結論
マーベラスは、家庭用ゲーム、キッズアミューズメント、アニメ・舞台を手掛ける総合エンターテインメント企業である。筆者の結論は「やや割安」だ。2026年8月の自己株式取得を反映した時価総額は約304億円であり、10年先の事業価値と株主還元を現在価値に直した評価額は約384億円となる。ただし、その差は経営再建が一定程度進むことを前提とする。単純な資産株でも、安心して成長を待てる優良株でもない。
最大の収益源は、実は家庭用ゲームではなく『ポケモンフレンダ』を中心とするアミューズメント事業だ。同事業は2026年3月期に約127億円を売り上げ、約32億円のセグメント利益を稼いだ。国内の累計プレイ回数が2億回を超えた実績は強い需要の証拠である。一方、ゲームを開発・販売するデジタルコンテンツ事業は約205億円を売り上げながら赤字だった。売上規模よりも、作品ごとの開発投資を回収できるかが企業価値を左右している。
『牧場物語』『ルーンファクトリー』には長年積み上げたブランドがある。しかし、ゲームの開発費が膨らむ中で、新作を発売すれば利益が出るわけではない。2026年3月期には複数の不振作品で償却負担が発生した。さらに2026年7月、テンセントとの資本業務提携が解消され、共同開発タイトルの一部も中止された。海外展開の成長機会と同時に、提携相手に依存する事業の脆さが浮き彫りになった。
長期の価値を支えるのは、資金力だけではない。収益性の高いアミューズメントを維持し、ゲームの投資規律を回復させ、アニメの二次利用収入を積み上げられるかである。中立では10年後の営業利益が約51億円まで改善すると考えるが、ポケモン関連の契約が弱まれば、この見通しは大きく崩れる。確率は上振れより下振れを厚くした。それでも現在の株価には、事業再建が成功する場合の利益と保有現金が十分には織り込まれていないと判断する。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の見方では、まず『ポケモンフレンダ』から生まれる利益を、マーベラス自身が永久に支配できる利益と考えてよいかを問うべきだ。ゲーム機の開発力、供給網、継続的な運営経験は強みである。しかし、利用者が求めているのはマーベラスという会社の名前よりもポケモンという作品だ。契約を維持できれば収益は続くが、契約条件を決める力には限界がある。これは所有するブランドと借りているブランドの根本的な違いである。
自社IPの『牧場物語』『ルーンファクトリー』には、より長く持てる資産としての魅力がある。世代を超えて遊ばれる作品なら、過去作の移植、続編、商品化などから継続的に収入を得られる。ただし、製品を作るための費用が重く、新作が失敗すると数年分の利益を失う可能性がある。真のオーナー利益は、会計上の純利益から新作開発と既存作品の維持に必要な支出を考えた残りで測らなければならない。
再投資の巧拙には厳しい評価を下す。『DAEMON X MACHINA TITANIC SCION』や『ブラウザ三国志 天』の不振は、売上の規模を追っても資本の価値が増えないことを示した。長期の株主に必要なのは、売上目標の引き上げではなく、開発案件の採算管理と撤退の速さである。2025年に旧中期計画を取り下げたことも、予測能力に限界があった証拠として扱う。
一方で、2026年の自己株式取得は、現金を漫然と保有するより株主価値を意識した行動として評価できる。財務に余裕があり、資金調達に追われず事業の立て直しを進められることも長所だ。ただし、少数株主は余剰現金の使途を自由には決められない。経営が再び収益性の低い開発や買収に資金を投じれば、この現金の価値は失われる。
結論として、優良企業に払う高い評価ではなく、現金と再建可能な事業の価値を見て評価する会社である。ポケモン関連の収益と自社IPの寿命を10年先まで確信するのは難しい。それでも保守的に現金を分け、採算改善の可能性を限定的に認めれば、現在の時価総額には一定の安全域がある。これは堀の広い安定成長企業を持つ場合とは異なる、監視を続ける必要のある長期投資である。
何で稼ぐ会社か
マーベラスには三つの報告セグメントがある。デジタルコンテンツ事業、アミューズメント事業、音楽映像事業である。2026年3月期の売上高はそれぞれ約205億円、127億円、48億円だった。価値を考える際には、デジタルコンテンツを自社ゲーム販売、オンラインゲーム運営、受託開発に分ける必要がある。同じ売上でも、作品の権利を持つ事業と人の開発工数を売る事業では、長期の経済性が違うためだ。
家庭用ゲームでは『牧場物語』『ルーンファクトリー』を長年展開する。『牧場物語 Let's!風のグランドバザール』は発売後に世界累計出荷50万本を突破した。北米のMarvelous USA、欧州のMarvelous Europeを通じた海外販売も行う。買い切り型ゲームの収益は販売本数と実質的な販売単価で決まるが、発売時期に売上が集中し、開発費の回収には大きなばらつきがある。オンラインでは『ドルフィンウェーブ』などを運営し、継続課金を得る一方、新作の失敗時には開発資産の償却が必要となる。
アミューズメントでは、タカラトミーアーツと共同開発する『ポケモンフレンダ』が重要な位置を占める。機器やゲーム用配出物を施設事業者などへ供給し、稼働回数が増えるほど継続的な商品需要が発生する。『ポケモンメザスタ』の海外展開も進んでおり、2026年3月期には海外の収益が国内を上回る水準へ成長した。ただし、ポケモンの知的財産権をマーベラスが所有しているわけではない。高い収益性の源が、同社だけでは支配できない契約関係にある。
音楽映像では、『プリキュア』関連作品、アニメ製作出資、映像配信、商品化、舞台・ミュージカルを扱う。『テニスの王子様』『刀剣乱舞』などの舞台シリーズは、繰り返し公演を行える収益基盤である。アニメでは放送時の売上だけでなく、過去作品の海外配信や商品化などの二次利用収入が利益を支える。制作・興行には人件費と権利料が必要だが、成功した作品の権利収入は比較的追加費用が少なく、収益性が高い。
なお、デジタルコンテンツには他社向けの受託開発も含まれる。2026年3月期の受注高は約24億円であり、全社売上の6%程度に相当する規模だった。ただし受注高は当期売上高と同じではない。後述の受託開発の売上配分は推計であり、この部分の評価には他のセグメントより大きな不確実性がある。
優良さと弱いところ
競争上の強みは、長寿の自社IPと、ポケモン関連アミューズメントの開発・供給実績にある。『牧場物語』は2026年にシリーズ30周年、『ルーンファクトリー』は20周年を迎えた。過去作品の世界観を継承できるため、新作を毎回無名の作品として売り出す必要がない。この認知度は販売促進費を抑え、一定の初期需要を確保する助けとなる。ただし、カプコンの世界的な大型シリーズほどの販売規模や、強い追加課金の仕組みがあるわけではない。
『ポケモンフレンダ』には、ヒット商品を継続的に運営している強みがある。累計プレイ回数2億回という実績は、新しい配出物を投入するたびに利用者を呼び戻せる可能性を示す。ゲーム機の設置、店舗との関係、商品の供給体制も競争上の利点となる。しかし、ブランドそのものは外部IPである。契約更新時に条件が悪化したり、共同開発相手が変わったりすれば、収益性は急に低下しうる。強い商品はあるが、企業全体に永久的な堀があるとは言えない。
資本効率の低下は見逃せない。2016年から2018年には営業利益率が17~20%程度あったが、2026年3月期は5.9%にとどまった。2024年3月期には最終赤字も経験した。2026年3月期の営業利益は約22億円にとどまり、純利益には為替など営業外要因の押し上げもあった。利益率の高かった時代の実績を、そのまま将来の収益力と見なすことはできない。
財務は大きな長所である。2026年6月末の現金・預金は約169億円で、実質的な有利子負債はほとんどない。2026年8月に約22億円の自己株式取得を実行した後も、相応の開発資金を確保できる。ただし、ゲーム開発資産やアミューズメント機器への投資は継続する必要があり、現金の全額が株主に自由に配れるわけではない。
増分の資本利益率は事業間で大きく異なる。好調なアミューズメントの追加投資は高い利回りを生む可能性があるが、不振の新規ゲーム開発では資本コストを下回る。今後の評価を決めるのは、売上の成長率よりも、経営陣が期待収益率の低い開発案件を早期に止められるかである。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
世界のゲーム市場は拡大している。『ファミ通ゲーム白書2026』によれば、2025年の世界ゲームコンテンツ市場は約32.1兆円、国内市場は約2.59兆円だった。世界市場の拡大はPCゲーム、モバイルゲーム、家庭用ゲームの複合的な成長による。マーベラスのデジタルコンテンツ売上は世界市場に対して約0.06%という規模であり、大手との比較では小さな事業者である。ただし、同社には生活シミュレーションや日本型のキャラクター作品など、独自の顧客層がある。
競合は任天堂、カプコン、コナミグループ、セガサミー、バンダイナムコなどの大手に加え、Steamを通じて世界販売する独立系開発会社である。技術面ではゲームエンジンと生成AIの普及によって、小規模なチームでも一定水準の作品を作りやすくなる。作品供給の増加は、既存IPを持たない新作の発見されにくさと広告費の上昇につながる。開発費の削減だけを恩恵と考えるのは危険であり、競争相手も同じ道具を使うからだ。
アミューズメント市場は別の構造を持つ。日本アミューズメント産業協会の2023年度調査では、国内の機器販売市場は約1,816億円、施設運営市場は約5,384億円だった。マーベラスのアミューズメント売上127億円を国内機器市場と単純に比べると約7%になるが、海外売上を含むため正式なシェアではない。『ポケモンフレンダ』はタカラトミーアーツとの共同開発商品であり、バンダイ系のカード・キッズゲームや、他の娯楽機器と利用時間を奪い合う。子どもの人口減少は国内数量を押し下げる一方、アジアなど海外への展開には伸びる余地がある。
日本動画協会の調査では、2024年の広義のアニメ産業市場は約3.84兆円に達し、その過半を海外が占めた。ただし、制作会社の売上を集計した狭義の市場とは異なる。マーベラスは製作出資、商品化権、舞台興行を組み合わせる事業者であり、東映アニメーションやKADOKAWAなどと直接比較できる市場シェアは開示されていない。国内だけでなく海外配信から長期収入を得られることが機会となる。
10年先には、家庭用ゲーム市場の実質需要は緩やかに成長すると考える。一方、国内キッズアミューズメントは少子化を受けやすく、海外進出とシェア確保がなければ数量は細る。アニメは海外需要が伸びても、制作費や権利取得費の上昇によって利益が同じ割合で伸びるとは限らない。マーベラスは巨大市場の成長に自動的に乗れる会社ではなく、作品と契約の選別によってシェアを維持する会社である。
資本政策と M&A
資本配分では、過去の開発投資の失敗と2026年の株主還元強化を分けて評価する必要がある。かつては安定配当を重視していたが、収益低下によって2025年3月期には配当を大きく減らした。その後、2026年3月期に増配し、2027年3月期も増配を計画している。ただし、配当性向、DOE、総還元性向について、現行の中期的な数値の約束はない。
2024年3月期から2027年3月期までの旧中期計画には、最終年度の売上高400~500億円、営業利益60~70億円、純利益42~49億円という目標があった。しかし2025年6月、会社は達成困難として数値目標を取り下げ、当面は単年度ごとの見通しを公表すると説明した。2027年3月期の単年度予想は売上高300億円、営業利益30億円、純利益20億円である。ROEについても、現在の中期計画として拘束力のある目標数値は確認できない。
2026年7月にはテンセント系のImage Frame Investmentとの資本業務提携を解消した。テンセント側が保有株式を売却する過程で、マーベラスは8月3日に約22億円、463万株を取得した。8月6日には約500万株の自己株式を消却している。自己株式の消却自体は価値を増やさないが、取得価格が本質価値を下回るなら残る株主に利益がある。一方で、提携解消により予定されていたゲーム開発の一部は中止となった。
M&Aは過去にも経営資源の拡大手段として用いられてきたが、今後は大型買収による成長を基本の筋書きには含めない。2026年の再編で大株主構成が変わり、企業買収や新たな資本提携が行われる余地はあるものの、発表済みのTOBや上場廃止予定とは区別する必要がある。中立の10年間の株主還元は約135億円と考える。現金を厚く維持するだけでなく、採算の悪い案件への再投資を減らすことが資本効率改善の条件である。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
マーベラスの価値は、現在の利益率だけでは十分に測れない。家庭用ゲームの新作開発費が先行する年には利益が大きく減るが、既存シリーズの収益力まで失われたわけではない。『牧場物語』と『ルーンファクトリー』は長い期間にわたり支持されており、世界累計出荷50万本を超える新作を生み出した実績もある。海外販売網を持ち、家庭用ゲームとオンラインゲームの両方で事業を展開できることは、新しい市場を開く上で意味がある。
『ポケモンフレンダ』の成功は単発のヒットではなく、過去シリーズから受け継がれた開発・運営能力の成果でもある。共同開発相手との関係を維持し、国内で新シリーズを投入しながら海外市場を広げることができれば、アミューズメントの収益は現在の水準を上回る。特にアジアでは、ポケモンというIPの認知度が高く、日本で成功した仕組みを展開する余地がある。
音楽映像事業でも、不採算事業の整理によって2026年3月期の利益は改善した。アニメの配信権や二次利用収入は、新作の制作費をすべて繰り返し負担する必要がない。舞台シリーズも観客層を獲得しており、事業を適切に組み合わせれば利益の変動を緩和できる。
最大の魅力は、事業再建に使える現金があることだ。2026年8月の自社株取得後も財務に余裕があり、赤字事業を整理しながら自社株買いと配当を続けることができる。利益率が過去の高水準に戻らなくても、事業を適切に選別すれば時価総額に見合う利益を稼ぐ余地は十分にある。
慎重な見方
現在の稼ぎの中心が自社で所有するIPではなく、他社の人気キャラクターを使ったアミューズメントにあることが最大の懸念だ。『ポケモンフレンダ』の累計プレイ回数は魅力的だが、それはポケモンというIPの力でもある。タカラトミーアーツや権利者との条件が変われば、マーベラスの利益率が今後も維持される保証はない。共同開発の実績が強くても、その実績だけで契約更新を永続的に確保できるわけではない。
ゲーム開発事業にも構造的な問題がある。2026年3月期には新型ゲーム機向けの作品を投入して売上を増やしたが、不振作品の影響でセグメント赤字となった。開発費が大きく、作品が売れなければ損失が残る。生成AIによって制作工程が効率化されても、競争相手も同じ恩恵を受けるため、価格や利益率が改善するとは限らない。受託開発の工数に対してはAIエージェント代替が直接的な縮小要因となる。
2026年のテンセントとの提携解消も軽視できない。資本関係がある大手ゲーム企業との協業であっても、採算性が見合わなければ開発計画は中止される。国内外の大型ゲーム会社と比べると資金、人員、知名度の面で不利であり、失敗した作品の負担を他のヒット作で吸収する余地も小さい。
旧中期計画の数値目標を撤回したことは、経営の予測力を評価する上で重い。過去の高い利益率が今後も繰り返されるとは考えにくい。現金を持つことは倒産リスクを抑えるが、少数株主にはその現金を返還させる権限がない。今後も採算の悪い開発に資金を投じ続ければ、純資産が残っていても株主価値が増えない期間が長く続く可能性がある。
どちらに重みを置いたか
事業の安定性については慎重な見方が強い。とくに、最大の利益源であるポケモン関連商品の契約依存と、ゲーム開発投資の採算の不安定さは無視できない。2026年のテンセント撤退と旧中期計画の撤回を踏まえ、確率は上側24%に対して下側44%と、明確に下へ寄せた。ただしAI代替リスクを確率だけで再度引いてはいない。現金の厚さ、既存IPの需要、アミューズメントの収益力があるため、会社が構造的に失敗する場合だけを中心にはできない。長期価値が現在の時価総額を上回るのは、業績回復に加え、余剰現金の価値を認めた結果である。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,082 円608 億円(+ 還元の換算額還元の合計 207 円116 億円)。 今の値に割り戻すと 683 円384 億円、今との差 +25.4%、 期待の年率 +10.0%(資本コスト 7.2%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 3,336 円1,875 億円 | 516 円290 億円 | +606.8% | +24.5% | 270 円152 億円 |
| やや楽観 | 17% | 2,130 円1,197 億円 | 347 円195 億円 | +354.5% | +18.3% | 421 円237 億円 |
| 中立 | 32% | 1,165 円655 億円 | 240 円135 億円 | +157.8% | +11.2% | 450 円253 億円 |
| やや悲観 | 27% | 309 円174 億円 | 110 円62 億円 | −23.0% | −2.9% | 113 円64 億円 |
| 悲観 | 17% | 178 円100 億円 | 30 円17 億円 | −61.9% | −9.7% | 35 円20 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,082 円608 億円 | 207 円116 億円 | +136.5% | +10.0% | 1,289 円725 億円 |
今の株価時価総額 545 円306 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 7% 自社IPと海外アミューズメントがともに成功 利益 99 億円 · PER 17.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,336 円1,875 億円
『牧場物語』と『ルーンファクトリー』が新しい世代のユーザーを獲得し、家庭用ゲームの販売本数が現在より大きく伸びる。海外では北米・欧州の既存販売網に加え、アジア市場での販売が定着する。Nintendo Switchの次世代機やPC向けの長期販売も成功し、家庭用ゲーム事業の営業利益率は20%まで上昇する。
オンラインゲームでは、複数の自社IP作品が継続課金を生み、課金利用者が増える。新作を乱発するのではなく、少数の成功作品を長期間運営する体制へ移行する。開発費の管理も改善し、大型の一括償却を繰り返さなくなる。
『ポケモンフレンダ』の後継作品が成功し、タカラトミーアーツなどとの協業も維持される。日本市場の少子化を海外での稼働台数と利用者の増加が上回り、アミューズメント売上は現在のほぼ2倍となる。アニメ・舞台でも既存作品の二次利用が拡大し、海外の配信事業者との契約条件が改善する。2036年の営業利益は140億円近くに達し、継続的な株主還元と現金の積み増しを両立する。
- 自社・他社IPの家庭用ゲーム販売:数量 350(年間ゲーム販売本数のフルプライス相当換算(万本))× 価格 0.72(1万本相当あたりの実現売上高(億円))→ 売上 252 億円・営業利益 50 億円。販売本数相当は1.52倍、実現単価は1.44倍。複数の自社シリーズが世界でヒットする。
- 自社オンライン・モバイルゲーム運営:数量 80.0(年間の課金利用者相当数(万人・年))× 価格 1.64(課金利用者1万人・年あたりの実現売上高(億円))→ 売上 131 億円・営業利益 25 億円。課金利用者が増加し、既存人気作品の長期運営で利益率19%。
- ゲーム受託開発:数量 1,500(年間の受託開発工数(人月相当))× 価格 0.02(1人月あたりの開発売上高(億円))→ 売上 32 億円・営業利益 3 億円。AIエージェント代替のため、楽観でも受託工数は現在の1.0倍にとどめる。
- キッズアミューズメント・業務用機器:数量 18,000(年間のプレイ回数相当(万回))× 価格 0.01(1万プレイ相当あたりの会社売上高(億円))→ 売上 243 億円・営業利益 66 億円。海外展開と後継機が成功し、プレイ回数相当1.46倍。価格は1.31倍。
- アニメ・音楽映像・舞台:数量 90.0(年間の作品・舞台・二次利用案件相当数(件))× 価格 1.04(1案件相当あたりの実現売上高(億円))→ 売上 94 億円・営業利益 22 億円。海外配信と二次利用契約が増え、案件相当数1.5倍。
倍率:資本コスト7.25%、長期名目成長率2.5%、余剰現金140億円。現金の税後利息1.96億円を除いた事業純利益97.24億円を、事業自己資本380億円で割るとROEは25.6%。堀は普通で超過利益の残る割合1/2、RONICは約16.4%となり、正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)は約17.85倍。事業利益の評価に余剰現金140億円を加算する。10年後の余剰現金は現在の80億円から増える想定であり、追加の自動積立現金は重ねない。
確率:過去の販売実績を大きく超える自社ゲームのヒットが続き、ポケモン関連契約が維持され、海外アミューズメントでも高い利益率を保つ必要がある。複数事業の成功が10年間重なる可能性は限定的であり、楽観は7%とした。受託開発のAI代替リスクは工数と価格に含め、確率には重ねない。
やや楽観 17% 主力シリーズを維持し海外の稼ぎが増える 利益 65 億円 · PER 17.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,130 円1,197 億円
『牧場物語』『ルーンファクトリー』の販売が堅調に続く。新作ごとの大ヒットは限られるものの、過去作の移植、ダウンロード販売、海外展開によって収入が安定する。大型新規IPへの投資は厳しく選別され、販売不振による損失が減少する。家庭用ゲームでは営業利益率17%を確保できるようになる。
オンライン事業は作品数をむやみに増やさず、継続課金する利用者を育てる。AIエージェント代替によって受託開発の工数は減少するが、企画と品質保証に関わる部分の受託単価は一定程度守られる。受託開発だけを成長の中心にしないため、影響は会社全体では限定的となる。
アミューズメントではポケモン関連タイトルの契約が維持され、海外稼働の伸びが国内の少子化を補う。価格の引き上げは緩やかだが、配出物の商品力と機器の効率化で高い採算を維持する。音楽映像では安定した舞台シリーズとアニメ二次利用が増え、全社の営業利益は約91億円へ改善する。大きなM&Aに依存せず、既存事業への選別投資と株主還元で価値を高める。
- 自社・他社IPの家庭用ゲーム販売:数量 290(年間ゲーム販売本数のフルプライス相当換算(万本))× 価格 0.68(1万本相当あたりの実現売上高(億円))→ 売上 197 億円・営業利益 34 億円。既存IPの世界販売を深耕し、販売本数相当1.26倍、単価1.36倍。
- 自社オンライン・モバイルゲーム運営:数量 65.0(年間の課金利用者相当数(万人・年))× 価格 1.50(課金利用者1万人・年あたりの実現売上高(億円))→ 売上 98 億円・営業利益 16 億円。運営作品の選別で課金利用者を増やし、利益率16%。
- ゲーム受託開発:数量 1,200(年間の受託開発工数(人月相当))× 価格 0.02(1人月あたりの開発売上高(億円))→ 売上 23 億円・営業利益 2 億円。受託工数0.8倍、単価1.22倍。AIによる開発工程の自動化を反映。
- キッズアミューズメント・業務用機器:数量 15,300(年間のプレイ回数相当(万回))× 価格 0.01(1万プレイ相当あたりの会社売上高(億円))→ 売上 203 億円・営業利益 50 億円。海外プレイ回数が増え、数量1.24倍、単価1.29倍。
- アニメ・音楽映像・舞台:数量 75.0(年間の作品・舞台・二次利用案件相当数(件))× 価格 0.98(1案件相当あたりの実現売上高(億円))→ 売上 74 億円・営業利益 15 億円。舞台とアニメの二次利用が増え、案件数1.25倍。
倍率:資本コスト7.25%、g_long2.5%。余剰現金125億円の税後利息1.75億円を除く事業純利益62.75億円と、現金を除いた事業自己資本325億円からROE約19.3%。超過利益の残る割合1/2でRONIC約13.3%。正当化PERの上限は約17.09倍で、手動の割引は加えない。現金125億円を別に評価し、10年の追加積立分はこの額に含める。
確率:家庭用ゲームの採算改善とアミューズメントの海外拡大は実行可能な方向だが、両方が高収益を維持するには継続的な開発・契約管理が必要である。2026年の不振作品とテンセントとの提携解消を踏まえて17%とした。
中立 32% 既存IPを守り開発投資の採算が回復 利益 37 億円 · PER 15.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,165 円655 億円
マーベラスは大型ゲーム会社にはならないが、既存シリーズを継続して販売する中堅パブリッシャーとして残る。家庭用ゲームでは『牧場物語』『ルーンファクトリー』を中心に一定の販売本数を確保し、海外でも認知度を維持する。物価上昇によって販売単価は上がるが、競争が厳しく大幅な値上げはできない。開発案件を絞り込むことで、過去のような赤字作品の集中を抑える。
オンラインゲームでは課金利用者が大きく増えず、既存作品の運営効率化が収益を支える。受託開発はAIエージェント代替によって工数が現在の65%に縮小する。単価は一部上昇しても、開発効率の改善による数量減少を相殺できず、受託開発売上は縮小する。この部分に永続的な高成長は見込まない。
アミューズメントは、国内少子化による数量圧力を海外の展開で補う。ポケモン関連の協業が継続し、後継作品は現在ほどの勢いではないものの、十分な稼働を維持する。国内の基本プレイ料金は上がりにくいため、名目単価の伸びは物価を下回る。音楽映像では過去作品の権利収入と舞台シリーズが積み重なる。結果として2036年の売上高は約489億円、営業利益は約51億円になる。収益性は回復するが、過去最高の利益率には届かない。
- 自社・他社IPの家庭用ゲーム販売:数量 260(年間ゲーム販売本数のフルプライス相当換算(万本))× 価格 0.63(1万本相当あたりの実現売上高(億円))→ 売上 164 億円・営業利益 20 億円。数量1.13倍、単価1.26倍。旧作販売と海外展開を含め緩やかな成長。
- 自社オンライン・モバイルゲーム運営:数量 53.0(年間の課金利用者相当数(万人・年))× 価格 1.40(課金利用者1万人・年あたりの実現売上高(億円))→ 売上 74 億円・営業利益 7 億円。課金利用者数はほぼ横ばい、実現単価は1.17倍。競争により物価を転嫁しきれない。
- ゲーム受託開発:数量 975(年間の受託開発工数(人月相当))× 価格 0.02(1人月あたりの開発売上高(億円))→ 売上 20 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替の人月型。数量0.65倍、単価1.25倍、長期gは0%。
- キッズアミューズメント・業務用機器:数量 13,000(年間のプレイ回数相当(万回))× 価格 0.01(1万プレイ相当あたりの会社売上高(億円))→ 売上 164 億円・営業利益 34 億円。数量1.05倍、単価1.22倍。海外展開で国内の少子化を補う。
- アニメ・音楽映像・舞台:数量 68.0(年間の作品・舞台・二次利用案件相当数(件))× 価格 1.00(1案件相当あたりの実現売上高(億円))→ 売上 68 億円・営業利益 12 億円。案件数1.13倍、単価1.26倍。二次利用収入は続くが高成長は想定しない。
倍率:資本コスト7.25%、長期名目成長率2.5%。余剰現金100億円の税後利息1.4億円を除く事業純利益35.5億円と事業自己資本292億円から、事業ROE約12.2%。通常の堀で超過利益の残る割合1/2とするとRONIC約9.7%。正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)は約15.63倍。事業純利益35.5億円にこの倍率を掛け、株主に戻ると見込む余剰現金100億円を別に加算する。現在のPERや同業の市場倍率から逆算していない。
確率:2027年3月期の単年度計画におけるデジタルコンテンツ再建と、直近のアミューズメントの利益実績を踏まえた中心の筋書き。過去の最良期への全面的な回復は要求せず、ゲーム投資の失敗頻度が下がる程度の改善を認める。確率は32%とした。
やや悲観 27% 外部IPの収益低下とゲーム開発の採算悪化 利益 10 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 309 円174 億円
『牧場物語』などの既存シリーズは残るが、新しい世代のゲーム利用者を十分に獲得できない。海外のインディーゲームや大手パブリッシャーとの競争が激化し、宣伝費に対して販売本数が伸びなくなる。大型ゲームの開発投資を減らしても、残った案件の採算は改善せず、家庭用ゲーム事業の利益率は低下する。
オンラインゲームでも競争が厳しくなり、課金利用者が減少する。運営を続けるための人員やサーバー費用が残るため、売上の減少が利益を圧迫する。受託開発はAIエージェント代替の影響を受け、工程の自動化と顧客の内製化によって工数が現在の半分以下に近づく。単価の上昇では数量の減少を補えない。
アミューズメントではポケモン関連の契約は残るものの、商品投入条件や収益配分が厳しくなる。海外展開は一定程度維持されるが、国内の子ども人口の減少を完全には埋められない。音楽映像では二次利用収入が残っても、新作への出資負担が重くなる。全社の営業利益は約14億円に縮小し、配当も段階的に削減される。経営は続くが、高い資本効率を期待できない会社へ変わっている。
- 自社・他社IPの家庭用ゲーム販売:数量 200(年間ゲーム販売本数のフルプライス相当換算(万本))× 価格 0.60(1万本相当あたりの実現売上高(億円))→ 売上 120 億円・営業利益 6 億円。数量0.87倍、単価1.20倍。旧作は残るが新作の成功率が低下。
- 自社オンライン・モバイルゲーム運営:数量 43.0(年間の課金利用者相当数(万人・年))× 価格 1.32(課金利用者1万人・年あたりの実現売上高(億円))→ 売上 57 億円・営業利益 3 億円。課金利用者が減少し、運営固定費が利益を圧迫する。
- ゲーム受託開発:数量 650(年間の受託開発工数(人月相当))× 価格 0.02(1人月あたりの開発売上高(億円))→ 売上 12 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替と発注者の内製化によって工数は現在の43%。
- キッズアミューズメント・業務用機器:数量 10,000(年間のプレイ回数相当(万回))× 価格 0.01(1万プレイ相当あたりの会社売上高(億円))→ 売上 121 億円・営業利益 19 億円。プレイ回数0.81倍、単価1.18倍。収益配分条件も悪化する。
- アニメ・音楽映像・舞台:数量 57.0(年間の作品・舞台・二次利用案件相当数(件))× 価格 0.94(1案件相当あたりの実現売上高(億円))→ 売上 54 億円・営業利益 6 億円。新規案件が減り、既存作品のライセンス収入が利益を支える。
倍率:2036年の全社ROE約3.0%は資本コスト7.25%を下回る。稼ぐ力による上限は、余剰現金の税後利息0.70億円を除いた事業純利益9.6億円を資本コストで割り、余剰現金50億円を足した約182億円程度である。事業部分のPERは12.9倍とし、正当化された稼ぐ力の上限1/k約13.79倍以下にする。事業価値と現金価値を合わせた時価総額は約174億円で、現在の売却可能資産の保守的な床95億円を上回る。過去のPBRの底は使わない。
確率:下に寄せる理由:2026年3月期に自社ゲームの売上増加とセグメント赤字が同時に発生し、テンセントとの提携解消で共同開発タイトルも中止された。さらにアミューズメント利益は外部IPの契約継続に強く依存する。AI代替の数量縮小は受託開発にのみ適用し、確率で同じ理由を重ねない。
悲観 17% 主要な外部IPを失いゲーム事業も構造的に赤字化 利益 −19 億円 · PBR 0.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 178 円100 億円
ポケモン関連の機器で、契約更新や後継商品の採用が想定どおり進まない。タカラトミーアーツや権利者との関係が変化し、マーベラスは最大の利益源を失う。残ったアミューズメント機器は稼働が落ち、配出物の継続需要も縮小する。海外に設置した機器でも更新需要が減り、固定費と商品開発費の回収が難しくなる。
家庭用ゲームでは『牧場物語』『ルーンファクトリー』の需要が縮小し、新規IPから次の収益の柱を作れない。大手パブリッシャーとの競争に加え、低価格の独立系ゲームが増えることで、販売本数と実現単価が下落する。開発資産の減損が続き、家庭用ゲームは恒常的に赤字になる。
オンラインゲームでは課金利用者が半分以下となり、受託開発でもAIエージェント代替が進む。人手による開発案件は大幅に減り、受託事業は赤字化する。音楽映像では人気の舞台や既存権利の一部だけが残るが、全社の損失を補う規模にはならない。利益率の高い事業が消えるため、2036年の営業損失は約26億円となる。大型M&Aや増資で立て直す道はあるものの、成功を前提とした価値は数えない。株主還元は前半に限られ、後半は事実上停止する。
- 自社・他社IPの家庭用ゲーム販売:数量 120(年間ゲーム販売本数のフルプライス相当換算(万本))× 価格 0.49(1万本相当あたりの実現売上高(億円))→ 売上 59 億円・営業利益 −7 億円。販売本数相当は現在の52%、単価も低下。継続的な開発損失が発生する。
- 自社オンライン・モバイルゲーム運営:数量 25.0(年間の課金利用者相当数(万人・年))× 価格 1.10(課金利用者1万人・年あたりの実現売上高(億円))→ 売上 28 億円・営業利益 −2 億円。課金利用者は現在の45%、価格も下がる。
- ゲーム受託開発:数量 450(年間の受託開発工数(人月相当))× 価格 0.02(1人月あたりの開発売上高(億円))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。AI代替に加えて顧客の発注中止が進み、受託工数は現在の30%。
- キッズアミューズメント・業務用機器:数量 6,500(年間のプレイ回数相当(万回))× 価格 0.01(1万プレイ相当あたりの会社売上高(億円))→ 売上 71 億円・営業利益 4 億円。主要IPの供給契約縮小で数量は現在の53%。利益率も5%へ低下。
- アニメ・音楽映像・舞台:数量 40.0(年間の作品・舞台・二次利用案件相当数(件))× 価格 0.88(1案件相当あたりの実現売上高(億円))→ 売上 35 億円・営業利益 1 億円。既存作品から最低限の権利収入が残るが、新規投資の回収が難しい。
倍率:2036年は最終赤字で利益の正当化PERが使えない。現在の2026年3月期自己資本277.4億円を評価の基準とし、構造的に収益力を失った事業の清算・処分コストと無形資産の回収不能を考慮した0.36倍を適用する。時価総額は約99.86億円であり、別途評価した純現金中心の資産の床95億円をわずかに上回る。10年間の留保利益で増減させた自己資本207億円にこの床倍率を掛けてはいない。市場の過去のPBRを根拠としていない。
確率:ポケモン関連の開発・供給契約が縮小する一方、既存ゲームの販売不振と開発資産の償却が繰り返される複合的な失敗である。単なる景気後退ではなく、収益の土台が失われる筋書きとして17%を配分した。過去のゲーム事業の赤字と2026年の提携解消から、無視できない確率と判断する。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
自社・他社IPの家庭用ゲーム販売
『牧場物語』『ルーンファクトリー』などの家庭用・PCゲームの企画、開発、販売。自社発売タイトルの販売収入と関連する追加コンテンツを含む。
| 数量年間ゲーム販売本数のフルプライス相当換算(万本) | 価格1万本相当あたりの実現売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 230 | 0.50 | 115 | −4 |
| 10 年後 中立 | 260 | 0.63 | 164 | 20 |
取り方:2026年3月期のデジタルコンテンツ事業売上204.89億円から、オンラインゲームと受託開発の推定売上を除いた115億円を配分した。『牧場物語 Let's!風のグランドバザール』の世界累計出荷50万本という開示を下限の実績として参照し、他の新作、旧作、Steam販売、ダウンロード追加収入も含む年間230万本相当を仮定した。価格0.5億円は1万本相当につき約5,000円の会社実現売上に相当する。230万本は会社開示の実販売本数ではなく、複数の収益形態を統一するための推計である。営業利益は不振作品の償却負担を家庭用ゲーム側に寄せた配賦推計。出典:https://corp.marv.jp/investor/segment.html および https://corp.marv.jp/pr/20250916-001740.html
自社オンライン・モバイルゲーム運営
『ドルフィンウェーブ』などのスマートフォン・オンラインゲームの運営と課金収入。既存作品の継続課金と新作の投入によって収益が変わる。
| 数量年間の課金利用者相当数(万人・年) | 価格課金利用者1万人・年あたりの実現売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 55.0 | 1.20 | 66 | 2 |
| 10 年後 中立 | 53.0 | 1.40 | 74 | 7 |
取り方:デジタルコンテンツ事業の売上204.89億円のうち、家庭用ゲーム115億円、受託開発24億円を除いた65.89億円を仮置きした。年間55万人の課金利用者相当数と、1人年約11,980円の実現売上を仮定する。MAU・課金者数・ARPPUの正確な開示は確認できず、これは実際の課金人数ではなく等価利用者数の推計である。2026年3月期には既存ゲームの運営効率が改善した一方、『ブラウザ三国志 天』の不振に伴うゲーム資産償却が発生している。営業利益1.5億円もセグメント内の推計配分。出典:https://edinetdb.jp/company/E02467/text?fy=2026
ゲーム受託開発
他社パブリッシャーの家庭用・オンラインゲームを企画、制作、開発する受託事業。開発工数と契約ロイヤリティで稼ぐ。
| 数量年間の受託開発工数(人月相当) | 価格1人月あたりの開発売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,500 | 0.02 | 24 | 2 |
| 10 年後 中立 | 975 | 0.02 | 20 | 1 |
取り方:有価証券報告書にある2026年3月期のデジタルコンテンツ事業の受注高23.97億円を、開発受託の規模を推測する参考値とした。ただし受注高にはロイヤリティの計上時期差があり、当期売上高とは一致しない。年間1,500人月、1人月160万円の受託売上を仮定し24億円と推計した。実際の受託従業員数や人月単価は非開示であり、営業利益率8%も推計。AIエージェント代替の分類は『人月・工数で売る受託開発』で、長期の中立数量は現在の65%、価格は現在の125%、10年より先の同部分の名目成長率は0%とする。出典:https://edinetdb.jp/company/E02467/text?fy=2026
キッズアミューズメント・業務用機器
『ポケモンフレンダ』『ポケモンメザスタ』などの業務用機器と配出物の供給。国内外の施設稼働と継続的な商品投入に収益が連動する。
| 数量年間のプレイ回数相当(万回) | 価格1万プレイ相当あたりの会社売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 12,350 | 0.01 | 127 | 32 |
| 10 年後 中立 | 13,000 | 0.01 | 164 | 34 |
取り方:2026年3月期の会社開示売上127.11億円とセグメント利益31.68億円を使用した。『ポケモンフレンダ』は2024年7月稼働開始から591日で国内累計プレイ2億回に到達しており、年換算約1.24億回に相当する。これを1.235億回のプレイ等価数量として利用した。価格0.0102923億円は1万回当たり約103円の会社売上に相当するが、国内の実際のプレイ料金を示すものではない。海外の『ポケモンメザスタ』や機器販売も含むセグメント全体をプレイ回数に換算した実現単価である。出典:https://corp.marv.jp/pr/20260403-001775.html および https://edinetdb.jp/company/E02467/text?fy=2026
アニメ・音楽映像・舞台
アニメ製作出資、映像配信、音楽商品、二次利用ライセンス、舞台・ミュージカルの企画制作・興行。既存作品の権利収入と新規案件から利益を得る。
| 数量年間の作品・舞台・二次利用案件相当数(件) | 価格1案件相当あたりの実現売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 60.0 | 0.80 | 48 | 9 |
| 10 年後 中立 | 68.0 | 1.00 | 68 | 12 |
取り方:2026年3月期の会社開示の音楽映像事業売上47.81億円、セグメント利益9.10億円を使用した。テレビアニメの製作案件、舞台・ミュージカル公演、配信・商品化契約などを合計60件の経済的案件相当に換算し、1件約0.797億円の売上とした。案件数と平均単価は非開示であり推計値である。公演1回を必ず1件と数えるものではなく、複数公演や複数年のライセンスをまとめた案件等価量である。出典:https://edinetdb.jp/company/E02467/text?fy=2026
リスクと懸念
ポケモン関連契約への依存
2026年3月期のアミューズメント利益は約32億円で、全社の営業利益を上回る。強さの中心は『ポケモンフレンダ』だが、ポケモンIPそのものはマーベラスの所有物ではない。タカラトミーアーツや権利者との契約条件、後継機の開発体制、供給範囲が変化すれば、過去のプレイ回数実績があっても利益を維持できない。契約更新と次世代商品の採用状況が最大の長期リスクである。
ゲーム開発費の回収失敗
2026年3月期は家庭用ゲームの売上が増えた一方、不振作品の影響によってデジタルコンテンツ事業が赤字となった。大型ゲームの開発は先に人件費と外注費を負担する構造であり、売上不振時には開発資産の一括償却や減損も発生する。開発費を回収できない作品が続けば、利益率だけでなく現金残高も減少し、株主還元の余力が失われる。
AIエージェント代替と制作工程の変化
他社向けのゲーム受託開発には、人の工数を対価にする部分がある。AIエージェントがプログラミング、テスト、仕様作成、運用を自動化すれば、発注側は同じ成果物を少ない人月で得られる。受託開発では中立の工数を10年間で65%に縮小させ、長期成長率も0%とした。自社ゲームの販売やポケモン関連機器、アニメの権利利用はこの人月型には該当しないが、AIによるコンテンツ供給増加は競争を強める。
テンセントとの提携解消と海外展開
2026年7月にテンセント系株主との資本業務提携が解消され、関連する一部タイトルの開発が中止となった。既存の個別ライセンス契約は続くが、資本提携の存在が大型ゲームの成功や契約継続を保証するものではないことが明らかになった。海外の開発・販売網を広げる際には、パートナーの投資方針と自社の採算性を継続的に確認する必要がある。
国内少子化とアミューズメント機器の更新
国内のキッズアミューズメントは子どもの人口に影響される。現在の高いプレイ回数が10年先も続くとは限らず、次世代商品の魅力が弱ければ利用回数は減少する。基本プレイ料金は100円単位で設定されることが多く、物価の上昇分を自由に値上げできる事業でもない。海外事業の拡大が失敗した場合、数量減少と開発・機器更新費用の増加が重なる。
余剰現金と資本配分
財務に余裕があることは確かだが、現金の使途は経営陣が決める。自己株式取得は資本効率を高めうるが、将来の株価より高い価格で取得したり、採算の悪い大型ゲームや買収案件へ資金を投入したりすれば、少数株主に帰属する価値は減少する。2026年の自己株取得は肯定的に評価するものの、それだけで長期間の株主還元が約束されたわけではない。
今後の分かれ目
- ポケモン関連の後継機が採用され、海外プレイ回数が継続的に増えたら
- アミューズメントの数量成長と利益率維持の証拠となる。中立の売上数量を引き上げ、やや楽観の確率を増やせる。ただし契約条件も併せて確認する。
- デジタルコンテンツ事業が複数年度にわたり営業利益率10%以上を維持したら
- ゲーム開発投資の選別が機能している可能性が高い。中立の家庭用ゲーム利益率とオンラインゲーム収益性を上方修正し、ROEの持続性を再評価する。
- 新作ゲームで再び大きな一括償却や減損が発生したら
- 開発案件の選別能力に対する評価を引き下げる。中立の利益率を低くし、やや悲観・悲観側の比重を引き上げる。
- 受託開発の人月工数がAIエージェントによって急減したら
- 受託事業の数量を引き下げる。ただし既に中立には工数の35%縮小を含めているため、想定範囲内の減少を確率や資本コストで二重に引かない。
- 余剰現金を使った株主還元が継続し、開発投資の規律も改善したら
- 事業に必要な現金と余剰現金の区分を見直し、現金の株主への戻り方を再評価する。低収益事業への再投資が減れば、持続的なROE改善につながる。
- ポケモン関連商品の供給契約が縮小・終了したら
- 最重要の収益源が失われるため、中立の前提を維持できない。アミューズメント売上と利益率を下方修正し、悲観側の筋書きを中心に再評価する。
見ておくもの
- ポケモンフレンダと後継機の国内・海外プレイ回数、商品投入、契約更新状況
- アミューズメント事業のセグメント利益率と海外収益比率
- 牧場物語・ルーンファクトリー等の世界累計出荷本数と開発費回収状況
- デジタルコンテンツ事業の一括償却、減損、開発中止の件数と金額
- 受託開発の受注高、受注残高、人員数とAI利用による工数の変化
- 音楽映像事業の二次利用収入と不採算案件の整理状況
- 2026年8月の自己株式取得後の現金・預金残高と新たな株主構成
- 配当総額、自社株買いの実績、現金の増減と事業投資額
- 2027年3月期の営業利益30億円計画の進捗と、新しい中期計画の公表有無
倍率と資本コストの決め方
現在の株価540円から将来の利益や倍率を逆算していない。まずデジタルコンテンツを自社ゲーム、オンライン、受託開発に分け、アミューズメントと音楽映像を加えた五つの数量・実現単価から売上と利益を組み立てた。受託開発は人月型のAIエージェント代替を中立数量とg_longに反映し、資本コストの寿命部分には重ねていない。
倍率は資本コスト7.25%、長期名目成長率2.5%、利益から現金利息を控除した事業ROE、超過利益の残る割合1/2から計算した正当化PERを使う。楽観から中立の倍率に恣意的な割引を掛けていない。悲観は今の自己資本277.4億円に資産床のPBRを適用し、10年間の留保利益を積み上げて床を膨らませていない。
添付の株数55,942,459株は、自己株式の符号および消却処理に不整合がある。2026年8月6日の会社開示は自己株式控除後の56,213,059株を明記しているため、こちらを採用した。したがって基準時価総額は約303.55億円となる。実行済みの21.67億円の自社株買いは今後の還元額には含めず、現金と自己資本から控除した。2036年の余剰現金は筋書きごとに明示しており、別途の自動的な留保現金を二重に加算しない。新リース会計基準による表示の変化は将来の経済価値の改善とは扱わず、家賃等を費用に含める従来の営業利益の形で比較する。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%から、厚い純現金に対応する0.25ポイントだけ引いて7.25%とする。ゲーム開発の失敗、外部IPの契約リスク、テンセントとの提携解消は事業の筋書きと確率で扱い、資本コストに重複して上乗せしない。