結論
JBCCは、中堅企業にクラウド運用、セキュリティ、基幹システム、機器をまとめて提供する会社だ。筆者の結論は割高で、近年の増益を支えた毎月課金のクラウド運用が、技術者の時間で回っていてAIエージェントの置き換えを受けること、機器販売とSIが先に削られることが理由だ。
売上の約6割のサービス(クラウド・セキュリティ)は、クラウド移行の需要が当面強いので、数量は今の0.80倍と軽めにした。SIは人月型で0.66倍。ハード販売と製品開発は更新の波が縮み、数量0.70倍・価格1.05倍とした。営業利益率は4%台から9.6%まで上がったが、その上昇は機器の比重が下がった分で、人月の単価が上がった結果ではない。
中立の売上は今の0.91倍の694億円、純利益は47億円。資本コストは7.25%、本質価値は1,271億円に対して435億円で、差は-66%。純現金は前受金と運転資金の裏付けがあり、余った現金には分けていない。やや悲観と悲観の確率は40%。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で、JBCCは「良い会社になりつつあるが、堀はまだ浅い」と見る。
良い点は、ストック収益の積み上げと、高い資本効率、薄い借金だ。経営者が還元に前向きで、利益が増えても資本を抱え込まない。これは株主にとって望ましい。
気になる点は、利益の質だ。営業利益率は10年前の2%台から9.6%まで上がったが、2010年前後には1%台まで落ちた実績がある。景気とIT予算の波に弱い事業の構造は残る。今の高い利益率が続くと決めつけるのは危ない。
さらに、株価はこの1年で大きく動き、純資産倍率は5倍を超えた。市場は成長の先取りを強く織り込んでいる。筆者は、事業の経済性から価値を測り、その見通しがおおむね値段に入っていると見る。
安全域は薄い。純現金は大きな支えだが、時価総額の1割強にすぎない。値段が事業の価値を明確に下回る水準まで下がれば、保有を考える会社だ。今はその水準にない。
何で稼ぐ会社か
JBCCの稼ぎ口は4つある。いちばん大きいのはサービスで、全体の6割近くを占める。AWS・Azure・Google Cloudを組み合わせるマルチクラウドの移行と運用、ゼロトラスト型のセキュリティが中心だ。毎月課金が続くので、利益が読みやすい。会社の説明では、この領域は市場の2倍以上の速さで伸びている。
次にSIがある。自社の「超高速開発」という手法で、顧客の基幹システムを作る。既存のプログラムを部品として再利用するため、工期が短い。富士通のメインフレーム撤退に伴う刷新案件も取り込んだ。注力する4つの業種に絞り、利益率を上げる方針だ。
システムは、サーバーやPCなどの機器販売だ。更新需要で売上が振れ、利益率も低い。ただ、ここで機器を納めた顧客に、クラウドや運用を売る入口になっている。製品開発製造は、プリンターと自社ソフトの小さな事業だ。
顧客の中心は、売上1,000億〜2,000億円ほどの中堅企業である。大企業向けのITは大手が押さえ、小さな会社は自分で手が回らない。その間の層を狙っている。事業会社は9社で、離職率は4%と低いと会社は説明する。
優良さと弱いところ
JBCCの質は、はっきり良くなってきている。ただ、堀(他社がまねできない強み)は強くない。
良い点は3つある。第一に、ストック売上が半分を超え、解約の少ない運用収益が土台になった。第二に、資本の効率が高い。自己資本利益率は21%で、事業に多くの設備や在庫を要しない。第三に、純現金が167億円あり、借金の心配がない。
悪い点もある。クラウドの運用は、AWSなど大手の標準サービスとの価格競争を受けやすい。SIは人の数に利益が比例するので、生成AIで工数が減ると単価が下がる。機器販売は粗利が薄い。
野村総合研究所のように、金融の基幹システムで乗り換えが事実上できない地位にはない。顧客は中堅企業で、IT予算は景気で振れる。筆者は、堀は普通の水準と見ている。
経営の姿勢は評価できる。人への投資を過去の1.5倍に増やしつつ、配当性向を45%以上に置き、自社株買いも続けている。利益率を上げる施策が具体的で、実績も出ている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のITサービス市場は7.5兆円ほどで、年6%前後で伸びると見込まれる。需要を引っ張るのは、古い基幹システムの刷新、クラウドへの移行、セキュリティだ。技術者が足りず、単価は物価より上がりやすい。
JBCCが主戦場とするクラウド運用は、市場の成長が年17%と速い。セキュリティは年7%ほどだ。会社はどちらも市場を大きく上回る伸びを出している。ただし、市場より速いのは小さな土台から伸びているためで、10年は続かない。
競合は、大塚商会、TIS、SCSK、日鉄ソリューションズ、BIPROGYなど多い。大塚商会は中小企業向けの機器販売と保守で、JBCCと客層が近い。大手のSIerは大企業向けが主で、中堅向けは手薄になりやすい。ここにJBCCの居場所がある。
最大の構造変化は生成AIだ。開発の工数が減れば、人月で稼ぐSIの単価が下がる。一方で、AIを使う側の移行・運用の需要は増える。JBCCの超高速開発はAIで生産性を上げる施策を掲げているが、効果はこれから確かめる段階にある。
なお、富士通のメインフレーム撤退は、JBCCに20億円超の刷新案件をもたらした。ただ、この種の一時的な需要は10年の成長に数えない。
【AIエージェント代替】クラウド移行の需要が続いても、運用の人手はAIエージェントで減る。JBCCは中立で売上が今の0.91倍とみた。
資本政策と M&A
資本の使い方は、株主に厚く返す形だ。2026年3月期の配当性向は49%だった。2027年3月期は6期連続の増配を予定する。さらに30億円の自社株買いを2026年3月までに終えた。還元の合計は、純利益とほぼ同額に近い。
中期経営計画「CHALLENGE 2026」は、配当性向45%以上、ROE20%以上、営業利益率11%以上を掲げる。人への投資を3年で25億円とし、採用・育成・処遇改善に回す。大型のM&Aで成長を買う方針は、少なくとも見えていない。
純現金が167億円ある。時価総額の1割を超えるが、機器販売の買掛金や、前受けの保守・クラウド契約などの運転資金が裏にあると見て、余った現金には分けなかった。
大株主は、信託銀行の信託口が14%ほどで最大だ。支配株主や親会社は確認できていない。他社に買収される可能性は、市場の計算では10年で2割弱とされるが、筆者は価値に織り込んでいない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
JBCCは中堅企業のIT丸ごと外注という、大手が手薄な場所で勝っている。クラウドは市場の2倍以上、セキュリティは5倍の速さで伸び、ストック比率は51%に達した。この比率が60%に上がれば、利益は景気に左右されにくくなる。
利益率は10年前の2%から9.6%へ上がり、会社は11%を計画する。クラウド運用は解約が少なく、顧客1社あたりの取引が増えるほど利益率が高まる。SIも超高速開発の比率が75%に近づき、粗利が10ポイント上がる。
生成AIは、JBCCにとって逆風だけでなく追い風でもある。AIを使いこなせない中堅企業は、運用を任せる先を必要とする。自社の開発もAIで速くなり、人月の利益が増える。
還元は純利益に近く、自社株買いで株数も減る。借金はなく、純現金も厚い。この体質のまま利益が2倍以上になれば、株主の取り分は大きく増える。会社が掲げる配当性向45%以上の方針も、利益が増えれば配当の額を押し上げる。
慎重な見方
今の利益率は、5期連続の最高益という好調の頂点に近い。会社の営業利益率は2010年前後に1%台まで落ち、SIとハード販売の事業は景気で簡単に傾く。いま見えている好調を10年伸ばして考えるのは危険だ。
生成AIは、人月で稼ぐSIの商売を直撃する。開発の工数が減れば、単価も売上も落ちる。クラウド運用も、AWSなどが標準の運用サービスを強めれば、JBCCの再販マージンは薄くなる。顧客を奪われても、他社に乗り換えさせない堀はない。
さらに、市場が景気の波を忘れている点も大きい。株価の純資産倍率は5倍を超え、ストックの積み上げをほぼ全部織り込んでいる。成長が少しでも鈍れば、倍率の縮みで株価が大きく下がる。
人件費の上昇と採用難で、人への投資が利益を削る。中堅の会社は、人を抱える固定費が重い。景気後退でアサインが落ちると、利益は半分になりうる。しかも、一度落ちた利益率が戻るまでには何年もかかるのが、この業界の過去の姿だった。
どちらに重みを置いたか
強気は5期連続の最高益とストック売上の拡大を言い、慎重は機器とSIの人月、運用の手作業の置き換えを言う。クラウド移行の需要は当面強いので、サービスの縮みは軽めに置いた。一方、利益率の上昇は機器の比重低下の結果で、人月の単価が上がったわけではない。やや悲観と悲観の確率は40%、差は-66%。強気が当たるのは、AI関連の売上が金額で出た時だけだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,031 円623 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 574 円347 億円)。 今の値に割り戻すと 917 円554 億円、今との差 −61.0%、 期待の年率 −3.7%(資本コスト 7.2%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 1,671 円1,010 億円 | 748 円452 億円 | +2.9% | +0.3% | 145 円88 億円 |
| やや楽観 | 19% | 1,428 円863 億円 | 670 円405 億円 | −10.8% | −1.1% | 399 円241 億円 |
| 中立 | 35% | 1,234 円746 億円 | 615 円372 億円 | −21.3% | −2.4% | 647 円391 億円 |
| やや悲観 | 26% | 734 円444 億円 | 501 円303 億円 | −47.5% | −6.2% | 321 円194 億円 |
| 悲観 | 14% | 262 円159 億円 | 402 円243 億円 | −71.8% | −11.9% | 93 円56 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,031 円623 億円 | 574 円347 億円 | −31.7% | −3.7% | 1,605 円970 億円 |
今の株価時価総額 2,351 円1,421 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 6% クラウド移行の需要が続き、減りが小さい 利益 68 億円 · PER 13.6 倍 · 株価時価総額 1,671 円1,010 億円
クラウド移行の需要が長く続き、運用をAIエージェント込みの定額サービスにして減りを抑える筋書き。サービスの数量は今の1.00倍、SIが0.86倍。AIを自社の売り物にして金額が出ている開示は確かめられないので、今以上には置かない。ストック売上の比率が6割に届く。 内訳はサービス=数量1.00倍・価格1.34倍・利益率12.1%、SI=数量0.86倍・価格1.36倍・利益率7.9%、システム=数量0.91倍・価格1.12倍・利益率3.7%、製品開発製造=数量0.91倍・価格1.12倍・利益率3.9%。 この筋書きの確率は6%。結果は、売上が今の1.24倍の942億円、営業利益93億円、純利益68億円、自己資本406億円、10年の還元452億円、時価総額931億円(PER13.61倍)。
- サービス(クラウド・セキュリティ):数量 900(担当人員(人))× 価格 6,613(1人当たり売上(万円))→ 売上 595 億円・営業利益 72 億円。数量1.00倍・価格1.34倍・営業利益率12.1%(人月と記録の正本の混合)
- SI(超高速開発):数量 601(担当人員(人))× 価格 3,339(1人当たり売上(万円))→ 売上 201 億円・営業利益 16 億円。数量0.86倍・価格1.36倍・営業利益率7.9%(人月型)
- システム(ハード販売):数量 273(担当人員(人))× 価格 4,606(1人当たり売上(万円))→ 売上 126 億円・営業利益 5 億円。数量0.91倍・価格1.12倍・営業利益率3.7%(席課金・製品販売型)
- 製品開発製造:数量 91.0(担当人員(人))× 価格 2,247(1人当たり売上(万円))→ 売上 20 億円・営業利益 1 億円。数量0.91倍・価格1.12倍・営業利益率3.8%(席課金・製品販売型)
倍率:事業の純利益 68 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 21.7% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 14.5%、10 年より先の名目の伸び g -0.2% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.6 倍。全体の PER 13.61 倍、時価総額 931 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AIを自社の売り物にした金額の開示は無く、楽観でも数量は今以下。6%。
やや楽観 19% ストック売上が粘り、SIの一部が成果報酬へ 利益 56 億円 · PER 13.6 倍 · 株価時価総額 1,428 円863 億円
クラウド運用のストックが粘り、SIの一部が成果報酬へ移る。サービスは数量0.90倍・価格1.29倍、SIは数量0.74倍。機器販売は更新の波が小さくなっても、運用契約の入り口としては残る。 内訳はサービス=数量0.90倍・価格1.29倍・利益率11.6%、SI=数量0.74倍・価格1.31倍・利益率7.5%、システム=数量0.78倍・価格1.08倍・利益率3.5%、製品開発製造=数量0.78倍・価格1.08倍・利益率3.5%。 この筋書きの確率は19%。結果は、売上が今の1.05倍の801億円、営業利益76億円、純利益56億円、自己資本390億円、10年の還元405億円、時価総額760億円(PER13.62倍)。
- サービス(クラウド・セキュリティ):数量 806(担当人員(人))× 価格 6,366(1人当たり売上(万円))→ 売上 513 億円・営業利益 59 億円。数量0.90倍・価格1.29倍・営業利益率11.6%(人月と記録の正本の混合)
- SI(超高速開発):数量 517(担当人員(人))× 価格 3,214(1人当たり売上(万円))→ 売上 166 億円・営業利益 13 億円。数量0.74倍・価格1.31倍・営業利益率7.5%(人月型)
- システム(ハード販売):数量 235(担当人員(人))× 価格 4,434(1人当たり売上(万円))→ 売上 104 億円・営業利益 4 億円。数量0.78倍・価格1.08倍・営業利益率3.5%(席課金・製品販売型)
- 製品開発製造:数量 78.4(担当人員(人))× 価格 2,163(1人当たり売上(万円))→ 売上 17 億円・営業利益 1 億円。数量0.78倍・価格1.08倍・営業利益率3.6%(席課金・製品販売型)
倍率:事業の純利益 56 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 20.6% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 13.9%、10 年より先の名目の伸び g -0.2% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.6 倍。全体の PER 13.62 倍、時価総額 760 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:クラウド運用のストックが粘る筋書き。19%。
中立 35% クラウド運用は残るが、SIと機器販売が縮む 利益 47 億円 · PER 13.6 倍 · 株価時価総額 1,234 円746 億円
クラウド運用の手作業とSIの開発をAIエージェントが肩代わりし、数量が減る。サービスは数量0.80倍・価格1.25倍、SIは数量0.66倍。機器販売は数量0.70倍、価格1.05倍と縮み、全体の利益率は少し下がる。 内訳はサービス=数量0.80倍・価格1.25倍・利益率11.2%、SI=数量0.66倍・価格1.27倍・利益率7.4%、システム=数量0.70倍・価格1.05倍・利益率3.4%、製品開発製造=数量0.70倍・価格1.05倍・利益率3.4%。 この筋書きの確率は35%。結果は、売上が今の0.91倍の694億円、営業利益64億円、純利益47億円、自己資本379億円、10年の還元372億円、時価総額641億円(PER13.63倍)。
- サービス(クラウド・セキュリティ):数量 720(担当人員(人))× 価格 6,181(1人当たり売上(万円))→ 売上 445 億円・営業利益 50 億円。数量0.80倍・価格1.25倍・営業利益率11.2%(人月と記録の正本の混合)
- SI(超高速開発):数量 462(担当人員(人))× 価格 3,121(1人当たり売上(万円))→ 売上 144 億円・営業利益 11 億円。数量0.66倍・価格1.27倍・営業利益率7.3%(人月型)
- システム(ハード販売):数量 210(担当人員(人))× 価格 4,305(1人当たり売上(万円))→ 売上 90 億円・営業利益 3 億円。数量0.70倍・価格1.05倍・営業利益率3.4%(席課金・製品販売型)
- 製品開発製造:数量 70.0(担当人員(人))× 価格 2,100(1人当たり売上(万円))→ 売上 15 億円・営業利益 1 億円。数量0.70倍・価格1.05倍・営業利益率3.5%(席課金・製品販売型)
倍率:事業の純利益 47 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 18.2% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.7%、10 年より先の名目の伸び g -0.2% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.6 倍。全体の PER 13.63 倍、時価総額 641 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:運用が残りSIと機器が縮む中心の筋書き。35%。
やや悲観 26% 顧客の内製とクラウド大手の直販で細る 利益 28 億円 · PER 13.4 倍 · 株価時価総額 734 円444 億円
顧客が運用をAIエージェントで内製し、クラウド大手の直販にも押されて、数量と単価が同時に下がる。サービスの数量は0.68倍、価格は1.19倍、利益率は8.4%に落ちる。機器販売は大きく落ちる。 内訳はサービス=数量0.68倍・価格1.19倍・利益率8.4%、SI=数量0.56倍・価格1.21倍・利益率5.5%、システム=数量0.59倍・価格1.00倍・利益率2.6%、製品開発製造=数量0.59倍・価格1.00倍・利益率2.5%。 この筋書きの確率は26%。結果は、売上が今の0.74倍の561億円、営業利益39億円、純利益28億円、自己資本355億円、10年の還元303億円、時価総額379億円(PER13.35倍)。
- サービス(クラウド・セキュリティ):数量 612(担当人員(人))× 価格 5,871(1人当たり売上(万円))→ 売上 359 億円・営業利益 30 億円。数量0.68倍・価格1.19倍・営業利益率8.4%(人月と記録の正本の混合)
- SI(超高速開発):数量 393(担当人員(人))× 価格 2,964(1人当たり売上(万円))→ 売上 116 億円・営業利益 6 億円。数量0.56倍・価格1.21倍・営業利益率5.5%(人月型)
- システム(ハード販売):数量 179(担当人員(人))× 価格 4,090(1人当たり売上(万円))→ 売上 73 億円・営業利益 2 億円。数量0.59倍・価格1.00倍・営業利益率2.6%(席課金・製品販売型)
- 製品開発製造:数量 59.5(担当人員(人))× 価格 1,995(1人当たり売上(万円))→ 売上 12 億円・営業利益 0 億円。数量0.59倍・価格1.00倍・営業利益率2.6%(席課金・製品販売型)
倍率:10年より先の名目の伸びg-0.20%(人月は0%・席は0〜−1%。実質の縮みは10年の数量に入れ済み)で、利益を全部株主に分ける形の正当化PER=1÷(k−g)=1÷(8.5%+0.20%)=13.35倍(事業のROE8.0%、RONICは使わない)。AIエージェント代替はgと別に数量・k・確率へ入れ済みで、PERの上に割引は重ねない。
確率:内製と直販で数量・単価が下がる筋書き。26%。
悲観 14% 運用とSIの大半が置き換わり、機器販売は消える 利益 12 億円 · PER 13.1 倍 · 株価時価総額 262 円159 億円
運用とSIの大半をAIエージェントが置き換え、売上は今の半分前後に縮む。機器販売はほぼ消え、利益率は一桁になる。前受金の裏付けがある純現金は、床としては限られる。 内訳はサービス=数量0.52倍・価格1.10倍・利益率5.0%、SI=数量0.43倍・価格1.12倍・利益率3.3%、システム=数量0.46倍・価格0.92倍・利益率1.5%、製品開発製造=数量0.46倍・価格0.92倍・利益率1.2%。 この筋書きの確率は14%。結果は、売上が今の0.52倍の397億円、営業利益16億円、純利益12億円、自己資本334億円、10年の還元243億円、時価総額158億円(PER13.1倍)。
- サービス(クラウド・セキュリティ):数量 468(担当人員(人))× 価格 5,439(1人当たり売上(万円))→ 売上 255 億円・営業利益 13 億円。数量0.52倍・価格1.10倍・営業利益率5.0%(人月と記録の正本の混合)
- SI(超高速開発):数量 300(担当人員(人))× 価格 2,746(1人当たり売上(万円))→ 売上 83 億円・営業利益 3 億円。数量0.43倍・価格1.12倍・営業利益率3.3%(人月型)
- システム(ハード販売):数量 137(担当人員(人))× 価格 3,788(1人当たり売上(万円))→ 売上 52 億円・営業利益 1 億円。数量0.45倍・価格0.92倍・営業利益率1.5%(席課金・製品販売型)
- 製品開発製造:数量 45.5(担当人員(人))× 価格 1,848(1人当たり売上(万円))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。数量0.45倍・価格0.92倍・営業利益率1.6%(席課金・製品販売型)
倍率:10年より先の名目の伸びg-0.20%(人月は0%・席は0〜−1%。実質の縮みは10年の数量に入れ済み)で、利益を全部株主に分ける形の正当化PER=1÷(k−g)=1÷(8.5%+0.20%)=13.1倍(事業のROE3.6%、RONICは使わない)。AIエージェント代替はgと別に数量・k・確率へ入れ済みで、PERの上に割引は重ねない。
確率:運用とSIが置き換わる筋書き。14%、合わせて40%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
サービス(クラウド・セキュリティ)
クラウド(AWS・Azure・Google Cloud)の移行・運用とセキュリティなど、毎月課金で積み上がるストック型の事業。成長の中心。
| 数量担当人員(人) | 価格1人当たり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 900 | 4,944 | 445 | 52 |
| 10 年後 中立 | 720 | 6,181 | 445 | 50 |
取り方:2025/3期のサービス売上386億円(前年比+18%)に2026/3期の伸びを乗せ、全社760億円から445億円と推定。人数は社員約2,000名を按分した推定で、価格は1人当たり売上(万円)。クラウド利用料の再販を含む。営業利益も推定。 【AIエージェント代替の見直し】サービス(クラウド・セキュリティ。売上445億円、58%)は毎月課金だが運用の人手が6割。クラウド移行の需要が強い間は粘るので、中立で数量0.80倍・価格1.25倍。
SI(超高速開発)
自社の超高速開発の手法で、中堅企業の基幹システムを作る。メインフレームからの刷新案件も含む。
| 数量担当人員(人) | 価格1人当たり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 700 | 2,457 | 172 | 14 |
| 10 年後 中立 | 462 | 3,121 | 144 | 11 |
取り方:2025/3期のSI売上171億円(−5%)から172億円と推定。超高速開発と富士通メインフレーム撤退に伴う刷新案件を含む。人数700名は按分の推定。営業利益も推定。 【AIエージェント代替の見直し】SI(超高速開発。売上172億円、23%)は人月型。中立で数量0.66倍・価格1.27倍。
システム(ハード販売)
サーバーやPCなどの機器の販売。更新需要の波が大きく、中長期では縮む。
| 数量担当人員(人) | 価格1人当たり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 300 | 4,100 | 123 | 6 |
| 10 年後 中立 | 210 | 4,305 | 90 | 3 |
取り方:2025/3期のシステム売上122億円(−3%)から123億円と推定。サーバー・PCなどの販売で、人数300名は按分の推定。営業利益も推定。 【AIエージェント代替の見直し】システム(ハード販売。売上123億円、16%)は更新の波が大きく中長期で縮む製品販売型。中立で数量0.70倍・価格1.05倍、利益率は今の5%から3.4%へ。
製品開発製造
プリンターと自社ソフトの開発製造。小さく、減る傾向。
| 数量担当人員(人) | 価格1人当たり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 2,000 | 20 | 1 |
| 10 年後 中立 | 70.0 | 2,100 | 15 | 1 |
取り方:製品開発製造(プリンターと自社ソフト)の売上は20億円前後で横ばい。人数100名は按分の推定。営業利益も推定。 【AIエージェント代替の見直し】製品開発製造(プリンターと自社ソフト。売上20億円)は小さく減る傾向の製品販売型。同じく数量0.70倍・価格1.05倍。
リスクと懸念
AIエージェント代替(運用の手作業・SI・機器の再販)
JBCCの稼ぎは、クラウド運用の技術者、人月のSI、機器の販売にある。AIエージェントは運用の手作業とSIの開発を肩代わりし、機器はクラウド直販に移る。クラウド移行の需要が当面ある分、サービスは軽めに置いたが、中立の売上は今の0.91倍、悲観では0.52倍とした。
クラウド大手との競合
運用の入口は、AWSなどクラウド事業者の標準サービスだ。大手が運用の自動化を強めれば、再販のマージンが薄くなる。顧客がクラウド事業者と直接契約を結ぶ動きも、小さな再販業者にとっては脅威になる。
景気とIT予算の波
中堅企業のIT予算は景気で振れやすい。2008〜2010年には営業利益率が1%台まで落ちた。今の高い利益率は景気の良さに支えられた面もあり、後退期には新規の開発が先送りされ、機器の更新も止まる。
機器販売と富士通特需の反動
機器販売は粗利が薄く、更新需要の波が大きい。富士通のメインフレーム撤退で出た刷新案件は一時的で、一巡すればSIの売上が落ちる。足元の最高益には、この特需が含まれる。
人材の確保と人件費
技術者は不足し、採用と処遇の費用が増え続ける。会社は3年で25億円の人への投資を決めた。離職率は低いが、採用難で人件費が売上より速く増えれば、営業利益率の上昇を抑える。
株価の期待先行とリース
株価の純資産倍率は5倍を超えた。中期経営計画の達成がすでに織り込まれており、少しの未達でも倍率の縮みで株価が大きく動く。また、リース契約の約束額は確認できておらず、本社や拠点の家賃が固定費として残る。
今後の分かれ目
- ストック比率が2027年3月期に60%へ届いたら
- 利益の安定度が上がったとみて、やや楽観側の確率を引き上げる。
- クラウド運用の再販マージンが下がり始めたら
- 大手との競合が本格化したとみて、やや悲観・悲観側に確率を移す。
- 超高速開発の比率が75%に近づき、SIの粗利が上がったら
- AIを味方にできたとみて、SIの利益率の前提を引き上げる。
- 営業利益率が11%に届かず停滞したら
- 中期経営計画の施策に無理があったとみて、中立の確率を下げる。
- 自社株買いや増配が続けられなくなったら
- キャッシュ創出力の弱まりとみて、悲観側を重く見直す。
- 買収で成長を買う方針に転じたら
- 資本の使い方が変わるため、価値を見直し、買収の中身を確かめる。
- ストック売上の比率が6割に届き、解約率が低いまま保たれたら
- サービスの数量前提を上げて見直す。
- クラウド運用の契約更新で単価の引き下げが増えたら
- やや悲観と悲観の確率を上げる。
見ておくもの
- ストック売上比率(51%→60%)と営業利益率(9.6%→11%)の進み具合
- クラウドとセキュリティの売上の伸び(市場の2倍以上を保てるか)
- 超高速開発の比率と、SIの粗利率の動き
- 配当性向と自社株買いの継続、自己資本の積み上がり方
- ストック売上の比率と解約率、SIの人月単価
倍率と資本コストの決め方
倍率は10年先の名目の伸びg=−0.2%(機器の比重を加味)の式 1÷(k−g) で出し、過去のPERや同業の値付けは使っていない。kは基本7.5%に寿命+1.0%(人月の下限)を足した8.50%。AI代替は数量に主に入れ、確率とgで重ねなかった。今の株価との差は狙っていない。リース会計の形は今と同じ。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.49→13.61 倍・やや楽観 PER 11.49→13.62 倍・中立 PER 11.49→13.63 倍・やや悲観 PER 11.49→13.35 倍・悲観 PER 11.49→13.1 倍)。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に優良度の調整+0.25%を足した7.75%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 8.25%。