結論
雨風太陽は、生産者から直接食材を買える「ポケットマルシェ」を起点に、農漁村の体験旅行や自治体の地域づくりを手掛ける会社である。筆者の結論は「割高」だ。事業の使命には価値があるが、2025年に営業損益がようやく均衡した段階で、将来の大幅な黒字化に先払いすることはできない。
産直の販売手数料は過去に二度引き上げており、約9,000人の生産者との関係もある。だが会社が公表する年間の「顔の見える取引」の流通総額は2022年の23.63億円から2025年の21.69億円へ縮んだ。この流通額は食材以外の旅行やふるさと納税なども含み、登録会員の多さがそのまま購買件数の伸びを意味しない点を見落とせない。
一方、2025年には自治体などから67件の事業を受託し、赤字縮小を実現した。2026年上期は売上3.97億円、営業損失0.60億円となり、旅行の安全対策に伴う縮小も重なった。自治体向け企画・運営業務にはAIエージェント代替が及ぶため、直近の受託好調を10年間まっすぐ延ばさない。
10年後の中立は、食材の売買が大きく増えず、自治体業務が効率化されるなかで、純利益0.32億円にとどまる姿である。確率をかけて現在に引き直した本質価値は約3.76億円で、添付の基準時価総額17.04億円を約78%下回る。上振れ余地はあるものの、長く持つ株主に必要な安全域は現状の価格には見いだしにくい。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主にとって、良い商品と良い株式は別物だ。雨風太陽がつないだ生産者と食卓の関係には確かな社会的な意義がある。しかし株主に帰属する価値は、そのサービスを続けるのに必要な開発費、人件費、広告費、安全管理費を差し引いた後の利益から生まれる。
2025年の営業損益はほぼ均衡したが、投資を含めた現金収支はまだ自走の段階にない。物価が年3%上がれば商品の売値だけでなく人件費も上がり、流通量が減る状態で販売手数料を再び上げれば農家が別の販売経路に移るかもしれない。累計登録者よりも、購入を続ける顧客一人当たりの粗利益と、追加投資一円が何円の利益を生むかを見たい。
自治体の担当者や農漁家との人脈は一朝一夕には築けないが、その人脈が法的な独占権や解約不能契約になるわけではない。自治体向け受託の一部はAIエージェント代替を免れず、旅行も信用を失えば回復に時間がかかる。2025年末の純現金は倒産リスクを和らげる一方、赤字が続けば生産力の維持に消えていく。
投資家としては、創業者が社会課題を解決し続ける力と、投じた株主資本に対して十分な利益を返す力を別々に採点する。上振れの世界では生産者網が小さくない利益を生むが、今の時価総額はその成功をかなり織り込む。利益率と現金創出の定着、さらに少数株主への還元が確認される前に高い価格を払う根拠は乏しい。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は、消費者と農家・漁師を直接つなぐ食品事業である。ポケットマルシェでは生産者が値決めと発送を担い、雨風太陽は取引に応じた販売手数料を得る。2024年から販売手数料率は23%で、定期便や自社販売、ポケマルふるさと納税などの売上計上方法は手数料収入と同じではない。したがって食品事業の売上をすべて取扱高の23%と考えるのは誤りだ。
2025年の食品売上は約6.57億円で、個人向け売上の大半を占める。登録ユーザーは約90万人、登録生産者は約9,000人で、2025年には定期的な食材商品の販売数が約3万5,000件と開示されている。農産物の生産者と利用者が直接やり取りし、旬のものを繰り返し買う体験は、価格比較だけの一般的な通販と異なる。ただし年間の購入者数や食品単独の取扱高は十分に開示されていない。
旅行事業は「ポケマルおやこ地方留学」と、2025年に百戦錬磨から事業譲受した宿泊予約サイト「STAY JAPAN」が中心だ。2025年のおやこ地方留学は7地域で186家族が参加し、旅行事業売上は約0.67億円だった。農漁業体験を提供できる生産者網が販売上の利点になるが、宿泊予約の手数料と主催ツアーの旅行代金では一件の売上の意味が異なる。
法人向けでは、自治体の関係人口創出、農泊・海業、地域活性化、事業承継支援などを受託する。2025年は国・自治体向け受託67件と法人向け売上約3.02億円を計上した。個人向けと法人向けを合わせたセグメント営業利益は黒字だったが、本社・共通費約2.26億円を負担した後の全社営業利益はほぼゼロだった。収益の本当の壁は、地域で良い活動を行うことではなく、共通費と更新開発費を支払ったうえで余剰資金を残せるかにある。
優良さと弱いところ
最も評価したいのは、生産者と消費者が顔を見せ合う取引関係である。農家の生産背景を読み、直接質問して購入する行動には、単純な検索順位では代替しにくい価値がある。2022年には販売手数料を15%から20%へ、2024年には23%へ上げた事実もあり、全く値決め力がない会社ではない。
しかし堀、つまり競合が簡単に奪えない利益源としてはまだ細い。競合の「食べチョク」も100万人を超える利用者と1万人超の生産者を集め、農家は複数の通販サイトで売ることができる。会社の登録会員90万人は累計登録の規模であって、継続率や購入頻度の現在値を示さない。手数料を引き上げた後にも全サービスの流通額が数年間縮み、値上げが販売量を維持する力の証明にはなっていない。
資本効率にも厳しい目を向けるべきだ。2021年から2024年は赤字が続き、2025年も純損失が残った。2026年上期の赤字で自己資本は2025年末の約3.5億円から約2.8億円に減少した。純現金約2.1億円は救いだが、預金から借金を引いた額すべてが自由に配れる現金ではない。
自治体事業には政策立案への理解と生産者網という固有の強みがあるものの、予算更新や入札に左右される。旅行は現場での体験を提供するためAIに全面代替されない反面、2026年に安全管理の不備が明らかになり、運営への信頼を立て直す費用が必要になった。売上高だけでなく、増えた仕事一件から共通費控除後にどれだけ利益が残るかを確認するまでは、強い堀とは呼べない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
食品のネット通販市場そのものには追い風がある。経済産業省の2026年10月公表調査によると、2025年の食品・飲料・酒類の国内EC市場は約3兆3,332億円で、前年から約7%拡大した。EC化率は4.66%にとどまり、実際の食材が届く商売は今後も必要である。ただしこの市場にはネットスーパーや一般通販が含まれ、産地直送だけの市場規模や各社のシェアを示す数字ではない。
2025年の同社の「顔の見える取引」の流通額は年間21.69億円であり、この数字を市場全体と比べても約0.065%にすぎない。さらに食品プラットフォーム単独の流通額を15億円程度と仮定すれば約0.045%になるが、これは食品事業の手数料と直販売上から組み立てた推計であり、実測の市場シェアではない。生産者直送に限った厳密な市場占有率は開示不足で求められない。競合は食べチョクに加え、楽天市場、Amazon、Oisixや各生産者の直販サイトであり、価格・送料・配送の便利さも購入先を決める。
自治体事業の市場は、国と地方自治体の予算が上限を決める。開示された全国1,765自治体に対して2025年の受託67件は約3.8%に相当するが、これは売上高シェアではなく案件数を使った到達度の物差しにすぎない。一自治体が年一件、約450万円を発注するという単純な仮定なら対象予算は約79億円となるが、自治体ごとの支出額も競合の受託シェアも公表されておらず、確かな市場規模とはみなせない。行政向けコンサル、旅行会社、広告会社、地場事業者との競争は激しい。
旅行は家族の自然体験という小さい分野であり、一般の旅行市場全体の拡大率をそのまま当てはめない。安全管理を人が担うことは変わらず、事故対応や現地の受入能力が成長を制約する。一方で予約や案内業務は自動化され、ネット経由の集客にもAI検索による中抜きが起こりうる。自治体の資料作成やイベント運営業務もAIエージェントが肩代わりしやすい部分があるため、10年後の受託件数は人口政策だけで伸び続けるとは考えない。
資本政策と M&A
資本配分はまだ評価の途上にある。会社は2015年設立で、これまで先行投資と赤字縮小が中心だった。2025年には費用削減によって営業損失を大きく減らしたが、営業キャッシュフローは約0.04億円の流出となり、ソフトウエア開発などへの投資も続いた。利益の改善が自由に使える現金の増加として定着したとは言えない。
2024年に百戦錬磨を関連会社化し、2025年には同社からSTAY JAPAN事業を取得した。2026年には花巻に交流拠点を設けており、事業間の相乗効果を狙う一方、旅行の安全対策と施設の維持負担を自ら抱えることになった。投下資本の増分利益率が資本コストを超えた証拠はまだ弱く、大型買収を繰り返して成長を演出する局面ではない。
配当実績はなく、2026年の配当予想もゼロである。明示された中期の売上・利益・ROE目標や配当性向、DOE、自社株買い金額については数字の約束なしで、2026年単年度の会社予想は売上10.94億円、営業利益0.25億円、純利益0.30億円にとどまる。2025年末基準の株主向けには保有株数に応じたポケットマルシェのクーポンを設け、100株で2,000円、500株以上で1万円の額面となった。実際の利用率と原価は未開示なので、優待負担を年0.015億円、10年0.15億円と仮定して還元に算入した。
手元資金はまず運転資金と商品開発、借入返済、安全管理に回ると見る。過去5年に厚い配当や継続的な自社株買いの実績はないため、将来の余剰資金が少数株主に戻る割合は保守的に見る。潜在株式約16万株に相当する新株予約権もあり、黒字化が進んだ場合の希薄化を利益成長と同時に監視する必要がある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
同社の強みは、生産現場との接点を一つずつ築いてきた時間にある。全国の生産者が登録し、購入者と直接会話する仕組みは、広告予算だけで簡単に再現できない。販売手数料を15%から23%まで引き上げながらサービスを続けられた点は、少なくとも特定の利用者には価格以外の価値があることを示している。2025年には自治体受託が過去最高の67件となり、法人事業の利益も伸びた。
2024年から2025年にかけて全社の営業損失は約1.6億円から約0.1億円へ急速に縮んだ。売上の増加だけに頼らず、固定費を見直す力が現れたと読める。「ふるさと住民登録制度」の広がりは、生産者とのつながりを持つ同社に新たな業務をもたらす可能性がある。2026年上期も法人向け売上は前年を上回っており、自治体との関係は消えていない。
旅行の安全管理を作り直せば、農漁業体験という代替されにくい商品とSTAY JAPANの宿泊供給網は再び販売を伸ばせる。食材の定期便と地方での滞在を組み合わせる顧客は、日常の値引き競争に巻き込まれにくい。食品の実質購買件数が10年間で大きく伸び、食品部門の費用率が下がれば、企業規模の小ささは利益の伸びしろにもなる。
この道筋なら、事業を増やすための再投資を続けても、最終年度には売上20億円を大きく超えられる。売上の大半を握るプラットフォームの運営効率が改善し、固定費を超える増分売上が高い利益率で残る。近年の赤字だけを将来に延ばす評価は、こうした可能性を取り逃がす。
慎重な見方
数字を見れば、ポケットマルシェの成長が証明されたとは言い切れない。会社全体の年間流通額は2022年から2025年まで名目でも減少し、その間に商品の値段と手数料は上がっている。生産者数と累計会員数が大きくても、実際の購買が継続的に増えていなければ、登録網は拡張する堀にはならない。競合の食べチョク、楽天市場、各生産者の直販店への乗り換えも容易だ。
収益力は2025年に急改善したが、その多くは固定費を落とした結果である。営業キャッシュフローとソフト開発投資を合わせると余剰現金は増えておらず、規模の小さい会社が人員を削り続けることには限界がある。2026年上期の純損失は約0.61億円となり、自己資本は約2.84億円まで減った。会社の通期黒字予想を達成するには下期に強い回復が必要で、失敗すれば運転資金の厚さが一段と失われる。
旅行事業では2026年に体験プログラムの安全上の不備が明らかになり、夏の開催規模を縮小した。家族旅行にとって安全性は価格以上の条件であり、信用の毀損は受注だけでなく保険や運営費にも響く。買収した宿泊予約サービスも、競争の激しい旅行予約市場で収益を上げ続ける保証はない。
自治体向け業務は政策予算と入札に依存し、継続契約が保証されない。提案書づくり、広報、調査、事務局運営にはAIエージェント代替が及び、受託件数が伸びても単価や人員の必要量は下がりうる。こうした不確実性を抱えたまま、現在の時価総額に見合う利益を持続的に生むと決めつけるのは危険だ。
どちらに重みを置いたか
生産者網の実体と自治体受託の増勢は強みであり、全くの空想企業ではない。しかし投資判断では、2022年以降の流通額縮小、2026年上期の赤字、安全管理の再構築、現金創出の不足を重く見る。確率は楽観側30%、中立27%、悲観側43%とし、下に寄せる理由は実績の数量が伸びないうえに旅行の信頼回復と自治体事務の構造変化が重なるからである。AI代替の影響は主として法人向けの数量と長期成長率に織り込み、資本コストに同じ罰則を重ねない。本質価値は約3.76億円となり、添付株価で測った時価総額から大きく下がるため、結論は明確に割高である。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 356 円9 億円(+ 還元の換算額還元の合計 10 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 168 円4 億円、今との差 −76.3%、 期待の年率 −6.5%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 1,418 円34 億円 | 41 円1 億円 | +106.1% | +7.6% | 146 円4 億円 |
| やや楽観 | 20% | 639 円15 億円 | 12 円0 億円 | −8.0% | −0.8% | 130 円3 億円 |
| 中立 | 27% | 175 円4 億円 | 7 円0 億円 | −74.3% | −12.9% | 49 円1 億円 |
| やや悲観 | 27% | 94 円2 億円 | 4 円0 億円 | −86.1% | −18.2% | 26 円1 億円 |
| 悲観 | 16% | 87 円2 億円 | 2 円0 億円 | −87.5% | −18.9% | 14 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 356 円9 億円 | 10 円0 億円 | −48.3% | −6.5% | 366 円9 億円 |
今の株価時価総額 708 円17 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 食の直販網が拡張し旅行の信用も回復 利益 2 億円 · PER 13.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,418 円34 億円
出品者と買い手が交流する価値が認知され、産直食品の購買等価件数は現在の推計30万件から55万件へ増える。登録生産者との関係が定期購入に変わり、送料と手数料の負担を上回る品質の差別化ができる。売値は物価に加えて生産者のこだわり商品による構成改善が進み、食品の営業利益率も上がる。楽天市場や食べチョクと競争しながらも、限られた専門領域で存在感を増す。
旅行の安全点検と運営手順が定着し、子どもを受け入れる地域の現場能力が拡大する。STAY JAPANの宿泊提供者との連携も進み、地方留学の参加家族等価は450まで増える。2026年の事故防止に伴う停止・縮小が再発しないことが欠かせない。自治体向けはAIエージェント代替で資料作成の工数が減るため、楽観でも受託件数は現在の67件を超えないが、現地の体験を設計する価値と物価に見合う委託額を保つ。
本社費には人材と情報安全管理への再投資を含める。それでも食材事業の規模によって売上の伸びが利益へ強く波及し、2035年に純利益2.40億円となる。累計利益から設備更新と事業拡大を続けつつ、配当やクーポンなどの還元が実現する上振れの世界である。
- 産直食品・定期便・ふるさと納税:数量 55.0(年間食材購入等価件数(万件、実質、会社非開示の推計))× 価格 0.31(一万件当たりの認識売上(億円。商品手数料と直販売上の混合単価))→ 売上 17 億円・営業利益 6 億円。2025年推計30万件を基準に実質件数55万件、混合認識単価は0.31億円/万件。食品単独GMV・件数は推計。
- おやこ地方留学・STAY JAPAN:数量 450(地方体験ツアー参加家族等価(家族/年、STAY JAPAN分は家庭換算))× 価格 0.00(1家族等価当たり旅行事業の認識売上(億円、宿泊予約手数料込み))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。2025年186家族を基準に参加家族等価450、STAY JAPAN売上を含む換算価格。2026年の安全対策を反映。
- 自治体関係人口支援・法人共創:数量 67.0(国・地方自治体の年間受託件数(件、67件は2025年開示実数))× 価格 0.06(1件当たり受託・法人売上等価(億円/件、自治体以外の小口売上も含む))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。2025年67件に対し67件。企画・調査等の工数にAIエージェント代替が及ぶ。価格は名目であって件数にインフレを含めない。
倍率:2035年の自己資本12.75億円に対して純利益2.40億円なのでROE18.82%であり、資本コスト8.25%と比較する。普通の堀の維持率1/2でRONICは13.54%。10年後より先の名目成長率g=1.5%を用い、正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=13.17倍の上限に一致させる。自己資本の道筋は2025年末3.50億円+2026~2035年の純利益累計10.25億円−配当・株主優待等の期間還元1.00億円=12.75億円。今の株価や同業PERから算出していない。
確率:2022年以降の流通額の停滞を破り、農家と家庭の購買関係が拡大するには商品・広告・配送・安全管理の改善を継続する必要がある。実現すれば大きな増益余地があるが、成功の連続が必要なので10%とする。
やや楽観 20% 食の定期購買が増え、旅行が戻る 利益 1 億円 · PER 12.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 639 円15 億円
食品の登録会員から繰り返し購入する家庭が増え、年間の購入等価件数は42万件となる。生産者が良質な食材を供給できれば、一般のネットスーパーとは異なる高い満足度を維持できる。手数料をさらに大幅に上げなくても、取扱量と物価並みの価格改善で食品の売上が伸びる。競合の食べチョクとの重複出店は続くが、大幅なシェア流出は起きない。
地方留学は安全審査を徹底し、2026年に縮小した開催地域を段階的に戻す。STAY JAPANの宿泊予約と連動することで参加家族等価は325まで増え、現場費を払った後にも利益が残る。自治体事業ではAIエージェントが提案書作成や集計を代替するが、地域のコーディネーターを必要とする案件は維持され、受託件数は60件で踏みとどまる。
法人支援の単価には物価上昇を反映できても、追加人員を大きく増やすことは難しい。会社は買収で規模を追うより、既存の生産者網と旅行商品の共通販路を使い、2035年には営業利益約1.57億円を得る。安定した黒字が続いても、株主還元は当面小さく、利益の大部分は成長のための内部留保に回る。
- 産直食品・定期便・ふるさと納税:数量 42.0(年間食材購入等価件数(万件、実質、会社非開示の推計))× 価格 0.30(一万件当たりの認識売上(億円。商品手数料と直販売上の混合単価))→ 売上 12 億円・営業利益 4 億円。2025年推計30万件を基準に実質件数42万件、混合認識単価は0.295億円/万件。食品単独GMV・件数は推計。
- おやこ地方留学・STAY JAPAN:数量 325(地方体験ツアー参加家族等価(家族/年、STAY JAPAN分は家庭換算))× 価格 0.00(1家族等価当たり旅行事業の認識売上(億円、宿泊予約手数料込み))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。2025年186家族を基準に参加家族等価325、STAY JAPAN売上を含む換算価格。2026年の安全対策を反映。
- 自治体関係人口支援・法人共創:数量 60.0(国・地方自治体の年間受託件数(件、67件は2025年開示実数))× 価格 0.06(1件当たり受託・法人売上等価(億円/件、自治体以外の小口売上も含む))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。2025年67件に対し60件。企画・調査等の工数にAIエージェント代替が及ぶ。価格は名目であって件数にインフレを含めない。
倍率:2035年の自己資本8.90億円に対して純利益1.10億円なのでROE12.36%であり、資本コスト8.25%と比較する。普通の堀の維持率1/2でRONICは10.30%。10年後より先の名目成長率g=1.5%を用い、正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=12.66倍の上限に一致させる。自己資本の道筋は2025年末3.50億円+2026~2035年の純利益累計5.70億円−配当・株主優待等の期間還元0.30億円=8.90億円。今の株価や同業PERから算出していない。
確率:2025年に個人向け事業の営業利益が伸び、2026年上期にも法人向け増収が続いた。費用構造の改善が維持されれば黒字拡大はあり得るが、自治体の事務作業の自動化を免れないため20%とする。
中立 27% 中立:物価増収と事務受託の減少が拮抗 利益 0 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 175 円4 億円
食品通販市場は拡大するが、産直商品の選択肢も増える。ポケットマルシェの推計年間購入等価件数は現在とほぼ同じ31万件となり、会員登録数ほど利用は増えない。商品価格の上昇は物価にほぼ沿うが、農家が複数のサイトを使うため手数料の追加引き上げは難しい。食品の売上は伸びても、その多くは名目単価の上昇である。
旅行は安全管理の費用を負担しながら再開し、家族等価は200程度で安定する。宿泊予約には大手旅行サイトとの競争があり、STAY JAPANだけで飛躍的に予約件数を増やせない。自治体事業では、ふるさと住民登録制度の関心は続くが、AIエージェントが資料作成・調査・事務局の部分を置き換える。受託件数は67件から47件へと減り、価格は人件費や物価の増加を反映する程度にとどまる。
費用削減の継続で食品の部門利益率は改善するが、本社と安全管理の維持費は約3億円まで上がる。全社の純利益は2035年に約0.32億円へ小幅黒字化するにすぎず、自己資本に対する利益率は資本コストを下回る。株主還元も小さく、業務拡大がそのまま長期株主への高い複利利益になるとは限らない。
- 産直食品・定期便・ふるさと納税:数量 31.0(年間食材購入等価件数(万件、実質、会社非開示の推計))× 価格 0.29(一万件当たりの認識売上(億円。商品手数料と直販売上の混合単価))→ 売上 9 億円・営業利益 3 億円。2025年推計30万件を基準に実質件数31万件、混合認識単価は0.29億円/万件。食品単独GMV・件数は推計。
- おやこ地方留学・STAY JAPAN:数量 200(地方体験ツアー参加家族等価(家族/年、STAY JAPAN分は家庭換算))× 価格 0.00(1家族等価当たり旅行事業の認識売上(億円、宿泊予約手数料込み))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。2025年186家族を基準に参加家族等価200、STAY JAPAN売上を含む換算価格。2026年の安全対策を反映。
- 自治体関係人口支援・法人共創:数量 47.0(国・地方自治体の年間受託件数(件、67件は2025年開示実数))× 価格 0.06(1件当たり受託・法人売上等価(億円/件、自治体以外の小口売上も含む))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。2025年67件に対し47件。企画・調査等の工数にAIエージェント代替が及ぶ。価格は名目であって件数にインフレを含めない。
倍率:2035年の自己資本5.07億円に対して純利益0.32億円なのでROE6.31%であり、資本コスト8.25%と比較する。ROEが資本コスト以下なので将来の再投資に超過利益を認めず、PER上限1/k=12.121倍を丸めた12.12倍を使用する。自己資本の道筋は2025年末3.50億円+2026~2035年の純利益累計1.75億円−配当・株主優待等の期間還元0.18億円=5.07億円。今の株価や同業PERから算出していない。
確率:食品EC自体は拡大しても同社の2022年以降の流通額は伸びておらず、食品の実質件数はほぼ横ばいとする。自治体受託はAIエージェント代替で現在の約7割、旅行は安全対策後に小幅回復とし、会社固有の中心を27%とする。
やや悲観 27% 販路を失い、規模縮小で生き残る 利益 0 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 94 円2 億円
産地直送の需要そのものは残るが、ポケットマルシェの検索流入はAI経由の直接発注や競合の定期便へ流れる。年間の食材購入等価件数は26万件へ落ち、販売手数料も農家の不満を受けて実質的に引き下がる。食の事業はまだ黒字を生むが、従来のような全国的プラットフォームの拡張を目指す体制は維持できない。
2026年以降、旅行は安全管理の人件費が重く、地方留学の家族等価は100まで減る。STAY JAPANの予約事業は大手サイトとの競争で伸びず、提携先との再編も視野に入る。自治体は予算の節約とAIエージェント導入により、調査やイベント事務局の発注を減らす。受託件数は32まで落ち込むが、現地調整のように人が必要な案件は残る。
経営は東京の管理拠点や広報・広告費を大きく縮め、本社共通費を名目でも減らす。人員・開発投資を切る痛みを伴うので、10年後の成長余地も細る。最終年度の純利益は0.20億円程度まで回復するが、それは収益力の強さではなく規模縮小の結果であり、旧来の株主に高い成長倍率を払う理由にはならない。
- 産直食品・定期便・ふるさと納税:数量 26.0(年間食材購入等価件数(万件、実質、会社非開示の推計))× 価格 0.22(一万件当たりの認識売上(億円。商品手数料と直販売上の混合単価))→ 売上 6 億円・営業利益 2 億円。2025年推計30万件を基準に実質件数26万件、混合認識単価は0.215億円/万件。食品単独GMV・件数は推計。
- おやこ地方留学・STAY JAPAN:数量 100(地方体験ツアー参加家族等価(家族/年、STAY JAPAN分は家庭換算))× 価格 0.00(1家族等価当たり旅行事業の認識売上(億円、宿泊予約手数料込み))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2025年186家族を基準に参加家族等価100、STAY JAPAN売上を含む換算価格。2026年の安全対策を反映。
- 自治体関係人口支援・法人共創:数量 32.0(国・地方自治体の年間受託件数(件、67件は2025年開示実数))× 価格 0.06(1件当たり受託・法人売上等価(億円/件、自治体以外の小口売上も含む))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。2025年67件に対し32件。企画・調査等の工数にAIエージェント代替が及ぶ。価格は名目であって件数にインフレを含めない。
倍率:やや悲観は2035年の積上自己資本3.23億円ではなく、2025年末の今の自己資本3.50億円をPBRの分母に使う。構造縮小後の純利益0.20億円を資本コスト8.25%で資本化した稼ぐ力は2.424億円で、正味現金の資産床2.10億円を上回る。従って上限2.424億円以下かつ床以上の2.275億円を採用する。自己資本流れは3.50+累計純損益−0.17−還元0.10=3.23億円である。
確率:会社全体の年間流通額減少が数年間続いたうえ、旅行安全管理と自治体の単年度入札に不安が残る。下に寄せる理由:2026年上期の赤字とAIによる企画・広報受託の省力化が重なるため、縮小と再建のケースに27%を配する。
悲観 16% 構造的な敗北と小規模な事業整理 利益 0 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 87 円2 億円
生産者は手数料の安い直販サイトや競合へ移り、ポケットマルシェの推計年間購入等価件数は17万件まで縮小する。AIによる商品発見と自動注文が検索サイトの訪問を減らし、会社は低い手数料を受け入れて小さな取引基盤を維持する。登録会員数は残っても購買を伴わず、これまでの生産者網は利益を守る壁にならない。
旅行は安全と採算を優先して大半の企画をやめ、家族等価は50まで減少する。STAY JAPANの宿泊サイトを整理し、自治体向けの提案・広報・事務局運営は外注業務としての価値を失う。国・自治体の受託件数は15となり、一部の現地コーディネートだけを残す。現場を必要とする事業でも、過去の営業規模を支えるだけの価格は通らない。
生き残るために採用と事業投資を止め、共通費を大幅に削減する。それでも最終年度は小幅な純損失となり、収益の持続価値よりも整理時に守れる正味資産が評価の中心になる。土地や未上場株式に不明な含み益を見込まず、借入を返した後の預金を基にした小さな正の終価を残す。
- 産直食品・定期便・ふるさと納税:数量 17.0(年間食材購入等価件数(万件、実質、会社非開示の推計))× 価格 0.18(一万件当たりの認識売上(億円。商品手数料と直販売上の混合単価))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。2025年推計30万件を基準に実質件数17万件、混合認識単価は0.18億円/万件。食品単独GMV・件数は推計。
- おやこ地方留学・STAY JAPAN:数量 50.0(地方体験ツアー参加家族等価(家族/年、STAY JAPAN分は家庭換算))× 価格 0.00(1家族等価当たり旅行事業の認識売上(億円、宿泊予約手数料込み))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2025年186家族を基準に参加家族等価50、STAY JAPAN売上を含む換算価格。2026年の安全対策を反映。
- 自治体関係人口支援・法人共創:数量 15.0(国・地方自治体の年間受託件数(件、67件は2025年開示実数))× 価格 0.05(1件当たり受託・法人売上等価(億円/件、自治体以外の小口売上も含む))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。2025年67件に対し15件。企画・調査等の工数にAIエージェント代替が及ぶ。価格は名目であって件数にインフレを含めない。
倍率:2035年も最終赤字−0.04億円のため、利益を永続資本化せず現時点の純現金約2.10億円を売却可能資産の床とする。2025年末自己資本3.50億円をPBRの分母として0.60倍、終価2.10億円になる。ソフトウエア等の無形資産約0.4億円と未上場株式約0.23億円は独立の流動資産とみなさず床へ追加しない。自己資本の道筋は3.50+累計純損益−1.21−還元0.04=2.25億円である。
確率:産直のネットワークから取扱量が流出し、自治体委託が定型業務から自動化され、旅行は安全負担で縮むという複合的なケース。清算直前までは至らず、現金を守る縮小整理が間に合うとする確率16%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
産直食品・定期便・ふるさと納税
ポケットマルシェの生産者販売手数料と、定期便・食材直販・ふるさと納税関連の食の収入。産直の23%手数料を全食品売上へ一律適用しない。
| 数量年間食材購入等価件数(万件、実質、会社非開示の推計) | 価格一万件当たりの認識売上(億円。商品手数料と直販売上の混合単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 30.0 | 0.22 | 7 | 2 |
| 10 年後 中立 | 31.0 | 0.29 | 9 | 3 |
取り方:2025年度の会社資料による食品事業売上約6.57億円、登録生産者約9,000、登録会員約90万人を起点とする。同社公式の顔の見える取引流通額は2025年単年で21.69億円(旅行・寄附・宿泊を含む)であり、食品だけの取扱高と注文数は非開示。会社全体の流通額21.69億円の約69%を食品の市場で流れる金額とみて食品向けGMVを約15億円と仮定し、さらに1回の購入単価を5,000円と仮定して年間約30万件を推計する。食品売上÷30万件=1件当たり2,190円の見かけ認識売上を価格単位とした。2024年改定の生産者手数料23%と、当社販売主体の商品売上・定期便約3.5万件などを混合するため、2,190円を手数料と誤認しない。2025年の食品単独GMV15億円も注文件数30万件も検証された開示値ではない。食品のセグメント利益1.63億円は個人向け部門利益1.71億円から旅行を按分した推計。
おやこ地方留学・STAY JAPAN
親子での農漁業体験付き旅行、滞在企画と農泊宿泊予約プラットフォームの収益。安全管理と現地スタッフが不可欠。
| 数量地方体験ツアー参加家族等価(家族/年、STAY JAPAN分は家庭換算) | 価格1家族等価当たり旅行事業の認識売上(億円、宿泊予約手数料込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 186 | 0.00 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 200 | 0.00 | 1 | 0 |
取り方:2025年のポケマルおやこ地方留学186家族475人・7地域は会社開示の実数であり、旅行事業売上約0.67億円は2026年3月の事業計画の実績。同年4月取得のSTAY JAPANの宿泊予約収入が含まれるため、0.67億円÷186家族≈36万円は実際の1家族の旅行代金ではなく、2サービスの売上を家族数に換算したモデル単価。現地宿泊泊数と予約当たり手数料は非開示であり別に架空の実測泊数を作らない。旅行部門利益は個人向けの差分推定。
自治体関係人口支援・法人共創
国・自治体の地域活性化、農泊、海業、関係人口施策の企画・受託。約3.02億円の法人向け売上には自治体以外の小口取引も含む。
| 数量国・地方自治体の年間受託件数(件、67件は2025年開示実数) | 価格1件当たり受託・法人売上等価(億円/件、自治体以外の小口売上も含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 67.0 | 0.05 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 47.0 | 0.06 | 3 | 0 |
取り方:2025年度の国・地方公共団体からの受託総数67件は決算短信・有報で確認。2025年法人向け報告セグメント売上3.01692億円から1件当たり約450万円の受託等価価格を算出した。自治体事業売上約2.88億円とその他売上約0.13億円との差は丸め・報告区分の差であり、1件450万円を全案件の約定単価とは呼ばない。法人売上のおおむね3割は企画、広報、調査、資料作成、事務局の人月・工数型とみてAIエージェント代替の型を適用し、中立の件数を67件の約0.70倍、価格は物価10年1.34倍以内で推計する。官公庁の正本の記録基盤ではなく、低解約率など二つの強い堀の証拠はない。
リスクと懸念
AIエージェント代替と自治体の発注構造
関係人口施策の立案、報告書、広報素材、調査、事務局運営には人の作業時間を請求する受託が多い。AIエージェントが調査・資料作成を内製化させれば、発注件数や委託料が減る。地域で人を集める業務は残っても、国や自治体の公式記録の正本を保持する独占基盤ではないので、ソフトウエアの解約不能性のような堀を見込まない。
ポケマルの流通量縮小と競合による取引中抜き
会社全体の年間流通総額は2022年の23.63億円から2025年の21.69億円に下がった。生産者は食べチョク、楽天市場、独自通販でも販売でき、23%の手数料に対してより安い販路が見つかれば移転する。AI検索や自動購入エージェントが生産者との直接取引を促せば、同社の検索・商品発見の取り分が縮む。
旅行の安全管理とブランドの失墜
2026年におやこ地方留学で危険な農作業機械の乗車方法など管理上の不備が判明し、プログラムは安全確認のため一部を中止・縮小した。損害の発生を断定する材料はないが、子どもを預ける旅行では事故予防と第三者の信用が不可欠だ。安全対策や保険・スタッフの費用が増え、販売再開後も参加者数が回復しない可能性がある。
赤字の再発、純現金の消失と追加資本
2025年末は純現金約2.1億円だったが、2026年上期だけで0.61億円の純損失を出した。事業の運転資金とソフト開発の現金流出が続けば、資産の床は減り、成長投資より借入や増資が優先される。シナリオの悲観床は現時点で確認した純現金を保存する整理・清算型の参考値であり、永遠の赤字でも守られる保証ではない。
自治体予算、政策と政権・入札の変更
2025年には過去最高の67件を受託し、ふるさと住民登録制度には政策的追い風がある。しかし行政の契約は単年度予算や調達方法に従い、政策担当者が変われば増額が続くとは限らない。大手広告会社、旅行会社、地域の事業者が同じ仕事へ参入すれば、受託単価を維持しながら継続するのは難しい。
新株予約権と株主への利益分配
2026年2月末の潜在株式は160,250株で、全て行使されれば約6.21%の希薄化になる。多くは設定時の行使価額が高いものの、業績が大きく伸びれば行使の蓋然性も高まる。配当・自社株買いの定量的な約束はなく、発行した株式数の増加に見合う利益を生めなければ既存株主の受取価値は下がる。
農家の高齢化、送料と設備更新の実質負担
一次産業の高齢化は出品者と供給量の減少につながり、クール配送・梱包材・人件費は物価が上がるほど重くなる。既存のソフトウエアは過去の取得額で償却する一方、今後の再開発費や情報セキュリティの更新は新しい価格で支払う。会計上の利益だけ伸びても、維持投資の現金が足りない状況が起こりうる。
今後の分かれ目
- 会社開示の年間流通総額が、旅行等の追加分を除いても実質で3期続けて増加したら
- 食品注文の数量が回復した証拠として中立の食品件数を引き上げる。価格の上昇と物流費の上昇を区別し、利益率と継続購入率が伴う場合だけ楽観側の確率も増やす。
- 生産者手数料23%を維持したまま主要な購入者の継続率・年間注文数が開示され、改善が確認されたら
- 利用者網の堀を強めに評価できる。登録会員ではなく能動的な購入者の実数で、食品取扱高と単価の仮定を組み直す。
- 自治体向け受託のうち定型的な調査・広報・事務運営の契約件数が2年続けて減少したら
- AIエージェント代替の縮小速度が速いと判断し、法人件数をさらに下方へ修正する。現地調整・農漁業体験など人が必要な仕事だけを分けて評価する。
- 旅行の安全対策の外部検証が定着し、親子の参加実績が安全上の追加停止なく増えたら
- 地方留学の需要回復を前提にやや楽観の確率を上げる。ただしSTAY JAPANの予約泊数と手数料収入を別に確認する。
- 2026年通期の営業黒字予想を達成できず、自己資本と現金がさらに減少したら
- 追加増資・資本提携の可能性と希薄化を優先して検討し、現在の純現金を悲観床に使える範囲も見直す。
- 自治体事業の増分利益率が資本コストを上回り、営業キャッシュフローからソフト更新投資を賄えたら
- 単なる赤字縮小から持続的な株主価値の創出へ評価を切り替える。余剰資金の還元方針が数字で示された場合は戻り方も修正する。
見ておくもの
- 公式IRの「顔の見える取引」年間流通額と定義変更の有無(2025年21.69億円)
- 食品事業の単独取扱高、注文数、購買者継続率、登録生産者の稼働率
- 自治体の受託件数(2025年67件)、平均委託料、AI活用後の受託粗利益
- 2026年夏以降の地方留学参加家族数、安全対策の検証結果、STAY JAPAN予約実績
- 2026年会社予想の営業利益0.25億円への下期進捗と通期の最終利益
- 営業キャッシュフローとソフト開発投資の差、借入満期、ネットキャッシュ
- 配当・株主優待の実際の原価と行使済み・未行使ストックオプションの残高
倍率と資本コストの決め方
基準の時価総額は2026年10月22日の添付株価704円と自己株控除後242万500株から17.0403億円だが、売上・営業利益・倍率の逆算には使わなかった。数量は食材の推計注文30万件、旅行186家族、受託67件から出発し、年3%の物価は単価側だけで反映する。自治体の中立受託量はAIエージェント代替により0.70倍とし、長期名目成長率は1.5%。資本コスト8.25%、普通の堀、新規投資利益率を用い、楽観~中立は正当化PERの上限で評価する。中立はROEが資本コスト未満のためPERは1÷kの12.12倍までとし、悲観側は今の自己資本と税後売却資産の床を使った。会社の流動性、行使条件付き潜在株、旅行の安全管理に未知数があり、試算の数字は事実と仮定を明確に分ける。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 0.5%。