結論
日本システム技術は、企業向け受託開発に加え、大学の学務基幹システム「GAKUEN」と医療保険者向け「JMICS」を持つ独立系IT企業である。筆者の結論は割高だ。大学の学生記録と医療のレセプトには簡単に移せない価値があるが、売上の過半を占める工数商売にはAIエージェントが直接入り込む。
この十年の業績は立派だ。売上は約3倍、営業利益はほぼ10倍に増え、直近の営業利益率は12%に達した。自己資本は厚く、純現金は約88億円ある。長く付き合う顧客と自社製品を持ち、受託しかできない会社よりはるかに強い。ただし、過去の人月単価上昇と技術者増員が、次の十年も同じように通用するとは考えない。
会社は2029年3月期に売上450億円、営業利益59億円、ROE20%を掲げる。さらに2035年には売上1,000億円を目指す。その志は評価するが、工数から再利用可能な製品に移る計画は、現時点では成果と目標の差が大きい。教育・医療の顧客基盤を守れたとしても、受託の数量減を売上全体で埋め切れるかは別問題である。
中立では2036年の売上は現在とほぼ変わらず、利益率はやや薄まる。将来の還元も足して現在価値に直した本質価値は、現在の約460億円をおよそ46%下回る。これは製品の優秀さを否定する判断ではない。予測しにくい受託業務まで、従来と同じ寿命で買わないという長期株主の規律である。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主にとって、いちばん確かな資産は現金そのものよりも、顧客が簡単に切り替えられない業務の根に入り込んだ仕組みだ。学籍、成績、保険請求の点検は、人がパソコンの画面を操作しなくなっても消えない。GAKUENとJMICSはその条件に近い。大学と保険者は慎重にシステムを選ぶため、新規採用まで時間がかかるが、一度入れば継続の理由も強い。
ただし、継続売上と自由に使える現金は同じではない。基幹システムは法改正への対応、情報漏えい防止、新世代のクラウド移行に絶えず投資が要る。研究開発を止めれば競合との距離は縮まる。さらに受託の工数がAIで圧縮されると、遊休の技術者を抱えることになり、会社全体の資本効率も落ちる。将来の利益を予測しやすいのはブランド部門であり、全社ではない。
経営に求めたいのは、技術者の人数を追うことではなく、稼いだ資金を繰り返し販売できる基盤へ移すことだ。会社が示す投資と還元の数字は前進であり、2026年に実行した自社株買いも評価できる。しかし、2035年の売上高1,000億円という目標まで買い取るわけにはいかない。魅力的な製品を抱えた会社であっても、見込み違いに耐えられる価格でなければ安全域はない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、受託開発と自社ブランドに二分される。通信、金融、製造、流通の企業に向けてシステムを作り、運用を請け負う仕事が量の土台だ。NTTドコモソリューションズは2026年3月期売上の12.3%を占め、TISも大口顧客に入る。SAPやSalesforceの導入支援、東南アジアでのERP事業も抱え、人材の稼働率と案件採算に利益が左右される。
会社は従来の四つの報告セグメントを、教育、健康医療、DX&SIの三領域へ組み替える方針を示した。新しい管理区分では、DX&SIの内訳を受託開発、オファリング、継続収益に分けている。オファリングとは、顧客ごとに一から作る代わりに、自社でためた業務部品を何社にも繰り返し提供する仕事である。まだ小さく、現状の人月依存を完全に変えたわけではない。
教育の主役は「GAKUEN」だ。大学の入試、履修、成績、学費、卒業までを扱い、「UNIVERSAL PASSPORT」が学生と教職員の窓口になる。2026年3月末の有効顧客は224校で、過去の累計導入455校とは異なる。東北大学では導入まで一年以上かかり、学務システムの記録と他システムをつなぐ役割まで担う。大学にとって単なる画面ではなく、学校運営の基盤だ。
健康医療では「JMICS」がレセプトを点検し、「iBss」が保険者業務を支える。蓄積したレセプトや健診データを使う分析サービスもあり、薬剤師などの専門家による実務も含む。金融機関向け「BankNeo」は65先に導入されているが、製品単独の売上は公開されていない。医療では2024年にケーシップを傘下に収め、データと実務代行を組み合わせる範囲を広げた。
優良さと弱いところ
この会社の堀、つまり他社へ簡単には移せない強みは、受託開発の技術者の人数ではない。大学の学籍や履修、保険者のレセプトという、利用者が毎日更新する重要記録の中にある。GAKUENは大学約821校のうち224校で稼働し、会社調べで27.3%の首位シェアを握る。JMICSも保険者市場の26.3%を確保している。取引の長さと業務の複雑さは、乗り換える側の負担を大きくする。
強みは実際の収益性にも表れた。旧報告区分のパッケージは2026年3月期に約33%の営業利益率を稼ぎ、新管理区分の教育と健康医療も高採算である。全社ROEは直近で15.7%、会社の開示するROICも18%水準に達した。2006年の教育事業買収や、その後の自社製品への投資が、長い時間をかけて利益を生む基盤になった。
しかし、堀を全社へ広げてはいけない。受託の人月は競争にさらされ、技術者不足による値上げが続いても顧客の購買数量そのものが減りうる。GAKUENの個別契約に毎年いくらの値上げを通したかという実績や、年次解約率は公表されていない。シェアの強さだけで強い価格支配力まで認めるのは早い。
財務は有利子負債を十分に上回る現金を持つ反面、東京本社移転に伴う固定費と新リース会計での負債計上を見落とせない。堀が広がるかを測る物差しは、今後、受託の技術者数より、学務の有効顧客と保険者の取引定着、そして両事業の顧客当たり粗利益になる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内ITサービス市場はIDC Japanの推計で2025年に約7.5兆円あり、2030年までは名目年6%程度の成長が見込まれる。基幹システムの刷新、セキュリティ、企業のデータ活用は続く。人材不足で開発単価も上がりやすい。しかし市場全体の支出増と、個々のSI会社が請求できる人月の増加は別である。AIエージェントによる開発・テスト・運用の自動化が進むほど、案件数が増えても請求工数は減りうる。
日本システム技術の受託開発は約183億円で、市場7.5兆円に対して単純比較で約0.24%と小さい。NTTデータ、富士通、日立、NEC、野村総合研究所、TISなどの大手に加え、多数の中堅が競う。顧客内製化や海外ソフトウェア企業の生成AI機能も相手になる。大手の同一定義でのシェアは資料から確定できず、金額を無理に割り振らない。
対照的に大学の学務システム市場は顧客数の上限が見えている。会社調べの821大学に対してGAKUENは27.3%、競合の匿名A社は19.7%、B社は7.1%、C社は6.3%、D社は5.6%だ。競合の具体名は会社が伏せており、この順位を富士通やNECに勝手に結び付けない。大学向け教務システムの市場規模は会社資料で約244億円で、関連する教育ICTまで広げれば約603億円となる。ただし少子化による大学再編は、導入校数を押し下げる。
医療では保険者向けレセプト点検市場が約48億円、データヘルスやデータ利用を含む広い市場が約773億円と会社は示す。JMICSは422保険者で26.3%、BankNeoは金融機関の12.5%を占める。医療データの競合にはJMDCやデータホライゾン、保険者向けシステムの大手があり、同一定義での競合シェアは未開示だ。法令やプライバシー保護は参入障壁でもあり、データ利用を制約する規制にもなる。
資本政策と M&A
資本配分は改善してきた。2006年のアルファコンピュータ買収は教育の裾野を広げ、2024年のケーシップ取得は医療保険者の業務支援を補った。一方、2018年に買収したVirtual Calibreを含む旧グローバル事業は直近で営業赤字が続く。買収した技術者の売上を増やすだけでは、投じた資本に十分な利益が戻らないことを示している。
2026年5月に発表した三カ年計画は明確だ。2029年3月期に売上450億円、営業利益59億円、ROE20%以上を目標とする。三年間の成長投資85億円、株主還元50億円以上を掲げ、配当性向50%、総還元性向50%以上、DOE10%を目指す。自社株取得は10億円以上の継続をうたい、2026年6月には上限25億円の新しい取得枠を決めた。9月末までの実際の取得は約6.7億円である。
現時点の純現金約88億円から、会社が必要とする売上の2.5〜3カ月分の運転資金を除き、事業外で使える部分を約15億円とみる。利益を生む教育・医療への研究開発を優先し、条件の悪い海外買収には厳しい採算管理が必要だ。株主優待のQUOカードとカタログギフトも株主への現物還元で、対象株主数が未開示のため年間約0.08億円の費用と推定し、十年分を還元に含めた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
大学業務と医療保険の基幹記録は、画面がAIに置き換わっても残る。東北大学での導入は準備から稼働まで一年以上を要した。学生の情報を卒業まで管理する学務システムは、安く作れるだけの新興サービスが短期間で奪える仕事ではない。医療でもJMICSは保険者のレセプト点検に入り込み、匿名加工データの蓄積と実務支援を組み合わせる。双方の顧客シェアは四分の一を超え、会社の自社製品事業は利益率が高い。
顧客は少子化や保険者再編で減るとしても、保守、法令対応、データ連携は続く。教育・医療の追加サービスを既存顧客へ販売する方が、新しい顧客を一から取るより資本効率が高い。人月型の受託も、企業の責任を引き受ける上流工程や複雑な移行には需要がある。AIを人件費削減の道具にできれば、人員が減っても利益を残せる。
過去の改善は絵に描いた餅ではない。会社は十年前から営業利益率を大きく引き上げ、純現金を積み上げてきた。2026年には大型の自社株買い枠も決め、配当性向50%へ踏み出した。高収益の学務・医療を守り、資本コストより高い利回りで投資できれば、今の価格が強気の見方だけで成り立っているとは言い切れない。
慎重な見方
同社の収益の弱点は、成長の数字を一番大きく作ってきた受託開発の売り方にある。2026年時点で受託開発・DX支援は183億円の売上を占める。会社自身が中期計画で人月積み上げからの転換を掲げるのは、今の仕組みの限界を認めたからだ。AIエージェントは開発、試験、保守の工数を圧縮し、単価が物価並みに上がっても請求できる数量を失わせる。
代わりのオファリング売上は現時点で7.3億円に過ぎない。2029年に45億円という目標は大胆だが、AIエージェントを独立した製品としていくら売れているかは確認できない。計画をそのまま十年の収益へ延ばすのは危険だ。旧グローバル事業が赤字に沈んだ事実も、買収によって技術者と売上を増やせば株主の取り分が増えるとは限らないと教える。
GAKUENとJMICSの堀は認めるが、大学と保険者の顧客数には上限があり、人口構造や制度変更の影響を受ける。価格改定率と解約率の長期データも公開されていない。現在の自己資本168億円と純現金88億円は守りになる一方、AIの影響が長引けば利益を生まない資本が積み上がる。現時価総額には、事業を見誤った時に耐える余裕が乏しい。
どちらに重みを置いたか
学務・医療の顧客基盤では強い見方に分がある。だが全社では、人月型の売上が過半を占め、オファリング転換の実績が計画にまだ遠い。現時点で有償のAIエージェント製品の売上額を確認できないため、慎重な見方の重みが勝る。やや悲観と悲観を合計40%、上側を27%としたのはこの会社固有の事業構成のためであり、AIの怖さを資本コストへ二重に加算してはいない。価値の約46%の不足はこの差を映す。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,610 円394 億円(+ 還元の換算額還元の合計 515 円126 億円)。 今の値に割り戻すと 1,162 円284 億円、今との差 −32.1%、 期待の年率 +2.5%(資本コスト 7.2%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 3,243 円793 億円 | 797 円195 億円 | +136.1% | +10.3% | 323 円79 億円 |
| やや楽観 | 19% | 2,643 円647 億円 | 715 円175 億円 | +96.3% | +8.0% | 638 円156 億円 |
| 中立 | 33% | 1,981 円485 億円 | 593 円145 億円 | +50.4% | +4.8% | 849 円208 億円 |
| やや悲観 | 25% | 617 円151 億円 | 368 円90 億円 | −42.4% | −6.4% | 246 円60 億円 |
| 悲観 | 15% | 266 円65 億円 | 184 円45 億円 | −73.7% | −14.7% | 67 円17 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,610 円394 億円 | 515 円126 億円 | +24.2% | +2.5% | 2,125 円520 億円 |
今の株価時価総額 1,711 円419 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 自社ブランドを守り受託を高付加価値化 利益 47 億円 · PER 14.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,243 円793 億円
GAKUENは東北大学で示したような標準化された導入を他大学にも広げ、既存224校を守り続ける。JMICSも422保険者を維持し、医療データと保険者業務の追加契約が定着する。顧客数を大きく増やさなくても、提供範囲が広がることで両部門は物価上昇に見合う価格を取りやすい。学務と診療報酬の法令・業務知識が製品に積み重なり、堀はむしろ深まる。
企業向けSIもAIエージェントを内製の生産性改善に使い、受託数量の減少を小さくとどめる。技術者をただ貸すのではなく、上流の設計や移行責任を引き受けることで大口顧客からの契約を維持する。再利用可能なオファリングの採算も改善するが、AIエージェント製品の独立した売上実績が確認できないため、案件数が今以上に膨らむことまでは前提にしない。
海外事業の赤字処理と共通管理部門の集約が進み、営業利益率は現在より上がる。営業利益は約66億円、純利益は約47億円に届き、株主還元も積み上がる。これでも十年後の利益を完全に読めるわけではないが、自社ブランドの利益を守ってAI時代を越えた姿である。
- 受託開発・DX支援(海外ERP等を含む):数量 1,020(請求可能な技術者稼働量(人年相当))× 価格 0.23(稼働1人年あたり契約売上(億円、名目))→ 売上 239 億円・営業利益 31 億円。請求可能稼働は現在1,046人年から1,020人年へ。AIエージェント代替を数量の減少、実質価格競争を名目単価に反映。
- 業務別オファリング:数量 100(標準化ソリューション提供案件(件相当))× 価格 0.10(一案件あたり年換算売上(億円、名目))→ 売上 10 億円・営業利益 3 億円。会社が掲げる2029年45億円は約束された受注ではない。新たなAIエージェント製品の契約額未確認のため案件数の増加を織り込まず。
- 業務運用・リカーリング:数量 640(継続課金契約の年換算契約口数(口相当、推定))× 価格 0.05(契約一口当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 29 億円・営業利益 8 億円。BankNeoなどの記録の正本の部分と、画面・席課金に近い契約が混在。中立はAIエージェント代替を数量と価格に反映。
- 教育・大学基幹GAKUEN:数量 224(稼働中の大学基幹契約校数(周辺教育売上も校数で換算))× 価格 0.46(稼働一校当たり教育事業の年換算売上(億円、名目))→ 売上 103 億円・営業利益 34 億円。大学の有効稼働224校からの動き。累計導入455校は使わず、標準製品の移行負荷を根拠に基幹の定着を評価。
- 健康医療・JMICS・医療データ:数量 422(JMICS稼働保険者数(周辺データ業務も取引先換算))× 価格 0.11(稼働保険者一者当たり医療事業の年換算売上(億円、名目))→ 売上 47 億円・営業利益 14 億円。JMICS有効契約422保険者からの動き。個人情報保護とBPO自動化を考慮しつつ、レセプト記録の必需性を評価。
倍率:事業純利益47.20億円から余剰現金15億円の税後年利0.21億円を除き、事業自己資本320億円に対するROEは約14.7%。堀は全社では通常で残存率1/2、RONIC約10.97%。資本コスト7.25%とAI後の長期名目成長率1%から正当化PER14.54倍。事業純利益×PERと戻る現金15億円の合計であり、市場の倍率は使用しない。
確率:AIの開発工数減少が限定的で、学校・保険者の解約を抑え、会社の内部改革も実現する強い場合。ただし未開示のAI製品売上を前提に数量は増やさない。
やや楽観 19% 基幹の粘りとSI単価上昇が残る 利益 38 億円 · PER 14.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,643 円647 億円
大学の基幹システムは学生の履修、学費、卒業と密接に結び付いており、すぐには他社へ移らない。GAKUENの稼働校は220校程度、JMICSの保険者は415程度で推移し、解約による減少は小さい。値上げは大半が物価分にとどまるが、顧客の利用業務が広がって教育と医療の利益率は維持される。
受託開発ではAIエージェントが一部の設計、製造、試験を置き換えるため、人年換算の仕事量は約二割減る。それでも大企業の複雑な更新案件や監査への説明責任は残る。NTTドコモソリューションズやTISとの関係を維持し、単価の名目上昇によって売上減を吸収する。グローバルの不採算案件は絞られ、海外買収の経験を繰り返さない。
会社計画にあるオファリングの急拡大は実現しないが、既存製品と保守契約が利益の落ち込みを緩和する。十年後の営業利益は約53億円、純利益は約38億円となり、今より稼ぐ会社であり続ける。実現性はブランド顧客の定着と、受託の価格交渉力にかかる。
- 受託開発・DX支援(海外ERP等を含む):数量 860(請求可能な技術者稼働量(人年相当))× 価格 0.23(稼働1人年あたり契約売上(億円、名目))→ 売上 202 億円・営業利益 23 億円。請求可能稼働は現在1,046人年から860人年へ。AIエージェント代替を数量の減少、実質価格競争を名目単価に反映。
- 業務別オファリング:数量 95.0(標準化ソリューション提供案件(件相当))× 価格 0.09(一案件あたり年換算売上(億円、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 3 億円。会社が掲げる2029年45億円は約束された受注ではない。新たなAIエージェント製品の契約額未確認のため案件数の増加を織り込まず。
- 業務運用・リカーリング:数量 610(継続課金契約の年換算契約口数(口相当、推定))× 価格 0.04(契約一口当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 25 億円・営業利益 7 億円。BankNeoなどの記録の正本の部分と、画面・席課金に近い契約が混在。中立はAIエージェント代替を数量と価格に反映。
- 教育・大学基幹GAKUEN:数量 220(稼働中の大学基幹契約校数(周辺教育売上も校数で換算))× 価格 0.45(稼働一校当たり教育事業の年換算売上(億円、名目))→ 売上 100 億円・営業利益 32 億円。大学の有効稼働224校からの動き。累計導入455校は使わず、標準製品の移行負荷を根拠に基幹の定着を評価。
- 健康医療・JMICS・医療データ:数量 415(JMICS稼働保険者数(周辺データ業務も取引先換算))× 価格 0.11(稼働保険者一者当たり医療事業の年換算売上(億円、名目))→ 売上 45 億円・営業利益 13 億円。JMICS有効契約422保険者からの動き。個人情報保護とBPO自動化を考慮しつつ、レセプト記録の必需性を評価。
倍率:純利益37.65億円から現金利息0.21億円を外し、事業自己資本295億円のROEは約12.7%。残る割合1/2、RONIC約9.97%、k7.25%、長期g1%からPER14.40倍。余剰現金15億円を別に足し、上限を恣意的に切り下げていない。
確率:学務・医療の切替コストが需要を守り、受託量の減少は二割弱で止まる見方。2018年買収先の不採算整理にも成功する必要がある。
中立 33% AIで受託数量が細るが基幹は残る 利益 27 億円 · PER 14.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,981 円485 億円
企業のIT投資総額は増え続けるが、同社が請求できる開発工数は別の道をたどる。AIエージェントが設計書作成、コード生成、テスト、監視のかなりの部分を肩代わりし、人年換算の受託数量は現在の約65%に減る。開発単価は物価に沿って上がっても、売上の数量減を打ち消せない。会社が掲げるオファリング転換は進むが、新しい商売が受託の穴を完全に埋めるだけの実績には達しない。
GAKUENの有効大学は210校、JMICSの保険者は400先前後で残る。少子化と保険者の統合で顧客母数が縮む一方、学務・レセプトの中核記録はAIの上にも必要だ。両部門の単価は約三割高くなり、ブランドの利益が受託の弱さを補う。BankNeoなどの席・画面中心の仕事では値下げ圧力が残り、海外事業には慎重な規模の維持を求める。
売上は約323億円、営業利益は約37億円で、見かけ上は安定する。それでも自己資本は還元後も積み上がり、ROEは約9%まで下がる。事業が持つ値決め力を認めても、以前と同じ再投資利回りが続く会社ではなくなる。
- 受託開発・DX支援(海外ERP等を含む):数量 680(請求可能な技術者稼働量(人年相当))× 価格 0.23(稼働1人年あたり契約売上(億円、名目))→ 売上 158 億円・営業利益 16 億円。請求可能稼働は現在1,046人年から680人年へ。AIエージェント代替を数量の減少、実質価格競争を名目単価に反映。
- 業務別オファリング:数量 80.0(標準化ソリューション提供案件(件相当))× 価格 0.09(一案件あたり年換算売上(億円、名目))→ 売上 8 億円・営業利益 2 億円。会社が掲げる2029年45億円は約束された受注ではない。新たなAIエージェント製品の契約額未確認のため案件数の増加を織り込まず。
- 業務運用・リカーリング:数量 535(継続課金契約の年換算契約口数(口相当、推定))× 価格 0.04(契約一口当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 21 億円・営業利益 5 億円。BankNeoなどの記録の正本の部分と、画面・席課金に近い契約が混在。中立はAIエージェント代替を数量と価格に反映。
- 教育・大学基幹GAKUEN:数量 210(稼働中の大学基幹契約校数(周辺教育売上も校数で換算))× 価格 0.44(稼働一校当たり教育事業の年換算売上(億円、名目))→ 売上 93 億円・営業利益 28 億円。大学の有効稼働224校からの動き。累計導入455校は使わず、標準製品の移行負荷を根拠に基幹の定着を評価。
- 健康医療・JMICS・医療データ:数量 400(JMICS稼働保険者数(周辺データ業務も取引先換算))× 価格 0.11(稼働保険者一者当たり医療事業の年換算売上(億円、名目))→ 売上 43 億円・営業利益 12 億円。JMICS有効契約422保険者からの動き。個人情報保護とBPO自動化を考慮しつつ、レセプト記録の必需性を評価。
倍率:純利益26.70億円から余剰現金の税後利息0.21億円を外すと事業純利益26.49億円。事業自己資本274億円に対するROE9.67%、半減後のRONIC8.46%。k7.25%、AI後のg_long1%で正当化PER14.11倍。利益×PERに現金15億円を加え、現状の市場PERや同業倍率を参照していない。
確率:下に寄せる理由:受託開発の売上が過半を占め、AIエージェントを対価のある独立製品として販売した金額は未確認で、オファリングも現時点で7.3億円と小さい。このため下側40%が上側27%を上回る。売上の過半が人月型であるという事実を中心に、受託0.65倍、オファリング0.80倍、リカーリング0.82倍を標準とした。教育・医療は基幹記録の証拠があるので0.94〜0.95倍とする。
やや悲観 25% 開発内製化と基幹の顧客減少 利益 8 億円 · PER 10.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 617 円151 億円
生成AIで高品質なコードと業務画面が安価に手に入り、顧客企業が標準ソフトと内製開発へ移る。受託開発の稼働人年は現在の約55%になり、単価の伸びも人件費と競争で抑えられる。大手のNTTデータ、富士通、TISなどがAI対応を加速させ、下請けに残る工数はさらに細る。会社が目指すオファリングの売上転換は立ち上がりが遅く、売上規模は維持できない。
教育では大学の統廃合と学務クラウドの競争が重なり、稼働校は180校へ減る。保険者も合併や共同利用の効率化が進み、JMICSの有効契約は350先まで減少する。独自データや法令対応は残るので、ブランド事業が全滅するわけではないが、従来の利益率を守るほどの価格支配力は発揮できない。
東京本社の賃借料と基幹人材の固定費は売上に比例しては減らず、営業利益は約10億円に落ち込む。配当は利益に応じて縮み、自己資本は厚くても稼ぐ力は資本コストを下回る。受託から高付加価値への転換が、利益の減少を止められなかった十年だ。
- 受託開発・DX支援(海外ERP等を含む):数量 570(請求可能な技術者稼働量(人年相当))× 価格 0.21(稼働1人年あたり契約売上(億円、名目))→ 売上 120 億円・営業利益 7 億円。請求可能稼働は現在1,046人年から570人年へ。AIエージェント代替を数量の減少、実質価格競争を名目単価に反映。
- 業務別オファリング:数量 65.0(標準化ソリューション提供案件(件相当))× 価格 0.08(一案件あたり年換算売上(億円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。会社が掲げる2029年45億円は約束された受注ではない。新たなAIエージェント製品の契約額未確認のため案件数の増加を織り込まず。
- 業務運用・リカーリング:数量 460(継続課金契約の年換算契約口数(口相当、推定))× 価格 0.04(契約一口当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 17 億円・営業利益 4 億円。BankNeoなどの記録の正本の部分と、画面・席課金に近い契約が混在。中立はAIエージェント代替を数量と価格に反映。
- 教育・大学基幹GAKUEN:数量 180(稼働中の大学基幹契約校数(周辺教育売上も校数で換算))× 価格 0.40(稼働一校当たり教育事業の年換算売上(億円、名目))→ 売上 72 億円・営業利益 18 億円。大学の有効稼働224校からの動き。累計導入455校は使わず、標準製品の移行負荷を根拠に基幹の定着を評価。
- 健康医療・JMICS・医療データ:数量 350(JMICS稼働保険者数(周辺データ業務も取引先換算))× 価格 0.10(稼働保険者一者当たり医療事業の年換算売上(億円、名目))→ 売上 35 億円・営業利益 8 億円。JMICS有効契約422保険者からの動き。個人情報保護とBPO自動化を考慮しつつ、レセプト記録の必需性を評価。
倍率:AIと人口要因で事業ROEは3%台となり資本コスト7.25%に達しない。したがって正当化PERは最大1/k=13.79倍であり、さらに縮む収益基盤と顧客シェア低下を考慮してPER10.8倍の稼ぐ力でみる。事業純利益から余剰現金11.25億円の税後利息0.16億円を外し、現金の戻りを加える。歴史的なPBRの谷は使っていない。
確率:NTTドコモソリューションズなど大口発注者が工数を絞り、学校・保険者の統廃合も進む構造変化。中立より下だが破綻までは想定しない。
悲観 15% 人月崩壊と医療・大学シェア喪失 利益 −8 億円 · PBR 0.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 266 円65 億円
AIエージェントが企業向けソフトウェアの設計から運用まで担うようになり、人月での受託開発は構造的な敗者になる。稼働人年は現状の半分以下となり、大口顧客も内製や大手の共通基盤へ移る。受託単価は実質で下がり、過去に築いた人材と開発プロセスだけでは契約を守れない。海外拠点も不採算から抜けられず、固定費が重い。
大学では統廃合と海外製品の標準機能への移行が進み、GAKUENの稼働校は145まで落ちる。保険者の共同事務センター化でJMICSの契約は265まで減り、医療データの外部販売にも規制と代替技術が重なる。かつて収益性の高かった教育・医療でも、案件の設計と移行に費用がかかり、利益の額は維持できない。
売上は約173億円と現在のほぼ半分になり、営業損失が発生する。会社が残した資産はまだあるが、将来利益に価値を付けることは難しい。現金と売れる金融資産から継続に必要な資金を控除した回収可能価値が支えとなり、優良な成長株ではなく事業整理を問われる会社として扱われる。
- 受託開発・DX支援(海外ERP等を含む):数量 480(請求可能な技術者稼働量(人年相当))× 価格 0.17(稼働1人年あたり契約売上(億円、名目))→ 売上 84 億円・営業利益 3 億円。請求可能稼働は現在1,046人年から480人年へ。AIエージェント代替を数量の減少、実質価格競争を名目単価に反映。
- 業務別オファリング:数量 50.0(標準化ソリューション提供案件(件相当))× 価格 0.07(一案件あたり年換算売上(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。会社が掲げる2029年45億円は約束された受注ではない。新たなAIエージェント製品の契約額未確認のため案件数の増加を織り込まず。
- 業務運用・リカーリング:数量 350(継続課金契約の年換算契約口数(口相当、推定))× 価格 0.03(契約一口当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 12 億円・営業利益 2 億円。BankNeoなどの記録の正本の部分と、画面・席課金に近い契約が混在。中立はAIエージェント代替を数量と価格に反映。
- 教育・大学基幹GAKUEN:数量 145(稼働中の大学基幹契約校数(周辺教育売上も校数で換算))× 価格 0.34(稼働一校当たり教育事業の年換算売上(億円、名目))→ 売上 50 億円・営業利益 9 億円。大学の有効稼働224校からの動き。累計導入455校は使わず、標準製品の移行負荷を根拠に基幹の定着を評価。
- 健康医療・JMICS・医療データ:数量 265(JMICS稼働保険者数(周辺データ業務も取引先換算))× 価格 0.09(稼働保険者一者当たり医療事業の年換算売上(億円、名目))→ 売上 24 億円・営業利益 4 億円。JMICS有効契約422保険者からの動き。個人情報保護とBPO自動化を考慮しつつ、レセプト記録の必需性を評価。
倍率:純利益が赤字のためPERの永続式は使えない。今の自己資本167.5億円の約0.388倍に当たる65億円を、2036年の税後売却可能現金・有価証券から営業維持資金を控除した回収可能な床として採用した。将来の自己資本215億円に過去のPBRを掛けていない。のれん約1.6億円、繰延税金資産、退職給付資産は換金価値に入れない。
確率:開発・運用の標準化が受託とBPOを同時に代替し、大学・保険者の数も大きく減る複合負け筋。AI型事業の悲観で求められる現売上のほぼ半分を採用した。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
受託開発・DX支援(海外ERP等を含む)
通信・金融・製造・流通向けの個別開発、SAPやSalesforceの構築、海外子会社のERP導入支援。売上の過半を占め、人月・工数で稼ぐ部分が大きい。
| 数量請求可能な技術者稼働量(人年相当) | 価格稼働1人年あたり契約売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,046 | 0.17 | 183 | 22 |
| 10 年後 中立 | 680 | 0.23 | 158 | 16 |
取り方:2026年5月の中計p.34に示す新しい経営管理区分の受託開発・DX支援183.01億円、営業利益21.58億円を起点とした。連結従業員1,683人を参照し、JUASのソフトウェア・メトリクス調査2025にあるパッケージ利用開発の人月単価約144万円と近い約146万円を年12カ月換算して、請求稼働量を1,046人年相当と逆算した。下請けを含むため実際の在籍人数ではない。中立の680人年はAIエージェント代替で現在の0.65倍とし、価格は名目1.33倍にとどめた。
業務別オファリング
これまでの受託で作った業務部品・ノウハウを、複数顧客へ繰り返し売るソリューション。現段階では導入設計と個社対応の工数が大きい。
| 数量標準化ソリューション提供案件(件相当) | 価格一案件あたり年換算売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 0.07 | 7 | 2 |
| 10 年後 中立 | 80.0 | 0.09 | 8 | 2 |
取り方:中計p.34の既存オファリング売上7.30億円、営業利益2.20億円を採用した。受注件数の公表はないため、導入と保守を合わせた一案件の年換算売上730万円を仮定して100件とする。会社の2029年3月期売上目標45億円とは明確に区別した。AIエージェントの製品別売上の開示がないため、まだ人月依存型として中立件数を0.80倍、単価を1.30倍とし、新計画の達成を先取りしない。
業務運用・リカーリング
既存顧客向け運用支援、月額型ソフト利用、保守など。BankNeoの金融機関向け機能を含むが、同製品の売上額は個別非開示である。
| 数量継続課金契約の年換算契約口数(口相当、推定) | 価格契約一口当たり年間売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 650 | 0.03 | 23 | 6 |
| 10 年後 中立 | 535 | 0.04 | 21 | 5 |
取り方:中計p.34のDX&SI内リカーリング売上22.70億円、営業利益5.70億円から、年約349万円の契約を650口とする換算であり、公表実顧客数ではない。BankNeoは別途65金融機関、金融機関市場約520に対して12.5%の会社調べシェア。金融機関の重要記録と結び付く部分は残るが、全リカーリングを記録の正本とは認めず、席課金・画面操作型のAIエージェント代替に準じ、2036年中立は535口(0.82倍)、単価1.13倍。
教育・大学基幹GAKUEN
学籍・履修・成績・学費と学生ポータルを担うGAKUEN、周辺の大学DX、アルファコンピュータの教育事業を含む。
| 数量稼働中の大学基幹契約校数(周辺教育売上も校数で換算) | 価格稼働一校当たり教育事業の年換算売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 224 | 0.34 | 77 | 21 |
| 10 年後 中立 | 210 | 0.44 | 93 | 28 |
取り方:中計p.34の教育売上76.54億円、営業利益21.30億円を採用。GAKUENの有効顧客224校を数量の物差しとし、周辺教育商材と子会社売上を含めた換算単価は76.54÷224=0.34170億円。純粋なGAKUEN契約単価ではない。大学821校の27.3%が有効顧客で、455校は過去からの累積導入であり現在の有効顧客と混同しない。東北大学の移行は2023年5月から2024年9月までかかり、学籍から卒業までの基幹記録・他システムとのAPI連携を提供するという二つの堀の証拠があるため、この中核部分は「記録の正本」型と認める。ただし教育部門全体には受託工数が混ざるため、中立210校(0.94倍)、換算単価1.30倍に抑える。
健康医療・JMICS・医療データ
保険者のレセプト点検、医療費適正化、データヘルス、匿名加工した医療データの分析・利活用と保険者のBPO。
| 数量JMICS稼働保険者数(周辺データ業務も取引先換算) | 価格稼働保険者一者当たり医療事業の年換算売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 422 | 0.08 | 35 | 9 |
| 10 年後 中立 | 400 | 0.11 | 43 | 12 |
取り方:中計p.34の健康医療売上35.03億円、営業利益8.86億円、JMICSの有効顧客422保険者を用い、一者換算0.08301億円とした。別商材やデータ販売を含むのでJMICSのみの料金ではない。会社調べの対象約1,605保険者の26.3%を握り、医療サイトjmics.jpでは全国500超の取引実績と長年の大量レセプト・健診情報の蓄積を示す。保険者の点検業務という規制対応と独自データがある中核を「記録の正本」型とし、BPOの自動化を織り込んで中立400保険者(0.95倍)、名目単価1.30倍とする。
リスクと懸念
AIエージェント代替
売上の約56%を占める受託開発・DX支援は、案件に必要な技術者の工数がそのまま請求数量になる。設計書、コード、試験、一次運用をAIエージェントが代行すると、顧客のIT投資総額が増えても同社の契約人月が減る。中立の受託数量は0.65倍、オファリング0.80倍、席課金に近い継続収益0.82倍とした。長期成長率にも反映したが、資本コストの寿命には加算しない。
大学の統廃合と基幹システムの更新
GAKUENの27.3%シェアは強いが、母数の大学821校そのものが減りうる。統廃合では既存契約が一本化され、導入済みでも受注が自動的に続くわけではない。次のクラウド移行時に富士通などの競合へ切り替えられる可能性がある。年次解約率と単価改定率の開示がないため、顧客維持力は東北大学などの実例から推定するにとどまる。
医療データの規制と保険者の再編
レセプトと健診は個人情報の機微が強く、匿名加工や目的外利用を巡るルールが厳格化すればREZULTなどのデータ利活用が細る。保険者の統合や共同センター化も顧客数を減らす。逆に自動点検の標準化は既存のJMICSの単価を圧迫し、ケーシップのBPOをAIが代替する。シェア26.3%があることと料金を維持できることは別である。
大口顧客の契約集中
NTTドコモソリューションズ向けだけで直近売上の12.3%を占め、TISやホンダ系の顧客も大きい。発注者が生成AIを内製化して個別開発の外注を減らせば、単なる景気後退以上の影響がある。高稼働を前提に採用した技術者が余れば、固定の人件費はすぐ減らせない。
海外M&Aと資本配分の失敗
旧グローバル事業は2026年3月期に約4億円の営業赤字を計上した。今後の中計は成長投資85億円と借入れ活用を掲げ、事業買収の選択肢を広げている。教育・医療の強みと無関係な人員獲得型買収に資金が流れると、純現金の安全余裕とROICがともに傷む。
固定費・優待・リース負担
東京本社の新オフィスや海外拠点の費用は受託売上が落ちても消えない。2028年3月期から新リース基準で賃借の負債が見えるようになるが、家賃の支出は以前から存在する。優待も株主に対する還元であると同時に会社の現金費用なので、利益の縮小局面では持続性を確かめる必要がある。
今後の分かれ目
- GAKUENの有効稼働校が224校を超えて増え、解約率と価格改定率も会社が開示したら
- 教育事業を「記録の正本」と評価する根拠が強まり、大学数の筋書きを上方へ修正する。累積導入数ではなく、更新する有効顧客数を使う。
- JMICSの有効保険者数が中計目標562先へ近づき、データ利活用の継続単価が維持されたら
- 規制を超えた実需要が示される。健康医療の数量と値決め力を上向きに改めるが、BPO工数を伴う売上は別に見極める。
- オファリングの実売上が45億円へ伸び、有償AIエージェント製品の契約額が明示されたら
- 人月型から独立した製品への転換が実証される。AI代替による数量減の前提を該当製品に限って緩め、長期の成長率も見直す。
- 受託開発の売上が減らずに、稼働人月は減り、契約当たり粗利益が上がったら
- 成果物への値付け転換が起きている可能性がある。人員換算売上の低下を過度に悲観せず、残せる利益額を優先して評価する。
- Virtual Calibreを含む海外事業の赤字が拡大し、借入れを伴う新規買収が重なったら
- やや悲観の利益率を下げ、運転資金と余剰現金の見方を保守化する。買収額より買収後の営業利益とROICを優先して調べる。
- 2026年決議の上限25億円の自社株買いが実行されず、増配も止まったら
- 現金が少数株主に戻るという前提が弱まるため、余剰現金の戻り方を見直す。実行済みの買い付けを将来還元に再度算入しない。
- 基幹システムのAI連携で情報漏えいや重大障害が発生したら
- 法令対応と信頼という堀が急速に損なわれる。教育・医療の離反率と補償コストを見直し、悲観側の確率を高める。
見ておくもの
- 中計の新管理区分別、受託開発・DX支援183.01億円とオファリング7.30億円の実売上推移
- 有効GAKUEN稼働校224校と会社調べ大学市場シェア27.3%の動き
- JMICS稼働保険者422先と医療データ・BPO別の継続単価
- BankNeoの有効金融機関65先とリカーリング契約の解約率
- 新規契約の人月単価、開発生産性、保守の自動化率と粗利益
- 旧グローバル事業の営業損益、買収先ごとのROIC
- 2026年決議の上限25億円の自己株式取得と配当性向50%の実行
- 大学・保険者の統合、レセプトデータ利用規制と情報セキュリティ事故
倍率と資本コストの決め方
財務・株価・株数は添付factsを起点とし、2026年10月22日の株価1,880円と2026年8月末基準の自己株式控除後24,461,401株を使った。9月の追加自社株買いはこの基準に未反映だが、2026年8月までの実行分を十年間の還元に二重計上しない。新管理区分の実売上を案件数・稼働人年・有効大学・保険者数に結び付け、数量と名目単価を別に変化させた。中立の価格には物価3%をほぼ反映したが、人月と席課金はAIの影響に従って抑えた。倍率は現行PERや同業倍率から取らず、k7.25%、事業ROE、堀に応じたRONIC、AI後のg_long1%から正当化PERを算出し、楽観から中立はその上限とした。固定本社費は現在の約20.5億円から物価相当の27億円台へ増える想定で、今の償却費約3.6億円を機械的に物価連動させず、2036年は更新投資分を含め約5億円を営業費用に見込む。2028年3月期以降の新リース会計で貸借対照表の形が変わっても、ここでは家賃を営業費用に残した比較をしている。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3.0%+株式リスクプレミアム4.5%の基準7.5%から、純現金の厚さによる質の調整−0.25%を差し引いた。大口顧客やAIの固有リスクは数量と確率に入れ、上乗せしない。