結論
ミラティブは、ゲームを遊びながら配信し、視聴者とギフトを贈り合うコミュニティを運営する会社だ。筆者の判断は「やや割安」である。ただし、現在の利益がそのまま10年間伸びるという単純な成長株ではなく、独特のコミュニティが残り、稼いだ現金を株主のために使えるかを慎重に見極めたい会社だ。
最大の強みは、視聴者が配信者にもなることである。月間利用者の約3割が配信し、配信者同士が互いの配信を見てギフトを贈る。2025年12月時点の相互ギフト率は75.8%であり、単に人気配信者を外部から集めるサービスとは違う。配信者への現金還元が売上の約1割と低くても交流が成立するため、利用者が定着すれば高い利益率を得られる構造だ。
2025年12月期には売上高71.9億円、営業利益3.5億円となり、先行投資による赤字から黒字へ転換した。2026年上期も営業利益4.85億円と改善が続き、通期では11.09億円を見込む。もっとも、2025年の純利益7.4億円には繰延税金資産の計上効果が含まれるため、現在の純利益だけで稼ぐ力を評価してはいけない。
問題は収益の集中と寿命である。課金売上の9割以上が月額1万円超のロイヤルユーザーから生まれる。国内のゲーム人口が急拡大しないなか、YouTube、Twitch、TikTok LIVE、IRIAMなどとの競争を10年間勝ち抜かなければならない。加えて、新株予約権の潜在的な希薄化と、配当・自社株買いの実績がない点も長期株主には軽くない。
それでも、純現金約28億円があり、配信アプリの限界利益率は70%を超える。固定費を抑えながら利用者の課金を維持できれば、利益は売上より速く伸びる。今の時価総額約83億円には、事業の存続価値だけでなく、利益蓄積による株主価値の増加を評価する余地がある。ただし安全域は厚くなく、強い割安感を認めるには、課金者の継続率と現金の還元実績をもう少し確かめたい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ミラティブは小さいながらも興味深い経済圏を持つ会社である。多くの配信サービスでは、人気配信者に高い報酬を支払わなければ利用者を集められない。しかしミラティブでは、配信者自身が別の配信者の視聴者になり、収益化より交流を楽しむ文化がある。会社はその交流から生まれるデジタル消費の大部分を受け取る。この仕組みが続けば、少ない有形資産で現金を稼ぎ続けられる。
ただし、利用者が自発的に交流する文化を10年先まで予測することは難しい。現在の熱心な課金者が年齢を重ねても利用を続けるか、次の世代が同じアプリに入ってくるかは別問題だ。アプリの切り替え自体は容易であり、強いブランドや独占的な技術が顧客を拘束しているわけではない。相互ギフト率の高さは堀の証拠であると同時に、現在の熱心な利用者への依存を示している。
オーナー利益を考えると、2026年の営業利益改善は評価できる。特に決済手数料の低下は、売上を無理に増やさず利益を増やす改善だ。一方、配信体験を維持するためには、アバター、イベント、ライブゲーム、コミュニティ監視への継続投資が必要になる。今の限界利益率が高いからといって、増収分をすべて自由な現金と考えるべきではない。
資本の使い方にも厳しい条件を付けたい。事業の純現金は厚いが、経営は還元よりM&Aと新規事業を優先している。AIや配信支援サービスの買収で、既存のコミュニティから生まれた利益を消費する可能性がある。増分投資のROICが資本コストを上回る証拠がないなら、現金は低い値で評価する方が安全である。
現在の価格には長期投資家にとって一定の余地がある。しかし、強い堀を持つ成熟企業のように将来利益を高い確信で予測できる会社ではない。評価できるのは今の時価総額と純現金の関係、黒字化した本業の稼ぐ力、低い追加資本負担だ。今後数年にわたって課金者が定着し、利益が現金として残ることを確認できれば、長期保有に対する確信はさらに強まる。
何で稼ぐ会社か
ミラティブの収益は、ライブ配信アプリ「Mirrativ」で利用者が購入・消費する有償コインが中心である。2025年の連結売上高に占める割合は、エモモ・ランキング関連の課金が70.2%、ライブゲーミング関連が23.8%、広告が5.0%、その他が1.0%だった。会計上はミラティブ事業を中心とする単一セグメントだが、長期の稼ぐ力を考えるには、これらを分けて見る必要がある。
エモモは顔を出さずに配信できる3Dアバターだ。視聴者も自分のアバターで参加でき、コメント、ギフト、ランキングイベントを通じて交流する。ギフトは単なる投げ銭ではなく、利用者同士の関係を維持するための消費でもある。2025年の月間課金ユーザーは約3.1万人、月間平均課金額は1万8,247円だった。
ライブゲーミングでは、配信者と視聴者が同じゲームに参加し、コインを消費する。通常の実況配信と異なり、配信を見ながら遊ぶ行為自体を課金機会にしている。利用者が楽しむ時間を増やす一方、新作ゲームやイベントの開発費が必要になるため、エモモ関連より利益率の変動が大きい。
広告収入はゲーム会社による配信キャンペーンやアプリ内広告が中心だ。ゲーム好きが集まる場所で新作ゲームを宣伝できるため、一般的な広告媒体より狭い対象に届く。ゲーム会社との提携は広告収入だけでなく、新規利用者の獲得にもつながる。この相乗効果が維持できれば、外部への大規模な広告出稿を抑えられる。
周辺事業では、2024年にアイブレイドを子会社化し、個人VTuberを企業の広告案件につなぐ「ぶいきゃす」などを展開した。2025年には配信支援ツール「CastCraft」を運営するキャスコードへ出資した。2026年には登録VTuberが1,800人を超えたが、連結売上への寄与はまだ小さい。企業の広告運用や制作支援はAIエージェントに置き換えられやすく、登録者数の増加をそのまま利益成長と考えるべきではない。
この会社の本質は、配信技術そのものではなく、人と人が長時間交流する小さな経済圏を運営していることだ。配信者の多数が収益より交流を目的としているため、一般的な配信サービスより運営会社に多くの収益が残る。この文化が10年続くかどうかが、アプリの機能追加よりも大切になる。
優良さと弱いところ
最も評価できるのは、利用者同士の関係が利用継続を促すネットワーク効果だ。2025年の月間利用者に占める配信者比率は30.3%、配信者同士の相互視聴割合は60.8%だった。誰もが配信者になれる設計によって、人気配信者への報酬に頼る競合とは違う仕組みができている。これは一定の堀、つまり競合が簡単には奪えない強みである。
収益性にも特徴がある。2025年の配信者への収益分配は売上の約9%にとどまり、2026年上期のアプリ事業の限界利益率は70%を超えた。決済手数料率は2025年末の15.7%から2026年第2四半期には12.7%へ低下した。Web決済への誘導とサーバー費用の効率化が利益改善に結びついている。
ただし、この堀は強固な独占ではない。利用者がアプリを乗り換える技術的な費用は小さく、ギフトの価格を大幅に上げても離れないという直接的な証拠は乏しい。ARPPUの上昇は課金頻度や支出額の増加を含むため、同じ商品の値上げに成功した証拠とは区別すべきだ。コミュニティの定着率についても、複数年にわたる厳密な解約率の開示は確認できない。
2025年のROEは27.3%だったが、繰延税金資産の計上による利益増加と、過去の赤字で小さくなっていた自己資本の影響が大きい。営業利益と営業キャッシュフローで見れば、資本効率が長期的に高いことはまだ証明されていない。一方、純現金約28億円と自己資本比率67.7%は、競争に敗れた場合にも経営を立て直す時間を与える。
経営は2023年ごろまでのライブゲームへの先行投資を抑え、利益を重視する方向へ転じた。この判断は評価できるが、今後はAI関連事業や買収に資金を投じる意向がある。既存事業で生まれた利益を、低収益の新規事業に使い続けないかを監視する必要がある。現時点では強い堀ではなく、条件付きで持続する普通の堀と評価する。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
競争する市場は、国内のライブ配信・ゲーム実況・バーチャルコミュニティである。市場の境界が曖昧で、ゲーム実況への課金だけを切り出した公的統計はない。野村総合研究所の過去の推計では、動画投稿とライブ配信を合わせた2026年市場は約1.08兆円とされるが、広告やグッズ、動画投稿全体を含むため、ミラティブの直接的な市場規模として使うことはできない。
より近い競合はDeNAの「Pococha」と「IRIAM」である。DeNAの2026年3月期ライブストリーミング事業売上高は約398億円で、ミラティブの2025年売上高の5倍以上にあたる。ただし、PocochaとIRIAMの個別売上は同じ条件では開示されておらず、この比較から国内シェアを確定することはできない。ほかに17LIVE、SHOWROOM、ツイキャス、REALITY、TikTok LIVEなどが利用時間と課金を奪い合っている。
直接比較可能な国内ライブ配信課金市場は、過去の市場推計や競合売上を参考に、2025年前後で1,200億〜2,000億円程度と暫定的に考える。この幅に対するミラティブの課金売上シェアは約3.4〜5.6%となる。ただし、市場の定義をそろえた公式シェアではなく、対象市場の規模自体にも大きな不確実性がある。会社が主張する日本最大級という地位は、売上シェアではなく累計配信者数や配信者の参加率に基づくものだ。
今後10年の実質市場は、若年人口の減少と利用時間の奪い合いで無制限には伸びない。一方、アバターによる交流、ライブイベント、視聴者参加型ゲームは、従来の動画視聴と異なる楽しみ方を提供する。ミラティブが課金ユーザーを増やせるかは、市場全体の成長よりも、ゲーム好きの小規模コミュニティでシェアを維持できるかに左右される。
広告では、電通による2025年の国内インターネット広告媒体費が約3.31兆円に達した。しかし、ミラティブの広告売上約3.6億円は、その極めて小さな部分にすぎない。Google、Meta、TikTokなどの大手広告媒体と全面的に競うより、ゲーム実況に関心の高い利用者へ効率よく届ける専門媒体として生き残る方が現実的だ。
技術面での変化は大きい。生成AIはアバター、動画、配信支援ツール、広告制作を安価にする一方、AIキャラクター自身が配信する競合サービスも増やしうる。人同士の関係が価値の中心である限り、アプリ全体がAIエージェントに置き換わる可能性は低い。ただし、配信者向けの道具や広告制作のように、利用者の操作や人の作業を売る部分は厳しく見る必要がある。
資本政策と M&A
資本配分は、まだ長期の実績で評価できる段階にない。Mirrativは2015年にDeNAの事業として始まり、2018年に独立した。2024年にアイブレイドを完全子会社化し、2025年にはキャスコードを持分法適用関連会社にした。いずれも既存の配信者接点を広げる狙いは理解できるが、買収価格に対する十分な投資利益率は開示から確認できない。
2025年12月には東証グロース市場へ上場した。2026年7月の「公開買付けに準ずる行為」の開示は、外部投資家がベンチャーキャピタルから株式を取得したものであり、上場廃止を目的とするTOBではない。直近の開示からもMBOや上場廃止の決定は確認できない。
2026年12月期の会社計画は、売上高83.98億円、営業利益11.09億円、純利益9.62億円である。一方、確認できた事業計画には、複数年度にわたる売上・営業利益・ROEの確約はなく、配当性向、DOE、総還元性向、自社株買いの金額にも数字の約束はない。2026年の配当予想はゼロで、成長投資、M&A、戦略出資を優先する方針だ。
2026年6月末の上位10株主の保有割合は約69%で、過去5年間に明確な増配や大規模な自社株買いもない。現金が少数株主に戻る確実性は低く、蓄積した余剰現金は帳簿額の半分を株主価値として評価する。なお、上位株主には信託口や証券会社も含まれるため、実質的な支配関係が一体であると断定するものではない。
2025年末の新株予約権による潜在株式数は約194万株で、現在の株式数の約11%に相当する。行使による資金流入はあるが、既存株主の取り分は薄まる。買収による拡大より先に、既存アプリから生まれる現金をどこまで蓄積できるかと、その現金を株主のために使えるかが資本配分の評価軸になる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ミラティブの利用者は、単に動画を見るためにアプリを開いているのではない。自分の配信を見てもらい、知り合いの配信を見に行き、コメントとギフトを交わすために集まっている。この関係性がある限り、YouTubeやTwitchのような大規模配信サービスとは違う需要を守れる。月間利用者の約3割が配信者という構造は簡単に再現できず、新しい利用者が加わるほどコミュニティの価値が上がる。
2025年には約9,000人のロイヤルユーザーが毎月相当額を使い、課金売上の9割以上を支えていた。利用者数を何倍にも増やさなくても、イベントやアバターの魅力を高めることで課金者の継続と支出増加を促せる。実際にARPPUは2024年の約1万4,000円から2025年には1万8,000円超へ増えた。これは単純な物価上昇では説明できない利用深度の向上を示している。
利益面の変化も大きい。2026年上期には営業利益率が12%台に上がり、決済手数料率も改善した。配信者への払い出しが低く、サーバーコストも効率化できるため、売上が増えるほど固定費負担は薄くなる。今後、IPコラボ、ライブゲーム、PC配信への対応が利用時間を伸ばせば、営業利益率が20%を超える余地がある。
新規事業はまだ小さいが、配信者ネットワークという既存資産を活用できる。アイブレイドやキャスコードとの連携によって、YouTubeやTwitchの配信者にも広告案件やツールを提供できる。大規模な設備投資を必要とせず、利益を蓄積できる点も魅力だ。
現在の時価総額は2026年の会社計画に対して過大ではない。純現金も厚く、利益が長期にわたって積み上がれば、10年後の株主価値は現在を大きく上回りうる。株式の希薄化を考慮しても、コミュニティの継続性と高い限界利益率が両立する価値は十分にある。
慎重な見方
ミラティブの収益は非常に少数の熱心な課金者に依存している。2025年の平均ロイヤルユーザーは約8,900人で、課金売上の9割以上がその層から生まれていた。利用者が長期に定着するという会社の説明は理解できるが、個々の利用者が10年間同じ支出を続ける保証はない。ゲームやアバターの流行が変われば、課金額が短期間で落ちる可能性がある。
さらに、相互ギフトは競争力と弱点を同時に持つ。配信者同士がお金を使い合う関係は、コミュニティ内で支出が循環するため、収益が積み上がりやすい。しかし、その利用者グループが離れれば、複数の配信者と課金者が同時に失われる。一般的な広告媒体のように顧客企業を入れ替えて補うことは難しい。
配信者還元が低いことも永久の優位とは限らない。Pococha、IRIAM、TikTok LIVEなどが有力な配信者へ多くの報酬を提供すれば、ミラティブも収益分配を増やす圧力を受ける可能性がある。利益率を高めている低い配信者還元率は、競争が激しくなると維持できなくなるかもしれない。
AIは低コストで配信者向けツールやアバターを作り、広告案件の企画や運用も自動化していく。ミラティブの本業が直接消えるとは限らないが、周辺事業を買収して成長する戦略には逆風だ。新規事業に現金を投入しても、差別化できずに利益を得られない可能性がある。
資本政策にも不安が残る。上場後の株式にはベンチャーキャピタルによる売却圧力があり、新株予約権の行使による希薄化も予定されうる。配当と自社株買いの実績はなく、経営者が現金を株主へ返す保証もない。2025年の大幅な純利益には税効果による押し上げが含まれ、見かけの利益を将来へ延長すれば本質価値を過大評価する。配信アプリの流行を10年間予測することはできず、十分な安全域がない限り高い価値を払うべきではない。
どちらに重みを置いたか
事業の収益構造には魅力があるが、将来の確実性では慎重な見方がやや勝る。確率は楽観側29%、中立32%、悲観側39%とし、下側を厚くした。理由は、少数のロイヤルユーザーへの売上集中、競合プラットフォームへの乗り換え、周辺広告事業へのAIエージェント代替、未確立の株主還元である。
一方、純現金と2026年の収益改善を無視するほど悲観する必要もない。10年後の利益の一部が現金として蓄積されることを含めれば、現在の価格はやや割安と見る。ただし、強い堀を確信できる企業ほどの安全域はなく、課金者の定着と資本配分が崩れた場合には評価を大きく下げる。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 949 円161 億円(+ 還元の換算額還元の合計 46 円8 億円)。 今の値に割り戻すと 482 円82 億円、今との差 +8.8%、 期待の年率 +8.7%(資本コスト 7.8%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 3,080 円522 億円 | 127 円22 億円 | +623.8% | +22.7% | 289 円49 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,565 円265 億円 | 95 円16 億円 | +274.7% | +14.8% | 332 円56 億円 |
| 中立 | 32% | 910 円154 億円 | 43 円7 億円 | +115.3% | +8.2% | 305 円52 億円 |
| やや悲観 | 24% | 179 円30 億円 | 8 円1 億円 | −57.8% | −8.4% | 45 円8 億円 |
| 悲観 | 15% | 165 円28 億円 | 0 円0 億円 | −62.7% | −9.4% | 25 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 949 円161 億円 | 46 円8 億円 | +124.7% | +8.7% | 996 円169 億円 |
今の株価時価総額 443 円75 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% コミュニティ拡大と高収益化が両立する 利益 39 億円 · PER 14.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,080 円522 億円
Mirrativはスマートフォンのゲーム実況から、PCゲーム、eスポーツ、アバター交流まで利用者の楽しみ方を広げる。ゲーム企業との提携が新規利用者を呼び込み、配信者同士の相互交流が定着を促す。月間課金者は約7万人へ増え、エモモとライブゲームの双方で利用額が上昇する。単なる値上げではなく、利用時間と有料イベント参加が増える成長だ。
サンリオなどとのIPコラボや新しいライブゲームが定着し、ロイヤルユーザーの層が厚くなる。競合するIRIAMやTikTok LIVEとは利用目的が分かれ、ゲーム好きの小規模コミュニティという位置を守る。国内の人口減少を、新しい配信ジャンルと課金者比率の上昇が上回る。
決済手数料の改善が続き、アバター制作とゲーム開発の効率化によって高い限界利益率が維持される。営業利益率は25%近くまで高まり、余剰資金を得た経営陣は大型の失敗買収を避ける。株主還元も徐々に始まり、10年間の利益の相当部分が現金として蓄積される。
AIは制作費の低減には役立つが、新規のAI商品に未確認の収益を織り込まない。周辺の広告制作・運用については人の作業が自動化され、案件数が現在を大きく上回ることは想定しない。成長の中心はあくまで、人と人の交流が生むアプリ課金である。
- エモモ・ランキング・ギフト課金:数量 70.0(月間平均課金ユーザー数(千人)。ライブゲームと同じ課金者母集団を商品別に使い、人数は重複する。)× 価格 19,000(月間課金ユーザー1人当たりエモモ・ランキング売上(円/月)。)→ 売上 160 億円・営業利益 45 億円。月間課金者7万人、月額エモモ等支出1万9,000円。数量2.27倍、価格1.39倍。
- ライブゲーミング課金:数量 70.0(月間平均課金ユーザー数(千人)。エモモ課金者と重複する共通母集団。)× 価格 7,000(月間課金ユーザー1人当たりライブゲーム売上(円/月)。)→ 売上 59 億円・営業利益 14 億円。共同参加型ゲームが定着し、開発費に対して売上が大幅に増える。
- Mirrativアプリ内広告・ゲーム企業プロモーション:数量 350(年間広告・プロモーション案件当量(件、推定)。)× 価格 0.02(案件当たり平均広告収入(億円/件)。)→ 売上 8 億円・営業利益 2 億円。専門広告媒体として出稿案件が増えるが、大手広告媒体の規模には達しない。
- ストリーマー支援・インフルエンサー広告等:数量 30.0(年間企業向け案件当量(件、推定)。)× 価格 0.03(案件当たり認識売上(億円/件)。)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替で制作案件は増えず、価格だけが物価に近い水準で上昇。
倍率:2035年ROEは39.4÷220=17.91%。資本コスト7.75%、堀は普通として超過ROEの残存割合を1/2とするとRONICは12.83%。長期成長率gは2.0%。正当化PER=(1−0.02÷0.1283)÷(0.0775−0.02)=約14.68倍。現在の市場PERは参照しない。現金利息を控除した純利益に倍率を適用し、余剰現金を戻り方0.5で加算する。
確率:課金ユーザーを10年で2倍以上へ増やし、価格と利益率の改善も同時に実現する必要がある。国内ゲーム人口の成熟を考えると難度が高いため9%に限る。
やや楽観 20% 課金者が着実に増え、利益率も改善 利益 21 億円 · PER 14.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,565 円265 億円
Mirrativはゲーム好きが集まる交流サービスとしての地位を維持する。月間課金者は約5.2万人に増え、エモモ・ランキングイベントとライブゲームの利用額も緩やかに拡大する。人気配信者への高額報酬に頼らず、一般利用者同士の交流によって成長する仕組みが続く。
ゲーム会社との広告提携が新規利用者の流入を支える。PC配信への対応やゲームジャンルの拡大も進み、スマートフォンゲームだけへの依存は弱まる。PocochaやIRIAMなどとの競争は続くが、ゲーム画面を共有して一緒に遊ぶ用途で独自の利用者を確保する。
収益性は2026年の改善基調を維持する。決済手数料率の低下が一巡した後も、広告費とコンテンツ開発費を管理することで営業利益率は約20%まで高まる。新規事業への投資は続くが、買収対象を配信者関連に絞り、既存事業の利益を大きく毀損しない。
配当や自社株買いは後半に小規模ながら始まり、残りの利益は内部留保される。AIによる新規売上は未確認なので上乗せせず、広告運用・制作分の数量は縮小させる。既存の人間同士のコミュニティが事業の価値を支え続ける筋書きだ。
- エモモ・ランキング・ギフト課金:数量 52.0(月間平均課金ユーザー数(千人)。ライブゲームと同じ課金者母集団を商品別に使い、人数は重複する。)× 価格 17,000(月間課金ユーザー1人当たりエモモ・ランキング売上(円/月)。)→ 売上 106 億円・営業利益 25 億円。課金者数1.68倍、カテゴリー単価1.25倍。ロイヤルユーザーの継続が主因。
- ライブゲーミング課金:数量 52.0(月間平均課金ユーザー数(千人)。エモモ課金者と重複する共通母集団。)× 価格 5,800(月間課金ユーザー1人当たりライブゲーム売上(円/月)。)→ 売上 36 億円・営業利益 7 億円。既存ゲームの更新と新作導入で課金額が増え、開発費比率は低下。
- Mirrativアプリ内広告・ゲーム企業プロモーション:数量 300(年間広告・プロモーション案件当量(件、推定)。)× 価格 0.02(案件当たり平均広告収入(億円/件)。)→ 売上 7 億円・営業利益 2 億円。ゲーム関連広告案件を増やし、媒体単価は物価上昇以内の改善。
- ストリーマー支援・インフルエンサー広告等:数量 25.0(年間企業向け案件当量(件、推定)。)× 価格 0.03(案件当たり認識売上(億円/件)。)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェントによる制作・運用業務の代替で案件数量は減少。
倍率:ROE20.8÷160=13.0%、k7.75%。普通の堀の残存割合1/2からRONIC10.38%、g_long2.0%。正当化PER=(1−0.02÷0.1038)÷(0.0775−0.02)=約14.04倍。10年先の超過成長を永久に延ばさず、現金と事業利益を分けて評価する。
確率:既存コミュニティが維持され、課金者数とARPPUが徐々に増える想定。2025年までの実績は成長を支持するが、同じ勢いが10年間続くとは考えず20%とする。
中立 32% 交流圏は残り、収益性が緩やかに高まる 利益 12 億円 · PER 13.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 910 円154 億円
Mirrativは2035年にもゲーム好きの交流場所として残る。利用者の一部は他の配信サービスへ移るが、配信者同士が知り合いの配信を見てギフトを贈る文化は維持される。月間課金者は約4万人へ増えるものの、成長の中心は既存利用者の定着と課金者への転換であり、国内人口の大幅な増加には頼らない。
エモモのアイテムやイベントは引き続き売れるが、デジタル商品の価格は物価の上昇ほど引き上げられない。ライブゲームも一定の需要を保つ一方、流行が移り変わるため、新作開発を継続する。広告はゲーム企業向けの専門媒体として生き残るが、大きな広告市場のシェアを獲得することはない。
2026年に確認された決済手数料の改善は一部定着し、その後の伸びは緩やかになる。安全対策、コンテンツ開発、配信者支援の費用は増えるが、売上の増加とコスト管理がそれを上回り、営業利益率は中長期で16%台に上がる。黒字化後の高い利益率を維持するには継続投資が必要である。
AIは社内制作費を下げる一方、外部向け広告制作・運用の受託量を減らす。ストリーマー支援の周辺事業は規模を大きくできず、全社利益の大部分を引き続きMirrativアプリが担う。買収で特別な利益を得ることは期待せず、内部留保された利益と現金が長期株主の価値を支える。
- エモモ・ランキング・ギフト課金:数量 40.0(月間平均課金ユーザー数(千人)。ライブゲームと同じ課金者母集団を商品別に使い、人数は重複する。)× 価格 16,000(月間課金ユーザー1人当たりエモモ・ランキング売上(円/月)。)→ 売上 77 億円・営業利益 16 億円。課金者数1.30倍、単価1.17倍。単価は物価3%の10年累積1.34倍を下回る。
- ライブゲーミング課金:数量 40.0(月間平均課金ユーザー数(千人)。エモモ課金者と重複する共通母集団。)× 価格 5,100(月間課金ユーザー1人当たりライブゲーム売上(円/月)。)→ 売上 24 億円・営業利益 4 億円。新作投入を継続するが高額課金の伸びは鈍化。
- Mirrativアプリ内広告・ゲーム企業プロモーション:数量 260(年間広告・プロモーション案件当量(件、推定)。)× 価格 0.02(案件当たり平均広告収入(億円/件)。)→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。自社媒体広告案件1.3倍、単価1.17倍。大手広告媒体との競争を反映。
- ストリーマー支援・インフルエンサー広告等:数量 21.0(年間企業向け案件当量(件、推定)。)× 価格 0.03(案件当たり認識売上(億円/件)。)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替により案件数量0.70倍、価格1.34倍以内。
倍率:2035年ROE12.35÷135=9.15%、資本コスト7.75%。普通の堀として残存割合1/2を使い、RONIC8.45%、g_long2.0%とする。正当化PER=(1−0.02÷0.0845)÷(0.0775−0.02)=約13.28倍。現金を含む帳簿上のROEを用いた保守的な値であり、10年間に蓄積した余剰現金の切り分けは別途行う。現時点のPERや他社PERには合わせない。
確率:既存サービスの黒字化と高い限界利益率は確認できるが、国内利用者の成熟と重課金者依存から、課金者数を10年で約1.3倍にとどめる。下に寄せる理由:ロイヤルユーザーへの売上集中と株主還元の不確実性が、平均的な成長企業より大きい。
やや悲観 24% 重課金者が減り、利益率が低下する 利益 2 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 179 円30 億円
Mirrativはサービスを続けるものの、課金者数が徐々に減少する。若年層はTikTok LIVEやIRIAMなど別の配信サービスを利用するようになり、新しくゲーム実況を始める利用者も減る。長年交流していた配信者の一部は残るが、新規参加者が十分に補充されない。
ロイヤルユーザーの支出は比較的長く続くものの、退会者が増えると課金売上の積み上がりが止まる。配信者への還元を低く維持することも難しくなり、イベントやアイテムの販促費用が増える。売上の減少ほど固定費を早く減らせないため、営業利益率は大幅に低下する。
ライブゲームは開発費を回収できないタイトルが増え、売上規模が縮小する。広告媒体としての利用者到達力も弱まり、広告単価の伸びは物価を下回る。企業向け制作・運用はAIエージェントに置き換えられ、案件数量が減少する。
経営は不採算タイトルを整理し、採用や広告費を削減する。早い段階で経費を抑えれば黒字は維持できるが、利益から株主への還元を増やす余裕はほとんどない。M&Aは成長手段というより、減少した売上を補うための難しい資本配分になる。純現金が存続を支える一方、かつての高収益プラットフォームとしての評価は失われる。
- エモモ・ランキング・ギフト課金:数量 25.0(月間平均課金ユーザー数(千人)。ライブゲームと同じ課金者母集団を商品別に使い、人数は重複する。)× 価格 14,000(月間課金ユーザー1人当たりエモモ・ランキング売上(円/月)。)→ 売上 42 億円・営業利益 5 億円。課金者数0.81倍、単価はほぼ据え置き。重課金者の離脱が響く。
- ライブゲーミング課金:数量 25.0(月間平均課金ユーザー数(千人)。エモモ課金者と重複する共通母集団。)× 価格 4,200(月間課金ユーザー1人当たりライブゲーム売上(円/月)。)→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。人気ゲームの更新が難しくなり、利用額と開発効率が低下。
- Mirrativアプリ内広告・ゲーム企業プロモーション:数量 175(年間広告・プロモーション案件当量(件、推定)。)× 価格 0.02(案件当たり平均広告収入(億円/件)。)→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。利用者到達力の低下により広告案件が減る。
- ストリーマー支援・インフルエンサー広告等:数量 18.0(年間企業向け案件当量(件、推定)。)× 価格 0.03(案件当たり認識売上(億円/件)。)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。広告運用の自動化による案件縮小と値下げ競争。
倍率:ROE2.25÷84=2.68%が資本コスト7.75%を下回るため、長期成長による追加価値を認めず、稼ぐ力の上限1÷k=12.90倍を採用する。余剰現金は基準12億円の75%相当の9億円とし、戻り方0.5を掛けて別に評価する。
確率:国内配信市場で競合への移動が起こり、ロイヤルユーザーが減少する筋書き。高い売上集中度を踏まえ、単なる景気後退より発生しやすい構造的な弱まりとして24%とする。
悲観 15% 交流圏が縮小し、配信事業の優位を失う 利益 −2 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 165 円28 億円
Mirrativは配信者同士が交流する独自の文化を維持できなくなる。若い利用者が競合サービスへ移り、以前から使っていた課金者も減る。配信者が少なくなることで見る側の楽しみが減り、さらに配信者が離れるという悪循環が始まる。月間課金者は約1.7万人まで縮小する。
ギフト消費は2025年の水準を大きく下回り、アバターイベントへの支出も減る。ライブゲーミングは競合ゲームへの移動で採算が悪化する。新作を開発しても投資を回収できず、広告主にとっての媒体価値も失われる。広告案件は大手動画・SNSプラットフォームへ移る。
経営は人員とコンテンツ投資を削減するが、サービス運営、著作権対応、利用者保護、サーバー維持の費用は残る。営業赤字が再び定着し、かつての高い限界利益率を十分に生かせなくなる。新規事業への投資も成果が出ず、AIエージェントに代替される広告制作・運用では差別化が難しい。
それでも、この筋書きでは会社が直ちに倒産するとは想定しない。前半に蓄積した現金と既存資産が存続を支え、経営は不採算事業を整理する。しかし、稼ぐ力は資本コストを大幅に下回り、成長企業としての価値は消える。10年後の評価は、低下した利益を高い倍率で買うのではなく、残存する純現金と換金可能資産を中心とした防御的な価値になる。
- エモモ・ランキング・ギフト課金:数量 17.0(月間平均課金ユーザー数(千人)。ライブゲームと同じ課金者母集団を商品別に使い、人数は重複する。)× 価格 11,400(月間課金ユーザー1人当たりエモモ・ランキング売上(円/月)。)→ 売上 23 億円・営業利益 2 億円。課金者数は約半分、平均支出も減少。ギフト経済圏の縮小。
- ライブゲーミング課金:数量 17.0(月間平均課金ユーザー数(千人)。エモモ課金者と重複する共通母集団。)× 価格 2,900(月間課金ユーザー1人当たりライブゲーム売上(円/月)。)→ 売上 6 億円・営業利益 −1 億円。ゲーム更新の費用を回収できず赤字化。
- Mirrativアプリ内広告・ゲーム企業プロモーション:数量 90.0(年間広告・プロモーション案件当量(件、推定)。)× 価格 0.02(案件当たり平均広告収入(億円/件)。)→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。利用者減少で案件数が半分以下となり、媒体としての価格決定力も消える。
- ストリーマー支援・インフルエンサー広告等:数量 13.0(年間企業向け案件当量(件、推定)。)× 価格 0.02(案件当たり認識売上(億円/件)。)→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。広告制作・運用のAIエージェント代替と買収事業の失敗で損失が続く。
倍率:営業赤字でPERを適用できないため、現在の自己資本35.5億円にPBR0.8倍を適用する。35.5×0.8=28.4億円で、純現金を中心とした防御的な床28.2億円を下回らない。繰延税金資産やのれんを実体資産として高く評価せず、過去の市場PBRの谷も参照しない。
確率:ゲーム配信の主流が大手サービスへ移り、少数のロイヤルユーザーも離脱する複合的な悪化を想定する。純現金が存続を支えるため倒産を中心とはしないが、アプリの技術的な参入障壁が低いことから15%とする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
エモモ・ランキング・ギフト課金
3Dアバターの装飾、ギフト、ランキングイベントなど、配信者と視聴者の交流に伴う有償コイン消費。
| 数量月間平均課金ユーザー数(千人)。ライブゲームと同じ課金者母集団を商品別に使い、人数は重複する。 | 価格月間課金ユーザー1人当たりエモモ・ランキング売上(円/月)。 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 30.9 | 13,622 | 50 | 5 |
| 10 年後 中立 | 40.0 | 16,000 | 77 | 16 |
取り方:2025年連結売上71.88億円×エモモ・ランキング構成比70.2%=50.46億円。会社開示の年間課金売上67.59億円とARPPU18,247円から、月間平均課金者を約30.87千人と逆算した。数量は課金者数、価格は商品カテゴリー別月額支出。30.87千人×13,622円×12か月÷10万=約50.46億円。営業利益はカテゴリー別非開示のため、ギフト関連の比較的高い限界利益率を考慮した分析上の配賦であり、会社開示の部門利益ではない。国内ライブ配信課金市場は対象範囲によって大きく異なるため、売上シェアは概算のみで評価する。
ライブゲーミング課金
配信者と視聴者が一緒に参加するライブゲーム内のアイテム、参加イベント、ゲーム関連の有償コイン消費。
| 数量月間平均課金ユーザー数(千人)。エモモ課金者と重複する共通母集団。 | 価格月間課金ユーザー1人当たりライブゲーム売上(円/月)。 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 30.9 | 4,618 | 17 | −1 |
| 10 年後 中立 | 40.0 | 5,100 | 24 | 4 |
取り方:2025年連結売上71.88億円×ライブゲーミング構成比23.8%=17.11億円。月間平均課金者30.87千人を共通母集団とし、カテゴリー別月額支出を約4,618円と推定。30.87千人×4,618円×12か月÷10万=約17.11億円。課金者が両カテゴリーを利用するため人数を足して全社利用者とはしない。ゲーム開発・IP関連費が重いとみて現状の営業利益を暫定的に赤字配賦した。部門損益と実際の商品別課金者数は非開示。
Mirrativアプリ内広告・ゲーム企業プロモーション
ゲーム企業などがアプリ内に出稿する広告枠と、配信キャンペーン等による媒体収益。
| 数量年間広告・プロモーション案件当量(件、推定)。 | 価格案件当たり平均広告収入(億円/件)。 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 200 | 0.02 | 4 | 1 |
| 10 年後 中立 | 260 | 0.02 | 5 | 1 |
取り方:2025年連結売上71.88億円×広告売上比率5.0%=3.59億円。公式の広告案件数・インプレッション・CPMは非開示であるため、年間200件の案件当量を仮定し、平均約180万円の媒体収入として数量と単価に分解した。200件は公表実績ではなく、毎月十数件規模のキャンペーンを想定した分析上の数量である。電通の2025年国内インターネット広告媒体費3兆3,093億円に対する比率は約0.011%だが、ゲーム関連広告に絞ったシェアは把握できない。自社媒体広告枠であり、広告代理店の人月型とは区別する。
ストリーマー支援・インフルエンサー広告等
アイブレイドのVTuberキャスティング、イベント、企業向け広告制作・運用等の周辺事業。キャスコードは持分法適用会社。
| 数量年間企業向け案件当量(件、推定)。 | 価格案件当たり認識売上(億円/件)。 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 30.0 | 0.02 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 21.0 | 0.03 | 1 | 0 |
取り方:2025年連結売上のうち、エモモ70.2%、ライブゲーミング23.8%、広告5.0%を控除したその他1.0%=約0.72億円を起点とする。全額が広告制作・運用であることは確認できないため、イベント等も含む周辺事業の代理指標とした。年間30件、案件当たり約240万円は開示された案件数ではなく売上からの分解推定。広告企画・制作・運用が中心となる部分はAIエージェント代替の人月・広告代理店型に分類し、中立の数量を10年で0.55〜0.75倍、価格を1.34倍以内とする。
リスクと懸念
ロイヤルユーザーへの売上集中
2025年の課金売上の9割以上は月額1万円超のロイヤルユーザーによるものである。人数は約8,900人と少なく、特定の利用者グループや交流関係が離脱すれば、売上が急減する可能性がある。課金者の年齢別継続率、課金額階層ごとの長期離脱率は十分に開示されておらず、10年間の安定性を高い確信で予測することは難しい。
大手配信サービスとの利用時間の争奪
YouTube、Twitch、TikTok LIVE、Pococha、IRIAM、17LIVEなどは、配信者と視聴者の時間を奪い合う競合である。Mirrativの顔を出さない配信とゲーム参加型交流には独自性があるが、技術的な乗り換え費用は小さい。利用者が集まる場所が変われば、広告収入と課金収入が同時に減る可能性がある。
決済手数料とプラットフォーム規約
利益率の改善には決済手数料率の低下が大きく寄与している。2026年第2四半期には12.7%まで低下したが、この改善が今後も同じ速度で続くとは限らない。AppleやGoogleなどの決済・アプリ配信規約の変更、Web決済への誘導制限、ゲーム会社との取引条件の変更があれば、収益の取り分が減る。
AIエージェント代替
Mirrativアプリの人間同士の交流は、業務SaaSや受託開発のように直接AIエージェントが置き換える仕事ではない。一方、アイブレイド等が行う広告企画、制作、運用、配信者の案件管理には代替リスクがある。AI配信者やAIアバターが増えれば、現在の差別化も一部薄れる。収益規模が小さい周辺事業は拡大を当然視せず、AI関連の新規事業も売上実績が確認できるまでは価値を上乗せしない。
配信者還元率の上昇と規制
現在の高い利益率は、配信者への現金還元が売上の約1割と小さい構造に支えられている。競合が配信者へ高い還元を提供すれば、同社も条件改善を迫られる可能性がある。また、未成年者の課金、ギフトを通じた金銭消費、著作権、配信上のトラブル、資金決済法等への対応が強化されれば、監視と運営の固定費が増える。
M&Aと資本配分の失敗
経営は豊富な現金を利用してAI、VR、配信者支援などへのM&Aや戦略投資を検討している。しかし周辺事業の利益貢献はまだ小さく、投資利益率が確認できる段階ではない。既存アプリで生まれた現金を低収益の事業に投じ続ければ、少数株主が受け取る価値は減る。株主還元の数値目標がないこともこのリスクを強める。
新株予約権と大株主の売却
2025年末時点で約194万株の潜在株式があり、全行使時の希薄化は既存株主にとって無視できない。ベンチャーキャピタルが上場後に株式を売却する可能性も残る。2026年7月の大量株式取得は純投資を目的とする相対取引だったが、大株主の移動は今後の需給と経営への影響を確認する必要がある。
今後の分かれ目
- 月間ロイヤルユーザー数が1万人を超え、ARPLUも下がらずに複数年増加したら
- コミュニティの継続性と課金基盤の拡大を認め、やや楽観の確率を引き上げる。特に利用者数の増加が広告費の大幅な増加なしに実現しているかを確認する。
- 月間課金者数が前年同期比で継続的に減少し、ARPPUも同時に低下したら
- 人数と支出の二重の悪化であり、単なる四半期変動とは区別する。中立の売上前提を引き下げ、やや悲観・悲観の確率を増やす。
- 決済手数料率が12%前後以下で安定し、営業利益率が15%以上に定着したら
- 費用改善が一過性ではなく構造的であると判断し、中立の利益率と将来オーナー利益を見直す。ただし利益増加に伴う税負担の正常化を忘れない。
- 配信者への還元率が大幅に上がり、課金者の増加を伴わなかったら
- 価格競争によって現在の高い取り分が侵食されていると判断する。利益率の低下を先に反映し、ネットワーク効果の強さも再評価する。
- AI・ストリーマー支援事業で受注額、継続契約、利益額が開示されたら
- 実際にAIエージェントを売り物にできている部分と、AIに代替される広告制作・運用部分を分けて評価する。売上金額を伴わない事業構想だけでは楽観側の価値を引き上げない。
- 配当方針、自社株買い、現金の還元について具体的な数値目標と実行実績が出たら
- 余剰現金の株主への戻り方を0.5から見直す。利益成長がなくても、現在割り引いている現金の株主価値は高まる可能性がある。
- 大型M&Aでのれんが増え、買収先の利益や営業キャッシュフローが伴わなかったら
- 増分投資利益率が資本コストを下回る兆候として扱う。既存の純現金による安全域を縮小し、悲観側の利益と資産価値を見直す。
見ておくもの
- 月間課金ユーザー数、ロイヤルユーザー数、ARPPU、ARPLUの四半期推移
- ロイヤルユーザーの継続率と課金額階層別の売上集中度
- 月間配信者数、MAU、配信者比率、相互視聴率、相互ギフト率
- エモモ・ランキング課金とライブゲーミング課金の売上構成比
- 決済手数料率、配信者還元率、サーバーコスト率、限界利益率
- 営業利益と営業キャッシュフローの差、繰延税金資産の推移
- 買収先の売上・利益・のれん・投資回収状況
- 新株予約権の行使残高、大株主の変動、配当と自社株買いの実績
- ゲーム実況、VTuber、ライブ配信市場における競合の課金者・利用者動向
- 2026年11月13日予定の第3四半期決算での通期計画進捗と下期売上の回復
倍率と資本コストの決め方
2026年10月23日の株価487円と現在時価総額約82.57億円は、事業の数量・単価・利益率・倍率を決める際には使用していない。2025年の売上構成、月間課金者数、ARPPU、ロイヤルユーザー数、競合売上を出発点として2035年の事業を組み立てた。数量は月間課金者・広告案件数、価格は1人当たり課金額・案件単価であり、物価上昇を数量へ二重計上していない。
中立の価格上昇は原則として物価3%の累積を下回る。2025年の繰延税金資産による純利益増加を継続利益として使わず、税負担を正常化した。2026年上期の収益改善は、長期利益率の可能性を判断する資料としてのみ使った。営業利益率は配信者還元、決済手数料、コンテンツ開発費、運営固定費の関係で考え、全社売上へ恣意的な利益率を一律に掛けていない。
倍率はk7.75%、長期g2%、2035年のROE、普通の堀による超過利益の残存割合1/2から求めた。楽観から中立は利益ベース、構造的に敗れる悲観は現時点の純現金と実体資産を中心とする。余剰現金には還元実績の弱さから0.5を掛け、潜在株式による希薄化も株主の取り分に反映する。
2027年4月以後に始まる年度からの新リース会計基準によって、事務所賃借に関する負債の表示が変わる可能性がある。比較のため2035年の営業利益は現在と同様に賃借費用を営業費用とする形で考えた。現在の市場評価や同業のPERを目標に数字を調整していない。10年間の留保利益がどれだけ事業に必要で、どれだけ余剰現金として残るかは、本質価値の大きな不確実性である。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債3%と株式リスクプレミアム4.5%の基本7.5%に、事業品質による0.25%を上乗せする。2025年までの赤字は重いが、2026年上期に黒字を維持し純現金も厚いため、財務存続危機としての追加上乗せは行わない。