結論
ニューラルグループは、画像解析AIを出発点に、デジタルサイネージの設置販売、広告媒体の運営、イベント制作、ゲーム向け映像制作へ事業を広げている会社である。筆者の結論は「割高」だ。10年先の事業価値と株主還元を現在に割り引いた本質価値は約14.7億円と試算し、基準時価総額31.8億円を約54%下回る。
この会社を一般的な高収益SaaS企業として見ると、本質を見誤る。2025年の売上の中心は機器の設置や現場向けサービスであり、継続課金の強いソフトウェア企業とは利益構造が異なる。自社広告媒体のFOCUS CHANNELには設置場所を確保した強みがあるものの、機器販売では工事能力と価格競争、AIの受託開発では顧客の内製化と自動化が利益を左右する。
最も気になるのは、成長投資の成果が利益と現金で確認できていないことだ。2025年は売上約33億円に対して最終赤字となり、2026年上期には営業赤字3.53億円、営業キャッシュフローの流出4.77億円を計上した。イベント・ゲーム関連企業の買収によって売上の器は大きくなるが、取得費用やのれん償却を除いた指標だけでは株主に残る稼ぎは測れない。
10年先にも、駐車場や店舗の現場を認識するAI、広告を表示する設備、実際のイベント運営には需要が残ると考える。ただし、需要が存在することと、この会社が資本コストを超える利回りで稼ぎ続けることは別問題だ。安全域を認めるには、既存事業の営業現金創出、買収先の利益貢献、追加増資に頼らない成長を少なくとも数期確認する必要がある。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の目で最初に問うのは、この会社の顧客が10年後も繰り返しお金を払う理由である。駐車場の満空判定や店舗の表示機器は、現場に残る設備として利用され続けるだろう。マンションの共用部に広告を出す権利も、一定の希少性を持つ。だが、技術が必要とされ続けることと、その技術の提供者が高い利益率を守れることは同じではない。
広告媒体では、競争相手が同じマンションに自由に機器を置けないことに小さな堀がある。設備の施工・運用にも顧客との関係が積み重なる。しかし、顧客が値上げを受け入れた実績や、解約しないことを示す数字は不足している。AIアルゴリズムそのものについても、汎用モデルの能力向上と顧客の内製化に対して、明確な価格決定力があるとは言えない。
次に問うのは、利益が株主のものになるかである。2026年の会社計画が重視する調整後EBITDAは、買収時の一時費用やのれん償却などを加え戻した利益である。買収代金は実際に現金として支出され、機器の更新にも資金が必要になる。株主が自由に使えるオーナー利益を、調整後EBITDAと同額だと考えることはできない。
2025年の増資は事業の継続余力を回復させたが、既存株主の取り分を薄めた。さらに買収を進めるなら、営業現金創出を伴うか、借入や増資に依存するかが決定的な違いとなる。筆者は、赤字企業が収益力を買収で補おうとする際には、経営者の説明より買収後の現金収支を重視する。
現在の評価には、業績回復と買収統合の成功がある程度含まれている。事業の将来を全面的に否定する必要はないが、現状の資本効率から高い永続成長率を認める根拠もない。10年後の中立的な稼ぐ力と、構造的に競争力を失った場合の回収価値を比べると、今の時価総額に十分な安全域は見いだせない。
何で稼ぐ会社か
会社の報告セグメントは「AIエンジニアリング事業」の単一セグメントである。2025年の売上は、機器や自社サービスの提供を中心とするコアサービス領域27.21億円、企業との共同研究やAI開発を担うイノベーション領域5.64億円、その他0.14億円だった。事業の経済性を見極めるため、コアサービスを現場機器・サービスと自社広告媒体に分け、2026年に取得したイベント・ゲーム制作会社を別に扱う。
現場向け事業では、ニューラルマーケティングやニューラルエンジニアリングを通じて、LED表示機器の販売、設置、更新、AIカメラの運用を提供する。駐車場の空き状況を把握するデジパークなどは、ソフトウェアだけで完結しない。現場への機器の納入や保守が必要であり、その手間はAIエージェントに直ちには置き換わらない一方、機器原価と施工外注費が利益を圧迫する。
自社媒体のFOCUS CHANNELは、首都圏のマンション共用部に広告画面を設置し、広告主から掲載料を受け取る。広告代理店が他社媒体を買い付ける事業とは異なり、設置場所と視聴者への接点を自ら押さえる点に価値がある。公開媒体料金は全棟向け4週間で300万~400万円であり、掲載枠の稼働率が収益性を決める。ただし、実際の広告売上、販売枠数、解約率は独立して開示されていない。
イノベーション領域では、企業向けに画像解析、生成AI、AIエージェントや大規模言語モデルに関する共同開発を行う。研究開発が自社製品に転換できれば利益を大きく伸ばせるが、顧客ごとの開発工数に依存する収入は、AI自動化によって仕事量も単価も圧迫される。
2026年にはポマト・プロ、カクタス、魔法および関連会社ペガサスを連結に加えた。イベントの企画運営や現場演出は人が集まる場所で価値を生むが、映像編集、CG制作、ゲーム向けコンテンツにはAIによる代替余地がある。買収先別の通期売上と営業利益が十分に開示されていないため、将来の利益貢献は実績ではなく独立した仮定として評価する。
優良さと弱いところ
最も有望な強みは、特定の現場に機器を設置し、運用まで引き受けられることである。会社は全国で1万社超の顧客基盤を構築したと説明しており、施工実績と顧客接点は新規参入者に対する一定の障壁となる。駐車場や商業施設で既存設備との接続が必要な案件では、現場を理解する企業が再受注しやすい。ただし、その強みが十分な値上げ力に結び付いているという開示はない。
FOCUS CHANNELには、富裕層向けマンション内の広告枠を確保した局所的なネットワーク効果がある。会社の2026年3月資料では設置450棟、到達23万人と説明される一方、媒体公式サイトは2026年9月時点で約400棟、21万人と表示している。集計基準や更新時点の違いもあり得るが、媒体網が一貫して広がっているとまでは言えない。自社調べの業界首位という表現だけで、強固な独占的地位を認めるべきではない。
価格を上げても顧客が離れない実績、年5%未満の解約率、移行に年単位を要する規制対応などは確認できなかった。広告の視聴データには価値があっても、顧客の業務記録そのものを管理する不可欠な基盤ではない。したがって、会社全体を強い堀のある企業とは評価しない。買収によって顧客の種類は増えているが、競争上の優位が広がったこととは区別する。
資本効率には明確な課題がある。2020年には黒字を計上したが、2022年以降は最終赤字が続き、2025年末の自己資本の厚さも主として増資によって回復した。2026年上期は買収先の取り込みが進む中で赤字が拡大し、営業現金も流出した。新しく投じた資本が資本コストを上回っていると判断できる実績は、まだない。
財務についても、2025年末の純現金約2.7億円をそのまま安全資産とみなすことはできない。2026年6月末には現預金15.36億円に対し有利子負債が約21.52億円となり、純負債に転じた。買収によるのれんも大きく、帳簿上の自己資本を全額回収できるとは限らない。利益が出るまでの持久力と、買収に使った現金が戻る速度を同時に見る必要がある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のデジタルサイネージ市場は成長分野である。富士キメラ総研によれば、2024年の市場規模は2,740億円で、機器などのシステム販売・構築が1,409億円、配信・運営サービスが451億円、広告が880億円だった。2030年には全体が4,609億円に拡大すると予測されている。ただし、これは機器とサービスと広告を含む広い市場であり、ニューラルグループがすべてを直接取り込めるわけではない。
本分析の2025年の現場機器関連売上推計24.41億円は、上記のシステム販売市場に対して約1.7%に相当する。自社媒体の推計2.80億円も、デジタルサイネージ広告市場全体では約0.3%にすぎない。年度と市場定義が完全には一致しない参考比率であり、公表された正確な市場シェアではない。競争相手にはパナソニックやシャープなどの機器提供企業、設備施工業者、交通広告や屋外広告の媒体運営企業があり、各社の同一定義によるシェアは確認できない。
イベント産業では、日本イベント産業振興協会が2024年のイベント関連産業を9,797億円と推計した。周辺産業を含めると2兆8,535億円だが、両者は異なる市場の大きさなので混ぜて扱わない。ポマト・プロとカクタスの将来の年間売上を12億円程度と仮定しても、狭い方の市場の約0.12%にとどまる。電通グループや博報堂グループのイベント関連会社、専門制作会社と競合する中で、重要なのは業界全体の成長率より案件獲得と採算である。
AIの研究開発市場はさらに大きいが、市場拡大が個々の受託開発会社の売上増加を保証する時代ではない。顧客企業が汎用AIを直接使い、開発、調査、資料作成、映像制作を内製化すれば、従来の人月や制作工数による売上は減る。ニューラルグループの場合、ソフトウェアの画面操作を提供する一般的なSaaSより、現場機器を扱う部分の方が置き換えにくい。
10年の中心となる競争構造は、設置済み設備の更新需要が残る一方、機器の汎用化で価格競争が強まり、AIの受託開発では数量が縮むというものだ。自社媒体については、ネット広告のターゲティング技術が進んでも、特定のマンションに広告を届けられる場所の希少性は残る。ただし、広告主が実際に支払う単価は広告効果に左右されるため、物価上昇をそのまま転嫁できるとは見ない。
資本政策と M&A
資本配分の中心は、配当より買収と事業拡張である。2021年のフォーカスチャネル取得、2022年のネットテン取得を経て、2026年にはイベント制作会社のポマト・プロとカクタス、ゲーム向け制作会社の魔法と関連会社を取得した。事業の裾野は広がったが、過去の買収を含めた株主資本利益率は低く、追加取得分の投資利回りもまだ検証できない。
2026年3月公表の事業計画では、2026年12月期の売上高53億円、M&A関連費用を除くEBITDA4億円、同利益率7.5%を掲げている。これは調整後の指標であり、営業利益や最終利益4億円という約束ではない。2030年に向けた成長方針は示しているものの、2030年の売上、営業利益、ROEについて確認できる数値目標はない。配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い額についても数字の約束はない。
2026年の取得対価は、ポマト・プロ約0.73億円、カクタス約5億円、魔法とペガサス約5億円である。これに関連するアドバイザー費用も発生している。買収候補の評価にはEV/EBITDA5倍以内という目安を掲げるが、取得価格が安く見えることと、統合後に現金を生むことは別である。のれん償却や追加運転資金を含めた投下資本利益率を見なければならない。
2025年には公募増資を行い、株数は約12%増えた。2026年上期の営業現金流出と純負債化に続き、7月には子会社が運転資金として計3.45億円の変動金利借入を実行した。2025年末の大株主上位10者の合計保有比率は約68%だったが、創業者と共同保有者の持分は2026年9月に43.43%まで減少した。過去5年に明確な増配や大規模自社株買いの実績がなく、直近の強い支配比率も確認できないため、将来の余剰現金の株主への戻り方は75%として扱う。
今後のM&Aや他社による買収はあり得るが、現時点でTOB、MBO、株式交換による上場廃止予定を確認できない。買収される可能性を本質価値に上乗せせず、独立した企業として利益を生む力を評価する。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
AI画像解析の価値は、単なるソフトウェアから現場のインフラへ移りつつある。駐車場、商業施設、公共空間では、実物のカメラや表示機器を設置し、継続運用する事業者が必要となる。ニューラルグループは顧客基盤と全国の施工体制を持ち、AI機能の追加販売によって機器更新を高付加価値の案件に変える余地がある。AIエージェントの普及は受託開発の工数を減らすが、現場に設置した機器そのものを不要にはしない。
FOCUS CHANNELも、富裕層が居住するマンション内の生活動線に広告を出せる点で一般のネット広告とは異なる。広告主が求めるのは単なる再生回数ではなく、購買力のある層への接点である。媒体網を再び広げ、視聴データを使って広告効果を証明できれば、掲載料金と稼働率の両方を改善できる。競争相手が同じ場所の広告枠を容易に増設できないなら、広告媒体部分の利益率は機器販売より高くなる可能性がある。
2026年の買収では、イベントの現場運営、空間演出、ゲーム制作という顧客接点を得た。ポマト・プロは大規模なイベントの運営実績を持ち、カクタスは光や映像を使った空間演出を手掛ける。従来の画像解析技術をこれらの事業に応用し、制作費の削減や新しい演出商品の販売につなげられれば、買収の価値は単独事業の利益を超える。会社が掲げる取得価格の規律も守られれば、資本効率の改善が進むだろう。
強い成長の筋書きでは、現場向け案件とイベント受注が増え、2035年には売上が100億円を超える。研究開発と本社費の負担が売上に対して軽くなり、営業利益が安定すれば、増資に頼らず借入を返し、株主還元を始められる。今の赤字だけでは、この将来の可能性を完全には捨てきれない。
慎重な見方
最も深刻なのは、既存事業の収益が安定する前に、買収によって経営の難しさを増やしていることだ。2025年の売上は前年を下回り、2026年上期には売上がわずかに増えた一方で営業損失が3.53億円に拡大した。営業キャッシュフローも4.77億円流出している。会社は下期の改善を見込んでいるが、利益の回復を実績として確認する前に大きな企業価値を認めるべきではない。
買収先のイベント事業は、現場運営が必要なためAIによる完全代替を受けにくい。しかし、企画書、映像編集、CG制作、演出案の作成では自動化が進む。ゲーム向け制作も、顧客が汎用生成AIや内製制作環境を使うことで、外注される工数が減り得る。さらに、制作会社が人材や案件を抱えるほど固定費が残り、売上が落ちたときの利益悪化は大きくなる。
自社媒体の強みも過大評価できない。会社資料の450棟に対し、2026年9月の媒体サイトでは400棟と表示されている。定義の違いを確認する必要はあるが、ネットワーク効果が無条件に強まっているとは言えない。広告媒体の値上げ実績や高い継続率が分からない以上、独自データを持つという説明だけで長期の超過利益を期待するのは危険だ。
財務上の余裕も見た目ほど大きくない。2026年6月末の自己資本約15.24億円には、のれん約12.65億円とその他無形資産約1.37億円が含まれる。これらを除いた実体純資産は約1.22億円しかない。借入金利が上がり、買収先の採算が悪化した場合には、減損、事業売却、追加増資が連続する可能性がある。黒字化を前提にした価格を払うには、株主が負担する不確実性が大きすぎる。
どちらに重みを置いたか
現場機器と自社広告媒体には残存価値があるため、事業の全面的な消滅を中心には考えない。しかし、2026年上期の資金流出、買収先の収益性が未確認であること、媒体網の公表数値の食い違いは慎重な見方を強める。確率は楽観側27%、中立31%、悲観側42%と下に寄せた。AIエージェント代替は主に対象事業の数量・単価と長期成長率に反映し、確率で同じ理由を繰り返し減点していない。約14.7億円の本質価値は現在の時価総額を大きく下回り、結論は割高となる。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 175 円30 億円(+ 還元の換算額還元の合計 18 円3 億円)。 今の値に割り戻すと 85 円15 億円、今との差 −51.5%、 期待の年率 +0.9%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 663 円114 億円 | 105 円18 億円 | +336.1% | +17.7% | 69 円12 億円 |
| やや楽観 | 18% | 350 円60 億円 | 38 円7 億円 | +120.2% | +8.8% | 70 円12 億円 |
| 中立 | 31% | 134 円23 億円 | 5 円1 億円 | −21.0% | −2.4% | 43 円7 億円 |
| やや悲観 | 25% | 31 円5 億円 | 0 円0 億円 | −82.2% | −15.8% | 8 円1 億円 |
| 悲観 | 17% | 16 円3 億円 | 0 円0 億円 | −90.8% | −21.2% | 3 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 175 円30 億円 | 18 円3 億円 | +9.4% | +0.9% | 193 円33 億円 |
今の株価時価総額 176 円30 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 現場AIと買収先の統合が成功 利益 10 億円 · PER 11.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 663 円114 億円
現場向けの画像解析需要が伸び、駐車場、店舗、施設の運用システムにAIカメラが広く採用される。機器を一度設置した顧客が更新時にも同社を選び、年間標準案件は大幅に増加する。高付加価値の解析機能を機器と一体で提供でき、売上拡大が利益率の改善につながる。
FOCUS CHANNELはマンション管理者との契約を増やし、設置棟数を700棟以上に拡張する。富裕層向け広告の効果測定が広告主に認められ、販売枠の稼働率と単価がともに上がる。広告媒体という局所的な強みが、ようやく全社の利益を支える柱となる。
ポマト・プロとカクタスは大規模イベントの受注を増やし、現場運営と空間演出を組み合わせた高単価案件を獲得する。魔法の制作事業でもAIによる効率化が原価の低下につながり、顧客への値引きに吸収されない。AI受託開発の案件数そのものは増えないが、既存技術を自社サービスへ転用できる。
本社費と研究開発費を売上の伸びより緩やかに管理し、買収によるのれんを償却した後でも十分な営業利益を残す。借入の返済と株主還元を両立し、追加増資に頼らず成長する。経営陣が買収価格の規律を守り、既存株主の取り分を維持できる最良の10年である。
- 現場AI・LEDサイネージ販売と運用:数量 1,450(LED機器とAIカメラの新設・更新・運用を標準規模に換算した年間案件数)× 価格 0.04(標準規模の現場案件1件当たりの売上高(億円、機器・設置・関連運用を含む))→ 売上 61 億円・営業利益 9 億円。標準案件1,450件、単価420万円。物価以上の単価上昇は解析機能と更新サービスの高付加価値化による。
- FOCUS CHANNEL自社広告媒体:数量 210(4週間の全ネットワーク掲載1枠に換算した年間販売枠数)× 価格 0.06(4週間の全ネットワーク掲載1枠当たり売上高(億円))→ 売上 12 億円・営業利益 3 億円。媒体網の700棟超への拡大と広告枠稼働の上昇を前提とした全棟4週間換算210枠。
- 企業向けAI共同研究・受託開発:数量 40.0(年間AI研究・開発プロジェクトの標準案件換算数)× 価格 0.19(標準開発案件1件当たり売上高(億円))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替があっても案件数量を2025年並みに維持できる最良の場合。独立したAIエージェント売上の増加は仮定しない。
- イベント制作・実地運営:数量 170(現場イベント・空間演出の年間標準案件数)× 価格 0.18(標準案件1件当たり売上高(億円))→ 売上 31 億円・営業利益 5 億円。実地イベントの受注拡大と大型案件化。企画・制作工数の効率化が利益に残る。
- ゲーム・映像・CG制作:数量 40.0(年間ゲーム・映像制作の標準受託案件数)× 価格 0.16(標準制作案件1件当たり売上高(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。AI代替下でも2026年想定の案件数量を維持し、制作効率改善を収益化する。
- その他・賃貸等収益:数量 1.0(年間収益基盤一式)× 価格 0.20(年間収益基盤一式当たり売上高(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。小額のその他収益。
倍率:2035年ROEは9.8÷50=19.6%。資本コスト9.0%、普通の堀の残存割合1/2から増分資本利益率RONIC=14.3%。AI代替を踏まえた10年後以降の名目成長率g=1.0%に対し、正当化PER=(1−0.01÷0.143)÷(0.09−0.01)=11.63倍。楽観の稼ぐ力に対する計算上の上限をそのまま用いる。現在の株価や同業の市場PERは使わない。
確率:現場AIの販売、マンション広告媒体の再拡大、イベント会社の収益改善が同時に実現する強い筋書き。過去の赤字と2026年上期の資金流出を考えると、複数事業の連続成功に高い確率は付けられない。
やや楽観 18% 買収先が黒字を積み上げる 利益 5 億円 · PER 11.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 350 円60 億円
機器販売では全国の顧客基盤が維持され、AIカメラやサイネージの更新需要を継続して取り込む。新設案件に加え、既存機器の更新と運用サービスが収益を支え、価格競争は続くものの利益率は改善する。汎用機器の値下がりを解析機能の付加価値が一部補う。
マンション広告媒体は、設置場所と広告効果の見直しを進めながら約550棟の規模を確保する。広告主への営業が改善し、掲載枠の販売数と平均単価が緩やかに増える。自社媒体の優位は残るが、全国的な広告プラットフォームを支配するほどの規模にはならない。
イベント制作では買収先の既存顧客を維持し、ポマト・プロの現場運営とカクタスの空間演出を組み合わせた案件が増える。ゲーム向け映像制作はAIによって発注工数が減る一方、人による品質管理や複雑な演出の仕事が残る。企業向けAI開発の数量は縮むが、研究成果を現場サービスへ取り込むことで全社への打撃を和らげる。
営業利益と営業キャッシュフローが安定して黒字に転じ、経営は買収を急ぐより既存子会社の利益改善を優先する。利益の一部は借入返済に回り、株主還元も限定的ながら始まる。大きな独占的利益は得られないものの、買収によって事業を再構築した企業として一定の価値を残す。
- 現場AI・LEDサイネージ販売と運用:数量 1,180(LED機器とAIカメラの新設・更新・運用を標準規模に換算した年間案件数)× 価格 0.04(標準規模の現場案件1件当たりの売上高(億円、機器・設置・関連運用を含む))→ 売上 46 億円・営業利益 6 億円。更新需要の確保と運用機能の付加価値化で標準案件数と単価が増える。
- FOCUS CHANNEL自社広告媒体:数量 165(4週間の全ネットワーク掲載1枠に換算した年間販売枠数)× 価格 0.05(4週間の全ネットワーク掲載1枠当たり売上高(億円))→ 売上 8 億円・営業利益 2 億円。設置網の拡大を伴う広告販売枠の増加。
- 企業向けAI共同研究・受託開発:数量 32.0(年間AI研究・開発プロジェクトの標準案件換算数)× 価格 0.18(標準開発案件1件当たり売上高(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替を受け、標準案件数量は2025年の0.80倍。
- イベント制作・実地運営:数量 145(現場イベント・空間演出の年間標準案件数)× 価格 0.16(標準案件1件当たり売上高(億円))→ 売上 23 億円・営業利益 3 億円。買収先の顧客基盤を維持し、実地イベントの受注が増える。
- ゲーム・映像・CG制作:数量 34.0(年間ゲーム・映像制作の標準受託案件数)× 価格 0.15(標準制作案件1件当たり売上高(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。制作工数の減少を効率化で一部補い、2026年仮定の数量の0.85倍を維持。
- その他・賃貸等収益:数量 1.0(年間収益基盤一式)× 価格 0.19(年間収益基盤一式当たり売上高(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。その他収益。
倍率:2035年ROEは5.3÷42=12.62%。資本コスト9.0%、普通の堀の残存割合1/2によりRONICは約10.81%。g_longを1.0%とし、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=11.34倍を採用する。
確率:買収した企業が既存の顧客関係を維持し、会社全体の固定費負担が薄まれば実現し得る。ただし、2026年時点では取得後の十分な利益・現金実績がなく、楽観より実現確率を高くしても過大な重みは与えない。
中立 31% 現場事業は残るが資本効率は平凡 利益 2 億円 · PER 11.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 134 円23 億円
デジタルサイネージは国内市場の拡大に支えられるものの、標準案件数は2025年から小幅な増加にとどまる。機器の価格競争によって物価上昇をすべて販売価格に反映することはできないが、導入後の運用と更新需要が事業を支える。画像解析は標準的な機能となり、AI技術を保有するだけでは高い利益率を維持できない。
FOCUS CHANNELでは、マンション内という希少な広告接点を維持しながら広告枠の販売を増やす。設置網は一時的に縮小した後、従来の規模をおおむね回復する。広告主の効果検証は厳しくなり、単価は物価上昇を下回る伸びにとどまるが、他社媒体の単純な買い付け事業よりは利益を守りやすい。
企業向けAI受託開発の標準案件数は10年間で2025年の65%に減る。AIエージェントが調査、設計、実装、検証の工数を減らし、顧客企業自身で処理できる仕事が増えるためだ。ゲーム向け制作でも同じ縮小を受ける一方、実際の会場運営を伴うイベント事業では案件が増える。買収した子会社は全体として利益を生むが、統合による飛躍的な相乗効果は起きない。
営業利益は本社費、研究開発費、のれん償却を負担した後で年3億円台後半まで回復する。ただし、多額の過去損失と追加投資によって自己資本は積み上がり、ROEは資本コストを下回る。経営は借入返済を優先し、株主還元は少額にとどまる。事業は存続するが、長期株主に十分な超過利益を生み続ける企業にはならない。
- 現場AI・LEDサイネージ販売と運用:数量 990(LED機器とAIカメラの新設・更新・運用を標準規模に換算した年間案件数)× 価格 0.03(標準規模の現場案件1件当たりの売上高(億円、機器・設置・関連運用を含む))→ 売上 33 億円・営業利益 3 億円。年間標準案件990件。単価上昇は2025年比約22%とし、物価上昇より弱い。
- FOCUS CHANNEL自社広告媒体:数量 110(4週間の全ネットワーク掲載1枠に換算した年間販売枠数)× 価格 0.04(4週間の全ネットワーク掲載1枠当たり売上高(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。広告販売枠数は80から110へ。単価上昇は20%にとどまる。
- 企業向けAI共同研究・受託開発:数量 26.0(年間AI研究・開発プロジェクトの標準案件換算数)× 価格 0.17(標準開発案件1件当たり売上高(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替の人月型。数量0.65倍、単価1.19倍、2035年以降の長期成長率0%。
- イベント制作・実地運営:数量 115(現場イベント・空間演出の年間標準案件数)× 価格 0.16(標準案件1件当たり売上高(億円))→ 売上 18 億円・営業利益 2 億円。現場運営部分の増加と企画・制作工数部分の縮小を加重。標準案件単価は2026年仮定の約1.29倍。
- ゲーム・映像・CG制作:数量 26.0(年間ゲーム・映像制作の標準受託案件数)× 価格 0.14(標準制作案件1件当たり売上高(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替を受ける制作工数型。案件数量0.65倍、単価1.20倍。
- その他・賃貸等収益:数量 1.0(年間収益基盤一式)× 価格 0.17(年間収益基盤一式当たり売上高(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。その他収益の緩やかな増加。
倍率:2035年ROEは2.08÷30=6.93%で資本コスト9.0%を下回る。資本コストを超える増分利益を見込めないため、正当化PERの上限を1÷k=11.11倍とする。長期成長に対して割高な資本投下を価値に加えない。利益2.08億円から時価総額約23.11億円を算出する。
確率:機器更新と実地イベントには継続需要があるが、広告媒体の広がりは限定的で、AI受託開発と制作工数は縮小する。買収先の完全な失敗も大成功も前提とせず、資本コストを下回るROEに収束する中心シナリオ。
やや悲観 25% 受託開発の縮小と買収後の固定費負担 利益 −2 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 31 円5 億円
デジタルサイネージ市場は伸びるが、汎用的な表示機器と画像認識機能の競争が激しくなる。大手メーカーや地域施工業者に案件を奪われ、ニューラルグループが受注する標準案件数は減少する。原価が上昇しても価格に十分転嫁できず、機器販売の営業利益率は低下する。
FOCUS CHANNELではマンション管理者との契約更新が進まず、媒体網の規模が縮小する。広告主もネット広告との効果比較を厳しく行い、販売枠数と実質単価が伸びない。設置済み機器と媒体運営に必要な費用が残るため、広告事業の固定費負担は重くなる。
AI受託開発では顧客の内製化が予想以上に進み、人月型案件が減る。ゲーム向け映像制作でも、顧客の生成AI活用によって外注する作業量が減り、稼働率が落ちる。イベントの実地運営には一定の需要が残るが、競争による受注価格の下落と人件費上昇が利益を圧迫する。複数の子会社が少額の利益を稼いでも、本社費と共通管理費を賄い切れない。
経営は新規買収を抑え、子会社の統廃合と借入返済に経営資源を振り向ける。追加ののれん減損が自己資本を減らし、営業損失と資金流出が散発的に続く。株主還元はなく、会社が存続していても既存株主に帰属する事業価値は大きく縮む。
- 現場AI・LEDサイネージ販売と運用:数量 720(LED機器とAIカメラの新設・更新・運用を標準規模に換算した年間案件数)× 価格 0.03(標準規模の現場案件1件当たりの売上高(億円、機器・設置・関連運用を含む))→ 売上 21 億円・営業利益 1 億円。設置・更新の標準案件数が減り、価格転嫁も限定的。
- FOCUS CHANNEL自社広告媒体:数量 70.0(4週間の全ネットワーク掲載1枠に換算した年間販売枠数)× 価格 0.04(4週間の全ネットワーク掲載1枠当たり売上高(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。媒体網の縮小と広告販売枠の減少。
- 企業向けAI共同研究・受託開発:数量 19.0(年間AI研究・開発プロジェクトの標準案件換算数)× 価格 0.15(標準開発案件1件当たり売上高(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替と顧客内製化による受託案件の縮小。
- イベント制作・実地運営:数量 82.0(現場イベント・空間演出の年間標準案件数)× 価格 0.14(標準案件1件当たり売上高(億円))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。実地イベントは残るが案件数と採算が弱まる。
- ゲーム・映像・CG制作:数量 19.0(年間ゲーム・映像制作の標準受託案件数)× 価格 0.13(標準制作案件1件当たり売上高(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。制作工数の減少により損益分岐点付近にとどまる。
- その他・賃貸等収益:数量 1.0(年間収益基盤一式)× 価格 0.15(年間収益基盤一式当たり売上高(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。その他収益はおおむね横ばい。
倍率:継続損失と買収資産の減損によって2035年自己資本が9億円に減少した状態を想定する。赤字のためPERは用いず、その時点の自己資本9億円にPBR0.60倍を適用する。これは今や過去の市場PBRを参照したものではなく、資本コスト以下の稼ぐ力と追加損失の可能性を考慮した残余価値である。
確率:2026年上期の赤字と営業現金流出が示す固定費負担の重さに加え、複数の買収先の利益貢献が未検証であることを重視する。下に寄せる理由は、取得費用が既に支出された一方、回収を裏付ける持続的な営業現金創出が確認できないためである。
悲観 17% 競争力低下と買収減損で資産価値だけが残る 利益 −2 億円 · PBR 0.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 16 円3 億円
汎用的な画像認識機能は大手プラットフォームの標準機能となり、ニューラルグループ独自の技術で高い価格を取ることが難しくなる。デジタルサイネージの新規施工では機器メーカーと地域業者に受注を奪われ、更新需要の一部しか確保できない。既存機器の運用契約も価格競争が激しくなり、利益がほとんど残らなくなる。
FOCUS CHANNELではマンションの契約更新に失敗し、広告媒体網が大幅に縮小する。富裕層への接点という強みは残っても、広告枠の販売数が減ることで運営費を賄えなくなる。かつての設置実績や媒体の知名度は、失った顧客契約の代わりにはならない。
AIの共同研究は顧客自身が汎用モデルを使う形へ移り、外部に発注される工数が急減する。ゲーム向け映像制作でも同じ変化が進み、買収先の顧客基盤が収益を守れない。実地イベントの運営には需要があるものの、獲得した事業の利益は借入金の利払いと本社費に吸収される。
経営は事業売却や大幅な縮小を余儀なくされ、のれんと無形資産の大部分を減損する。資金繰りのための増資や債務条件の変更も検討され、既存株主に帰属する価値は著しく薄くなる。完全な倒産を必須条件とはせず、売却可能な資産から負債を引いた薄い回収価値だけが残る10年と考える。
- 現場AI・LEDサイネージ販売と運用:数量 470(LED機器とAIカメラの新設・更新・運用を標準規模に換算した年間案件数)× 価格 0.03(標準規模の現場案件1件当たりの売上高(億円、機器・設置・関連運用を含む))→ 売上 13 億円・営業利益 0 億円。販売数量を大きく失い、物価上昇も価格転嫁できない。
- FOCUS CHANNEL自社広告媒体:数量 40.0(4週間の全ネットワーク掲載1枠に換算した年間販売枠数)× 価格 0.03(4週間の全ネットワーク掲載1枠当たり売上高(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。媒体網縮小と広告販売不振で赤字化。
- 企業向けAI共同研究・受託開発:数量 12.0(年間AI研究・開発プロジェクトの標準案件換算数)× 価格 0.12(標準開発案件1件当たり売上高(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替が進み、受託開発市場での地位を失う。
- イベント制作・実地運営:数量 55.0(現場イベント・空間演出の年間標準案件数)× 価格 0.12(標準案件1件当たり売上高(億円))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。実地開催の需要は残るが案件獲得力と利益率が大幅に悪化。
- ゲーム・映像・CG制作:数量 10.0(年間ゲーム・映像制作の標準受託案件数)× 価格 0.11(標準制作案件1件当たり売上高(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。制作工数の代替と顧客の内製化で赤字化。
- その他・賃貸等収益:数量 1.0(年間収益基盤一式)× 価格 0.10(年間収益基盤一式当たり売上高(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。小額のその他事業のみ残る。
倍率:継続的な営業赤字で10年後の利益は負となるためPERは使わない。倒産や清算を必然としない悲観では、基準期2025年末の純現金2.7億円を参考床として無視せず、将来の事業毀損と無形資産の回収不能を大幅に割り引く。2025年末自己資本18.6億円に対しPBR0.15倍を適用した時価総額は2.79億円となり、純現金2.7億円をわずかに上回る。PBRは市場の過去の値付けを参照せず、基準時点の回収可能資産と事業の稼ぐ力が失われることから判断した。なお、2026年6月末の実体純資産約1.22億円と純負債化は、回収価値がさらに低くなり得る重要な警戒材料であり、この床は清算時の回収保証ではない。
確率:複数の買収先が同時に採算を悪化させ、既存の機器販売も競争に敗れる複合的な構造変化である。2026年6月時点の実体純資産が薄くなっているため、発生した場合の損失は深いが、直ちに会社が消滅するとはみなさない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
現場AI・LEDサイネージ販売と運用
店舗や公共空間の表示機器、AIカメラの導入、設置、更新、保守を行う。物理的な現場作業を伴うためAIエージェントに直接代替されにくいが、機器価格と施工費用の競争を受ける。
| 数量LED機器とAIカメラの新設・更新・運用を標準規模に換算した年間案件数 | 価格標準規模の現場案件1件当たりの売上高(億円、機器・設置・関連運用を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 900 | 0.03 | 24 | 2 |
| 10 年後 中立 | 990 | 0.03 | 33 | 3 |
取り方:2025年有報のコアサービス領域27.21088億円を起点に、自社広告媒体の推定2.80億円を控除した24.41088億円を、機器販売・現場AI・関連運用へ仮置きする。会社は全国1万社超の顧客基盤を説明するが、2025年の新規設置台数、更新台数、保守契約数は開示していない。年間900件は既存顧客の更新と新規案件を含む標準案件換算の明示的な仮定であり、実際の施工件数ではない。平均売上は約271万円となる。営業利益1.709億円も仮の配賦であり、会社の開示した個別事業利益ではない。2025年の全社営業損失約0.0666億円との間には、本社費・研究開発・共通費に相当する約1.844億円の調整が必要となる。AI代替分類は主に現場の体であり、管理業務の自動化は将来の利益率に反映する。市場の物差しは富士キメラ総研のシステム販売・構築市場2024年1,409億円で、推定売上の市場比率約1.7%は年度と品目範囲が異なる参考値にすぎない。
FOCUS CHANNEL自社広告媒体
首都圏マンションの共用部に設置した自社サイネージ媒体で広告枠を販売する。広告の制作・運用受託ではなく、広告主へ自社の視聴者接点を提供する媒体事業として扱う。
| 数量4週間の全ネットワーク掲載1枠に換算した年間販売枠数 | 価格4週間の全ネットワーク掲載1枠当たり売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 80.0 | 0.04 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 110 | 0.04 | 5 | 1 |
取り方:広告代理店の公開媒体料金は全棟配信4週間で300万~400万円であり、中間の350万円を標準単価とした。2022年の媒体資料にある広告枠最大約12枠と年約13サイクルから、全棟換算の年間販売可能枠を約156と考えた。仮に80枠を販売したとすると稼働率は約51%で、売上は2.80億円となる。これは会社が開示していない売上と稼働率の推定であり、実績ではない。実際には2週間広告、地域限定配信、値引きなどが混在するため、あくまで全棟4週間換算である。2026年3月の会社資料は450棟、2026年9月の媒体サイトは約400棟と表示しており、数量増加を確定事実にはしない。自社媒体の広告枠販売型なので中立の数量は広告掲載枠数で判断し、AIによる広告制作の自動化は単価競争に反映する。営業利益0.336億円は推計の配賦である。
企業向けAI共同研究・受託開発
AIアルゴリズム、画像解析、生成AIやAIエージェント関連の研究開発を企業と共同で進める。人月や開発工数に依存する部分が大きく、顧客の内製化とAIエージェントによる代替を直接受ける。
| 数量年間AI研究・開発プロジェクトの標準案件換算数 | 価格標準開発案件1件当たり売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 40.0 | 0.14 | 6 | 0 |
| 10 年後 中立 | 26.0 | 0.17 | 4 | 0 |
取り方:2025年有報に開示されたイノベーション領域売上563,620千円をそのまま売上の起点とする。個別契約数と平均契約額は開示されていないため、年間40件、1件約1,409万円に換算した推定であり、販売契約の実数ではない。2026年上期の同領域は212,795千円で前年同期比約24%減少しており、数量拡大を当然視しない。AIエージェント代替の分類は人月・工数型であり、中立の2035年の案件換算数量を2025年の0.65倍、単価を1.19倍とする。会社はAIエージェント関連研究を説明しているが、独立した自社AIエージェント商品の受注・売上金額は確認できないため、楽観でも元の40件を超えて伸ばさない。営業損失0.282億円は未開示の費用配賦についての仮定である。
イベント制作・実地運営
2026年に取得したポマト・プロとカクタスが担うイベント企画、実地運営、空間演出。会場設営や運営そのものはAIで代替されにくいが、企画書や映像制作の工数には代替リスクがある。
| 数量現場イベント・空間演出の年間標準案件数 | 価格標準案件1件当たり売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 0.12 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 115 | 0.16 | 18 | 2 |
取り方:ポマト・プロとカクタスの取得は2026年であり、2025年の連結売上は0とする。表示した0.12億円は2026年以降のモデル用標準案件単価で、2025年の実績単価ではない。取得先別の年間売上・件数・単価が公表されていないため、2026年の通年換算を100件×1,200万円=12億円と仮定した。会社の2026年売上計画53億円と2025年実績33億円の差20億円の一部を買収先の売上寄与が埋めるという整合性の確認に用いるが、会社計画の内訳ではない。日本イベント産業振興協会の2024年イベント関連市場9,797億円に対する約0.12%という比率は、定義が異なる参考推計である。イベント案件の70%を現場型、30%を制作工数型とみる。中立では現場型の件数が伸びる一方、制作工数型はAIエージェント代替で10年間の数量0.65倍になるとし、加重した案件数を115件とする。
ゲーム・映像・CG制作
2026年に取得した魔法などが担うゲーム向け映像やCG、演出システムの企画・制作。顧客案件ごとの制作工数が主要な価値の源泉で、生成AIによる制作工程の短縮を受ける。
| 数量年間ゲーム・映像制作の標準受託案件数 | 価格標準制作案件1件当たり売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 0.12 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 26.0 | 0.14 | 4 | 0 |
取り方:魔法と関連会社ペガサスは2026年6月に取得したため、2025年連結売上は0とする。取得先の年間案件数と売上は非開示である。2026年以降の通年換算として40件×標準単価1,200万円=4.8億円を仮定し、イベントの12億円と合わせて買収による事業規模増加を独立して評価する。取得代金から売上を逆算した数字ではなく、検証を要するモデル上の仮定である。AIエージェント代替の分類は制作・受託工数型であり、中立では案件換算数量を40件から26件へ0.65倍、単価を1.20倍とする。AIを活用した制作効率化が利益になるか、顧客への値下げになるかは未確認なので、楽観側でも元の40件を上限とする。
その他・賃貸等収益
主力サービス外の賃貸等収益。事業の成長を左右する規模ではなく、保守的に小額の収益を見込む。
| 数量年間収益基盤一式 | 価格年間収益基盤一式当たり売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1.0 | 0.14 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1.0 | 0.17 | 0 | 0 |
取り方:2025年の収益認識注記にあるその他収益14,326千円を用いる。賃貸等の小額収益であるため、年間一式を1単位として扱い、将来の成長を積極的に見込まない。営業利益0.014億円は推定である。悲観の床には2026年6月末の純資産15.2386億円からのれん12.6462億円とその他無形資産1.3735億円を控除した実体純資産約1.22億円を参考にする。これは現預金、有価証券、売掛金等の回収価値から負債を差し引く考え方であり、のれんを売れる資産として二重計上しない。この約1.22億円は2026年6月末のストレス時の参考回収額である。今回の悲観の床は、基準時点の2025年12月末の純現金2.7億円とし、2026年の純負債化で既に資産価値が悪化した事実も別に明記する。いずれも確実な清算回収額を保証しない。
リスクと懸念
AIエージェント代替による受託数量の減少
企業向けAI共同研究やゲーム向け映像制作のように、人月や制作工数で売上が発生する部分は、AIエージェントの普及によって仕事量そのものが減る。会社自身もAIエージェントを研究しているが、独立した商品の売上・受注額は確認できない。AI市場が大きくなるという理由だけで、従来の受託売上が増えるとは考えない。
連続買収による資本効率低下
2026年の複数企業の取得で、イベント、空間演出、ゲーム制作へ事業が広がった。しかし、取得価格、追加費用、のれん償却、運転資金を含めた株主利益への貢献はまだ検証できない。調整後EBITDAの改善が会計上の利益や営業現金創出につながらなければ、買収を繰り返すほど既存株主の価値が損なわれる。
運転資金流出と借入・希薄化
2026年上期の営業キャッシュフローは4.77億円の流出となり、2026年6月末には純負債約6.16億円へ転じた。さらに7月に運転資金目的の変動金利借入を実行している。設備更新や買収で資金が必要な時に営業現金が不足すれば、借入条件の悪化や増資による既存株主持分の希薄化につながる。
広告媒体ネットワークの縮小
FOCUS CHANNELの設置規模について、会社資料には450棟、2026年9月の媒体公式サイトには約400棟と記載されている。集計方法や更新時点の違いは確認が必要だが、契約の更新と媒体網の拡大が続いていると断定できない。媒体網が縮小すれば広告枠数だけでなく、広告主に提供する到達人数の価値も下がる。
サイネージ機器の競争と値下げ
LED表示機器や画像認識機能は、一般的な部品や汎用AIを組み合わせれば他社も提供できる。顧客が機器の機能より導入総額と保守費を重視すれば、価格競争が厳しくなる。物価によって施工費や人件費が上がっても販売価格を引き上げられなければ、売上の拡大が営業利益の増加につながらない。
イベント・ゲーム事業の需要変動
イベントの開催には実際の人手と現場が必要だが、広告宣伝費や企業の販促予算が削減されると受注が減る。ゲーム向け映像制作は作品の発売予定、顧客企業の開発予算、外注方針に左右される。買収後の事業分散が進んでも、固定費を抱えた複数の会社が同時に減収となれば、本社費と借入負担が利益を圧迫する。
のれん減損と株主に残る資産の薄さ
2026年6月末の連結純資産約15.24億円の大部分は、のれんとその他無形資産を除くと残らない。買収先の収益計画が未達となれば、減損によって会計上の自己資本が大きく減る可能性がある。株価が純資産に近づいたとしても、純資産の中身を確認せずに割安と判断することはできない。
今後の分かれ目
- 2026年通期の売上53億円と調整後EBITDA4億円を達成し、同時に営業利益と営業キャッシュフローも通期で黒字になったら
- 買収先の売上寄与が利益と現金に結び付いた初期証拠になる。やや楽観の実現可能性を高めるが、一過性の季節要因と買収費用の計上時期を除き、翌期も継続するか確認する。
- 買収子会社ごとの営業利益、営業現金創出、取得時の投下資本が開示され、増分ROICが9%を継続的に超えたら
- 資本配分の評価を改善し、中立の利益率と将来の再投資価値を上方修正する。調整後EBITDAだけの改善では同じ判断をしない。
- FOCUS CHANNELの設置棟数、広告掲載枠稼働率、実現単価、継続出稿率が継続的に上昇したら
- 自社媒体の堀が強まった根拠として数量と価格の見通しを改善する。特に2026年時点で確認された約400棟と過去資料の450棟の違いを解消し、純増を確認する。
- AI共同研究の売上減少が続き、ゲーム・映像制作でも外注案件数と契約単価が下がったら
- AIエージェント代替の速度が中立を上回ったと判断し、やや悲観側の事業数量に修正する。汎用AIの利用件数ではなく、同社が請求できる案件と利益を追う。
- 営業キャッシュフローの流出が継続し、有利子負債が増える一方で新株発行が発表されたら
- 財務再建の筋書きに重点を移す。発行価格、発行株数、払い込みで増える現金を確認し、既存株主の取り分の減少を明示的に反映する。
- イベント制作の現場案件が増加し、ゲーム制作でもAI活用による粗利益率の改善が確認されたら
- 現場型と制作工数型を分けて収益見通しを引き上げる。受注増だけでなく、労務費、外注費、本社共通費を引いた営業利益の改善が条件となる。
- 大規模なのれん減損、借入条件の変更、継続企業の前提に関する注記、または正式なTOB・MBOが発表されたら
- 従来の独立企業としての10年評価を再検証する。減損や資金繰り悪化では回収価値を下方修正し、正式な上場廃止予定が生じた場合は通常の長期価値分析の対象から外す。
見ておくもの
- 2026年12月期の売上53億円、M&A関連費用を除くEBITDA4億円と、実際の営業利益・営業キャッシュフローの差
- コアサービス領域とイノベーション領域の四半期売上推移、および受託AI開発の案件数
- FOCUS CHANNELの設置マンション棟数、広告枠稼働率、実現単価、広告主の継続出稿率
- LED機器・AIカメラの年間新設件数、更新件数、施工原価、運用保守契約数
- ポマト・プロ、カクタス、魔法の買収後売上、営業利益、営業キャッシュフローと取得価格の回収状況
- 営業キャッシュフロー、現預金残高、有利子負債、借入金利と返済予定
- のれん残高、償却費、減損損失、買収先の追加取得対価やアドバイザー費用
- 発行済株式数と新株予約権、創業者・共同保有者の持分、配当・自社株買いの実績
倍率と資本コストの決め方
将来の売上は、2025年の実績を起点に機器・現場AI、広告媒体、受託AI開発へ分け、2026年に買収したイベント・ゲーム関連事業を追加して積み上げた。実数が非開示の標準案件数はモデル上の仮定であることを明示した。数量には物価を含めず、価格に名目上昇を反映した。物価年3%、長期国債3%、ドル円150円という共通前提を用い、機器の価格転嫁不足や制作工数の縮小をそれぞれ別の要因として扱う。
倍率は現在や過去の株価、市場PER・PBR、同業の評価倍率を使わず、資本コスト9%と2035年時点のROEから求めた。楽観とやや楽観は増分資本利益率を使う正当化PERの上限、中立はROEが資本コスト以下のため1÷kを採用した。10年後以降のAI代替はg_long=1%に反映し、資本コストの寿命調整には重ねていない。悲観側は赤字のためPBRと回収可能な資産から考え、のれんとその他無形資産約14.02億円を売却可能な資産に数えない。基準期2025年末の純現金2.7億円を最低限の参考床とするが、2026年6月末には純負債化し実体純資産は約1.22億円まで減っているため、清算時の現金回収額を保証するものではない。
各筋書きの時価総額と10年間の株主還元を、資本コスト9%で割り引いた単純計算の加重価値は約14.67億円となる。基準時価総額31.80億円との差は約マイナス53.9%である。2025年の株数には実施済み増資による希薄化を反映済みとし、将来の未決定の増資を機械的には二重計上していない。新リース会計基準の適用で貸借対照表の表示が変わる可能性はあるが、将来の利益は現行の費用負担と比較可能な形で評価した。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 0.5%。基準7.5%に、過去の利益変動と値決め力による品質調整1.0%、現在の資金創出力の弱さによる事業傾斜上乗せ0.5%を加え、資本コストを9.0%とする。株価のβと企業規模による調整は用いない。