実効収益も低下。新作開発費を回収できない。
- ゲーム・アニメ:受託開発・IP共同制作:数量 70.0(年間有償開発案件数(件、推定))× 価格 0.19(1案件当たり平均売上高(億円、推定))→ 売上 13 億円・営業利益 −1 億円。AI代替と内製化で案件数0.40倍。稼働率悪化で赤字。
- ブランド&マーケティング:広告企画・DX・コンテンツ受託:数量 130(年間有償制作・DX案件数(件、推定))× 価格 0.10(1案件当たり売上高(億円、推定))→ 売上 13 億円・営業利益 −1 億円。制作件数は0.35倍。価格にも下押し圧力。
- ブランド&マーケティング:eスポーツ・コミュニティ:数量 80.0(年間の有償イベント・スポンサー案件換算数(件、推定))× 価格 0.19(1案件換算当たり売上高(億円、推定))→ 売上 15 億円・営業利益 −1 億円。大会制作の競争とスポンサー縮小が同時進行。
- ちいき資本主義:スマウト・まちのコイン・地域支援:数量 550(スマウト有料利用地域数(地域))× 価格 0.01(1有料地域当たり年売上換算額(億円、周辺受託を含む))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。自治体向け契約の縮小と競合サービスへの移行。
- その他:ブライダル・出版・地域事業・新規投資:数量 4.0(稼働事業運営体数(事業部・グループ会社の合計、概算))× 価格 3.00(1運営体当たり平均年間売上高(億円))→ 売上 12 億円・営業利益 −1 億円。不採算事業の撤退と買収先の減損で利益を失う。
倍率:継続企業としての稼ぐ力は赤字であり、正のPERを使わない。過去の株価や谷のPBRを根拠とせず、2025年末純現金20.2億円から10年間の現金毀損12.2億円を引いた売却可能資産約8億円を床とする。床に相当するPBRは現在の自己資本57.6億円に対して約0.14倍であり、57.6×0.14=約8.06億円となる。10年間の後半には大幅な損失が発生するが、前半の利益と後半の損失が概ね相殺されるため自己資本の期末帳簿額は約57.6億円とする。ただし、のれん・未回収の開発資産などの帳簿価値を清算の床に算入しない。
確率:自社ゲームのヒット創出力喪失、広告収益低下、受託のAI代替、M&A失敗が同時進行する厳しい筋書き。発生頻度は限定的だが、過去に赤字となった実績を踏まえて14%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ゲーム・アニメ:自社ゲーム広告・自社コンテンツ
ハイパーカジュアルゲームなどを世界へ配信し、広告表示や自社コンテンツの収益を得る。AI分類は利用者を持つ自社媒体の広告枠型である。
| 数量年間自社コンテンツダウンロード数(百万DL) | 価格1ダウンロード当たり実効収益(円。広告収入などを含む推定値) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 346 | 19 | 65 | 7 |
| 10 年後 中立 | 329 | 23 | 77 | 8 |
取り方:2025年有報の年間自社コンテンツDL数346,120,191件を数量とする。2026年事業計画の2025年参考値ではゲーム・アニメ全体が約100億円だが、自社ゲームと受託の内訳は非開示である。ハイカジを中心とする自社コンテンツ売上を65億円、受託等を35億円に分けるのは分析上の推定であり、開示値ではない。65億円÷3.4612億DLで実効収益18.78円を逆算した。これは広告表示1回の単価や実際の顧客課金単価を示す値ではない。営業利益6.5億円も推計配分。Sensor Towerの2025年世界ゲームDL約520億件との比較では数量規模は約0.7%だが、市場全体とハイカジの定義が異なるため厳密なシェアではない。市場資料:https://sensortower.com/press/press-release-sensor-tower-state-of-gaming-gaming-drove-52-billion-downloads-82b-iap-revenue-on-mobile-and-12b-premium-revenue-on-steam
ゲーム・アニメ:受託開発・IP共同制作
ゲーム、CG、XR、アニメ関連コンテンツの開発受託および大型IPとの共同開発。AI分類は主として人月・工数型である。
| 数量年間有償開発案件数(件、推定) | 価格1案件当たり平均売上高(億円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 175 | 0.20 | 35 | 1 |
| 10 年後 中立 | 114 | 0.25 | 29 | 1 |
取り方:2025年の新しい区分によるゲーム・アニメ約100億円から、自社ゲーム広告の推定65億円を控除した35億円を受託・共同制作の近似値とする。案件数と契約単価は非開示のため、年間175件、平均2,000万円という説明可能な案件モデルへ換算した推定であり、実際の受注件数ではない。対面市場は国内ゲーム市場約2.6兆円の一部だが、その全部が受託開発市場ではない。競合はトーセ、Aiming、各社の内製スタジオなど。AIエージェントがプログラム、素材制作、テストを代替するため、中立の数量は今の0.55〜0.75倍の範囲とする。
ブランド&マーケティング:広告企画・DX・コンテンツ受託
広告企画、デジタル制作、マーケティング、商品開発、システム開発支援。AI分類は広告制作・運用および人月・工数型である。
| 数量年間有償制作・DX案件数(件、推定) | 価格1案件当たり売上高(億円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 370 | 0.10 | 37 | 4 |
| 10 年後 中立 | 241 | 0.13 | 30 | 2 |
取り方:2026年事業計画の2025年ブランド&マーケティング参考売上約69億円から、旧eスポーツサービス売上約32億円を控除し、制作・DX等を37億円と推定する。案件数と単価の開示はないため、年間370件、平均1,000万円の有償案件に換算した。営業利益配分も推定である。電通の2025年国内インターネット広告制作費4,922億円に対する37億円は約0.75%だが、DX受託を含むため正確な市場シェアではない。電通資料:https://www.dentsu.co.jp/knowledge/ad_cost/2025/media3.html
ブランド&マーケティング:eスポーツ・コミュニティ
GLOEを中心とする大会企画・運営、スポンサー施策、配信制作とTonamel。現場での大会運営を伴うが、広告制作や事務運用にはAI代替が及ぶ混合型である。
| 数量年間の有償イベント・スポンサー案件換算数(件、推定) | 価格1案件換算当たり売上高(億円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 160 | 0.20 | 32 | 1 |
| 10 年後 中立 | 117 | 0.25 | 29 | 1 |
取り方:2025年有報における旧eスポーツ関連サービス売上約32億円を用いる。2026年からはブランド&マーケティング区分に含まれる。大型大会、スポンサー、タレント、Tonamelの利用料が混在し、件数別売上が非開示なので160件の有償案件換算、平均2,000万円を推定する。Tonamelの無料大会開催回数を売上案件数に誤用しない。日本eスポーツ協会の2024年市場約161億円、2025年予測約183億円は市場比較の参考とするが、連結子会社の売上計上範囲と市場統計が異なるため32億円を直接割って厳密なシェアとはしない。業界資料:https://jesu.or.jp/contents/about-market/
ちいき資本主義:スマウト・まちのコイン・地域支援
地域と人材をつなぐスマウト、地域通貨、自治体や地域企業向けコンテンツ制作。プラットフォームと受託の混合型である。
| 数量スマウト有料利用地域数(地域) | 価格1有料地域当たり年売上換算額(億円、周辺受託を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 932 | 0.01 | 9 | 1 |
| 10 年後 中立 | 792 | 0.01 | 8 | 1 |
取り方:2026年事業計画に記載された2025年の新セグメント参考売上約9億円を使用する。従来の地域関連サービス売上14.5億円とは事業再区分により一致しない。スマウトの2025年有料利用地域932を代表数量とし、周辺受託・まちのコインを含む9億円÷932地域=約96.6万円を地域当たり売上換算額とした。実際の月額利用料金を示すものではない。全国約1,700自治体に対する有料地域比率は約55%、利用・登録地域数では2025年約1,164地域、2026年8月には1,200地域超となった。AI分類は席・操作型の情報サービスと人月型受託の混合で、記録の正本としての高いgを正当化する証拠は不足する。
その他:ブライダル・出版・地域事業・新規投資
プラコレWedding、出版、不動産、地域事業、新規サービスなど。実物・仲介・コンテンツを含む多角化事業である。
| 数量稼働事業運営体数(事業部・グループ会社の合計、概算) | 価格1運営体当たり平均年間売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 7.0 | 3.29 | 23 | 0 |
| 10 年後 中立 | 8.0 | 3.60 | 29 | 1 |
取り方:2026年事業計画にある2025年参考売上約23億円を採用する。その他サービス事業部とプラコレ、英治出版、鎌倉R不動産、カヤックゼロ、琉球関連会社などの7つの主な運営単位を数量とみなし、1運営体当たり約3.29億円とした。会社ごとの売上は非開示で、実際には婚礼紹介件数、書籍販売冊数、不動産取引件数など異なる数量を束ねている。このため他セグメントより推定誤差が大きい。2026年のブレイングループ取得は2025年実績に算入せず、今後のM&Aによる運営体数増減として扱う。
リスクと懸念
AIエージェント代替と受託モデルの縮小
広告制作、ゲーム・XR開発受託、DX支援、eスポーツ大会制作などには、人の工数に対価を払う仕事が多い。AIエージェントがプログラム、素材制作、分析、広告運用、事務処理を自動化すると、発注案件数と単価がともに低下しうる。自社ゲームと現場イベントは全面的な代替対象ではないが、受託部分の中立数量は0.55〜0.75倍に抑えた。スマウトにも操作画面を経由しないAIマッチングによる代替圧力がある。
ゲーム広告収益とプラットフォーム依存
自社ゲームの主な収益は広告配信事業者を通じて得るものであり、カヤックが広告単価や配信ルールを決定できるわけではない。Apple、Google、AppLovin、Unityなどの規則や広告配信環境が変われば、同じダウンロード数でも収益が低下しうる。個人情報保護や広告追跡制限が強まれば、利用者獲得費用と広告収益の関係も悪化する。
ヒット作品の寿命と大型IP投資の失敗
2026年には大型IPとの共同開発へ先行投資し、2028年以降の大きな利益創出を目指している。しかし、ゲームの成功はIPの知名度だけでは決まらず、作品品質、継続率、課金設計、配信条件、競争相手によって変わる。投資額が先に費用化され、収益化に失敗すれば利益率と現金の双方を失う。計画の目標額は実現済み利益ではなく、楽観側の可能性として扱う。
M&Aの拡大と増分資本利益率の低下
カヤックは組織文化を共有する会社を迎えることを成長戦略にしている。しかし取得先の利益率が低く、統合後の収益改善が進まなければ、企業規模だけが増えて株主の取り分は薄まる。買収費用、のれん償却、減損、少数株主持分の存在にも注意が要る。GLOEのように売上が大きくても営業利益が薄い事業では、次の買収より既存資産の収益改善が重要になる。
スマウトの自治体依存と成長の上限
スマウトは多くの自治体へ普及しているが、日本の自治体数は有限であり、導入地域の増加余地は次第に小さくなる。地域課金の単価も自治体予算や入札条件に左右される。民間企業の採用・複業市場へ広がれば成長の余地はあるものの、求人媒体や行政の無料情報サービスとの競争は強い。利用地域が多いことだけでは、値上げの成功や高い顧客維持率を証明できない。
財務の見かけの強さと現金の資本配分
2025年末の純現金は約20億円で、時価総額と比べて厚い。しかし、ゲームの広告集客費、イベント運営の立替、買収、子会社の運転資金などに使われるため、すべてが自由に配れる現金ではない。2024年にはフリーキャッシュフローが大幅な赤字になった。今後も収益性の低い買収や開発投資へ現金が流れれば、貸借対照表の安全性は実際の株主価値の床にならない。
経営者への依存と子会社管理
2025年有報では、経営の重要な判断を担う3名の代表取締役への依存を事業リスクとして挙げている。独自の企業文化は人材採用と創作の強みだが、経営者個人の判断や組織文化に依存し過ぎれば、事業拡大後の統制が難しくなる。連結子会社が増えるほど、案件採算、情報セキュリティ、関連当事者取引、買収後の利益管理を客観的に検証する仕組みが必要になる。
今後の分かれ目
- 大型IP共同開発から年間10億円以上の継続的な営業利益が実際に発生し、追加開発費を控除してもキャッシュフローが黒字になったら
- ゲームの数量と利益率を上方修正する。楽観・やや楽観の確率を高めるが、単年度の初期売上だけで長期の利益率を恒常化させない。
- 自社ゲームの年間ダウンロード数が4億件を超え、利用者当たりの広告収益と集客費控除後利益が同時に改善したら
- 自社コンテンツの堀が強まった証拠として評価する。広告売上だけでなく新作と既存作品の収益内訳を確認し、継続性を判断する。
- 広告制作・DX受託の売上が減る一方、粗利益率と受注当たり利益が改善し、成果報酬型の売上構成比が開示されたら
- AI代替による数量縮小を維持しつつ単価と利益率の前提を改善する。成果報酬による継続収益が確認できるまでは長期成長率を上げない。
- スマウトの民間企業向け利用が増え、有料利用地域の解約率低下と継続的な値上げ実績が数値で確認できたら
- プラットフォーム部分の堀を再評価する。利用者データ、共同利用基盤、解約率などの証拠が二つ以上揃えば、当該部分について高い継続成長率を認める余地がある。
- GLOEの営業利益率が3期連続で5%以上となり、Tonamelの有料収益が拡大したら
- eスポーツを薄利の大会受託中心から自社プラットフォーム収益を持つ事業へ再評価する。少数株主への利益帰属も確認し、全社純利益への寄与だけを反映する。
- 買収後の利益改善が進まず、のれん減損や営業キャッシュフローの赤字が継続したら
- 再投資の利回りが資本コストを下回っている証拠として、やや悲観・悲観の確率を高める。純現金の床も取得費用と追加資金需要を差し引いて見直す。
- 配当性向が50%程度へ引き上げられるか、自己株式の純減少が継続して5%以上となったら
- 余剰現金の株主への戻り方を0.75から1.0へ再評価する。ただし買収や事業運転で必要な現金まで余剰資産として加算しない。
見ておくもの
- 自社ゲームの年間ダウンロード数、ヒットタイトル数、長寿命作品の構成比
- 自社ゲームのダウンロード当たり実効収益と広告集客費控除後の利益
- 大型IP共同開発の累計投資額、発売時期、開発費控除後の収益
- ゲーム・アニメとブランド&マーケティングのセグメント別営業利益率
- 受託案件の継続率、工数単価、成果報酬型売上の割合
- GLOEの営業利益率とTonamelの有料大会・課金機能の利用状況
- スマウトの有料地域数、民間企業導入比率、解約率、1地域当たり収益
- M&A取得金額、のれん残高、減損、買収先の営業キャッシュフロー
- 純現金、営業キャッシュフロー、配当性向、自社株式の純減少
- AIを利用した自社製品・サービスの外部売上高と継続課金実績
倍率と資本コストの決め方
事業価値の起点は2025年実績売上約201億円、営業利益約10.7億円、自己資本57.6億円、純現金20.2億円である。2026年からの4セグメント区分に合わせ、会社が公表した2025年参考売上100億円、69億円、9億円、23億円を用いた。さらに自社ゲームと受託、広告制作とeスポーツを分けたが、それぞれの利益配分と案件数は非開示のため推定である。
数量はゲームDL、受託案件、イベント、有料地域、運営体数として設定し、物価上昇は価格にのみ反映した。受託にはAIエージェント代替の数量縮小を反映し、g_longも0.5%に制限した。これを資本コストの寿命調整で二重に引いていない。倍率はk=8.25%、堀の残存率1/3、事業ROEとRONICから求め、楽観〜中立は正当化上限を使用した。過去や現在のPER、PBRを倍率の根拠にはしていない。
現在の株価と時価総額は最後の価値比較にだけ使った。余剰現金と留保利益は重複させず、筋書きごとに2035年の余剰現金額を明示した。悲観の時価総額は現時点の純現金を下回るが、先行投資・買収失敗・赤字補填による12.2億円の現金流出を明記し、残存資産の床8億円以上とした。日本基準の新リース会計基準による表示変更があっても、利益は家賃を営業費用とする比較可能な形で考える。2035年の価値は5筋書きの割引現在価値であり、基準時価総額へ数値を寄せる調整は行っていない。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%を起点に、品質調整+0.75%を加える。赤字経験や買収リスクは利益の筋書きに反映し、個別の追加プレミアムは課さない。