結論
テクノクラフトは、ゴルフカートの位置を把握し、ゴルフ場の運営を支えるシステムで国内首位の会社だ。筆者の結論は「適正」である。顧客が離れにくい主力製品には価値があるが、国内市場はすでに相当程度開拓されており、新しい健康見守り事業の成功を当然視できない。
同社が2025年末に導入していたゴルフ場は1,148コースで、会社が示すカートナビ市場のシェアは約63%に達する。2025年9月期の年間解約率はわずか0.63%だった。カートの位置管理、安全確認、プレー進行の管理は、景気が悪いからといって容易に止められる機能ではない。しかも継続収入の顧客単価は2022年9月期から上昇している。新しい顧客を大量に獲得しなくても、更新契約と高機能機種への移行で稼ぐ余地が残っている。
もっとも、株主が受け取れる利益は、ゴルフ事業の強さだけでは決まらない。保育園向けの「コミュなび」は大手との競争に加え、AIエージェントによる画面操作の代替にさらされる。健康見守りは現場の身体データを扱う有望な事業だが、まだ赤字が大きい。2026年9月期の会社予想は利益回復を示しているものの、10年間続く収益力としてそのまま延ばすべきではない。
2036年の中立では、国内カートナビの導入拠点をおおむね維持し、単価と採算の改善が続くと見る。五つの筋書き、資本コスト7.0%、潜在株式の希薄化を反映した現在価値は約23.6億円となる。2026年10月23日時点の時価総額約22.1億円との差は約プラス7%である。数字の上では若干の余裕があるが、新規事業と還元方針の不確実さを踏まえれば、十分に大きな安全域とまでは言えない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の見方では、テクノクラフトの魅力は「技術が新しいこと」ではない。ゴルフ場が安全に営業するため、毎日使わざるを得ない仕組みを押さえていることだ。解約率が極めて低く、既存顧客の契約単価も上がっている。これは、毎年新しい客を獲得し続けなければならない事業より、将来の利益を想像しやすい。
ただし、広い堀があることと、何十年も高成長することは別問題である。国内ではすでに多くのコースに導入されている。成熟した顧客基盤からの利益は、機器の更新費用、通信費、研究開発費を差し引いた後にどれだけ残るかで測る必要がある。端末を繰り返し利用できる仕組みは好材料だが、古い機種を更新し続ける資金も要る。
保育ソフトの価値は、ゴルフカート管理とは分けて評価すべきだ。導入施設の解約が少なくても、AIエージェントが連絡帳や請求などの入力操作を代行すれば、席や画面を単位として料金を取り続ける力は弱くなる。医療と熱中症対策は身体を扱うため同じ代替は起きにくいものの、実績の乏しい新事業に高い永続価値を認める理由にはならない。
資本配分の試金石は、健康見守りが利益を生まなかったときの対応である。ゴルフ事業の現金を何年も赤字補填へ回せば、せっかくの顧客基盤が株主の豊かさに結び付かない。反対に、成果の出る事業へ絞って再投資し、余った現金を適切に返せば、現在の評価を上回る余地がある。筆者は主力事業を評価するが、経営の資本配分まで無条件には信頼せず、現時点では大きな安全域を認めない。
何で稼ぐ会社か
会社の収益の中心は、GPSを使うゴルフカート運行管理システム「マーシャルナビ」シリーズだ。カートに取り付けた端末とクラブハウス側の管理システムを組み合わせ、コース内の車両位置、プレーの遅延、危険区域への進入を把握する。大型画面の「Marshal Ai Premium」や、カートの前後を撮影する「Wドラレコ」も展開する。顧客のゴルフ場にとっては、単なる距離表示器ではなく、安全管理と省人化のための設備である。
カートナビの売上は、導入時の機器販売や設置費、継続契約、修理や増設で発生する。2025年9月期のゴルフ関連売上は約20.6億円で、その約9割がカートナビだった。うち継続収入は11.36億円で、ゴルフ関連売上の55.1%を占める。年間解約率が低く、顧客単価も上昇しているため、設置台数の増加だけに頼る通常の機器販売とは収益構造が異なる。
広告は、既設カートナビ画面の「GOLチャン」と、カート後部の映像広告「Golfcart Vision」を通じて販売する。後者では広告会社IRISと連携している。カートの乗客という特定の視聴者へ配信でき、すでに設置した機器から追加の収入を得られる。ただし広告主の予算や在庫稼働率に左右され、カートナビそのものと同じ継続性はない。
個人向けには「スマートゴルフナビ」や「Ai CADDY」を展開している。累計ダウンロードは2026年2月に119万件を超えたが、累計数は有料契約数ではない。スマートフォンや時計で距離を測る機能は、端末メーカーの標準機能やAIによる案内と競争するため、利用者が増えても高い利益が残るとは限らない。
保育向け「コミュなび」は、出欠、園児情報、請求、保護者との連絡、送迎バスの管理を提供する。2025年9月期末の導入先は1,052施設で、継続契約が中心だ。健康見守り事業では「TECHNO BAND」や「バイタルナビ」を通じ、作業員や患者の生体情報を扱う。後者はソフトだけで完結せず、端末、通信、現場導入、医療機器に関する対応が必要になるため、成功すれば保育ソフトとは異なる参入障壁を築ける。
優良さと弱いところ
最大の強みは、長く使われる機器と日々の運営業務が結び付いていることだ。ゴルフ場がカートナビを変更する場合、端末だけでなく、クラブハウスの管理方法、通信環境、従業員の操作、安全確認の手順まで見直さなければならない。導入シェア約63%と年間解約率0.63%は、この切り替え負担が実際に働いていることを示す有力な証拠である。
値決め力にも一定の裏付けがある。ゴルフ場当たりの年間継続収入は、2022年9月期の84.6万円から2025年9月期の96.9万円へ増えた。機能の追加や契約の更新を通じて単価を高められている。ただしこれは継続収入だけの単価であり、機器販売や更新費を含むゴルフ場当たり総売上とは違う。物価を上回る値上げが今後も続くとまでは断言できない。
カートの位置や運行記録、事故時の映像という現場データを機器と結び付けて扱える点も強みだ。人が画面を操作する部分はAIに置き換わっても、カートの位置を取得する端末と安全を担保する現場の仕組みは残る。このため、事業の一部には業務ソフト以上の継続性を認められる。一方、競合が同等の機能を搭載した車両と運行管理システムを一括で供給すれば、その優位が損なわれる可能性もある。
弱みは全社の資本効率である。2025年9月期の自己資本利益率は3.9%にとどまり、資本コストを下回った。ゴルフ事業が利益を出しても、健康見守りの開発負担と本社費用が全社利益を薄めている。2026年の端末再利用、調達費用、通信費の削減は前進だが、これだけで増分投資の利回りが恒常的に高くなったとは言えない。堀の強い部分と、まだ株主価値を生んでいない部分を分けて見る必要がある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内ゴルフ場市場は、急拡大を前提にできる産業ではない。日本ゴルフ場経営者協会の2025年度利用者数速報は約8,750万人で、前年度とほぼ横ばいだった。高齢の利用者が多く、今後は人口減少やゴルフ場の統廃合が数量の逆風になる。国内のゴルフ場数は会社の市場分析では2,096コースであり、ここに大きな新市場が突然現れるわけではない。
その一方で、ゴルフ場の従業員不足、安全対策、プレーの進行管理への投資は続く。マーシャルAiは単なる距離測定ではなく、車両の位置と運行状況を管理する仕組みだ。従業員が巡回しなくても遅延や危険を察知できるため、労務費が上昇するほど導入の経済的な意味が増す。国内の成長は新規コース数より、既設システムの更新と一施設当たり単価に依存すると見る。
カートナビの国内市場を現在の売上構造で推計すると、2,096コースに同社の一拠点当たりカートナビ売上を適用した年間市場額は約34億円になる。ただしこれは競合を含む公表市場統計ではなく、機器更新の周期も含めた概算だ。会社が示す63%は18ホール換算などの導入基準に基づくため、1,148を2,096で割った約55%と混同できない。個々の競合メーカーの正確なシェアは確認できず、カートメーカーの内製システムと他社のGPS運行管理が主な競争相手になる。
広告では、ゴルフ場を限定した独自媒体という強みがある一方、広告主の予算はデジタル広告や動画広告など広い市場と競合する。保育ICTはこれより競争が厳しい。コドモンは2026年10月時点で幅広い児童関連施設に約2万5,700件の導入実績を示しており、テクノクラフトの1,052施設を大きく上回る。ただし対象施設の定義が異なるので、両社の導入数をそのまま市場シェアとすることはできない。
健康見守りは、2025年6月に強化された職場の熱中症対策や医療現場の省人化を背景に市場が開きつつある。ただし法律が個々の職場に特定の腕時計の購入を義務付けたわけではない。端末の信頼性、誤警報、個人情報の扱い、医療機器の認証、導入後の運用費が普及の障害になる。会社固有のシェアや実際に料金を支払う端末数がまだ小さく、市場の潜在規模をそのまま売上見通しへ変えるのは危険である。
資本政策と M&A
資本配分では、強い既存事業から得た現金をどこに使うかが最も重要だ。2021年にはテクサとクラウドデザインを吸収合併し、2023年以降もウェルネット、遠藤製作所、BSNメディアホールディングスなどと資本・業務提携を進めた。これらは周辺技術や販路を補う動きだが、各投資の増分ROICが資本コストを上回ったことを示す継続的な数値開示は確認できない。
2026年9月18日に東証スタンダード市場へ上場し、42万6,000株を公募した。調達資金は機器の仕入れ、開発、医療機器の承認や認証に関する費用へ充てる計画である。2026年9月期の会社予想は売上高24.73億円、営業利益2.81億円、純利益1.98億円だ。これは単年度の数値であり、10年後の持続力を約束したものではない。
継続収入比率を約80%へ高める方向性は示されているが、確認した資料には、それと結び付いた中期経営計画の売上高、営業利益、ROEの定量目標と達成期限は見当たらない。配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い額についても数字の約束なしである。2024年9月期、2025年9月期と2026年9月期会社予想の配当はゼロであり、株主還元が自動的に増えるとは扱わない。
2026年6月末時点の現預金は約4.85億円だが、在庫や前受収益、健康見守りへの投資負担を考えると全額が余剰ではない。余剰資金の株主への戻り方は75%にとどめる。上場前の大株主には創業者側の資産管理会社と投資ファンドがあり、上場後の株主構成の変化も見守りたい。買収で規模を追うより、まずカートナビの更新利益を確実に現金化し、不採算の新事業に撤退基準を設けることが合理的だ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ゴルフ場向けのシステムは、すでに市場で勝負がついている部分が大きい。会社が示す国内シェアは約63%で、年間解約率は0.63%にすぎない。新しい営業先を探す負担が比較的小さいうえ、既設の約1,150コースに対して端末更新、高機能化、追加広告を提案できる。顧客単価の上昇実績は、この仕組みが実際に機能している証拠だ。
2026年9月期第3四半期には、営業利益が前年通期を大きく上回った。端末の再利用、通信費の削減、調達条件の改善が実現したことは、一過性の広告収入よりも重要だ。売上が大きく増えなくても、利益を生む設備と継続契約の組み合わせで、全社の資本効率が改善する可能性がある。
さらに広告事業は、カートを既に設置していることを利用できる。広告収入が増えても機器の導入費用が同じ割合で増えるわけではない。IRISとの連携によって広告主の開拓が進めば、カートナビという既存の設備から得られる利益は大きくなる。
健康見守りも、ゴルフ事業で培った端末、GPS、通信、現場運用の技術を転用できる。熱中症対策や医療現場の見守りは、AIが文章を作るだけでは解決しない。医療機関と職場への導入が進めば、二つ目の機器一体型継続収入を育てられる。経営が不要な費用を抑え、投資後の利益を株主へ戻すなら、いまの規模から見た上振れ余地は大きい。
慎重な見方
国内で約63%のシェアを持つという事実は、同時に新規販売の上限が近いことも示す。全国のゴルフ場は約2,100コースしかなく、人口減少と高齢化で利用者も長期的には減りうる。既存顧客の更新が続くとしても、カートメーカーの運行管理機能が標準化されたり、他社が一括調達で価格を下げたりすれば、現在の単価上昇は止まる。
強いゴルフ事業が全社の高い利益率を保証するわけでもない。2025年9月期は健康見守りの赤字と本社費用が重なり、全社の営業利益は1億円に届かなかった。2026年の大幅増益には端末更新や費用削減が寄与しており、更新需要が一巡した後も同じ改善が続くかは未確認だ。2025年には個人向けアプリの収益性低下から減損も生じている。
保育事業の表面上の成長にも注意が必要だ。2025年9月期の増収には、写真販売の売上表示を純額から総額へ変えた影響が大きい。従来と同じ表示なら成長率は小さかった。コドモンのような規模で優る競合が存在し、AIエージェントが請求、出欠連絡、文書作成を直接処理すれば、画面を売るソフトの収益構造は変わる。
健康見守りは市場の必要性が高くても、医療機器の認証、現場での精度、保守、販売網の整備に費用がかかる。2026年9月期第3四半期にも大幅なセグメント赤字だった。収益化できなければ、ゴルフ事業の現金が再投資名目で消費される。公募後の潜在株式による希薄化もある。既存事業がよいという理由だけで、新規事業全体に高い値を払うのは危うい。
どちらに重みを置いたか
ゴルフカートナビの継続率と値決め力については強い見方に分がある。ただし、国内市場の上限は明確であり、健康見守りの黒字化にはまだ事実の裏付けが足りない。保育ソフトと個人向けアプリのAI代替も見逃せない。
確率は楽観側32%、中立30%、悲観側38%とした。悲観側を少し厚くしたのは、既存ゴルフ事業の衰退を決めつけたからではなく、周辺事業の採算と資本配分の結果がまだ読めないためである。AIの影響は関連する数量と価格、長期成長率に反映し、資本コストの寿命や確率で同じ損失を重ねていない。価値は時価総額を若干上回るが、評価は適正にとどまる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/09 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 902 円42 億円(+ 還元の換算額還元の合計 64 円3 億円)。 今の値に割り戻すと 504 円24 億円、今との差 +7.7%、 期待の年率 +7.8%(資本コスト 7.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 2,315 円108 億円 | 157 円7 億円 | +428.3% | +19.1% | 247 円12 億円 |
| やや楽観 | 22% | 1,500 円70 億円 | 118 円6 億円 | +245.7% | +13.9% | 356 円17 億円 |
| 中立 | 30% | 896 円42 億円 | 59 円3 億円 | +104.0% | +7.7% | 286 円13 億円 |
| やや悲観 | 23% | 193 円9 億円 | 20 円1 億円 | −54.5% | −7.9% | 49 円2 億円 |
| 悲観 | 15% | 182 円9 億円 | 0 円0 億円 | −61.0% | −9.0% | 27 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 902 円42 億円 | 64 円3 億円 | +106.4% | +7.8% | 966 円45 億円 |
今の株価時価総額 468 円22 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% カートの高付加価値化と健康見守りの事業化 利益 7 億円 · PER 15.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,315 円108 億円
国内ゴルフ場の統廃合は続くが、テクノクラフトは設備更新時の競争を制し、導入拠点を1,260コースへ伸ばす。単にカートの位置を見るだけでなく、事故時の映像記録や安全機能、管理者向けの自動通知が標準になり、既存顧客への更新単価が高まる。広告媒体も拡充され、広告主がゴルフ場の来場者に直接接触する価値を認める。主力事業の堀は維持される。
健康見守りでは、医療機関や産業現場での運用実績が積み重なり、機器の安全性と販売網の課題を乗り越える。端末の有料稼働が広がり、保守とデータ管理を含む継続契約が生まれる。事業規模が拡大すると開発費を吸収できるようになり、全社利益の第二の柱となる。
個人向けアプリと保育ソフトはAIによって画面操作が代替されるため、利用者数の大きな増加を前提にしない。売上の伸びは実際に人と機器が必要な現場から生じる。2021年の吸収合併や各種提携で得た販路を活用し、無理な大型買収を避ける。利益の一部は更新投資に充て、残りは配当などで株主に還元する。
- ゴルフカートナビ・運行管理:数量 1,260(カートナビ導入ゴルフ場数(実コース、年平均の代理数量))× 価格 0.03(導入1ゴルフ場当たり年間総売上(億円、機器の初期・更新販売と継続収入を含む))→ 売上 32 億円・営業利益 9 億円。導入1,260コース、1コース当たり年間255万円。大型機への更新と安全機能の追加により、2025年比で拠点約1.10倍、総売上単価約1.59倍。
- ゴルフカート内広告媒体:数量 1,280(広告配信が可能な導入ゴルフ場数の代理値)× 価格 0.00(導入1ゴルフ場当たり年間広告売上換算(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。広告在庫の拡大と高稼働率が重なり、配信可能拠点換算1,280件。広告収入の増加が固定費に対して効率よく寄与する。
- 個人向けゴルフアプリ:数量 17,000(年間の有料利用者換算人数(推計))× 価格 0.00(有料利用者換算1人当たり年間収入(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIによる機能の無償化を踏まえて有料利用者換算は現在以下。既存の熱心な利用者向けだけで小幅な黒字を保つ。
- コミュなび・保育施設向け業務支援:数量 1,000(導入幼保施設数)× 価格 0.00(導入1施設当たり年間総売上(億円、写真販売の総額表示を含む))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。AIによる席・画面の代替で施設数は増やさない。請求・安全確認など残るサービスと写真販売を合わせた総売上単価が上がる。
- 健康見守り・ウェアラブル端末:数量 8,500(年間売上を生む端末・契約の換算件数(推計))× 価格 0.00(端末・契約1件当たり年間総売上換算(億円、端末販売とサービスを含む))→ 売上 11 億円・営業利益 2 億円。医療・産業現場で8,500件の年間売上換算契約を獲得。医療機器対応と販売網を確立した成功例であり、確認済みの実績値ではない。
倍率:資本コストk=7.0%、長期成長率g=1.0%。余剰現金18億円を自己資本・税後利益から切り離すと、事業ROEは約20.24%。強い主力の堀を踏まえ、超過収益の残存割合2/3からRONIC約15.82%。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=約15.61倍。利益6.95億円から現金利息18×1.4%を除き、そのPERと現金の戻り方75%を適用する。
確率:カートナビの単価改善が続き、広告在庫も十分に売れ、さらに赤字の健康見守りが大きな利益源へ育つ必要がある。新事業の拡大と採算改善が同時に実現する可能性を認めるが、確認済みの有料導入実績に比べて要求される成長が大きいため10%とした。
やや楽観 22% 既存顧客の更新利益が定着 利益 5 億円 · PER 15.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,500 円70 億円
ゴルフ場数そのものは減るものの、他社製品からの切り替えや運営会社単位の一括更新で導入先を増やす。マーシャルAi Premiumのような大型端末への更新が進み、位置管理、事故対策、プレー進行の通知など、現場に必要な機能が増える。顧客の解約は引き続き少なく、リカーリング収入の比率も高まる。
広告は、機器の普及に比例して配信枠が広がる。IRISとの協業が広告主の獲得に役立ち、ゴルフ事業の利益率改善に貢献する。端末調達と通信費の削減も定着し、営業利益が売上の増加以上に伸びる。
健康見守りは一部の医療機関と作業現場で採用され、初期開発の固定費を吸収する規模に育つ。ただし全国で圧倒的な標準製品になるわけではない。保育ソフトと個人向けアプリはAIによる代替を受け、導入施設と有料利用者は横ばい以下となる。経営は大規模な買収を避け、残った利益の一部を株主へ返す。
- ゴルフカートナビ・運行管理:数量 1,220(カートナビ導入ゴルフ場数(実コース、年平均の代理数量))× 価格 0.02(導入1ゴルフ場当たり年間総売上(億円、機器の初期・更新販売と継続収入を含む))→ 売上 28 億円・営業利益 8 億円。更新需要と高機能化が定着。数量は約1.06倍、総売上単価は約1.44倍。
- ゴルフカート内広告媒体:数量 1,230(広告配信が可能な導入ゴルフ場数の代理値)× 価格 0.00(導入1ゴルフ場当たり年間広告売上換算(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。既設端末への広告配信拡大が続くが、広告主の予算による変動は残る。
- 個人向けゴルフアプリ:数量 15,500(年間の有料利用者換算人数(推計))× 価格 0.00(有料利用者換算1人当たり年間収入(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。画面操作のAI代替で有料利用者が減る。技術維持費を吸収する程度の採算にとどまる。
- コミュなび・保育施設向け業務支援:数量 970(導入幼保施設数)× 価格 0.00(導入1施設当たり年間総売上(億円、写真販売の総額表示を含む))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。施設数は現在の約92%。AI代替を受けつつ、安全管理など残る機能への対価を維持する。
- 健康見守り・ウェアラブル端末:数量 4,000(年間売上を生む端末・契約の換算件数(推計))× 価格 0.00(端末・契約1件当たり年間総売上換算(億円、端末販売とサービスを含む))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。現場の端末・契約換算4,000件を達成し、量産と保守の効率化によって黒字化する。
倍率:k=7.0%、g=1.0%。余剰現金14億円を除く事業ROEは約14.82%。残存割合2/3からRONIC約12.22%、正当化PERは約15.30倍。営業利益率や資本効率の改善は10年後の利益に含め、倍率を市場の評価から選ばない。
確率:端末の再利用、原価低減、契約更新にはすでに実績がある。健康見守りが一定の規模で黒字化することもあり得るが、医療・産業向け販売網の確立には時間を要するため、楽観よりは現実的な22%とした。
中立 30% カートの契約を守り、健康見守りは小幅黒字 利益 3 億円 · PER 14.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 896 円42 億円
国内ゴルフ場の一部が統廃合され、カートナビの導入拠点数は現在よりわずかに減る。残った施設では省人化と安全対策が必要なため、機器更新と継続契約が続く。大型画面、位置管理、事故対策の機能向上は単価を支えるが、機器価格への競争圧力も強く、物価の上昇をすべて転嫁できるわけではない。主力の堀は保たれるが、国内市場の拡大企業ではなく成熟した運行管理事業者になる。
広告は自社設置端末の利用に応じて増えるが、広告予算の波に左右される。個人向けアプリはAIや端末標準機能と競合し、採算が低い。保育向けのコミュなびでは、契約継続率の高さだけでは強い値上げを保証できない。大手の機能拡充とAIによる業務自動化で、施設数も実質的な利用料も抑えられる。
健康見守りは一定の導入先を得るものの、医療機関や作業現場で一気に普及する段階には至らない。売上が増えるにつれて初期赤字は解消するが、研究開発とサポート費が継続する。2026年に始まった利益率改善を基礎に全社では安定した黒字を維持し、蓄積した自己資本の一部を株主に還元する。
- ゴルフカートナビ・運行管理:数量 1,100(カートナビ導入ゴルフ場数(実コース、年平均の代理数量))× 価格 0.02(導入1ゴルフ場当たり年間総売上(億円、機器の初期・更新販売と継続収入を含む))→ 売上 23 億円・営業利益 6 億円。導入拠点は現在の約96%。総売上単価は約1.29倍で、10年間のCPI約1.34倍をやや下回る。
- ゴルフカート内広告媒体:数量 1,110(広告配信が可能な導入ゴルフ場数の代理値)× 価格 0.00(導入1ゴルフ場当たり年間広告売上換算(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。媒体の拡張余地は限定的。販売単価は広告在庫の稼働率と物価上昇に沿って緩やかに伸びる。
- 個人向けゴルフアプリ:数量 14,000(年間の有料利用者換算人数(推計))× 価格 0.00(有料利用者換算1人当たり年間収入(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。有料利用者換算は現在の約78%。AIによる案内機能の代替で価格もほぼ横ばい。
- コミュなび・保育施設向け業務支援:数量 900(導入幼保施設数)× 価格 0.00(導入1施設当たり年間総売上(億円、写真販売の総額表示を含む))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替の画面型。導入施設は0.855倍、総売上単価は1.075倍。物価を十分転嫁できない。
- 健康見守り・ウェアラブル端末:数量 1,600(年間売上を生む端末・契約の換算件数(推計))× 価格 0.00(端末・契約1件当たり年間総売上換算(億円、端末販売とサービスを含む))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。端末・契約換算1,600件で小幅な黒字。医療機器対応や運用費が高利益率を抑える。
倍率:k=7.0%、g_long=1.0%。余剰現金12億円を除く事業純利益は2.492億円、事業自己資本は26.6億円、事業ROEは約9.37%。強い主力の超過収益の2/3が残るとするとRONIC約8.58%。正当化PER=(1−0.01÷0.0858)÷(0.07−0.01)=約14.72倍。これを上限そのものとして採用し、現金の利息控除と株主への戻り方を別計算する。
確率:国内市場が成熟しているため、カートナビの大量新規導入は見込まない。一方、0.63%の低解約率と既存単価の上昇実績があり、現状の収益基盤が急に失われるとする必要もない。新事業は限られた規模の黒字化までとし、中立の中心に30%を与えた。
やや悲観 23% 既存事業の利益が周辺事業の負担で薄まる 利益 0 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 193 円9 億円
国内ゴルフ場の減少と顧客の設備投資抑制が重なり、カートナビの導入拠点は1,000を下回る。既存契約の多くは続くものの、カートメーカーや別の運行管理サービスへの切り替えが増え、更新時の単価交渉は厳しくなる。高機能機種の需要は残るが、端末販売と保守費の利益率は下がる。
広告は来場者数と広告予算の弱さに直面し、既設画面の広告枠を十分に販売できない。個人向けアプリはAIが距離案内やコース攻略を代行し、優位性を失う。保育ソフトも大手システムとの競争にさらされ、導入施設数と課金単価が下がる。ここでは利用者側の便利さが増しても、従来のソフト会社の売上は減る。
健康見守りは現場実証から商用化への移行が遅れる。安全性の評価やサポートには費用がかかるため、売上が増えても損益分岐点に届かない。経営は増配よりも開発と事業立て直しに資金を振り向ける。大規模な破綻には至らないが、株主の利益成長が止まり、会社の保有資産と低い稼ぐ力が価値の中心になる。
- ゴルフカートナビ・運行管理:数量 980(カートナビ導入ゴルフ場数(実コース、年平均の代理数量))× 価格 0.02(導入1ゴルフ場当たり年間総売上(億円、機器の初期・更新販売と継続収入を含む))→ 売上 18 億円・営業利益 3 億円。導入先が減少し、価格は10年で約1.15倍にとどまる。機器更新の価格競争が強まる。
- ゴルフカート内広告媒体:数量 980(広告配信が可能な導入ゴルフ場数の代理値)× 価格 0.00(導入1ゴルフ場当たり年間広告売上換算(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。広告販売の稼働率が下がり、物価上昇を価格に反映できない。
- 個人向けゴルフアプリ:数量 13,000(年間の有料利用者換算人数(推計))× 価格 0.00(有料利用者換算1人当たり年間収入(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。利用者減少とAI代替が進み、保守的な事業縮小を行う。
- コミュなび・保育施設向け業務支援:数量 750(導入幼保施設数)× 価格 0.00(導入1施設当たり年間総売上(億円、写真販売の総額表示を含む))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。導入施設は現在の約71%。価格は横ばい以下で、AIに置き換えられにくい業務だけが残る。
- 健康見守り・ウェアラブル端末:数量 900(年間売上を生む端末・契約の換算件数(推計))× 価格 0.00(端末・契約1件当たり年間総売上換算(億円、端末販売とサービスを含む))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。導入が限定的で、端末と規制対応を維持する費用を回収できない。
倍率:2036年のROEは約1.2%で資本コスト7.0%を大きく下回る。したがって、将来の積み上がった自己資本29.6億円に倍率を掛けず、添付の2025年9月期末自己資本16.7億円をPBRの分母とする。PBR0.59倍に対応する約9.85億円は、営業債権・棚卸資産・有形資産と手元現金を慎重に換金し、負債と処分費用を控除した資産価値による。稼ぐ力は小さく、過去の市場PBRを床の根拠にしていない。上場時公募を織り込んだ19.1億円は自己資本推移の起点にのみ使う。
確率:国内コース数の縮小と機器更新の価格競争は現実的な懸念である。健康見守りの固定費が十分に回収できず、保育ソフトの競争も厳しくなる組み合わせを想定し、悲観側の中心として23%とした。
悲観 15% ゴルフの競争優位が弱まり、新事業も回収不能 利益 −2 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 182 円9 億円
ゴルフ場運営会社が新しいカートを調達する際、車両メーカーの運行管理機能をまとめて採用するようになる。既存システムの解約が増え、導入拠点は790コースまで減る。競争は機器価格から継続契約へ広がり、会社は過去のように値上げを通せなくなる。カートの安全対策需要そのものは残るが、それを誰が供給するかが変わる。
広告は配信できる端末数と広告主の予算がともに縮小する。個人向けアプリは標準搭載の機能やAIエージェントに代替される。保育向けソフトでも導入数の減少が進み、画面の利用料を徴収するモデルが成り立たなくなる。現場の記録自体は残っても、データの管理主体が顧客や大手プラットフォームへ移る。
健康見守りの商用化は進まず、研究開発や医療関連費用を回収できない。撤退に伴って開発ソフトウェアなどの無形資産の減損が発生し、自己資本が傷む。ゴルフ事業にはなお顧客が残るため直ちに倒産するとは限らないが、全社では赤字になり、配当は期待できない。保有現金と回収できる債権、換金可能な設備や在庫が株主価値を支える状態になる。
- ゴルフカートナビ・運行管理:数量 790(カートナビ導入ゴルフ場数(実コース、年平均の代理数量))× 価格 0.02(導入1ゴルフ場当たり年間総売上(億円、機器の初期・更新販売と継続収入を含む))→ 売上 12 億円・営業利益 1 億円。導入先は現在の約69%。価格競争が強まり、総売上単価も現在を下回る。
- ゴルフカート内広告媒体:数量 700(広告配信が可能な導入ゴルフ場数の代理値)× 価格 0.00(導入1ゴルフ場当たり年間広告売上換算(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。広告在庫が余り、媒体の運用固定費を回収できなくなる。
- 個人向けゴルフアプリ:数量 9,000(年間の有料利用者換算人数(推計))× 価格 0.00(有料利用者換算1人当たり年間収入(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。有料利用者が半減し、低価格化とAI代替によって赤字が残る。
- コミュなび・保育施設向け業務支援:数量 450(導入幼保施設数)× 価格 0.00(導入1施設当たり年間総売上(億円、写真販売の総額表示を含む))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。施設数は現在の43%まで縮小。業務画面の価値が薄れ、解約と値下げが重なる。
- 健康見守り・ウェアラブル端末:数量 300(年間売上を生む端末・契約の換算件数(推計))× 価格 0.00(端末・契約1件当たり年間総売上換算(億円、端末販売とサービスを含む))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。事業拡大に失敗し、撤退と残存契約の保守費が重なる。
倍率:事業の持続利益が赤字となるためPERは使わない。添付の2025年9月期末自己資本16.7億円を、悲観の床を表示するPBRの分母とする。0.557倍は時価総額約9.30億円に対応し、独立に積み上げた税後換金可能資産9.3億円を反映する。ソフトウェアなど無形資産は換金できるとみなさず、負債を全額差し引く。公募調整後の自己資本19.1億円や2036年の自己資本15.6億円へ倍率を掛けず、過去の市場の安値PBRも参照しない。
確率:主力カートナビが急速に総入れ替えされる可能性は低解約率を考えると高くない。しかし10年間には顧客集中、車両側の内製化、赤字事業の撤退・減損が重なる余地がある。構造的に優良さを失う事例として15%を配分した。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ゴルフカートナビ・運行管理
マーシャルナビ、マーシャルAi、Marshal Ai Premiumを通じて、ゴルフ場のカート運行管理、安全確認、機器の更新と継続サービスを提供する。
| 数量カートナビ導入ゴルフ場数(実コース、年平均の代理数量) | 価格導入1ゴルフ場当たり年間総売上(億円、機器の初期・更新販売と継続収入を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 1,148 | 0.02 | 18 | 3 |
| 10 年後 中立 | 1,100 | 0.02 | 23 | 6 |
取り方:会社の2026年9月期カートナビ売上予想19.40億円、前年比5.1%増から、2025年9月期売上を約18.45億円と逆算した。数量は2025年12月末の実導入1,148コースを2025年9月期の代理値として利用したため、厳密には期末と期中平均のずれがある。総売上単価は18.45億円÷1,148コース=約160.7万円であり、会社開示の継続収入ARPA96.9万円とは別物である。国内2,096コース、18ホール換算の会社導入1,353コース、会社公表シェア63%は定義を区別した。報告セグメント内の分野別営業利益は非開示のため、ゴルフ関連合計3.58億円に一致するよう、利益源と費用構造を踏まえて推定した。AIエージェント代替については、画面操作は自動化されても端末による位置取得と現場運行管理が残り、解約率0.63%とGPS・映像記録の蓄積という二つの堀の証拠がある部分として扱う。
ゴルフカート内広告媒体
既設のカートナビ画面とカート後部の映像広告を販売する。GOLチャンとGolfcart Visionが中心である。
| 数量広告配信が可能な導入ゴルフ場数の代理値 | 価格導入1ゴルフ場当たり年間広告売上換算(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 1,148 | 0.00 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1,110 | 0.00 | 2 | 1 |
取り方:2026年9月期広告売上予想1.57億円、前年比6.2%増から2025年9月期を約1.48億円とした。広告配信拠点数・広告主数・表示回数・実際の広告単価の詳細は開示されないため、全カートナビ導入1,148コースに平均配分した代理単価約12.9万円を採用した。すべてのコースで同額の広告が実際に売れているという意味ではない。同単価を国内2,096コースへ広げた約2.7億円は、現在の自社媒体形式に限る潜在売上の概算であり、国内広告市場の公的な規模ではない。自社媒体の広告枠販売であって制作・運用受託ではないため、AIリスク表の自社媒体型とした。
個人向けゴルフアプリ
スマートゴルフナビやAi CADDYで距離計測やプレー支援の機能を提供する。
| 数量年間の有料利用者換算人数(推計) | 価格有料利用者換算1人当たり年間収入(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 18,000 | 0.00 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 14,000 | 0.00 | 1 | 0 |
取り方:2025年9月期のゴルフ関連売上約20.63億円から、カートナビ約18.45億円、広告約1.48億円を差し引いて約0.70億円とした。会社が開示する119万件は2026年2月時点の累計ダウンロード数であり、課金ユーザー数ではない。年間有料利用者換算1万8,000人は累計ダウンロードの約1.5%という分析上の仮定で、1人当たり年約3,889円は売上から逆算した代理単価にすぎない。アプリの真の市場シェアは確認できない。操作画面や距離案内が価値の中心なので、AIエージェント代替の画面型として2036年中立の数量と単価に厳しい制約を課した。
コミュなび・保育施設向け業務支援
保育園、幼稚園、認定こども園の出欠、連絡、請求、写真販売、送迎バス管理を支援するクラウドサービスである。
| 数量導入幼保施設数 | 価格導入1施設当たり年間総売上(億円、写真販売の総額表示を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 1,052 | 0.00 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 900 | 0.00 | 3 | 0 |
取り方:2025年9月期コミュなび売上約2.76億円を会社開示の1,052施設で除し、総額表示ベースの平均単価約26.2万円とした。2025年は写真販売の売上計上が純額から総額へ変わり、従来方式なら売上約1.60億円だったとされる。このため平均単価はソフトの純粋な月額利用料を示さず、写真販売の取引総額を含む。保育所、幼稚園、認定こども園を合わせた約4万施設を対象市場の粗い代理値とすれば浸透率は約2.6%だが、施設種類の重複に注意を要する。コドモンの2万5,696施設はより広い児童関連施設を含み、同じ分母で比較できない。年間解約率3.74%は良好でも、独自データや規制によるもう一つの強い堀の証明が不足するため、AIエージェント代替では席課金・画面型とした。
健康見守り・ウェアラブル端末
TECHNO BANDとバイタルナビなどを通じ、作業員の熱中症対策や医療・介護現場の生体情報管理を支援する。
| 数量年間売上を生む端末・契約の換算件数(推計) | 価格端末・契約1件当たり年間総売上換算(億円、端末販売とサービスを含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 300 | 0.00 | 0 | −1 |
| 10 年後 中立 | 1,600 | 0.00 | 2 | 0 |
取り方:2025年9月期の健康見守り事業売上0.30億円とセグメント損失0.73億円を採用した。会社資料に確認できるTECHNO BANDの累計導入600台超は2026年3月時点であり、2025年9月期の有料稼働数ではない。2025年の年間売上換算300件、1件当たり10万円は数量と価格を分解するための仮定で、実際の医療機関数や契約価格ではない。対象市場は産業現場と医療・介護施設にまたがるが、対象端末台数、国内総市場額、会社シェアの確かな開示は確認できない。物理センサーと現場対応はAIによる画面操作代替の直接対象外とし、データ整理部分の自動化は採算に織り込む。
リスクと懸念
AI エージェント代替
保育向けのコミュなびでは、出欠連絡、請求、記録作成などを人が画面で処理することが現在の製品価値の一部となっている。AIエージェントが園の基幹データを直接更新するようになれば、従来の画面や利用者数に対する料金には下落圧力が生じる。個人向けゴルフアプリも同様に影響を受ける。カートの位置取得や安全監視といった現場の物理機能は残るため、全社一律の消滅リスクとは考えない。
国内ゴルフ場市場の成熟と人口減少
国内のゴルフ場は約2,100コースで、会社はすでに過半へ導入している。高齢利用者の引退や地方の人口減少が続けば、ゴルフ場数そのものが減る。導入先の増加だけで大幅成長する余地は限られ、更新時の単価上昇と広告収入に依存しやすくなる。
カートメーカーによる内製化と大口顧客集中
ゴルフ場がカートを更新する際、車両メーカーが自社のGPS・運行管理システムを組み込めば、外部ナビを採用する理由が弱まる。さらに2026年9月期第3四半期のアコーディア・ゴルフ向け売上は全社の10.3%を占めた。大口運営会社の仕様変更や一括調達条件は、顧客数以上に業績へ影響する。
健康見守りの商用化と医療機器対応
健康見守りの2026年9月期第3四半期累計は売上約0.41億円に対し、セグメント損失約0.79億円だった。実証実験から有料契約への転換、機器の耐久性、誤検知、医療機器に関する認証や保守体制が課題となる。職場の熱中症対策が強化されたことと、特定の製品が大量に購入されることは同義ではない。
2026年の大幅増益の持続性
2026年9月期の利益回復には、カートナビの高機能機種への更新、端末の再利用、安価な通信回線への切り替えなどが寄与している。これらには継続効果が期待できる反面、更新需要には周期がある。原価削減の利益を一度得た後、同じ率で毎年改善できるわけではない。
新株予約権による希薄化と株主還元の不透明さ
上場時の資料には発行済株式とは別に41万7,800株の潜在株式が示されている。すべて行使されれば、既存株主が保有する会社全体への割合は小さくなる。加えて、確認した資料に将来の配当性向や自社株買い金額の明確な数値約束はない。利益が増えても、それが株主へどれだけ戻るかは経営判断に左右される。
無形資産と運転資金による現金の目減り
2026年6月末には現預金がある一方、端末や部品の棚卸資産、ソフトウェアなどの無形資産も相当額を占めた。保守契約の前受収益は将来サービスを提供する義務を伴うため、自由に配当できる資金と同一視できない。不採算事業が続けば、現金は研究開発や在庫の維持で使われ、帳簿上の自己資本も減損で傷む。
今後の分かれ目
- カートナビの年間解約率が1%未満を維持し、継続収入の顧客単価が物価に近い速度で上昇し続けたら
- 主力の堀と値決め力が維持されていると判断する。国内の導入拠点が伸びなくても、既存契約の利益見通しを改善できるため、中立からやや楽観の比重を見直す。
- 大手ゴルフ場運営会社がカートメーカー純正の運行管理へ一括で切り替え始めたら
- 新規獲得数より既設顧客の解約率を重視し、カートナビの数量と単価をともに下方修正する。低解約率を支える切り替え負担が弱まった可能性を検討する。
- 健康見守りの売上が数年間拡大してもセグメント赤字が解消しなかったら
- 規模拡大だけでは固定費を吸収できないと判断し、健康見守りの楽観的な成長価値を減らす。追加投資の停止や撤退に伴う無形資産の減損も検討する。
- 健康見守りで医療・産業向けの有料稼働数と継続課金額が具体的に開示され、営業黒字が定着したら
- 単なる実証件数ではなく売上単価と継続率が確認できるため、健康見守りの数量、利益率、増分ROICを上方修正する。
- コミュなびの導入施設が増えても、写真販売の総額表示を除いた継続収入が伸びなかったら
- 見かけの売上成長を製品の値決め力とは評価せず、AIエージェント代替と競合の価格圧力を強く見る。保育事業の長期利益を引き下げる。
- 会社が定量的な配当・自社株買い方針を公表し、実際の還元も継続したら
- 留保した利益が少数株主へ戻る確度を高め、余剰現金の戻り方を75%から100%へ見直す余地が生まれる。株価と独立した資本配分の改善として評価する。
見ておくもの
- ゴルフカートナビ導入実コース数、18ホール換算のシェア、年間解約率
- カートナビのリカーリング売上と年間顧客単価ARPA
- 新規導入・他社からの切り替え・既設機器更新の案件数
- アコーディア・ゴルフを含む大口運営会社の売上比率と更新契約
- 広告配信可能コース数、稼働率、広告分野売上と利益率
- コミュなびの導入施設数、解約率、写真販売の総額表示を除いた継続収入
- 健康見守りの有料稼働端末数、医療機器認証、セグメント損益と投資額
- 営業キャッシュフロー、棚卸資産、ソフトウェア償却・減損、余剰現金
- 新株予約権の行使状況、公募後の大株主の異動、配当と自社株買いの定量方針
- 2026年9月期通期の確定決算と、2027年9月期以降の費用削減効果の継続
倍率と資本コストの決め方
現在の時価総額22.09億円や市場のPERを出発点にせず、ゴルフ場数、広告配信拠点、有料アプリ利用者、保育施設、健康見守り契約をそれぞれ実質数量と名目単価に分けて2036年の利益を求めた。倍率は資本コスト7.0%、長期成長率1.0%、事業ROEと堀の残存割合から計算した正当化PERを楽観から中立にそのまま用いた。悲観は利益が失われるため換金可能資産を床とした。期間中の還元を別途割り引き、潜在株式による既存株主の取り分約91.8%を最後に反映した。事業に必要な端末更新投資は原価と利益率に織り込み、ソフトウェア償却を物価で一律に増やさない。新リース会計基準による使用権資産とリース負債の表示変更だけで事業価値を増減させない。確率加重後の現在価値約23.59億円、時価総額との差約プラス6.8%は計算の結果であり、現在の株価に合わせて倍率や確率を調整していない。
資本コスト 7.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%による基本7.5%から、主力カートナビの顧客固定性・値決め力に対応するqualityの0.5ポイントを控除する。上場直後の情報不足、新規事業の実行リスク、株式の希薄化は事業の筋書きと株主の取り分で扱い、資本コストへ重ねない。