結論
コアは、組込みソフトウェア開発を土台に、産業機器、公共システム、医療、衛星測位まで事業を広げてきた独立系IT企業である。筆者の結論は「やや割高」だ。優良な財務と技術の蓄積は認めるが、現在の利益の相当部分が、AIエージェントによって必要な工数を減らされうる仕事から生まれている。
2026年3月期の売上高は265億円、営業利益は38億円だった。十数年かけて営業利益率を引き上げ、自己資本は207億円、純現金は約65億円まで積み上がった。この実績は、単なる技術者派遣会社とは違う。ただし、利益率が良くなったことと、顧客が将来も同じ工数に対価を払うことは別問題である。
希望を持てるのは、自社製品が現実の業務に入り込んでいる点だ。クラウド型点呼システム「Cagou IT点呼」は日本郵便の全国3,000超の拠点に導入された。衛星測位や産業機器の技術も、ソフトウェアの画面だけでは代替できない。しかし、自社製品の解約率、製品別利益、価格改定実績は十分に開示されていない。実績が確認できる導入規模と、長く続く独占的な収益力を混同してはいけない。
2036年3月期の中立では、売上高約244億円、営業利益約32億円、純利益約23億円を見込む。10年間の還元を含め、資本コスト7.25%で現在に割り戻した確率加重価値は約263億円で、基準時価総額311億円を約16%下回る。業績の急崩壊を予測しているのではない。2029年までの会社計画が実現しても、その後の収益構造が変わりうるため、10年先の利益に高い値段を払えないという判断である。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の立場なら、まず10年後も顧客が必要とする仕事と、10年後には顧客自身やAIが行う仕事を分ける。工場設備の制御、衛星測位、医療や運送の制度に結びつくサービスは残りやすい。だが、残る仕事があっても、その仕事を何人で行い、誰が生産性向上の利益を受け取るかで、株主の取り分は大きく変わる。
コアは優秀な技術者を抱え、採算の良い案件を見極め、長年にわたり利益率を高めてきた。その能力には価値がある。しかし、工数を請求する仕事では、顧客が安価なAIエージェントを使えるようになった時、従来の工数単価を維持できるとは限らない。自社がAIを使って効率化するだけでは、生産性向上の果実を他社に渡すこともある。
オーナー利益を考える上では、帳簿の純利益だけでなく、製品を育てるための研究開発、専門人材の維持、システム更新、買収に回す資金を見る。ソフトウェア会社は重い工場を建てなくてもよいが、人材と顧客接点を維持する再投資は欠かせない。会計上の利益のすべてが自由に分配できるわけではない。
財務の余裕は非常に大きな長所だ。純現金があるため、低収益の局面でも研究開発や配当を続ける時間を買える。土地や有価証券も、破綻に近い筋書きに一定の資産価値を残す。ただし、資産の厚さは、その資産を低い利回りで長く抱えることを正当化しない。
最終的に問うのは、今の時価総額を払っても十分な安全域があるかだ。Cagouのように大規模導入が証明された製品には注目したいが、製品別の継続収入と解約率がわからない以上、その堀に高い値段を付けるのは早い。事業の質は普通以上でも、現在の値段にはやや慎重である。
何で稼ぐ会社か
コアの報告セグメントは、未来社会ソリューション、産業技術ソリューション、顧客業務インテグレーションの三つである。2026年3月期の売上構成は、それぞれ約19%、52%、29%だった。翌年度から顧客業務の名称を顧客共創ビジネスに改めているが、比較の出発点は2026年3月期の区分に統一する。
未来社会ソリューションは、自治体や公共インフラ、エネルギー、医療機関のシステムを扱う。公共分野の業務を理解し、設計から運用まで請け負う力が売り物である。医療分野には「i-MEDIC」シリーズという自社製品もある。ただし、同社は自社ソフトの施設契約数や継続課金収入を単独で開示しておらず、受託収益と製品収益の線引きには推計が要る。
産業技術ソリューションは収益の中心だ。製造装置や組込み機器、メディア、IoT、人工衛星関連の開発を請け負う一方、高精度測位技術や「Cagou IT点呼」のような製品も持つ。製品を売る部分は技術者の作業時間と違う経済性を持つが、産業技術という報告セグメントの全売上を高い参入障壁のある製品収入とみなすことはできない。
顧客業務インテグレーションは、金融、流通、企業の業務システムを設計し、改修し、運用する仕事である。既存システムと業務知識の理解が受注の土台になるものの、顧客が支払っている価値には技術者の工数が大きく含まれる。2026年3月期には金融や流通の開発案件が縮小し、同部門の売上も減った。
数量を見積もる際は、開示された三事業をさらに六つに分けた。受託部分は技術者年数、自社医療ソフトは施設契約換算、現場向け機器は標準案件換算、点呼サービスは導入拠点数を使う。これは契約単価や稼働人数の実数が開示されていないための分析上の代理指標であり、会社が公表する製品別売上ではない。
優良さと弱いところ
同社の優良さは、利益率の改善と財務の強さに表れている。2014年3月期に1.7%まで落ち込んだ営業利益率は、2026年3月期に14.4%へ上昇した。2020年3月期以降は純現金が続き、自己資本比率も73.5%になった。技術者を増やすだけでなく、採算の良い案件と専門分野に仕事を移してきた成果は評価したい。
堀、すなわち競合が簡単には奪えない強みは、衛星測位、組込み制御、公共システムの業務知識、全国に分散した開発・顧客対応拠点にある。日本郵便の大規模導入は、点呼製品が実際の現場で使えることを示した重要な証拠だ。国土交通省の制度に沿って動く製品には一定の切り替え負担もある。
ただし、価格を自分で上げられる力については慎重である。Cagouは公開料金が年額3万円からと低く、同じ機能を扱う東海電子やナブアシストなどと競争する。医療ソフトについても、解約率が年5%未満という実績、法改正ごとの値上げ実績、業界共同利用基盤としての地位などは確認できなかった。このため、自社製品を含めて会社全体を強い堀と判定しない。
過去10年の増分を見ると、自己資本の増加に対して純利益が大きく増えた。資本を利益に変える力は確かに改善したが、そのすべてが再投資の恒久的な高利回りを示すわけではない。既存事業の採算改善、買収した人員の稼働、将来の値上げ力は分けて考える必要がある。とりわけAIによる開発工数の削減後も、同じ利益率を保てるかは未検証である。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内ITサービス市場は大きく、当面の需要も底堅い。IDC Japanによる2024年の市場規模は約7兆205億円で、2029年には約9兆6,625億円へ拡大する見通しだった。コアの全社売上をこの市場に単純に当てはめても約0.4%に満たず、個々の案件では技術力が強みになっても、国内市場全体を動かす規模ではない。NTTデータ、TIS、野村総合研究所、NSD、DTSなどが大規模な受注で競争する。
ここで市場全体の成長率を、そのままコアの工数増加に使うのは危険だ。企業はクラウド移行や基幹系刷新への支出を増やしても、AIエージェントによって設計、コード作成、テスト、改修、運用の一部を少人数で済ませられる。需要が伸びることと、人月で請求できる仕事量が伸びることは同義ではない。中立では受託開発の実質数量が10年で現在の6割台になる可能性を中心に考える。
医療情報システム市場は2024年度に3,000億円を超えたが、電子カルテは富士通Japan、日本電気、ソフトウェア・サービスなどの有力企業が存在する。ソフトウェア・サービスだけでも2026年4月末時点で全国1,031病院への導入実績を公表している。コアの医療製品は導入施設数が非開示であり、競合と同じ定義のシェアは算出できない。大市場だから同社製品が大きく伸びるという推論は避ける。
点呼分野では運送事業者が重要な市場だが、競合製品を含めた契約拠点総数や売上総額に信頼できる統一統計がない。日本郵便の3,000超の導入拠点を市場シェアと誤認してはいけない。競争相手には東海電子の「e点呼PRO」、ナブアシストの「点呼+」などがある。制度対応は参入の条件である一方、どの製品も守るべき共通仕様でもある。
衛星測位では国土地理院の電子基準点が全国約1,300か所で稼働するなど、社会基盤としての必要性は明確だ。一方、国内の高精度測位補正サービス市場は2025年度約50億円で、成熟局面に入ったとする調査もある。これは機器や受託開発を含むコアの産業技術事業とは別市場である。実証実験や宇宙関連の技術発表を、直ちに大きな独占市場の獲得とみなさない。
資本政策と M&A
資本配分では、実績と約束の両方を評価する。2026年3月期の純利益は約29億円で、配当性向は約30%だった。過去には段階的な増配を続けた一方、大規模な自社株買いで株数を減らしてきた会社ではない。利益を多く社内に残しながら、自己資本利益率を上げてきた点は成果である。
2026年5月公表の第15次中期経営計画は、2029年3月期に売上高350億円、営業利益52.5億円、営業利益率15%、ROE15%以上を目指す。売上目標の内訳は未来社会85億円、産業技術165億円、顧客共創100億円で、ストックビジネス比率20%も掲げる。成長投資ではM&Aに50億円、研究開発に売上高の2%、AI関連に営業利益の2%という具体的な枠を示した。
還元方針は計画公表後に強化された。2026年7月29日、従来の配当性向30%目安に加え、DOE、すなわち株主資本配当率4%との高い方を採用すると発表した。したがって長期の還元を単純に利益の30%とするのは適切ではない。ただし、利益が大きく落ちる悲観の筋書きでは、この方針の維持自体が経営判断となる。
買収では2025年に鹿児島のソフト流通センターとシステムファクトリーかごしまを取り込み、技術者と事業基盤を補った。取得後の増分投下資本利益率は、まだ検証できる期間が短い。これからの50億円のM&A枠は、安い労働力を買うだけならAI時代に価値を壊しうる。製品、顧客基盤、専門技術を買えているかを重視する。
余剰現金の株主への戻り方は0.75とする。上位10株主の保有比率は約58%で、0.5と評価するほどの支配と還元停滞が重なる状況ではない。一方、過去の配当性向はおおむね30%台で、余剰資産が全額速やかに戻る実績もない。自己株式の譲渡制限付株式への処分による小幅な希薄化は注意点だが、追加の大型株式発行は前提にしない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
この会社を単なる人月商売とみなすのは過小評価だ。産業技術ソリューションだけで全社売上の過半を占め、組込み制御、衛星測位、IoTなど、顧客の現場に近い技術を持つ。金融や一般的な業務ソフトよりも、実機検証と制度対応の経験が必要な案件を含んでいる。長年の利益率改善も、安値で技術者を提供する仕事から抜け出してきた証拠と読める。
日本郵便の全国3,000超の拠点へのCagou導入は、製品の有効性を示す具体的な成果である。点呼の法令遵守、複数拠点の管理、記録の保存は一時的な流行ではない。業務前後の自動点呼や遠隔点呼が広がれば、運行管理の中心に入る可能性がある。利用拠点が増えれば、開発費を広い顧客基盤に分散でき、利益率も高められる。
中期経営計画には、2029年の売上350億円という具体的な到達点がある。製品のストック売上を20%に高め、M&Aに50億円を振り向ける方針は、人員増加だけに頼らない構造転換を目指したものだ。AIを内製の生産性向上だけでなく、顧客が使うサービスへ組み込むことができれば、従来より少ない技術者で高い売上総利益を生み出せる。
さらに、純現金約65億円と高い自己資本比率がある。競争環境が厳しくなっても、景気の谷で資金繰りに追われる可能性は低い。配当方針もDOE4%という下支えを加えた。現場技術と自社製品への転換が進めば、現在の利益水準より高い稼ぐ力を持つ企業へ変わりうる。
慎重な見方
一番の懸念は、技術力の高さと価格決定力を同じものとして扱うことだ。熟練した技術者が顧客のシステムをよく理解していても、AIエージェントが設計、実装、試験、改修を自動化すれば、必要な工数は減る。顧客が工数ではなく成果物に対して支払うようになれば、生産性向上の利益を享受するのは必ずしも開発会社ではない。
会社の三事業を調べても、継続契約数、解約率、製品ごとの平均単価、製品別営業利益はほとんど開示されていない。Cagouの全国3,000超の導入は魅力的だが、公開料金の最低額で計算すると年間売上相当額は約0.9億円にすぎない。実際の契約単価はもっと高い可能性があるものの、大規模な利用実績から全社利益への貢献額を直接導くことはできない。
医療システムにも大手の強い競争相手がいる。富士通Japan、NEC、ソフトウェア・サービスなどの既存導入基盤は厚く、既存医療機関の乗り換えは容易ではない。コアの顧客にも切り替え負担はあるはずだが、シェアを奪えるという裏付けはまだ弱い。衛星測位や宇宙分野にも実績はあるが、技術実証から恒常的な高収益へ至る道筋は不透明だ。
2029年までの計画が達成されることも、2036年以降の収益が守られることも保証しない。買収で技術者数と売上を増やしても、その事業がAIによって低い単価しか取れなくなるなら、投下資本の利回りは落ちる。過去の利益率改善をそのまま10年先に延ばすのは危うい。純現金は損失への備えであって、競争上の堀そのものではない。
どちらに重みを置いたか
現時点で重視するのは、強い財務と製品化の実績を評価しつつ、受託開発の長期数量を過去の延長で見ないことだ。中立でもAI代替による工数減少を織り込んでいるため、悲観確率を同じ理由で重ねて増やしてはいない。下側に確率を寄せる理由は、全社売上のおよそ9割がなお工数や操作画面に依存するという構成に加え、計画中のM&Aが高収益の製品資産を獲得できるか不透明なためである。上側27%、下側40%とし、強い財務が悲観の資産価値を支える一方、総合判断はやや割高とする。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 2,638 円379 億円(+ 還元の換算額還元の合計 732 円105 億円)。 今の値に割り戻すと 1,826 円263 億円、今との差 −6.4%、 期待の年率 +6.4%(資本コスト 7.2%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 5,346 円769 億円 | 953 円137 億円 | +223.0% | +13.9% | 630 円91 億円 |
| やや楽観 | 17% | 3,853 円554 億円 | 835 円120 億円 | +140.4% | +10.3% | 797 円115 億円 |
| 中立 | 33% | 2,604 円374 億円 | 779 円112 億円 | +73.5% | +6.5% | 1,116 円161 億円 |
| やや悲観 | 24% | 1,512 円217 億円 | 688 円99 億円 | +12.8% | +1.4% | 528 円76 億円 |
| 悲観 | 16% | 1,412 円203 億円 | 452 円65 億円 | −4.4% | −0.5% | 298 円43 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,638 円379 億円 | 732 円105 億円 | +72.8% | +6.4% | 3,369 円484 億円 |
今の株価時価総額 1,950 円280 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 現場技術と製品が成長の主役になる 利益 48 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 5,346 円769 億円
Cagouの日本郵便への大規模導入が信用となり、物流の現場向け製品と衛星測位の実装案件が広がる。GNSSや設備制御はAIを利用しながらも、実機、現場検証、法令対応が必要な仕事として残る。コアは技術を顧客ごとに一から作るのではなく、再利用できる製品にまとめることに成功する。
それでも通常の受託開発では、AIエージェントによる必要工数の削減を免れない。公共、製造、金融の受託数量はそれぞれ現在の95%にとどまるが、専門性の高い業務で単価を物価並みに上げる。業界全体のIT投資が伸びる中、仕事の付加価値が一般開発から現場技術へ移る。
買収では単なる人員補充ではなく、製品、販売網、独自技術の獲得に成功する。保守と標準製品の売上比率が高まり、営業利益率は約18%になる。配当を続けながら純現金を厚く積み上げるが、独占的な価格決定力が全社へ広がったとはみなさない。
- 未来社会:公共・エネルギー等の受託開発:数量 156(受託開発に配賦する技術者年数換算(人年・推計))× 価格 0.37(技術者年数換算当たりの年間売上(億円・名目。外注や機材を含む売上代理単価))→ 売上 58 億円・営業利益 10 億円。AIによる工数削減後の数量は現状比0.95、価格は1.34。制度知識の深い案件へ絞り採算を高める。
- 未来社会:i-MEDIC等の医療業務ソフト:数量 90.0(医療施設向け年間契約の標準換算件数(件・推計))× 価格 0.06(標準換算契約1件当たり年間売上(億円・名目))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。操作画面型の数量0.90、価格1.15。保守の標準化で利益率が上昇するが契約数は増やさない。
- 産業技術:組込み・製造・メディアの受託開発:数量 595(産業技術部門の受託開発技術者年数換算(人年・推計))× 価格 0.24(技術者年数換算当たり年間売上(億円・名目))→ 売上 141 億円・営業利益 25 億円。受託数量0.95、価格1.34。組込みの実機検証案件に集中する。
- 産業技術:GNSS・現場機器・実装型ソリューション:数量 200(標準化した現場導入・機器案件の年間換算数(件・推計))× 価格 0.35(標準案件1件当たり売上(億円・名目))→ 売上 70 億円・営業利益 18 億円。現場導入案件2.0倍、平均単価1.40倍。自社技術を標準化した機器・実装案件が増える。
- 産業技術:Cagou IT点呼のクラウド利用料:数量 2,700(利用拠点の年間契約換算数(拠点))× 価格 0.00(年間1拠点当たり最低公開利用料金に相当する売上(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。操作画面型の契約換算数量0.90、価格1.15。利益率は改善するが導入規模から売上急拡大を推定しない。
- 顧客業務:金融・流通等のシステム開発:数量 372(部門技術者の年間稼働人数換算(人年・推計))× 価格 0.26(技術者年数換算当たり年間売上(億円・名目))→ 売上 99 億円・営業利益 13 億円。受託数量0.95、価格1.34。成果物の質を高めて契約単価を守る。
倍率:資本コストk7.25%、2036年以降の名目成長g_long0%。余剰現金180億円の税後受取利息2.52億円を除いた事業利益45.95億円と、事業自己資本277億円から事業ROE約16.6%。堀normalの残存割合1/2でRONIC約11.9%とする。正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=13.79倍を上限そのものに使用。時価総額は(48.47−180×0.014)×13.79+180×0.75。
確率:工数型受託はAI代替のため現在の95%までしか残さない。上振れはGNSSや現場導入の案件数が倍増し、製品への転換で高い利益率を獲得することから生じる。会社はAIファーストを掲げるが、独自AIエージェントの金額付き売上実績は十分に確認できないため、AIを理由に受託数量を現在超へ増やさない。
やや楽観 17% 専門開発を守りながら現場製品が伸びる 利益 35 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,853 円554 億円
衛星測位やIoTの標準製品が少しずつ増え、現場向けの導入案件は現在の約1.5倍になる。日本郵便で実用化された点呼技術も、新規顧客への紹介に役立つ。ただし、他社との競争や価格比較が続くため、全社が高い継続課金モデルへ変わるわけではない。
顧客企業は開発効率を改善し、単純な実装、テスト、改修の工数を減らす。コアはその変化に対応して必要な人数を抑え、専門性の高い契約へ移る。受託開発の数量は10年で8割前後へ減るが、人件費上昇と高度な案件の比率上昇によって名目単価は維持できる。
買収先の技術者は大きな混乱なく統合され、製品開発への再投資も一定の成果を生む。会社が計画するストック収益の拡大は部分的に実現する。資本効率は現在よりやや低下するものの、利益額は大きく損なわれず、株主還元と内部留保を両立できる。
- 未来社会:公共・エネルギー等の受託開発:数量 131(受託開発に配賦する技術者年数換算(人年・推計))× 価格 0.37(技術者年数換算当たりの年間売上(億円・名目。外注や機材を含む売上代理単価))→ 売上 49 億円・営業利益 7 億円。数量0.80、価格1.34。公共分野の専門性が価格を支える。
- 未来社会:i-MEDIC等の医療業務ソフト:数量 85.0(医療施設向け年間契約の標準換算件数(件・推計))× 価格 0.06(標準換算契約1件当たり年間売上(億円・名目))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。操作画面型の数量0.85、価格1.15。
- 産業技術:組込み・製造・メディアの受託開発:数量 513(産業技術部門の受託開発技術者年数換算(人年・推計))× 価格 0.24(技術者年数換算当たり年間売上(億円・名目))→ 売上 122 億円・営業利益 20 億円。人月・工数型の数量0.82、価格1.34。
- 産業技術:GNSS・現場機器・実装型ソリューション:数量 145(標準化した現場導入・機器案件の年間換算数(件・推計))× 価格 0.34(標準案件1件当たり売上(億円・名目))→ 売上 49 億円・営業利益 11 億円。現場の案件数1.45倍、価格1.34倍。
- 産業技術:Cagou IT点呼のクラウド利用料:数量 2,550(利用拠点の年間契約換算数(拠点))× 価格 0.00(年間1拠点当たり最低公開利用料金に相当する売上(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。操作画面型の数量0.85、価格1.15。
- 顧客業務:金融・流通等のシステム開発:数量 306(部門技術者の年間稼働人数換算(人年・推計))× 価格 0.26(技術者年数換算当たり年間売上(億円・名目))→ 売上 81 億円・営業利益 9 億円。受託数量0.78、価格1.34。既存顧客の維持で利益率を下支えする。
倍率:k7.25%、g_long0%、堀normal。余剰現金135億円を控除した事業純利益32.83億円、事業自己資本270億円より事業ROE約12.2%、RONIC約9.5%。成長率0%の正当化PER=(1−0/RONIC)/(0.0725−0)=13.79倍を適用。時価総額は(34.72−135×0.014)×13.79+135×0.75。
確率:日本郵便への製品導入と産業技術の実績は評価するが、大きく伸びるのは物理的な現場案件に限る。工数型と操作画面型の数量はAI代替の規定内で縮小する。
中立 33% 受託工数が縮み、現場製品が一部を補う 利益 23 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,604 円374 億円
国内のIT投資は続くが、AIエージェントが日常的な開発作業を引き受けるため、同じシステムを作るための工数は大きく減る。コアは技術力と顧客関係を維持しながらも、公共と金融の受託数量を現在の6割台まで減らす。名目の契約単価は上がるが、物価上昇の全額を売上へ転嫁することは難しい。
産業技術でも一般的な組込み開発の一部は自動化される。ただし、衛星測位、制御機器、現場での設置と検証は残るため、実装型の案件数は緩やかに増える。医療ソフトと点呼製品は制度対応の需要を維持する一方、操作画面を経由しないAIの利用によって契約数と料金に圧力を受ける。
2029年までの中期計画の進捗が良くても、2036年まで同じ伸びが続くとは考えない。新規買収には慎重な資本配分が必要となり、保有現金の一部は製品改良と新しい技術基盤に回る。営業利益率は約13%を維持するが、自己資本が増えるためROEは低下し、優良さは財務と専門技術に支えられたものへ変わる。
- 未来社会:公共・エネルギー等の受託開発:数量 107(受託開発に配賦する技術者年数換算(人年・推計))× 価格 0.36(技術者年数換算当たりの年間売上(億円・名目。外注や機材を含む売上代理単価))→ 売上 39 億円・営業利益 5 億円。AI代替の受託数量0.65、価格1.30。物価1.34倍をわずかに下回る。
- 未来社会:i-MEDIC等の医療業務ソフト:数量 80.0(医療施設向け年間契約の標準換算件数(件・推計))× 価格 0.06(標準換算契約1件当たり年間売上(億円・名目))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。AI代替の操作画面型数量0.80、価格1.10。
- 産業技術:組込み・製造・メディアの受託開発:数量 426(産業技術部門の受託開発技術者年数換算(人年・推計))× 価格 0.23(技術者年数換算当たり年間売上(億円・名目))→ 売上 98 億円・営業利益 14 億円。組込み受託数量0.68、価格1.30。実機検証を要する部分が下支えする。
- 産業技術:GNSS・現場機器・実装型ソリューション:数量 120(標準化した現場導入・機器案件の年間換算数(件・推計))× 価格 0.33(標準案件1件当たり売上(億円・名目))→ 売上 39 億円・営業利益 8 億円。現場案件数1.20倍、価格1.30。成長は限定的だが利益率を維持する。
- 産業技術:Cagou IT点呼のクラウド利用料:数量 2,400(利用拠点の年間契約換算数(拠点))× 価格 0.00(年間1拠点当たり最低公開利用料金に相当する売上(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AI代替の操作画面型数量0.80、価格1.10。利用料ベースの代理推計。
- 顧客業務:金融・流通等のシステム開発:数量 243(部門技術者の年間稼働人数換算(人年・推計))× 価格 0.26(技術者年数換算当たり年間売上(億円・名目))→ 売上 62 億円・営業利益 4 億円。顧客業務の受託数量0.62、価格1.30。開発工数の自動化と競争が利益率を下げる。
倍率:k7.25%、長期名目g_long0%、堀normal。余剰現金95億円の税後利息1.33億円を除いた事業純利益21.99億円と事業自己資本261億円から事業ROE約8.4%、RONIC約7.8%。g0%なので正当化PERは13.79倍。10年後の高成長を倍率へ二重計上せず、上限そのものを使用する。時価総額は(23.32−95×0.014)×13.79+95×0.75。
確率:AIエージェント代替の中心値として人月・工数型の数量を10年で0.62~0.68倍、操作画面型を0.80倍とする。産業技術の一部は実機と現場検証が必要なため数量を1.20倍とし、全社を一律に縮小させない。
やや悲観 24% 受託単価と稼働率がともに弱まる 利益 9 億円 · PBR 1.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,512 円217 億円
顧客企業が開発工数の削減を強く求め、従来の契約形態を維持できなくなる。公共や金融の業務知識はなお必要だが、開発と保守の多くがAIで自動化される。受託数量は10年で半分強まで落ち、名目価格も物価上昇に十分追いつかない。
会社は製品化を急ぐものの、医療ソフトでは有力ベンダーが既存顧客を守る。点呼システムも価格競争が進み、導入実績の大きさを継続的な値上げ力に変えられない。現場向け機器では一部の顧客と技術が残るが、一般的なSIから失われた利益を埋められない。
買収で獲得した人員の稼働率が下がり、固定的な給与と教育費が営業利益を圧迫する。低採算案件を整理しても、営業利益率は約6.5%へ低下する。利益の蓄積と土地、現金などの資産が企業価値を支える一方、新しい資本に高い利回りを得ることは難しくなる。
- 未来社会:公共・エネルギー等の受託開発:数量 90.2(受託開発に配賦する技術者年数換算(人年・推計))× 価格 0.32(技術者年数換算当たりの年間売上(億円・名目。外注や機材を含む売上代理単価))→ 売上 29 億円・営業利益 2 億円。受託数量0.55、価格1.16。
- 未来社会:i-MEDIC等の医療業務ソフト:数量 70.0(医療施設向け年間契約の標準換算件数(件・推計))× 価格 0.05(標準換算契約1件当たり年間売上(億円・名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。操作画面型数量0.70、価格1.02。
- 産業技術:組込み・製造・メディアの受託開発:数量 344(産業技術部門の受託開発技術者年数換算(人年・推計))× 価格 0.21(技術者年数換算当たり年間売上(億円・名目))→ 売上 71 億円・営業利益 6 億円。受託数量0.55、価格1.16。
- 産業技術:GNSS・現場機器・実装型ソリューション:数量 80.0(標準化した現場導入・機器案件の年間換算数(件・推計))× 価格 0.30(標準案件1件当たり売上(億円・名目))→ 売上 24 億円・営業利益 2 億円。現場案件数量0.80、価格1.18。
- 産業技術:Cagou IT点呼のクラウド利用料:数量 2,100(利用拠点の年間契約換算数(拠点))× 価格 0.00(年間1拠点当たり最低公開利用料金に相当する売上(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。操作画面型数量0.70、価格1.02。
- 顧客業務:金融・流通等のシステム開発:数量 196(部門技術者の年間稼働人数換算(人年・推計))× 価格 0.23(技術者年数換算当たり年間売上(億円・名目))→ 売上 45 億円・営業利益 0 億円。受託数量0.50、価格1.16。成果物の価格競争が強まる。
倍率:2036年のROEは約3.0%とk7.25%を下回り、稼ぐ力の価値は純利益÷kを基本とする。余剰現金65億円を分けた利益価値の試算は約158億円だが、今の自己資本207億円のうちのれん4.27億円を除いた約202.7億円という資産の床も見る。収益力が弱い状態で将来積み上がる自己資本296億円に高いPBRを付けない。現在の自己資本207億円に1.05倍を掛けた217.35億円を採用する。
確率:AI代替以外に、顧客が成果報酬や定額契約への移行を求め、既存案件の採算が下がる事態を想定する。M&Aで取得した技術者の稼働率が上がらない可能性もある。下側の確率を増やすのはこの経営執行上の不確実性であり、AI代替を重複計算した結果ではない。
悲観 16% AIと価格競争で開発会社としての優良さを失う 利益 0 億円 · PBR 1.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,412 円203 億円
開発の主要工程がAIエージェントに代わり、顧客は従来のような人数と期間を契約の基準にしなくなる。コアは高度な技術を持つものの、一般的な開発・保守の市場では価格を守れない。顧客業務と産業技術の受託数量が大幅に縮小し、技術者を抱えることが収益力ではなく固定費負担になる。
医療ソフトと点呼製品も、既存の導入先を守る以上の成長を果たせない。業務画面がAIエージェントに置き換わり、利用者の席数や操作回数に応じた課金への圧力が強まる。現場向け衛星測位と機器実装の仕事は一定程度残るが、新技術への投資と競争で利益率が低下する。
会社は大きな買収や採用の判断を誤り、取得したのれんの一部を減損する。営業損失を計上する時期があり、DOE4%という配当方針も後半には縮小または停止を余儀なくされる。ただし、現在の厚い自己資本と現金があるため、事業の再編を続けながら資産価値の多くを保つことは可能だと考える。
- 未来社会:公共・エネルギー等の受託開発:数量 68.9(受託開発に配賦する技術者年数換算(人年・推計))× 価格 0.30(技術者年数換算当たりの年間売上(億円・名目。外注や機材を含む売上代理単価))→ 売上 21 億円・営業利益 0 億円。受託数量0.42、価格1.08。顧客の内製AIが汎用開発を奪う。
- 未来社会:i-MEDIC等の医療業務ソフト:数量 50.0(医療施設向け年間契約の標準換算件数(件・推計))× 価格 0.05(標準換算契約1件当たり年間売上(億円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。操作画面型数量0.50、価格0.95。制度対応の維持費が残る。
- 産業技術:組込み・製造・メディアの受託開発:数量 250(産業技術部門の受託開発技術者年数換算(人年・推計))× 価格 0.19(技術者年数換算当たり年間売上(億円・名目))→ 売上 48 億円・営業利益 −1 億円。受託数量0.40、価格1.08。
- 産業技術:GNSS・現場機器・実装型ソリューション:数量 55.0(標準化した現場導入・機器案件の年間換算数(件・推計))× 価格 0.27(標準案件1件当たり売上(億円・名目))→ 売上 15 億円・営業利益 1 億円。現場案件数量0.55、価格1.07。機器価格競争と開発費が重い。
- 産業技術:Cagou IT点呼のクラウド利用料:数量 1,500(利用拠点の年間契約換算数(拠点))× 価格 0.00(年間1拠点当たり最低公開利用料金に相当する売上(億円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。操作画面型数量0.50、価格0.95。記録管理が別の基盤へ移る。
- 顧客業務:金融・流通等のシステム開発:数量 157(部門技術者の年間稼働人数換算(人年・推計))× 価格 0.21(技術者年数換算当たり年間売上(億円・名目))→ 売上 33 億円・営業利益 −2 億円。受託数量0.40、価格1.08。顧客基盤を守れず固定費負担が残る。
倍率:2036年は営業赤字で、継続利益にPERを掛けるより現在の換金可能な資産を重視する。2026年3月期の自己資本207億円からのれん約4.27億円を引いた202.7億円を床とする。現在自己資本に0.9807倍を掛けた約203億円とし、10年後の積み上げ自己資本280億円をそのまま企業価値とはしない。現金の減少やリストラ費用は営業利益と残存余剰現金に反映し、資産額から無根拠な二重減額をしない。
確率:AIによる人月単価の崩れに加え、受注競争の敗北、製品収益の拡大失敗、買収資産の減損、技術者の再配置費用が重なる構造的な敗北を想定する。倒産や清算までは想定せず、現金と売却可能な純資産の床を守る。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
未来社会:公共・エネルギー等の受託開発
未来社会ソリューション事業のうち、公共、エネルギー、インフラ関連のシステム構築・運用を行う部分。人月・工数で売る受託型と判定する。
| 数量受託開発に配賦する技術者年数換算(人年・推計) | 価格技術者年数換算当たりの年間売上(億円・名目。外注や機材を含む売上代理単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 164 | 0.28 | 46 | 7 |
| 10 年後 中立 | 107 | 0.36 | 39 | 5 |
取り方:2026年3月期の開示された未来社会ソリューション事業売上50.84567億円、営業利益7.41703億円を起点とする。2026年度の第1四半期の医療関連売上1.29億円を年換算した約5.16億円を参考に医療製品部分5億円を暫定分離し、残り45.84567億円を受託型とした。部門人員182人のうち164人年を受託に配賦した数量代理指標で、実際の有償稼働人月や受注単価ではない。営業利益も開示のない製品別利益を推計配賦した。出典は2026年3月期決算短信および2026年7月29日付第1四半期決算補足資料。
未来社会:i-MEDIC等の医療業務ソフト
医療機関向けの自社ソフト、導入支援および保守を含む。電子カルテ等の制度対応の性格はあるが、継続率と値上げの証拠が不足するため操作画面・席課金型に準じる。
| 数量医療施設向け年間契約の標準換算件数(件・推計) | 価格標準換算契約1件当たり年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 0.05 | 5 | 1 |
| 10 年後 中立 | 80.0 | 0.06 | 4 | 1 |
取り方:会社はi-MEDICシリーズ単独の売上高、導入施設数、解約率、施設別単価を開示していない。2027年3月期第1四半期の医療分野売上1.29億円を年換算した約5.16億円を参照し、2026年3月期に5億円相当があったと分析上仮定した。数量100件は施設数の実績ではなく、年間500万円相当の標準契約へ割り戻した換算件数である。市場シェアの実績として用いない。利益0.8億円も推計配賦である。
産業技術:組込み・製造・メディアの受託開発
産業機器、組込み制御、製造業向けソフトウェア、メディア関連の開発・検証を請け負う部分。現場技術は専門的だが、請負工数を対価とする部分にはAI代替が及ぶ。
| 数量産業技術部門の受託開発技術者年数換算(人年・推計) | 価格技術者年数換算当たり年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 626 | 0.18 | 111 | 19 |
| 10 年後 中立 | 426 | 0.23 | 98 | 14 |
取り方:2026年3月期の産業技術ソリューション売上136.95680億円、営業利益23.12377億円から、現場実装型の推計25億円とCagouの公開料金ベース0.9億円を分析上分離した。受託売上111.05680億円を部門従業員766人のうち626人年相当へ配賦した。2027年3月期第1四半期のIoT売上6.14億円、宇宙売上1.02億円は分離額の規模を点検する参照値で、受託と自社製品の境界は会社非開示である。
産業技術:GNSS・現場機器・実装型ソリューション
高精度衛星測位、現場での機器導入、検証、制御機器など物理的な設備・技術を要する部分。AIが全面代替しにくい現場側を抽出するが、付随する一般的な開発工数は受託側に分類する。
| 数量標準化した現場導入・機器案件の年間換算数(件・推計) | 価格標準案件1件当たり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 0.25 | 25 | 4 |
| 10 年後 中立 | 120 | 0.33 | 39 | 8 |
取り方:2027年3月期第1四半期の産業技術におけるIoTと宇宙の売上合計7.16億円を4倍した28.64億円を規模の参考とし、2026年3月期の産業技術に25億円の現場・機器関連売上が含まれると推定した。100件は会社の出荷・設置件数ではなく、1案件2,500万円へ換算した分析用数量である。IoT部門には一般的なSIも含まれうるため、現場型25億円には過大配賦の危険がある。特に市場規模約50.5億円の国内高精度測位補正サービスだけの売上ではなく、機器と受託実装を含む広い仮定である。
産業技術:Cagou IT点呼のクラウド利用料
法令対応の点呼記録をクラウドで扱う自社製品。実績のある導入拠点を持つが、契約更新・独自データ・継続的値上げの十分な証拠がないため、AI代替のある操作画面型業務SaaSに分類する。
| 数量利用拠点の年間契約換算数(拠点) | 価格年間1拠点当たり最低公開利用料金に相当する売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3,000 | 0.00 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 2,400 | 0.00 | 1 | 0 |
取り方:2026年7月10日の会社発表で日本郵便の全国3,000超拠点への正式導入を確認。製品公式サイトの最小料金は年間3万円からであり、3,000拠点×3万円=9,000万円、すなわち0.9億円を最低公開価格による規模の代理値とした。実際の契約単価、課金対象拠点、無料導入期間、売上認識時期は不明であり、日本郵便向け売上0.9億円が会社に計上されたという意味ではない。正式導入発表は2026年7月であるため、2026年3月期の製品別実績に対する推計には時点のずれがある。製品URLはhttps://www.core.co.jp/service/industrial/iot/cagou-alc、導入発表はhttps://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000044.000070745.html。
顧客業務:金融・流通等のシステム開発
金融、流通、企業の業務システムの構築、改修、保守、運用を提供する。売上の主要な対価が開発工数であり、AIエージェント代替の直接的な対象となる。
| 数量部門技術者の年間稼働人数換算(人年・推計) | 価格技術者年数換算当たり年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 392 | 0.20 | 78 | 8 |
| 10 年後 中立 | 243 | 0.26 | 62 | 4 |
取り方:2026年3月期の顧客業務インテグレーション事業の外部売上77.51777億円と部門従業員392人を用いた。営業利益7.65521億円を丸めて表示した。1人当たり売上は実際の人月契約単価ではなく外注、機材、固定価格案件を含む代理単価である。金融・流通向け案件減少により2026年3月期の同部門売上は前年を下回った。
リスクと懸念
AIエージェント代替による人月・工数収益の縮小
開発、単体試験、保守改修、仕様書作成などは、AIエージェントが大量の作業を自動化しうる。顧客のIT支出が増えても、開発会社が請求できる人月は減る可能性がある。本分析では受託開発の中立数量を現状の0.62~0.68倍へ落とし、2036年以降の名目成長率を0%として反映した。同じ理由を資本コストの寿命上乗せに重ねていない。
自社製品の堀と利益貢献が未確認
Cagouの全国3,000超拠点への導入は重要な実績だが、会社全体に占める製品別売上、営業利益、継続率、値上げ実績は不明である。最低公開料金で計算した利用料相当額は約0.9億円にとどまり、この値は実際の計上売上ではない。売上の大半が製品収益に置き換わったと扱うことはできない。
M&Aの投下資本利回り
中期計画のM&A投資枠は50億円で、現在の純現金約65億円と比べても大きい。買収先が汎用開発を人月で売る会社なら、AIによる工数削減が進む中で期待した利益を得られないおそれがある。取得のれんだけでなく、残した技術者の稼働率や製品への転換に注目する必要がある。
産業技術の中に残る開発工数
衛星測位や産業機器の開発は現場に近いが、すべての案件が物理機器の販売というわけではない。設計、ソフトウェア実装、テストの部分はAIに置き換わりうる。本分析で現場型とした25億円は実績の独立開示がない推定額であり、実際の製品収益が少なければ中立利益はさらに小さくなる。
医療・点呼分野の規制変更と競争
医療情報システムは制度への適合が必要だが、既存の大手ベンダーは厚い導入基盤を持つ。点呼では国土交通省の制度と補助金が普及を支える反面、共通仕様への対応は複数社に開かれている。AIを組み込んだ競合製品が安価に提供されれば、既存の法令対応だけでは値上げ力を確保できない。
配当方針と余剰現金の使い方
DOE4%の導入は株主への還元を強めるが、利益が落ちても一定の配当額を求められる仕組みである。経営が買収や研究開発を優先して現金を抱え込む場合、少数株主にとって帳簿の現金が全額の価値で戻るとは限らない。悲観では減配もありうるが、それは公表方針からの変更を要する。
今後の分かれ目
- 2029年3月期に売上350億円、営業利益52.5億円を達成し、その後も製品別継続収入が増え続けたら
- 現場型と自社製品の数量・利益率を上方修正する。単なる受託開発の売上増であれば、2036年以降の工数減少リスクは残す。
- Cagouの継続契約数、実際の平均利用料、解約率が開示され、価格改定を通しながら解約率5%未満を維持したら
- 点呼製品の堀を再評価する。業界共通基盤としての地位や独自データの蓄積も確認できれば、製品部分に限って長期成長率を引き上げる。
- SI受注の契約方式が人月から成果報酬・自社製品利用料に移り、その金額が開示されたら
- AIによる工数減少の影響を受けにくい売上へ分類を変更する。自社AIエージェントの実売上が確認できれば、AIを成長要因として上側の筋書きに反映する。
- 産業技術の売上は伸びても、技術者一人当たり粗利益や営業利益率が連続して低下したら
- AIの生産性向上分が顧客へ移転している兆候とみる。受託型の数量または単価を下げ、やや悲観側を重くする。
- M&Aで取得した会社の買収価格、のれん、営業利益、技術者数が確認でき、増分ROICが資本コストを継続して超えたら
- 資本配分能力の評価を高め、買収後の利益率と将来の余剰現金を見直す。買収による売上増だけでは上方修正しない。
- DOE4%の方針が維持され、増配と自社株買いによって利益の半分以上が継続的に株主へ戻るようになったら
- 余剰現金の戻り方を0.75から1.0へ改める余地が生まれる。逆に配当停止や株式対価買収が続けば、既存株主の取り分を下方修正する。
見ておくもの
- 未来社会・産業技術・顧客共創の各事業の売上高、営業利益、利益率
- 受託開発の技術者数、稼働率、実際の契約人月単価と一人当たり粗利益
- Cagouの課金拠点数、実現平均単価、更新率、解約率、製品別営業利益
- i-MEDICシリーズの稼働施設数、更新契約と保守収入、価格改定実績
- 産業技術のIoT・宇宙・GNSS関連売上のうち、自社機器・継続課金が占める割合
- 2029年3月期の中計目標である売上350億円、営業利益52.5億円、ROE15%、ストック売上比率20%の達成状況
- M&A累計投資額、買収のれん、買収先の営業利益と増分投下資本利益率
- DOE4%の運用実績、配当総額、自己株数、純現金、運転資本と営業キャッシュフロー
倍率と資本コストの決め方
基準時価総額311.16億円は最後の比較にだけ使い、事業の数量と単価、利益率、2036年の自己資本、正当化倍率を先に決めた。2026年3月期の三つの報告セグメントの売上265.32024億円と営業利益38.19601億円に、分析上の六つの内訳を一致させた。内訳の施設契約数、現場案件数、受託人年と製品別利益は推計であり、実数のように扱わない。
2036年の楽観から中立はk7.25%、AIエージェント代替を反映したg_long0%、RONICの式から正当化PER13.79倍を適用する。やや悲観と悲観は稼ぐ力と、現時点の自己資本からのれんを除いた約202.7億円の資産の床を比べる。悲観の時価総額203億円はこの床を下回らず、配当累計を加えた268億円も現在の時価総額311億円以下である。
余剰現金は事業利益の倍率と二重に数えないよう利息を控除して加算する。将来の余剰現金は筋書きごとに明示し、機械的な留保現金の追加加算は行わない。10年間の純利益合計から還元を引いた自己資本の増加も各筋書きで整合させた。日本の新リース会計基準による表示変更は営業の実力と区別し、2036年も従来の費用構造との比較を維持する。結果は約263億円、時価総額との差はマイナス約15.6%である。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。10年国債3%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%を出発点とし、厚い純現金による財務面の軽減0.25ポイントのみを反映する。