結論
インタートレードは、証券会社の注文・ディーリングシステムを支える小規模な金融IT企業である。筆者の結論は「割高」だ。金融機関の中枢に組み込まれる製品には価値があるが、全社では十年以上にわたり利益を安定して残せず、株価に見合うオーナー利益が見えてこない。2025年9月期の売上高は約18億円、営業損益はわずかに赤字であり、翌期の好転も経常損失が残る見通しだ。
競争上の手がかりは、地場の中小証券会社に導入された「TIGER」系列の取引システムである。いったん導入した顧客は取引所への接続や障害対応を含めて簡単には移行できず、ライセンスと保守の収益が続く。しかし、新規開発と追加改修は人の工数で請け負う部分が大きい。AIエージェントが開発・保守の定型作業を減らし、ディーラー向け画面を介さず注文を処理するほど、契約単価と案件数には下押し圧力がかかる。
2026年には赤字子会社ビーエス・ジェイの譲渡が実行された。これは資本配分を改める一歩だが、同時に過去の投資が収益を生まなかったことを示す。暗号資産関連会社への出資は会計上の特別利益を生んでも、持分法損失が続いている。機能性表示食品「エストロリッチ ピュア」の成功にも販路と広告費の不確実性が大きい。
10年後の中立では、取引基盤の一部は残るが、収益性は全社の管理費と新事業の負担を十分には覆せない。前向きな筋書きでヘルスケアの販売が大きく伸びれば利益は回復する。それでも実績が乏しい新事業の成功を当然視して現在の36億円余りを正当化することはできない。純現金が下値を支える余地はあっても、確率で重み付けした本質価値は時価総額を大幅に下回る。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主なら、まず「この会社を全部買って、10年後も現金を安心して取り出せるか」と考える。答えはまだ否定的である。地場証券向けの取引システムを維持する能力には価値があり、日々の発注を支える仕事そのものは消えない。だが、その収益がヘルスケアの赤字、関連会社への出資、全社管理費を支払った後にも残るかが、所有者にとっての本当の問いになる。
良い顧客契約を持つことと、良い株主投資になることは別である。2021年と2022年には黒字を出せたが、その後も利益は定着せず、資本を蓄積するどころか過去の損失で利益剰余金が大きくマイナスになった。AIエージェント代替で受託開発の生産工数が減っても、顧客が払う価格が保てるとは限らない。単価の引き上げ、解約率の低さ、開発の製品化、配当再開という証拠が揃うまで、投じた資本が資本コストを十分に超えるとは見込まない。
財務の純現金は短期的な破綻を防ぐ。しかし保守と投資に必要な現金を除けば、全額が自由に使えるわけではなく、保有する未上場関連株式も確実に売れる預金ではない。赤字子会社の譲渡を一度行ったことは評価するが、資本配分の規律が定着したかは次の数年で試される。
したがって、将来の新商品が当たる可能性を認めても、安全域の中心には継続するオーナー利益を据える。利益ではなく「暗号資産の話題」や「独自素材の夢」だけに値段を払うことはできない。現時点では10年の不確実性に対して時価総額が高く、確信を持って保有し続ける条件は整っていない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は金融ソリューション事業で、2025年9月期に連結売上高の約8割を占めた。証券会社のディーラーが株式を発注する「TIGER Trading System」、外国為替証拠金取引の「fortissimo」、PTS向け照合エンジン、暗号資産の取引基盤を提供する。顧客からは導入時の開発費、取引所仕様変更時の追加改修費、ライセンス料、運用保守料を受け取る。顧客の注文が増えても、その件数に比例して売上が自動的に増える決済手数料モデルではない。
この金融事業には性質の異なる二つの稼ぎが混ざっている。既存システムを動かし続ける保守・利用料には乗り換えの難しさがあり、規制や取引所の更新で需要が途切れにくい。他方、arrowhead4.0への対応や顧客別の追加開発は案件ごとの人員投入が必要になる。会社は保守と受託の売上額、稼働社数、契約単価を分けて開示していないため、数量の試算は契約先と受託件数を換算したものである。2025年9月期の金融事業売上約14.7億円と利益約3.9億円は開示額に一致させている。
ビジネスソリューション事業は、システムエンジニアの常駐支援と経営情報統合ソフト「GroupMAN@IT e2」が中心であった。2025年9月期の売上は約2.6億円だが、関連子会社ビーエス・ジェイは売上約0.65億円に対し営業赤字を出していた。同社は2026年9月に持分法適用先イーテアへ売却されたので、10年先の計算では売却後に残る事業の人員稼働を起点とする。継続しているものと処分済みのものを二重に数えない。
ヘルスケア事業は「ITはなびらたけ」を原料とする健康食品・化粧品の研究、生産、販売を行う。機能性表示食品の発売によってドラッグストアでの販路を広げようとしているが、2025年9月期の売上は約1億円にとどまり、セグメント赤字が続いた。原料販売と完成品販売が混在し、個数は非開示である。商品出荷を標準サプリメントに換算した数量を使うが、これは実際の販売個数ではない。
優良さと弱いところ
最も評価できるのは、地場の中小証券会社が日々使う取引システムの導入実績である。フィスコの企業調査では、この顧客層における採用は「ほぼ独占状態」と説明されている。証券取引の障害は顧客の損失と監督上の問題につながるため、安価という理由だけで基盤を入れ替えることは難しい。2026年にも東京証券取引所のarrowhead4.0対応やライセンス料の増加が収益を支えた。
ただし、この強みを全事業の強い堀と呼ぶのは早い。正式な解約率、更新単価、システムの切替年数、値上げを通した実績は確認できない。複数の証券会社で利用されていても、口座残高や会計記録を独占管理する唯一の正本ではなく、機能の一部は取引画面や顧客別ソフトである。AIエージェントが取引を自動実行すれば、画面や人手を前提にした価値は縮む。保守の安定性と価格支配力を混同してはならない。
利益の質はさらに弱い。金融事業は採算が取れていても、本社管理費が約3億円、ヘルスケアと業務ソフトの損失が重なり、全社は赤字になった。過去の黒字期には営業利益率が一時的に1割を超えたが、持分法の投資損失が純利益を損なっている。赤字が続く会社の過去のROEを、将来の高い増分ROICの証拠と見るべきではない。
財務には救いがある。2026年6月末は現預金が約6.8億円、銀行借入は約2.0億円で、差し引き純現金が残った。しかし保有する投資有価証券の多くは事業提携を目的とする金融関連持分で、預金と同じ流動性や換金確度はない。2025年9月期の営業キャッシュフローもマイナスであり、赤字の継続は貯金の取り崩しにつながる。堀が一部にあっても、稼ぐ力を株主の取り分へ変える仕組みが未完成である。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
日本の証券会社の数は大きく増えていない。日本証券業協会の2026年10月時点の会員は258社で、買収・統合が進めば販売先はむしろ減り得る。インタートレードの顧客層は地場証券や取引業者の一部であり、国内の証券会社すべてが同じ商品を必要とするわけではない。中小地場証券への高い浸透率は守りだが、市場の裾野そのものが広いわけでもない。NRIのSTAR、大和総研などの証券基幹システム、シンプレクス、トレードワークス、インテリジェント ウェイブなどが周辺の業務領域で競う。個社別の注文処理システム市場に関する統一された売上シェア統計は見当たらず、競合順位を数値化することはできない。
証券市場の取引高が増えると、注文処理の信頼性や処理速度への要求は高まる。取引所のarrowhead更新、電子化、情報セキュリティ対応は一定の案件需要を支える。しかし会社の売上は出来高への比例課金ではなく、契約・保守・開発の受注次第だ。長期の数量を考えると、取引基盤の稼働顧客数よりも、画面操作の席数や追加開発の件数が先に減る可能性を重く見るべきである。
国内全体の企業IT支出は拡大しているが、その追い風を小規模な受託会社の単価上昇と同一視できない。金融機関はAIを用いた内製化やシステムの共通化を進め、外注する工数を選別する。ビジネスソリューションの常駐支援は、とくにこの構造変化を受けやすい。2026年の子会社譲渡は市場からの退出に近く、10年後の売上に旧事業をそのまま残せない。
暗号資産は機会と損失が同居する。関連会社がジパングコインを扱い、Fireblocksとの提携やTIGERの暗号資産対応も進むが、規制の形や採用顧客、利用料の拡大はまだ十分に立証されていない。金関連トークンの流通額が増えても、同社の利益が比例して増えるとは限らない。ヘルスケアではフェムケアや健康食品の市場規模は大きいが、DHC、ファンケル、アサヒグループなど認知度と販路を持つ企業が競争相手になる。機能性表示の届出と特許だけで棚を獲得できるわけではない。
資本政策と M&A
資本配分には厳しい評価が必要である。2025年9月期まで2期続けて純損失を計上し、2015年9月期以降は無配が続く。2024年には株主優待も廃止した。有価証券報告書と会社開示を確認しても、正式な中期経営計画で売上高・営業利益・ROEの中期数値を確約し、配当性向・DOE・総還元性向・自社株買い額を示した資料は確認できなかった。中期目標と株主還元については「数字の約束なし」と評価する。
2026年9月期の会社予想は、売上約18億円、営業利益約0.3億円、経常損失約1.4億円である。純利益の黒字見通しにはデジタルアセットマーケッツの増資に伴う持分変動益が含まれ、継続的な稼ぎの改善と同じではない。関連会社への追加出資は将来の暗号資産事業に賭ける判断だが、足元では投資損失が営業利益を上回った。この資本には、預金に寝かせるより高い利回りを得たという証拠がまだない。
2026年9月のビーエス・ジェイ譲渡は、損失の出る開発会社から手を引き、金融基盤に集中するという点で前進だ。譲渡価額は1円であり、取得時の投資を高値で回収したわけではない。過去の事業多角化には健康食品を含め成果が見えない投資も残る。今後、既存ソフトの保守契約から得た現金を新規投資へ繰り返し流すのか、赤字事業の撤退と株主還元へ回すのかが企業価値を左右する。
過去5年間に明確な増配や大幅な自己株式消却は見られず、上位10株主の保有比率も65%に達していない。余剰現金の株主への戻り方は全額ではなく75%を採用する。10年間の配当・自社株買いは、利益が十分に出る上側の筋書きだけに小額を想定し、中立以下ではゼロとする。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
この会社には、時価総額の小ささからは想像しにくい強い業務上の立場がある。証券会社のディーリングシステムは、使い勝手だけでなく取引所接続の安定性と障害時の責任が求められる。中小地場証券に導入実績が集まっており、取引所の仕様が変わるたびに既存顧客へ改修と保守を提供できる。短期的な設備投資の浮き沈みを超え、会社を継続させる芯になり得る。
デジタルアセットの機会も無視できない。ジパングコインを扱う関連会社、Fireblocksとの提携、Spider Digital Transfer、暗号資産に対応したTIGERは、証券取引で培った低遅延処理とセキュリティを新市場へ持ち込む試みだ。これらが個別受託から共通プラットフォームの継続課金に変われば、売上が急増しなくても金融事業の利益率は上がり得る。顧客からのライセンス利用料が2026年の業績改善を支えたことも、まったくの空想ではない。
健康食品も小ささが裏目だけではない。機能性表示食品の届出を終え、ドラッグストアの棚に入り始めたブランドが広域展開できれば、今の売上の数倍は狙える。赤字子会社を売った経営陣が次に不採算事業を整理し、既存金融製品に研究費を集中できれば、利益は売上高以上に戻る。財務には純現金もあり、成長が軌道に乗るまでの時間を買える。新商品の成功率を低く見積もりすぎると、転機を見逃すことになる。
慎重な見方
見える利益より、将来の物語を先に買ってしまう危険が大きい。金融ソリューション事業には高い粗利があるが、会社全体の利益は小さい。過去のROEはマイナスの年が多く、2025年9月期は保有先への投資損失が営業上の稼ぎを上回った。2026年の最終黒字も、出資持分の変動で認識した特別利益に大きく支えられる。現金を生まない一過性利益を長期の稼ぐ力へ延長するべきではない。
証券会社の業務基盤を長く支えてきたことは確かだ。しかし、地場証券の社数は増えず、業界全体ではNRIや大手システム会社との共通化が進む。取引所の仕様変更が生む工数は、AIエージェントが設計・試験・移行文書を生成するほど単価を守りにくくなる。ディーラーが画面を操作する席数も、売買の自動化とともに減る可能性がある。顧客が離れにくいことは、業務ソフトの値上げに成功することとは違う。
会社はデジタルアセットにもヘルスケアにも資金を使ったが、まだどちらにも安定した超過収益がない。2026年の子会社譲渡は正しい撤退でも、売却価格はわずかで投下資本の回収にはならない。サプリメントは大手ブランドが販路と広告を押さえる市場で、新製品の臨床研究と売れる商品は別物だ。無配期間も長く、少数株主が純現金を自由に引き出せるわけではない。金利と物価が高い10年間に赤字を続ければ、財務の厚みはゆっくり失われていく。
どちらに重みを置いたか
証券取引基盤の継続性は確かな強みであり、すべての売上がAIに代わるわけではない。しかし、契約ごとの価格支配力を示す数字がなく、ヘルスケアと関連会社の投資は株主資本を増やす実績を欠く。上側25%に対して下側46%と慎重側へ傾けた主因は、過去2期の損失、事業売却、持分法損失である。AIの影響はすでに中立の案件数と価格、10年より先の成長率に含め、確率や事業寿命で重ねて差し引かない。長く持つ価値の条件は、金融事業の利益を全社の純利益と現金還元へ転換することだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/09 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 149 円11 億円(+ 還元の換算額還元の合計 6 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 71 円5 億円、今との差 −83.1%、 期待の年率 −9.7%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 565 円41 億円 | 42 円3 億円 | +43.7% | +3.8% | 49 円3 億円 |
| やや楽観 | 17% | 244 円18 億円 | 14 円1 億円 | −38.8% | −4.9% | 44 円3 億円 |
| 中立 | 29% | 91 円7 億円 | 0 円0 億円 | −78.4% | −14.2% | 26 円2 億円 |
| やや悲観 | 28% | 81 円6 億円 | 0 円0 億円 | −80.8% | −15.2% | 23 円2 億円 |
| 悲観 | 18% | 72 円5 億円 | 0 円0 億円 | −82.9% | −16.2% | 13 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 149 円11 億円 | 6 円0 億円 | −63.4% | −9.7% | 155 円11 億円 |
今の株価時価総額 422 円30 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 取引基盤が残り、機能性食品が全国販売へ 利益 3 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 565 円41 億円
証券会社の受発注基盤は競合に奪われず、TIGERとSpiderを合わせた製品体系が定着する。取引所更新の受託案件はAIエージェントによる開発工数削減を受けるが、会社は成果物を再利用する商品として売り、粗利の大きなライセンス契約を増やす。Web3の企業利用も暗号資産取引システムの追加開発を生み、関連会社での投資損失が収まる。
最大の上振れはヘルスケアにある。機能性表示食品の販売店とリピート購入が広がり、出荷換算量は60万パックへ伸びる。研究段階の差別化が広告効率の改善に結び付き、固定費を十分に吸収する。この数量は従来の約9倍であり、国内の大手健康食品メーカーが存在する中では例外的な成功だ。
ビーエス・ジェイの売却で赤字開発の負担を解消し、全社管理費を膨らませず商品化を進める。株主還元も小さく始まり、投資からようやく利益と配当が生まれる。なお将来のAIそのものの新規売上は金額の開示がないため、AIによる成長は織り込まない。
- 金融ソリューション・取引基盤/保守(推計内訳):数量 40.0(年間稼働システム契約先相当(社、仮説))× 価格 0.23(1契約先相当のライセンス・保守売上(億円/年))→ 売上 9 億円・営業利益 4 億円。既存40契約先相当を維持し、年単価は1.15倍。正本型への昇格ではなく設備更新による単価改善の上限。
- 金融ソリューション・受託改修/Web3開発(推計内訳):数量 35.0(年間開発案件相当数(件、仮説))× 価格 0.26(1案件当たり売上(億円/件))→ 売上 9 億円・営業利益 2 億円。新規のAI売上を前提にせず、受託35件を維持。再利用できる暗号資産・取引所対応の成果物で粗利改善。
- ビジネスソリューション・常駐支援/業務ソフト:数量 12.0(年間稼働技術者数相当(人年、仮説))× 価格 0.22(1人年当たりライセンス等込み売上(億円/人年))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。売却後の存続12人年を維持し、ソフトを共通化して採算改善。
- ヘルスケア・ITはなびらたけ製品:数量 600,000(完成品への標準換算出荷パック数(個/年、推計))× 価格 0.00(標準換算1パックの会社売上(億円/個))→ 売上 12 億円・営業利益 2 億円。全国販路と再購入の成功で換算60万パック。非常に強い市場浸透。
倍率:2035年事業純利益3.3億円から余剰現金1億円の税後利息0.014億円を除く。k8.25%、g_long0%ゆえ正当化PER=(1−0/RONIC)/(0.0825−0)=12.12倍。ROE約15.9%で超過稼ぎが残るが、AI依存事業を含むためその先の名目成長は加算しない。余剰現金は1億円×戻り方75%だけ加算。
確率:金融システムでライセンスが伸び、暗号資産関連の受託で粗利が上がるうえ、ヘルスケアの販売数量が現在の約9倍に達するという複数の成功が必要である。機能性表示の届出はあるが、広域流通や再購入率の実績はまだ弱いため可能性は低い。
やや楽観 17% 金融の製品化とヘルスケアの黒字化 利益 1 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 244 円18 億円
地場証券向けの業務システムは広く使われ続け、取引所の改修案件も一定程度は確保できる。AIエージェントが試験や文書作成を自動化するため外注工数が増えるわけではないが、同社は既存製品の機能追加を繰り返す。ライセンス販売と商品化された改修が人件費を上回り、金融事業の利益率を改善させる。
「ITはなびらたけ」の販売は広域チェーンの一部へ広がり、出荷換算量が28万パックになる。ドラッグストアで消費者が継続購入し、売上増で固定費の負担が軽くなってヘルスケアは黒字化する。ただし広告投下を抑えながら販路を広げる必要があり、成功確率は高くない。
ビーエス・ジェイの売却で業務ソフトの赤字は縮み、赤字の関連会社も追加資本注入なしで事業を続けられる。会社は大きなM&Aを避け、既存製品の収益化へ投資を集中する。営業利益は復活するが、事業全体が高成長するわけではなく、配当は少額の再開にとどまる。
- 金融ソリューション・取引基盤/保守(推計内訳):数量 39.0(年間稼働システム契約先相当(社、仮説))× 価格 0.23(1契約先相当のライセンス・保守売上(億円/年))→ 売上 9 億円・営業利益 4 億円。操作画面の契約先減少を少なく抑え、単価は1.13倍。
- 金融ソリューション・受託改修/Web3開発(推計内訳):数量 32.0(年間開発案件相当数(件、仮説))× 価格 0.25(1案件当たり売上(億円/件))→ 売上 8 億円・営業利益 2 億円。開発案件は0.91倍でも反復利用が利益率を押し上げる。
- ビジネスソリューション・常駐支援/業務ソフト:数量 10.0(年間稼働技術者数相当(人年、仮説))× 価格 0.21(1人年当たりライセンス等込み売上(億円/人年))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。売却後存続12人年から10人年へ縮小。
- ヘルスケア・ITはなびらたけ製品:数量 280,000(完成品への標準換算出荷パック数(個/年、推計))× 価格 0.00(標準換算1パックの会社売上(億円/個))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。換算28万パックへ拡大し、固定費を吸収して黒字化。
倍率:k8.25%、g_long0%。資本コストをわずかに上回るROE約9.5%であるが、将来の再投資収益が上向く証拠は不足しており、式の正当化PER=1/k=12.12倍とした。営業外の持分法損失は縮小するとし、事業純利益1.386億円×12.12倍+株主に戻る余剰現金0.75億円。
確率:証券会社の基盤契約が減らず、個別開発でも案件の再利用が進み、ヘルスケアが損益分岐点を超える筋書きである。新商品と持分法投資の改善は現時点で十分な金額実績がなく、中心確率より軽くした。
中立 29% 取引システムは残るが全社利益は伸びない 利益 −1 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 91 円7 億円
取引システムは証券会社の日常業務から消えないが、地場証券の統合と注文自動化で有料の操作席数が減る。基盤の稼働契約先相当は少しずつ減り、料金もインフレほどには上がらない。取引所仕様の変更は続く一方、AIエージェントが設計・試験・移行作業を効率化するため、顧客が外注する開発案件は約3分の2に減る。
2026年に売却したビーエス・ジェイの売上は残らず、会社に残ったSI常駐業務も縮小する。ヘルスケアの出荷は増えるものの、広告と研究開発の負担が残って営業黒字化には届かない。市場全体の健康食品需要が伸びても、知られていないブランドに自動的にシェアが集まるわけではない。
金融部門はなお黒字だが、本社管理費は名目物価とともに上がる。デジタルアセットマーケッツなどの関連会社の投資は事業化まで時間を要し、特別利益を恒常利益として見ない。10年後の全社は小幅な損失が続き、利益の成長より純現金と残存する取引基盤が評価の中心になる。
- 金融ソリューション・取引基盤/保守(推計内訳):数量 34.0(年間稼働システム契約先相当(社、仮説))× 価格 0.23(1契約先相当のライセンス・保守売上(億円/年))→ 売上 8 億円・営業利益 3 億円。席/画面型として数量0.85倍・価格1.125倍。入替障壁はあるが継続値上げの証拠なし。
- 金融ソリューション・受託改修/Web3開発(推計内訳):数量 23.0(年間開発案件相当数(件、仮説))× 価格 0.24(1案件当たり売上(億円/件))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。人月・工数型として数量0.657倍、価格1.269倍。成果物の再利用で利益率はやや改善。
- ビジネスソリューション・常駐支援/業務ソフト:数量 8.0(年間稼働技術者数相当(人年、仮説))× 価格 0.19(1人年当たりライセンス等込み売上(億円/人年))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。売却後存続12人年の0.667倍で、単価は2025年比1.203倍。
- ヘルスケア・ITはなびらたけ製品:数量 100,000(完成品への標準換算出荷パック数(個/年、推計))× 価格 0.00(標準換算1パックの会社売上(億円/個))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。出荷数量1.43倍、単価1.28倍でも宣伝・研究費を吸収できず赤字。
倍率:10年後の純損失が続くためPERは意味を持たず、将来自己資本8.0億円×PBR0.82=6.56億円で評価。市場の過去PBRではなく、純現金と契約資産、減耗する稼ぐ力を考慮した資産価値を上限とした。営業利益がマイナスの状態で稼ぐ力への高い評価は付けない。
確率:既存の証券取引システムは残るが、AIによる人月の圧縮と企業IT内製化で追加改修が減り、ヘルスケアも大きくは成功しないという中心的な見込みである。現在の損失の背景を解消する証拠が不足しているので、黒字化を当然の前提としない。
やや悲観 28% 証券顧客が減り、縮小して事業を維持 利益 −1 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 81 円6 億円
顧客の証券会社が合併し、大手システム会社の共通基盤へ取引システムを移す案件が増える。既存ライセンスの契約先が減り、価格競争のため名目の値上げも限られる。受託開発の単純作業はAIエージェントに置き換わり、金融事業の改修案件は半減する。顧客側の内製化も進み、繁忙期だけ要員を高値で売る事業は成立しにくくなる。
ヘルスケアの機能性食品は店頭で定着せず、数量が減って赤字が拡大する。経営陣は事業を続けるために投資を絞り、過去の赤字子会社売却と同様に常駐支援・本社部門の人員を減らす。撤退費用が発生しても資本の全額を失わないよう、現預金の一部を確保する。
10年後の売上は現在より明らかに小さく、利益は戻らない。会社は存続しても成長会社ではなく、既存の金融顧客と残存資産を守る企業へ変わる。損失の中で配当を出すことは想定しない。
- 金融ソリューション・取引基盤/保守(推計内訳):数量 29.0(年間稼働システム契約先相当(社、仮説))× 価格 0.21(1契約先相当のライセンス・保守売上(億円/年))→ 売上 6 億円・営業利益 2 億円。顧客統合と機能の共通化で契約先が大幅に減る。
- 金融ソリューション・受託改修/Web3開発(推計内訳):数量 17.0(年間開発案件相当数(件、仮説))× 価格 0.24(1案件当たり売上(億円/件))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。受託開発案件は0.49倍、価格は低調でも一般物価の一部を転嫁。
- ビジネスソリューション・常駐支援/業務ソフト:数量 6.0(年間稼働技術者数相当(人年、仮説))× 価格 0.18(1人年当たりライセンス等込み売上(億円/人年))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。存続SIの人年が半分、採算はぎりぎり。
- ヘルスケア・ITはなびらたけ製品:数量 60,000(完成品への標準換算出荷パック数(個/年、推計))× 価格 0.00(標準換算1パックの会社売上(億円/個))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。出荷減と固定費で大幅赤字。
倍率:収縮・追加撤退を経た企業として、過去の市場PBRではなく2025年9月期の実体のある自己資本約10.8億円×0.54=5.83億円で算定。10年後自己資本6.1億円にPBRを掛けて膨らませる手法はとらず、稼ぐ力の評価は低く、純現金約4.8億円を下回らない範囲を重視した。
確率:取引基盤で契約減少が加速し、改修案件も半減するが、資金繰りを守るため不採算部門を順次縮小する筋書きである。地場証券の顧客集中と2026年の事業売却を考えると、一定の重みを置くべきである。
悲観 18% 不採算事業を閉じ、金融基盤だけが残る 利益 0 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 72 円5 億円
証券会社の取引画面は業界標準のソフトと自動取引へ移り、TIGERの契約先は大きく減る。残った顧客には安定稼働と法令対応が不可欠だが、その保守契約だけでは以前の開発体制を維持できない。個別開発もAIエージェントと顧客の内製化によって件数が現在の約3分の1に縮む。取引システムが完全に消えるのではなく、同社が高い利益率を生む販路を失う。
デジタルアセット関連の出資は減損や追加損失を経て整理され、ヘルスケアも販路形成に失敗して撤退する。経営陣は営業所や開発チーム、本社の規模を大きく削り、収益規模の縮小に合わせて費用を減らす。これは成長の成功ではなく、現金を残すための守りの処置である。
10年後は金融基盤を少数の顧客へ保守提供する小さな会社になる。年度末の利益はほぼ均衡でも、そこに至る撤退費用と赤字で自己資本は減る。配当や自社株買いはなく、少数株主が期待できるのは換金可能な財産とわずかな保守契約の残価だけだ。
- 金融ソリューション・取引基盤/保守(推計内訳):数量 22.0(年間稼働システム契約先相当(社、仮説))× 価格 0.20(1契約先相当のライセンス・保守売上(億円/年))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。画面・基盤の契約先数は0.55倍に縮小、名目単価は横ばい。
- 金融ソリューション・受託改修/Web3開発(推計内訳):数量 12.0(年間開発案件相当数(件、仮説))× 価格 0.23(1案件当たり売上(億円/件))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。残る開発案件は約0.34倍、コストの大半を削る。
- ビジネスソリューション・常駐支援/業務ソフト:数量 4.0(年間稼働技術者数相当(人年、仮説))× 価格 0.17(1人年当たりライセンス等込み売上(億円/人年))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。小規模な顧客常駐だけを残す。
- ヘルスケア・ITはなびらたけ製品:数量 0.0(完成品への標準換算出荷パック数(個/年、推計))× 価格 0.00(標準換算1パックの会社売上(億円/個))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。ヘルスケアを閉鎖、売上・営業損益をゼロとし、撤退費用は自己資本の減少に含める。
倍率:構造的な敗北と複数事業の撤退を前提に、現在の自己資本約10.8億円×0.48=約5.18億円とする。未来の利益留保で増える自己資本には掛けない。純現金4.8億円を保全するために早期縮小できる場合の床を重視し、暗号資産関連会社株式には確実な売却価値を与えない。10年の配当はゼロ。
確率:暗号資産関連の出資が価値を生まず、地場証券の統合で既存契約を失い、ヘルスケアも撤退する構造的な敗北である。一方、純現金があり、2026年に赤字子会社を実際に処分したため、完全な倒産だけを悲観の基準にはしない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
金融ソリューション・取引基盤/保守(推計内訳)
TIGER、FX、PTS、暗号資産基盤の既存契約・ライセンス・保守。証券の業務を支えるが、UIに価値がある部分も多い。
| 数量年間稼働システム契約先相当(社、仮説) | 価格1契約先相当のライセンス・保守売上(億円/年) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 40.0 | 0.20 | 8 | 3 |
| 10 年後 中立 | 34.0 | 0.23 | 8 | 3 |
取り方:2025年の金融事業売上14.73億円、セグメント利益3.93億円という開示から、ライセンス・保守相当を8.00億円と仮置きした。採用社数・区分別金額は非開示で、40社相当×年0.20億円は推計であって実数ではない。地場中小証券への高い普及というフィスコ調査と日本証券業協会の会員258社が市場の補助情報だが、40を258で割った値は市場シェアではない。AIエージェント代替では、低遅延の執行基盤は存続するとしても、解約率・切替に年単位を要する確証・値上げ実績などの証拠が不足するため「記録の正本」型とせず、操作画面・席課金に準じる型で中立数量0.85倍、価格1.125倍とした。
金融ソリューション・受託改修/Web3開発(推計内訳)
取引所のシステム更新対応、証券・FX顧客の個別開発、Spider Digital Transferなどの受託案件。
| 数量年間開発案件相当数(件、仮説) | 価格1案件当たり売上(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 35.0 | 0.19 | 7 | 1 |
| 10 年後 中立 | 23.0 | 0.24 | 6 | 1 |
取り方:金融事業の報告値14.73億円から、保守・ライセンス仮置き8.00億円を引いた残差6.73億円を受託・追加改修等とみなした。件数・平均契約額は未開示なので35案件×約0.1923億円の換算を使用した。受注額14.48億円、受注残9.12億円は全金融事業の開示であり、この内訳の受注数を示さない。AIエージェント代替は「人月・工数」型で、コーディング・試験の自動化と内製化を踏まえ中立数量35→23件(0.657倍)、価格約1.27倍とした。
ビジネスソリューション・常駐支援/業務ソフト
企業向け常駐IT支援と経営統合情報ソフト。2026年9月に譲渡したビーエス・ジェイ分は将来売上から除外。
| 数量年間稼働技術者数相当(人年、仮説) | 価格1人年当たりライセンス等込み売上(億円/人年) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 16.0 | 0.16 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 8.0 | 0.19 | 2 | 0 |
取り方:2025年開示の事業売上2.58億円、営業損失約0.30億円。単価・人月・席数が非開示なので16人年換算×年0.16125億円とした。うち2026年に売却されたビーエス・ジェイの2025年売上0.646億円、営業損失0.457億円を約4人年相当と推定。2026年以降の存続部分は12人年相当を起点にし、AIエージェント代替「人月」型の中立を8人年(存続部分の0.667倍)、価格を1.20倍とした。経営統合ソフトの席売りの部分もあるが内訳不明で、実証のない「記録の正本」型には移さない。
ヘルスケア・ITはなびらたけ製品
ハナビラタケ由来の原材料、サプリメントと機能性表示食品の製造・卸・販売。実店舗への導入拡大が数量を決める。
| 数量完成品への標準換算出荷パック数(個/年、推計) | 価格標準換算1パックの会社売上(億円/個) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 70,000 | 0.00 | 1 | −1 |
| 10 年後 中立 | 100,000 | 0.00 | 2 | 0 |
取り方:2025年ヘルスケア売上1.04億円、セグメント損失0.51億円を開示と一致させ、原材料やOEM売上も標準サプリ1パック当たり会社手取り約1,486円へ換算した。実際の販売点数・店舗数・卸値は非開示で70,000パックは推計にすぎない。フィスコが紹介する2018〜2023年フェムケア顕在市場約250億円・潜在市場約500億円は比較物差しで、これらに原料OEMを加えた会社の市場シェアは推定不能。AIエージェント代替は主たる製造販売に直接当たらず、中立出荷は100,000パック、卸単価は物価をやや下回る1.28倍とした。
リスクと懸念
AIエージェント代替と顧客の内製化
受託改修・常駐支援の単位は人月や案件である。コード作成、試験、仕様書、取引画面の操作をエージェントが担うと、顧客のシステム更新そのものは続いても外注する工数と席数は減る。ライセンスを使う既存顧客の保守まで一律に消えるとは考えないが、数量と価格の両面に縮みが及ぶ可能性がある。
関連会社の投資損失と資金流出
デジタルアセットマーケッツとAndGoで発生した持分法損失は、2026年6月までの9か月で約1.3億円に達した。特別利益による表面上の最終黒字と本業の収益力を取り違えやすい。追加出資や事業再編に資金が流れれば、預金があっても既存株主の持分価値は減る。
中小証券の統合と大手SIとの競争
地場証券向けの採用実績は強いが、日本証券業協会の証券会社数は長期に増えていない。証券会社が合併し、NRIやシンプレクス等の広い商品群を持つ競争相手へシステムを統合すれば、既存契約も失われる。取引所仕様の更新が受託案件を生む一方、更新終了後は案件の谷がある。
ヘルスケアの商品化と固定費
「ITはなびらたけ」は研究成果や届出によって製品差別化を図るが、広告費、薬局の棚、再購入率が競争力を決める。2025年と2026年の売上は小さく、赤字幅は売上に対して重い。販路が広がらなければ人件費と生産維持費を賄えず、廃棄・評価損や撤退費用を招く。
純現金の見かけと少数株主への帰属
現金約6.8億円と借入約2.0億円の差は安全の源だが、受託案件の前受けや運転資金、赤字を賄う準備金が必要である。約3.7億円の投資有価証券は事業持分を含むため、無条件に税後の換金可能額とみなせない。無配が長く続けば、預金の額と株主へ実際に戻る額は乖離する。
金融取引システムの障害・規制変更
障害やサイバー攻撃は金融機関の売買を止め、損害賠償、信用低下、契約解除に直結する。暗号資産については金融商品取引法などの規制や業者の参入条件が変化しやすい。制度対応は保守収入を生む反面、自社での対応費用と品質責任を増やし、新商品の収益性を左右する。
今後の分かれ目
- 金融事業で契約更新率・顧客数・ライセンス単価の継続上昇が数字で開示されたら
- 基盤の切替障壁と値決め力の証拠が増えるため、取引基盤の数量・価格と長期成長率を上方修正する。AI影響は実際に残る受託部分だけに絞る。
- 金融事業の受託案件・受注残が連続減少してもライセンス料が維持されたら
- 金融基盤と工数売りの二つを切り離して見直す。全社を一律に悪化させず、開発案件数の中立シナリオだけを引き下げる。
- デジタルアセットマーケッツとAndGoの持分法損失が止まり、継続的な配当・利益が確認できたら
- 最終利益の継続性を見直す。増資時の持分変動益だけでは判断せず、受託・ライセンスの売上への寄与を検証する。
- ヘルスケアの出荷数量と販売店数が伸び、セグメント営業黒字が2期続いたら
- 販路拡大による固定費吸収を評価し、中立のヘルスケア売上と利益率を引き上げる。広告費と在庫増が利益を食っていないかを合わせて見る。
- ビーエス・ジェイの譲渡後も全社の本社費が削減されず営業損失が拡大したら
- 撤退で利益が改善する筋書きの根拠が崩れるため、中立の本社費負担を増やし、悲観側の確率を再検討する。
- 年間配当の再開や純利益を上回らない範囲の自社株買いが継続したら
- 余剰現金が少数株主へ戻る根拠ができ、戻り方の係数を0.75から1.0へ再評価する。利益を伴わない一時的還元は永続とみなさない。
見ておくもの
- 金融ソリューション事業の売上・セグメント利益・受注残(2025年9月期9.12億円)
- 保守・ライセンスと開発受託の比率、導入金融機関数、契約更新率と単価改定率
- デジタルアセットマーケッツ・AndGoの持分法損益と追加出資額
- ヘルスケアの出荷パック数、実売店舗数、再購入率、営業損益
- 2026年9月のビーエス・ジェイ譲渡後の本社費・営業費用
- 現預金、借入、投資有価証券、配当・自己株買いの開示
- TOB・上場廃止・GC注記の有無(2026年10月時点で該当する正式発表なし)
倍率と資本コストの決め方
時価総額と比較する前に、2025年9月期の開示された三つの事業売上・利益を起点として、金融事業を保守と受託へ推計分解した。機能性食品の数量、金融顧客の契約先数、開発案件数は開示がなく推計と明記した。2026年に譲渡した子会社の売上を10年先に残さず、全社管理費は物価3%の10年分を概ね反映した。取引画面と受託のAI代替は数量・単価・g_longで扱い、kの寿命にも確率にも二重計上していない。
基礎資本コストは7.5%、事業品質調整後は8.25%とし、10年後に利益が黒字である上側は長期名目成長率0%で正当化PER約12.12倍を用いた。過去や同業の市場PERから逆算していない。中立以下は継続的な営業損失を想定するため将来の自己資本や現在の売れる資産をもとにPBRで評価した。投資有価証券の未確定な処分益は加えていない。新リース基準で負債表示は変わるが、営業費用と価値は同じ形で比べた。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債3%、ERP4.5%の基礎7.5%に事業品質+0.75%を加算。損失継続は筋書きに反映し、現時点でGC注記がなく純現金があるため危機上乗せはしない。